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2012年5月9日 ワシントン研究連絡センター 米国学術研究の動向

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2012年5月9日 ワシントン研究連絡センター 米国学術研究の動向
2012年5月9日
ワシントン研究連絡センター
米国学術研究の動向
エネルギー省、SMR 開発に対し 4 億 5,000 万ドルの資金拠出(3 月 22 日)
大統領府は 3 月 22 日、米国製小型モジュラー炉(Small Modular Reactor:SMR)の開発に対
し、エネルギー省(Department of Energy)が新たに 4 億 5,000 万ドルの資金拠出を行うと発
表した。
今回の資金拠出は、今後 5 年間で最大 2 件の SMR に対し、開発、設計保証、ライセンス供与
に係る支援を行うものとなっており、米国の輸出機会を拡大し、世界のクリーン・エネルギー
競争における米国の地位を高めることを目的としている。
SMR は通常の原子炉に比べて 3 分の 1 ほどの大きさであることから、安全性のみならず、建
設の上でもまた経済性の面においても利点があると期待されている。
なお、資金拠出は民間企業側との費用分担形式となっており、議会による承認が必要となっ
ている。
Department of Energy, Obama Administration Announces $450 Million to Design and
Commer-cialize U.S. Small Modular Nuclear Reactors
http://energy.gov/articles/obama-administration-announces-450-million-design-and-com
mercialize-us-small-modular
NIH ら、社会科学方法論のウェブサイトを設立(3 月 23 日)
国立衛生研究所(National Institutes of Health:NIH)の行動・社会科学研究室(Office of
Behavioral and Social Sciences Research:OBSSR)は、ニューイングランド研究所(New England
Research Institutes、マサチューセッツ州)と共同で、
「イー・ソース(e-Source)」と呼ばれ
る無料ウェブサイトを立ち上げた。
イー・ソースは、公衆衛生分野における新興問題の解決に用いることが可能な最新の研究方
法やツールに関する情報を掲載したウェブサイトで、心理学者、経済学者、文化人類学者、社
会学者などの社会科学者らを利用者として想定している。
本ウェブサイト立ち上げの目的は、行動科学・社会科学研究の公衆衛生分野への応用を促進
し、生物医学研究の活性化を行うことにある。
なお、イー・ソースのホームページは
<http://www.esourceresearch.org/>となっている。
NIH News, NIH launches online resource on behavioral and social science research methods
http://www.nih.gov/news/health/mar2012/od-23.htm
米国政府、リスクの高いバイオ研究の悪用・誤用防止のための政策を発表(3 月 29 日)
米国政府は 3 月 29 日、連邦助成を受けた H5N1 亜型鳥インフルエンザウイルスを含む 15 の病
原体や毒素に関する研究が有する潜在的リスクの体系的な評価の実施を、連邦政府機関に求め
る新政策を発表した。
これは、社会への貢献を意図しながらも、軍事やテロ目的で悪用・誤用される可能性のある
研究(dual use research of concern:DURC)を特定し、そのリスクを低減する目的で策定さ
れたもので、通称「DURC 政策」と呼ばれている。
国立衛生研究所(National Institutes of Health:NIH)および疾病対策予防センター(Centers
for Disease Control and Prevention:CDC)では、既に所内研究に対してリスク評価を実施し
てきていたが、
「DURC 政策」により、今後はその適用範囲が拡大され、外部研究プロジェクト
や農務省(U.S. Department of Agriculture)、国防総省(Department of Defense)などの連
邦省庁が助成する非機密扱いのバイオ研究などもすべて評価の対象となる。
評価の結果、リスクが高いとされた研究については「リスク低減プラン」の策定が求められ、
著しくリスクが高い研究については研究発表の自主制限又は研究成果を機密扱いとすることが
求められる。
なお同政策は速やかに施行される見通しである。
なお、本政策は
<http://oba.od.nih.gov/oba/biosecurity/PDF/United_States_Government_Policy_for_Overs
ight_of_DURC_FINAL_version_032812.pdf >からダウンロード可能。
The American Association for the Advancement of Science, U.S. Requires New Dual-Use
Biolog-ical Research Reviews
http://news.sciencemag.org/scienceinsider/2012/03/us-requires-new-dual-use-biologi.h
tml?rss=1
オバマ政権、2 億ドル規模の「ビッグデータ研究開発イニシアティブ」を発表(3 月 29 日)
政府は 3 月 29 日、膨大な量のデータを最大限に活用し、国家が直面する喫緊の課題への取り
組みに役立てることを目的とした「ビッグデータ研究開発イニシアティブ」を発表した。
これは、ビッグデータ関連技術に対する政府投資が不足していると結論付けた、昨年の大統
領科学技術諮問委員会(President’s Council of Advisors on Science and Technology:PCAST)
の提言に応える形で策定されたもので、①膨大な量のデータ管理や分析を必要とする最先端中
核技術の発展を促すこと、②その技術を科学や工学分野における発見、国家安全保障の強化、
教育に役立てること、③ビッグデータ技術分野の人材育成を達成することを目的としている。
同イニシアティブは、大統領府科学技術政策局(White House Office of Science and
Technology Policy:OSTP)主導の下、国立科学財団(National Science Foundation:NSF)、
国立衛生研究所(National Institutes of Health:NIH)
、国防総省(Department of Defense)
、
国防高等研究計画局(Defense Advanced Research Projects Agency:DARPA)、エネルギー省
(Department of Energy)
、米国地質調査所(U.S. Geological Survey:USGS)との連携によっ
て実施されることとなっており、イニシアティブの始動にあたり、これらの連邦省庁から拠出
される資金は総額 2 億ドル以上となる予定である。
なお、各省庁の具体的な取り組みについては
NSF<http://www.nsf.gov/news/news_summ.jsp?cntn_id=123607>
NIH<http://www.nih.gov/news/health/mar2012/nhgri-29.htm>
DOD<http://www.DefenseInnovationMarketplace.mil>
DARPA<http://www.darpa.mil/NewsEvents/Releases/2012/03/29.aspx>
DOE<http://energy.gov/articles/secretary-chu-announces-new-institute-helpscientists-improve-massive-data-set-research-doe>
USGS < http://news.yahoo.com/tighter-security-sat-act-wake-cheating-144121416.html >
から閲覧可能。
Office of Science and Technology Policy Executive Office of the President, Obama
Administra-tion Unveils “Big Data” Initiative: Announces $200 Million in New R&D
Investments
http://www.whitehouse.gov/sites/default/files/microsites/ostp/big_data_press_release
.pdf
NSF、コンピューティング分野の新探査的研究 4 件に対する助成提供を発表(4 月 3 日)
国立科学財団(National Science Foundation:NSF)のコンピューター・情報科学工学局
(Directorate for Computer and Information Science and Engineering:CISE)は 4 月 3 日、
コンピューティング分野における「エクスペディション・アワード(Expedition Awards)
」プ
ログラムの下で助成金を受給する 4 件の研究プロジェクトを発表した。
各プロジェクトには 5 年間で 1,000 万ドルの助成金が授与されることになっており、これは
同分野における NSF 研究助成で最大規模となっている。
NSF は 2008 年より、ハードウェアおよびソフトウエア、持続可能なエネルギーに関する研究
の検証、医療 IT など 14 件の研究プロジェクトに助成金を提供してきたが、今回新たにロボッ
ト工学とスマートシステム、ビッグデータ関連技術を含む 4 件の研究がその研究ポートフォリ
オに加わることになる。
National Science Foundation, NSF Announces New Expeditions in Computing Awards
http://www.nsf.gov/news/news_summ.jsp?cntn_id=123707&WT.mc_id=USNSF_51&WT.mc_ev=clic
k
NIH、5 年間で 2,000 万ドル以上をかけ医療科学研究者育成プログラムを立ち上げ(4 月 4 日)
国立衛生研究所(National Institutes of Health:NIH)のフォガーティ国際センター(Fogarty
International Center)は 4 月 4 日、医療科学分野の次世代の科学者を育成する目的で、NIH
附属の協力機関と共に「フェロー及び研究者のためのフォガーティ・グローバルヘルス・プロ
グラム(Fogarty Global Health Program for Fellows and Scholars)
」を立ち上げることを発
表した。
同プログラムは、フォガーティ国際センターと NIH 付属の 17 機関が 5 年間で総額 2,030 万ド
ルの助成を行い、医師や科学者など 400 名の若手研究者に対して途上国 27 か国での研究機会を
与えるものであり、具体的には、5 つの学術研究機関コンソーシアムに対し 5 年間で毎年約 400
万ドルずつ支給し、研修活動の支援を行う予定となっている。
同プログラムへの参加者は HIV/エイズ、結核、マラリア、妊産婦や幼児の健康といった国際
的な医療問題の他、先進国での死因の多くを占める癌や心臓血管疾患、糖尿病など非伝染性の
病気の研究にも取り組むことになる。
National Institutes of Health, NIH awards $20M over five years to train next generation
of global health researchers
http://www.nih.gov/news/health/apr2012/fic-04.htm
連邦各省庁、
「科学の健全性」政策を公表(4 月 6 日)
大統領府科学技術政策局(White House Office of Science and Technology Policy:OSTP)
は 4 月 6 日、連邦助成を受けて実施される科学技術研究の透明性と公開性を最大限に高めると
いうオバマ政権の方針に基づき、
「科学の健全性」政策の策定に取り組んできた各省庁・機関の
大半が、3 月 30 日までに同政策の公表に至ったと発表した。
2011 年 12 月の時点では、全省庁および科学技術をミッションとする政府系機関が、同政策
の策定を終了したか、もしくは間もなく終了する段階にあったものの、大半の組織が政策を公
表していなかった。
そのため 2012 年 2 月、ジョン・ホルドレン(John P. Holdren)科学技術担当大統領補佐官
兼 OSTP 長官は各省庁に対し、たとえ最終草案段階であっても 3 月 30 日を期限として科学の健
全性政策を一般公開するよう求めていた。
現時点で同政策の公開に至っていない国防総省(Departments of Defense)、国土安全保障省
(Department of Homeland Security)、労働省(Department of Labor)の 3 省についても、4
月末には政策が公表される見込みである。
White House Office of Science and Technology Policy, Scientific Integrity Policies
Released
http://www.whitehouse.gov/blog/2012/04/06/scientific-integrity-policies-released
エネルギー省、クリーンで高性能のバイオマス燃料を利用した調理用ストーブの研究に 250 万
ドルを助成(4 月 13 日)
エネルギー省(Department of Energy)は 4 月 13 日、発展途上国向けの炭素排出量の尐ない
バイオマス調理用ストーブ(clean biomass cookstove)の応用研究に対し、最大 250 万ドルを
拠出することを発表した。
世界保健機関(World Health Organization:WHO)によると、調理や加熱の際に排出される
有害な煙の吸引によって毎年 200 万近くの人々が命を落としており、煤煙被害を発展途上国に
おける公衆衛生上の 10 大脅威の一つに指定している。
そのため、燃焼効率がよく煤煙の発生が尐ない高性能調理用ストーブの開発は、①有害な煙
の吸引に起因する死亡数の削減、②使用燃料量の削減、③森林破壊の進行速度の緩和、④燃料
集めに費やされる時間の短縮による他の経済的活動の実施や学業に割く時間的余裕といった生
活水準の向上などに寄与するものと期待されている。
エネルギー省は、調理用ストーブの技術開発と普及に取り組む官民パートナーシップ「クリ
ーン調理ストーブ普及のための世界連盟(Global Alliance for Clean Cookstoves:GACC)
」の
共同設立機関でもあり、本助成により、環境にやさしい調理器具技術の普及とグローバル市場
構築の推進を目指している。
なお、エネルギー省のバイオマス調理用ストーブに関する報告書は
<http://www1.eere.energy.gov/biomass/pdfs/cookstove_meeting_summary.pdf>からダウンロ
ード可能。
Department of Energy, Energy Department Announces $2.5 Million to Advance Technologies
for Clean-Burning, Efficient Biomass Cookstoves
http://energy.gov/articles/energy-department-announces-25-million-advance-technologi
es-clean-burning-efficient-biomass
オバマ大統領、非在来型天然ガスの開発促進支援に関する大統領令を発令(4 月 13 日)
オバマ大統領は 4 月 13 日、国内産非在来型天然ガスの安全かつ責任ある開発推進のため、省
庁横断型作業部会の創設を命じる大統領令を発令した。
同大統領令には、天然ガスは、①雇用創出とともに経済効果が大きいこと、②輸入石油への
依存の低減に貢献すること、③化石燃料と比較して炭素排出量の尐ないクリーンなエネルギー
源であることの 3 点から、同資源を最大限に活用することが極めて重要で、このためには、省
庁間の緊密な連携が不可欠であるとしている。
大統領令によって設立が命じられた省庁横断型作業部会は、国内政策会議(Domestic Policy
Council:DPC)議長を部会長とし、国防総省(Department of Defense)やエネルギー省(Department
of Energy)
、環境保護庁(Environmental Protection Agency:EPA)などを含む関係 13 省庁か
ら構成され、長期計画の策定や、省庁間の政策調整及び情報共有、各連邦政府機関における研
究調査などの調整、関係者との意見交換などの役割を担うこととされている。
The White House, Executive Order -- Supporting Safe and Responsible Development of
Uncon-ventional Domestic Natural Gas Resources
www.whitehouse.gov/the-press-office/2012/04/13/executive-order-supporting-safe-and-r
esponsible-development-unconvention
米国連邦政府関係機関の R&D 支援状況に係る統計資料の発表について(4 月 18 日)
米国国立科学財団(NSF)は 18 日、連邦政府関係機関の R&D 支援状況に係る統計資料を発表
した。
1.本統計資料について
今回の刊行はシリーズ第 58 巻目であり、2008 年度から 2010 年度の連邦政府 R&D 資金に係
る 調査 を行 い、 27 の政 府機 関が 提出 した 研究 開発 R&D に関 する 資金 配分 の計 画額
(obligation) と執行額(outlay)などのデータを反映したものである。
2.主な内容
本統計資料は研究開発 R&D に関する計画額と執行を、政府機関毎に「研究内容(基礎研究、
応用研究、開発研究(development)
、R&D plant)」「専門分野」「地域」「機関」ごとに分類し
て掲載している。
2009 年 12 月に調査票が R&D 事業実施政府機関に送付され、回答は原則として次のとおり
年度ごとに定義されている。
2008 年度:予算執行後の額
2009 年度:予算執行見込額
2010 年度:予算請求見込額
過去の傾向を分析するためには、本報告書の table92 から 127 に掲載されている 1988 年度
から 2009 年度までの史料を参照のこと。
3.留意点
機関によって R&D 事業の予算項目の仕分け方が異なることから、データの正確性に関して
は、調査対象の機関がどれだけ調査の要領を理解しているかによるところがある。要領を誤
解していたために一部のデータが報告されていなかったという事例も起きている。
<参考データ>
NSF の National Center for Science and Engineering Statistics (NCSES)による New Releases
“Federal Funds for Research and Development: Fiscal Years 2008–10”(2012 年 4 月 18
日付け)
http://www.nsf.gov/statistics/nsf12308/
OSTP、STEM 分野教育に関するデータセットを公表(4 月 18 日)
大統領府科学技術政策局(White House Office of Science and Technology Policy:OSTP)
は 4 月 18 日、科学・技術・工学・数学(science, technology, engineering, and mathematics:
STEM)分野の教育に対する連邦政府の取り組みに関するデータセットを公表した。
2011 年 12 月、国家科学技術会議(National Science and Technology Council:NSTC)が、
連邦政府機関から総額 34 億ドルの拠出を受けて実施されている 252 件の STEM 教育プログラム
に関する初の分析結果を発表しているが、今回公表されたデータセットは同分析の基礎データ
として用いられたもので、2010 年に政府が助成した教育プログラム、助成のターゲット、得ら
れた成果などが網羅されている。
また、同データセットには、STEM 領域の教育支援に携わる 13 の連邦政府機関の活動に関す
る情報も含まれており、連邦政府の STEM 教育プログラムを包括的に把握できる内容となってい
る。
なお、本データセットは
<http://www.whitehouse.gov/sites/default/files/microsites/ostp/Guide%20to%20STEM%20E
d%20Data%20Set.pdf>からダウンロード可能。
The White House, OSTP Releases Data on STEM Education
http://www.whitehouse.gov/blog/2012/04/18/ostp-releases-data-stem-education
PCAST、国家ナノテクノロジー・イニシアティブの評価結果を発表(4 月 27 日)
大統領科学技術諮問委員会(President's Council of Advisors on Science and Technology:
PCAST)は 4 月 27 日、
「第 4 回国家ナノテクノロジー・イニシアティブ評価に関する大統領およ
び議会への報告書(Report to the President and Congress on the Fourth Assessment of the
National Nanotechnology Initiative)」を発表した。
同報告書は、連邦議会が国家ナノテクノロジー諮問委員会( National Nanotechnology
Advisory Panel:NNAP)の任務を担う PCAST に対して隔年で発表するよう義務付けているもの
である。
今回の評価は、2010 年度評価報告書にまとめられたナノテク分野における米国の優位性維持
のための提言に対する、国家ナノテクノロジー・イニシアティブ(National Nanotechnology
Initiative:NNI)と国家ナノテクノロジー調整局(National Nanotechnology Coordinating
Office:NNCO)の取り組みの進捗に焦点が当てられたものとなっている。
同報告書において PCAST は、質の高い研究への支援や、産業界との協力や商業化の推進など、
これまでの NNI と NNCO における活動に対し総合的に高い評価を与えると同時に、
①戦略的計画、
②プログラム管理、③ナノテクが与える商業的・社会的影響の評価測定基準、④環境・健康・
安全性(environmental, health, and safety:EHS)研究支援の面で、更なる取り組みが必要
であるとの提言を記している。
なお、本報告書は
<http://www.whitehouse.gov/sites/default/files/microsites/ostp/PCAST_2012_Nanotech
nology_FINAL.pdf>からダウンロード可能。
The White House, PCAST Releases Assessment of National Nanotechnology Initiative
http://www.whitehouse.gov/blog/2012/04/27/pcast-releases-assessment-national-nanot
echnology-initiative
米国再生・再投資法により、連邦 R&D 拠出額が 2 年間で 192 億ドル増加し、2010 年度の高等教
育機関の R&D 費総額は 610 億ドルに(4 月 30 日)
国立科学財団(National Science Foundation:NSF)は 4 月 30 日、
「2009~10 年度における
R&D 並びに R&D 関連設備に対する連邦投資額は米国再生再投資法(American Recovery and
Reinvestment Act of 2009:ARRA)によって 192 億ドル増加(ARRA Increased Federal Research
and Development and R&D Plant Obligations by $19.2 Billion for FY 2009–10)」と題する
報告書を発表した。
同報告書は、
「連邦政府の R&D 助成に関する NSF 調査:2009~11 年度(NSF Survey of Federal
Funds for Research and Development: FY 2009-11)」の統計調査データを基にまとめられたも
ので、これによると ARRA によって承認された R&D と R&D 関連施設や固定設備を対象とする連邦
拠出額は 2009 年には 101 億ドル、2010 年には 91 億ドル、合計で 192 億ドル増加したという。
なお、
2009 年度に実施された連邦政府機関による R&D 関連拠出額は 1,370 億ドルであったが、
ARRA による拠出額はそのうち 7.4%を占め、
2010 年度では全体の 6.5%となるとの分析である。
また、NSF が発表した「高等教育部門における R&D に関する調査(Higher Education Research
and Development Survey)
」によると、2010 年度の高等教育機関における R&D 費の総額は前年
比 6.9%増加し、612 億ドルとなったことも明らかにされた。
この伸びの大半は、2009 年 ARRA を基に実施された R&D 支援によるものであり、結果として
高等教育機関における R&D 費総額のうち、連邦助成が占める割合が 61%まで高まったという。
なお、機関別の R&D 費ランキングでは、ジョンズ・ホプキンス大学(Johns Hopkins University_、
ミシガン大学アナーバー校(University of Michigan, Ann Arbor)、ウィスコンシン大学マデ
ィソン校(University of Wisconsin, Madison)などが上位を占めている。
2010 年度高等教育機関における R&D 費の総額
順
機関名
位
全 R&D 支出額
(百万ドル)
1
ジョンズ・ホプキンス大学
2,004
2
ミシガン大学アナーバー校
1,184
3
ウィスコンシン大学マディソン校
1,029
4
ワシントン大学(シアトル)
1,023
5
デューク大学
983
上位 25 機関の合計額
21,519
全機関の合計額
61,235
なお、本報告書は
<http://www.nsf.gov/statistics/infbrief/nsf12314/nsf12314.pdf>
<http://www.nsf.gov/statistics/infbrief/nsf12313/nsf12313.pdf>
からダウンロード可能。
National Science Foundation ARRA Increased Federal Research and Development and R&D
Plant Obligations by $19.2 Billion for FY 2009-10
http://www.nsf.gov/news/news_summ.jsp?cntn_id=124032&WT.mc_id=USNSF_51&WT.mc_ev=cl
ick
米国科学アカデミー、会員の多様化を模索(5 月 1 日)
米国内で最も名声ある科学学術機関との評価を受ける一方で、会員の高齢化や性別、人種の
偏りが指摘されていた米国科学アカデミー(National Academy of Sciences:NAS)が、若手や
女性科学者を積極的に会員に加えるなど、イメージの刷新に乗り出した。
本年度選出された新会員は例年の 72 名から 12 名増の 84 名となり、そのうち 31%にあたる
26 名が女性である。これは 19 名の女性会員を迎えた 2005 年の記録を破るとともに、前年度の
9 名という数字を大幅に上回る。
また、新会員の平均年齢も昨年に比べ 3.5 歳若返り、58 歳となった。
会員数や女性比率の拡大、そして平均年齢の低下を目指す最大の要因は、会員の高齢化に伴
い、議会や行政府への助言および科学的知見の普及という NAS の使命を果たせなくなるのでは
ないかとの懸念が会員の間で浮上しているからだという。
American Association for the Advancement of Science, U.S. National Academy Gives Itself
a Facelift
http://news.sciencemag.org/scienceinsider/2012/05/us-national-academy-gives-itself.h
tml
NIH、新たな治療法の開発を促進する官民連携プログラムの立ち上げを発表(5 月 3 日)
国立衛生研究所(National Institutes of Health:NIH)は 5 月 3 日、様々な疾病に対する
新たな治療法開発のため、製薬企業と連携して「既存有効成分を活用した新治療法の発掘
(Discovering New Therapeutic Uses for Existing Molecules)」プログラムを立ち上げると
発表した。
近年の研究により 4,500 を超える病気の原因が究明されてきたが、研究知識を新たな治療法
に直結させることは容易ではなく、効果的な治療法が確立されているのはそのうち 250 程度の
病気に留まっている。
このため、基礎研究から実用化への橋渡しを促進する目的で設立された NIH の国立先進トラ
ンスレーショナル科学センター(National Center for Advancing Translational Sciences:
NCATS)が中心となり、製薬会社が有する配合剤および関連情報を研究者に提供することで、新
たな治療法の開発を目指すことになる。
同プログラム開始にあたり、ファイザー社(Pfizer)、アストラゼネカ社(AstraZeneca)、イ
ーライ・リリー・アンド・カンパニー社(Eli Lilly and Company)の 3 社がパートナーとして
参画する。
なお、本プログラムの詳細は
<http://www.ncats.nih.gov/research/reengineering/rescue-repurpose/therapeutic-uses/t
herapeutic-uses.html>から閲覧可能。
National Institutes of Health, NIH launches collaborative program with industry and
researchers to spur therapeutic development
http://www.nih.gov/news/health/may2012/od-03.htm
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