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2013年3月29日 ワシントン研究連絡センター 米国学術研究の動向

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2013年3月29日 ワシントン研究連絡センター 米国学術研究の動向
2013年3月29日
ワシントン研究連絡センター
米国学術研究の動向
NSF、女性・マイノリティ・障害者の科学工学分野への進出が未だ不十分と指摘(3 月 5 日)
米国科学財団(National Science Foundation:NSF)は、女性、マイノリティ、障害者の科
学工学分野における教育及び就職状況に関する報告書「2013 年科学工学分野における女性・マ
イノリティ・障害者(Women, Minorities, and Persons with Disabilities in Science and
Engineering:2013)」を発表した。
これによると、女性の場合、過去 20 年間で科学工学分野への進出は増加傾向にあり、特に心
理学分野では学位取得者の 70%以上が女性である一方、コンピューター・サイエンス分野では、
学位を取得する女性の割合は 18%から 28%への増加に留まっており、女性の進出が最も低い分
野であるという。
マイノリティに関しては、過去 20 年間で特に心理学、社会科学、コンピューター・サイエン
ス分野における学位取得者数が増加しつつあるが、2000 年以降は、工学及び物理科学分野の学
位取得者数は安定しており、数学分野では減少していることが明らかにされている。
さらに、①白人の科学者・エンジニアと比較すると、マイノリティの科学者・エンジニアの
失業率が高い、②アジア人の科学者・エンジニアでは、女性の失業率が男性より高い、③被雇
用者全体を見た場合、科学者・エンジニアでは、女性は男性と比較するとパートタイム勤務が
多く、白人女性はほとんどがパートタイム勤務であるなど、格差があることが明らかにされて
いる他、科学工学分野における障害者の雇用率は健常者よりも低いことなども示されている。
なお、本報告書は、<http://www.nsf.gov/statistics/wmpd/2013/pdf/nsf13304_full.pdf>
からダウンロード可能。
National Science Foundation, Report Highlights Latest Data on Women, Minorities and
Persons with Disabilities in Science and Engineering
http://www.nsf.gov/news/news_summ.jsp?cntn_id=127139
2011 年度 NSF 助成受給研究の約 1.5%に盗作の疑い(3 月 8 日)
米国科学財団(National Science Foundation:NSF)の監察総監室(Office of Inspector
General:OIG)管理調査部(Administrative Investigation Division)のジェームス・クロー
ル部長(James Kroll)は、2011 年度の NSF 助成受給研究約 8,000 件を調査したところ、その 1%
から 1.5%に盗作の疑いがあるという結果が出たことを明らかにした。
盗作は、捏造、改ざんと併せて、連邦研究機関が研究不正行為と見なすもので、NSF 監察総
監(Inspector General:IG)のアリソン・ラーナー氏(Allison Lerner)によると、NSF に助
成申請した研究の中で不正行為の疑いのある件数は、過去 10 年間で 3 倍以上に増加しており、
2003 年以降に発覚した 120 件の研究不正行為のうち 80%以上が盗作であると確認されたという。
2 月 28 日に連邦下院科学宇宙技術委員会(House Committee on Science, Space, and
Technology)が開催した公聴会に証人として出席したラーナー氏は、NSF が受理する年間約 4
万 5,000 件の助成申請研究のうち、1,300 件の研究に盗作が関与し、450 件から 900 件の研究に
捏造・改ざんなどの問題のあるデータが含まれている可能性があると証言したが、同じく証人
として出席したクロール氏は、その全てに対応することは現実的には困難であるとしている。
Science Insider, NSF Audit of Successful Proposals Finds Numerous Cases of Alleged
Plagiarism
http://news.sciencemag.org/scienceinsider/2013/03/nsf-audit-of-successful-proposal.h
tml
NIH、ジョン・ローシュ氏を国立総合医科学研究所所長に任命(3 月 25 日)
国立衛生研究所(National Institutes of Health:NIH)のフランシス・コリンズ所長(Francis
S. Collins)は 3 月 25 日、傘下機関である国立総合医科学研究所
(National Institute of General
Medical Sciences:NIGMS)の所長に、ジョンズ・ホプキンス大学(Johns Hopkins University)
生物物理学・生物物理化学部の教授であるジョン・ローシュ氏(Jon R. Lorsch)を任命したと
発表した。ローシュ氏は、ジュディス・グリーンバーグ所長代理(Judith H. Greenberg)の後
任として、今夏に所長に就任する予定で、細胞生物学、生物物理学、遺伝学、発生生物学、薬
理学、生理学、生物化学、生物医学技術、生物情報科学、計算生物学の分野の基礎研究に対し
て年間 24 億ドルの助成を行うNIGMSを監督することとなる。
National Institutes of Health, NIH names Dr. Jon Lorsch director of the National Institute
of General Medical Sciences
http://www.nih.gov/news/health/mar2013/od-25.htm
2010 年度の研究開発費及び研究開発施設費に対する連邦政府負担、前年度比 1.5%の微増
(3 月 26 日)
米国科学財団(National Science Foundation:NSF)が発表した報告書「2010 年度の連邦政府
研究開発費及び研究開発施設費負担は微増(Federal Research and Development and R&D Plant
Obligations Show Modest Growth in FY 2010)」のデータによると、2010 年度の研究開発費及
び研究開発施設費に対する連邦政府負担は、前年度比 1.5%増の 1,470 億ドルであった。中で
も増加率が最も高かったのは研究開発施設費負担で、前年度比 81.3%にあたる 30 億ドル増の
66 億 1,300 万ドルであった。増額分 30 億ドルのうち、11 億ドルは 2009 年米国再生再投資法
(American Recovery and Reinvestment Act of 2009:ARRA)により拠出されたもので、ARRA
による助成総額は、2010 年度の連邦政府負担額総額 1,470 億ドルの 6.2%にあたることも明ら
かにされた。なお、2010 年度の研究開発費だけの連邦政府負担を見ると、前年度比 1.4%減の
1,259 億ドルで、このうち ARRA による助成は 59 億ドルであったと報告されている。
本報告書は、< http://www.nsf.gov/statistics/infbrief/nsf13317/>から閲覧可能。
National Science Foundation, National Science Foundation Data Demonstrate Modest
Research and Development Growth in Fiscal Year 2010
http://www.nsf.gov/news/news_summ.jsp?cntn_id=127413&WT.mc_id=USNSF_51&WT.mc_ev=clic
k
2011 年度の連邦研究開発センターの研究開発費は約 178 億ドル(3 月)
米国科学財団(National Science Foundation:NSF)が行った年次調査「2011 年度米国科学財
団連邦研究開発センターにおける研究開発費歳出調査(FY 2011 NSF FFRDC R&D Survey)」のデ
ータによると、2011 年度の連邦研究開発施設(federally funded R&D center:FFRDC)40 機関
による研究開発(R&D)費歳出額は約 178 億ドルであったという。このうち、97.6%にあたる
174 億ドルの R&D 費は、2009 年米国再生再投資法(American Recovery and Reinvestment Act of
2009:ARRA)により拠出された約 8 億 5,000 万ドルを含む連邦予算でまかなわれており、それ
以外の R&D 費は、企業(1.1%)
、非営利団体(0.3%)
、州及び地方政府(0.2%)
、その他の資
金源(0.8%)から拠出されている。2011 年度のその他の傾向としては、①同年度の FFRDC に
おける R&D 費の内訳は、基礎研究活動 37%、応用研究 29%、開発 34%、②同年度の R&D 費歳
出額が 10 億ドル以上であった FFRDC は、米航空宇宙局(National Aeronautics and Space
Administration:NASA)のジェット推進研究所(Jet Propulsion Laboratory、カリフォルニア
州)以外は全てエネルギー省(Department of Energy)傘下の国立研究所、③2008 年度から 2011
年度の間に FFRDC による R&D 歳出額は 20 億ドル(14%)増加、などが挙げられる。
National Science Foundation, Federally Funded R&D Centers Spend $17.8 Billion on R&D in
FY 2011
http://www.nsf.gov/statistics/infbrief/nsf13316/
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