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GMS/SEM の Pー デー タ について
GMS/SEMのP1データについて On the PI Data from GMS/SEM 長 井 嗣 信* Tsugunobu Nagai Abstract The count rate Environment intensity derived rate is almost corresponds (>2 MeV taminant of the lowest Monitor on from abnormally by feature electrons). This in the proton channel observations. high. to the energetic protons nominal) Satellite is compared It is found It is also found analysis indicates channel P1 (1.2-4 MeV Meteorological U. S. spacecraft always feature energy Geostationary that the that the channel electron intensity that energetic derived electrons with channel of space the proton PI count PI count from channel rate EL are a significant con・ P1. 1。はじめに 3については21 気象衛星「ひまわり」(以下GMS)では, SEM (宇宙 UT, GOES-2については,17 UT か 19 UT とし,移動中はそのあいだの時刻)。 GMSについ ては,生データから2分平均値を作製し, 02-03 UT の 環境モニター)により,高エネルギーの陽子,アルファ 間について1時間平均値を作り,正午値とした。夜間は 粒子,電子を,いくつかのエネルギー範囲について,定 地磁気活動による変動が大きいため(たとえばNagai, 常的に観測することによって,太陽活動についての気候 1982),地磁気活動の影響のもっとも少ない正午付近の 学的なデータペースを作りつっある。米国の気象衛星 値を使用している。これによって,GOESでの食(地球 GOESにも, SEMが搭載されている。 GMSのデータ とGOES等のデータを比較してみる機会があり, GMS の陽子のaこ・ネルギーの一番低いチャンネルP1について の影にはいる)時間の欠漏を,さけることができる。た だし, GMSのデータによれば,正午値と一日平均値の 変動のよりすは,たいへん良く一致する。 Figs. la-lh は, GMSのフラックスの値が異常に高いことがわかっ に,半年ごとの結果を示す。 た。以下,。データを示すことによってこのことを示し, ELの値については,3つの衛星での値が,フラック その原因について,考察してみる。 スの絶対値および変動のようすともに,よく一致するこ とがわかる。 2 MeV 2. GQES衛星データとの比較 以上のエネルギーをもつ電子は,昼 間にフラックスが高く,夜間にフラックスが低くなると いう日変化を示すことから,静止衛星近傍では,安定 1978年7月から1980年6月の2年間にわたる期間につ いて, GMS,≒GOESべI, に地球磁場に捕縛されていることがわかる。地球のまわ GOES-3のPIとELのチャ りをドリフトする時間は数分のオーダー(Schultz ンネルのデータ此つじて,比較をおこなう。3つの衛星 の情報をTable 1 に示す。 GOES and Lanzerotti,1974)であるから,衛星の経度が異っても, のデータは,一日分 良く対応した変動を示すことが期待できる。 一般に, のデータが一枚の図にプロットされたものが,マイク1=z GOES-3での値が, フィルム・となっている。地方時の正午前後の±30分間の GOES-3が磁気的により地球に近い位置にあるためであ 値を読みとって,正午の一時間値とした(正午は, る(高エネルギー電子は,静止衛星近傍の距離では,地 GOES- GOES-2での値より高いのは, 球に近いほど,フラックスが高くなる分布を示してい *気象研究所高層物理研究部 Meteorological る)。また,GOES-2,GOES-3でフラックスが低い値 Research Institute Upper Atomosphere Physics Division. を示す時に, −37− GMSでは高い値を示しているのは, GMS METEOROLOGICAL 105 SATELLITE CENTER TECHNICAL NOTE N0.10. NOVEMBER EL 1984 19 7 8 −● 104 l a: トー (/‘) X 33SH Σ3xS31311^Vd 7 103 102 101 100 10゛1 7 8 9 10 11 12 F11.1aThe channel EL (>2MeV electrons)count rates by GMS, GOES-2, and GOES-3 during the last6 months of 1978. P1 1978 105 一 a j. o’^. 104 33SX <M I Σ 102 XS31311yくn一 Q 103 101 100 10−1 フ 8 9 10 11 Fig. lb The count rate of the GMS channel PI and the 0.8-4MeV GOES-2 and GOES-3 during the last6 months of 1978. −38− proton 12 1ntensities by 気象衛星センター 技術報告 第10号 1984年i1月 105 [L 1979 一 叱﹂’のJ U山のX4 Σ Q 104 103 102 XS313ご.dくd 101 100 10’1 1 Fig. lc The 2 3 4 5 6 channel EL (>2MeV electrons)count rates by GMS, of 1979. GOES-2, and GOES-3 during the first6 months P1 1979 105 -● U J. O ". 104 03S^ U xS310ご&くd CM I Σ 103 102 101 100 10‘1 1 2 3 4 Fig. Id The count rate of the GMS channel PI and the 0.8-4MeV GOES-2 and GOES-3 during the first6 months of 1979. −39− 5 proton G intensities by METEOROLOGICAL 10S SATELLITE CENTER TECHNICAL NOTE N0.10. NOVEMBER 1984 1979 EL 一 104 Qど トー ぴ) X Qm一のJ マ 103 Σ3HS31311yVd 102 101 100 10-1 7 Fis. le The channel EL (>2MeV during the last 6 months 11 8 9 10 electrons) count rate by GMS, 12 GOES-2, and GOES-3 of 1979. P1 19 79 105 | 1 Σ3xS31311dくn1 fM ・ 33SX 四● yisx 四 104 103 102 101 100 10-1 7 8 9 10 11 Fig. If The count rate of the GMS channel PI and the 0.8-4MeV GOES-2 and GOES-3 during the last6 months of 1979. ― 40 ― 12 proton intensities by 気象衛星センター 技術報告 第10号 1984年11月 [L 1 9 80 105 s・一 I Qご 1− 33SX (乃 X 一 1 Σ3xS31DIiyVcl <M I 104 103 102 101 100 10-1 1 2 3 4 5 6 Fig.lg The channel EL (>2MeV electrons)count rate by GMS, during the first6 months of 1980. GOES-2, and GOES-3 1 P1 9 8 0 105 一 a j. o". OUのX4 Σ U 104 103 102 ><931311yVd 101 100 10-1 1 Fig. lh The GOES-2 2 3 4 5 6 count rate of the GMS and GOES-3 channel PI and the 0.8-4 MeV during the first6 months of 1980. ― 41 ― proton intensities by METEOROLOGICAL SATELUTE CENTER TIXJHNICAL Table Geographic Long. Geomagnetic NOTE No。10. NOVEMBER 1984 1 Ut. P1 EL electron GMS 140?E −10° 1.24 MeV proton マ >2MieV GOES-3 135°W +5° 0.8-4 MeV proton >2MeV electron 0.8-4 MeV proton >2MeV electron 75°W GOES-2 or 105°W +10° or +8° のデータが光によるノイズを含んでいるためーと考えられ 日変化を示さないときが多い。GQE$-3とGQES-2で る。 のフラヅタ1芦・のぶ・ラツキは,こ4戻とにょると思われ PIのデータでは,3つの衛星からのデ,タの対応は, 4 ■ ・ l る。GOES-3の値がGOES-2の値よりやや高いのは, かならずしも良くない。一番大きな問嘱点は. 鳶磁気緯度の効果にょると考えられる。 値が,つねにGOES-2. CMSの GOES-3の値より高くなぅて GMSのPXの値の異常は,ELの結果から,衛星・り いることである。 測定J=・ネルギー範囲は,GMSが高z & 一 I `l 緯度,経度の違い14ょるとはいえない。また, ネルギー側へよっているため(Table PIにある゛光によるノイズにょるとはいえないことが, 1), GMS (6mは, GOESの値より低くなるはずである。ところが. GMS の値は, GOESの値より1オーダー程度高い値を示しで ここで,1982年について, についての比較をFig. GMS-2とGQES-2とのP1 2に示す。ここで, り異る。 GOESの値が増加してGMSの値に近くなるこ は,エネルギー範囲をGOES-2と同じ0.84 とがあるが, てありI,光によるノイズの問題がないにもかかわらず, GOESではすぐに減少してしまうが, GMS では,商い鱗にとどまっている。GOES-3とGOES-2 のデータをみると,このエネルギー範囲(0.84 Figs, の陽子は,安定に捕縛されているとはいえず,きれいな 105 yisx J Σ3xS31311yくd N 33SX −● ● GMS-2で MeV 両者の差が,一層大きくなったことがわかる。 MeV) la『lhにょると,・むMSでは,P1‘とELのフ ラックスの振舞が良く似ていることがわかる。この点を PI 1982 104 103 102 101 100 10-1 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 Fig. 2 The count rate of the GMS-2 GOES-2 in 1982. channel PI and the 0.8-4 MeV ― 42 O GMS-2のPIでも,同様の異常があることからわかる。 いる。また. GMSとGOESでは,変動のようすもかな CMS ― proton intensity by にし 気象衛星七yタ,技術報告・集10号 i略4年11月 10S QMS 1 ・9 7 8 -●● a 104 JL o ’^. 33SX I Σ3xS31311yVd N 103 102 101 100 10-1 8 y11.8● The 9 10 count rates・f tire channels EL (>2MeV of 1978. 11 12 electrons)and PI from GMS/SEM (luring the last 6 months 105 一 33SX axo'^- 104 103 N Σ3xS31311yVcl a 102 101 100 10‘1 1 2 3 4 5 6 Fig. 3b The count rates of the channels EL (>2MeV during the first6 months of 1979. ― 43 ― electrons)and PI from GMS/SEM METEOROLCXJICAL CEm-ER TSGHNIGAL NCWiE tfe. 10. NOVEMBER φ 戸4 が` GMS 6J 105 SATELyTE ・㎜●⇒ 1984 ビ97 T →- EL -・● ax.;^"'. 104 Qm一のx i 0 3 4 102 Xsaioii^vd Σ Q 101 100 10-1 8 1 f!l.恥The count rates収f the chamveb EL (>2MeV during the last6 months of 1979. 2 ;eletr≪as^and PI from GMS/SEM 105 一 104 叱 1− (/‘)` X l Σ3xS31311yVd CM D3SH -■l 103 102 101 100 10-1 1 5 6 2 3 4 F11.3d The count rates of the channels EL (>2MeV during the first6 months of 1980. −44− electrcms) and PI from GMS/SEM で気●塞猿ぶソかーリ紬・ibiaiiriijitv勢i ヽPROTON・ 107 J⋮一 ’び j j φ ♂ 一u 一’・・一I I︱≫ 105 が I︱≫ rH ジ が I︱t y一・一。一w・出?S一一Sω。2﹄・″一く︷一 ELECTRON iIQ典4毎11芦 t︱I 0,1 0.01 1,0 MeV ENERGY ENER6Y Fis. 4 Energy the spectra for electrons (left panel) and protons (right panel) observed by Los Alamos 詳しく調べるために. Figs. experiments 3a-3d・に, on the spacecraft s/c 1976-059 and s/c 1977-007. 4。考察 GMSのP1と ELの値を,同じ図にプ.F。漸した。あきらかに,陽子 3種類の衛星からのデータの比較により,NOAAの のチャンネルであるPIが,電子のチャンネルである こ: d● S I l jj  ̄ | 此にに良く似七いることがわかる。 衛星とLos Alamos の衛星とは,データの良いー致を -1 ● ● 1 ●● ゛ みるが, GMSのP1は,それから大きくズレているこ 3. Lot A』皐卯衛星データの検討 とがわかった。この原因が,光によるノイズや,緯度, 経度の違いによ,ることではないことは,すでにのべた。 !JOS Alamos 静止衛星s/c 007 National 1976-059 Laboratory (西経135°)に搭載されている。s/c ぱ,1976年7月から1978年12月まで. は. の粒子測定装置が, <西経35°か70°)とs/c ここで注目すべきことは, 1977- 1976-059 で s/c・1977-007で GMSではP1の値がELの 値と同じような振舞を示すことであり,P1の検出器が, 電子もカウントしている可能性を示唆している。ここ で,この点について,考えてみる。 1977年7月から1978年12月までについて,正午付近 GMSのP1の検出器は,1.25μmのNiの遮蔽板 の取子フラックスの平均値が発表されている。これか (Moderator)と0.33mmの半導体検出器からなってい ,ら,腸子と電子について,エネルギースペクトルを作る る。ここで,Niは厚さが薄い(1.1 ことができる。結果をFig. して考える。半導体は,79.9 4に示してある。2MeV以 mg/cm2)ので無視 mg/cm* の厚さをもつ。 上の電子については測定されていないが,外挿すること Fig. 5 に,陽子と電子に対して,あるエネルギーで入 により. 射したとき,どれだけのエネルギーが発生するかを示し 値は, 1 MeV 10≫cm-l・sec-1・str-^前後の値が得られ,この GMSやGOESのELの値に近いことがわかる。 程度の陽子に。ついては,102 下の値となり, らも, ている(JE-Eカーブ)。 cm-2・sec‘1・str-^ 以 GOESの値との一致が良い。このことか P1 では,出力が0.9 MeV 度以上の信号があると,陽子であると判定する(上限は 4 MeV)。この図からは,電子は0.25 GMSのP1の値が,異常であることがわかる。 MeV 以上のエネ ルギーを出さないから,カウントされないはずとなる。 しかし,エネルギーgスについては,電子では平均値か らのバラつきが大きく,1 −45− 程 MeV 程度の電子が,検出器 METEOROLOGICAL SATELUTE CENTEi! T^HNICAL NOTE No. 10. NOVEMBER 1984 薄い半導体を用い,さらに二段目以後とのcoincidence 10.0 をとることによ。って粒子を分別して,電子の混入を除く ︲0 ︵A3U︶ SS01 mm ことが,一般にはおこなわれている。 5。結語 GMS/SEMでは,PIのチャンネルによって,1.24 (又はa8-4) MeVの陽子を測ることを吟ざしているが, 静止衛星軌道付近にはたくさんある高こ・本ルギー電子も 0,1 いっしょにカウントしているために,陽子のフラヅクス PARTICLE EtERGY(fteV) が正確に測定されていない。これは,現在PIに使って Fig. 5 The nominal incident energy deposited energy characteristics for the PI いる測定方法によると考えられ,陽子と電子のエネルギ versus ーを正しく測定するには; telescope型のセンサーを便 detector of GMS/SEM. うことが望ましい。 の中で止まってしまいlMeVの出力をだすこと,が確率 的にありうることが知られている。Los データによれぱ,静止衛星軌道付近には, 電子が104 謝辞 Alamos鳶星の lMeV程度の GOES衛星のデータは, cm"*・sec-1・str-^ 程度あり,仮りに10%程度 NOAA/SELのH.H. Sauer 博士の好濾池よる。一部は,宇宙科学研究所を通じて, が検出器で止まってしまえぱ,みかけ上,10≫cm-≪やsec“1・ 入手した。Los strl程度の陽子があるとしてしまう。 また,半導体自 Alatnos 衛星のデーりi.'Los National Laboratory ‘のD.N. 身のノイズレベルが高いと,低エネルギーの電子でも, Alamos Baker博士の好意によ る。 陽子と判断してしまう。ディスクリレベルを下げた GMS-2で, GOES-2との差が大きくなったことは,よ References り電子をかぞえやすくなったと考えれぱ,説明がつく。 Baker, D.N., R.D. Belian, P.R. Higbie and E.W. Hones, Jr.: High・energy magnetospheric protons lMeV程度の電子の振舞が,ELで測定している2MeV 以上の電子の振舞と良く似ていることは推測されること であり,加速や流入の効率がエネルギーによって多少違 and their dependence on geomagnetic and inter planetary conditkms, J. Geophys, Res., 84,71^, うことが,完全に一致しない原因となるであろう。ま 1979. た,重イオソ(He“以上)が,多量にあるとは考えら Grubb, R-N.:The SMS/GOES space monitor subsystem.‘Tech. Memo.£RL れない。以上のことから,P1が電子を含んでいるとい NOAA, える。 Boulder, Colo.,1975. Nagai, T.: Local time dependence of electron flux changes during sub8torm9 derived from multi GOES衛星では,50μmと500μmの2つの検出器 satellite observation at synchronous orbit, G卯丿成ys.Res.. 87, 3456,1982. を使ったtelescope型のセンサーを用い(Grubb,1975), Los environment SEL-42, Alamosの衛星では,一段目に45μm,二段目以後 /: に3000μm等の多段の検出器をもったtelescope型の Schulz, M. and L. J. Lanzerotti : Particle diffusi∂71 in the radiatio?z belts,Sprmger-Verlag, Berlin. センサーを用いている(Baker Heidelberg. New et al.,1979)。一段目に York, 1974. 編集委員会コメント 当論文の結語において筆者はP1のセンサーは現在の型よりもtelescope型を使うことが望まし いと述べている。しかし, この論文を掲載した理由は, telescope型センサーの開発には技術的困難があった。従って,ここに GMS/SEMのPIデータには陽子のみでなく高エネルギー電子も含 んでいる可能性があることを考慮して利用していただくことにある。なお,その他のチャンネルの データについては特に問題はないものと思われる。 −46−