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ダウンロード - Azbil Corporation

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ダウンロード - Azbil Corporation
CM1-AVP700-2003
AVP700 調節弁診断
取扱説明書
お願い
• このマニュアルは、本製品をお使いになる担当者のお手元に確実に届
くようお取りはからいください。
• このマニュアルの全部または一部を無断で複写または転載することを
禁じます。
• このマニュアルの内容を将来予告無しに変更することがあります。
• このマニュアルの内容については万全を期しておりますが、万一、ご
不審な点や記載もれなどがありましたら、当社までご連絡ください。
• お客さまが運用された結果につきましては、責任を負いかねる場合が
ございますので、ご了承ください。
©2016 Azbil Corporation All Rights Reserved.
はじめに
スマート・バルブ・ポジショナ 700 シリーズをご購入いただき、誠にありがとう
ございます。本書は 700 シリーズの調節弁診断機能の説明書です。
照会先
本機能に関するお問い合わせは、最寄りの当社の支店、営業所へお願い致します。
i
安全上の注意
■絵表示について
この安全上の注意は、製品を安全に正しくお使いいただき、あなたや他の人々への危害や財産への損害
を未然に防止するためのものです。安全上の注意は必ず守ってください。
本書では以下の絵表示をしています。
その表示と意味は、次のようになっています。内容をよく理解してから本文をお読みください。
注意
取り扱いを誤った場合に、使用者が軽傷を負うか、または物的損害のみ
が発生する危険の状態が生じることが想定される場合。
■絵表示の例
このような表示は、取り扱い上、気を付けていただきたい「注意」を表す内容です。
ii
目 次
第 1 章 スティックスリップ診断 . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . 1-1
第 2 章 入力信号/開度 偏差診断. . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . 2-1
第 3 章 ゼロ点開度比較診断. . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . 3-1
第 4 章 出力空気圧妥当性モニタリング . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . 4-1
第 5 章 最大摩擦力モニタリング . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . 5-1
第 6 章 摺動距離積算モニタリング. . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . 6-1
第 7 章 最大作動速度モニタリング. . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . 7-1
第 8 章 開度別頻度分布モニタリング. . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . 8-1
第 9 章 全閉回数モニタリング. . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . 9-1
第 10 章 反転動作回数モニタリング. . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . 10-1
第 11 章 ポジショナ空気回路診断. . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . 11-1
第 12 章 供給空気圧力診断. . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . 12-1
第 13 章 ポジショナ内部温度モニタリング. . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . 13-1
第 14 章 Valve Signature. . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . 14-1
第 15 章 STEP 応答テスト. . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . 15-1
第 16 章 パーシャルストロークテスト. . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . 16-1
第 17 章 フルストロークテスト. . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . 17-1
iii
付録 A AVP700 の診断機能と異常との関連 . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . 付録 A-1
iv
第 1 章 スティックスリップ診断
開度 [%]
【概要】
■スティックスリップ診断の目的
■スティックスリップ現象の説明
■スティックスリップ現象の検出方法
スティックスリップ診断は、グランド部、ガイド部、プラグ・シート部の固着・かじり
を検出します。
スティックスリップ現象は、弁軸の停止(スティック)とすべり(スリップ)が繰り返
される現象です(図 1-1)。
スリップ
スティック
時間 [s]
図 1-1 スティクスリップ現象
スティックスリップ診断は、弁軸速度の平均と二乗平均の比が正常時とスティックスリッ
プ発生時で異なることに着目しています。
平均
二乗平均
平均
差が小さい
差が大きい
発
発
生
生
頻
頻
度
度
弁軸速度の大きさ
スティック
(a) 正常動作時
二乗平均
弁軸速度の大きさ
スリップ
(b) スティックスリップ発生時
Fig.2 スティックスリップの発生と弁軸速度の分布
図 1-2 スティックスリップの発生と弁軸速度の分布
(a) は弁軸速度の分布が広がっている場合で、その平均と二乗平均は近い値になります。
(a) は弁軸速度の分布が広がっている場合で、
その平均と二乗平均は近い値になります。一方で(b)
一方で
(b)
では開度が止まっているとき(スティック)と滑っているとき(スリップ)と
では開度が止まっているとき(スティック)と滑っているとき(スリップ)という 2 つに山に分
いう 2 つに山に分かれます。このとき平均と二乗平均との間の差が大きくなります。こ
かれます。このとき平均と二乗平均との間の差が大きくなります。この性質を使ってスティック
の性質を使ってスティックスリップ診断をします。
スリップ診断をします。
【アルゴリズム】
1-1
■Stick-Slip X と Stick-Slip Y の計算方法
■Stick-Slip X と Stick-Slip Y の性質
【アルゴリズム】
■ Stick-Slip X と Stick-Slip Y の計算方法
■ Stick-Slip X と Stick-Slip Y の性質
50ms ごとに測定された開度データの差分から弁軸速度を算出し、400 秒間のデータ(8000
サンプル)に対して、弁軸速度の平均値の二乗(Stick-Slip X)と弁軸速度の二乗の平均
値(Stick-Slip Y)を計算します。
Stick-Slip Y を Stick-Slip X で割った値(以降 Y/X)は、正常時は 1 に近い値ですが、ス
ティックスリップ現象が増えるにつれて大きくなります。
【しきい値とアラーム】
■ 3 つのしきい値によるスティックスリップ現象の把握
■ SS Validity によるアラームの抑制
が大きくなっていることを段階的に検出するために高中低
3 つのしきい値 Stick-Slip
■Y/X
SS Validity
の計算方法
■アラームカウントの活用
Threshold
High、Stick-Slip Threshold Medium、Stick-Slip Threshold Low をもちます。初期
値はそれぞれ 10、5.5、3 がセットされます。各しきい値に対して Stick-Slip Alarm Low→ Medium
Y/X が大きくなっていることを段階的に検出するために高中低 3 つのしきい値 Stick-Slip
→High
の順番で発報し、同時には発報しません。
Threshold High、Stick-Slip Threshold Medium、Stick-Slip Threshold Low をもちます。
セットポイントが大きく変化したときは、スティックスリップ診断の有効/無効パラメータ
初期値はそれぞれ
10、5.5、3 がセットされます。各しきい値に対して Stick-Slip Alarm
Low
→
Medium
→
High の順番で発報し、同時には発報しません。
SS_Validity に無効(0)をセットします。SS_Validity
が 0 のときは Y/X がしきい値を越えてい
セットポイントが大きく変化したときは、スティックスリップ診断の有効 / 無効パラメー
ても、異常ではないと判断しアラームを発報しません。
タ SS_Validity に無効(0)をセットします。SS_Validity が 0 のときは Y/X がしきい値
SS Validity はセットポイントについて Stick-Slip X と Stick-Slip Y と同じ計算をし、セットポ
を越えていても、異常ではないと判断しアラームを発報しません。
SS Validity はセットポイントについて
Stick-Slip
Xと
Stick-Slip Y と同じ計算をし、セッ
イントに対する
Stick-Slip X / Stick-Slip
Y(以下
SP_Y/X)を計算します。SP_Y/X
が Stick-Slip
トポイントに対する
Stick-Slip
X
/
Stick-Slip
Y(以下
SP_Y/X)を計算します。SP_Y/X
Threshold High 以下のときは、SS_Validity は 1(有効)、超えると 0(無効)となります。
が Stick-Slip Threshold High 以下のときは、SS_Validity は 1(有効)、超えると 0(無効)
縦軸に
Y/X、横軸に SP_Y/X をプロットし各 Alarm との関係を示すと、Fig.4 のようになります。
となります。
SP_Y/X
が 10 より大きいと
Y/X
がアラームの発生する大きさであってもアラームは発報されませ
縦軸に Y/X、横軸に
SP_Y/X
をプロットし各
Alarm との関係を示すと、図 1-3 のように
なります。SP_Y/X が 10 より大きいと Y/X がアラームの発生する大きさであってもア
ん。
ラームは発報されません。
Y/X
High Alarm
10
SS_Validity = 0
High Alarm
5.5
アラームを発報しない
OK
Low Alarm
3
OK
10
SP_Y/X
Fig.3 アラームと SS_Validity の関係
図 1-3 アラームと SS_Validity の関係
1-2
スティックスリップY
((%/ 秒 )^2)
1E+002
1E+001
1E+000
1E-001
1E-002
1E-002
1E-001
1E+000
スティックスリップX
((%/ 秒 )^2)
1E+001
1E+002
図 1-4 スティックスリップ診断のデータ
表 1-1 スティックスリップ診断と異常
パラメータ
しきい値
( Stick-Slip Y /
Stick-Slip X )
異常検知
10.0 グランド部/ガイド部/プラ
5.5 グ・シート部の固着・かじり
3
異常指標(予測)
グランドパッキンの劣化が予
測される。
表 1-2 スティックスリップ診断 パラメータリスト(HART)
パラメータ
内容
初期値
Stick-Slip X
弁軸速度の平均値の二乗
0
Stick-Slip Y
弁軸速度の二乗の平均値
0
Stick-Slip Validity
スティックスリップ診断の有効可否
-
Stick-Slip Updated Date
(MM/DD/YYYY)
診断パラメータの更新日付
04/01/2012
Stick-Slip Updated Time
診断パラメータの更新時刻
00:00:00
Stick-Slip High Alarm Count
High Alarm のアラームカウント
0
Stick-Slip Medium Alarm Count
Medium Alarm のアラームカウント
0
Stick-Slip Low Alarm Count
Low Alarm のアラームカウント
0
Stick-Slip Threshold High
High Alarm のしきい値
10
Stick-Slip Threshold Medium
Medium Alarm のしきい値
5.5
Stick-Slip Threshold Low
Low Alarm のしきい値
3
1-3
表 1-3 スティックスリップ診断 パラメータリスト(FF)
パラメータ
内容
初期値
Stick-Slip X[1]
弁軸速度の平均値の二乗
0
Stick-Slip Y[1]
弁軸速度の二乗の平均値
0
Stick-Slip Validity[1]
スティックスリップ診断の有効可否
255( 更新前 )
Stick-Slip Updated Time[1]
診断パラメータの更新日時
0
Stick-Slip High Alarm Count
High Alarm のアラームカウント
0
Stick-Slip Medium Alarm Count
Medium Alarm のアラームカウント
0
Stick-Slip Low Alarm Count
Low Alarm のアラームカウント
0
Stick-Slip Threshold High
High Alarm のしきい値
10
Stick-Slip Threshold Medium
Medium Alarm のしきい値
5.5
Stick-Slip Threshold Low
Low Alarm のしきい値
3
1-4
2 入力信号/開度
偏差診断
【概要】
■入力信号/開度 偏差診断の目的
第 2 章 入力信号/開度 偏差診断
入力信号/開度 偏差診断は操作器の異常(スプリング劣化)やポジショナの異常(ノズル・絞
【概要】
りつまり)を検出します。入力信号と開度の偏差を測定し、異常にともなって偏差が継続する時
■入力信号/開度 偏差診断の目的
間を測定します。
入力信号/開度 偏差診断は操作器の異常(スプリング劣化)やポジショナの異常(ノズル・
絞りつまり)を検出します。入力信号と開度の偏差を測定し、異常にともなって偏差が
継続する時間を測定します。
【アルゴリズム】
■偏差の誤差範囲
【アルゴリズム】
■偏差継続時間の計算方法
■偏差の誤差範囲
偏差(開度-セットポイント)が Deviation Threshold +(5%)を超えた場合、その継続時間
■偏差継続時間の計算方法
偏差(開度−セットポイント)が
Deviation
+(5%)を超えた場合、その継
を測定し、最大値を Deviation Time
Max+ Threshold
として逐次更新します。反対に偏差が
Deviation
続時間を測定し、最大値を
Deviation
Time
Max+
として逐次更新します。反対に偏差が
Threshold – (-5%)を超えた場合、継続時間の最大値を Deviation Time Max-として逐次更新
Deviation Threshold - ( − 5%) を超えた場合、継続時間の最大値を Deviation Time Maxします。強制全閉、強制全開やシミュレーション状態であるときには、開度はコントロール状
として逐次更新します。強制全閉、強制全開やシミュレーション状態であるときには、
態にないので、偏差診断は停止し、継続時間はゼロリセットされます。
開度はコントロール状態にないので、偏差診断は停止し、継続時間はゼロリセットされ
ます。
偏差継続時間
開度
セットポイント
開度
5%
5%
偏差継続時間
時間
図 Fig.5
2-1 偏差継続時間の測定
偏差継続時間の測定
【しきい値とアラーム】
【しきい値とアラーム】
■しきい値の説明
■しきい値の説明
■作動時間の大きな操作器に対するしきい値の設定方法
■作動時間の大きな操作器に対するしきい値の設定方法
Deviation Time Max+ が Deviation Waiting Time(10 秒)を越えたとき、デバイスステー
タスにアラームが立ちます。Deviation Time Max- が Deviation Waiting Time(10 秒)
を超えたときも同様です。Deviation Time Max+
でアラームが発生する様子を図 2-2 に
9
示しました。
2-1
アラームが立ちます。Deviation Time Max-が Deviation Waiting Time(10 秒)を超えたときも同
様です。Deviation Time Max+でアラームが発生する様子を Fig.7 に示しました。
開度
開度
セットポイント
偏差継続時間 10s
▼アラーム
5%
時間
Fig.6 Deviation+
Alarm
の発生
図 2-2 Deviation+
Alarm
の発生
表 2-1 に偏差診断と異常の関係図を示しました。
Table5 に偏差診断と異常の関係図を示しました。
表 2-1 偏差診断と異常
Table5 偏差診断と異常
しきい値
診断パラメータ
診断パラメータ
Deviation Time Max +
Deviation Time Max +
Deviation Time Max −
異常検知
グランド部、ガイド部、プラグ・シー
異常検知
ト部固着・かじり
グランド部、ガイド部、プラグ・シート部固
(操作器の異常)
5% が 10s 継続した場合
エア漏れ
着・かじり
スプリングの劣化
(操作器の異常)
スプリング倒れ
5%が 10s 継続した場合
ステム軸の折損
エア漏れ
(ポジショナの異常)
スプリングの劣化
ノズル・絞りのつまり
− 5% が 10s 継続した場合 空気回路からのエア漏れ
スプリング倒れ
フィードバックレバーの外れ
ステム軸の折損
エレキ
/ 角度センサの故障
パイロットの故障
(ポジショナの異常)
しきい値
ノズル・絞りのつまり
取り扱い上の注意:
空気回路からのエア漏れ
Deviation作動時間の大きな調節弁については、異常継続時間(Deviation
Time Max - -5%が 10s 継続した場合
Waiting Time)
フィードバックレバーの外れ
は 10 秒ではなく、より大きな値である必要があります。セットポイントが大き
エレキ/角度センサの故障
く変更された後、10 秒以内に偏差 5% 以内に入らなければ、
調節弁が正常であっ
てもアラームが発報します。調節弁の作動時間に応じて、異常継続時間しきい値
パイロットの故障
を設定しなおす必要があります。
表 2-2 入力信号/開度 偏差診断 パラメータリスト(HART/FF
共通)
10
パラメータ
内容
初期値
Deviation Time Max +
正側の偏差最大継続時間 (s)
0
Deviation Time Max -
負側の偏差最大継続時間 (s)
0
Deviation Threshold +
Deviation+ Alarm のしきい値 (%)
5
Deviation Threshold -
Deviation- Alarm のしきい値 (%)
−5
Deviation Waiting Time
Deviation Alarm の待ち時間 (s)
10
Deviation+ Alarm Count
Deviation+ Alarm の回数
0
Deviation- Alarm Count
Deviation- Alarm の回数
0
2-2
【概要】
■ゼロ点開度比較診断の目的
ゼロ点開度診断は、プラグ・シート部の異物の噛み込みやシートの摩耗、全閉位置の調整ズレ
操作器のスプリング劣化の異常を検出します。
第 3 章 ゼロ点開度比較診断
調節弁を全閉したときの開度(ゼロ点開度)をモニタリングし、0%からのシフト量をしきい
【概要】
と比べ、超える場合にはアラームを発報します。
■ゼロ点開度比較診断の目的
ゼロ点開度診断は、プラグ・シート部の異物の噛み込みやシートの摩耗、全閉位置の調
またゼロ点開度がプラス側にシフトしている場合、小さい開度での運転によって、プラス・
整ズレ、操作器のスプリング劣化の異常を検出します。
ート部の損傷、プラグ・シート部への流体の付着、エロージョン・アブレージョン、コロージ
調節弁を全閉したときの開度(ゼロ点開度)をモニタリングし、0% からのシフト量をし
ンなどの異常が発生している可能性があります。
きい値と比べ、超える場合にはアラームを発報します。
またゼロ点開度がプラス側にシフトしている場合、小さい開度での運転によって、プラグ・
シート部の損傷、
プラグ・シート部への流体の付着、エロージョン・アブレージョン、コロー
【アルゴリズム】
ジョンなどの異常が発生している可能性があります。
■ゼロ点開度比較診断の説明
■ゼロ点開度モニタリングの説明
【アルゴリズム】
■ゼロ点開度比較診断の説明
■調節弁が全閉しない場合の測定方法
■ゼロ点開度モニタリングの説明
■調節弁が全閉しない場合の測定方法
強制全閉機能 ON
開度
10 秒間安定が継続したら調節弁
は全閉したと判断し、ゼロ点開度
のモニタリングを開始する。
ゼロ点開度モニタリング
時間
図 3-1 ゼロ点開度のモニタリング開始のタイミング
Fig.7 ゼロ点開度のモニタリング開始のタイミング
開度
全閉状態
異常継続時間 10s
▼アラーム
1%
12
0%
正常範囲
-3%
図 3-2 ゼロ点開度比較診断:異常継続時間とアラーム
Fig.8 ゼロ点開度比較診断:異常継続時間とアラーム
開度
強制全閉機能 ON
3-1
40 秒間待っても開度が安定しな
いとき(調節弁は異常)だと判断
して、ゼロ点開度のモニタリング
-3%
Fig.8 ゼロ点開度比較診断:異常継続時間とアラーム
強制全閉機能 ON
開度
40 秒間待っても開度が安定しな
いとき(調節弁は異常)だと判断
して、ゼロ点開度のモニタリング
を開始する。
ゼロ点開度モニタリング
時間
図 3-3 開度が安定しない場合のゼロ点開度モニタリングの開始タイミング
Fig.9 開度が安定しない場合のゼロ点開度モニタリングの開始タイミング
【しきい値とアラーム】
【しきい値とアラーム】
■しきい値の説明
■しきい値の説明
■作動時間の長い操作器に対するしきい値の設定方法
■作動時間の長い操作器に対するしきい値の設定方法
全閉状態で開度が− 3% と 1% の間に収まれば正常としています。その正常の範囲から外
れた状態が一時的なものではなく
10 秒間継続したところで、デバイスステータスにゼロ
全閉状態で開度が-3%と
1%の間に収まれば正常としています。その正常の範囲から外れた状
点開度正側アラームまたはゼロ点開度負側アラームが立ちます。診断パラメータとしき
態が一時的なものではなく 10 秒間継続したところで、デバイスステータスにゼロ点開度正側アラ
い値、および対応する異常現象を表 3-1 に示します。
ームまたはゼロ点開度負側アラームが立ちます。診断パラメータとしきい値、および対応する異
常現象を Table4 に示します。
診断パラメータ
表 3-1 ゼロ点開度診断と異常
しきい値
異常検知
Zero Travel Max
1%(Travel Waiting 異物噛み込み
Time 10s)
全閉位置の調整ズレ
Zero Travel Min
-3%(Travel
シートの摩耗
Waiting Time 10s) 全閉位置の調整ズレ
13
異常指標(予測)
以下の異常が予測されます。
プラグ・シート部の損傷
プラグ・シート部への流体の付着
エロージョン
アブレージョン
コロージョン
表 3-2 ゼロ点開度比較診断 パラメータリスト (HART/FF 共通)
パラメータ
内容
初期値
Zero Travel Max
ゼロ点開度のプラス方向の最大値
0
Zero Travel Min
ゼロ点開度のマイナス方向の最小値
0
Zero Travel Stable Threshold
ゼロ点開度安定しきい値
0.25
Zero Travel Static Time
ゼロ点開度安定時間
Zero Travel Error Waiting Time
ゼロ点開度異常待ち時間
(全閉しない場合の待ち時間)
10
40
Zero Travel Threshold +
ゼロ点開度+アラームしきい値
1
Zero Travel Threshold −
ゼロ点開度−アラームしきい値
-3
Zero Travel Waiting Time
ゼロ点開度待ち時間
(アラーム発報までの待ち時間)
10
Zero Travel + Alarm Count
ゼロ点開度+アラーム回数
0
Zero Travel − Alarm Count
ゼロ点開度−アラーム回数
0
3-2
4 出力空気圧妥当性モニタリング
【概要】
■出力空気圧妥当性モニタリング(Po Validity)の目的と方法
第 4 章 出力空気圧妥当性モニタリング
出力空気圧妥当性は、弁本体内部の固着やかじり、操作器出力と流体反力とのアンバランス、操
【概要】
作器の故障に関する指標です。
■出力空気圧妥当性モニタリング(Po Validity)の目的と方法
出力空気圧妥当性は、操作器の出力空気圧がオート・セットアップで求めた基準からどの程度シ
フトしているかを計算したものです。出力空気圧妥当性が基準から外れていることの原因には、
出力空気圧妥当性は、弁本体内部の固着やかじり、操作器出力と流体反力とのアンバラ
ンス、操作器の故障に関する指標です。
操作器の故障をはじめとした異常が関わっています。
出力空気圧妥当性は、操作器の出力空気圧がオート・セットアップで求めた基準からど
の程度シフトしているかを計算したものです。出力空気圧妥当性が基準から外れている
【アルゴリズム】
ことの原因には、操作器の故障をはじめとした異常が関わっています。
■調節弁の特性について
【アルゴリズム】
■開度区分
■調節弁の特性について
■Po Max と Po Min の測定方法
■開度区分
■出力圧力妥当性の計算方法
■ Po Max と Po Min の測定方法
■出力圧力妥当性の計算方法
■オート・セットアップによる基準の取得
■オート・セットアップによる基準の取得
操作器力
ポジショナ出力空気圧力
Po
スプリング異常
(劣化、折損、倒れ)
ダイヤフラム異常
(破れ、硬化)
摩擦力
グランドパッキン異常
(劣化、硬化)
流体反力
締切異常
Fig. 10 調節弁における操作器力・摩擦力・流体反力の関係
図 4-1 調節弁における操作器力・摩擦力・流体反力の関係
15
4-1
全開
全開
操作器から空気を少量ずつ排気して
操作器から空気を少量ずつ排気して
調節弁を全開から全閉させる。
調節弁を全開から全閉させる。
Travel
Travel
[%][%]
調節弁の特性
調節弁の特性
1)
スプリングレンジ
1) スプリングレンジ
グラフの勾配
グラフの勾配
2)
摩擦力
2) 摩擦力
往復の帯状の圧力差
往復の帯状の圧力差
3)
流体反力
3) 流体反力
低開度でのグラフの歪み
低開度でのグラフの歪み
操作器へ空気を少量ずつ給気して
操作器へ空気を少量ずつ給気して
調節弁を全閉から全開させる。
調節弁を全閉から全開させる。
0
0
全閉
全閉
Po 1 [kPa]
Po 1 [kPa]
0
0
図 4-2 調節弁の特性(単動・逆作動操作器)
Fig.11 調節弁の特性(単動・逆作動操作器)
Fig.11 調節弁の特性(単動・逆作動操作器)
120
120
110
110
100
100
全開
全開
操作器から空気を少量ずつ排気して
操作器から空気を少量ずつ排気して
調節弁を全開から全閉させる。
調節弁を全開から全閉させる。
90
90
80
80
開度 [%]
[%]
開度
70
70
60
60
50
40
調節弁の特性
調節弁の特性
1)
摩擦力
1) 摩擦力
往復の帯状の圧力差
往復の帯状の圧力差
2) 流体反力
流体反力
低開度でのグラフの歪み
低開度でのグラフの歪み
30
20
操作器へ空気を少量ずつ給気して
操作器へ空気を少量ずつ給気して
調節弁を全閉から全開させる。
調節弁を全閉から全開させる。
10
0
-10
-400
全閉
-300
-200
-200
-100
-100
00
100
100
Po
Po11--Po
Po22[kPa]
[kPa]
図 4-3 調節弁の特性(複動・逆作動)
Fig.12
Fig.12 調節弁の特性(複動・逆作動)
調節弁の特性(複動・逆作動)
16
16
4-2
200
200
300
300
400
400
120
120
100
100
Travel
Travel
[%] [%]
80
80
60
60
110%より大
110%より大
開度を26の区分へ分け、
それぞれの区分で
開度を26の区分へ分け、
出力空気圧妥当性と最大摩擦力を
それぞれの区分で
計算する。
出力空気圧妥当性と最大摩擦力を
計算する。
40
40
20
20
0
0
-20
-20 0
0
-10%以下
-10%以下
100
100
50
50
150
Po 1150
[kPa]
Po 1 [kPa]
200
200
250
250
300
300
図
4-4 開度区分
Fig.13
開度区分
Fig.13 開度区分
65
65
開度
開度
[%] [%]
55
55
開度とPo 1 がともに安定している
→ この中から該当する区間の
開度とPo 1 がともに安定している
最大圧力(Po
Max)と最小圧力( Po Min)
→ この中から該当する区間の
を記録する。 Max)と最小圧力( Po Min)
最大圧力(Po
を記録する。
Po Max
Po Min
Max
Po Min
45
45
Po Max
Po Min
Max
Po Min
35
35
25
25 50
50
100
100
150
Po 1150
[kPa]
Po 1 [kPa]
Fig.14 Po Max と Po Min の測定方法
図Fig.14
4-5 Po
Maxと
とPo
PoMin
Min の測定方法
の測定方法
Po Max
17
17
4-3
200
200
250
250
図 4-6 安定判別の方法 の修正版
190
190
54
180
54
180
170
160
52
52
Po1
Po1
50
50
150
Po1 [kPa]
Po1 [kPa]
160
48
150
48
140
140
46
46
開度と Po1 がともに
開度と Po1 がともに
安定している。
130
130
44
安定している。
120
120
44
開度
開度
110110
開度
開度[%][%]
170
42
42
40
40
100100
時間
時間[sec]
[sec]
図 4-6 安定判別の方法
Fig.15 安定判別の方法
図 4-6 安定判別の方法
120
110
Po Min
以上よろしくお願い致します.
THQ PDD
大塚 2016/5/10
Po Max
100
90
80
開度[%]
70
60
Po Min の基準線からのシフト量の
中で一番大きいものを
Po Validity - として保存する。
50
Po Max の基準線からのシフト量の
中で一番大きいものを
Po Validity + として保存する。
40
30
20
オート・セットアップで求めた基準線
10
0
-10
0
50
100
150
Po 1 [kPa]
200
250
図 4-7 Po
Validity+ と
Fig.16
Po Validity+
と Po
Po ValidityValidity-の計算方法
の計算方法
18
4-4
300
【しきい値とアラーム】
■しきい値とアラームの説明(それぞれの組合せに対して)
【しきい値とアラーム】
単動・逆作動
■しきい値とアラームの説明(それぞれの組合せに対して)
単動・正作動
単動・逆作動
単動・正作動
複動・逆作動
複動・逆作動
複動・正作動
複動・正作動
出力空気圧妥当性のしきい値は、調節弁を 0%および 100%へコントロールできる限界に設定し
出力空気圧妥当性のしきい値は、調節弁を 0% および 100% へコントロールできる限界に
ます。しきい値を超えると、0%または
100%へコントロールできない可能性が高くなります。こ
設定します。しきい値を超えると、0%
または 100% へコントロールできない可能性が高
のとき、操作器力、摩擦力、流体反力の間のフォースバランスが崩れていると考えられます。具
くなります。このとき、操作器力、摩擦力、流体反力の間のフォースバランスが崩れて
いると考えられます。具体的には、オート・セットアップで求めたスプリングレンジ上限・
体的には、オート・セットアップで求めたスプリングレンジ上限・下限と基準供給空気圧を使っ
下限と基準供給空気圧を使って計算します。
て計算します。
120
基準線
110
100
90
80
開度区間で共通
(しきい値のライン)
開度[%]
70
Spring Range High と
基準供給空気圧の差
開度100%へ制御可能な限界
60
50
Po ValidityThreshold
40
Po Validity+
Threshold
30
開度0%へ制御可能な限界
20
10
Spring Range Low の値
0
-10
0
50
100
150
Po 1 [kPa]
200
250
図 4-8 出力空気圧妥当性モニタリングのしきい値(単動・逆作動操作器)
Fig.
17 出力空気圧妥当性モニタリングのしきい値(単動・逆作動操作器)
19
4-5
300
120
基準線
110
100
90
80
しきい値線
Po Max
開度[%]
70
60
50
100%へ制御できない。
(グランド部の固着・かじり)
40
30
しきい値線
20
10
0
-10
0
50
100
150
Po 1 [kPa]
200
120
250
300
基準線
110
しきい値線
100
90
80
Po Min
開度[%]
70
操作器スプリングの劣化
60
50
40
30
しきい値線
20
10
0
-10
0
50
100
150
Po 1 [kPa]
200
120
250
300
基準線
110
しきい値線
100
90
80
0%へ制御できない。
(操作器出力と流体反力の
アンバランス)
開度[%]
70
60
50
40
30
しきい値線
Po Min
20
10
0
-10
0
50
100
150
Po 1 [kPa]
200
250
300
図 4-9 出力空気圧妥当性モニタリングのしきい値と異常現象(単動・逆作動操作器)
Fig.18 出力空気圧妥当性モニタリングのしきい値と異常現象(単動・逆作動操作器)
20
4-6
120
基準線
110
100
90
80
70
Travel [%]
開度区間で共通
(しきい値のライン)
Spring Range Low の値
開度0%へ制御可能な限界
Po Validity+
Threshold
60
50
Po ValidityThreshold
40
開度100%へ制御可能な限界
30
Spring Range High と
基準供給空気圧の差
20
10
0
-10
0
50
100
150
200
Po 1 [kPa]
250
300
図 4-10 Po Validity のしきい値(単動・正作動操作器)
Fig.19 Po Validity のしきい値(単動・正作動操作器)
120
基準線
110
100
90
しきい値のライン
80
Travel [%]
70
Po Min
60
100%へ制御できない。
(グランド部の固着・かじり)
50
40
30
しきい値のライン
20
10
0
-10
0
50
100
150
200
Po 1 [kPa]
250
300
21
4-7
350
400
350
400
Po 1 [kPa]
Fig.19 Po Validity のしきい値(単動・正作動操作器)
120
基準線
110
100
90
しきい値のライン
80
Travel [%]
70
Po Min
60
100%へ制御できない。
(グランド部の固着・かじり)
50
40
30
しきい値のライン
20
10
0
-10
0
50
120
100
150
200
Po 1 [kPa]
250
300
350
400
350
400
基準線
110
100
90
しきい値のライン
80
Travel [%]
70
60
50
操作器スプリングの劣化
40
しきい値のライン
30
20
21
Po Min
10
0
-10
0
50
120
100
150
200
Po 1 [kPa]
250
300
基準線
110
100
90
しきい値のライン
80
Travel [%]
70
60
50
操作器スプリングの劣化
40
Po Max
しきい値のライン
30
20
10
0
-10
0
50
100
150
200
Po 1 [kPa]
250
300
350
400
Fig.20 出力空気圧妥当性のしきい値と異常(複動・正作動操作器)
図 4-11 出力空気圧妥当性のしきい値と異常(複動・正作動操作器)
4-8
120
110
100
オート・セットアップで求めた
基準供給圧力の95%
90
80
開度100%へ制御可能な限界から
5%内側の操作器差圧
開度 [%]
70
Po ValidityThreshold
60
50
Po Validity+
Threshold
40
30
開度 0%へ制御可能な限界から
5%内側の操作器差圧
20
オート・セットアップで求めた
基準供給圧力の95%
10
0
-10
-400
-300
-200
-100
0
100
200
300
400
Po 1 - Po 2 [kPa]
図 4-12 Po Validity のしきい値(複動・逆作動操作器)
Fig.21 Po Validity のしきい値(複動・逆作動操作器)
120
110
100
オート・セットアップで求めた
基準供給圧力の95%
90
80
開度 [%]
70
開度100%へ制御可能な限界から
5%内側の操作器差圧
Po Validity+
Threshold
60
50
Po ValidityThreshold
40
開度 0%へ制御可能な限界から
5%内側の操作器差圧
30
20
オート・セットアップで求めた
基準供給圧力の95%
10
0
-10
-400
-300
-200
-100
0
100
200
300
400
Po 1 - Po 2 [kPa]
図 4-13 Po Validity のしきい値(複動・正作動操作器)
Fig.22 Po Validity のしきい値(複動・正作動操作器)
23
Table 11 出力空気圧妥当性モニタリングと異常(単動・逆作動操作器)
パラメータ
Po Validity +
Po Validity -
しきい値
異常
(Initial Supply Pressure) グランド部、ガイド部、プラグ・シート
-(Spring Range High)
部固着・かじり
-(Spring Range Low)
操作器出力と流体反力のアンバランス
操作器エア漏れ
スプリングの劣化
4-9
スプリングの倒れ
調整不良:バネ締め上げ
表 4-1 出力空気圧妥当性モニタリングと異常(単動・逆作動操作器)
パラメータ
Po Validity +
しきい値
異常
(Initial Supply Pressure) グランド部、ガイド部、プラグ・シート部
-(Spring Range High)
固着・かじり
Po Validity -
-(Spring Range Low)
操作器出力と流体反力のアンバランス
操作器エア漏れ
スプリングの劣化
スプリングの倒れ
調整不良:バネ締め上げ
表 4-2 出力空気圧妥当性モニタリングと異常(単動・正作動操作器)
パラメータ
Po Validity +
しきい値
異常
(Initial Supply Pressure) 操作器出力と流体反力のアンバランス
-(Spring Range High)
Po Validity -
-(Spring Range Low)
操作器エア漏れ
スプリングの劣化
スプリングの倒れ
グランド部、ガイド部、プラグ・シート部
固着・かじり
表 4-3 出力空気圧妥当性モニタリングと異常(複動・逆作動操作器)
パラメータ
しきい値
異常
Po Validity +
(Initial Supply Pressure)
×(0.95)
グランド部、ガイド部、プラグ・シート部
固着・かじり
Po Validity -
(Initial Supply Pressure)
×(-0.95)
グランド部、ガイド部、プラグ・シート部
固着・かじり
操作器出力と流体反力のアンバランス
表 4-4 Table 14 出力空気圧妥当性モニタリングと異常(複動・正作動操作器)
パラメータ
しきい値
異常
Po Validity +
(Initial Supply Pressure)
×(0.95)
操作器出力と流体反力のアンバランス
グランド部、ガイド部、プラグ・シート部
固着・かじり
Po Validity -
(Initial Supply Pressure)
×(-0.95)
グランド部、ガイド部、プラグ・シート部
固着・かじり
表 4-5 Table 15 出力空気圧妥当性モニタリング パラメータリスト(HART)
パラメータ
内容
初期値
Po Validity +
出力空気圧力妥当性+
−
Po Validity −
出力空気圧力妥当性−
−
Unbalance Force Seg 1
開度別流体反力 1
−
…
−
Unbalance Force Seg 26
開度別流体反力 26
−
Po Validity Threshold +
出力空気圧力妥当性+アラームしきい値
40
Po Validity Threshold -
出力空気圧力妥当性−アラームしきい値
− 80
4-10
表 4-6 出力空気圧妥当性モニタリング パラメータリスト(FF)
パラメータ
内容
初期値
Po Validity +
出力空気圧力妥当性+
−
Po Validity -
出力空気圧力妥当性−
−
Po Validity Threshold +
出力空気圧力妥当性+アラームしきい値
40
Po Validity Threshold -
出力空気圧力妥当性−アラームしきい値
− 80
4-11
4-12
第 5 章 最大摩擦力モニタリング
5 最大摩擦力モニタリング
【概要】
【概要】
■最大摩擦力モニタリングの目的
■最大摩擦力モニタリングの目的
最大摩擦力は、グランド部、ガイド部、プラグ・シート部の固着・かじりに関する指標です。
最大摩擦力は、グランド部、ガイド部、プラグ・シート部の固着・かじりに関する指標です。
最大摩擦力は調節弁の特性の操作器出力圧の往復の差から計算します。
最大摩擦力は調節弁の特性の操作器出力圧の往復の差から計算します。
【アルゴリズム】
【アルゴリズム】
■ Max
Frictionの計算方法
の計算方法
■Max
Friction
Po1 の最大値と最小値の差の半分を摩擦とします。すべての開度区分の摩擦の中で最大
Po1 の最大値と最小値の差の半分を摩擦とします。すべての開度区分の摩擦の中で最大のものを
のものを Max Friction として保存します(図 5-1)。
Max Friction として保存します(Fig.12)。
120
Po Min
Po Max
110
100
90
80
開度[%]
70
開度区分毎に
Po Min と Po Max の差の
半分を摩擦力とする。
60
50
40
開度区分ごとの摩擦力の中で
最大のものを
Max Friction として保存する。
30
20
10
0
-10
0
50
100
150
Po 1 [kPa]
200
250
300
Max Friction
Frictionの計算
の計算
図Fig.23
5-1 Max
【しきい値とアラーム】
【しきい値とアラーム】
■オート・セットアップとしきい値の説明
■オート・セットアップとしきい値の説明
最大摩擦のしきい値はオート・セットアップで求められたスプリングレンジの 25% とし
最大摩擦のしきい値はオート・セットアップで求められたスプリングレンジの 25%とします。
ます。これはヒステリシスがスプリングレンジの 50% に達することを意味し、ポジショ
これはヒステリシスがスプリングレンジの
50%に達することを意味し、ポジショナが調節弁をコ
ナが調節弁をコントロールできる限界です。
ントロールできる限界です。
表 5-1 最大摩擦モニタリングと異常(単動操作器)
パラメータ
Max Friction
しきい値
異常
{(Spring Range High)−
(Spring Range Low) }× 0.25
グランド部、ガイド部、プラグ・シート部
の固着・かじり
27 グランドパッキンの劣化
グランドパッキンの応力緩和
5-1
表 5-2 最大摩擦モニタリングと異常(複動操作器)
パラメータ
しきい値
Max Friction
異常
(Initial Supply Pressure)×0.5 グランド部、ガイド部、プラグ・シート部
の固着・かじり
グランドパッキンの劣化
グランドパッキンの応力緩和
表 5-3 最大摩擦力モニタリング パラメータリスト(HART)
パラメータ
内容
初期値
Max Friction
最大摩擦力
−
Friction Seg 1
開度別摩擦力 1
−
…
−
Friction Seg 26
開度別摩擦力 26
−
Max Friction Threshold
最大摩擦力アラームしきい値
40
表 5-4 最大摩擦力モニタリング パラメータリスト(FF)
パラメータ
内容
初期値
Max Friction
最大摩擦力
−
Max Friction Threshold
最大摩擦力アラームしきい値
40
表 5-5 出力空気圧妥当性・最大摩擦力モニタリング 共通パラメータリスト(HART)
パラメータ
Po Max Seg1
内容
開度別最大出力空気圧力 1
…
初期値
−
−
Po Max Seg 26
開度別最大出力空気圧力 26
−
Po Min Seg 1
開度別最小出力空気圧力 1
−
…
−
Po Min Seg 26
開度別最小出力空気圧力 26
−
Travel Seg Divider 1
開度区切り 1
-5(書き込み不可)
…
(書き込み不可)
Travel Seg Divider 26
開度区切り 25
110(書き込み不可)
Po Stable Threshold
出力空気圧力安定しきい値
0.5
Travel Stable Threshold
開度安定しきい値
0.25
Travel Upper Limit
対象開度上限
109
Travel Lower Limit
対象開度下限
1
5-2
表 5-6 出力空気圧妥当性・最大摩擦力モニタリング 共通パラメータリスト(FF)
パラメータ
Po Max Seg1
内容
開度別最大出力空気圧力 1
…
初期値
−
−
Po Max Seg 26
開度別最大出力空気圧力 26
−
Po Min Seg 1
開度別最小出力空気圧力 1
−
…
−
Po Min Seg 26
開度別最小出力空気圧力 26
−
Travel Seg Divider 1
開度区切り 1
-10
…
Travel Seg Divider 26
開度区切り 25
110
Po Stable Threshold
出力空気圧力安定しきい値
0.5
Travel Stable Threshold
開度安定しきい値
0.25
Travel Upper Limit
対象開度上限
109
Travel Lower Limit
対象開度下限
1
注意
共通パラメータである対象開度上限(Travel Upper Limit)は強制全開値(Travel
Cutoff High)との関係に次のような注意が必要です。
対象開度上限は ( 強制全開値− 5) % 以下となるように設定してください。
また、以下に挙げる操作を行った場合には、本条件を満たしていることを確認
してください。
・ Travel Cutoff High を変更
・オート・セットアップ後にスパン調整
このとき、強制全開値はオーバーストローク % − 1% の値に自動的に変更
されます。
オーバーストロークとはバルブ OPEN 方向ぶつかり位置に対応するバルブ開
度 (%) です。
5-3
5-4
第 6 章 摺動距離積算モニタリング
【概要】
■摺動距離積算モニタリングの目的
摺動距離積算はグランド部や操作器の劣化に関する指標です。
【アルゴリズム】
■デッドバンドと Total Stroke の積算方法
開度センサからの微少な振動を摺動距離として積算すると、実際の摺動距離とは離れて
しまいます。この状況を避けるため、50ms ごとに測定される開度の差分が 0.5% 以下で
あるときは、摺動距離として積算しません。
【しきい値とアラーム】
■しきい値の説明
調節弁の耐久性は 10 万往復と定められています。それに対応する摺動距離積算は 2000
万 % となりますので、これをしきい値とします。摺動距離積算が 2000 万 % を超えたとき、
デバイスステータスに摺動距離積算アラームを立てます。
表 6-1 摺動距離積算モニタリングと異常
パラメータ
Total Stroke
しきい値
2000 万 %
異常
グランドパッキンの劣化(ぼろぼろ、硬化)
グランドパッキンの応力緩和
パッキン潤滑油が切れている
エア漏れ(O リング劣化、ダイヤフラム破損)
スプリングの劣化
表 6-2 摺動距離積算モニタリング パラメータリスト(HART)
パラメータ
内容
初期値
Total Stroke
摺動距離積算値
0
Total Stroke Dead Band
摺動距離積算値デッドバンド
0.5
Total Stroke Threshold
摺動距離積算値アラームしきい値
20,000,000
表 6-3 摺動距離積算 パラメータリスト(FF)
パラメータ
内容
初期値
Total Stroke
摺動距離積算値
0
Total Stroke Threshold
摺動距離積算値アラームしきい値
20,000,000
Travel Accumulator Deadband
摺動距離積算値デッドバンド
0.5
Travel Accumulation Unit
積算値の表示単位
%
6-1
6-2
第 7 章 最大作動速度モニタリング
【概要】
■最大作動速度モニタリングの目的
最大作動速度モニタリングは、グランドパッキンの劣化(ぼろぼろ、硬化)、スプリング
倒れ、ステム軸の折損に関する指標です。
【アルゴリズム】
■ Max Tvl Speed+ と Max Tvl Speed- の計算方法
50ms ごとに測定している開度の差分から速度を計算し、その正側の最大値(Max Tvl
Speed+)と負側の最大値(Max Tvl Speed-)を保存し、逐次更新します。
【しきい値とアラーム】
■しきい値の説明
1 秒間で 0% と 100% の間を移動する動作の非常に速い小型の調節弁は存在します。その
10 倍の速度で動くことは、現実的には考えにくいです。しきい値として、100%/s の 10
倍の 1000%/s を採用します。最大作動速度+と最大作動速度−がそれぞれ 1000%/s およ
び− 1000%/s を超えたとき、デバイスステータス 正側最大作動速度アラームおよび負側
最大作動速度アラームが立ちます。
表 7-1 最大作動速度と異常
パラメータ
しきい値
Max Tvl Speed+ 1000 %/s
Max Tvl Speed-
異常
グランドパッキンの劣化(ぼろぼろ、硬化)
スプリング倒れ
ステム軸の折損
− 1000%/s
表 7-2 最大作動速度 パラメータリスト(HART)
パラメータ
内容
初期値
Max Tvl Speed+
最大作動速度+
0
Max Tvl Speed-
最大作動速度−
0
Max Tvl Speed Threshold+
最大作動速度+アラームしきい値
1,000
Max Tvl Speed Threshold-
最大作動速度−アラームしきい値
− 1,000
表 7-3 最大作動速度 パラメータリスト(FF)
パラメータ
内容
初期値
Max Travel Speed+
最大作動速度+
0
Max Travel Speed-
最大作動速度−
0
Max Travel Speed Threshold+
最大作動速度+アラームしきい値
1,000
Max Travel Speed Threshold-
最大作動速度−アラームしきい値
− 1,000
7-1
7-2
8 開度別頻度分布モニタリング
【概要】
第 8 章 開度別頻度分布モニタリング
■開度別頻度分布モニタリングの目的
【概要】
■開度別頻度分布モニタリングの目的
開度別頻度分布モニタリングは、プラグ・シート部の損傷、プラグ・シート部への流体の付
開度別頻度分布モニタリングは、プラグ・シート部の損傷、プラグ・シート部への流体
エロージョン、コロージョンの発生、調節弁容量の不適に関する指標です。
の付着、エロージョン、コロージョンの発生、調節弁容量の不適に関する指標です。
【アルゴリズム】
【アルゴリズム】
■ Travel
Histogram
の計算方法
■Travel
Histogram
の計算方法
26 個の開度区分に対して、200ms ごとに現在開度が含まれる開度区分の頻度をカウン
26 個の開度区分に対して、200ms ごとに現在開度が含まれる開度区分の頻度をカウントア
トアップします。区分は− 10% 以下、( − 10 − 5]、( − 5 0]、(0 5]、と続き、(105 110]、
-5]、(-5 0]、(0 5]、と続き、(105 110]、110%より大
110%します。区分は-10%以下、(-10
より大、の 26 区分となります。診断パラメータはカウントを割合に変換した%で
保存されます。図
8-1 は開度別頻度分布の診断パラメータを使ったヒストグラムのイメー
26 区分となります。診断パラメータはカウントを割合に変換した%で保存されます。Fig.15
ジです。
度別頻度分布の診断パラメータを使ったヒストグラムのイメージです。
頻度[%]
開度区分
図 8-1 開度別頻度分布(ヒストグラム)のイメージ
Fig.24 開度別頻度分布(ヒストグラム)のイメージ
表 8-1 開度別頻度分布モニタリングと異常
パラメータの特徴
Travel Histogram の最頻開度が小さ
い開度であるとき
異常
プラグ・シート部の損傷
プラグ・シート部への流体の付着
エロージョン(壊食、全体的) シート部
コロージョン(腐食、全体的) シート部
調節弁容量が大きすぎる
32
8-1
表 8-2 開度別頻度分布モニタリング パラメータリスト(HART)
パラメータ
Travel Histogram 1
内容
開度別頻度 1
初期値
0
…
0
Travel Histogram 26
開度別頻度 26
0
Travel Seg Divider 1
開度区切り 1
-5 書き込み不可
…
書き込み不可
Travel Seg Divider 26
開度区切り 25
110 書き込み不可
表 8-3 開度別頻度分布 パラメータリスト(FF)
パラメータ
Travel Histogram 1
内容
開度別頻度 1
…
Travel Histogram 26
初期値
0
0
開度別頻度 26
8-2
0
第 9 章 全閉回数モニタリング
【概要】
■全閉回数モニタリングの目的
全閉回数は、シートの摩耗とプラグ・シート部の損傷に関する指標です。強制全閉指令
があった回数を積算し、診断パラメータとします。これは実際に全閉された回数にほぼ
等しいと考えられ、全閉回数が多いということは、それだけシートに摩耗や損傷の可能
性が高くなります。
【アルゴリズム】
■ Shut Count の計算方法
強制全閉指令が OFF から ON になった回数を積算します。
【しきい値とアラーム】
■しきい値の説明
調節弁の耐久性は 10 万往復と定められています。それに対応する全閉回数は 10 万回と
なりますので、これをしきい値とします。全閉回数が 10 万回を超えたとき、デバイスス
テータスに全閉回数アラームを立てます。
表 9-1 全閉回数モニタリングと異常
パラメータ
Shut Count
しきい値
10 万回
異常
シートの摩耗
プラグ・シート部の損傷
表 9-2 全閉回数モニタリング パラメータリスト(HART/FF 共通)
パラメータ
内容
初期値
Shut Count
全閉回数
0
Shut Count Threshold
全閉回数アラームしきい値
100,000
9-1
9-2
10 反転動作回数モニタリング
第 10 章 反転動作回数モニタリング
【概要】
【概要】
■反転動作回数モニタリングの目的
■反転動作回数モニタリングの目的
反転動作回数はグランド部や操作器の劣化に関する指標です。
反転動作回数はグランド部や操作器の劣化に関する指標です。
調節弁が反転した回数を積算し、診断パラメータとします。反転動作回数が多いという
調節弁が反転した回数を積算し、診断パラメータとします。反転動作回数が多いということ
ことは、それだけ全開と全閉の間の長い距離を調節弁が動作したことを示します。
それだけ全開と全閉の間の長い距離を調節弁が動作したことを示します。
【アルゴリズム】
【アルゴリズム】
■開度の上下限と反転動作回数の積算方法
■開度の上下限と反転動作回数の積算方法
調節弁が小さな距離を反転した回数は摺動部品の劣化には直接影響ないので、全閉また
調節弁が小さな距離を反転した回数は摺動部品の劣化には直接影響ないので、全閉または
は全開に近い開度で大きく反転した動作だけをカウントする必要があります。そこで上
に近い開度で大きく反転した動作だけをカウントする必要があります。そこで上限と下限の
限と下限の開度を決め(95%
と 5%)、その開度の間を横切ったときに反転動作回数をカ
を決め(95%と 5%)
、その開度の間を横切ったときに反転動作回数をカウントアップし
ウントアップします(図
10-1)
。
(Fig.14)。
開度[%]
1回
3回
95%
5%
2回
時間
Fig.25 反転動作回数のカウントアップ方法
図 10-1 反転動作回数のカウントアップ方法
これによって、調節弁のストロークを通して反転した回数が積算されます。
これによって、調節弁のストロークを通して反転した回数が積算されます。
【しきい値とアラーム】
【しきい値とアラーム】
■しきい値とアラーム
■しきい値とアラーム
調節弁の耐久性は
10 万往復と定められています。10
万往復に相当する反転動作回数は
調節弁の耐久性は
10 万往復と定められています。
10 万往復に相当する反転動作回数は 20
20 万回となりますので、これをしきい値とします。反転動作回数が 20 万回を超えたとき、
となりますので、これをしきい値とします。反転動作回数が 20 万回を超えたとき、デバイス
デバイスステータスに反転動作回数アラームを立てます。
ータスに反転動作回数アラームを立てます。
35
10-1
表 10-1 反転動作回数モニタリングと異常
パラメータ
Cycle Count
しきい値
20 万回
異常
グランドパッキンの劣化(ぼろぼろ、硬化)
グランドパッキンの応力緩和
パッキン潤滑油が切れている
エア漏れ(O リング劣化、ダイヤフラム破損)
スプリングの劣化
表 10-2 反転動作回数モニタリング パラメータリスト(HART)
パラメータ
Cycle Count
内容
初期値
反転動作回数
0
Cycle Count Dead Band High
反転動作回数デッドバンド上側
95
Cycle Count Dead Band Low
反転動作回数デッドバンド下側
5
Cycle Count Threshold
反転動作回数アラームしきい値
200,000
表 10-3 反転動作回数モニタリング パラメータリスト(FF)
パラメータ
内容
初期値
Cycle Count
反転動作回数
0
Cycle Count Deadband High
反転動作回数デッドバンド上側
95
Cycle Count Deadband Low
反転動作回数デッドバンド下側
5
Cycle Count Threshold
反転動作回数アラームしきい値
200,000
10-2
第 11 章 ポジショナ空気回路診断
11. ポジショナ空気回路診断
【概要】
【概要】
■ポジショナ空気回路診断の目的
■異常の検出方法(基準との比較)
■ポジショナ空気回路診断の目的
■異常の検出方法(基準との比較)
供給空気圧力
圧力センサ
空気回路部
固定絞り
EPM
入力信号
電気回路
(CPU演算)
駆動
信号
電空変換部
(ノズルフラッパ)
圧力センサ
Local User
Interface
調節
弁
パイロット
リレー
EPM
ノズル背圧
出力空気圧力
圧力センサ x2
開度センサ
開度
Fig. 26 空気回路
図 11-1 空気回路
ポジショナ空気回路診断は、ポジショナ内部にある固定絞りやノズルフラッパの詰まりに代表
ポジショナ空気回路診断は、ポジショナ内部にある固定絞りやノズルフラッパの詰まり
される空気回路の異常を検出する診断です。
そのためにノズル背圧(Pn)を圧力センサで測定し、
に代表される空気回路の異常を検出する診断です。そのためにノズル背圧(Pn)を圧力
センサで測定し、ノズルフラッパを動かすためのコイルに流す電流値である
EPM 駆動
ノズルフラッパを動かすためのコイルに流す電流値である
EPM 駆動信号との関係から異常を検
信号との関係から異常を検出します。
出します。
たとえば、固定絞りが詰まると Pn が小さくなるため、Pn を元の値に戻すために EPM
たとえば、固定絞りが詰まると Pn が小さくなるため、Pn を元の値に戻すために EPM 駆動信
駆動信号は大きくなります。また、ノズルフラッパが詰まると Pn が大きくなるため、
号は大きくなります。また、ノズルフラッパが詰まると Pn が大きくなるため、Pn を元の値に戻
Pn を元の値に戻すために EPM 駆動信号は小さくなります。そのような関係から正常な
すために
EPM駆動信号と
駆動信号は小さくなります。そのような関係から正常な時の
EPM 駆動信号と Pn
時の EPM
Pn の関係からのシフト量をモニタリングすることで異常を検出し
の関係からのシフト量をモニタリングすることで異常を検出します。
ます。
【アルゴリズム】
【アルゴリズム】
■ Pn と EPM 駆動信号の安定判定
■Pn と EPM 駆動信号の安定判定
■オート・セットアップによる基準の取得
■オート・セットアップによる基準の取得
アルゴリズムとしては、プラントが運転している状態でも診断できることを目的として
アルゴリズムとしては、プラントが運転している状態でも診断できることを目的としています。
います。
そのため、調節弁が動いている状態のデータではなく、安定している状態においての
Pn
そのため、
調節弁が動いている状態のデータではなく、安定している状態においての Pn と EPM
と
EPM
駆動信号の関係を測定しています。調節弁が動いている状態では
EPM
駆動信号
駆動信号の関係を測定しています。調節弁が動いている状態では EPM 駆動信号が大きく変動す
が大きく変動するため空気回路異常であるという判断ができなくなるためです。
また、正常な状態としてオート・セットアップ時に測定される Pn と EPM 駆動信号から、
その傾きと EPM 駆動信号が 50%の点を基準としています。そのため、この診断を正し
37
く実行するためには正常な状態でのオート・セットアップの実行が必要となります。
11-1
また、正常な状態としてオート・セットアップ時に測定される Pn と EPM 駆動信号から、その
傾きと EPM 駆動信号が 50%の点を基準としています。そのため、この診断を正しく実行するた
めには正常な状態でのオート・セットアップの実行が必要となります。
164
Drive Signal Max Sh ift 162
Drive Sign al Max Shift +
Pn [kPa]
160
158
ノズルフラッパ詰まり
156
正常
154
Pn-EPM駆動信号基準線
固定絞り詰まり
152
20
30
40
50
EPM駆動信号 [%]
60
70
80
図 11-2 ポジショナ空気回路診断におけるシフト量の測定
Fig. 27 ポジショナ空気回路診断におけるシフト量の測定
(正作動ポジショナの場合)
(正作動ポジショナの場合)
基準線からの正側 Drive Signal シフト量の最大値と負側 Drive Signal シフト量の最小値
をそれぞれ Drive Sig Max Shift + と Drive Sig Max Shift - というパラメータで保存し
基準線からの正側 Drive Signal シフト量の最大値と負側 Drive Signal シフト量の最小値をそれ
ており、そのパラメータがしきい値を超えた場合にアラームを発報するようになってい
Drive Sig Drive
Max Shift
+と Drive
Max Shift - というパラメータで保存しており、そのパ
ぞれます。正側
Sig Max
Shift +Sig
がしきい値を超えた場合は固定絞りが詰まった現象の
ラメータがしきい値を超えた場合にアラームを発報するようになっています。正側
DriveSig
Sig Max
傾向が認められ、「固定絞り詰まり」というアラームが発報されます。また、Drive
Max
Shift - がしきい値を超えた場合は、ノズルフラッパが詰まった現象の傾向が認めら
Shift
+がしきい値を超えた場合は固定絞りが詰まった現象の傾向が認められ、
「固定絞り詰まり」
れ「ノズルフラッパ詰まり」というアラームが発報されます。
というアラームが発報されます。また、Drive Sig Max Shift -がしきい値を超えた場合は、ノズ
ルフラッパが詰まった現象の傾向が認められ「ノズルフラッパ詰まり」というアラームが発報さ
【しきい値とアラーム】
れます。
■しきい値の説明
診断パラメータのしきい値は Drive Sig Max Shift + を 25%、Drive Sig Max Shift - を−
25% としています。これらのしきい値を超えた場合、固定絞り詰まりまたはノズルフラッ
【しきい値とアラーム】
パ詰まりがそれぞれ発生しており、ポジショナの制御機能に障害が生じる状態です。
■しきい値の説明
調節弁診断パラメータと異常現象の関係を以下に示します。
表 11-1 ポジショナ空気回路診断と異常
38
(正作動ポジショナ)
パラメータ
しきい値
異常
Drive Sig Max Shift +
25%
絞りの詰まり
Drive Sig Max Shift -
− 25%
ノズルの詰まり
ポジショナが逆作動の場合、診断アルゴリズムは同じですが、診断パラメータとアラー
ムの対応関係は正作動と反対になります。正作動は Drive Signal が大きくなるとノズル
フラッパの隙間が狭くなるのに対し、逆作動では広くなるという動作に違いがあるため
です。以下に、その対応関係を示します。
11-2
表 11-2 ポジショナ空気回路診断と異常
(逆作動ポジショナ)
パラメータ
しきい値
異常
Drive Sig Max Shift +
25%
ノズルの詰まり
Drive Sig Max Shift -
− 25%
絞りの詰まり
表 11-3 ポジショナ空気回路診断 パラメータリスト(HART)
パラメータ
内容
初期値
Drive Sig Max Shift +
EPM 駆動信号最大シフト+
0
Drive Sig Max Shift -
EPM 駆動信号最大シフト−
0
Drive Sig Shift Threshold +
EPM 駆動信号シフト+しきい値
25
Drive Sig Shift Threshold -
EPM 駆動信号シフト−しきい値
-25
Drive Sig Stable Threshold
EPM 駆動信号安定しきい値
1
Pn Stable Threshold
ノズル背圧(Pn)安定しきい値
0.5
Drive Sig + Alarm Count
EPM 駆動信号+アラーム発生回数
0
Drive Sig - Alarm Count
EPM 駆動信号−アラーム発生回数
0
表 11-4 ポジショナ空気回路診断 パラメータリスト(FF)
パラメータ
内容
初期値
Drive Signal Max Shift +
EPM 駆動信号最大シフト+
0
Drive Signal Max Shift -
EPM 駆動信号最大シフト−
0
Drive Signal Shift Threshold +
EPM 駆動信号シフト+しきい値
25
Drive Signal Shift Threshold -
EPM 駆動信号シフト−しきい値
-25
Drive Signal Stable Threshold
EPM 駆動信号安定しきい値
1
Pn Stable Threshold
ノズル背圧(Pn)安定しきい値
0.5
Drive Signal + Alarm Count
EPM 駆動信号+アラーム発生回数
0
Drive Signal - Alarm Count
EPM 駆動信号−アラーム発生回数
0
11-3
11-4
第 12 章 供給空気圧力診断
【概要】
■供給空気圧力診断の目的
供給空気圧力診断は、供給圧力の不足と過剰を検出します。供給空気圧力をポジショナ
に内蔵された圧力センサで測定し、圧力が基準と比べて減少傾向にあるか、増加傾向に
あるか、などの供給空気圧力を監視することで実現します。
【アルゴリズム】
■供給空気圧力の基準
供給空気圧力診断は、供給空気圧力の測定値の最大値と最小値を逐次更新します。比較
対象となる供給空気圧力の基準は正常時のオート・セットアップ中に測定されたもので
す。オート・セットアップ実行中にも供給空気圧力は測定されており、最大値、最小値、
基準値を求めます。これらのデータを使って供給空気圧力診断のしきい値を計算します。
【しきい値とアラーム】
■オート・セットアップでのしきい値の計算方法
供給空気圧力診断のしきい値はオート・セットアップ中に測定された供給空気圧力の最
小値と最大値に供給圧変動の許容スペック(正常動作条件,±7%)の余裕をもたせたも
のです。
※最大供給圧力(オート・セットアップ)> 1.05× 基準供給圧力(オート・セットアッ
プ)のとき
高圧アラームしきい値 = 最大供給圧力(オート・セットアップ)+ 0.05× 基準供給圧力(オート・セットアップ)
※ それ以外
高圧アラームしきい値 = 1.1× 基準供給圧力(オート・セットアップ)
※最小供給圧力(オート・セットアップ)< 0.95× 基準供給圧力(オート・セットアッ
プ)のとき
低圧アラームしきい値 = 最小供給圧力(オート・セットアップ)− 0.05× 基準供給圧力(オート・セットアップ)
※ それ以外
低圧アラームしきい値 = 0.9× 基準供給圧力(オート・セットアップ)
オート・セットアップ中には Drive Signal を 0 から 100 にする動作があり、このときポ
ジショナへの最大の給気とポジショナからの最大の排気が行われます。同時に供給空気
圧力の減少および増加があり、オート・セットアップを実施した時点での供給空気圧力
変動の上限と下限がわかります。これらの値を元に上記のようにしきい値を自動設定し
ます。
表 12-1 供給空気圧力診断と異常
パラメータ
しきい値(上記)
異常
Sup Press Max
高圧アラームしきい値
供給圧力過剰
Sup Press Min
低圧アラームしきい値差
供給圧力不足
12-1
表 12-2 供給空気圧力診断 パラメータリスト(HART)
パラメータ
内容
初期値
Sup Press Max
最大供給空気圧力
−
Sup Press Min
最小供給空気圧力
−
Sup Press Threshold High
供給空気圧力 High アラームしきい値
308
Sup Press Threshold Low
供給空気圧力 Low アラームしきい値
252
Sup Press High Alarm Count
供給空気圧力 High アラーム回数
0
Sup Press Low Alarm Count
供給空気圧力 Low アラーム回数
0
表 12-3 供給空気圧力診断 パラメータリスト(FF)
パラメータ
内容
初期値
Pressure Supply Max
最大供給空気圧力
−
Pressure Supply Min
最小供給空気圧力
−
Pressure Supply Threshold High
供給空気圧力 High アラームしきい値
308
Pressure Supply Threshold Low
供給空気圧力 Low アラームしきい値
252
Pressure Supply High Alarm Count
供給空気圧力 High アラーム回数
0
Pressure Supply Low Alarm Count
供給空気圧力 Low アラーム回数
0
12-2
第 13 章 ポジショナ内部温度モニタリング
【概要】
■ポジショナ内部温度モニタリングの目的
ポジショナ内部温度モニタリングはグランドパッキンの劣化に関する指標です。ポジショ
ナ内部に搭載された温度センサで温度を測定します。
【アルゴリズム】
■温度の計算方法
エレキボードの温度センサの測定値について、その最大値と最小値を逐次更新して保存
します。
【しきい値とアラーム】
■しきい値の説明
しきい値は AVP700 の使用条件(− 40 〜 80℃)にしたがいます。
表 13-1 エレキボード温度診断と異常現象
診断パラメータ
しきい値
Temp Max
80 ℃
Temp Min
-40 ℃
異常現象
グランドパッキンの劣化(ぼろぼろ、硬化)
表 13-2 ポジショナ内部温度診断 パラメータリスト(HART)
パラメータ
内容
初期値
Temp Max
最高温度
−
Temp Min
最低温度
−
Temp Threshold High
温度アラーム High アラームしきい値
80
Temp Threshold Low
温度アラーム Low アラームしきい値
-40
Temp High Alarm Count
温度アラーム High アラーム回数
0
Temp Low Alarm Count
温度アラーム Low アラーム回数
0
表 13-3 ポジショナ内部温度診断 パラメータリスト(FF)
パラメータ
内容
初期値
Temperature Max
最高温度
−
Temperature Min
最低温度
−
Temperature Threshold High
温度アラーム High アラームしきい値
80
Temperature Threshold Low
温度アラーム Low アラームしきい値
-40
Temperature High Alarm Count
温度アラーム High アラーム回数
0
Temperature Low Alarm Count
温度アラーム Low アラーム回数
0
13-1
13-2
14 Valve Signature
【概要】
第 14
章 Valve
Signature
■Valve
Signature の目的
【概要】
■グラフの形状
■ Valve Signature の目的
■パラメータの計算
■グラフの形状
■パラメータの計算
バルブシグネチャは、定期修理中に行うテストで、調節弁をゆっくりと全閉→全開→全閉と動作
バルブシグネチャは、定期修理中に行うテストで、調節弁をゆっくりと全閉→全開→全
させ、開度と操作器へ供給している空気圧の関係をグラフ表示します。グラフの形状から、調節
閉と動作させ、開度と操作器へ供給している空気圧の関係をグラフ表示します。グラフ
弁の摩擦異常や締切り異常を把握します。
の形状から、調節弁の摩擦異常や締切り異常を把握します。
※AVP700
のみでのテスト実施はサポートしていません。調節弁メンテナンスサポートツール
※AVP700
のみでのテスト実施はサポートしていません。調節弁メンテナンスサポート
ツール
PLUG-IN
Valstaff が必要です。
PLUG-IN
Valstaff
が必要です。
セットポイント動作パターン
140
120
セットポイント [%]
パターンの指示
100
80
60
40
20
0
-20
0
20
40
60
時間 [s]
80
100
120
ダイナミックエラーバンド
120
100
80
開度 [%]
バルブシグネチャ
120
60
40
20
100
0
-20
-20
0
60
20
40
60
80
セットポイント [%]
100
120
140
ダイナミックエラーバンド
最大値・最小値・平均値 [%]
動的直線性 [%]
40
20
0
EPM駆動信号
-20
80
0
50
100
150
Po1 [kPa]
200
250
300
70
60
シーティングフォース計算値 [N]
摩擦力測定値・最大 平均 最少[N]
スプリングレンジ測定値・全閉側 [kPa]
バネ剛性[N/m]
スティックスリップ診断データ
開度 [%]
データ収集
開度 [%]
Po1 [kPa]
Po2 [kPa]
Pn [kPa]
EPM駆動信号 [%]
開度 [%]
80
50
40
30
20
-20
0
20
40
60
セットポイント [%]
80
SP50%時EPM駆動信号(%)
EPM駆動信号スパン(%)
レポート出力
Fig.28
バルブシグネチャの概要
図 14-1 バルブシグネチャの概要
44
14-1
100
120
【アルゴリズム】
【アルゴリズム】
■パターンによる調節弁の動作
■パターンによる調節弁の動作
■PLUG-IN Valstaff(レポート機能)
■ PLUG-IN Valstaff(レポート機能)
・グラフ表示
・グラフ表示
・パラメータの算出
・パラメータの算出
120
セットポイント [%]
100
グランドパッキンなどの
開始状態のばらつきを
なくすための準備運転
80
60
40
データ収録開始
20
調節弁を全開へ
調節弁を全閉へ
0
-20
-50 -40 -30 -20 -10 0
10 20 30 40 50 60 70 80 90 100 110 120 130
時間 [s]
図 14-2 パターン(セットポイント)の与え方
Fig.29 パターン(セットポイント)の与え方
120
100
開度 [%]
80
シーティングフォース計算値
全閉位置のPo1から求めたシーティングフォース測定値から
流体反力を差し引いたもの。
60
40
流体反力
20
0
-20
0
50
100
150
Po1 [kPa]
45
200
250
300
図Fig.30
14-3 指標:シーティングフォース計算値
指標:シーティングフォース計算値
120
100
摩擦力[N]
計算範囲の往復のPo1の差の1/2を計算し、
操作器のダイアフラム面積を乗じて力へ変換する。
最大値、最小値、平均値をそれぞれ計算する。
度 [%]
80
60
14-2
計算範囲
Po1 [kPa]
Fig.30 指標:シーティングフォース計算値
120
摩擦力[N]
計算範囲の往復のPo1の差の1/2を計算し、
操作器のダイアフラム面積を乗じて力へ変換する。
最大値、最小値、平均値をそれぞれ計算する。
100
開度 [%]
80
60
計算範囲
40
20
0
-20
0
50
100
150
Po1 [kPa]
200
250
300
図 14-4 指標:摩擦力の計算方法
Fig.31 指標:摩擦力の計算方法
120
6 4
スプリングレンジ上限[kPa]
最小二乗直線の開度100%の値
100
開度 [%]
80
60
スプリングレンジ下限[kPa]
最小二乗直線の開度0%の値
40
ばね剛性[N/m]
スプリングレンジ上限下限の差と
定格トラベルから計算する。
20
10~90%のデータを用いて
求めた往復データの
最小二乗直線
0
-20
0
50
100
150
Po1 [kPa]
200
250
300
図Fig.32
14-5 指標:スプリングレンジ・バネ剛性の計算方法
指標:スプリングレンジ・バネ剛性の計算方法
120
ダイナミックエラーバンド
開度1%~109%のデータを用いて
同じセットポイントにおける開度の
往復の差を計算する。
最大値、最小値、平均値をそれぞれ計算する。
100
開度 [%]
80
60
40
20
0
-20
-20
0
20
14-3 40
60
セットポイント [%]
80
100
120
Fig.32 指標:スプリングレンジ・バネ剛性の計算方法
120
ダイナミックエラーバンド
開度10~90%のデータを用いて
同じセットポイントにおける開度の
往復の差を計算する。
最大値、最小値、平均値をそれぞれ計算する。
100
開度 [%]
80
60
40
20
0
-20
-20
0
20
40
60
セットポイント [%]
80
100
120
100
120
図Fig.33
14-6 指標:ダイナミックエラーバンドの計算方法
指標:ダイナミックエラーバンドの計算方法
120
入力信号開度0%時・入力信号開度100%時
最小二乗直線の開度0%時および開度100%時の
セットポイントから入力信号[mA]を計算する。
100
開度 [%]
80
47
60
40
20
10~90%のデータを用いて
求めた往復データの
最小二乗直線
0
-20
-20
0
20
40
60
セットポイント [%]
80
図 14-7 指標:入力信号開度
時・入力信号開度100%時の計算方法
100% 時の計算方法
Fig.34 指標:入力信号開度 0%
0%時・入力信号開度
29
動的直線性
同じセットポイントにおける最小二乗直線と
往復データの差異の最大値を計算する。
27
開度 [%]
25
23
1%~109%のデータを用いて
求めた往復データの
最小二乗直線
21
19
17
15
15
17
19
21
23
セットポイント [%]
25
14-4
Fig.35 指標:動的直線性の計算方法
27
29
Fig.34 指標:入力信号開度 0%時・入力信号開度 100%時の計算方法
29
動的直線性
同じセットポイントにおける最小二乗直線と
往復データの差異の最大値を計算する。
27
開度 [%]
25
23
10~90%のデータを用いて
求めた往復データの
最小二乗直線
21
19
17
15
15
17
19
21
23
セットポイント [%]
25
27
29
図Fig.35
14-8 指標:動的直線性の計算方法
指標:動的直線性の計算方法
60
SP50%時EPM駆動信号
最小二乗直線の
セットポイント50%時の
EPM駆動信号を計算する。
58
EPM駆動信号 [%]
56
54
52
48
50
48
EPM駆動信号スパン
最小二乗直線の
セットポイント0%時と100%時の
EPM駆動信号の差を計算する。
46
44
往復データの
最小二乗直線
42
40
-20
0
20
40
60
セットポイント [%]
80
100
120
図 14-9 指標:SP50% 時 EPM 駆動信号・EPM 駆動信号スパンの計算方法
Fig.36 指標:SP50%時 EPM 駆動信号・EPM 駆動信号スパンの計算方法
【しきい値とアラーム】
【しきい値とアラーム】
■しきい値の説明
■しきい値の説明
・シーティングフォースしきい値
・シーティングフォースしきい値
・最大摩擦しきい値、最小摩擦しきい値
・最大摩擦しきい値、最小摩擦しきい値
・全閉側スプリングレンジ
・スプリングレンジ
・スティックスリップ
・スティックスリップ
・EPM 駆動信号
・EPM 駆動信号
14-5
120
シーティングフォース計算値しきい値
調節弁の仕様から決まる。
シーティングフォース計算値がしきい
値を下回ると警告する。
100
開度
開度 [%]
[%]
80
60
40
シーティングフォース計算値
流体反力
20
0
-20
0
50
100
150
Po1 [kPa]
200
250
300
図 Fig.37
14-10 シーティングフォース計算値のしきい値
シーティングフォース計算値のしきい値
120
最大摩擦力しきい値
調節弁の仕様から決まる。
摩擦力測定値がしきい値を超
えると警告する。
100
開度
開度 [%]
[%]
80
60
計算範囲
40
20
0
-20
0
50
100
150
Po1 [kPa]
200
図 Fig.38
14-11 最大摩擦力のしきい値
最大摩擦力のしきい値
50
14-6
250
300
120
最小摩擦力しきい値
調節弁の仕様から決まる。
摩擦力測定値がしきい値を下
回ると警告する。
100
開度 [%]
80
60
計算範囲
40
20
0
-20
0
50
100
150
Po1 [kPa]
200
250
300
図 14-13 スプリングレンジのしきい値図の修正版
14-12 最小摩擦力のしきい値
Fig.39 最小摩擦力のしきい値
キャプションも修正が必要です.
120
スプリングレンジ上限[kPa]
100
開度 [%]
80
スプリングレンジ下限しきい値[kPa]
調節弁の仕様の±レンジ幅の10%から
はずれたら警告する。
60
40
スプリングレンジ上限しきい値[kPa]
調節弁の仕様の±レンジ幅の10%から
はずれたら警告する。
20
0
スプリングレンジ下限[kPa]
-20
0
50
100
150
Po1 [kPa]
200
Fig.40 スプリングレンジのしきい値
図 14-13 スプリングレンジのしきい値
図 14-13 スプリングレンジ全閉側、スプリングスパンのしきい値
以上よろしくお願い致します. THQ PDD 大塚 512015/3/30
14-7
250
300
80
EPM駆動信号 [%]
70
60
SP50%時EPM駆動信号しきい値
ポジショナの正常動作範囲 25%~75% を外れたら
警告する。
50
SP50%時EPM駆動信号
40
30
20
-20
0
20
40
60
セットポイント [%]
80
100
120
図 14-14 SP50%
EPM
駆動信号のしきい値
Fig.41 SP50%時時
EPM
駆動信号のしきい値
表 14-1 Valve Signature のパラメータ (HART/FF 共通 )
Table 42 Valve Signature のパラメータ(HART/FF
共通)
パラメータ
内容
パラメータ
シーティングフォース計算値
(N)
内容
着座した状態で、プラグがシートを押し付けている力
摩擦力測定値・最大
(N)
シーティングフォース計算値(N)
摩擦力測定値・平均
(N)
摩擦力測定値・最大(N)
バルブシグネチャのデータから算出した摩擦力の最大値
着座した状態で、プラグがシートを押し付けている力
バルブシグネチャのデータから算出した摩擦力の平均値
バルブシグネチャのデータから算出した摩擦力の最大値
(kPa)
ばね剛性(N/m)
の下限値
バルブシグネチャのデータから算出した、操作器のばね
剛性
バルブシグネチャのデータから算出した、スプリングレンジ
摩擦力測定値・最小 (N)
バルブシグネチャのデータから算出した摩擦力の最小値
摩擦力測定値・最小(N)
バルブシグネチャのデータから算出した摩擦力の最小値
全閉側スプリングレンジ測定値 (kPa) バルブシグネチャのデータから算出した、スプリングレ
スプリングレンジ測定値・下限
バルブシグネチャのデータから算出した、スプリングレンジ
ンジ
スプリングレンジ測定値・上限
スティックスリップ診断データ
(kPa)
ばね剛性(N/m)
入力信号開度
0% 時 (mA)
スティックスリップ診断データ
バルブシグネチャ実施中のスティックスリップ診断の結
の上限値
果
バルブシグネチャのデータから算出した、操作器のばね剛性
トラベルが 0 % のときの入力信号 (mA) です。ポジショ
ナが FF 通信の場合は表示しません。
バルブシグネチャ実施中のスティックスリップ診断の結果
入力信号開度
100% 時 (mA)
トラベルが0100
% のときの入力信号 (mA) です。ポジショ
入力信号開度0%時(mA)
トラベルが
%のときの入力信号(mA)です。ポジショナが
ナが FF 通信の場合は表示しません。
FF 通信の場合は表示しません。
ダイナミックエラーバンド最大値 (%) 往復のトラベルの差の最大値
入力信号開度100%時(mA)
100 %のときの入力信号(mA)です。ポジショナが
ダイナミックエラーバンド最小値
(%)トラベルが
往復のトラベルの差の最小値
通信の場合は表示しません。
ダイナミックエラーバンド平均値 (%)FF往復のトラベルの差の平均値
ダイナミックエラーバンド最大値
動的直線性
(%)
(%)
SP50% 時 EPM 駆動信号 (%)
ダイナミックエラーバンド最小値
EPM 駆動信号スパン (%)
(%)
往復のトラベルの差の最大値
バルブシグネチャのデータから算出したトラベルの値と、
実際のトラベルの値の差の最大値
Set Point 50 % 時の EPM 駆動信号
往復のトラベルの差の最小値
Set Point 0 % 時と 100 % 時の EPM 駆動信号の幅
52
14-8
表 14-2 Valve Signature パラメータと異常(HART/FF 共通)
パラメータ
しきい値
異常
シーティングフォース計算
値 (N)
スペック
グランド部、ガイド部、プラグ・シート部固着・かじり
操作器出力と流体反力とのアンバランス
エア漏れ(O リング劣化、ダイヤフラム破損)
スプリングの劣化
スプリング倒れ
調整不良 バネ締め上げ(締切荷重不足)
摩擦力測定値・最大 (N)
スペック
グランド部、ガイド部、プラグ・シート部固着・かじり
摩擦力測定値・最小 (N)
スペック
フィードバックレバーの外れ
全閉側スプリングレンジ測
定値 (kPa)
スペック
スプリングの劣化
スプリング倒れ
調整不良 バネ締め上げ(締切荷重不足)
バネ剛性(N/m)
なし
スプリングの劣化
スプリング倒れ
スティックスリップ診断
データ
10 をしきい値
とする
グランド部、ガイド部、プラグ・シート部固着・かじり
ダイナミックエラーバンド
最大値 (%)
なし
制御パラメータ不適
ダイナミックエラーバンド
最小値 (%)
なし
ダイナミックエラーバンド
平均値 (%)
なし
動的直線性 (%)
なし
SP50% 時 EPM 駆動信号
(%)
25% 以上
75% 以下を正
常とする
ポジショナのノズル・絞りのつまり
EPM 駆動信号スパン (%)
なし
パイロットの故障
14-9
14-10
15 STEP 応答テスト
第 15 章 STEP
応答テスト
【概要】
【概要】
■STEP
応答テストの目的
■ STEP
応答テストの目的
■代表的なパターン
■代表的なパターン
・全開全閉
・全開全閉
・5 点チェック
・5 点チェック
・1% ステップ
・1%ステップ
140
120
入力信号 [%]
100
80
60
40
20
0
0
5
10
15
時間 [s]
20
25
30
全閉全開パターン
図Fig.42
15-1 全閉全開パターン
120
入力信号 [%]
100
80
60
40
20
0
0
10
20
30
40
50
時間 [s]
図Fig.43
15-2 5
5点チェック
55点チェック
55
力信号 [%]
53
51
15-1
60
70
80
90
Fig.43 5点チェック
55
入力信号 [%]
53
51
49
47
45
0
100
200
300
時間 [s]
400
500
600
1%ステップ
図Fig.44
15-3 1%
ステップ
ステップ応答テストは、定期修理中に行うテストで、調節弁にステップ入力信号を与え、
これに対するトラベルの応答を記録します。トレンド表示させた結果から調節弁動作の
ステップ応答テストは、定期修理中に行うテストで、調節弁にステップ入力信号を与え、これに
良否判定や、テスト結果から得られる動特性を表す指標データによって調節弁の性能を
対するトラベルの応答を記録します。トレンド表示させた結果からの調節弁動作の良否判定や、
定量化することができます。
※AVP700 のみでのテスト実施はサポートしていません。調節弁メンテナンスサポート
ツール PLUG-IN Valstaff が必要です。
56
【アルゴリズム】
■テストレポートに出力するパラメータの計算方法
表 15-1 全閉全開テストレポート出力パラメータリスト(HART/FF 共通)
判定方法とパラメータ
内容
ゼロ点判定 最終 PV 値
セットポイント 0% 時の最終 PV 値
作動スピード判定 T99FS
99%FS に達するまでの時間
表 15-2 5 点チェック テストレポート出力パラメータリスト(HART/FF 共通)
判定方法とパラメータ
内容
ゼロ点判定 最終 PV 値
セットポイント 0% 時の最終 PV 値
偏差判定 最終 PV 値
セットポイントが 0% より大きい時ステップの最終 PV 値
整定時間判定 Tss/T86
整定時間 Tss を T86 で割って正規化した値.
Tss: ステップ入力後,トラベル最終到達値の ±0.5%FS 以内に
なるまでの時間.
T86:ステップ入力後,ステップ幅の 86.5% に達するまでの時間.
オーバーシュート・アン
ダーシュート判定 Overshoot
Undershoot
Overshoot: 入力信号に対してトラベルが行き過ぎた場合,入力
信号からの最大超過量の絶対値 (%FS).
Undershoot: オーバーシュートが発生した後,入力信号に対して
戻りすぎた場合,入力信号からの最大超過量の絶対値 (%FS).
表 15-3 1% ステップ テストレポート出力パラメータリスト(HART/FF 共通)
判定方法とパラメータ
内容
偏差判定 最終 PV 値
セットポイントが 0% より大きい時ステップの最終 PV 値
整定時間判定 Tss
ステップ入力後、トラベル最終到達値の ±0.5%FS 以内になる
までの時間.
15-2
【しきい値とアラーム】
■しきい値の説明
表 15-4 レポート出力パラメータリスト(HART/FF 共通)
パラメータ
しきい値
異常
ゼロ点判定 最終 PV 値
-3% 以上 1% 以下が
合格
異物噛み込み
シートの摩耗
全閉位置の調整ズレ
偏差判定 最終 PV 値
±1%
制御パラメータ不適
整定時間判定 Tss/T86
14.0 以下が合格
制御パラメータ不適
整定時間判定 Tss
記録時間の半分
制御パラメータ不適
オーバーシュート・アンダー 5%
シュート判定
制御パラメータ不適
作動スピード判定 T99FS
エア漏れ(O リング劣化、ダイヤフラム破損)
制御パラメータ不適
記録時間の半分
15-3
15-4
16 パーシャルストロークテスト
第 16 章 パーシャルストロークテスト
【概要】
【概要】
■パーシャルストロークテストの目的
■パーシャルストロークテストの目的
パーシャルストロークテスト(PST; Partial Stroke Test)は、緊急遮断弁を対象にしたテスト
パーシャルストロークテスト(PST; Partial Stroke Test)は、緊急遮断弁を対象にした
で、プロセスの稼働中に遮断弁を部分的な低速ランプ動作させるものです。PST
によって故障検
テストで、プロセスの稼働中に遮断弁を部分的な低速ランプ動作させるものです。PST
知されなければ、遮断弁の故障確率は低下し、定期修理の間隔を長くすることができます。部分
によって故障検知されなければ、遮断弁の故障確率は低下し、定期修理の間隔を長くす
ることができます。部分的にかつゆっくりと遮断弁を動作させることでプロセスに影響
的にかつゆっくりと遮断弁を動作させることでプロセスに影響のないテストを行うことができま
のないテストを行うことができます。
す。
【アルゴリズム】
【アルゴリズム】
■PST
■ PSTの動作パターン
の動作パターン
■失敗の判定方法
■失敗の判定方法
PST
16-1 に代表されるようなパターンのもとで、
緊急遮断弁を開度制御します。セッ
PSTは図
は Fig.16
に代表されるようなパターンのもとで、緊急遮断弁を開度制御します。セットポ
トポイントを 100% から 5 秒かけて 90% まで閉じ、5s 保持した後、ふたたび 100% へ戻し、
イントを 100%から 5 秒かけて 90%まで閉じ、5s 保持した後、ふたたび 100%へ戻し、その後 5
その後 5 秒保持しています。3 つのタイムアウトによって緊急遮断弁の故障を検出しま
秒保持しています。3 つのタイムアウトによって緊急遮断弁の故障を検出します。緊急遮断弁が 5
す。緊急遮断弁が 5 秒以内に動き出さない、10 秒以内に 90% まで閉じない、20 秒以内
秒以内に動き出さない、10
90%まで閉じない、20
秒以内に 100%へ戻らない、という
3
に 100% へ戻らない、という秒以内に
3 つの状態を検出し、
デバイスステータス(表
16-1)にアラー
ムを立てます。以上 3 つのアラームが立った場合でも PST は停止せず、パターンにした
つの状態を検出し、デバイスステータス(Table16)にアラームを立てます。以上
3 つのアラーム
がって開度はコントロールされます。
が立った場合でも PST は停止せず、パターンにしたがって開度はコントロールされます。
緊急遮断弁に異常があるとき、PST を継続することはプラントへ悪影響を及ぼすおそれ
緊急遮断弁に異常があるとき、PST を継続することはプランドへ悪影響を及ぼすおそれがあり
があります。Po 1 または Po 1 − Po 2 を監視し、しきい値を下回った場合、PST を停止
ます。Po
1 または Po 1-Po 2 を監視し、しきい値を下回った場合、PST を停止し、遮断弁が必
し、遮断弁が必要以上に閉じないようにして、その危険を回避しています。このしきい
要以上に閉じないようにして、その危険を回避しています。このしきい値はオート・セットアッ
値はオート・セットアップによって推奨値が算出されます。
また PST 中にはスティックスリップ診断も実行し、スティックスリップ現象も検出しま
プによって推奨値が算出されます。
す。
また PST 中にはスティックスリップ診断も実行し、スティックスリップ現象も検出します。
Set Point
5s
5s
5s
5s
100%
90%
5s 以内に動き出さない
10s 以内に 90%へ到達しない
20s 以内に 100%へ戻らない
Time
図 16-1 パーシャルストロークテストの部分的なランプ動作とタイムアウト
Fig.45 パーシャルストロークテストの部分的なランプ動作とタイムアウト
59
16-1
【しきい値とアラーム】
■しきい値の説明
PST は診断パラメータを算出しません。緊急遮断弁の異常に対してデバイスステータス
にアラームを立てます。PST 中のスティックスリップ診断のしきい値は通常のスティッ
クスリップ診断のしきい値 10 と同じです。
表 16-1 パーシャルストロークテストと異常(700SIS/FF 共通)
デバイスステータス
しきい値
異常
PST Start Position
Failure
初期開度が規定開度から ±
5%
エア漏れ(O リング劣化、ダイヤフラム破損)
ノズル・絞りのつまり
空気回路からのエア漏れ
フィードバックレバーの外れ
エレキ / 角度センサの故障
パイロットの故障
No change in valve
travel in PST
PST 開始から 5s 以内に調
節弁が動かない。
グランド部、ガイド部、プラグ・シート部
固着・かじり
ステム軸の折損
Did not Reach to
Target in PST
PST 開始から 10s 以内に目
標開度の ±5% に到達しな
い。
スプリングの劣化
スプリング倒れ
PST Pressure
Failure
Po 1(または Po 1 − Po
2)がスプリングレンジの
90% 以下に下がった。
グランド部、ガイド部、プラグ・シート部
固着・かじり
PST Incomplete
元の開度の ±5% まで、
20s 以内に到達しない。
グランド部、ガイド部、プラグ・シート部
固着・かじり
空気回路からのエア漏れ
Stick-Slip Occurred
in PST
10
( スティックスリップ Y/X)
グランド部、ガイド部、プラグ・シート部
固着・かじり
表 16-2 Partial Stroke Test パラメータリスト(700SIS)
パラメータ
内容
初期値
PST Enabled
PST 開始コマンド有効 / 無効
Disable
PST Initial Travel
通常状態開度
100
PST Target Travel
テスト目標開度
90
PST Pause Time
設定開度到達後の待ち時間
5
PST Ramp Rate
開度設定値変化速度
2
PST Next Execute Time
次回 PST 実行までの時間
0
PST Interval
実行周期
0
PST Breakout Timeout
開度変化検出までのタイムアウト時間
5
PST Stroke Travel Timeout
設定開度到達までのタイムアウト時間
10
PST Completion Timeout
テスト終了までのタイムアウト時間
22
PST Pressure Threshold
圧力異常判定の閾値
208
PST Stick-Slip Threshold
実行時スティックスリップ Y/X 閾値
10
Result
次のリストに説明する
16-2
表 16-3 Partial Stroke Test の Result パラメータ(700SIS)
パラメータ
PST Result
内容
初期値
PST の結果
No Result
Detailed Result
PST Start Position Failure
開始前の開度が異常
Off
No change in valve travel in PST
開始後に開度が変化しない
Off
Did not Reach to Target in PST
目標値に到達せず
Off
PST Pressure Failure
圧力に異常あり
Off
PST Incomplete
終了時の開度が異常
Off
Stick-Slip Occurred in PST
スティックスリップ発生
Off
Rejection of Request for PST
PST 実行前条件で拒絶
Off
PST Overridden (aborted)
PST 実行中に中断
Off
開度変化検出までの時間
0
PST Breakout Time
PST Start Travel
テスト開始時の開度
0
PST Start Pressure
テスト開始時の圧力
0
PST Pause Travel
PAUSE 終了時の開度
0
PST Pause Pressure
PAUSE 終了時の圧力
0
PST End Travel
テスト終了時の開度
0
PST End Pressure
テスト終了時の圧力
0
表 16-4 Partial Stroke Test パラメータリスト(FF)
パラメータ
VST_MODE
内容
初期値
VST のモード
Disable
PST 開始コマンド有効 / 無効
FF Only
Partial Stroke Test
PST Enabled
PST Initial Travel
通常状態開度
100
Partial Stroke Travel
テスト目標開度
90
VST Pause
設定開度到達後の待ち時間
5
Partial Stroke Ramp Rate
開度設定値変化速度
2
Partial Stroke Init Start Time
次回 PST 実行までの時間
0 無効な値
Partial Stroke Interval
実行周期
0
Partial Stroke Breakout Timeout
開度変化検出までのタイムアウト時間
5
Partial Stroke Travel Timeout
設定開度到達までのタイムアウト時間
10
PST Completion Timeout
テスト終了までのタイムアウト時間
22
PST Pressure Threshold
圧力異常判定の閾値
208
PST Stick-Slip Threshold
実行時スティックスリップ Y/X 閾値
10
PST Stick-Slip Alarm Enabled
PST 中スティックスリップのアラーム
発報可否
0:Disable
Partial Stroke Options
Options which the user may select to
influence block behavior during valve
stroke test 1.
0 Freeze analog
Feedback
16-3
表 16-5 Partial Stroke Test の Result パラメータ(FF)
パラメータ
内容
VST Mode
VST(PST/FST) のモード
VST Result
PST および FST の結果
VST Detailed Result
PST および FST の詳細結果
初期値
PST Result
Partial Stroke Breakout Time
開度変化検出までの時間
0
PST Start Travel
テスト開始時の開度
0
PST Start Pressure
テスト開始時の圧力
0
PST Pause Travel
PAUSE 終了時の開度
0
PST Pause Pressure
PAUSE 終了時の圧力
0
PST End Travel
テスト終了時の開度
0
PST End Pressure
テスト終了時の圧力
0
16-4
第 17 章 フルストロークテスト
17 フルストロークテスト
【概要】
【概要】
■フルストロークテストの目的
■フルストロークテストの目的
フルストロークテスト(FST; Full Stroke Test)は緊急遮断弁を対象にしたテストで、
フルストロークテスト(FST; Full Stroke Test)は緊急遮断弁を対象にしたテストで、定期修
定期修理中、プロセスがオフラインであるときに、全閉全開動作を実施するものです。
理中、プロセスがオフラインであるときに、全閉全開動作を実施するものです。FST
で故障が検
FST で故障が検出されなければ、緊急遮断弁にまったく故障が起きていないことが確認
出されなければ、緊急遮断弁にまったく故障が起きていないことが確認されます。
されます。
【アルゴリズム】
【アルゴリズム】
■FST の動作パターン
■ FST の動作パターン
■失敗の判定方法
■失敗の判定方法
FST は図
は Fig.22
に代表されるパターンのもとで、緊急遮断弁を開度制御します。テスト開始と同
FST
17-1 に代表されるパターンのもとで、緊急遮断弁を開度制御します。テスト
時にセットポイントを
0%にセットし、5
秒間保持した後、セットポイントを
100%にし、再び 5
開始と同時にセットポイントを
0% にセットし、5
秒間保持した後、セットポイントを
100% にし、再び 5 秒間保持します。3
つのタイムアウトによって緊急遮断弁の故障を検
秒間保持します。3
つのタイムアウトによって緊急遮断弁の故障を検出します。緊急遮断弁が
1
出します。緊急遮断弁が
1
秒以内に動き出さない、5
秒以内に
0%
まで閉じない、10
秒
秒以内に動き出さない、5 秒以内に 0%まで閉じない、10 秒以内に 100%へ戻らない、という 3 つ
以内に 100% へ戻らない、という 3 つの状態を検出し、デバイスステータス(表 17-1)
の状態を検出し、デバイスステータス(Table17)にアラームを立てます。
にアラームを立てます。
FSTは診断パラメータとして、全開から全閉までに要した時間を測定し、保存します。
は診断パラメータとして、全開から全閉までに要した時間を測定し、保存します。
FST
Set Point
5s
5s
100%
1s 以内に動き出さない
5s 以内に 0%へ到達しない
10s 以内に 100%へ戻らない
0%
Time
Fig.46 フルストロークテストの全閉全開動作とタイムアウト
図 17-1 フルストロークテストの全閉全開動作とタイムアウト
【しきい値とアラーム】
■しきい値の説明
緊急遮断弁の異常に対してデバイスステータスにアラームを立てる。
64
17-1
【しきい値とアラーム】
■しきい値の説明
緊急遮断弁の異常に対してデバイスステータスにアラームを立てる。
表 17-1 フルストロークテストと異常現象(700SIS/FF 共通)
デバイスステータス
しきい値
異常現象
FST Start Position
Failure
初期開度から ±5%
エア漏れ(O リング劣化、ダイヤフラム破損)
ノズル・絞りのつまり
空気回路からのエア漏れ
フィードバックレバーの外れ
エレキ / 角度センサの故障
パイロットの故障
No change in valve
travel in FST
FST 開始から 1s 以内に調
節弁が動かない。
グランド部、ガイド部、プラグ・シート部
固着・かじり
ステム軸の折損
Did not Reach to
Target in FST
FST 開始から 5s 以内に目標 スプリングの劣化
開度の ±5% に到達しない。 スプリング倒れ
FST Pressure
Failure
通常は使用しない。
グランド部、ガイド部、プラグ・シート部
固着・かじり
FST Incomplete
元の開度の ±5% まで、
10s 以内に到達しない。
グランド部、ガイド部、プラグ・シート部
固着・かじり
空気回路からのエア漏れ
表 17-2 Full Stroke Test パラメータリスト(700SIS)
パラメータ
FST Enabled
内容
初期値
FST 開始コマンド有効 / 無効
Disable
FST Pause Time
設定開度到達後の待ち時間
5
FST Ramp Rate
開度設定値変化速度
2000
FST Breakout Timeout
開度変化検出までのタイムアウト時間
1
FST Stroke Travel Timeout
設定開度到達までのタイムアウト時間
5
FST Completion Timeout
テスト終了までのタイムアウト時間
11
FST Result
下の表に説明
17-2
表 17-3 Full Stroke Test FST Result 以下 パラメータリスト(700SIS)
パラメータ
FST Result
内容
FST 結果
初期値
No Result
FST Detailed Result
FST Start Position Failure
開始前の開度が異常
No change in valve travel in FST
開始後に開度が変化しない
OFF
Did not Reach to Target in FST
目標値に到達せず
OFF
FST Pressure Failure
圧力に異常あり
OFF
FST Incomplete
終了時の開度が異常
OFF
Rejection of Request for FST
FST 実行前条件で拒絶
OFF
FST Overridden (aborted)
FST 実行中に中断
OFF
FST Breakout Time
開度変化検出までの時間
0
FST Stroke Travel Time
設定開度到達までの時間
0
FST Start Travel
テスト開始時の開度
0
FST Start Pressure
テスト開始時の圧力
0
FST Pause Travel
PAUSE 終了時の開度
0
FST Pause Pressure
PAUSE 終了時の圧力
0
FST End Travel
テスト終了時の開度
0
FST End Pressure
テスト終了時の圧力
0
表 17-4 Full Stroke Test パラメータリスト(FF)
パラメータ
VST_MODE
内容
初期値
VST(PST/FST) のモード
Disable
設定開度到達後の待ち時間
5
Full Stroke Test
VST Pause
Full Stroke Ramp Rate
開度設定値変化速度
2000
Full Stroke Breakout Timeout
開度変化検出までのタイムアウト時間
1
Full Stroke Travel Timeout
設定開度到達までのタイムアウト時間
5
Full Stroke Completion Timeout
テスト終了までのタイムアウト時間
11
表 17-5 Full Stroke Test パラメータリスト(FF)
パラメータ
内容
初期値
VST_RESULT
FST の結果
No initial Result
VST_DETAILED_RESULT
FST の結果詳細
結果詳細なし
開度変化検出までの時間
0
FST Result
Full Stroke Breakout Time
FST Stroke Travel Time
設定開度到達までの時間
0
FST Start Travel
テスト開始時の開度
0
FST Start Pressure
テスト開始時の圧力
0
FST Pause Travel
PAUSE 終了時の開度
0
FST Pause Pressure
PAUSE 終了時の圧力
0
FST End Travel
テスト終了時の開度
0
FST End Pressure
テスト終了時の圧力
0
17-3
17-4
付録 A AVP700 の診断機能と異常との関連
B
AVP700 の診断機能と異常との関連
Table A 調節弁診断とテスト
表 A-1 調節弁診断とテスト
◎
◎
◎
◎
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
◎
◎
◎
◎
◎
○
○
◎
◎
◎
◎
Full Stroke Test (FST)
○
Partial Stroke Test (PST)
○
STEP 応答テスト
◎
○
反転動作回数モニタリング
○
全閉回数モニタリング
○
○
開度別頻度分布モニタリング
出力空気圧力妥当性モニタリング(Po
Validity)
最大摩擦力モニタリング
(Max Friction)
○
Valve Signature
◎
最大作動速度モニタリング
◎
○
摺動距離積算モニタリング
グランド部、ガイド部、プラグ・シート部固着・かじり
グランドパッキンの劣化(ぼろぼろ、硬化)
操作器出力と流体反力とのアンバランス
グランドパッキンの応力緩和
プラグ・シート部の損傷
プラグ・シート部への流体の付着
エロージョン(壊食、全体的) シート部
アブレージョン(摩食、全体的) シート部
コロージョン(腐食、全体的) シート部
調節弁容量が大きすぎる
パッキン潤滑油が切れている
異物噛み込み
シートの摩耗
全閉位置の調整ズレ
操作器
エア漏れ(Oリング劣化、ダイヤフラム破損)
スプリングの劣化
スプリング倒れ
ステム軸の折損
調整不良 バネ締め上げ(締切荷重不足) 調整不良 弁軸接続 ポジショナ ノズル・絞りのつまり
空気回路からのエア漏れ
フィードバックレバーの外れ
エレキ/角度センサの故障
パイロットの故障
制御パラメータ不適 本体
ゼロ点開度比較診断
異常
入力信号/開度 偏差診断
部位
スティックスリップ診断
◎:異常検知 ○:異常指標
◎
◎
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
◎
◎
◎
◎
◎
◎
◎
◎
◎
◎
◎
◎
◎
◎
◎
◎
◎
◎
◎
◎
◎
◎
◎
○
◎
◎
◎
◎
◎
○
69
付録A-1
◎
◎
◎
◎
◎
本体
グランドパッキンの劣化(ぼろぼろ、硬化)
ポジショナ ノズル・絞りのつまり
○
◎
供給圧力不足
供給圧力過剰
◎
◎
70
付録A-2
ポジショナ内部温度モニタリング
供給空気圧力診断
異常検知の対象
部位
ポジショナ空気回路診断
Table B ポジショナ診断
表 A-2 ポジショナ診断
ご注文・ご使用に際してのご承諾事項
平素は当社の製品をご愛用いただき誠にありがとうございます。
さて、本資料により当社製品(システム機器、フィールド機器、コントロールバルブ、制御機器)をご注文・ご使用いただ
く際、見積書、契約書、カタログ、仕様書、取扱説明書などに特記事項のない場合には、次のとおりとさせていただきます。
1. 保証期間と保証範囲
1.1保証期間
当社製品の保証期間は、ご購入後またはご指定場所に納入後1年とさせていただきます。
1.2保証範囲
上記保証期間中に当社側の責により故障が生じた場合は、納入した製品の代替品の提供または修理対応品の提
供を製品の購入場所において無償で行います。ただし、次に該当する場合は、この保証の対象範囲から除外さ
せていただきます。
① お客さまの不適当な取り扱い ならびに ご使用の場合
(カタログ、仕様書、取扱説明書などに記載されている条件、環境、注意事項などの不遵守)
② 故障の原因が当社製品以外の事由の場合
③ 当社 もしくは 当社が委託した者以外の改造 または 修理による場合
④ 当社製品の本来の使い方以外で使用の場合
⑤ 当社出荷当時の科学・技術水準で予見不可能であった場合
⑥ その他、天災、災害、第三者による行為などで当社側の責にあらざる場合
なお、ここでいう保証は、当社製品単体の保証を意味するもので、当社は、当社製品の故障により誘発される
お客さまの損害につきましては、損害の如何を問わず一切の賠償責任を負わないものとします 。
2.適合性の確認
お客さまの機械・装置に対する当社製品の適合性は、次の点を留意の上、お客さま自身の責任でご確認ください。
① お客さまの機械・装置などが適合すべき規制・規格 または 法規
② 本資料に記載されているアプリケーション事例などは参考用ですので、ご採用に際しては機器・装置の
機能や安全性をご確認の上ご使用ください。
③ お客さまの機械・装置の要求信頼性、要求安全性と当社製品の信頼性、安全性の適合
当社は品質、信頼性の向上に努めていますが、一般に部品・機器は ある確率で故障が生じることは避
けられません。当社製品の故障により、結果として、お客さまの機械・装置において、人身事故、火
災事故、多大な損害の発生などを生じさせないよう、お客さまの機械・装置において、フールプルー
フ設計 (※1)、フェールセーフ設計 (※2)(延焼対策設計など)による安全設計を行い要求される安全の
作り込みを行ってください。さらには、フォールトアボイダンス (※3)、フォールトトレランス (※4) な
どにより要求される信頼性に適合できるようお願いいたします。
※1. フールプルーフ設計:人間が間違えても安全なように設計する
※2. フェールセーフ設計:機械が故障しても安全なように設計する
※3. フォールトアボイダンス:高信頼度部品などで機械そのものを故障しないように作る
※4. フォールトトレランス:冗長性技術を利用する
3. 用途に関する注意制限事項
原子力管理区域(放射線管理区域)には一部の適用製品(原子力用リミットスイッチ)を除き使用しないでください。
医療機器には、原則使用しないでください。
産業用途製品です。一般消費者が直接設置・施工・使用する用途には利用しないでください。なお、一部製品
は一般消費者向け製品への組み込みにご利用になれますので、そのようなご要望がある場合、まずは当社販売
員にお問い合わせください。
また、
次の用途に使用される場合は、事前に当社販売員までご相談の上、カタログ、仕様書、取扱説明書などの技術
資料により詳細仕様、使用上の注意事項などを確認いただくようお願いいたします。
さらに、当社製品が万が一、故障、不適合事象が生じた場合、お客さまの機械・装置において、フールプルーフ設計、
フェールセーフ設計、延焼対策設計、フォールトアボイダンス、フォールトトレランス、その他保護・安全回
路の設計および 設置をお客さまの責任で実施することにより、信頼性・安全性の確保をお願いいたします。
① カタログ、仕様書、取扱説明書などの技術資料に記載のない条件、環境での使用
② 特定の用途での使用
*原子力・放射線関連設備
【原子力管理域外での使用の際】
【原子力用リミットスイッチ使用の際】
*宇宙機器/海底機器
*輸送機器
【鉄道・航空・船舶・車両設備など】
*防災・防犯機器
*燃焼機器
*電熱機器
*娯楽設備
*課金に直接関わる設備/用途
③ 電気、ガス、水道などの供給システム、大規模通信システム、交通・航空管制システムで高い信頼性が
必要な設備
④ 公官庁 もしくは 各業界の規制に従う設備
⑤ 生命・身体や財産に影響を与える機械・装置
⑥ その他、上記①〜⑤に準ずる高度な信頼性、安全性が必要な機械・装置
4. 長期ご使用における注意事項
一般的に製品を長期間使用されますと、電子部品を使用した製品やスイッチでは、絶縁不良や接触抵抗の増大
による発熱などにより、製品の発煙・発火、感電など製品自体の安全上の問題が発生する場合があります。お
客さまの機械、装置の使用条件・使用環境にもよりますが、仕様書や取扱説明書に特記事項のない場合は、10
年以上は使用しないようお願いいたします。
5. 更新の推奨
当社製品に使用しているリレーやスイッチなど機構部品には、開閉回数による磨耗寿命があります。
また、電解コンデンサなどの電子部品には使用環境・条件にもとづく経年劣化による寿命があります。当社製
品のご使用に際しては、仕様書や取扱説明書などに記載のリレーなどの開閉規定回数や、お客さまの機械、装
置の設計マージンのとり方や、使用条件・使用環境にも影響されますが、仕様書や取扱説明書に特記事項のな
い場合は 5 〜 10 年を目安に製品の更新をお願いいたします。
一方、システム機器、フィールド機器(圧力、流量、レベルなどのセンサ、調節弁など)は、製品により部品
の経年劣化による寿命があります。経年劣化により寿命ある部品は推奨交換周期が設定してあります。推奨交
換周期を目安に部品の交換をお願いいたします。
6. その他の注意事項
当社製品をご使用するにあたり、品質・信頼性・安全性確保のため、当社製品個々のカタログ、仕様書、取扱
説明書などの技術資料に規定されています仕様(条件・環境など)、注意事項、危険・警告・注意の記載をご理
解の上厳守くださるようお願いいたします。
7. 仕様の変更
本資料に記載の内容は、改善その他の事由により、予告なく変更することがありますので、予めご了承ください。
お引き合い、仕様の確認につきましては、当社支社・支店・営業所 または お近くの販売店までご確認くださる
ようお願いいたします。
8. 製品・部品の供給停止
製品は予告なく製造中止する場合がありますので、予めご了承ください。
修理可能な製品について、製造中止後、原則 5 年間修理対応いたしますが修理部品がなくなるなどの理由でお
受けできない場合があります。
また、システム機器、フィールド機器の交換部品につきましても、同様の理由でお受けできない場合があります。
9. サービスの範囲
当社製品の価格には、技術者派遣などのサービス費用は含んでおりませんので、次の場合は、別途費用を申し
受けます。
① 取り付け、調整、指導 および 試運転立ち会い
② 保守・点検、調整 および 修理
③ 技術指導 および 技術教育
④ お客さまご指定の条件による製品特殊試験 または 特殊検査
なお、原子力管理区域(放射線管理区域)および被爆放射能が原子力管理区域レベル相当の場所においての上
記のような役務の対応はいたしません。
AAS-511A-014-09
宛:当社担当者→マーケティング部
マニュアルコメント用紙
このマニュアルをよりよい内容とするために、お客さまからの貴重なご意見(説明不足、間違い、誤
字脱字、ご要望など)をお待ちいたしております。お手数ですが、本シートにご記入の上、当社担当
者にお渡しください。
ご記入に際しましては、このマニュアルに関することのみを具体的にご指摘くださいますようお願い
申し上げます。
資料名称:
AVP700 調節弁診断
取扱説明書
資料番号: CM1-1-AVP700-2003 初 版
お 名 前
貴 社 名
所属部門
電話番号
貴社住所
キ
ページ
行
コ メ ン ト 記 入 欄
リ
ト
リ
線
当社記入欄
記 事
受付 No.
受付担当者
資 料 番 号
資 料 名 称
CM1-AVP700-2003
AVP700 調節弁診断
取扱説明書
発 行 年 月
発
行
2016 年 5月 初 版
アズビル株式会社
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