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新潟県中越地震における被災建築物の 応急危険度判定活動に

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新潟県中越地震における被災建築物の 応急危険度判定活動に
研修報告
新潟県中越地震における被災建築物の
応急危険度判定活動に参加して
新川土木センター 瀧本
にあたります。具体的には、建築物の
傾斜状況、壁・基礎等の主要な構造部
宏之
分の状況、機器類・外装材の落下危険
物の状況等を調査し、その結果を「危
昨年(2004年)10月23日に新潟県中越地方で最大震度7の大地震が発生し、死者51人を
険」
、
「要注意」
、
「調 査 済」
(使 用 可 能)
出すなど痛ましい災害がありました。
のいずれかに判定し、それぞれ赤紙、
富山県は、建築関係の支援活動として、被災建築物応急危険度判定、被災宅地応急危険
黄紙、緑紙をその建築物に貼ることに
度判定、居住用建築物被災判定のため、県・市町村職員を派遣しました。
私は、この中の一人として、地震発生5日後の28日から31日までの4日間に亘って、余
震の続く中、被災建築物応急危険度判定活動の任務に当たりました。
よって情報提供を行います。
2階部分が傾斜した住宅
この活動は、被災した市町村だけで
実施することは困難であるため、全国
1.
被災建築物応急危険度
判定とは
定し、その結果を情報提供することに
協議会も組織され周辺の市町村や他県
より、復旧までの間の二次的災害を防
からの応援を受けることができます。
止することが目的です。
一般的に実施主体は、被災した市町
被災建築物応急危険度判定は、地震
村の災害対策本部です。この中に設置
により被災した建築物が余震等によっ
された被災建築物応急危険度判定実施
て倒壊したり部材が落下したりする危
本部の指揮の下、県の講習を受けて判
険性があるかないかなどを速やかに判
定士として登録された建築士等が判定
2.
判定活動を実施した
地域の状況は
県から応急危険度判定士として第一
住民たちは、震災の後かたづけに追
次派遣された私たちは、
震度6弱を記録
われ、ごみ置き場はごみと化した生活
した長岡市郊外で活動しました。
現地の
用品等で山積みになっていました。
被害は想像どおり激しいものでした。
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上水道・下水道とも機能しないため、
住宅には、傾いているもの、外装材
給水車が走り廻ったりバキュームカー
が剥落しているもの、瓦が崩れ落ちて
がマンホールから汚物を吸い取ったり
いるものなど被災したものが数多くあ
していました。
りました。
判定ステッカー
倒壊した住宅
居住者に活動の主旨を説明すると、
多くの家で、
「土足のままでいいから中
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に入ってしっかり調査してほしい」と
考え方は、建築物の耐用年数中にしば
積極的な協力を得ることができました。
しば起こる中小規模の地震に対して建
家の中は、家具等が転倒し内装材が剥
築物の損傷を防止するとともに、数十
落しており、土足でよいといわれるの
も肯ける程の状況でした。
4.
判定活動を終えて
5.
身の周りからの大地震対策を
年から百年に一度の確率で起こる比較
富山県が被災建築物応急危険度判定
富山県でも、呉羽山断層帯等の活断
的大規模な地震に対してひび割れ等の
士として派遣した職員は、第一次派遣
層があり、いつ大地震が起こるかわか
損傷を受けても建築物を崩壊させずに
(4日 間)1
2名、第 二 次 派 遣(3日 間)
りません。大切な命を守るためには、
人命を保護することでした。現在の耐
9名でした。調査した件数は4
9
2件で、
次のように身の周りから地震対策をす
震基準もこの考え方がベースとなって
内 訳 は「危 険」が1
3
4件、
「要 注 意」が
る必要があるのではないでしょうか?
います。
1
3
6件、
「調査済」等が2
2
2件という結果
今回のような大地震においては、建
昭和5
6年以前の建築物は
本県では地震発生2日後の2
5日には
耐震診断・補強を
は、ある程度の損傷が出るのもやむを
既に派遣体制が整っていましたが、今
建築基準法の耐震基準は、昭和5
6年
得ないものと考えられます。
回の地震の被害があまりにも甚大であ
に大改正されました。今回の地震や兵
ったためか、派遣要請を2
7日に受けた
庫県南部地震においても、被害を受け
ことから翌2
8日の派遣になりました。
た多くの建築物は改正以前に建てられ
3.
建築基準法が求める
耐震性能は
内装材が剥落した住宅
建築基準法は昭和2
5年に制定され、そ
!
築基準法の耐震基準ぎりぎりの住宅で
住宅の傾斜状況を調査する判定士
さて、建築物の最低の基準を定めた
でした。
応急危険度判定は、余震等による二
たものといわれています。このため、
次的災害を防止することが目的なので、
昭和5
6年以前の住宅は、耐震診断し、
対応が早ければ早いほど有効です。万
必要に応じて耐震補強することが必要
が一、本県で大地震が発生したときに
です。県では、関係団体や市町村との
は、速やかに県内の判定士の召集と他
連携のもと、耐震診断や耐震補強に対
県への派遣要請を行うことができるよ
する支援制度を設けています。
う、公共団体は日頃から体制を整えて
おく必要があります。
"
ブロック塀・家具の転倒対策を
の後、大地震による被害が発生したこ
ブロック塀や家具の転倒等による被
とから、昭和5
6年に耐震基準が大幅に
害も怖いので、その対策が必要です。
改定されました。このときの基本的な
本県は、大地震の経験が少ない県です
90
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特集「少子化」
データから見る少子化 参考資料
が、それだけに対策があまり取られて
おらず大地震時にはブロック塀や家具
(※本文は、26∼31P に掲載、本表は27P 左上で引用)
が転倒しやすいのではないかと心配で
す。昭和5
3年の宮城県沖地震では、死
(表)年齢3区分別人口の推移
者1
6人 の う ち1
1人 が ブ ロ ッ ク 塀 の 倒
壊・転倒によるものでした。
!
地域の防災意識の向上を
科学技術の進歩により、大災害があ
っても全世界から救援を受けることが
できるようになってきています。しか
しながら、地震直後は遠方からの支援
に頼るには無理があります。人命確保
にも繋がる初動対応には、地域住民の
相互協力は欠かすことができません。
日頃から地域で防災について話し合い、
いざというとき速やかに助け合うこと
ができるよう近所付き合いを大切にし
たいものです。
プロフィール
瀧本 宏之(たきもと ひろゆき)
1
9
6
5年入善町生まれ
1
9
9
0年県庁入庁 建築住宅課、営繕課を経
て、現在新川土木センター。
家具の転倒対策は実施済み。住んでいる家
は古いので地震に対して不安だが所有権が
ないので対策が難しい。
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