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5 中国観光のハイライト西安 新旧の観光スポットを巡る
Promotion & Campaign China por t Re 5 中国観光のハイライト西安 新旧の観光スポットを巡る（前編） 西安といえば、城壁に囲まれた市街地、三蔵法師ゆかりの大雁塔、秦の始皇帝陵と兵馬俑坑、 楊貴妃が浴した温泉として有名な華清池など、中国観光のハイライトが多い。 新たな観光地として注目を集めるスポットやエンターテイメントを紹介する。 写真・文／岩下智之 西安市内観光の定番 西安の歴史をおさらいするためにも、 市内観光で最初に訪れたいのは陜西省 陜西省の省都である西安市は、中国 歴史博物館。この博物館は1991年に開 の内陸部、黄河中流域に位置し、北部 館され、陜西省で発掘された周・秦・漢・ は黄土高原にまたがる。かつて13の王 唐の時代を中心とした、先史時代から ているところが特徴だ。 朝が都を置き、都城としての歴史は通 清代までの青銅器や工芸品など約37万 西安の郊外観光の定番、秦始皇帝陵 算で1100年以上。日本の平城京 （奈良） 点を所蔵している。1992年10月には天 および兵馬俑坑。兵馬俑は中国初の皇 や平安京（京都）のモデルとなった。シ 皇皇后両陛下も訪問している。 帝である秦時代の始皇帝の墓の周りを ルクロードの西の起点であり、歴史文 西安のランドマークのひとつとして知 囲むように配置され埋葬された、兵士 化の蓄積が厚い。 られる大雁塔は、唐代の西暦652年に および馬などをかたどった人形たちのこ この西安の歴史を現代に伝える観光 高僧・玄奘法師（西遊記の三蔵法師） と。始皇帝は生前から自分の墓を、70 スポットとして人気が高い西安城壁は、 がインドから持ち帰った仏像を納める 万人を動員し、38年の歳月を費やして 完全に保存されている世界最大の古代 ために、当時の唐朝の王・高宗に許可 建設した。1974年に地元の住民によっ 城壁として、また、世界で最も整った を得て造ったといわれている。 て発見され、1987年にユネスコの世界 古代の軍事砦として有名だ。城壁は周 中国の宗教の多様性に興味がある旅 遺産に登録された。現在の兵馬俑では 囲13.9㎞、高さ12ｍ、底の幅18ｍ、頂 行者にお勧めなのは、賑やかな回族の 発掘された6000体以上の等身大の兵馬 部の広さが15ｍある堅固な城壁。南門、 下町的なエリアにたたずむ清真寺（モス が整然と列を成しており、その壮大な 北門、西門、和平門、文昌門などから ク）。イスラム教は西暦651年、唐の時 規模は観る者を圧倒する。 城壁に上ることができる。 代にアラビアの使者が中国を訪れた時 兵馬俑とセットで訪れたい歴史スポ に中国に伝えられたが、中近東のイス ットして有名なのは、 著名な唐代の皇帝、 ラム教のモスクとは異なり、西安のイス 玄宗皇帝が寵愛した楊貴妃のゆかりの ラム教徒（回族）のモスク（清真寺）は、 別荘地として知られる華清池。ここは、 中国の伝統的建築様式に、アラビア文 敷地内には楊貴妃が使用したと伝えら 字などによるイスラム教の装飾が施され れる浴槽、玄宗皇帝が使用したといわ 西安名物のしゃぶしゃぶ料理 陜西省歴史博物館 清真寺の敷地内は厳粛な雰囲気 36 TRAVEL JOURNAL 2014.10.20 人気の西安グルメの定番は西安餃子 大雁塔 圧倒されるスケールの兵馬俑 今年ユネスコの世界遺産に登録された大明宮 大唐芙蓉園のスターバックスは唐代風建築物 大雁塔の最上階からの西安市の眺望 楊貴妃ゆかりの華清池で足湯タイム 大明宮の野外ミニチュアゾーン 華清池の「長恨歌」は一大スペクタクル れる浴槽、その温泉源を見ることがで 地面積は67ha で、東京ドームの約14 ルが人気を博している。これは、華清 きるほか、 現在も湧き出る温泉で、 足浴、 個分の広さ。園内には楼閣、湖、庭園 池の敷地内にある池、歴史的建築物、 手浴を体験することができる。 などがあり、唐代の街を再現している。 背後の山などすべてをステージとして、 なお、この界隈は新しく開発が進む 光、音楽、水、レーザー光線などを駆 エリアで、夜は広場の像がライトアップ 使して、玄宗皇帝と楊貴妃の物語を表 これまでに紹介したのは、いわゆる された夜景を楽しむことができる「大唐 現したパフォーマンス。 西安観光の定番だが、定番以外に、現 不夜城」という観光スポットになってい メインステージが本物の池の中に設置 在の西安観光でお勧め、または注目を る。夜、食事を終えてホテルに戻る前に、 されているため、ステージでは噴水をふ 集めている観光地、観光プログラムを 少し遠回りしてでも立ち寄る価値はあ んだんに用いた演出と、噴水に光を当て 紹介しよう。 るはずだ。 た演出は観る者を魅了する。また、敷 新しい西安観光の素材 西安市の北に位置し、唐長安城の三 大宮殿のひとつで、唐の政治文化の中 華清池の壮大なスペクタクル 地全体が舞台と化した華清池の背後の 山の斜面にも、レーザー光線を駆使し 心となった大明宮。この宮殿の城壁は 西安郊外の新しい観光プログラムと た照明効果が施されるため、中国のスペ 全長7.6㎞。北京の故宮の約4倍あり、 して人気なのが、現代の技術を取り込 クタクルの規模の大きさに驚かされる。 歴代の唐の皇帝たちはここに住み、国 んで新しいエンターテイメントのスポッ 悠久の歴史を体験する西安観光では、 家の統治の中心として200年にわたり存 トとして進化している華清池。 昔ながらの定番観光だけでなく、日々 続したが、唐末の戦火で焼失した。東 日中は、華清池の敷地内の歴史的建 進化する西安観光の魅力が、一度訪れ 西南北に合わせて11の城門があったと 物の中で、玄宗皇帝と楊貴妃の恋愛物 た旅人をも惹きつけ、楽しませる訴求 されており、遺跡発掘にはユネスコと日 語を上映する4D シアターが観光客の人 力がある。もちろん、歴史的な観光素 本が協力している。08年から整備され、 気プログラムとなっている。これは、1 材と、現代の技術が生み出すハイテク 10年に遺跡公園として一般に開放され 階から4階まで順番に移動しながら、異 な観光エンターテイメントに加えて、西 ている。今年6月にユネスコの世界文化 なる装飾の上映室で映画を鑑賞すると 安の地元市民が訪れる人気スポットを 遺産に登録され、新しい観光名所とし いう内容。施設内の装飾は、物語の内 訪れるなど、等身大の西安に触れるこ て国内外の注目を集めている。大明宮 容に沿った宮廷ドラマの雰囲気作りが とも重要なスパイスとして加えてほしい。 の敷地内には、城壁博物館、大明宮の 細やかに施されており、言語は中国語 西安のトレンドは刻々と変化・進化し 野外ミニチュア展示エリアなどがあるの のみの上映だが、玄宗皇帝と楊貴妃の ており、それらを体験することは、旅 で、ぜひ立ち寄りたい。 物語の予備知識があれば十分に楽しめ 行者目線では非常に重要かつ、楽しみ 大雁塔の近く、唐代の遺跡「芙蓉園 るエンターテイメントだ。 な旅行の要素といえる。これからも進 遺跡」の北側に約13億元（230億円）の 夜は、華清池の敷地内に巨大な野外 化を続ける西安観光をいかにプログラム 工事費を費やして造られた唐の都を再 ステージを造り出し、迫力満点かつ、 するか、旅行会社の腕の見せどころだ。 現したテーマパーク、大唐芙蓉園。敷 ドラマチックな「長恨歌」のスペクタク 取材協力：中国国家観光局駐日本代表処 TRAVEL JOURNAL 2014.10.20 37