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概要報告 - 県立広島大学

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概要報告 - 県立広島大学
研究テーマ:
Moodle を用いた「県立広島大学・英語eラーニングモデル」の構築
研究代表者:生命環境学部生命科学科
教授
馬本
共同研究者:人間文化学部
連絡先:[email protected]
勉
教授
船津晶代,
生命環境学部
准教授
保健福祉学部
教授
准教授
西原貴之
ロナルド・スチュワート,
講師
片山圭巳
本岡直子
【研究概要】
本研究は,eラーニング学習管理システムの一つ「ムードル(Moodle)」を活用し,本学
における「英語eラーニングモデル」の構築を目的とする。我々の目指す「学習モデル」に
は,Moodle 上で行う「学習方法」と,そこで運用する「教材」の2側面が含まれる。平成
22 年度においては,英語の基礎技能である読解力と聴解力を高めるための学習方法を検討す
るとともに,具体的な教材作成に着手し,「eラーニングモデル試作版」を作成した。
1.研究の背景
ICT の発達は,時間や場所を問わない学習環境の整備に著しい進歩をもたらした。多くの
学習時間を必要とする外国語の習得において,ICT 活用の効果が期待され,国内外における
「外国語eラーニング」は隆盛の一途をたどっている。
本学においては,平成 18 年度に CALL システムが整備されて以来,それぞれの学部にお
ける基礎的な英語教育において,機器や教材ソフトを用いた「eラーニング」の実践を行っ
てきた。しかしながら,既成のソフトには不十分な点も多く,必ずしも授業目標にかなった
教材を提供しているとは言えない。
そこで我々は,英語eラーニングに関する検討に基づき,独自の方法と教材からなる「学
習モデル」を構築する必要があるとの結論に至った。その構築にあたっては,フリーウェア
で拡張性の高い Moodle(ムードル)*を導入することとした。
*Moodle とは,学習管理システムと呼ばれるeラーニングのためのソフトウェア。
ウェブ教材の作成,自動フィードバック,学習管理等の機能を備えている。
2.研究の目的
Moodle の応用可能性を検討し,そのシステム上で稼働させる教材を開発することを通じ
て,本学独自のeラーニングモデルを構築する。具体的には,
1)外国語学習の歴史的・理論的検討に基づき,Moodle の提供する様々な機能を有機的
に組み合わせ,より効果的な学習方法を提案する。
2)基礎技能向上の観点から,語彙・文法・音声・リーディングを中心とした英語学習教
材を開発する。
3)上記の方法と教材からなる「eラーニングモデル」を構築する。
eラーニングモデル
学習方法:
教
材:
=
学習方法
+
教材
比較的短時間で学習の完結する「コース」を選択し,
目的に応じて組み合わせる「モジュール学習」
語彙,文法,音声,リーディング
3.成果の概要
(1)教材の試作
2 年計画の 1 年目にあたる平成 22 年度は,基礎的な調査研究に基づき,具体的な教材の試
作に着手した。Moodle サーバへ様々なファイル形式の教材をアップロードするとともに,
多様な解答方法(組合せ,多肢選択,空欄補充など)による学習課題を作成した。
試作中の教材には,次のものがある。
語彙: 英語数表現,専門英語(分野別),TOEIC 対策の語彙
文法: 並べ替え・穴埋め問題による文法学習
音声: 子音の発音・聞き取り練習
リーディング: 段階的読解スキルの学習,ダブルパッセージの読解問題
※Moodle サイトの URL:
http://ehttp://e-learning.pulearning.pu-hiroshima.ac.jp/moodle/
本学学生の英語習熟度,入学までの学習暦,興味関心などは多様であり,学部・学科によ
って英語のニーズも異なる。しかしながら,語彙,文法,音声,リーディングといった,大
学生に必要な「核となる英語力」には共通のものがあると思われる。こうした基礎基本の部
分を確実に身に付け,さらに各自のニーズに応じた発展的な学習機会を提供するには,多様
なコースを用意し,それらを選択して組み合わせる道筋を示すことが効果的であろう。この
学習のあり方を「モジュール学習」と呼び,我々の目指す「県立広島大学・英語eラーニン
グモデル」はこの「モジュール学習」を基本として構成されるものである。
(2)学習状況の把握
Moodle の学習管理機能により,コース登録者の学習履歴(学習時間,回数,得点,誤答)
を把握することが可能であり,個別指導の際に有効である。
授業における施行においては,学外からのアクセスが可能であることや,自動採点によっ
てすぐにフィードバックが得られることなど,学習のツールとして学生に好評であった。
4.課題と展望
(1)課題
eラーニング教材の作成に当たっては,著作権への十分な配慮が求められる。本研究にお
いて他者の著作物を扱う場合は,(a)権利者に対し許諾請求の手続きを取る,あるいは,(b)
保護期間の満了したものを用いる,という方針を採っているが,さらに理解を深める必要が
ある。
教材の作成や学習をより効率的に行うため,Moodle 操作についての一層の理解が教師,
学生ともに求められる。「Moodle サイト利用マニュアル」の作成が必要であろう。
(2)今後の展望
本研究の最終目標は,Moodle を用いた「県立広島大学・英語eラーニングモデル」を構
築し,本学の学生に対する英語教育の改善に資することである。
2 年計画の 2 年目にあたる今年度は,学習方法と教材内容に関する学習者のフィードバッ
クを求め,それを反映させた「改良版」を作成し,公表する予定である。
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