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洛北SSHだより

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洛北SSHだより
洛北SSHだより
Super Science High School
2009年1月26日発行 第13号
サイエンスⅠ後期事前特別講義
高校1年 1月29日(木)
2月5日(木)実施
特別講義「無機機能性材料:宝石∼エレクトロニクス部品∼夢の材料へ」報告
京都大学化学研究所 教授 島川 祐一 先生
今回の講義は「宝石」、演題を目にして、無機機能素材とは何か?それは宝石とどのよ
うな関係があるのか?疑問は深まるばかりです。
先生のお話は研究室の紹介に始まり、大学の生活には研究以外にもいろんな楽しさが
あり、その中で自分の個性や可能性を見出すことができる場であることをお話になり、和
やかな雰囲気の中で進められていきました。
さて、講義の内容に話を戻しますが、例えば7月の誕生石であるルビーと9月の誕生石
であるサファイアは、色も違うし別の種類の宝石です。しかし、無機機能性材料の視点
から見ると、どちらの宝石もコランダム(Al 2 O 3 )という無色透明の遷移金属酸化物であ
り、同じ結晶構造をもつ物質です。外見の色や形の違いからだけでは判断できないので
す。では、なぜ色の違いが出るのでしょう?サファイアの青はFe(鉄)イオンが関係して
おり、ルビーの赤はCr(クロム)イオンが関係しているのです。ちなみに、ルビーは宝
石としてだけでなく、工業用のレーザーを照射する部分の素材として人工的にも作られて
います。
つまり、そのような遷移金属酸化物の構成元素や結晶
構造を明らかにすることは、新しい機能をもった素材
を見つけ出す可能性を秘めており、それこそが無機機
能性材料の研究であるというわけです。またその他に
も携帯電話を始めとする電子部品やバッテリー材料、
メモリ、ディスプレイなどの新素材の研究は、急速に
発展するIT社会を支える基盤となっており、世の中に
大きく貢献しているとともに、今後さらに便利にする
無限の可能性を秘めていると実感できました。
サイエンスⅡの実習では、超伝導の素材を自ら作る
実験もできるということで、今から楽しみにしている
生徒も多いと思います。
特別講義「鉄より強い高分子」報告
今回のサイエンスⅠ特別講義は、「鉄より強い高分子」という題目で、京都大学化学
研究所教授の金谷利治先生に御講演いただきました。
「材料」と呼ばれるものは大きく分けて3つあります。それは、セラミック材料、金属
材料、高分子材料です。セラミック材料、金属材料は紀元前から使われていましたが、
高分子材料は1926年、シュタウシンガーによって発見されたもので、その歴史はまだ新
しいのです。
さて、この高分子は多様な用途、可能性を持っています。高分子といえば、成形しや
すく軽いが熱に弱く、強度がないものと考えている人が多いですが、分子の並び方や順
番をうまくコントロールしてやると何と鉄より強い高分子ができるのです。先生に世界一強
い繊維『スーパーザイロン」を生徒達は少しずついただき生徒達はじっくりと観察してい
ました。この「スーパーザイロン」は防弾チョッキにも使われています。また、宇宙開発
においても、軽量で強度、耐熱性があることからマーズ計画のパラシュートにも使われて
いるそうです。
今回の講義の質問として、「高分子化合物の端はどうなっているのか?』というものが
ありましたが、なかなかいい質問であると金谷先生もおっしゃっておられました。
京都大学化学研究所 教授 金谷 利治 先生
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