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記者発表資料
記 平 開 創 T 横浜市政記者、横浜ラジオ・テレビ記者 者 発 表 資 成 1 8 年 1 1 月 2 9 港150周年・創造都市事業 造都市推進担当課長 松村 E L 6 7 1 - 3 8 各位 横浜トリエンナーレ 2008 開催に向けてスタート! 総合ディレクターは水沢 勉氏に決定 我が国最大の現代美術の国際展「横浜トリエンナーレ 2005」終了からほぼ1年。 このたび、次回展の総合ディレクターに水沢 勉(みずさわ つとむ)氏の就任が決ま りました。いよいよ「横浜トリエンナーレ 2008」に向けて準備が本格的にスタートします。 水沢 勉氏プロフィール 1952 年横浜生まれ 神奈川県立近代美術館企画課長 略歴 慶応義塾大学大学院修了後、神奈川県立近代美術館に学芸員として 勤務。手がけた展覧会は「モボ・モガ 1910-1935」「アジアのモダニズ ム」など多数。研究著書も多数。バングラディッシュ・ビエンナーレ (1993 年,1997 年)、サンパウロ・ビエンナーレ(2004 年)の日本コミッショ ナーを務める。 ☆総合ディレクター就任にあたって 横浜という魅力的な「若い」都市が、さらに年輪を重ね、静かに熟成していく時期が訪れているように 感じています。港町の解放感を大事にしながら、未来に向けたしっかりとした一歩を第三回目となる トリエンナーレで踏 み出 すことができればよいと思います。テーマはちょっと謎めいた「Time Crevasse」(時間のクレヴァス)。多くの方々にアートが伝える時間を越えるメッセージの強さと深さと 魅惑を感じてもらえたらと思います。(水沢 勉) ◆総合ディレクター選考過程 主催4者の合意に基づきトリエンナーレ組織委員会の下に総合ディレクター選考委員会を設置して選考した。 8 月 30 日 総合ディレクター第1次選考委員会 10 月 24・25 日 総合ディレクター第2次選考委員会 3名の最終候補者との面談を経て、水沢勉氏が総合ディレクターとして推挙される 11 月 15 日 横浜トリエンナーレ組織委員会総会において総合ディレクターを機関決定 ◆選考委員 ○酒井 忠康(世田谷美術館館長、美術館連絡協議会理事長) ○中村 信夫(現代美術センターCCA北九州ディレクター、横浜トリエンナーレ 2001 アーティスティック・ディレクター) ○川俣 正(美術家、横浜トリエンナーレ 2005 総合ディレクター) ○デヴィッド・エリオット(森美術館前館長) ○ホウ・ハンルー(サンフランシスコ・アート・インスティテュート ディレクター、イスタンブール・ビエンナーレ 2007 総合キュレー ター) 裏面あり 料 日 本部 岳利 6 4 <横浜トリエンナーレ 2008 実施概要> 1.名称: 横浜トリエンナーレ 2008 YOKOHAMA 2008: International Triennale of Contemporary Art 2.内容: 2001 年に始まった横浜トリエンナーレの第3回展。総合ディレクターの掲げるテーマ に基づき、世界各地より 80 人程度の作家を選定し、多様な作品(映像、インスタレー ション、写真、絵画、彫刻等)を展示する。 3.会期: 2008(平成 20 年)年9月~12 月の間で約 80 日間 4.会場: 横浜市山下ふ頭周辺をはじめとする都心臨海部(延床面積:合計約 10,000 ㎡) 5.主催: 国際交流基金、横浜市、NHK、朝日新聞社、横浜トリエンナーレ組織委員会、他 6.キュレトリアル・アドヴァイザリー・チーム* ハンス・ウルリッヒ・オブリスト、ダニエル・バーンバウム、フー・ファン *キュレトリアル・アドヴァイザーは、2006 年 11 月 29 日現在で本人の了承を得た者のみを 記載。今後さらに若干名が加わる予定。同チームは、展覧会全般のアドヴァイザリー機能を 担うメンバーと、実際の展覧会の企画構成を総合ディレクターとともに行うメンバーから成 る予定です。 ★公式ホームページ http://www.yokohamatriennale.jp/ ★公式ロゴマーク ★次回記者発表については、2007 年(平成 19 年) 春頃をめどに、参加作家の一部や 会場などを公表する予定です。 ★横浜トリエンナーレ組織委員会事務局 □事務局(横浜事務所) 〒231-0015 横浜市中区尾上町 1-6 住友生命横浜関内ビル5 F 横浜市開港 150 周年・創造都市事業本部 電話:045-671-3504 □事務局(東京事務所) 〒107-6021 東京都港区赤坂 1-12-32 アーク森ビル 20F 国際交流基金内 電話:03-5562-3531 ★添付資料 「現代美術の祭典 横浜トリエンナーレ TIME CREVASSE(タイムクレヴァス)」 現代美術の祭典 横浜トリエンナーレ 「TIME CREVASSE(タイムクレヴァス)」 基本コンセプト アートがわたしたちにあたえてくれる無限のエネルギーを、横浜で開かれる大規模な国 際展でもう一度確認したいと思います。 アートは、わたしたちの日常をゆさぶり、普段は気づかない、あるいは、しばしば忘れ ているふりをしてしまっている「深淵」を垣間見させ、わたしたちをときに慄然とさせ、 ときに勇気づけ、ときに慰め、ときに生きる覚悟をあたえてくれます。 アートの豊かさは、「新しさ」によって保証されているのではないこと。紀元前に遡るギ リシャ古典古代のテキストがつい今しがた隣人によって書かれたような身近さを感じさせ、 遠い異国の何世紀を経た楽曲の響きが生まれたばかりの新鮮さで耳に届き、自分が属する 文化圏とはほとんど無縁の宗教空間の美的な達成に圧倒されるときに、わたしたちは繰り 返しそのことを実感しています。 「新/旧」というパラダイムは、単線的な時間という、硬直した世界観によって保証さ れているのではないでしょうか。いま世界は、高度な情報化によって、時間も空間もひと つの基準によって標準化されているように思われますが、じつはその標準化そのもののた めにかえって多くの分断、おそらく、人類の歴史のなかでも、そうとうに深刻な分断をわ たしたちは生きることを余儀なくされているように感じられるのです。 時間は複数の系として流れている。とはいえ、そのこと自体がそのまま豊かであるわけ でありません。むしろ、時間は、ときに捩れ、渦巻き、ぶつかりあい、そこに予想をしな い亀裂が生じ、そこに深淵が顔を覗かせます。 アートの力は、まずは、その深淵を直視し、いうならば「タイムクレヴァス」のかたわ らに佇むことによって、個人と社会、国家、性差、世代差、人種、宗教といった相互の差 異を、現在の自分自身が置かれている状況を含めて、徹底して感じ取ることから生まれ出 てくるのではないでしょうか。 雪原に口を開くクレヴァスは、きわめて「美しい」ものだといいます。しかし、アート の力は、そこに転落する誘惑を断ち切る力も同時に秘めています。そこにひとびとが交通 するための橋を架ける行為でもあるのです。 横浜というわずか 150 年ほど前に、世界へと初めて開かれた、若い都市は、そのような アートによる橋をかけるための相応しい場所ではないでしょうか。そして、それが文化的 な成熟へのたいせつな一歩となってくれることを願い、横浜トリエンナーレ第三回展をわ たしは「タイムクレヴァス」と命名したのです。 2006 年 11 月 水沢 勉