Comments
Description
Transcript
生産者の詳細情報
2016 年 10 月吉日 ~突撃★ドメーヌ最新情報!!~ ◆VCN°4 ドメーヌ・ド・ヴェイユー 生産地方:ロワール 新着ワイン 2 種類♪ AC シュヴェルニー ドメーヌ・ド・ヴェイユー 2015(白) 2015 年は例年通りの収量を確保できているので、100%ドメーヌのブドウでワインを仕込んでいる!日照 りでブドウの粒が小さく、アルコール度数も高めだが、出来上がったワインは、酸とミネラルを柱に清涼感に 溢れ、とてもバランスが良い!またしっかりと旨味も凝縮しているので、コクのある料理でも合わせられる! AC クレマン・ド・ロワール 2014(白泡) 2014 年は花ぶるいに遭い、3 年連続となる低収量となってしまった。そのため入荷量が少なくスポットで の販売となってしまう・・。味わいは 2013 年同様にドザージュの量を 2.5g/L 例年の半分以下に減らして、ア ルノー好みのエクストラ・ブリュットに仕上げている!彼曰く、ドザージュの量を減らすことにより、ムニュ ピノの個性がより際立ってくるとのこと!前年同様に、キレのある酸と、滋味なミネラルの旨味は健在で、心 地よい苦みとムースの刺激が食欲をそそる!ちなみに、アルノーの勧める料理との相性は、味わいのコンプレ ックスを求めるなら貝料理、クレマンのほろ苦さをマスクするなら野菜のスープやデザートのタルトが良いと のこと! ミレジム情報 当主ミッシェル&アルノー・ケニオのコメント 2014 年は、2013 年同様に花流れに泣かされた年だった。4 月下旬まで気温がまるで初夏のように暑くス タートはとても順調だったのだが、5 月に入り一転日中でも肌寒く雨の多い日が続き、ブドウの成長に大きく ブレーキがかかってしまった。気温が急激に下がったショックなのか、ブドウの果穂が開花まで持ちこたえら れず多くがそのまま蔓に変わってしまった…。加えて、6 月も湿度が高く気温が上がらなかったため、開花の 時期が揃わず、まばらで結実不良のブドウが多く目立った。その後も、8 月まで不安定な天候が続き、まわり の畑ではミルデューが猛威を振るっていたが、幸い我々のドメーヌはミクロクリマにより雨が少なかったこと と、ボルドー液散布による病気予防がうまく功を奏したおかげで被害は最小限に食い止めることができた。8 月の終わりから一転天候が急回復し、ブドウも遅れを取り戻すかのように一斉に成熟し始めたが、最後の最後 で一部ピノとコー、カベルネフランがショウジョウバエの「スズキ」の被害にあった…。 2015 年は、日照りの年だったが、結果的には 2010 年のようなバランスの良いワインが出来上がった!春 のスタートは雨も比較的多く涼しい気候で、発芽もやや遅れていたが、5 月に入り雨の降らない乾燥した天気 が 8 月いっぱいまで続いた。雨が降らなかったおかげで開花もうまく行き、ブドウの病気はほとんど蔓延す ることがなかったが、夏の日照りの影響でブドウの成長にブレーキがかかってしまった…。ブドウの房の数は 多かったが、結局水不足のため実が大きくならず、粒の小さいまま収穫を迎えた。収穫をして驚いたのだが、 豊作と思っていざブドウをプレスすると、ジュースが思っていた以上に少なく、最終的にソーヴィニョンは例 年並みの 40 hL/ha で終わった。 「ヨシ」のつ・ぶ・や・き 2012 年から 3 年連続不作に見舞われたヴェイユーだが、2016 年はさらに厳しい年となりそうだ…。未だ かつてない遅霜の被害…。4 月 27 日と 29 日の 2 日間、朝方の気温がマイナス 5 度を切り、ブドウの新芽の 約 80%が凍傷で黒く枯れてしまった。ミッシェル曰く、4 月 27 日に霜が降りた時は、まだ耐えられる程度 の被害に収まっていたが、29 日の 2 回目の霜で完全に希望を絶たれてしまったようだ。今年の霜の大きな特 徴は、普段は霜に当たらない上方にある風通しの良い畑が 100%霜にやられ、わずか 2 km ほどしか離れて いない下方にある畑が全く無傷だったことで、通常は、風通しの悪い下の畑の方が朝露がたまりやすく霜にか かりやすいのだが、今年は全く逆の現象が起こった。30 年以上畑に従事するミッシェルでさえ初めての経験 で、なぜ高い位置にある畑だけが霜の被害に遭ったのか全く理由が分からないのだそうだ。 今年は、ブドウだけではなく、野菜も果物も甚大な被害に見舞われているシュヴェルニー。ミッシェルが言 うに、2016 年は 4 年に一度のうるう年に加えて、新月が 1 年で 13 回あるイレギュラーな年で、新月が 13 回通る年は農作物が不作の年と昔から言われているようだ。 現在のところ、畑はミルデューの猛威にさらされているが、畑が低い位置にあるピノノワールとムニュピノ は辛うじて霜の被害を逃れ多少なりとも収量を確保できそうだが、一方、ソーヴィニョンはほとんどの区画が 霜に当たり絶望的な状態だ…。アルノーは現在、ミルデュー対策のためバカンス返上でほぼ毎週畑の散布に出 ているが、ソーヴィニョンの畑については、今年の収穫のための予防散布ではなく、来年のブドウの枝を残す ために散布を行っているという何とも悲しすぎる状況だ…。 どうにか近年続く困難を乗り越え、再び通常の軌道に乗ってほしいと願っている! (2015.8.3.のドメーヌ突撃訪問より) ビオディナミをはじめて 20 年!シュヴェルニーを代表するビオ生産者 ドメーヌ・ド・ヴェイユー (ミッシェル&アルノー・ケニオ) 生産地 ブロワ市を南に 20 km ほど南下したACシュヴェルニー地域内に小さな城下町フジェール・シュール・ビエーヴ ルがある。その町を 1 km ほど離れた場所にドメーヌ・ド・ヴェイユーがある。25 ha の畑の周囲が防風林で囲ま れ、ビオディナミ農法を行うには格好の条件を備えている。シュヴェルニーの地域は勾配なだらかな土地が続き、 ワインは一般にキリッと酸が立ってエレガントな白ワインに定評がある。近年は名うての自然派ワイン生産者を多 く輩出していることでも注目されている。 歴史 1985 年に 6 代目としてワイナリーを引き継いだミッシェル・ケニオは、1995 年からビオ農法を実践し、1998 年 にエコセールの認定を受けて現在に至る。正式な認定は受けていないが 95 年同時期にビオディナミも取り入れて いる。 そんな彼も以前、父親の下で働いていた時はビオには反対だったそうだ。理由は、その当時彼が試飲したビオワイ ンのほとんどが美味しいと思えないような代物ばかりであったからだという。しかしながら、彼の義父、従兄弟が 農薬が原因と見られるガンにより立て続けに亡くなり、彼自身も身体を壊したことから考えが一変、また、たまた まパリの試飲会で、初めて美味しいビオワインと出会えたことも、ビオに踏み切るきっかけとなった。以降、彼は 食べ物は全てビオのものしか口にしないという。 生産者 現在、ミッシェル・ケニオと 2 人のスタッフ、季節労働者 3 人を含め計 6 人で 25 ha の畑を管理している。彼に は「健康的なブドウを使って、味わい豊かでコストパフォーマンスの高いワインを作る」という理念があり、美味 しくて品質の高いワインを如何にコストを下げて実現させるかという課題に日々取り組んでいる。トラクターや機 械を積極的に導入するのも、彼一流の計算があってのこと。 「収穫は主にマシーンを使うが、収穫したブドウに葉や 茎がなるべく入らないように、ブドウのまわりを手で全て除葉し、バトン(マシーンがブドウを叩き落とす棒)を ゆるめに調節して一気に刈り取る。カーヴを取り囲むようにブドウ畑があり、すぐにブドウを取り込むことができ るのも我々のドメーヌのメリットだ。 」 彼は最近のビオワインの価格高騰に危うさを感じている。ビオは人件費がかかるという口実の下に価格を上げるこ とに憤りを覚えているのだ。 「ビオディナミというだけで最近はワイン価格が上がるので、ビオディナミの意味を考 えずパフォーマンスやマーケティングだけで安易に取り入れるワイナリーも少なくない。 」機械導入の裏には、敢え てビオディナミ=高価という図式を崩し、適正な価格に戻す目論見もあるようだ。 ドメーヌ・ド・ヴェイユーの+α情報 <もっと知りたい畑のこと> 土壌:アルジロ・サブルー、アルジロ・リモヌー 総面積:25 ha 品種:ソーヴィニヨン、ムニュピノ、シュナンブラン、シャルドネ、ピノノワール、カベルネフラン、コー、ガメ イ 樹齢:5~35 年(上級クラスは 30~50 年) 剪定方法:ギヨーサンプル 生産量:35~45 hL/ha 収穫方法:機械収穫 80%、10 人前後の収穫者による 20%手摘み。選果は畑で房分け。 <もっと知りたい醸造のこと> 醸造方法:赤、白ともにトラディショナル 赤は摘んだブドウをカーヴで選果、除梗破砕機にかけそのままセメントタンクへ。ピジャージュは最初の 1 回 のみでルモンタージュは行わない。マセラシオンの期間は 3 週間~6 週間。発酵が終り次第、プレスして再び セメントタンクで 10 ヶ月熟成。(アルジロ赤は古樽で 11 ヶ月) 白は摘んだブドウをカーヴで選果、バスランで 3~5 時間プレス。そのジュースをセメントタンクで自然発酵。 マロラクティック発酵を経ず発酵後シュール・リーの状態で 3 ヶ月の熟成。 クレマンは摘んだブドウをカーヴで選果、バスランで 3~5 時間プレス。そのジュースをセメントタンクで自 然発酵。発酵後シュール・リーの状態で 3 ヶ月の熟成。マロラクティック発酵を経過しないワインにショ糖を 施し、3 年のビン熟成を経て出荷。 酵母:自然酵母 浸漬・発酵期間:セメントタンクで約3週間(アルジロ白は新樽・古樽で 4 ヶ月) SO2 添加:収穫時、澱引き時、瓶詰め時 熟成樽:キュヴェ・アルジロは新樽・古樽で 10~12 ヶ月 フィルター:ベントナイト、浸透膜 ちょっと一言、独り言 ミッシェル・ケニオには、個人的にサロン等で何度かお互いにすれ違っていてはいたが、今回のように長時間面 と面を向かって話をしたことは一度もなかった。初めて話す彼の第一印象は、心やさしい素直なおじさんという印 象だった。 陽もすっかり沈んで暗くなりかけた頃にドメーヌを訪問したにもかかわらず、彼は懐中電灯片手に暗くなるまで 畑での作業を熱心に語る・・・本当に畑仕事が好きなんだという印象を持った。 1995 年からビオディナミを実践。最近は牛糞を角の中で熟成させた 500 番調剤やシリウスを砕いた 501 番調剤 以外に、ハーブを漉したオリジナルの配合のティザンヌや、海藻を粉末状にしたものなど、畑に最大限合ったもの を引き出そうと独自のアレンジを試みる。 「ビオディナミに転換して以降、ミルデュー、エスカ等の病気が少なくなった。」 彼がビオに転換してきっかけ は、義父、従兄弟の農薬が原因のガン死だったが、それ以上に農薬を散布していた以前よりもブドウの病気が少な くなってきたことに彼は大きく注目している。以降、シュタイナーの書籍等を読み、自然との調和の可能性を考え るようになったという。また、自らの体調を崩した経験も相まって、ますますビオ生産物の重要性を認識するよう にもなった。ただ彼の最初の試みはマニュアルの徹底ゆえ、手作業は必然的にコストを産み、結果的に彼の理想と する価格とはかけ離れた高価なワインに仕上がってしまったという。 手がかかる分価格が高騰するという当たり前の風潮に疑問を感じたミッシェルは、機械化という合理的な手段で ビオの品質と低価格化を追求できないかと、新しい手段を模索するようになる。 そして、その可能性は現在の彼のワインで実証される。 一言で機械化といっても、彼の栽培方法は決して楽をしたり、手を抜いている訳ではない。ビオディナミの調剤 散布に使う機械は全て、特別な手を加えて、人的に施すよりもより効率的に散布できるよう工夫されている。収穫 も機械が無駄なくスムーズに刈り取れるよう、前もって人の手で除葉を行っている。下手をしたら、マニュアルの ビオディナミ実践者よりも手をかけているかもしれない・・・ 「自分はビオであろうがビオで無かろうが、仕事に手を抜けないタイプだから・・・」と自嘲気味に言う彼に、 愛おしさすら感じる。 ビオディナミにあぐらをかいているドメーヌよりも、彼はもしかしたら難しいことを試みているのかもしれない。 価格が高騰しがちなビオディナミワインのこれからを占うワインとして、彼のワインはぜひ味わってみたい。