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欧州議会が化学物質の新規制法案REACHの最終案を承認(EU)
NEDO海外レポート NO.992, 2007.1.10 < 新刊目次のメール配信をご希望の方は、http://www.infoc.nedo.go.jp/nedomail/ > 海外レポート992号目次 http://www.nedo.go.jp/kankobutsu/report/992/ 【環境特集】化学物質管理 欧州議会が化学物質の新規制法案 REACH の最終案を承認 (EU) 2006 年 12 月 13 日に欧州議会 1 は、製造・輸入する化学物質の登録を事業者に義務 付ける新たな化学物質規制 REACH2(化学品の登録、評価、認可及び制限に関する規 則)の最終案(第二次妥協案 3)を可決した。これにより、REACH は 2007 年 6 月 1 日 に発効することとなった。 REACH は、欧州連合(EU)域内で年間 1 トン以上製造・輸入されるすべての化学 物質の登録を義務付けるもので、3 万物質が対象となる。登録時期は製造・輸入量や 物質の有害性により異なるが、段階的に 2018 年までにすべての物質の登録が必要とな る。 有害性があると判断される物質については、製造事業者(企業)に安全な物質への 代替計画の提出が義務付けられる。現状では代替する物質がない場合は、代替物質を 開発するための研究開発計画の提出が求められる。 登録・認可手続きは 2008 年にヘルシンキ(フィンランド)に新設される欧州化学庁 が監督する。 REACH は、現在 40 ある EU の化学物質に関する法律に取って代わり、すべての化 学物質を網羅する単一の規則に整理統合したものである。 EU ではこれまで、1981 年以降に発売された「新規化学物質」約 3,000 種類と、こ れ以前に生産された「既存化学物質」約 10 万種類を異なる方法で管理していた。 REACH は、この二重システムをひとつに統合するものである。 REACH に基づく最初の義務は事前登録であり、これは 2008 年 6 月から 11 月の間 に行われる。その後それぞれの化学物質の供給量や危険度に応じて 3 年半、6 年、11 年をかけて登録が行われる。 また、産業側の一般注意義務(duty of care)及び製品中の有害物質についての公衆 への伝達の義務を含む。また、機密情報の保護及び動物テストの重複を避けるための 規定がある。 理事会、欧州委員会、欧州議会の 3 機関内での検討・調整に加え、経営者団体、市 民団体の激しいロビー活動が加わり、3 年間わたり内容についての議論が進められて いた 4。 1 2 3 4 欧州議会、欧州委員会、EU 閣僚理事会の所管、関係については後出の参考資料を参照。 REACH:Registration, Evaluation, Authorization and Restriction of Chemicals 妥協案(Compromise):EUの公式文書でもこの用語が使用されている。なお、手続き的に は、この後の12月18日に閣僚理事会(環境相理事会)での承認を経て、正式に導入が決定し た。 決定までの論議については、本号の次項記事(「化学物質新規性法案 REACH を巡る論議の 経緯」)参照。 1 NEDO海外レポート NO.992, 2007.1.10 なお、市民運動の成果として、動物愛護の観点から動物実験に代わる方法の促進も 規則の目標に掲げられている。 翻訳・編集:NEDO 情報・システム部 参考資料: 欧州委員会のプレス発表資料 REACH: Commission welcomes European Parliament vote on new EU chemicals legislation http://europa.eu/rapid/pressReleasesAction.do?reference=IP/06/1799&format=HTM L&aged=0&language=EN&guiLanguage=en 欧州議会のプレス発表資料 Parliament adopts REACH - new EU chemicals legislation and new chemicals agency http://www.europarl.europa.eu/news/expert/infopress_page/064-1496-345-12-50-91120061213IPR01493-11-12-2006-2006-true/default_en.htm 欧州委員会REACHのトップ頁:http://ec.europa.eu/enterprise/reach/index_en.htm 2 NEDO海外レポート 2007.1.10 NO.992, < 新刊目次のメール配信をご希望の方は、http://www.infoc.nedo.go.jp/nedomail/ > 海外レポート992号目次 http://www.nedo.go.jp/kankobutsu/report/992/ 参考 EU 機関の仕組み(抜粋) Structure of EU Institutions 最高政治的機関、EU を政治的に推進し政策の方向性を設定 Highest political organ to giving to the EU political impetus and defines general political directions 欧州理事会 (EU 首脳会議) 加盟国首脳+欧州委員会委員長 European Council (EU Summit) Leaders of Member States + President of the European Commission 意思決定・立法 Decision-taking and law-making EU 理事会(または EU 閣僚理事会) 議長国任期 6 ヵ月 加盟国閣僚+欧州委員会委員 EU Council Term of Presidency: 6 months Ministers from Member States + European Commissioner 法案・予算案に関する 排他的発議権 政策提案 Exclusive right to initiate legislative, budget and policy proposals 協議 Consultation 規制・指令等の決定 Enactment of regulations and directives 行政 Administration 定数 欧州委員会 25 人(任期 5 年) ブリュッセル European Commission Commissioners: 25 (term: 5years) 年次報告 Annual report 委員会不信任議決権 意見 Right to pass a motion of no-confidence in the Commission 共同の参加・協力その他の手続き Participation in the co-decision, cooperation and other procedures 立法・民主的統制 Law-making, democratic control 欧州議会 定数 732 人(任期 5 年) 本会議(ストラスブール) 委員会(ブリュッセル) European Parliament Members: 732 (term: 5years) Plenary Meetings (Strasbourg) 議長・副議長は 2 年半ごとに互選 President, Vice-presidents, (term: 2.5years=Mid-term change) (出典:「駐日欧州委員会代表部資料」に一部加筆) 3