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デート DV 防止啓発について

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デート DV 防止啓発について
平成24年度京都市青少年モニター制度
ワークショップ2
「デート DV 防止啓発について」
実施報告
特定非営利活動法人
ユースビジョン
--------報告内容-------1.実施概要
2.ワークショップ報告
3.作成された提言
4.所感
1. 実施概要
京都市内における主に青少年世代へ対するデート DV 防止啓発について、青少年モニターがワークショップを通じて
提言を策定した。より具体的、かつ実現可能な「提言」が作成できるよう、ワークショップは 1 回目「知る」、2 回目「調べる・
深める」、3 回目「提言する」の3部構成で開催した。
また、ワークショップに参加するモニターと、ワークショップには参加しないがテーマに関心があるモニターの双方が登
録する「メーリングリスト」を作成し、ワークショップ内容報告や、情報共有、意見交換の場として運用した。
【開催日時】
1回目「知る」
2012 年 10 月 25 日(木)
2回目「調べる・深める」
2012 年 11 月 1 日(木)
3回目「提言する」
2012 年 11 月 8 日(木)
時間は全日程午後 7 時から 9 時
【開催場所】
京都市男女共同参画センター ウィングス京都 会議室
住所:〒604-8147 京都市中京区東洞院通六角下る御射山町 262
※テーマに関連する施設を開催場所とした。
【参加者】
○ワークショップ参加者:青少年モニター9 名(申込者は 10 名)
1 回目/9 名、2 回目/4 名、3 回目/3 名
○メーリングリスト登録者:12 名(ワークショップ参加者含む)
【ファシリテーター(進行役)】
川中大輔氏(シチズンシップ共育企画代表/立命館大学教員)
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2. ワークショップ報告
1回目:「知る」
日時:2012年 10 月 25 日(木)午後7時~9時
参加者:青少年モニター9名
スピーカー:京都市文化市民局共同参画社会推進部男女共同参画推進課 北川恵さん、田中優里佳さん
(上記の他、京都市勤労福祉青少年課職員1名、事務局2名が参加/傍聴した。)
■セッション1「望ましい交際関係とは?」
自己紹介も兼ねて、参加者が「ワークショップに参加した動機」、「私が考えるいいお付き合いとは、どういうものか?」、
「付き合っている時にめんどくさい、いややだなぁと感じるのはどんな時か?」についてディスカッションした。
「ワークショップに参加した動機」には、「自分の研究テーマに近いから」や「ちょっと知ってみたかった」、「今後役に立
つかもしれないので」など。また、「いいお付き合いはどんなものか?」については、「束縛されない」、「自然体でいられ
る」、「自立しているけど、相乗効果がある」といった声が出、「いやだと思うお付き合い」には「お金の貸し借りがある」、
「極端な依存関係」、「束縛される」、「人生への介入」などが出ていた。
■セッション2「デート DV の基礎知識」
デート DV の防止啓発を考えるために、まずは参加者自身がデート DV の理解を深められるよう、ファシリテーターによ
る基礎知識のレクチャーを行なった。レクチャー中は、熱心にメモをとりながら話をきいている参加者も見受けられた。
●レクチャー概要
DV は Domestic(内に閉じられた)、Violence(暴力)の頭文字をつけたものであり、この暴力には様々な種類(身体的暴力、
経済的暴力、性的暴力、精神的暴力、社会的暴力)がある。身体的暴力でなくても、お互いの「こうしたいな」という気持ちをど
ちらかが抑えこんだり、阻害したりすることで、それを受ける側が考えたり、感じることができなくなってしまったり、しんどくなっ
てしまうような精神的暴力も DV の一つである。最近は中高生など若い世代でデート DV に遭遇する人が増えていると言われ
ている。
※社会的暴力:人と人との関わりから遠ざけていくような暴力のこと。
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■DV のメカニズム
DV は、相手をコントロールしたいという意思が働くことによって起こる。この「相手をコントロールしたい!」という気持ちの裏
には、「優越感への渇望」があり、自分に自信が無かったり、相手に見捨てられてしまうのではないかと不安に感じる(=自尊
感情や自己効力感が低い)などして、その裏返しとして、相手をコントロールしないと不安になるというメカニズムが働く。こうし
た気持ちは過去に自分が傷ついた体験が影響し、それが相手をコントロールしたい!という怒りなり、暴力へ派生していくと言
われている。
自尊感情や自己効力感の低さ(内的抑圧)は、社会システムや、まなざし、偏見といった外的抑圧を受けることで生まれるた
め、こうした暴力を抑止するためには、自尊感情や自己効力感を形成することで内的抑圧を解放したり、周りの人が関わり方
を変えたりする(=外的抑圧を減らす)必要がある。
■暴力のサイクル」
不安や自信の無さの裏返しとして発生する暴力は「再生産」される。
「怒りやイライラや高まる →怒りやイライラが爆発して暴力が起こる→暴力をふるったことを後悔しやさしくなる→イライラが高
まるに戻る」
(最近ではこのサイクルは、さらに細かな事象に分けられて説明されている。)
■デート DV が起こる背景
1.力による支配
2.コミュニケーション不足
3.ジェンダー・バイアス
4.マスメディアの影響
5.デート DV への社会の寛容性の高さ
6.恋愛至上主義社会
デート DV を防ぐために「マニュアル」を作るというのは、適当ではない。DV は二人の関係性の中で起こるものであり、マニュ
アルを理解するのではなく関係性への感性を高めることが重要だ。人との関係をどう築いていくのかを学べる機会が減ってい
る。すなわち、親密性の学習の失敗が原因で、デート DV が発生すると言える。人との関係は「近い」か「遠い」だけではないこ
とを知り、「親密な関係とはどういう関係か?」を理解することが、デート DV 防止の糸口になる。
■セッション3「京都市のデート DV 対策」
まず、京都市文化市民局共同参画社会推進部男女共同参画推進課の北川さんより、現在の京都市のデート DV 対策
について DV 相談窓口にどのような相談が寄せられたのか事例も交えながら、説明していただいた。また同課田中さんよ
り、ワークショップ開催に先立って行われた青少年モニター制度のアンケート集計結果について話をしていただいた。
※内容については、別紙参照のこと。
本ワークショップでは特に、青少年に対してのデート DV 防止啓発についての提言を作ってほしいとの期待をお話いた
だいた。話のあとは、青少年モニターからの質問時間を設け、北川さんと田中さんに答えていただいた。
●青少年モニターから出た質問(抜粋)
・実際にはどんなところに DV 防止啓発のカードを置いているのですか?
・10 回の無料相談期間に、相談が終われなかったら有料になるのですか?
・青少年でも京都市DV相談支援センターで、実際に相談に乗ってもらえるのですか?
・啓発ビラを配る以外にイベントなどは開催しているのか?
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・DV 被害者サポーター養成と DV 被害者支援インストラクター養成を行っているとあるが、それぞれ人数はどれぐらいい
るのか?
・デート DV 男性被害者の割合はどれぐらいいるのか?また男性に対する対処の仕方は女性への対処と同じなのか?
最後に、ファシリテーターより次回からは被害者向け、加害者向け、周囲の人(友人等)向けの啓発について3つのチ
ームに分かれ提言づくりに取り組むこと、また、どのチームで提言を作りたいか考えて来ることのアナウンスがあり、ワー
クショップ 1 回目は終了した。
2回目:「調べる・深める」
日時:2012年 11 月 1 日(木)午後7時~9時
参加者:青少年モニター4名
(上記の他、京都市勤労福祉青少年課職員1名、事務局2名が参加/傍聴した。)
■セッション1「アイディアのしこみ・書きだし」
参加者が少なかったため、被害者向けと周囲の人(友人等)向けを1セットとし、2 チームに分かれて提言づくりに取り
組むこととなった。まずは、広報を企画する際、どういった手順で考えるといいか「5つのどん」について、ファシリテーター
から説明をうけた。
●5つのどん
1.どんな団体が?:発信するのはどんな団体?
発信する側の団体のトーン(雰囲気)やマナー(規則)は何か?言葉遣いや色遣いなどを整える(揃える)。
2.どんな人に対して?:ターゲットデザイン
広報の対象は誰か?を決めるだけでなく、そのターゲット自身になりきって考えることが重要。気持ちを憑依させて、その人は
どんな気持か?どんな言葉だと響くかを考える。
3.どんなことを?:訴求ポイントは何?
どんなメッセージがあれば行動が変わるのかを考える。訴求ポイントを一言メッセージにしたものが「キャッチコピー」。
4.どんなところで?:タッチポイント
ターゲットがどこでこのキャッチコピー(情報)に触れると伝わりやすいのか。情報発信する場所や時間などを検討する。
5.どんなメディアで?
紙なのか、CMなのか、テレビなのか、ラジオなのか。紙ならば、どんなサイズなのか質感は?などを考える。メディアを連動さ
せるメディアミックス使うことも可能。
(5’.どんな人と一緒に?)
どんな人と協働してメッセージを出すか?も5つめの「どん」で考えることがある。
特に、どんな人に対してか?を考える際に、ターゲットになりきることが重要であり、ターゲットとするのはどんな人(年
齢や職業、性格など詳細に)なのか、どんな気持ちを抱いているかを知り、そこからどんな状況で、どんな言葉だと効果
的なのかを検討するよう、ファシリテーターからアドバイスを受けた。説明のあとは、「5つのどん」をチームに分かれて考
えた。
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●被害者側チームのアイディア ※周囲の人向けは時間切れのため検討されなかった。
どんな団体が:トーン&マナー;キラキラした感じ、ピンク、ラメっぽい感じ
どんな人に対して:キラキラ女子(おしゃれな女子大学生)
被害を受けている時の気持ちは、そもそもデートDVって気づ
いていなかったり、愛されているから、私が悪いからと相手の
行為に対して肯定的な気持ちを持っていたりする。
どんなことを:キャッチコピーは「恋愛力診断します」。
→直接的にデートDVとは言わない
どんなところで:ネイルとかアクセサリーとかが売っているお店
ネイルサロン、ヘアサロン、バスや電車の中
どんなメディアで:お店のレシートに「あなたの恋愛力診断しませんか?」とQRコード
を入れてもらう。アクセスしたら、チェック項目があり、診断結果に
デートDVのことが出てくる。もしくは、ネイルサロンやバス、電車内
にもチェック項目付きポスターを掲示する。
●加害者側チームのアイディア
どんな団体が: トーン;クール、マナー;モノトーン、スタイリッシュ
→「男性」が手に取り易い
→周りから一目では悟られない
どんな人に対して:18~22 歳の男性(学生)。見かけは文化系(っぽい子)。
真面目そう。一見 DV 加害者とは見えない。
彼女と付き合いたて。彼女を守ってあげたいと思っており、
それが義務だと思っている
どんなことを:キャッチコピーは「失敗のしあいっこ」。
自分の弱い所は見せられないと緊張している状態なので、自分の弱さ
を受け入れたり、付き合っていく上での失敗も二人で受け入れられるよ
うになる。
どんなところで:トイレ。二人で出かけた時でも、一人になれる場所であるため。
どんなメディアで:あぶらとり紙など男性用化粧品を利用する。日常的に使うもので、常に持っているもの。
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(議論の様子)
■セッション2「アイディアの発表」
参加者が考えた「5つのどん」について発表し、京都市職員と事務局(ユースビジョン)、ファシリテーターが提言にする
ためのアドバイスを行った。
●被害者側チームへのアドバイス・意見(抜粋)
・お店のレシートを活用するのは実現可能性が低い。
・メディアを変えれば実現できそう。
・あまり「女子」を狙いすぎると決裁がとれないかもしれな
い。
●加害者側チームへのアドバイス・意見(抜粋)
・ターゲットの設定としては分かりやすい。
・「失敗のしあいっこ」というキャッチコピーは対象としよう
としている人に響かない様に思う。トーンであるはずのクールさがない。もっとはっきりと「○○を目指そう!」と出した
方が響くのでは?
・あぶらとり紙はコストがかかる。
最後にファシリテーターより、来週はこのアイディアとアドバイスをもとに提言を作成するので、各自どのようなものにす
ればいいかを考えてくることが提案され、2 回目は終了した。
3回目:「提言する」
日時:2012年 11 月 8 日(木)午後7時~9時
参加者:青少年モニター3 名
(上記の他、京都市勤労福祉青少年課職員 2 名、事務局2名が参加/傍聴した。)
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■セッション1「アイディアから提案へ」
前回出したアイディアとそれについてのアドバイスをもとに、提言を「6W3H シ
ート」に落とし込んでいった。前回参加していたメンバーが今回参加できなかった
こともあり、1チームで被害者側と加害者側の両方の提言を作成することになっ
た。
●6W3Hシート(9つの項目)
【目的】
Why:問題の現状と、解決に取り組む社会的意義は?そして、問題
発生原因は?
How far:問題となっている状態を今回の提案でどういう状態までも
っていく?
Whom:この政策/施策の対象はだれ?できる限り具体的に!
【手法】
What&How:政策/施策の名前は?具体的に何をどのようにする?
When:いつ?(期間や頻度)それはなぜ?
Where:どこで?それはなぜ?
【資源】
Who:どのような体制で実施するのか?協働ケースならどのような
誰と同役割分担?
How much:必要な予算額は?
■セッション2「デート DV の新たな啓発を提案する」
参加者が、作成した提言を京都市職員と事務局、ファシリテーターに向けて発表し、それぞれからコメントを伝えた。
●発表内容とコメント
・被害者側 「恋愛力診断」
【目的】
Why:
DV 傾向のある彼氏をもっているが、彼女自身が DV であると気づかず、または DV 行為を肯定的にとらえてしまう女性が
いる。
How far:
彼氏との関係の中に、DV があるかもしれないという可能性に気づく。また、DV を被害を受けた際に、DV だと気づくように
なる。
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Whom:
キラキラ女子。(つけまつげ/スマートフォンを使っている。)
【手法】
What&How:「恋愛力診断」
あなたの恋愛力をチェックと呼びかけ、チェック項目をいくつかあげる。何個チェックをつけるかによって、良い付き合いな
のか、DV の危険があるのか、すぐに相談するべき状況なのかの診断結果が出る。
診断ページの QR コードを印刷した名刺サイズのステッカーを作成し、お店にはってもらう。
When:
いつでもありえるので、いつでも。
Where:
ネイルサロンやヘアサロン100店舗
【資源】
Who:
京都市内のネイルサロンやヘアサロンに協力をあおぐ。
How much:
名刺サイズのステッカー500 枚作成費
最低1ページのホームページ作成費
京都市職員、ファシリテーター、事務局から出されたコメント(抜粋)
・お店にお願いする時に、お店の現状を壊さないことを保証する必要があるため、ステッカーは難しいかもしれない。
・ステッカーでなくてもカードや三角 POP なら実現可能性があるかもしれない。
・対象の女子学生が所属する学生団体に作成を依頼してもいいのでは。
・「恋愛力診断」と打ち出し方は、入口としていいと思う。
・議論の中で出ていた、「店員さんとの会話のネタにしてもらう」もとてもよいアイディアだと思うので、提言に盛り込んでみ
ては?
・加害者側 「スマートカレシ宣言」
【目的】
Why:
DV はどの男性にも発生しうるが、文化系男性は社会から「していないだろう」と思われ、埋もれがちである。
How far:
まずは気づく。そして具体的な行動まで起こしてもらう。
Whom:
18歳~22歳の文化系の男性。見た目としては暴力振るわなさそう。
【手法】
What&How:「スマートカレシ宣言」
油とり紙のケースにキャッチコピーと行動のチェックリストを印刷する。またページをめくると、どうすればいいか具体的な
行動が書いてあるようにする。
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When:
4月~6月の3ヵ月間程度。
Where:
映画館や大学、おしゃれな居酒屋の男子トイレ洗面台に設置。
デート中でもトイレでは一人になれる。
【資源】
Who:
あぶらとり紙で有名な、よーじやに CSR として打診してみる。また設置場所として大学や映画館の協力をあおぐ。
How much:
あぶらとり紙10枚×1万セットを作成する。
京都市職員、ファシリテーター、事務局から出されたコメント(抜粋)
・京都市としては、一人が大量に持って帰ることも考えられるため、トイレに設置することに対してお金をかけることはでき
ない。イベントなど手渡しで配布するなら実現可能性はある。
・一人になれる空間として、トイレを選んだのはいいと思う。
・企業にとってのメリットもないと CSR といっても企業は協力してくれない。
・支配的になりそうな男子にたいして、キャッチコピー「スマートカレシ宣言」は響くのか?
・どの時期配布するかは検討した方がいい。大学生がつきあい始める時期として4月は少なさそう。
・男子大学生があぶらとり紙を使うのか、疑問。
(発表の様子)
ここでワークショップは終了となり、後日コメントを受けての修正を加えて提出することとなった。メーリングリスト上で提
言の修正と清書を行い、次のような提言が完成した。
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3. 作成された提言
●被害者側提言
京都市のデート DV 防止啓発に対する提言
「アナタの恋愛力診断」
【目的】
■Why:問題の現状と、解決に取り組む社会的意義は?そして、問題発生原因は?
・若年層の DV 相談件数が少ない理由としてデート DV と見られうる行為を受けている人はいても、実際にデ
ート DV と認識できていない【デート DV 潜在層】が若いカップルにはいるのではないか。
・そういう人たちにこそ、デート DV は身近に起こりうる、もしくは起こっていることだと自覚することで、
被害が比較的少ない段階で発覚、改善につなげられるのではないか。
起こっている原因
・被害者が「愛されている証拠」と暴力行為を肯定的に捉えている
・相手のことがお互い本当に好きで、
「これくらいなら我慢できる」と目を背けてしまう
■How far:問題となっている状態を今回の提案でどういう状態までもっていく?
・
「デート DV は自分の身に起こりうるもの」という認識を持ってもらう
・関係を正常に戻す
(デート DV が起きていたらすぐ別れさせる、ではなく、お互いの関係性を良いものに変えてく姿勢を持っ
てもらうことが目標(本当に危険なケースを除く))
■Whom:この政策/施策の対象はだれ?できる限り具体的に!
「キラキラ女子」
WS で出たイメージは…
河原町 OPA の 2 階にいそう/茶髪/ゆるふわパーマ/つけまつげ/スマホ依存気味/彼氏がいる/「彼氏」
という存在がいないことなんて信じられない!と考えている
【手法】
■What&How:政策/施策の名前は?具体的に何をどのようにする?
「アナタの恋愛力診断」
「恋愛力診断」と書かれたステッカーに付いている QR コードから WEB ページに飛んで、お付き合いに関連
するチェックリストに該当した数によって診断結果が出る。
診断結果は 3 段階
1.良いお付き合い♪この調子で!
2.その関係、一度見直してみませんか?
3.今すぐ相談を!
※「被害者」としてだけでなく、
「加害者」にもなりうるため、その防止を啓発できるメッセージも載せた
い。
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■When:いつ?(期間や頻度)それはなぜ?
秋から冬にかけて
理由:入学や進級で環境が変わって新しい人と出会い、夏ごろに交際が始まり、ラブラブモードから本性が
見え始める時期=デート DV が起こり始める時期、が秋~冬の時期になると推測して。
■Where:いつ?(期間や頻度)それはなぜ?
京都市内のヘアサロン・ネイルサロン
目標は 100 店舗(1 件のお店から他の系列店などにつないでもらえるよう依頼)、1 店舗につき 5 枚(レジス
ターや鏡、ジェルネイルの UV ライトの機械など、お客さんに目に付きやすい&スタッフが紹介しやすい場
所に貼る)
理由:キラキラ女子がよく集まりそうな場所、また、よく通って信頼しているお店のスタッフから「恋愛力
診断」勧められると、試してもらえる可能性が高くなると考えて。
【資源】
■Who:どのような体制で実施するのか?協働ケースならどのような誰とどう役割分担?
・Where で挙げたヘアサロン、ネイルサロンなどにステッカーの掲示の協力を要請
また、店員さんからもお客さんとの会話のネタとして診断を勧めてもらうように依頼
(キラキラ女子にとってサロンの店員さんはオシャレの見本だったり、自分をキレイにしてくれる憧れの
存在として見ている可能性が高く、そんな人から勧められるとハードルが下がって何気なく試してもらえ
るのではないかと考えた。)
・ステッカー、診断ページの作成にはキラキラ女子のココロを掴む工夫ができるような業者などに依頼
・キラキラ女子が読むフリーペーパーを発行している学生団体などと協力できれば…。
フリーペーパー「ガクシン」は多くの大学で手にすることができ、また内容も学生が作成しているため身
近で読みやすい内容になっている。キラキラ女子が読んでいてもおかしくないので、こことコラボして掲
載してもらいたい。
■How much:必要な予算額は?
必要経費
・ステッカー代
名刺サイズ(約 9cm×5cm)
500 枚
→ネットで調べたところ、おおよそ 2 万円前後(製版、印刷代)
参考 http://www.digitaprint.jp/price11.php#table2
参考 http://www.glavity.com/GF2003SY.php?gid=35&size_id=1024
担当課の方から指摘された「原状を壊さない」ための糊のこりが少ないシールの場合は割高になる。
シールタイプのステッカーでなければいけない、という訳ではなく、簡単にテープで貼れるポップでも可。
・WEB ページ作成費
また、知り合いにまとめのシートを見てもらったところ今回の提言では被害者(DV 全般)にキラキラ女子、
加害者(特に社会的、精神的暴力)に文化系男子、と対象を絞っていますが、この 2 つを見比べた時にそれ
ぞれ逆の立場(加:キラキラ女子、被:文化系男子)の構図で社会的、精神的暴力が発生する方が可能性と
しては高いのでは?という意見をもらいました。
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●加害者側提言
京都市のデート DV 防止啓発に対する提言
「スマートカレシ宣言」
*以下の提案では「男性」「女性」とも、異性愛として考える。
【目的】
■Why:
<問題の現状>
①一般的に「暴力」を振るいそうだとされる「肉食的・マッチョイズム」な男性は、対策の対象として設定
されやすく、また世間からも当該男性の潜在的な「暴力」指向は受け入れられやすい。
<解決に取り組む社会的意義>
①その中で、「肉食的・マッチョイズム」な男性以外を施策対象とすることで、デート DV の早期予防に貢
献することが出来る。
②その前提として、デート DV はあらゆる男性(女性もまた)が加害者となる可能性があるという事実が存在
する。
<問題発生原因>
①DV 一般に関しては、こちらを参照。http://www.gender.go.jp/e-vaw/dv/index.html
②問題の現状①に関しては、男女双方のジェンダー規範やピアプレッシャーが考えられる。
■How far:どういう状態まで持っていくか
①どういうもの・ことがデート DV であるかに気付く。
②その上で、デート DV をしてしまわないように、具体的な行動をとる。
■Whom:施策の対象
①文化系・真面目そうな男子(見た目)、18〜22 歳の大学生
②デート DV については、社会・経済・心理的な暴力を振ってしまっている状態。
③ジェンダー規範に囚われている。(例:女子を守るべき、お付き合いは男子が先導すべき等)
④ピアプレッシャーに囚われている。(例:あるべきデート・カップル像を無批判にインストール等)
*WS で出たイメージ
・メガネ男子、華奢、細マッチョ、塩顔男子、嵐の二宮くん、芝生の上で本、草食系男子等。
【手法】
■What&How:
<政策の名前>
「スマートカレシ宣言」
<内容>
① 取り紙(広くメンズ化粧品)/しおり/眼鏡ふき等を使ってのデート DV 広報。
②表紙には「スマートカレシ宣言」と印字し、ジェンダー規範の中で完璧な彼氏を目指す心理を逆手にとっ
て、デート DV を広報する。
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③中面には、スマートカレシのためのチェックリストを印字する。それはデート DV のチェックリストを基
に作成する。
④裏面には、チェックが多かった人のための行動宣言として、デート DV をしないための行動リストを印字
する。
■When:期間や頻度
①4 月から 6 月
②あるいは「女性への暴力をなくす運動」週間 http://www.gender.go.jp/honbu/241112.html
Where:場所・タッチポイント
① 男子トイレの洗面台付近(大学・映画館・美術館・本屋・図書館等)
―デート中に一人になれる空間の、気を抜いた瞬間を狙って訴求する。
②イベントでの配布
―入学式、成人式以外に学園祭や文化系サークルの発表会での配布、本屋、図書館、美術館等文化系男子
がよく行く場所での配布(週末やイベントの日を狙う)
【資源】
■Who:実施体制・協働
①油取り紙(メンズ化粧品)に関しては、民間企業の CSR を狙って協力を仰ぐ。
②設置場所として、大学や民間施設への協力を仰ぐ。
■How much:予算額
①必要経費は、A 広報媒体製造費(印字も含む)・B キャンペーン広告費。
②A に関しては、CSR 等の利用による経費削減を狙う。
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4. 所感
●「提言」としてのインパクト/ワークショップ参加者の少なさ
今回のワークショップは参加者集めに苦労した。登録モニターへのメール案内2回に加え、開催案内をアンケート送付
時に同封、事前研修会に参加したモニターへのメール案内、ワークショップテーマ1開催時に参加モニターへの直接案
内、などを行ったが、申込者がメールマガジン登録のみを含めても12名であった。また、1回目のワークショップには飛
び込み参加者(申込者としてカウントしている)があり、参加者は9名だったが、最終回(3回目)は3名にとどまった。参加
人数が少ない中で作成した提言が、市政にどこまでインパクトを与えられるのかを鑑みると、やはりもっと多くの青少年モ
ニターの参加が必要であったと感じる。
参加者が少なかった要因としては、まずテーマである「デート DV」という言葉そのものがなじみの薄いものだったことが
あげられる。「デート DV」のイメージが暗いもの、重いものと考えていたり、そもそも関心がない、また自分事と感じていな
いなどがその原因と考えられる。今回のように、多くの青少年にとって(実際は周囲で多く起こっていたとしても)なじみが
薄い事象をテーマに設定する際は、青少年に響く言葉に言い換えるなどして、関心を持ってもらう工夫が必要だと考える。
さらに、ワークショップテーマ1の直後であったこと、学園祭シーズン中であったこと、青少年モニター登録から数ヶ月経
過していたことなど、開催時期の設定も参加者が少ない要因だったかもしれない。青少年モニター制度の年間スケジュ
ールの組み方に再度検討が必要だと思われる。
●ワークショップ終了から提言完成まで
プログラムは、3回目で提言が完成するよう計画しているが、京都市やファシリテーター等からの意見を反映し、ワーク
ショップ内で完成させるには、前テーマと同様時間が足りない。提言提出の締め切り期日を設定し、メーリングリストやメ
ンバーへの直接メールなどで提言のブラッシュアップを促進したが、ワークショップが一旦終了していることもあってか、メ
ンバーが団結して「提言を完成させよう!」という動きがなかなか生まれず苦労した。一人のモニターが提言をまとめ、メ
ーリングリストを使って他のメンバーに意見を求めても、反応がない状態が続き、事務局からも何度も反応を促すことと
なった。結局、完成までに2度ほど提出期限を延長することとなってしまった。自分たちの思いや考えを京都市へ届けた
いという青少年モニターの気持ちをさらに強める必要があり、また、提言完成までの必要な時間・日数などは改めて検討
する必要がある。
●青少年モニターへの啓発効果
今回のワークショップの担当課である男女共同参画推進課からは、本ワークショップとこれに先駆けて実施されたアン
ケートを通じて、青少年にデート DV について知ってもらうことも目的の一つであると聞いた。
提言を作成するためには、参加者が基本的な知識を有することが必須であり、ワークショップ1回目を、前回テーマの
時よりもより「知る」に重きを置き実施した。結果として、「デート DV について知りたい」、「京都市の取組を知りたい」という
動機で1回目のみ参加した青少年モニターもおり、担当課がねらいとする青少年に対してデート DV の啓発や京都市の
取組についての知識提供が実現できたのではないかと考える。
ただ、青少年モニター制度の主目的について主管課、担当課、事務局ともに再確認し、共通理解を形成することが求
められるように感じる。
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