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Page 1 Page 2 CVSのIT戦略とその背景 ーセブンイレブンのECビジネス
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Title
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Citation
CVSのIT戦略とその背景 −セブンイレブンのECビジネスモ
デルの分析を念頭に−
今野, 克義, Konno, Katsuyoshi
国際経営論集, 22: 231-252
Date
2001-11-26
Type
Departmental Bulletin Paper
Rights
publisher
KANAGAWA University Repository
C
V
Sの n、戦略 とその背景
セブ ンイ レブ ンの ECビジネスモデルの分析 を念頭 に
今
野
克
義
1.セブンイレブン ・ジャパ ン
2.I
T技術の急速な普及 とユービキタス化
3.B2
C型ネットビジネスモデルの分析
4.セブンイレブンの ECビジネスモデル
5.まとめ
1.セブンイレブン ・ジャパ ン
セブ ンイ レブ ン ・ジ ャパ ン (
以後 ,S
EJと略す。)が 日本 に誕生 したのは
1
9
7
3
年, イ トー ヨーカ堂が米 国サ ウス ラン ド社 か らフランチ ャイズ方式 の ノ
1
)
ウハ ウを得 た ことにさかのぼる。その後 ,S
EJは2
0
01年 7月末現在 ,国内2
9
都道府県 に8
7
5
0
店舗 を擁す る巨大店舗網 を構築 し, 日本最大 の
CVSチ ェー
9
9
1
年 には親会社 である米 国サ ウス ラ ン ド社 の株
ン店 となっている。 また,1
2
)
EJは名実 とも
式 を取得 し経営 に参画す る ようになる。 この逆買収 に よ り S
に世界最大 の
CVSチ ェー ン店 となる。 なお ,2
0
0
0
年末現在 でセ ブ ンイ レブ
ンの看板 を持つ店舗 は全世界 に2
1
0
0
0を超 えている。
SEJの特徴 は 「単 品管理 」に代 表 され る コ ン ピュー タシス テ ムで あ る。
S
EJは着実 に店舗数 を増や し,1
9
8
0
年 には1
0
0
0
店 を超 える。 そ して ,S
EJは
231
1
9
8
2
年1
0月に P
OSシステムを稼働 させ た。 この POSシステムによ り,今 日
のC
VS を支 えるコンピュー タシステムが誕生す るのである。当時
ンピュー タシス テ ム は
S
EJの コ
TEC 製 の POS端末 を中心 に単 品管理 が な され,
EOBによる受発注の開始 に応 えた。
コンピュータシステムのオ ンライン化 によ り,東京電力の電気料金収納業
3
)
4
)
務取 り扱 い開始,東京 ガスのガス料金収納業務取 り扱 い開始,NHK放送受
5
)
信料継続振 り込み取 り扱 い開始 と外部の企業 との決済 システム連携 をはか り
9
9
1
年か らは I
S
DN網 によるコンピュータシステムのネ ッ ト
始める。 また,1
は,天候不順や季節的影響等 における商品の需給予測
き 引く
大 い
す
」
ワーク化 を実現 し,本部 と店舗 との情報交信期 間を大幅 に短縮化 した。 これ
く貢献 し,更 な
るコンピュータシステムの成長 に寄与す る もの となって
EJは各種料金収納代行業務 ,各種 プ リペ イ ドカー ド業
さて,その後 も S
務等の決済業務 を引 き受 ける一方で,店舗内の改装 にも注力 していた。今 日
では C
VSの常識 となっているオープンシ ョーケース型冷蔵庫の導入 をはか
った。 これは主婦がスーパ ーで牛乳パ ックを手 に取 って賞味期限 を確認す る
行動 をもとに行 われた とされている。 このオープ ンシ ョーケース型冷蔵庫 の
7
)
EJでは主婦層 の取 り込みを狙 った。
導入 によ りS
1
9
9
9
年 には新型 P
OSシステムを導入 して情報 システムの拡充化 をはかる。
不況 といわれる中,栄養 ドリンク剤 の販売 を開始 して客単価 の上昇 を狙 って
いた。 ところが消費不況,あるいはデフレ経済の渦中にあ り,S
EJ各店の平
均 目販額 は漸減 してい く。2
0
0
1
年 5月現在 の
S
EJ各店の平均 日販額 は6
7
万
5
0
0
0円である。 これは,平均客単価6
0
0円台,平均客数8
0
0
人台 とい う C
VS
の収益 レベルを大幅 に上 回るものであるが,S
EJが9
3
年 2月に記録 した平均
日販額6
8
万2
0
0
0円を若干下回るものであ り,収益構造 その ものに疑問符がつ
8
)
け られることとなって きた。 この足踏み状態 は 8年 間続いている。
今 日の
SEJで は平均 客単価 の減少が現実の もの とな り,それ どころか,
9
)
相次 ぐ外食産業の低価格化戦略に翻弄 されつつある といえる。
23
2
国際経営論集
No
.
2
22
0
0
1
さて,そ う した中
S
EJでは既存店舗 の客単価上昇 のための切 り札 として
「セブン ドリーム ・ドッ トコム (
以後 ,7
DC と略す 。)」 を開設す る。これは,
インターネ ッ トと既存店 を活用 した新 しい ビジネスモデルである。2
0
0
0
年明
けか ら準備作業が始 ま り,同年 7月 にイ ンターネ ッ ト店舗 「セブ ン ドリー
ム ・ドッ トコム」がオープンした。本件 に関 しては 4章で詳細 に分析す る。
E
Jの これまでの沿革 を簡略化 して述べ て きた。周知の ように今 日
以上 ,S
の消費 は, まさに 「
低価格化」 の傾 向 にあ り,「
何 で も安 ければ よい」 とい
う風潮が実 に多い。 しか しなが ら C
VSの大前提 であ る 「便利 な分 だけ価格
に上乗せ」 とい う条件が通用 しな くな りつつあることも事実である。本論文
VS,I
T,EC,B2
Cとい うキーワー ドをつかい,S
E
Jをは じめ とす る
では C
CVSがおかれている経営環境 を,対顧客の経営環境面,対技術 の経営環境
面,そ して S
E
J自らの ビジネスモデル を分析 してい く。本論文では S
EJの
みな らず C
VS業全般の経営課題 について問題提起 で きれば幸 いである。
2.1
T技術の急速な普及 とユービキタス化
I
T技術が急速 に私 たちの身の回 りに普及 し, もはや イ ンターネ ッ ト自体
が生活の一部 とな りつつある。 これは,意識 してインターネ ッ トを論 じてい
た次元か ら,無意識 にイ ンターネ ッ トを受 け入れている状態 といえる。す な
わち,インターネ ッ トは既 に私 たちの生活 に密接 に関わっているのである。
1
0
)
2
0
0
0
年末の 日本 のイ ンターネ ッ ト利用者数 は4
7
0
8
万人 とされている。
さて,
(
図 1)そのお よそ5
5%にあたる2
6
0
0
万人が 「ほぼ毎 日」利用 している。 な
お, この統計 には携帯電話 ・PHS等 か らの利用者 も含 まれてお り,実際の
状況に則 した結果ではないか と考 える。 しか しなが ら,普及率 とい う尺度 だ
けで考察 しようとすれば,小 国のス ウェーデ ン (
5
6
.
4%),ネ ッ ト先進 国米
国 (
5
5
.
8%)の数が最 も多 く, 日本の普及率 は半分 に も満 たない。いずれに
しても, 日本では既 に4
7
0
0
万人以上の人が イ ンターネ ッ トを体験 してお り,
C
VSの I
T戦略 とその背景
233
図 1 我が国におけるインターネッ トの普及状況
(
総務省 ・情報通信 白書 第 1章 Ⅰ 第 1節 よ り作成)
普及率
利用者数
40.
0%
1
99
6
1
99
7
1
9
9
8
1
99
9
2
00
0年度
尚かつその半数以上がほぼ毎 日インターネ ッ トを利用 している事が明 らか と
なっている。 なお,総務省 によれば,2005年末 には 日本のインターネ ッ ト利
用者数が8720万人 に達す るとされてお り,現在の 3人にひとりか ら, 2人 に
ひとりのインターネ ッ トに発展 してい くことが予測 されている。
イ ンターネ ッ トが普及 してい く過程で必ず必要だった ものがパ ソコンであ
る。それ までは操作が煩雑で,難 しいモ ノとされていたパ ソコンは1995年の
ウイン ドウズ95発売 によって身近 な存在 とな りつつあった。そ して, 3年後
にはウイン ドウズ98が発売 されインターネ ッ ト時代 を切 り拓 き始める。その
後の 目覚 ま しい発展劇 は記憶 に新 しい ところである。
ところで,パ ソコンだけがいわば独 占 して きた 「インターネ ッ ト」 はあ ら
ゆる機器 に開放 されつつある。 日本 では携帯電話サービス としてイ ンターネ
ッ トが組み込 まれ, また,米国では PDA の機能 としてインターネ ッ トが普
1
1
)
及 している。 これは,技術 の進歩が許容 した ものであるが, こうした流れは
今後 も家庭 内 ・企業内の各所 に組み込 まれる。
1
2
)
そ うした現況 は 「
情報の同時性 と共有 の経済」 とい う概念で表す ことがで
23
4
国際経営論集
No
.
2
22
(
氾1
図2
「
情報の同時性 と共有の経済」モデル図
C.
ネットワークインターネット
市場
共 有 の経 済
情報 の同時性 と
ち.「
電子決済」,金融市場
D.
コンピュータ市場
(
出典) 今野克義著 r
コンピュータネットワーク市場の市場特性l
神奈川大学大学院経営学研究科 「
研究年報」第 4号 20
00年 2月 ppl
O 図5
1
3
)
きる。 これは,筆者が Fコンピュー タネ ッ トワー ク市場 の市場特性』で既 に
論 じてい るこ とである。 (
図 2)パ ソコンの普及 を通 してセ グメ ンテーシ ョ
ンされた市場 にネ ッ トワーク とい うモ ノを普及 させ,やがてはそのパ ソコン
同士 をインターネ ッ ト環境 に接続 させ ることによ り第一 のステ ップが完了す
る。ついで, イ ンターネ ッ ト環境 に,金融 ,あるいは電子決済市場 を組み込
むこ とによ り家庭 内 ・企業 内 に密接 なネ ッ トワークが構築 される とい うもの
である。 さらには,そ う したイ ンターネ ッ ト環境が家庭 内の家電製品 に普及
す ることによ り様 々なメ リッ トが生 まれることとなる。要す るにパ ソコンを
基軸 としたイ ンターネ ッ ト化 は既 に完遂 してお り,その次 の段 階 として情報
家電 と称 され る機器が普及 し始めている と言 うことなのであ る。
あ らゆる段 階でネ ッ トワー ク化 された機器群 は設置場所 を問わず シーム レ
スに稼働 す ることがで きる。 これがす なわち筆者が考 える 「
情報 の同時性 と
共有の経済」 の根拠 であ り,今後 とも大 きく発展 してい くであろう。
1
4
)
イ ンターネ ッ トに続 で きるパ ソコ ン以外 の端末 を I
Aとい う。 これ は,上
C
V
Sの I
T戦略 とその背景
235
の図で示す ところの A と B と C である。例 を示せ ば,インターネ ッ ト機能
を内蔵 した PDA,メール機 能 を内蔵 した携帯電話, さらには,イ ンターネ
ッ ト機能 を内蔵 した電子 レンジな どである。 これ らは全 て有線無線の如何 を
問わずイ ンターネ ッ トに接続 して何 らかの情報 を得 ることがで きる簡易端末
である。総務省 によるイ ンターネ ッ ト普及率の分析 で確認で きるように,今
後 もインターネ ッ ト利用者が増大するに伴 いあ らゆる形態の簡易端末が ネ ッ
ト接続 されるとみ られている。
さて,そ うした 「
いつで も, どこで も」 ネ ッ ト接続で きる環境 をユ ー ビキ
1
5
)
タス ・ネ ッ トワークとい う。ユ ービキ タス ・ネ ッ トワークとはまさに上の図
2を示 してお り,あ らゆる機器群がネ ッ トワークに接続 し,情報 を相互 に交
換で きる環境 を言 う。す なわち 「
いつで も, どこで も,必要 な情報 を」 とい
う人間の欲求 を瞬時 に満たすパ ラダイムである。
以上,本章では I
T技術 の急速 な普及 とユー ビキタス化 について論 じて き
た。各家庭 ・各企業 にパ ソコンが普及 し, また,それがイ ンターネ ッ トに接
続 される。やがて,あ らゆる機器群がイ ンターネ ッ トに接続 され 「ネ ッ ト化」
してい くことによるユー ビキタス化 は今後 ます ます進展 してい くもの と思 わ
れる。特 に企業 に とっては顧客獲得 に関 しての重要なチ ャネルを構築で きる
可能性 があ り,ネ ッ トビジネスの最大 関心事 となることは間違 いないだろ
う。
3.B2C型ネ ッ トビジネスモデルの分析
B2C 型 ネ ッ トビジネス は,卸業者 の 中抜 き,全 世界 的 なマ ーケ ッ ト,
等 々あ らゆる表現が なされている。 しか しなが ら実際利益 を獲得 している企
EJのネ ッ トビジネス も赤字経営が続いてい
業 は少 ない。次章 で述べ るが S
る。
さて,B2C 型 ネ ッ トビジネスモデルの考察 を行 いたい。 このモデルでは
2
3
6
国際経営論集
No
.
2
22
0
0
1
図 3 B2C 型ネッ トビジネスの成功モデル
A
JJ
I
iI
チ ャンピオン
・
A
i
モ
Oード
L
l
亡■
ll
l
]
l
l
l
I
l l
l II
i
I
→
■
■ビックベ ット
l
l
■
■
ブティ ック
・
T
ユ
U
ニクロ
TAYA
I
l
]
一一 l
l
顧客
た
りあ
損
と益
一l
成功シナリオ
L
/lJ
- N ー・
SK
a
h
Y
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P
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e
B
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B
f
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c
t
TV
ノ
1■
′■ l
L
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l
■
-■l 一1
し
■
1■■■
一
l
l
I
l
l
l-多く
(
の
7
D
企業
C)
負
け犬 - l
I
l■
■
■
■
1
-
大
顧客 数
■■■■
小
r
(
出典) 名和 高司著 5つの Cが拓 くB2
C型事業の新 モデル』
001年 8月号
ダイヤモ ン ドハ ーバ ー ドビジネス レビュー 2
p1
5
5 図 1B2
C プ レーヤーの分類 (
加筆 ・訂正)
普遍的な 2つの要素である顧客数 ・顧客 ひ とりあた りの収益性 を確保 しなけ
ればならない ことがわかる。当然 なが ら B2
Bで も,あるいは B2
B2
Cで もこ
C型 ネ ッ トビジネスの場合,
の要素は絶対 的な条件である。 しか しなが ら B2
必ず しもそ うである必要 はない。 (
図 3)
7DC については次章で詳細 に検討す るが,図 3に よれば負 け犬組 に属 し
ている。7
DC の初年度 の売 り上 げが 目標値 の 3割 に止 まってい るか らであ
る。 さらには,損益が 1
0数億 円の赤字 に陥 るなど事業の存続問題 に も発展す
1
6
)
る結果 となっている。
1
7
)
では,図 3を参照 しなが ら 4つのグループについて考察 してい く。
CVSの I
T戦略 とその背景
23
7
1)負
け 犬
このセグメ ン トの特徴 は,多 くの顧客が集 まらず収益 の改善の 目途が立 っ
ていないケースである。いわゆる規模 の経済 を追求 しようとして設立 される
ケースが多い。
このセグメ ン トには大企業が設立 した子会社や,複数の企業連合 による設
立会社等が多 くみ られ,初期投資額が大 きく,将来見通 しが甘い。 しか しな
が ら実際 の経営状況 は軒並 み赤字経営 であ る。 これは,多 くの参入企 業が
「ク リック ・ア ン ド ・モル タル」モデル を参考 にネ ッ トビジネス に進 出 して
くるか らに他 な らない。
さて,ネ ッ トビジネス には 「クリック ・アン ド ・モル タル」モデルが多い。
これは,「
電子商取引で, イ ンターネ ッ ト上 の仮想 の店舗 と実在す る店舗 の
1
8
)
両者 を販売経路 と して並立 させ ようとす る考 え方 である。
」。 まさに7DC も
これ と同様 とい えよう。 日本 国内には,TUTAYA オ ンライ ン,チケ ッ トぴ
あ等の代表的企業がある。
後 に検討す る7DC の ビジネスモデル も完全 に 「ク リック ・ア ン ド ・モル
タル」モデルを前提 とした もの となっている。すなわち顧客 はインターネ ッ
ト上の店舗 (
7DC) で商品 を発注 して,その後店舗 (
SEJ店舗)で商品の受
け取 りと代金決済 をお こな うとい うことである。
ネ ッ トビジネス に進 出す る際 に潤沢 な資金がある場合 このセグメン トに,
とりあえず,いるケースが多 い。
2)ビッグベ ッ ト
その名の通 り,
収益 を後 回 しにして大 きな賭 を しているセグメ ン トである。
これは,即時的な利益 を求めず,中長期的な視野 に立 って将来の利益 を待つ
先行投資 タイプである。 これは,主 に販売単価 の高い商品に限ってグルーピ
ングで きる と言 え る。例 と して挙 げた SKYPer
f
ect
TV の衛 星放 送事業 ,
YahooBB のブロー ドバ ン ド事業の ような莫大 な投資 を必要 とす るケースが
238
国際経営論集
No
.
2
22
0
01
多い。むろん初期投資後 にも高額 な施設維持費 を必要 とす る事業である。そ
1
9
)
れゆえに,このセグメン トには競合他社が少 ない。
成功 シナ リオ」矢印が示す ように,負 け犬か らチ
しか しなが ら,図 3の 「
ャンピオ ンへ と向か う過程 で ここを通 る可能性があることも確 かである。い
ずれに して も負 け犬セグメ ン トか らビックベ ッ トセグメン ト-駆 け上が って
行 く多 くの企業 には再編 とい う変化が待 ち受けている。
3)チ ャンピオン
このセグメン トの特徴 は,独 り勝 ちの状況であるといえる。す なわち,読
合他社 を押 し退 けてチ ャンピオンになった企業,あるいは当初か らほぼ独 占
的に市場 をリー ドして きたケースの企業の玉座である。
2
0
)
2
1
)
AOLは元 々会員数3
0
0
万人規模 を抱 える巨大 I
SPであったが,その後 もタ
イムワ-ナ一社 との業務提携 を経て世界最大の コンテ ンツプロバ イダとなっ
2
2
)
Pとしての事業 を開始 して顧客の囲い込みに成功 している。
た。近年では AS
図 3が示す とお り顧客数 ・収益性いずれ もレベルが高い。
iモー ドもこのセ グメ ン トに属 している。iモー ドは元 々携帯電話会社 の
T ドコモが iモー ドを導入
付加サー ビス として開始 された ものである。NT
した当時,競合他社 の追随が同時 に行 われなかった こともチ ャンピオ ンに君
2
3
)
2
4
)
6
0
0
万人 に達 してい る。
臨 した要 因 とい える。導入後 わずか数年で利用者が2
AOLと同様 に顧客数 ・収益性共 にハ イ レベルである。
以上の ようにチ ャンピオ ンのセグメン トにはご くわずかの「
成功 した企業」
が君臨 していると言 える。
4)ブテ ィック
これまでの 3つのセグメ ン トとは一線 を画 している。 このセグメン トでは
コア ・コンピタンスの収益性 を維持 したまま一定の顧客 に財 ・サービス を提
供 しているケースが多い。従 って規模 の経済 を追 うとい うよ りは範囲の経済
CVSの I
T戦略 とその背景
23
9
を追求 してい く, とい う傾 向が強い。
2
6
)
2
5
)
ユニ クロ ・TUTAYA 等 を例 に挙 げた とお り, 自社 の持つブラン ド名 を全
面 に してネ ッ トビジネス を展開 している。従 って,本章の冒頭で も述べ た と
お り,必ず しも顧客数 を数多 く集める必要がない特殊 なセグメ ン トである。
以上 ,B
2
C型企業の分類 を して きた。7
DCが未 だ負 け犬 に属 しているこ
とは周知の事実であ り,
今後 ビックベ ッ トを経てチ ャンピオ ンにな りうるか,
あるいはブテ ィックへ向か うのか更 なる分析 を要す る。むろん負 け犬 のまま
撤退する可能性 も十分 にある。
4.セブンイレブンの ECビジネスモデル
S
EJのイ ンターネ ッ ト店舗 である7
DCについて分析 してい く。
7
DCの特徴 は顧客が イ ンターネ ッ トで商品 を発注 して S
E
Jの店舗 で決済 ・
受 け取 りがで きることにある。E
C先進国の米 国ではクレジ ッ トカー ドが多
本章では
く利用 されているが, 日本 ではあ ま り普及 していない。その原 因 を特定す る
ことは難 しいが,多 くの議論 としてクレジ ッ トカー ドに対する考 え方の違い
にあるといわれている。現 に日本の場合 を考 えてみるとクレジ ッ トカー ドに
2
7
)
加 え,銀行振 り込み,宅配便の代引 きサー ビス等が広 く普及 してい る。数多
くの代金決済 システムの中で未 だ決定打 にかけているのが 日本型の E
Cビジ
ネスである といる。
S
EJではネ ッ トビジネス を立 ち上 げる。それが7
DCであ り,
上述 した 日本 的 E
Cビジネスの現状 を踏 まえ,代金 の決済 を S
E
Jの店舗で
行 うこととした。そ うす ることによ り消費者が E
Cビジネスに抱 く不安 を払
そ うした中
E
Jは 日本型
拭 しようとしたのである。つ ま り,S
ECビジネス を十分考慮 し
なが ら7
DCを設立 した と言 える。
DCを捉 えて しまうと危険で
ところが,そ う した表面的な現象面 だけで7
2
4
0
国際経営論集
No
.
2
22
(
泊1
あ る。 なぜ な らば,7DC 自体 が SEJの 1
0
0%出資子 会社 で はない か らで あ る。
す な わ ち ,7
DC は前 章 の負 け犬 セ グ メ ン トで言 及 して い る とお り,複 数 の
企 業連合 が共 同出資 して設立 され た企 業 だか らで あ る。 その内訳 は以下 の通
りであ る。 (
表 1)
28
)
表 1 株式会社 セブン ドリーム ・ドッ トコムの出資額 と出資比率
筆者作成
社名
(
SEJ
)
セブンイレブン .ジャパ ンー
N
E
C
NRⅠ
ソニー
ソニーマーケテイング
三井物産
J
TB
資本金 (
比率)
2
5
.
5
億円 (
5
1
%)
6
.
5
億円 (
1
3
%)
6
.
5
億円 (
1
3
%)
3
.
2
5
億円 (
6
.
5
%)
3
.
2
5
億円 (
6
.
5
%)
3億 円 (6%)
1億 円 (2%)
上記 ,表 1で 明 らか な とお り,SEJに加 え NEC,NRI
, ソニ ー も大 き く
DC の EC ビジネス モ デ ル に如 何 に関与 してい
出資 してい る。 この各 社 が 7
るか分析 してい く。
1)セ ブ ンイ レブ ン ・ジ ャパ ン (
SEJ)
SEJの ブ ラ ン ド名 を前 面 に押 し出 して い る 。7DC で取 り扱 う商 品 の 内 ,
TB
実際の SEJ店舗 で扱 って い る商 品 は殆 どない。 そ れ は,表 1の NEC,J
な どの商 品 を扱 ってい るか らで あ る。消費 者 と して はあ たか も SEJが全 て
の商品 を扱 ってい るかの ご と く感 じるで あ ろ うが ,実 際 はそ うで は ない。 む
DC で発 注 され た商 品が物 流 セ ンタ
しろ,SEJと して は何 の商 品 もな く,7
ーを通 して店舗 に届 くだ けで あ る。 た だ し,換 言 す れ ば SEJ店舗 で扱 えな
かった商 品が扱 える よ うにな った, と も言 える。 そ う した こ とか ら,前 章 で
C
V
Sの I
T戟略 とその背景
2
41
述べ た 「クリック ・ア ン ド ・モル タル」 モデルが完全 にモデル化 されている
か とい うと若干 の疑 問 は残 る。 いず れ に して も SEJと しては既存店 の売 り
上 げ増加 ,究極 的 には SEJに来客す る顧 客 の大 きな囲い込 み を試 み てい る
のである。
さて,SEJ店舗 はこの EC ビジネスモデルの中枢 的役割 を果 たす。それは
既 に言及 してい る ように店頭 で商品の受 け渡 しと代金 の決済 を行 ってい るか
らであ る。顧 客 か らみれば SEJ店舗 で ジュース を買 って,ついで にイ ンタ
ーネ ッ ト発 注 した CD を受 け取 るのであ る。 いわば この行動 だけ をみれ ば
SEJ店頭 は7
DC ビジネスの 「プラ ッ トフ ォーム」 と化 しているわけである。
「プラ ッ トフォームは,事業者各社 が提供す る商品やサー ビス機 能 を利用
者 にとって利便性 の高いかたちで共通化 ,集約化 す ることで,市場全体 の円
2
9
)
滑 な成長,運用 に貢献す る ものである。
」
一般 にプラッ トフォーム とい う定義 は企業サイ ドの コンピュータシステムか
らみ られることが多 い。実際,多 くの EC ビジネスの背景 にはプラッ トフォー
ム市場がある。図 4で明 らか な とお り, 自社 の EC システムが プラッ トフォ
ーム として多 くの企業 に受 け入れ られれば莫大 な利益 を得 る可能性がある。
図 4 プラッ トフォームの位置づけ
①
I
T
の
活
用
以
前
か
ら
あ
る
商
慣
冒
,
ビ
ジ
ネ
ス
イ
ン
フ
ラ
を
,
E
C
等
に
も
利
用
す
る
②
I
T
を
活
用
す
る
た
め
の
③rrの急速な普及で,
必要な人
的資源の獲得が困難 となり,
システム ・ネ ッ トワーク運用
の外部化が進展する
プラットフォーム
インフ
ラ,共通的な支援機能を実現
する。
O
S
S
(
彰ネ ッ トワークを支 える
部品,アウトソーシング市場
の形成を事業機会と見なして
のベンチャー企業参入。
2
0(
氾年1
2月
ppl
Ol 図表41「
プラットフォームの位置づけ」(
加筆 ・訂正)
(
出典) F
I
T市場 ナ ビゲー タj野村総合研究所
242
国際経営論集
No
.
2
22
(
氾1
しか しなが ら,7
DCの位置づ けは図 4では 「プラ ッ トフォーム」 で はな
S
EJが 日本 において約30年
間培 って きた, コンビニ, とい うビジネスモデル を E
Cビジネスに活用 しよ
い。む しろ 「ビジネス階層」 にあたる。それは
∋を想定 していただ きた
うとしただけだか らであ る。 この段 階で は図 4の(
い。
S
E
Jは P
OSシステム等 の最先端 コンピュー タシステムを自社 の経営戦略
Cビジネス に対応す るだけの人員 を抱
に活用で きていたにもかかわ らず ,E
勤に明記 されている。す なわち,刺
えることが出来 なかった。それは図 4の(
用者サイ ドか ら見 れば S
E
Jはプラッ トフォーム と化 しているが,実際の
EC
ビジネス上のプラッ トフォームは別 にあるとい うことである。
2)NEC
NECが7
DCに関与 している部分 はイ ンフラ部分 である。具体 的 には7
DC
3
0
)
の コンテ ンツを収容す るデータセ ンター とその基幹部分 をイ ンターネ ッ トに
3
1
)
DCの取扱商品 として NEC製のパ ソコン
接続す るサー ビスである。 なお,7
関連製品が多 くラインア ップされている。
NECは ECビジネスにおけるノウハ ウを活か して7
DCのシステム開発 を
行 う。特 にマイクロソフ ト社 のシステムを全面的に導入 し,Wi
ndo
ws
NT の
3
2
)
システムでインターネ ッ トサイ トを立 ち上げた。一般的に E
Cビジネスの コ
ンピュータシステムにはサ ンマイクロシステムズの製品群が利用 されるのだ
3
3
)
DCで同機器群が活用 されてい るのはご く一部 であ る。 デー タセ ンタ
が,7
0
機 を越 える高性能 な N
EC製サーバ群が設置 され,常 にリダンダ
ー内には5
3
4
)
ン ト化 されている。 また, 日本最大級 の SQL サ ーバ群 が導入 されてお り,
7
DC内の コンテ ンツが滞 り無 く運用 されている。
なお ,前節 の議 論 に立 ち返 りプ ラ ッ トフ ォー ムの議 論 をす る な らば,
NECの役割 はそ うではない。NECはプラッ トフォーム構築の一助 は成 して
いるが,実際は技術 的な側面のみ を支援 している といえる。図 4でみるな ら
C
V
Sの I
T戦略 とその背景
243
ば⑦であるといえる。顧客の要望 に応 じた E
Cシステムを 「システム ・ネ ッ
トワーク階層」 の一員 として参画 しているにす ぎない。
技術面での考察 も加 えてお きたい。N
ECが構築 した7
DCの
ECシステム
C シス テ ムが イ ン ター ネ ッ ト
は主 にパ ソ コ ン向 け で あ る。 これ は, E
(
WWW)での利用 を前提 としていた ものであるか らであ る。当然 なが ら携
3
5
)
帯電話 の各 キャリア向けにも専用 コンテ ンツを作成 している。 また,S
E
J店
舗 内に順次導入 されている情報端末 「セブンナ ビ」 も N
ECが担当 している。
DCの コンテ ンツを S
E
Jの店舗 内で も閲覧で きるようにす る もので
これは7
ある。同時 に I
Y バ ンクとも連携 をはかる予定で,7
DCとの事業融合 も試み
るもの とみ られている。
翻 って,第 2章で論 じたユービキタス化 に対応で きているか どうか考察す
べ きであろ う。一般的な P
DAか ら7
DCのイ ンターネ ッ トサ イ トを閲覧 しよ
うとす るとエ ラーが発生す るケースがある。 また,インターネ ッ ト閲覧機能
付 きの ワープロ等か ら同サイ トを閲覧 しようとす る と誤 ったサイズで表示 さ
れて しまう。 これは顧客 にとって
「
2度 と来 ない」 とい う思いを抱かせ るだ
DCに限 った ことではないが,今後 イ ンターネ ッ
ろう。 むろんこの間題 は7
トに接続 される機器群が多 く開発 され,市場 に幅広 く普及 してい く以上早急
3
6
)
な対応が必要である。
3)NRI
NRI(野村総合研究所)が7
DCの ECビジネスモデルのプラッ トフォーム
である。 これ まで
S
E
Jと N
ECの関わ りを論 じて きたが,両社共 に既存 の ビ
ジネス を延長 しただけであ った。 しか しなが ら,NRIは両社 の真 ん中に立
Cビジネスモデル を束 ねている。顧客サイ ドか ら見 れば全 く意識 され
ち,E
ることはない。図 4が示 している 「プラッ トフォーム」であることは明 らか
である
。
NRIが7
DCで果た している役割 は ECシステムである。7
DCの ビジネス
2
44
国際経営論集
No
.
2
22
0
0
1
図 5 7DC の ビジネスモデル
例 として膜客が JTBの旅行クーポンを現金で購入 した場合 (
筆者作成)
モデルは顧 客が イ ンターネ ッ ト上 で商 品 を発 注 し,S
EJ店舗 で決済す る, と
い うもので あ る。 この
ECビジネスモ デル を具現化 してい るのが NRIで あ
る。
4) ビジネスモデル検証
顧客が商 品 を購 入 した場合 の概 略 図 を図 5に示す。
DC の コ ンテ ンツ
この場合 の条件 と して,顧 客 が イ ンター ネ ッ ト上 で ,7
TBの旅行 クーポ ンを,SEJの店舗 で現金購 入 す る, をセ ッ トす る。
内で ,J
①発注
DC にた ど り着 く。 そ の際 7
DC
まず ,顧 客 は イ ンター ネ ッ トを閲覧 し,7
のユ ーザ登録 を行 う。登録 内容 は住所 ・氏名 ・年齢 ・性別 な どであ る。 その
CVSの I
T戦略 とその背景
245
他 の項 目 と して,顧 客 の 自宅 に近 い S
EJの店舗 を 3店 まで登 録 してお く。
登録 しておけば,顧客が商 品発 注の際 に受 け取 る店舗 を容易 に選択す ること
3
7
)
がで きる。
7
DC 内の コンテ ンツは毎夕 と毎朝 に更新 され る体制 とな ってお り,顧 客
が頻繁 に訪 れて も 「
飽 きない」 よう仕組 まれてい る。 なお,顧客 の 「どのペ
ージを, どれだけ, どの くらいの長 さ, どこか らた ど り着 いて」 とい う行動
は逐一 コンピュー タに蓄積 される。そのデー タが後の コンテ ンツ制作 の際の
重要 な資料 になる。
さて,顧 客がお 目当ての商品 を購入す る場面 となる。顧客 は予 め登録 した
情報 をパス ワー ドで呼 び出 し,画面上のボ タンを 2回押す だけで発注で きる。
その後顧客 はパ ソコン上 に表示 されたバ ー コー ドを印刷 して数 日後店舗 に持
参 す る。バ ー コー ドに加 え,発 注伝 票 ナ ンバ ーで も店舗 で照会 が可 能 であ
る。
(
参発注デー タ送信
DC デー タセ ンターか ら NRIへ
顧客か ら受 けた発 注 デー タは NEC 内の7
送 られ る。 この動作 自体 はほぼ瞬時 にな され る もので あ る。 なお,顧 客 と
7
DCの間は WWW で通信 されるが7
DC (
NEC) と NRIは他 の通信経路 を辿
る。 この通信規格 の橋 渡 しこそが NECの ECシステムの特徴 である0
(
彰商品発注
NRIでは受信 した発注 デー タを J
TBへ と即座 に送 る。 この時点で NRIは
特 に重要 な役割 は果 た していない。あ くまで もデー タを流 しただけであ る。
④ 商品納入
J
TBは NRIか らの受注 デー タに基づ き SEJの配送セ ンターへ商品 を送 る。
図 5で は簡略化 したが, この とき納入実績 として NRIにデー タを送信 して
2
46
国際経営論集
No
.
2
22
0
0
1
いる。
⑤店舗へ配送
SEJ自社流通網内にある商品は場合 によっては複数のバーコー ドを付毒 さ
れ単 品管理 されている。 この先商品は SEJの通常 の流通 システムに乗 って
顧客の指定 した店舗へ と配送 される。なお, この間,SEJ本部 と配送セ ンタ
ーの中で頻繁 に情報交換が行 われていることは言 うまで もない。
⑥代金収納 ・商品受渡
顧客が SEJ店舗 に来 て商品 を購入す る。顧客 に とってこのや り取 りはい
つ もの,それ,であ り違和感がない。強いて言 えば商品が厳重 に密封包装 さ
れてお り中身が判 らない, とい うことぐらいである。
さて,顧客が代金 を支払 った瞬間,その見 えないカネは瞬時 に NRIに送
信 される。SEJの店舗 としてはここまでが役割である。つ ま り, この ビジネ
スモデルでは SEJ自体 はプラッ トフォーム と化 していないのである。
⑦販売実績 ・代金支払
⑧代金支払
SEJ各店舗か らの販売実績データと代金 データを受信 した NRIは J
TB に
代金の支払い を行 う。J
TB としてはここまでの参加 となる。
⑨販売実績 に基づ きコンテ ンツ更新
前述 しているが, こうしたコンピュータシステムにおいては顧客の行動が
逐次観察 ・記録 されている。すなわちコンピュータが 「
顧客 は, どのページ
,「受注
を, どれだけ, どの くらいの長 さ, どこか らた ど り着 いて」 そ して
率は どれ くらいか」 を記録 してい るのである。従 って,NRIは これ らの要
件 を満たす十分 なデー タを保持 していることになる。 これ こそが インタンジ
C
VSの I
T戦略 とその背景
247
ブル (
無形資産)の根源である。 これだけ十分 なデー タがあればこそ戦略的
なコンテ ンツを即時的に追加 ・補正 してい くことがで きるのである。
⑲ 囲い込み
コンピュータがお礼 の電子 メールを顧客 に送信 してこの ビジネスモデルは
完遂す る。 この 1通の電子 メールこそが次 なる受注 を導 く材料 ともなるので
ある。
以上 ,7
DCの ビジネスモデルについて図を交 えなが ら検討 して きた。
5.ま と め
SEJは7DC の ビジネスモデルにおいて利益 を導 くことがで きるのか,疑
問符 をつけざるを得 ない。SEJは世界最大の CVS として確 固たる地位 を築
き上 げた。 また,CVS業界 では最初 にイ ンターネ ッ ト事業 に乗 り出 した。
しか しなが ら,それは見 かけ上の EC ビジネス参入 であって,実の ところ
SEJは既存 の商慣行 か ら抜 け出せず にい るのではないだろ うか。 これ まで
SEJが成功 して きた裏側 には強力 な情報 システムがあ り,その情報 を逐次分
析す ることによ り顧客の満足 に応 えて きたはずである。だか らこそ競合他社
の CVSを押 し退 けて収益性,規模 も常 に優位 にあった といえる。
ところが ,SEJが最 も得意 としていた顧客情報の収集 を他社 に任せ る事態
となっているのである。当然 なが ら,7
DC の各種顧客情報 は NRIのみなら
ず SEJに も滞 り無 く提供 されてい るであろ う。 とはい え,図 5で も確認 で
きた とお り NRIこそが この ビジネスモデルの中枢 (
プラッ トフォーム) に
あ り無形資産 を刻 々 と増や しているのである。
EC ビジネスのおかれている経営環境 はます ます厳 しさを増 している。I
T
技術が急速 に家庭 ・企業 に夜通 し,それ をビジネスにす るためにはさらに先
248
国際経営論集
No.
2
22
0
01
を行 か な くて はな らない。
SEJに限 らず あ らゆる業種 で 同様 の変化 がみ られてい る もの と思 う。特 に
本 稿 の 目的 と して い た
I
T 戦 略 とそ の背景 につ い て は,超 優 良企 業 で あ る
SEJす らも苦戦 を強 い られてい る姿 を確認 で きた。7
DCが負 け犬 か ら脱 し,
ビ ックベ ッ トを経 てチ ャンピオ ンになる 日が来 るのか,今後 とも観察 ・分析
を進 め研 究 してい きたい。
注
1
) 1973年 当時 は 「株 式 会社 ヨー クセ ブ ン」 と して設 立 され た。 なお ,
「
株 式会社 セ ブ ンイ レブ ン ・ジ ャパ ン」 と名称 変更 したの は1
97
8年 1月
の こ とであ った。
2) 1
9
8
9年 1
2月にセブンイレブン ・ジャパ ンは米国サウスラン ド社か らハ ワイ
事業部 を買収 してお り,1
9
91
年の米国本土の店舗網買収は最終的な段階であ
った。
3) 1
9
8
7
年1
0月より
4) 1
9
8
8年 3月より
5
)1
9
8
9年 6月より
6) 1
9
9
2年1
0月か ら 「
新本部情報 システム」が稼働 してい くためのインフラ整
備であったとされている。
7) オープンシ ョーケース型冷蔵庫の導入は 「ファミリーマー ト」が最初であ
る。「ファミリーマー ト」 では当時の親会社 である西武 グループの 「
西友」
を摸 してコンビニエ ンスス トアをデザインしてお り,店舗内の色彩 (
オレン
ジ基調。現在 は緑基調。),商品陳列 (
オープンシ ョーケース型冷蔵庫), コ
ロッケ等の惣菜販売をするなど,主婦層の開拓に重点を置いていた。
8) 当然なが ら S
EJで も 「デフレ対抗馬」 として25
0円弁当,1
0
0円おにぎり等
の低価格商品を投入 して行 くものの,単純 に客単価の低下 となっている模様。
1
5
0円∼5
0
0円 まで各種),栄養補足錠剤
客単価上昇のため栄養 ドリンク剤 (
(ファンケル)等の充実 をはかっているが,結果 については明 らかになって
いない。
9
) いまさら言及するまで もないが,牛井戦争 (
2
8
0円台),ハ ンバーガー戦争
C
VSの I
T戟略 とその背景
2
4
9
(
65円 ∼1
0
0円台) の影響 も特筆 してお く必要が あ るだろ う。平均単価 を比べ
EJと如何 に乗離 しているか如実 に顕 れてい る。
てみて も S
1
0
) もっ とも信頼 で きる政府 (
総務省)発表 の平成 1
3年度版情報通信 白書 のデ
ー タであ る.第 1章
I 第 1節 (
ht
t
p:
/
/
www.
ho
me
.
s
o
umu.
go
.
j
p/
ha
kus
yo
/
t
s
us
hi
n/
h1
3
/
i
nde
x.
ht
m)
l
l
) なお, この点 に関 して筆者 はデ ファク トス タンダー ドとしての TCP/
I
P論
を別稿 にて既 に論 じてい るので言及 は しない。
1
2) 畑 中邦道著
,F経営 の フロ ンテ ィア」, 日経 BP企 画 ,1999年
pp97を中心
に。
1
3) 今 野克義著
,Fコンピュー タネ ッ トワー ク市場 の市場特性 』,神奈川大学大
学院経営学研 究科 「
研 究年報」 第 4号 ,2
0
0
0年 2月
1
4) (
I
A/I
nt
e
r
ne
tAppl
i
a
nc
e
)イ ンターネ ッ ト器具 と訳 され る。 また,有益
な規格 であ る TCP/
I
Pも I
A の爆発 的普及 に対応 す るため, これ までの制約
数 を大幅 に増 やす 。I
Pv6規格 とい う。本件 については技術 的側面が強いため,
本稿 で は言及 しない こ ととす る。
1
5) ユ ー ビキ タス (
u
bi
q
ui
t
o
us
/
偏在 ・どこにで もあ る) (
参考)野村総合研 究
所著 F
ユ ビキ タス ・ネ ッ トワー クj2
000年 1
2月発刊
なお,ユ ビキ タス とユ
ー ビキ タスのふ たつの表記方法があるが本稿 ではユ ー ビキ タス とした。
1
6) 日経 ビジネス20
01
年 5月 1
4日号
P35
F
甘 い見通 し,伸 び悩 む ECj よ り
抜粋
1
7) ダイヤモ ン ドハ ーバ ー ドビジネス レビュー 2
001
年 8月号
p1
5
5を参考 に
している
1
8) (
出典)三省堂 Fデイ リー新語辞典 j
1
9) さ らに言及す るな らば,既 に吸収合併 ・買収合併 ・任 意撤退, した (して
いる)企業が多 い。 よって競合他社が少 ない (
少 な くなった) といえる。
20) 正式 には 「
AOLタイム ワ-ナ一社」 である
21
)I
nt
e
r
ne
tSe
Ⅳi
c
ePr
o
vi
de
r(日本語 で は単 にプロバ イダ と言 うケースが多
い)
pl
i
c
a
t
i
o
nSe
Ⅳi
c
ePr
o
vi
de
r(ネ ッ ト上 の プログラム をユ ーザ に開放 して
22) Ap
課金す るシステム。J
AVAの技術が支 えている。)
2
3) 本件 に関 しては多 くの議論 が な されてい る。筆者 は 日経 ビジネス2001
年6
月 4日号 の rフ ォー カス ひ とjp1
1
4に掲載 されてい る大 星公二
会長の イ ンタビュー記事 を参考 に した。
25
0
国際経営論集
No
.
2
22
0
01
NTT
ドコモ
2
4
)2
0
0
1年 7月2
9日現在
25) 社名 で は な くブ ラ ン ド名 を使 用 した。 (
正式 には,株式 会社 フ ァース トリ
テイ リングである。)
2
6
) 正式 には TUTAYA オ ンライ ン。
2
7
) 銀行 のキ ャ ッシュカー ドを利用 した 「デ ビ ッ トカー ド」,各種 プ リペ イ ド
式 の カー ド等 その形態 は様 々であ る といえる。
2
8
)h
t
t
p:
/
/
c
a
mp
a
n
y
.
7
d
r
e
a
m.
c
o
m/よ り作成
2
9
)F
I
T市場 ナ ビゲー タ』野村総合研 究所 p
pl
O
OI
l
l
1
3
NECの企業向けイ ンターネ ッ トサ ー ビス) に隣接 して設置 ・運用
30) MESH (
されている。
31
) BI
GLOBEであ る。
3
2) 7
DC はパ ソコン向け コンテ ンツに加 え携帯電話 向け コ ンテ ンツ も開業 当初
か ら行 ってい る。 こ う した複数 コ ンテ ンツを扱 う立場 か ら Wi
nd
o
wsシス テ
ム を導入 した可能性が考 え られ る。
3
3) パス ワー ド認証 セ クシ ョンのみ活用 されてい る。
3
4
) SQL (
St
mc
t
u
r
e
dQu
e
r
yLa
n
g
ua
g
e
)一般 的 にはデー タベ ース, と呼 ばれて
いる。
3
5
) 携帯電話各 キ ャリア (
NTT ドコモ向け iモー ド,KDDI向け EZWe
b,Jフ
SKY)の コンテ ンツを個 別 に作成 してい る。 ただ し, コンテ ンツ
ォン向け J
は NEC が作成 してい るわけで はない。 コ ンテ ンツ専 門の別会社 が作 成 して
いる。
3
6) 7
DC で は顧 客 が 同サ イ ト内 を閲覧す る際 BI
GI
P とい う自動振 り分 け装置
でパ ソコンか携帯電話 か を選択 してい る。 この装置 自体 数千万 円す る代 物 で
あ り,ユ ー ビキ タス化 してい く市場 に即座 に対応 で きない とい う難点 を背負
SPや ASPで も同 じ問題 を抱 えてい る。
ってい る。当然 なが ら他 の I
3
7
) 参考 まで に。一度登録 すれば 2度 目以 降 はユ ーザ I
D とパ ス ワー ドのみで
認証 で きる。
参考文献 ・資料一覧
1
) 畑 中邦道著 ,F経営 の フロ ンテ ィア』, 日経 BP企画 ,1
9
9
9
年
2
) 西垣通著 ,F
I
T革命j,岩波新書 ,2
0
0
1
年
3
)F
I
T市場 ナ ビゲー タ』,野村総合研 究所 ,2
0
0
0
年
CVSの I
T戦略 とその背景
251
4) Fハーバー ドビジネス レビュー』, ダイヤモ ン ド社 ,2
0
01
年 4月号 ,7月
号 ,8月号他
5
) F日経 ビジネス」, 日本経済新聞社 ,2
0
0
1
年 5月1
4日号 ,6月 4日号他
252
国際経営論集
No
.
2
22
(
氾1
Fly UP