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Title キナアルカロイドのインドールアルカロイドの変換に関 する研究補遺
Title Author(s) Citation Issue Date URL キナアルカロイドのインドールアルカロイドの変換に関 する研究補遺( Abstract_要旨 ) 松村, 宏 Kyoto University (京都大学) 1969-01-23 http://hdl.handle.net/2433/213061 Right Type Textversion Thesis or Dissertation none Kyoto University 【1 6 9】 氏) 松 まつ 村 宏 むら- ひ ろむ 学 位 の 種 類 薬 学 位 記 番 号 諭 薬 博 第 69 号 学位授与の 日付 昭 和 44 年 1 月 23 日 学位授与の要件 学 位 規 則 第 5 条 第 2項 該 当 学位 論文 題 目 キナア ルカ ロイ ドのイ ン ドールアル カ ロイ ドの変換 に 学 博 士 関す る研究補遺 (主 論文 調 査 委員 査) 教 授 犬 伏 康 夫 論 文 内 教 授 上尾 庄 次 郎 容 の 要 教 授 井 上 博 之 旨 M pi do s Pe r ma, Hunt e r i a, yt r a gyna, Oc hr o s i a, 及び Vi nc a 属植 近年キ ョウチク トウ科 に属す る As 物 よ りc o r yna t he i neおよび c o r ynant hei ndi neで代表 され る c o r yna nt he i ne型 アルカロイ ドが数多 く単 nke r tの生合成仮説を適用 して推定 されて 離 され, その構造 が解 明された。 しか しその絶対配位 は, We お り確定的でない ものが多い。 著者 は, 落合教授等のキナアルカロイ ドのイ ン ドールアルカロイ ドへの変換法 に従 って,1 0 位 に置換基 or ynant he i ne型 アルカロイ ドを合成す ると共 に, 同教授等 の変換法において残 された 2,3の を有す る c 問題点を解決すべ く本研究を行 な った。 〔1〕 1 0位 に置換基を有す る c o r ynant he i ne型 アルカロイ ドの絶対配位 落合教授 の方法に基づいて, 絶対配位既知の qui ni ne( 1 ) よ り絶対配位( 2) , ( 3 ) 及び(4)式で示 され るイ ン ドールアル カロイ ドを合成 し,各化合物が天然の 1 0 -me t ho xydi hydr o c o r ynant he o l ,oc hr os a ndwi ne , hydr o hunt e r bur ni neα一me t ho c hl o r i de に一致す る事を証 明 した. および di 0 -me t ho xydi hydr o c o r ynant he ol( 2) , o c hr o s andwi ne ( 軌 この結果 よ り, 1 hunt e r bur ni ne α- および( 5 ) の第 4級窒素 に関す る di as t e r e oi s o me r , β-me t ho c hl or i de( 6 ) の絶対配位 me t ho c hl o r i de( 5 ) が明 らかにな った。 OH ( 1 ) (2) -4 0 1- CI もOH (3) ( 4 ) RニーCH2-CH3 , +N-CH3 α (5) RニーCH -CH2, +N-CH3 α (6) Rニ ー CH -CH2 , +N-CH3 β 〔2〕 no r mal 一及び al l o-he xahydr oqui ni ne( 9 a, b) の 4 ′位の配位 qt l i ni ne誘導体 ( 7, 8)の qui no l i ne部の還元で新生す る不斉 中心4′位 に関す る二つの異性体は, 港 r mal( 9 a, 1 0 a)及び al l o( 9 b, l o b)と仮称 され, その配位 は, 不明であった。 著 合教授等 によ り no 者 は本配位を明 らか にすべ く ( 1 0 a, b)を qui no l i z i di ne体 ( l l a, ち)および ( 1 2a, b)に誘導 し, その NMR および I R スペ ク トルの結果 に基づいて no r mal系 ( l l a,1 2 a)および al l o系 (l l b, 1 2 b)の 2位 - および α一 一配位である事を明 らかに した。同時にこれ と同 じ配位を有す る no r mal の水素が,おのおの β 系9 a,1 0 a, および al l o系 9 b,1 0 b の4 ′ 位 の水素がおのおの α-および β 一配仲である事 も決定 された。 ( 7 ) Ⅹ-H (8) Ⅹ-OH (9a) (9b ) ( 1 0 a) ( l o b ) 氏- 托 C: -Hα ZC: -H β 氏- It R-0 C; 」H α 氏-0 C: -H β CftOH R--CO Q , -COCH3 ( 11 & ) C 2- H β ( ll b ) C 2- H α H OH RニーCO ¢ ( l e a) C2-H P ( 1 2 b) C2-H α 〔3〕 Ci nc bo na mi ne咽 の 8位 の配位 -4 0 2- 落合教授 等 は, キナアル カロイ ドのイ ン ドールアル カ ロイ ド- の変換 の一つ と して, di hydr o c i nc ho・ nami ne( 1 4 を合成 し, 8位 を除いてその絶対配位を明 らか に した。 著者 は, 落合教授 の方法 に 基 づ い て, 2 ′ -oXo-he xahydr oqui ni no ne(15)よ り 5・ ' -me t ho xydi hydr o c i nc ho na mi ne(16) 及びその e pi体 (17) を合成 し, 両者を絶対配位既知の(2 )および(18)と関連づ け る事 によ り, おのおのの 8 位 の配位を明 らか に hydr o c i nc ho nami ne( 1 4)を(16)及 び(17)と C. D 及び NMR について比較検討 し, その 8位 の水 した。 更 に di 素が( 1 6 ) と同 じく α 配位 で ある事を証 明 した。 αβ H H 一 3 一 3 c c 冊 . ]仙 H 一 8 α α α β_ C ウ 山3 3 3 cH cH 叩 C 二 一 り リ一 2 一 2 D iN cH cH cH c 一 一 一 一 3 3 cH cH R H H O 0 功 叩勾 り 目 H H Uゆ 日 日切 日 日 〔4〕 イ ン ドール核 の 0-CH3 基 の脱離反応 本研究 において合成 した 1 0位 に 0-CH3 基を有す るイ ン ドールアル カロイ ドの 0-CH3 を脱離す る t he rの開裂 には BBr 3 が又, フェノール性 のO H基 の脱離 には Mus l i ne r 方法を種 々検討 し 0-CH3 e の t e t r a z ol yl e t he r 体 の還元 的脱離法が好結果を与 え る事を認 めた。 この方法で (2), (18) および(19)よ り di hydr o c or yna nt he ol( 2 0 ) , 3-e pi -di hydr o c o r ynant he ol( 2 1 ) , 及 び di hydr o ant i r hi ne( 2 2) を得 た。 α( β I H H 一 一 R-OCH3 氏-H 3 3 c c ( 2 1 ) 功叫 H L ( 1 9 ) ゆ ^J OH 論 文 審 査 の 結 果 の 要 旨 本論文はキナアルカロイ ドよ り化学的変換 によ る1 0 位 に置換基を有す るコ リナ ンテ ィン型 アル カロイ ド の合成 とこれ に関連す る立体化学 に関す る研究 である。 キナアルカ ロ ドよ りイ ン ドールアル カロイ ドへ の変換 は落合東大名誉教授 によ り開発 され た反応で ある -4 0 3- が, この変換法 においてなお 2,3の問題 が未解 決 に残 されて いた。 著者 は これ らの問題 につ いて研究 し, 1 0位 に置換基を有 す るコ リナ ンテ ィン型 アル カ ロイ ドの第 4級窒素 に関す るジアステ レオマのそれぞれ の 絶体配置を確立 した。 また この型 の変換 において, キニ ンのキノ リン部 の還元で新生 す る不斉 中心 に関す る異性体 をキ ノ リチ ジ ン体 に誘 導 L NMR お よび I R スペ ク トル の解析 によ りその絶対配置を 明 らか に した。 また ジヒ トロシ ンコナ ミンの 8位 の絶対 配置を CD 及 び NMR スペ ク トル の検討か ら確立 した。 さ らにイ ン ドール核上 のメ トオキ シル基 の還元 的脱離反応 につ いて好結果で脱離す る方法を見 出 し, この 方法 で数種 の コ リナ ンテ ィン型 アル カロイ ドを相互 に関連づ けた。 以上著者 はキナアル カロイ ドか らイ ン ドール アル カロイ ドへ の変換 につ いて これ まで未解決の諸 問題 を 解 明 し, これ まで報告 され た結果 とあわせて, この変換法 に関す る立体化学を完全 に解決 した も の で あ り, イ ン ドール アル カロイ ドの化学 の進歩 に寄 与す ることが少 な くない。 よ って本論文 は薬学博士 の学位論文 と して価 値 あるもの と認定す る0 -4 0 4-