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現在修理中の閑谷神社、旧閑谷学校聖廟校門の屋根に 元禄13年(1700
平成28年 文 文化財愛護シンボルマーク 化 4月15日 財 課 担当者 横 山 定 下 垣 豪 長 見 晃 輔 電話番号 086 - 226 - 7601 (内線 4416 4418) 現在修理中の閑谷神社、旧閑谷学校聖廟校門の屋根に 元禄13年(1700年)ごろの備前焼瓦が1割以上残っていました 平成 27 年8月 17 日から修理を始めました閑谷神社及び旧閑谷学校聖廟校門につ いて、屋根に葺かれていた備前焼瓦の一部を調査したところ、元禄13年(1700年) ごろに製作された瓦が少なくとも1割以上残っていたことが分かりました。 また、日本遺産認定一周年を記念して、聖廟校門(重要文化財)の修理現場公開 を下記のとおり実施し、今回確認された元禄の瓦の一部も展示します。聖廟校門は 現在備前焼瓦を葺き直している途中で、修理現場を見学できる最後の機会となりま す。 記 日 時 平成28年4月23日(土曜) 午前の部 公開 10:00、10:30、11:00、11:30 午後の部 公開 13:00、13:30、14:00、14:30、15:00、15:30 計 10 回で、1回につき 15 人程度で 20 分程度の見学・解説となります。 場 所 その他 備前市閑谷 742-2 旧閑谷学校聖廟校門 ・史跡の入場料が必要です。 大人 400 円、小中学生 100 円、65 歳以上 200 円 (30 人以上割引あり) ・受付は旧閑谷学校内で行います。 ・事前申し込みは不要です。 ・参加者多数の場合は、現場の安全確保のため、御案内までしばらくお 待ちいただく場合があります。 ・荒天の場合は中止します。 ・現場等の写真撮影は可能です。 ・当日問い合わせ先 (公財)特別史跡旧閑谷学校顕彰保存会 電話 0869-67-1427 1 閑谷神社及び旧閑谷学校聖廟校門 1 今回確認された陶印の種類 (1)陰刻 屋根瓦調査の概要 (23種類の押印) 「キ長」「キ孫」「キ平」「キ与」「キ四」「キ五」「キ七」 「ミ長」「ミ孫」「ミ平」「ミ与」「ミ四」「ミ五」「ミ七」 「吉」「○」「○」「 (2)陽刻 2 」「六九」 「キ」「キ長」「ミ長」「十」 今回確認された元禄期のヘラ書がある瓦 (1) 閑谷神社 ○拝殿 丸瓦 「元禄十三 庚辰年 八月日」 1枚 ※昭和 36 年~ 37 年の閑谷神社修理事業でも確認済み (2) 旧閑谷学校聖廟校門 ア) 平瓦 「試砂作」 5枚 イ) 平瓦 「試作砂入 サヽ原」 ウ) 平瓦 「百九十□□□ 1枚 試砂作」 1枚 ※校門の過去の保存修理事業では、瓦の調査を実施しておらず、初め ての確認となる。 ・ア)は、講堂、閑谷神社及び聖廟の瓦で過去の修理事業でも確認 ・イ)は、類似のヘラ書が講堂の瓦で確認 ・ウ)は、同種と推定されるヘラ書が、閑谷神社及び聖廟の瓦でも確 認 上記はいずれも、陶印が存在する。 昭和 34 年度~ 35 年度の講堂の修理で発見された瓦 2 ◎「試砂作」のヘラ書がある瓦に「元禄十三」の年代があることから、 今回確認された瓦も含め「試砂作」の瓦は元禄 13 年ごろに製作された 瓦と推定される。 ◎同じように「試砂作」のヘラ書がある瓦には「キ平」「ミ平」などの陶 印が見られることなどから、陶印のある瓦は、元禄 13 年ごろに製作さ れたと推定される。 ◎元禄 13 年(1700 年)の瓦は、同 14 年に完成した講堂(現存、国宝) の屋根瓦として製作されたものである。 〈今回確認された元禄13年頃製作の瓦〉 (1)閑谷神社 ① 拝殿 ※屋根の一部について修理実施。 屋根から下ろしたすべての丸瓦・平瓦を調査 丸瓦 227枚 内 陶印あり 94枚 「元禄十三」のヘラ書あり 平瓦 ② 408枚 内 ●拝殿での残存率 丸瓦 陶印あり 41.9% 1枚 58枚 平瓦 14.2% 【全体 24.1%】 幣殿 ※屋根全面の修理を実施 幣殿東面の屋根から下ろした丸瓦・平瓦を調査(それぞれ全体の 50 %) 丸瓦 126枚 内 陶印あり 0枚 平瓦 330枚 内 陶印あり 25枚 ◎幣殿東面での残存率 丸瓦 0% 平瓦 7.6% 【全体 5.5%】 ●閑谷神社での残存率 丸瓦26.9%(95/353) 平瓦11.2%(83/738) 【全体 16.3%】 (2)旧閑谷学校聖廟校門 ※屋根全面の修理を実施 屋根から下ろした丸瓦の全部、平瓦(3,069 枚)のうち 70.8 %を調査 丸瓦1533枚 内 陶印あり 3 19枚 平瓦2174枚 内 ●校門調査分の残存率 陶印あり 丸瓦 380枚(内7枚に箆書あり) 1.2% 平瓦 17.5% 【全体 10.8%】 ※このほか、閑谷神社拝殿床下に敷かれていた平瓦と同じ瓦(1686年頃製 作)が2枚確認された。 ◎今回調査範囲での残存率 丸瓦 6.0% (114枚/1,886枚) 合計 12.0%(577枚/4,798枚) 平瓦 15.9% (463枚/2,912枚) 〈今回の調査で判明した事項〉 ◎元禄13年(1700年)ごろに製作されたと考えられる瓦(平瓦・丸瓦)は、 閑谷神社、旧閑谷学校聖廟校門で少なくとも1割以上残存している。 ◎池田光政を祀る閑谷神社は、貞享3年(1686年)の建築時から備前焼の瓦 を葺いていたが、その後に元禄13年ごろに製作した瓦を葺き直している。 ◎この元禄期の瓦は、300年以上経た現在でも状態は良く、備前焼の堅牢さ をよく示している。しかし、修理時の瓦の上げ下ろし、葺き直しの際の調 整などによって破損し、瓦の交換が必要になることが多かったと考えられ る。 ◎多くの陶印が確認されており、元禄期の閑谷学校整備には、多くの備前焼 陶工たちが瓦製作に携わったと思われる。 【用語解説】 しるし 陶印:陶磁器に付けられた製作者の 印 。備前焼で は室町後半からサインが入り始め、江戸時 代に入ると押印が出てくるようになる。 平瓦:長方形で、横断面は弧状をなす瓦。縦に重 ね合わせて葺き、横に並べてその合せ目の 上に丸瓦をかぶせて葺く。 丸瓦:半円筒形の瓦。 4 閑谷神社 拝殿 旧閑谷学校聖廟 (修理前) 校門 5 (修理前) 元禄十三年の年号がある丸瓦 「試砂作」のヘラ書がある平瓦 陶印の一例 平瓦のヘラ書部分 6