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概要資料(1ページ)
合成開口撮影法によるデフォーカスコントロール 学籍番号:90126060 1 佐藤(宏)研究室 はじめに 写真を撮影するにあたって,画面内の特定の被写体を 意図的にぼかす表現法がある.現在,デフォーカスコン トロールに関するカメラ製品や研究は多く存在するが, どれも特別な機材や撮影法を必要とする.しかし,普及 率の高い小型のデジタルカメラでは,十分なぼけを得る ことができず,主要被写体を引き立たせるような作画が できない.そこで本研究では,小型デジタルカメラのみ を使用し,簡単な方法で撮影した複数視点からの画像群 をもとに,ユーザの意図した「ぼけ」を含んだ写真を, 撮影後,合成開口撮影法により作り出す手法を提案する. これによって,より多くの人が手軽にデフォーカスコン トロールを楽しめるシステムの実現を目的とする. 従来の合成開口撮影法に関する研究では,ぼけの美し さの追求や評価が十分になされていない.そこで本研究 では,ぼけの生成段階で様々な「ぼけ味」を作り出すこ とも目的とする.奥行き情報や撮影点の位置関係を利用 することによって,ぼけの大きさや形状,重み付けの変 化を行いぼけ像に変化をつける.システムのイメージを 図 1 に示す. 楠本夏未 2.2 撮影点の推定と中間画像での補間による高画質化 ホモグラフィ変形したそれぞれの画像を重ね合わせる と,ぼけ部分が滑らかなグラデーションにならず階段状 の輝度変化になり,不自然になることが多い.これは, 各撮影画像の撮影点の位置が離れていたり不規則になる ことが原因である.そこで各撮影画像の撮影位置推定を 行い,撮影点が密で規則的になるように,不足する撮影 位置の画像を撮影画像間の中間画像を作成することで生 成する.これらの画像の重ね合わせによってぼけ画像を 作成し,ぼけ部分を滑らかなグラデーションに近づける. 2.3 撮影点の指定によるぼけ像の制御 補間画像の撮影点の範囲や,合成時の各画像の重み付 けを調節することで,開口の形状変化や重み付けを行い, ぼけ像を自由に制御する. 図2 任意焦点面に対するぼけ画像作成システムの流れ 実験 構築したシステムによって,様々なぼけ画像を生成し た.図 3 にぼけ画像作成に使用した入力画像,及び結果 画像の例を示す. 3 図1 2 システム構成図 提案手法 小型デジタルカメラは従来のカメラと比べると口径が 非常に小さいので,再現したい口径の範囲内でデジタル カメラを密に動かして撮影した像を加算平均することで, より大きな開口で撮影した場合と同じ効果が得られる. このように,小型デジタルカメラで撮影した画像に対し て合成開口法を適用する.システムの流れを図 2 に示す. (a) 撮影画像 (b) 補間なし (c) 提案手法 図 3 ぼけ画像作成結果 (ぼけ部分の抜き出し) まとめ 一般的な小型デジタルカメラを用いた手持ち撮影によ る任意視点画像群から,実際の口径で得られるよりも大 きなぼけを得ることができ,ぼけ像の制御によって意図 した通りのぼけ像を生成できることを確認した.また, これらの作成画像に対してフーリエ解析,比較評価実験 を行い,ぼけ像の制御による周波数空領域での変化,及 び提案手法の有効性を示した. 4 2.1 ホモグラフィ変形による合焦面の視差の補正 特別な器具を用いず,カメラを手持ちで撮影した場合, 撮影時のカメラ位置姿勢に光軸に対する回転や光軸方向 への平行移動が含まれ,従来手法のように撮影画像群を 平行移動して重ね合わせるだけではうまく焦点が合わな い.そこでホモグラフィ変形を任意の合焦面に対して施 し,合焦面の視差を補正する.