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Kobe University Repository: Kernel

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Kobe University Repository: Kernel
Kobe University Repository : Kernel
Title
股関節伸展運動を同期させた大腿四頭筋等尺性運動の筋
電図学的検討(An Electromyographic study on the
isometric exercise of the quadriceps femoris performed
simultaneously with movement of hip extension)
Author(s)
徳原, 尚人 / 宮川, 孝芳 / 北浜, 伸介 / 千知岩, 伸匡 / 武政,
誠一 / 嶋田, 智明
Citation
神戸大学医学部保健学科紀要,18:85-95
Issue date
2002-12-20
Resource Type
Departmental Bulletin Paper / 紀要論文
Resource Version
publisher
DOI
URL
http://www.lib.kobe-u.ac.jp/handle_kernel/00332997
Create Date: 2017-03-31
神 大 医 保 健 紀 要 第1
8
巻
, 2
0
0
2
8
5
股関節伸展運動を同期させた
大腿四頭筋等尺性運動の筋電図学的検討
徳 原 尚 人 宮 川 孝 芳 北 浜 仲 介 九 千 知 岩 伸 匡 武 政 誠 一 七 嶋 田 智 明4
要 約
股関節伸展運動を同期させた大腿四頭筋等尺性運動 (QS) 時の筋活動を筋電図学的に検
討した。健常男性 1
7名、女性 1
2名の計2
9名を対象に以下の運動を最大努力にて 3秒間行わせ
た
。 1)背臥位・股関節屈曲伸展中間位での QS、 2)背臥位・股関節目。伸展位での QS、
3)背臥位・股関節伸展運動と同時の QS、 4)腹臥位・股関節屈曲伸展中間位での QS、
5)腹臥位・股関節伸展運動と同時の QS。表面筋電図の測定には NOLAXON社製の MyoSystemMR8を使用し、各 QS時の大腿直筋、内側広筋、外側広筋、大殿筋、大腿二頭筋、半臆
様筋、半膜様筋の筋活動量を測定した。各筋の活動量をそれぞれ最大随意収縮時の筋活動
(MVC) から正規化して平均 %MVCを算定し、互いに比較検討した。その結果、背臥位・
股関節伸展運動と同時の QSでの大腿直筋、内側広筋、外側広筋の活動量が有意に高い筋活
動を示したことから、その有効な筋力増強運動としての可能性が示唆された。
索引用語:大腿四頭筋,等尺性運動,筋電図,股関節伸展運動,同期収縮.
抵抗運動を推奨しているが、抵抗を用いた膝伸
緒 田
展運動は膝蓋大腿関節症などには不適切として
大腿四頭筋は下肢筋の中でも抗重力筋として
いる O それは等張性収縮の場合、膝関節屈曲に
重要な役割を担い、従来から整形外科疾患に限
よる筋の伸張と大腿四頭筋の収縮による筋の短
らず理学療法の対象となる患者に対しその筋力
縮が膝蓋臆部での張力を高めるためである O 特
増強運動が広く行われている O 筋力増強運動の
に膝蓋大腿部へ負担のかかる膝蓋大腿関節症な
1
)
方法として古くから DeLorme の漸増抵抗運動
どに対しては、膝蓋骨と大腿骨に加わる圧が少
や M
u
l
l
e
r
)による等尺性運動が知られており、
ない運動として目、 M
u
l
l
e
r
)が強調している等
これらの運動効果について比較がなされてき
尺性運動が推奨される O このようなことから、
た。たとえば DeLateurら3) は、等尺性運動と等
臨床上では関節への負担を考慮し、関節を傷め
張性運動との 2つの運動効果には有意差は認め
ることなく簡便に筋力強化が得られる方法とし
られないとする研究が多かったとし、比較自体
て、等尺性運動が用いられることも多い。
が困難であることを指摘している O しかし、大
大腿四頭筋に対して一般的に行われている等
腿四頭筋の筋力回復に要した期間では、等張性
1e
尺性運動としては、膝関節伸展位での Musc
運動に比べ等尺'性運動が短かったという報告も
S
e
t
t
i
n
gE
x
e
r
c
i
s
e(
Q
u
a
d
r
i
c
e
p
sS
e
t
t
i
n
g
:QS) や膝
みられるヘ一方、 DeLorme は、等張性での
関節伸展位で下肢を挙上する下肢伸展挙上運動
1
)
l.公立杜総合病院リハビリテーション科
2
. 神戸披済会病院リハビリテーション科
3
. 大阪リハビリテーション専門学校
4. 神戸大学医学部保健学科
8
6
(
S
t
r
a
i
g
h
tL
e
gR
a
i
s
i
n
gE
x
e
r
c
i
s
e:
S
L
R
) があり、
運動の際、ハムストリングスや中殿筋に同時収
これらの運動の効果が筋電図学的に比較検討さ
れてきた。 S
o
d
e
r
b
e
r
gら8) によると、 QSでは内
縮が生じることなどの利点も主張されてい
る8)O
側広筋の筋活動が有意に大きく、最大抵抗時の
膝関節を伸展させる筋は、解剖学的には大腿
SLRでは大腿直筋の筋活動が有意に大きかっ
LRとではそれぞれ大腿四頭筋
たとし、 QSと S
四頭筋であるが、足底接地時には股関節伸展筋
の筋活動は異なることが報告されている O しか
m
o
n
tらお)は、足が地面に固定された立位では、
し、市橋ら 9) は、最大抵抗時の S
LRで さ え 大
ハムストリングは腔骨を後方に引くことで膝伸
腿四頭筋の筋活動量は小さく、筋力増強運動と
展に働き、
して S
LRを行う利点は少ないと報告し、浦辺 10)
べている O すなわち、ハムストリングスは足が
もS
LRは股関節屈筋に対する運動であり臨床
地面に国定された閉鎖連鎖運動では、大腿直筋
LR
的に膝伸展の運動としては不十分として、 S
によって骨盤が固定されると、その収縮によっ
の運動効果が否定されている O
て股関節を伸展し、その結果、膝伸展の役割を
も膝の機能的伸筋としての役割を担う
o
B
l
a
i
-
o~60。屈曲位で強く作用すると述
大腿四頭筋の中で特に内側広筋が膝関節の安
担うようになる O したがって、機能的に膝伸展
定性と保護に関与する最も重要な筋肉であ
作用のあるハムストリングスと大腿四頭筋との
りII)、この筋が膝蓋骨を内側に牽引して膝伸展
同期収縮が内側広筋のより高い筋活動をもたら
時の膝蓋骨外側偏位を抑制し、膝蓋大腿関節の
すのではないかと考えられる D しかし、股関節
A
n
g
l
e
適合性と安定性を保つ役割を果たし、 Q
と膝関節を同時に伸展させる等張性運動で内側
を減少させる作用があることが知られてい
広筋の高い活動を認めた報告が散見される程度
る12-附 o また、内側広筋は大腿四頭筋の中でも
で34)、他の筋との同期収縮を伴う等尺性運動で
最も早く廃用性萎縮を生じやすく、しかも回復
の QSの筋活動を明らかにした報告はほとんど
しにくい筋であると指摘され 17-19)、特に内側広
みられない。
筋の筋力増強運動に関心が寄せられてきた。筋
そこで、本研究では、股関節伸展運動と同期
LRより内側広筋
力増強運動の中でも QSは S
させた実験的 QS運動において、股関節伸展筋
の筋活動量が大きいだけでなく、内側広筋の廃
の筋活動が大腿四頭筋に与える影響について筋
用性萎縮に対しても有効でありお)、関節を傷め
電図を用いて検討した。
ずに内側広筋に対し容易に筋力強化が得られる
ことから 12}、最も適切な大腿四頭筋筋力増強運
対象と方法
動と思われる O
従来より、この QSを修正する様々な方法が
対象は、下肢に特記すべき既往のない健常男
開発され、その運動効果や機能特性を筋電図学
7名、女性 1
2名の計29名とした。対象者の平
性1
的に検討した研究が報告されてきた。たとえば
2
.9:
t6
.3歳、平均身長は 1
6
7
.
4:
t8.6
均年齢は 2
肢位による違いとして、下腿の回旋肢位を変え
Sの比較 19.21-2ヘ 股 関 節 回 旋 肢 位 を 変 え
ての Q
c
m、平均体重は 61
.4:
t1
1
.2
k
gで、あった。なお本
研究に先立ち、対象者にはその趣旨及び方法を
ての QSの 比 較5,24-26) 、床に両足~l1:を付けての
十分に説明し同意を得た。
QSを検討した報告がある 27制。興味深いこと
表 面 筋 電 図 の 測 定 に は NOLAXON社 製 の
は、等尺性収縮による筋電活動は他の筋との同
M
y
o
S
y
s
t
e
mMR8を使用した。測定筋は右下肢
期収縮によって増強する場合であり却)、たとえ
の大腿直筋、内側広筋、外側広筋、大殿筋、大
!
O
, 3
I
}、股関節内転
ば、足関節背屈との同期 QS
腿二頭筋、半臆様筋、半膜様筋の 7筋とし、アー
との同期 QSで内側広筋の筋活動が高まること
は広く認められている 5,2,1 22,32)。またこれらの
ス電極は排骨頭とした。また、それぞれの部位
に対し皮膚の電気抵抗を下げるためにあらかじ
8
7
めスキンピュアで十分皮膚を処理した後に表面
運動の施行順は無作為とし、運動ごとの聞には
電極を貼付した。電極には MEDICOTEST社製
0
秒以上とり、数回練習した後に測定し
休息を 1
の使い捨て型表面電極 (
B
l
u
eS
e
n
s
o
r
) を用い
た
。
た
。
l.背臥位、股関節中間位での従来の
なお、各実験的 QS運動の際の筋活動量を比
QS
(従来型)
較するため、まずそれぞれの筋の最大随意収縮
2. 背臥位、股関節伸展位 (
15 )での QS
0
時 の 筋 活 動 (MaximumVoluntary C
o
n
t
r
a
c
t
i
o
n
:
(股伸展位型)
MVC) を測定した。 MVCの測定は、膝関節伸
3
.背臥位、股関節伸展運動と同期させた QS
展筋(大腿直筋、内側広筋、外側広筋)の各筋
(同期型)
に対しては被験者を筋力測定機器である
4
. 腹臥位、股関節中間位での QS (腹臥位
Biodex System3 (
B
i
o
d
e
x社)上で椅坐位とし、
型)
0 位での最大等尺性膝伸展筋
股関節・膝関節 9
0
5
.腹臥位、股関節伸展運動と同期させた QS
力を、股関節伸展筋の各筋に対しては、腹臥位
(腹臥位での同期型)
での股関節最大等尺性伸展筋力をそれぞれ 3秒
間測定し、その中間の 2秒間の平均積分値を求
なお、同期型においては、股関節伸展運動を
めることにより得た。
同時に行わせるため右大腿遠位下部に砂嚢を置
QS運動(図 1)は、股関節内外旋
中間位、足関節は任意として、最大努力にて 3
秒間行わせた。各被験者に対し、各実験的 QS
き、対側下肢は右下肢と同様の挙上を行わせ
各実験的
従来型
た
。
各運動に要した積分筋電図から中間の 2秒間
股伸展位型
腹臥位型
同期型
腹臥位での同期型
図1
. 5種類の実験的 Q
u
a
d
r
i
c
e
p
sS
e
t
t
i
n
g
8
8
の 平 均 積 分 値 を 正 規 化 の た め %MVCに 換 算
は大腿直筋、内側広筋、外側広筋の各筋とも同
し、各 QSでの筋活動を比較した。また、各実
期 型 で 最 大 値 を 示 し 、 そ れ ぞ れ 106.4:
t
験的運動時の筋活動量から、大腿四頭筋の活動
48.9%、 1
31
.9:
t7
6
.0%、 1
4
3
.5:
t6
3
.8%であっ
総量(大腿直筋、内側広筋、外側広筋の各%
た。股関節伸展筋では、腹臥位での同期型で最
MVCの総和)、内側広筋/外側広筋比率(外
大値を示し、大殿筋、大腿二頭筋、半膜様筋、
側 広 筋 に 対 す る 内 側 広 筋 の %MVC比率)、内
9
.
0士89.7%、5
7
.
1士
半臆様筋の各筋は、 9
側広筋/大腿四頭筋の活動総量比率(大腿四頭
28.6%、4
5
.7:
t19.7%、5
2
.7:
t3
6
.9%で あ っ
筋 の 活 動 総 量 に 対 す る 内 側 広 筋 の %MVC比
た
。
率)を算出し比較した。統計処理には統計ソフ
図 2-A、B、Cに各 QS運動時の大腿直筋、
ト (SPSSf
o
rWindows 1
0
.
0
1
) を用いて、 5
内側広筋、外側広筋の平均筋活動量の多重比較
つ の 実 験 的 QS運 動 間 の 差 を Friedman検 定
の結果を示した。大腿直筋、内側広筋、外側広
し、その後各運動間の差を多重比較し、有意水
筋の平均筋活動量は、いずれも同期型が他の
準を 5%未満とした。
QS運動より有意に高い筋活動量を示した (p
<0.05)0 また、外側広筋では、腹臥位での同
結
果
期 型 019.9士60.4%) が 従 来 型 (
9
7
.
6士
4
0
.
1%)と比較して有意に高い筋活動量を示し
各実験的 QS運動時の各筋の平均筋活動量、
た (pく 0
.
0
5
)
0
分散分析による p値を表 lに示した。内側広筋
大腿四頭筋の総平均筋活動量を図 2-Dに示
/外側広筋比率を除いた各実験的 QS運動によ
した。その結果、大腿四頭筋の総平均筋活動量
る各筋の平均筋活動量には統計学的に有意な差
においても同期型は他の QS運動と比較して有
があった。各筋の平均活動量は、大腿四頭筋で
意 に 高 い 筋 活 動 量 を 示 し た (pく 0.01)0 しか
表1
.各Q
u
a
d
r
i
c
e
p
sS
e
t
t
i
n
g時の平均 %MVCと標準偏差(%)及び分散分析による p値
従来型
股伸展位型
同期型
腹臥位型
腹臥位での
同期型
p 値
大
腿
直
筋
8
0
.
9士 3
2
.
3 7
t3
4
.
4 1
0
6
.
4士 4
8
.
9 8
5
.
8:
t3
6
.
2 7
8
.
5:
5
.
6
6
.
9土 3
<0.001**
内
1~1j
広
筋
8
2
.
0士 3
8
.
1 8
3
.
1 1
31
.9士 7
6
.
0 81
.5:
t3
9
.
6 9
5
.7士 4
t4
0
.
3
3
.
4:
<0.001
ト
タ
f
則
広
筋
9
7
.
6:
t4
0
.
1 9
8
.
0 1
4
3
.
5:
t6
3
.
8 1
01
.1
士 4
5
.
2 1
1
9
.
9:
t6
0
.
4
6
.
4士 3
<0.001**
大
殿
筋
9
.
9:
t1
2
.
7
7
.
6土
6
.
5 7
2
.
3士 5
0
.
1
t1
0
.
2 9
9
.
0土 8
9
.7
8
.
5:
掌ホ
<0.001
ホ*
大 腿 二 頭 筋
1
4
.
2:
t 8
.
3 2
4
.
0:
t1
6
.
8 3
4
.
7:
t2
3
.
9 1
t 8
.
2 5
7
.
1:
t2
8
.6
2
.
6:
<0.001
半
臆
葉
ホ
筋
1
O.
8:
t 8
.
2 2
0
.
4:
t1
5
.
6 2
7
.1
士 2
2
.
0
8
.
7:
t 4
.
6 4
t1
9
.
7
5
.
7:
<0.001*
半
膜
様
筋
1
5
.
2:
t 8
.
7 2
4
.
3士 1
5
.1 31
.9:
t2
5
.
4
1
3
.
3士 7
.
5 5
2
.
7士 3
6
.
9
<0.001
市場
本
*寧
大腿四頭筋活動総量
6
0
.
6:
t9
7
.
9 3
2
6
0
.
5士 9
2
.
8 2
.8土 1
4
9
.
4 2
6
8
.5:
t1
01
.1 2
9
0
.
3:
t1
1
4
.
1
81
<0.001**
内側広筋/外側広筋
8
8
.
7:
t3
9
.
4 9
0
.7士 3
7
.
9 9
7
.
2士 4
6
.
8 8
6
.
9:
t3
9
.
5 9
0
.
2士 4
3
.
0
0
.
5
6
1
内側広筋活/
大腿四頭筋動総量
31
.O:
t 8
.
2 31
.9士 8
.
4 3
3
.7士 9
.
2 3
0
.
2土
0
.
0
1
8
8.
4 3
3
.
0:
t 8
.
9
本
p<0.05,
ホ
事事
p<O.01
.
8
9
z
μ
*
*
*
*
従来型 i
1
:
,叫三
三芯
主忠
主
山
ぶ
芯い
山三-目三三三山三三三三
股伸展位型圃園圃圃圃闇一一→
*
*
*
腹臥位型
o
i
100
50
1
5
0
*
,
- ,
*
*
山:三日卜→
I
.
j
*
*
同期型│
50
*
*
*
腹臥位型
腹臥位での田園圃圃画一→
同期型
1
0
0
150
-
200
i
ポ
ミ
ト→
,
*
*
股伸展位型圃圏圃骨→
→**
従来型
ト→
同期型│
腹臥位型
o
→**
B) 内側広筋
股伸展位型圃圃園田置園圃匝ト一一寸
腹臥位での
同期型
,
*
*
ト→
股伸展位型圃圃圃臨t-→
A) 大腿直筋
従来型
ι
同期型│
同期型│
腹臥位での
同期型
従来型
100
1
5
0 200
*
*
*
*
腹臥位型
腹臥位での園田園田園-→
同期型
・
o
*
*
*
*
1
0
0 200 300 400 500
D
) 大腿四頭筋の活動総量筋
C) 外側広筋
型型型型の
来位期位で
従展開臥位型
伸腹臥期
股腹同
型型型の
位期位で
展開臥位型
伸腹臥期
股腹同
*
町
E
1
2
5
E
) 内側広筋/外側広筋
F
) 内側広筋/大腿四頭筋の活動総量筋
図2
. 実験的運動時の大腿四頭筋各筋の平均筋活動量(%) *p<O.05,**p<O.Ol
.
し、内側広筋/外側広筋比率には有意差は認め
関節中間位で、行った従来型、腹臥位型と比較し
らず(図 2-E)、内側広筋/大腿四頭筋の活動
て有意に高い筋活動量を示した (p<O.01
)o
総量比率においても、腹臥位での同期型 (
3
3
.
0
:
:
1
:8
.9%) と従来型
(
3l
.0:
:
1
:8
.2%、 p<0.05)
考
察
との聞に有意に大きな値を示しただけで、それ
以外の QS運動には有意差は認められなかった
(
図 2-F)。
本 研 究 で 実 施 し た 実 験 的 QS運 動 は 、 体 位
(背臥位と腹臥位)、股関節肢位(中間位と伸
大殿筋、大腿二頭筋、半臆様筋、半膜様筋の
展位)に股関節伸展筋の同期収縮の構成要素を
平均筋活動量の多重比較の結果を図 3-A、B、
組み合わせた 5種類であるが、大腿四頭筋の筋
C、 Dに示した。各筋の平均筋活動量は、腹臥
活動には背臥位型と腹臥位型との聞に差は認め
位での同期型が高い筋活動量を示し、大殿筋に
られなかった。また、背臥位で行った 3つの運
おいて同期型との間には有意差は認めらなかっ
動(従来型、股伸展位型、同期型)をそれぞれ
たものの、他の QSと比較して有意に高い筋活
比較してみると、従来型と股伸展位型との聞に
.
0
1
)
0一方、同期型は股
動 量 を 示 し た (pく 0
差はみられなかったものの、同期型はこれら 2
同期型
腹臥位型
F
E
仁二子→
***
股伸展位型
***
***
寸│寸│町﹂
従来型
***
﹁
↓↓
90
*
*
*
*
*
*
*
*
骨
腹臥位での
同期型
腹臥位での瞳盟醒麗璽圏一→
同期型
R
Z
、 75
o f
25
50
B) 大腿二頭筋
A) 大腿筋
股伸展位型
l*
*l
*
*l*
*
従来型 1
,
:
:
:
,
}
1
従来型
圃圃圃圃
l
創
│
叶**
股伸展位型冨置
!
同期型仁二ト→│
同期型 │ ← → │ 吋 → * *
腹臥位型瞳→
腹臥位型
腹臥位での
同期型
腹臥位での画面麗冨盟--→
同期型
・
圃
.
40
6
0
Eニ
5
│
町
州
寸**
寸**
J**--l**→**
D
) 半膜様筋
C) 半臆様筋
図3
. 実験的運動時の股関節伸展筋各筋の平均筋活動量(%)
ホ
p<O.05, **p<O.Ol
.
つの型より有意に筋活動が高かった。同様に、
位にて膝関節の伸展運動を行わせた結果、大腿
腹臥位で、行った 2つの運動(腹臥位型、腹臥位
直筋、内側広筋、外側広筋の筋活動は減少した
での同期型)を比較した結果、両者には有意差
と述べ、これは等尺性の伸展動作でもほぼ同様
はみられなかったものの、腹臥位での同期型で
の 結 果 を も た ら し た と 報 告 し て い る 3九 F吋1-
は腹臥位型に比べて、高い筋活動を認める傾向
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aらと日 o
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aらの報告では内側広筋の筋
にあった。以上のことから、背臥位での同期型
活動に違いがある O その違いとして、膝関節を
で高い筋活動を示した要因が単に QS運動を股
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aらは完全伸展位まで、 E
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aらは
関節伸展位で、行ったという股関節肢位によるも
1
0 屈曲位までの伸展とし、その測定範囲の違
のではなく、大腿四頭筋と股関節伸展筋との同
いが内側広筋の筋活動の違いを生じたものと思
期収縮によるものと推測される O なお、本研究
われる O 一方、股関節と膝関節の同期した伸展
では、背臥位にて股関節伸展をさせた同期型に
時の等尺性運動における筋活動について、
おいて、大腿直筋だけでなく内側広筋と外側広
38
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) は、大殿筋、半膜様筋、および大
筋においても高い筋活動を示した。
腿直筋は抑制されるが、内側広筋の筋活動は逆
0
Lombard は、下肢の二関節筋である大腿直
に促進されると報告している O これらの報告
筋とハムストリングスの同期収縮は、股関節と
は、股関節と膝関節との同期収縮が内側広筋の
膝関節を同時に伸展させるとしている O 股関節
筋活動を高め、大腿直筋の筋活動を抑制すると
と膝関節を同時に伸展する等張性運動での筋活
いうものであり、本研究結果での同期型が内側
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aら34) は、背臥位で股関節
動に関して、 F
広筋の活動を特に高めたことを支持するもの
0。屈曲位からの同時伸展で内側広筋
・膝関節 9
の、大腿直筋の活動に関しては逆の見解を示す
3
5
)
の筋活動が高く、逆に大腿直筋および内側ハム
ストリングスの活動が抑制されるとしている。
しかし、 E
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aらお)は、坐位、半臥位、背臥
ものである O
同期型では膝関節伸展筋と股関節伸展筋との
同期収縮に加え、骨盤挙上に股関節周囲筋が固
9
1
定筋として活動する O この同期型ではなぜ内側
ことがわかっている 411。 そ の た め 、 股 伸 展 位
広筋の筋活動が高かったのだろうか?その理由
型、同期型、腹臥位での同期型の場合、股関節
として第一に、膝関節伸展筋と股関節伸展筋と
が伸展位をとっているため、大腿直筋が伸張さ
の同期収縮の影響として、単関節筋である外側
れて、筋長が長くなり張力が低下する O その結
広筋と内側広筋が膝関節伸展位を保持するとと
果、筋効率が低下し、股伸展位型、腹臥位での
もにその措抗筋であるハムストリングスへの桔
同期型での結果のように、大腿直筋の筋活動は
抗的筋活動を抑制したものと考えられる
低い値を示すと考えられる C しかし、なぜ同期
O
第二
に、骨盤挙上時の股関節周囲筋の活動として、
型で高い筋活動を示したのであろうか?考えら
内側広筋の斜頭部
れる要因は、同期型の運動様式にあると思われ
分が大内転筋健膜に起始していることによ
るO つまり、大腿遠位下部にある砂嚢を支点と
り141、大内転筋の収縮が内側広筋を伸張し内側
して股関節を伸展することにある O その際の体
広筋の活動性を高めるとした報告やヘ股関節
重負荷が抗重力的に股関節屈筋としての大腿直
内転筋の収縮が内側側副靭帯や関節包にストレ
筋を効率ょくさせたものと推測される O した
スを与え内側広筋や内側ハムストリングスの活
がって、同期型において、二関節筋である大腿
動を高めるという研究からも理解できる則。さ
直筋には、股関節と膝関節の両方で抗重力的な
らには、体重負荷のような強い筋収縮を要求さ
作用が発生したものと考えられる O
内転筋の関与が考えられる
O
れる活動では、大内転筋が大殿筋と共同的に働
これまで同期型での内側広筋、外側広筋、大
いて股関節伸筋として機能することから 1:!i、同
腿直筋の筋活動が高かったことを説明してきた
期型では、骨盤挙上によって大殿筋と大内転筋
が、腹臥位での同期型では、同期型より股関節
との共同収縮を促進し、その結果、内側広筋の
伸展筋の活動が大きかったにもかかわらず、大
筋活動をより一層高めたものと推測される O
腿四頭筋の筋活動には有意な差がみられなかっ
一方、同期型での大腿直筋は膝関節と股関節
たのはなぜだろうか?その理由として、同期型
との同期収縮で抑制されずに逆に高い筋活動を
と腹臥位での同期型との差異には、骨盤が挙上
示した。その理由を大腿直筋が二関節筋である
されるか下肢が挙上されるかという運動方法の
という解剖学的特性をふまえ、まず運動体位と
違いが考えられる O 腹臥位での同期型では、膝
股関節肢位による影響から考察してみる O
関節伸展が重力によって介助されるため膝関節
QSの 運 動 体 位 に お け る 筋 活 動 の 違 い と し
伸展筋の筋活動をさほど必要としない反面、股
て、沖田ら 401 ,土、二関節筋である大腿直筋は端
関節伸展筋は抗重力的に高い筋活動を要求され
坐位より股関節が伸展位となる背臥位が有効で
るO したがって、その措抗筋としての大腿直筋、
あったが、単関節筋である内側広筋、外側広筋
内側広筋、外側広筋の筋活動には反射的に抑制
には有意差は認められなかったと報告としてい
がかかるものと考えられる。そのため、同時収
るO 羽崎ら泊)も背臥位、腹臥位、半坐位、立位
縮の型をとってもハムストリングスが抗重力的
で比較して、内側広筋と外側広筋には肢位によ
に働く条件の場合、大腿四頭筋の活動には相反
る影響は認められなかったが、二関節筋の大腿
的に抑制がかかるものと推察される O なお、本
直筋では、股関節が伸展位をとると大腿直筋が
研究で実施した同期型では砂嚢の位置が大腿遠
伸張され、その結果、筋効率が増すと報告して
位下部であった。しかし、これが腫骨下部であっ
いる O このように二関節筋である大腿直筋は股
たならば、骨盤挙上は瞳骨を支点として膝関節
関節肢位による影響を受け、股関節伸展位での
がロックされた状態で行われ、股関節伸展筋が
活動が有意に高くなる
活発に活動をもたらしたかもしれない。
O
しかし、一般的に筋の
張力と長さの関係は、自然長で張力はピークを
以上の結果から、背臥位での同期型は大腿四
迎え、自然長より長くなるとかえって低下する
頭筋の高い筋活動を示し、その有効な筋力増強
92
運動としての可能性が示唆された。
文 献
一方、外側広筋に対する内側広筋の筋活動比
として、内側広筋/外側広筋比で運動効果を比
較 し た 報 告 も 数 多 い が21
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筋比を高めるという結論には至っていない。本
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/外側広筋比率には有意な差がみられなかった
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3. DeLateurB,LehmannJ
ことは、これらの報告と同様であっ
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股関節内転運動を組み合わせたスクワットで内
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側広筋/外側広筋比が高かったという報告から
4. ZohnDV,LeachRE,S
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考えて制、同期型のみでなく閉鎖連鎖運動での
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運動と平行して行うことが臨床的には必要と思
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本研究では、内転筋の筋電図を測定していな
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20:434-440, 1
ことにより内転筋を伸張させることで、より一
層内側広筋の筋活動を高める可能性もある O さ
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も今後検討していくべき課題であろう。しかし
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ながら、本研究は健常者が対象であるが、同期
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型で大腿四頭筋の筋活動が高まることが確認さ
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して、膝蓋大腿関節症をはじめ様々な膝疾患を
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Ther 63:1434-1438, 1
有する患者に対する有効性があげられ、臨床応
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. 市橋則明,羽崎完,池添冬芽,他.下肢
伸 展 挙 上 (SLR) 訓 練 時 の 大 腿 四 頭 筋 の 筋
用について検討したい。
活動量.運動・物理療法
謝
辞
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0:141-146,
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9
.
1
0
. 浦辺幸夫.膝関節疾患におけるトレーニン
最後に本稿を終えるにあたり、筋電図装置に
ご協力頂きました酒井医療株式会社の方々、快
グ方法の解析.理学療法学
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5:149-154,
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く研究に参加して下さった大阪リハビリテー
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