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米国 - 日本学術振興会
2012年12月5日 ワシントン研究連絡センター 米国学術研究の動向 オバマ大統領再選によって予想される高等教育への今後の影響(11 月 7 日) 11 月 6 日に行われた大統領選挙でオバマ大統領が再選されたが、これによって大統領が第 1 期目から推進してきた連邦学資助成の拡大及び大学に対する規制の強化は、今後も継続される ものと予想される。 連邦学資助成の拡大には、低所得家庭の学生を対象としたペル・グラント(Pell Grant)の ための予算拡大及び、収入ベースの学資ローン返済プログラムの導入などが含まれる。 また、景気回復を加速させるために、大統領は職業訓練におけるコミュニティカレッジの役 割を重視しており、200 万人に対する職業訓練を目標に、コミュニティカレッジ及び州政府に 対して連邦予算を拠出する可能性もある。 一方、学資ローンによる負債と大学学費の高騰が今後も重要課題となることが見込まれる中 で、特に私立大学に対する厳しい規制や、消費者金融保護局(Consumer Financial Protection Bureau:CFPB)による監視は継続されると予想されている。 また、教育省(Department of Education)が提唱したものの、民間セクター大学協会 (Association of Private Sector Colleges and Universities)による強力な反発を受けて現 在保留扱いとなっている「有給雇用規制(gainful-employment regulation) 」が成立に向けて 動き出す可能性もある。 The Chronicle, With Obama's Win, Colleges Anticipate 4 More Years of Reform http://chronicle.com/article/article-content/135592/ The Chronicle, Obama's Victory Spells Continued Scrutiny for For-Profit Colleges http://chronicle.com/article/article-content/135590/ 大統領選挙の結果、連邦下院科学・宇宙・技術委員会の委員が大幅変更の見通し(11 月 7 日) 11 月 6 日に行われた大統領選挙の結果、連邦議会下院の科学・宇宙・技術委員会(Committee on Science, Space and Technology)では、退職を含め、委員会全体の 4 分の 1 にあたる 10 議員が現職を去ることとなった。 また、現委員長であるラルフ・ホール下院議員(Ralph M. Hall、テキサス州選出共和党)の 委員長任期更新も現行の下院規則では認められていないため、新たな委員長が任命される見込 みである。 同委員会は米航空宇宙局(National Aeronautics and Space Administration:NASA)やエネ ルギー省科学局(Department of Energy’s Office of Science)を始めとする科学技術関連省 庁を統括しており、幅広い政策の方向付けや監視を行うなど重要な役割を果たしている。 現在、同委員会の構成は、共和党 23 議席、民主党 17 議席の合計 40 議席となっているが、こ のうち共和党の 1 議席と民主党の 3 議席は空席となっている。 なお、 議席数の構成は 2013 年 1 月に下院議会が召集された段階で変更される可能性はあるが、 共和党が過半数を占めることに変更はない。 Science Insider, U.S. House Science Committee Set For Big Turnover http://news.sciencemag.org/scienceinsider/2012/11/us-house-science-committee-set-f .html NSF、地球科学局副局長に米国大気研究センター所長のワキモト氏を任命(11 月 7 日) 米国国立科学財団(National Science Foundation:NSF)は、地球科学局(Directorate for Geosciences:GEO)の新局長に、米国大気研究センター(National Center for Atmospheric Research:NCAR)センター長のロジャー・ワキモト氏(Roger M. Wakimoto)を任命したことを 発表した。 竜巻や雷雨などといった悪天候を専門とする地球物理学者の同氏は、NCAR の地球観測研究所 (Earth Observing Laboratory)副所長を務めたこともあり、大気・極地・地球・海洋科学分 野の研究を支援する年間予算約 10 億ドルの GEO の局長には 2013 年 2 月に就任することになる。 なお、GEO では、2012 年 10 月 13 日に進水した研究船シクーリアック(Sikuliaq)や 10 月に 開所した NCAR-ワイオミング・スパコンセンター(NCAR-Wyoming Supercomputing Center)と いった施設などの管理も行っている。 National Science Foundation, National Science Foundation Selects National Center for Atmospheric Research Director Roger M. Wakimoto to Lead Geosciences Directorate http://www.nsf.gov/news/news_summ.jsp?cntn_id=126005 米国人類学会、新規倫理規定を承認(11 月 7 日) 米国人類学会(American Anthropological Association:AAA)は、5 年間にわたる研究検討 後、会員の 93%の承認を得て、同学会の新倫理規定を採用することを決定した。 今回採用された新倫理規定は、特定の禁止事項を列挙していた過去の規定から、一般原則を 示したものへと移行しており、①損害を与えないこと、②研究に対して正直かつ公正であるこ と、③状況を説明した上での承認及び必要な許可を取得すること、④協力者及び、影響を受け る当事者の倫理的義務を比較検討すること、⑤研究結果を公開すること、⑥自分の記録を保護・ 保管すること、⑦相手を尊重し倫理観を持った専門家としての関係を維持すること、の 7 点を 主要原則として挙げている。 なお、今回採用された倫理規定の詳細は、<http://www.aaanet.org/coe/Code_of_Ethics.pdf> からダウンロード可能。 Inside Higher ED, Anthropologists Approve New Code of Ethics http://www.insidehighered.com/news/2012/11/07/anthropologists-approve-new-code-eth ics 第 2 期オバマ政権における高等教育政策の鍵を握る人物予測(11 月 8 日) 11 月 6 日の大統領選挙におけるオバマ大統領の再選により、引き続き教育省(Department of Education)が大学規制において主要な役割を果たすことなど、連邦高等教育政策の方向性が明 らかになったが、一方で誰が高等教育政策立案の中心人物となるかについては、様々な予測が ある。 特に、現教育長官のアーン・ダンカン氏(Arne Duncan)と現教育次官のマーサ・カンター氏 (Martha Kanter)の続投は確実視される中、高等教育イニシアティブの推進を統括する副次官 候補に注目が集まっている。 現政権では、ロバート・シャイアマン氏(Robert Shireman)及びジェームス・クバール氏(James Kvaal)といった実力者が歴任した同職について、関係者の間では、ルミナ財団(Lumina Foundation)理事長のジェイミー・メリソティス氏(Jamie Marisotis)や、大学学位取得率向 上を目的とした非営利団体コンプリート・カレッジ・アメリカ(Complete College America) 会長のスタン・ジョーンズ氏(Stan Jones)などの名前が挙がると共に、クバール氏の再任や、 計画・評価・政策開発担当教育次官補のカーメル・マーティン氏(Carmel Martin)、大統領府 で高等教育を中心に上級政策顧問を務めたザキヤ・スミス氏(Zakiya Smith)なども候補と考 えられている。 Inside Higher ED, Examining Who Could Shape Higher Education Policy in Obama’s Second Term http://www.insidehighered.com/news/2012/11/08/examining-who-could-shape-higher-edu cation-policy-obamas-second-term クリントン国務長官、新たに 3 人の科学特使を任命(11 月 8 日) 国務長官(Secretary of State)のヒラリー・クリントン氏(Hillary Rodham Clinton)は 11 月 8 日、新科学特使(Science Envoy)として、コロラド大学ボールダー校(University of Colorado at Boulder)土木工学教授のバーナード・アマデイ氏(Bernard Amadei) 、マサチュ ーセッツ工科大学(Massachusetts Institute of Technology)前学長でハーバード大学ケネデ ィ・スクール(Harvard University’s Kennedy School)客員教授のスーザン・ホックフィー ルド氏(Susan Hockfield) 、ワシントン大学セントルイス(Washington University in St. Louis) 生物学教授のバーバラ・シャール氏(Barbara Schaal)の 3 人を任命したことを発表した。 これら 3 人は、2009 年に始まった科学特使プログラムの第 3 次特使として、科学技術及びイ ノベーションを外交手段として外交相手国との絆をさらに深めながら新たな関係を育み、地球 規模の課題に共同で取り組む国際協力を促進すると共に、諸外国との交流から得られた見識に 基づいて、大統領府、国務省及び米国科学コミュニティーに対して助言を行うことになる。 過去の科学特使は、エジプト、モロッコ、チュニジア、南アフリカなどを始めとする 19 カ国 を訪問している。 なお、クリントン国務長官の発言内容全文は、 <http://www.state.gov/secretary/rm/2012/11/200294.htm>からダウンロード可能。 U.S. Department of State, U.S. Science Envoys Announced http://www.state.gov/r/pa/prs/ps/2012/11/200356.htm NSF、研究データ同盟設立に向け 250 万ドルを助成(11 月 8 日) 米国国立科学財団(National Science Foundation:NSF)は 11 月 8 日、世界中の科学者間で の研究データ共有を加速させるための国際組織「研究データ同盟(Research Data Alliance: RDA) 」の設立に向けて、レンセラー工科大学(Rensselaer Polytechnic Institute:RPI、ニュ ーヨーク州)に対し 250 万ドルを助成すると発表した。 今日までに、米国を含む世界各国から 120 人以上が RDA の概念構築活動に参加しており、米 国、オーストラリア、欧州連合からの参加者により組織運営委員会も構成されている。 RDA は、科学研究によって得られたデータの入手・組合せ・使用・再使用をより容易に行い、 新たな発見につなげることを目指しており、データを活用するサイバーインフラの開発・導入、 規格の調和、データ共有政策と運用策の開発及び導入を始めとする、結果重視型の取り組みの 促進が期待されている。 なお、RDA 第 1 回総会は、2013 年 3 月にスウェーデン・ヨーテボリ(Gothenburg, Sweden) で開催予定である。 National Science Foundation, NSF-Supported Research Data Alliance/U.S. Collaborates with International Partners to Accelerate Data Sharing http://www.nsf.gov/news/news_summ.jsp?cntn_id=126010 国際教育研究所、国際教育交流に関する年次報告書を発表(11 月 12 日) 国際教育研究所(Institute of International Education:IIE)は 11 月 12 日、国務省教育 文化局(U.S. Department of State's Bureau of Educational and Cultural Affairs:ECA) と共同で、国際教育交流に関する年次報告書「2012 年オープンドア~国際教育交流に関する報 告~(Open Doors 2012: Report on International Educational Exchange) 」を発表した。 本報告書によると、2011-2012 学年度に米国大学へ留学した学生数は、前学年度比 6%増とな る過去最高の 76 万 4,495 人で、6 年連続して増加した。 また、2010-2011 学年度に海外へ留学した米国人学生数は、前学年度比 1%増となる 27 万 3,996 人であった。 本報告書は、米国大学への留学生数増加の要因として、中国及びサウジアラビアからの学部 課程への留学生数が大幅に増加したことを指摘する他、米国大学への留学生が米国経済に対し て 1 年間で 227 億ドルの経済効果をもたらしたことも明らかにしている。 留学生受入数最多州はカリフォルニア州で、以下、ニューヨーク州、テキサス州、マサチュ ーセッツ州、イリノイ州と続いており、留学生数が最も多い大学は南カリフォルニア大学 (University of Southern California)であった。 また、留学生数の出身国別増減をみると、米国大学への留学生数における上位 25 ヶ国中、ブ ラジル、中国、フランスなど 12 カ国からの学生数が増加した一方で、インド、韓国、日本から の学生数は減少した。 なお、本報告書は、<http://www.iiebooks.org/opendoors2012.html>から購入可能。 Institute of International Education, Open Doors 2012: International Student Enrollment Increased by 6 Percent http://www.iie.org/en/Who-We-Are/News-and-Events/Press-Center/Press-Releases/2012/ 11-13-2012-Open-Doors-International-Students 最新世界トップ 500 スパコン・リストで、オークリッジ国立研究所の「タイタン」が 1 位に(11 月 12 日) 毎年 2 回発表されている、世界トップ 500 スパコン・リストの第 40 版が 11 月 12 日に発表さ れ、オークリッジ国立研究所(Oak Ridge National Laboratory)が所有する「タイタン(Titan) 」 が 1 位となった。 「タイタン」は毎秒 17.59 ペタフロップス(Petaflop/s)の演算能力を有する。 なお、前回発表された 2012 年 6 月のリストで 1 位であった、演算能力毎秒 16.32 ペタフロッ プスを記録したローレンス・リバモア国立研究所(Laurence Livermore National Laboratory: LLNL)の「セコイア(Sequoia) 」は 2 位に後退し、理化学研究所のスパコン「京」 (兵庫県神戸 市)は 3 位となった。 今回発表されたリストで注目すべき点として、①加速・コプロセッサ技術が、 「タイタン」を 含む 62 件のシステムで使用されていること、②マルチコア・プロセッサを用いたシステムが全 体の約 85%を占めていること、③トップ 500 システムの 76%にインテル社(Intel)製のプロ セッサが使用され、2 位の AMD 社製オプテロン(Opteron、12%)及び 3 位の IBM 社製パワープ ロセッサ(Power processor、10.6%)を大きく引き離していること、などが挙げられる。 なお、トップ 500 リストは、<http://www.top500.org/list/2012/11/>からダウンロード可能。 TOP500 Supercomputer Sites, Oak Ridge Claims No. 1 Position on Latest TOP500 List with Titan http://www.top500.org/blog/lists/2012/11/press-release/ NRC、米国電力供給システムのテロ攻撃に対する脆弱性に関する報告書を発表(11 月 14 日) 米国学術研究会議(National Research Council:NRC)は、米国電力供給システムがテロ攻 撃を受けた際の脆弱性を分析した報告書「テロリズムと電力供給システム(Terrorism and the Electric Delivery System) 」を発表した。 本報告書は、2007 年秋に NRC が国土安全保障省(Department of Homeland Security:DHS) の依頼を受けて作成したもので、DHS の意向により当時は機密文書扱いとされていたが、NRC が機密情報部分を見直したことで今回の発表に至った。 同報告書では、米国電力供給システムにおける、広範に亘る送電網の脆弱性、高圧系統にか かる過剰な負担、重要部品の老朽化、感知・制御における最新技術の欠如などの問題に対する 早急な改善の必要性を指摘すると共に、攻撃に強い電力供給システム構築法、攻撃及び故障後 の早期電力回復手段、従来型電力供給が途絶えた際の重要社会事業への影響抑制策などを提言 しており、電力システム研究に対する投資を増やすべきことを強調している。 また、DHS とエネルギー省(Department of Energy)が、長期間の停電に対する地域の脆弱 性を検証し、費用効率のよい戦略開発に向けて、市・郡・州単位を越えた複数のモデル評価シ ステムの実証に出資することも提案している。 なお、本報告書は、<http://www.nap.edu/catalog.php?record_id=12050#toc>からダウンロ ード可能。 The National Academies, Electric Power Grid 'Inherently Vulnerable' to Terrorist Attacks; Report Delayed in Classification Review, Will Be Updated http://www8.nationalacademies.org/onpinews/newsitem.aspx?RecordID=12050 NIH、NIDA と NIAAA の合併計画を撤回(11 月 16 日) 国立衛生研究所(National Institutes of Health:NIH)所長のフランシス・コリンズ氏 (Francis Collins)は 11 月 16 日、顧問委員会の提言を受けて国立薬物乱用研究所(National Institute on Drug Abuse:NIDA)と国立アルコール乱用・依存症研究所(National Institute on Alcohol Abuse and Alcoholism:NIAAA)を合併する計画を 2 年前に発表したが、それを撤 回することを明らかにした。 科学コミュニティーの間では合併計画に対して発表当初から意見が分かれており、特に組織 的に小規模の NIAAA 側の研究者から、意見が軽視されることや、予算配分が得にくくなること、 さらに、飲料品業界やアルコール依存症研究者を中心に、薬物乱用研究と統合されることで合 法な飲酒の印象に悪影響を与える、などの理由で強い反対意見が出されていた。 そのため、NIDA と NIAAA に調整期間を与えていたものの遅々として調整が進まなかったこと もあり、コリンズ氏は合併計画を撤回し、代わりに今後は両研究所の境界を越えて共同で依存 症研究に取り組む「機能的統合」とすることとしている。 なお、コリンズ所長による声明全文は、 <http://nih.gov/about/director/11162012_statement_suaa.htm>からダウンロード可能。 Science Insider, NIH Backs Off Plan to Merge Addiction Institutes http://news.sciencemag.org/scienceinsider/2012/11/nih-backs-off-plan-to-merge-addi .html NIH、助成受給研究の論文公開に関する方針強化を発表(11 月 16 日) 国立衛生研究所(National Institutes of Health:NIH)は 11 月 16 日、NIH 助成を受給し た研究の成果としての論文の一般公開に関する方針を強化し、NIH のパブリックアクセス方針 に従わない研究に関しては、助成金の次回支給を行わないこと、そして、今回発表の新方針は 早ければ 2013 年春から施行予定であることを発表した。 パブリックアクセス方針は、NIH の助成を受けた研究の成果が一般に公開されるよう、2008 年より施行されているが、実際には対象となる研究全体の 75%の研究論文しか公開されていな いことが、2012 年 3 月に国家科学技術会議(National Science and Technology Council:NSTC) が発表した報告書「パブリックアクセスの省庁間調整(Interagency Public Access Coordination) 」において明らかにされている。 なお、今回発表された方針は、 <http://grants.nih.gov/grants/guide/notice-files/NOT-OD-12-160.html>から、 NSTC による報告書は、 <http://www.whitehouse.gov/sites/default/files/microsites/ostp/public_access-final.p df>から、それぞれダウンロード可能。 Science Insider, NIH Steps Up Enforcement of Public Access Policy http://news.sciencemag.org/scienceinsider/2012/11/nih-steps-up-enforcement-of-publ .html 2013 年からの強制歳出削減措置回避に向け教育業界が積極的なロビー活動を実施 (11 月 16 日) 2012 年内に連邦議会が歳出削減案の合意に至らなかった場合、2013 年から 2021 年にかけて 総額 1 兆 2,000 億ドルの強制歳出削減措置が発動されることになる。 同措置においては、削減額の約半分が防衛費予算から、残りの半分が国内自由裁量費予算か ら削減される予定であるが、この事態を回避するために 59 業界によるロビー活動が現在実施さ れており、2012 年第 3 四半期までに 421 団体がロビイストを採用している。 中でも最も活発なロビー活動を実施するのは教育業界で、教育予算のみならず研究プログラ ム向けの連邦助成が縮小される可能性や、幼稚園から高校まで(K-12)の教育予算額が 2003 年レベルに後退する可能性を憂慮し、大学を中心に 91 団体がロビイストを採用している。 それ以外では、研究予算削減と雇用削減を懸念する医療業界で、医療従事者 33 団体、病院・ 介護施設 28 団体、薬事関係団体 20 団体が、さらに、地方自治体政府機関など公務員団体 35 団体や、航空宇宙防衛機関や防衛電子機器産業など防衛関連団体 25 団体も、ロビー活動を展開 している。 The Center for Responsive Politics, Fear of Sequestration Not Limited to Defense, Lobbying Records Show http://www.opensecrets.org/news/2012/11/fear-of-sequestration-not-limited-t.html 共和党、ラマー・スミス下院議員を連邦下院科学宇宙技術委員会委員長に承認(11 月 28 日) 11 月 27 日に共和党首脳陣によって、連邦下院科学宇宙技術委員会(House Committee on Science, Space, and Technology)委員長のラルフ・ホール下院議員(Ralph Hall、テキサス 州選出共和党)の後任として推薦されたラマー・スミス下院議員(Lamar Smith、テキサス州選 出共和党)は、翌日 28 日に開催された連邦下院共和党会議において同委員会委員長として承認 された。 今期の連邦議会で下院司法委員会委員長を務めるスミス下院議員は、特許制度改革法である 「米国発明法(America Invents Act) 」の制定の際、推進派の先頭に立った人物であり、科学・ 工学分野の学位を取得した外国人留学生が米国に留まることが出来る機会を拡大することを支 持する立場をとっている。 Nature Publishing Group, Lamar Smith wins nomination for top House science position http://blogs.nature.com/news/2012/11/lamar-smith-wins-nomination-for-top-house-sci ence-position.html NIH、同一研究の 3 度目の再申請を認めない現行方針を維持(11 月 28 日) 国立衛生研究所(National Institutes of Health:NIH)は 11 月 28 日、助成申請を 2 度却 下された研究提案書の再申請を認めない方針に変更はないことを明確にした。 以前は NIH の助成申請を 2 度却下された提案書は、3 度目の申請も認められていたが、NIH の予算が削減傾向にあることや、優秀な提案書は 1 度目の申請で採択されているといった諮問 委員会の助言により、NIH は 2009 年初めから同一研究提案に 3 度目の申請機会を与える制度を 段階的に廃止していった。 2011 年には当該制度の復活を望む 2,300 人以上の研究者が署名した嘆願書が提出されたが、 同嘆願書に対して NIH 外部研究局(Office of Extramural Research)のサリー・ロッキー局長 (Sally Rockey)は、NIH は方針を変更しないと返答していた。 しかし、2012 年 10 月のネイチャー誌(Nature)のニュースブログに、「2 度却下された研究 提案書の再申請を認めるかどうかは、近日中に決定される」との内容の記事が掲載され、議論 が再燃したことを受け、ロッキー氏は NIH 外部研究局のブログで、①助成受給研究の大半が、 最初の申請時に決定されていること、②現行システムへの変更によって、助成金受給までにか かる期間が 93 週から 56 週に短縮されたこと、③新たに助成を受給する研究者に不利が生じて いないこと、④2 度目の再申請を認めることによって、助成金受給までにかかる時間が長くな ること、などの理由から方針を変更することはないことを明らかにした。 なお、同氏によるブログでの発表は、 <http://nexus.od.nih.gov/all/2012/11/28/the-a2-resubmission-policy-continues-a-close r-look-at-recent-data/?utm_source=rss&utm_medium=rss&utm_campaign=the-a2-resubmissio n-policy-continues-a-closer-look-at-recent-data>からダウンロード可能。 Science Insider, NIH Has No Plans to Bring Back Third Grant Submission http://news.sciencemag.org/scienceinsider/2012/11/nih-has-no-plans-to-bring-back-t .html PCAST、米国における研究コミュニティーの将来に関する報告書を発表(11 月 30 日) 大統領科学技術諮問委員会(President’s Council of Advisors on Science and Technology: PCAST)は 11 月 30 日、米国の研究力の将来に関する報告書「変革と機会~米国の研究コミュニ ティーの将来~(Transformation and Opportunity:The Future of the U.S. Research Enterprise) 」を発表した。 本報告書では、現状においては米国の技術能力は世界トップの地位を維持しているが、現在、 米国における基礎研究及び初期応用研究が直面している課題に取り組まなければ、イノベーシ ョン自体が海外に流出する可能性があり、そうなった場合、米国内の雇用喪失のみならず、新 興産業全体を失う可能性もあると警告している。 こういった事情を踏まえ、同報告書では、基礎研究の基本的投資家としての連邦政府の役割 強化、研究開発への産業界からの投資増大促進、イノベーションにおける協調体制拠点として の研究大学の役割強化などを始めとする、基礎研究及び初期応用研究に対する長期的投資強化 と、研究成果の製品・産業・雇用への反映促進を重視した米国の研究能力を強化する対策が提 案されると共に、研究開発費を国民総生産(GDP)の 3%に引き上げることなど、具体的な提言 が提示されている。 なお、本報告書は、 <http://www.whitehouse.gov/sites/default/files/microsites/ostp/pcast_future_research _enterprise_20121130.pdf>から、ダウンロード可能。 Executive Office of the President of the United States, Report to President Calls for Renewed National Focus on Basic Research to Sustain Innovation, Create Jobs http://www.whitehouse.gov/sites/default/files/microsites/ostp/pcast_researcgenterp rise_pressrls_20121130.pdf 米国国立科学財団(NSF) 、大学支出に関する報告書を公表(11 月) 米国国立科学財団(National Science Foundation: NSF)は、11 月、大学の研究開発への支 出に関する報告(Universities Report Highest-Ever R&D Spending $65 Billion in FY 2011) を発表した。概要は以下の通り。 NSF 高等教育研究開発調査(the National Science Foundation’s Higher Education Research and Development Survey) によれば、2010~2011 会計年度(注 1)における米国大学の研究開 発に関する支出は、前年度比 6.3%増加し、5.3 兆円($65.1 billion)(注 2)となっている。 注 1:大学における会計年度(2010 年 7 月~2011 年 6 月)に依拠。 注 2:インフレ率を考慮すると 4.3%の上昇。 この増加は、対象大学増加(742 大学から 912 大学に増加)分の 426 億円($533 million) が加算されたこと、及び 2009 年米国再生再投資法(American Recovery and Reinvestment Act 2009: ARRA)による政府予算増が寄与している。全支出のうち政府による支援は 62.6%を占め 3.3 兆円($40.8 billion)に上り、その他、非政府組織、学術関係団体による支援も増加し ている。 (参照:Figure 1) 【参考】高等教育研究機関の支出財源内訳(出典:標記 NSF 報告) 分野別にみると、最も支出規模の大きいライフサイエンス分野は 6.6%の増加、2.98 兆円 ($37.2 billion) 、大部分はメディカルサイエンス 1.6 兆円($20.4billion)、工学分野は 7.7%の増加、 0.8 兆円 ($10.0 billion) 、 社会科学分野は 2.7%の増加、 1600 億円 ($2.0 billion) 、 非科学、非工学分野は 10.5%の急激な増加、2600 億円($3.2 billion)となっている。財源 については、各分野とも政府、関係団体、産業界、非政府機関など様々な方面から調達してい るが、非科学、非工学分野は特に関係団体からの支出割合が大きい。 また、大学別にみると、上位 30 大学で全体支出の 40%を占め、上位 6 大学(注 1)は 800 億円 ($1 billion)を超える。前年度と比較して、大学内訳は南カルフォルニア大学とハーバード 大学の順位の変更があったほか変動はない。 注:上位 6 大学 ジョンホプキンス大学、ミシガン大学アンアーバー校、ワシントン大学シ アトル校、ウィスコンシン大学マディソン校、デューク大学、カリフォルニア大学サンディエ ゴ校 この他、同報告には、2009 年米国再生再投資法(ARRA)による州毎の支出割合(全体支出の うち平均 6.4%) 、大学における他機関との比較を可能とするため特に医科系機関における支出 割合(全体支出のうち 35.5%)等を公表している。 <参考データ> Higher Education Research and Development Fiscal Year 2011 AT http://www.nsf.gov/statistics/rdexpenditures/ <出典> http://www.nsf.gov/statistics/infbrief/nsf13305/#fig1