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第4回:シビアな仕事現場での人物撮影 病院という現場、テーマを考える

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第4回:シビアな仕事現場での人物撮影 病院という現場、テーマを考える
写真撮影実践講座(全6回)
第4回:シビアな仕事現場での人物撮影
執筆:鍋坂 樹伸(コマーシャルフォト サン・スタジオ)
「写真撮影実践」では、実際の商品を撮影し、ライティングやレイアウト、周辺のコーディネートに関するポイントを解説し
ます。第4回は、日本赤十字社 高松赤十字病院の撮影です。
これまでとは異なり、病院の広報誌で使用する写真を撮影しました。ウェブでも特設サイトやキャンペーンサイトで雑誌
風のレイアウトをよく見かけるため、今回解説する撮影ポイントが参考になるでしょう。
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掲載媒体:広報誌(印刷物)
読者対象:患者とその家族、院内医師、看護師、その他スタッフ、院外医師や医療関係者
撮影場所:高松赤十字病院内
仕様:A4サイズ、12ページ、写真は表紙と特集ページ(4ページ)に使用
病院という現場、テーマを考える
みなさんは病院という場所にどのような印象を持っているでしょうか。「命を預かるシビアな場所」「命が生まれる幸福感
に満ちあふれる場所」「緊張や戦い」「癒しや安心」と、イメージはさまざまでしょう。
来たる2014年5月に高松赤十字病院の新病棟がオープンし、「医療機器の充実」や「各施設の拡大」が見込まれます。
ハード面の充実は関係者や利用者にインパクトを与えますが、それらをうまく機能させるべく、ソフト面である医師の充実
にも力を入れています。このような取り組みの一貫として、広報誌の制作は進みました。
今回の写真は、広報誌の表紙と特集ページに使われます。病院にはそれぞれ個性があり、なにを強調して伝えたいかは
さまざまなので、撮影前にきちんと意図を確認することが大切です。
高松赤十字病院の広報誌の制作目的は次のとおりです。
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最新医療技術や機器の紹介
医師やスタッフの紹介
広報誌のメイントピックとなる特集ページでは、病院の利用者である患者とその家族が「医師とスタッフに安心して自分
の身をゆだねられる」と感じてもらえることをテーマに撮影しました。
メッセージを込めたカメラ目線
広報誌は掲載面積が限られていること、ロゴ、見出し、テキストや全体のレイアウトを考慮することなど、通常のウェブサ
イトとは異なる気づかいが必要になります。
表紙では医師とスタッフの集合写真を、特集ページでは見開きごとにキービジュアルの人物撮影を1カット、サブカットと
して機器を1カット、一部にチームスタッフの集合写真を掲載することになりました。
集合写真では、「医療チームが一致団結して患者をサポートします」というメッセージを「笑顔」に込めてもらいました。単
独写真では、命を預かる現場という崇高な雰囲気、真剣なまなざしでありながら、表情が固くなりすぎないよう注意し、
利用者に身近に感じてもらえることを心がけました。さらに、臨場感が伝わる背景を選ぶことで、それぞれの現場の代表
者から、というメッセージを含めました(写真撮影入門 第8回:「いい顔でお客さまを迎えよう」参照)。
撮影画像
実際の表紙
撮影画像
実際の見開き
撮影画像
実際の見開き
撮影画像
実際の見開き
仕上がりとして、表紙の集合写真、特集ページの単独写真ともに、写真のなかにテキストやイラストが入りました。すでに
述べたとおり、撮影前におおよそどの位置にどのくらいのスペースが必要かを確認し、撮影することが大切です。撮影時
にその場でモニターチェックをはさんだり、ディレクターの役目をする人の冷静な判断によって、ミスを減らすことができ
ます。
集合写真は現場判断によって人数が増減する場合があります。事前の下見(ロケーションハンティング)の際、被写体の
人数が変わってもかまわないか、使用予定のカメラやレンズでうまく画角に収まるかを確認しておくとよいでしょう(写真
撮影入門 第12回:「二人三脚で早い・簡単・美しい」参照)。
まとめ
今回紹介した広報誌では、キービジュアルに人を使うことで、高松赤十字病院の「ハードとソフトの両方の充実」を表現
することを目指しました。
病院内の撮影では、次のようなシーンを写真におさめるのもよいでしょう。
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診察室や手術室の広角写真
実際の診察風景など、日常のワンシーン
使用する道具の撮影(ブツ撮り)
病院に限らず、「その媒体でアピールしたいことはなにか」「利用者がどのような情報やメッセージを求めているか」の両
方からアプローチすると、よいアイデアが生まれます。特に、今回説明したような「人物撮影」によって人の魅力を伝える
ことが、両方を満たすのに不可欠といってよいでしょう。
次回のコラムを見る »
鍋坂 樹伸(なべさか・しげのぶ)
コマーシャルフォト サン・スタジオ 所属
1975年、兵庫県姫路市生まれ。中央学院大学商学部商学科卒業。香川県高松市在住。東京都内の印刷会社
営業職を経て、2003年に実家が運営する「コマーシャルフォト
サン・スタジオ」入社。広告写真家として活動し、食品・洋服・人物・風景など、さまざまなジャンルの撮影に対応。
2012年より専門学校
穴吹デザインカレッジにて非常勤講師をつとめるかたわら、企業や団体が主催するセミナーでも講師をつとめ
る。
CSS Nite in TAKAMATSU オフィシャルフォトグラファー。
著書『Web制作と運営のための写真撮影&ディレクション教本~段取りから準備、撮影テクニック、実践ポイン
トまで~』(マイナビ)。
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