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大阪府立枚方高等学校 第 50 回卒業証書授与式 校長式辞
大阪府立枚方高等学校 第 50 回卒業証書授与式 校長式辞 厳しい冬の寒さも緩み、各地から梅の花の便りが届く季節となりました。 本日、このよき日に、大阪府立枚方高等学校 第50回卒業証書授与式を挙行い たしましたところ、公私ともにご多用中にもかかわりませず、本校にゆかりある多 数のご来賓の皆様にご臨席を賜りました。高いところから誠に恐縮ではございます が、心より厚く御礼を申し上げます。 また、ご臨席いただいております、保護者の皆様、ご家族の皆様、お子様のご卒 業、本当におめでとうございます。教職員一同、心よりお慶び申し上げます。皆様 がこれまで、大切に育み、寄り添い、見守ってこられたお子様方は、本当にたくま しく、頼もしく、そして爽やかな若者に成長されました。皆様のこれまでのご苦労 に敬意を表しますとともに、3年間本校の教育活動にご理解とご協力を賜りました ことを、改めて深く感謝申しあげる次第です。本当にありがとうございました。 さて、あらためまして、50期生の皆さん、卒業おめでとうございます。 先ほど普通科235名、国際教養科74名、合計309名の皆さんに、卒業証書 を授与いたしました。ご承知のとおり、皆さんは、この枚方高校にとって、大きな 節目の学年である、第50期生です。昭和38年(1963年)入学の第1期生以 来、枚方高校としては、実にこれで 20,605名の卒業生を世に送り出すことにな ります。 本日の卒業式を迎えるにあたって、皆さんの中には、大きな期待や喜びとともに、 ひょっとすると、寂しさや不安を感じている人もいるかもしれません。しかしなが ら、枚方高校をひとつのご縁として、2万人を超える、本当に多くの人たちとのつ ながりを持っているということは、皆さんの今後の人生において、大きな「支え」 であり、「力」であり、「誇り」であり、何ものにも替えがたい大きな「財産」とな るはずです。どうか臆することなく、「枚高(ひらこう)」卒業生としてのプライド を胸に、自信を持って、次なるステージに進んでいってください。 もちろん、皆さんがこの後、歩みを進めていく世の中には、乗り越えていかなけ ればならない、様々な課題がたくさん存在しています。 現代においては、交通機関の発達はもちろんのこと、インターネットをはじめと する通信網の急速な普及によって、地球の裏側に暮らす人々の生活や文化、様々な 出来事をリアルタイムに知ることができるようになりました。まさに、 「世界」は皆 さんのすぐ隣にあります。 一方で、世界各地には、残念ながらいまだに紛争の火種が絶えず、人間同士が憎 しみあい、傷つけあう実態も存在しています。昨年ノーベル平和賞を受賞した マラ ラ・ユスフザイさんの言葉を紐解くまでもなく、世界には学校教育も十分に受ける ことができずに、爆撃や銃弾の恐怖におびえて日々を過ごす、皆さんと同じ世代の 若者たちがたくさん暮らしていることを我々は知っています。そういった意味では、 不安定で、時として残酷で危険な「世界」も、皆さんのすぐ隣にあると言えます。 私たちは、世界中の人々が互いに尊重し合い、豊かに暮らしていける世界を構築 するため、この困難な問題の解決に向けて、真摯に取り組まなければなりません。 この問題を解決する方法は、一つではありません。また、解決に向かう道筋も一つ ではないと思います。私たちを含む全世界の人々が、今こそこの難問に、それぞれ が培ってきた英知を結集し、いくつもの正解を導き出し、それぞれができることか ら、一つずつ対処していかなければなりません。 私が皆さんと同じ10代の頃に、よく聞いた歌の一節に、次のような歌詞が出て きます。 古い船には新しい水夫が乗り込んでいくだろう 古い船を今動かせるのは、古い水夫じゃないだろう 皆さんは、長い年月をかけて、先人たちが築いてこられた伝統や文化の継承者で あり、連綿と続いてきた歴史から、多くのことを学ぶ姿勢を持たなければなりませ ん。一方で、 「古い船」であっても、また、新しい船であっても、漕ぎ出していく先 には、当然ながら新しい海が広がっています。現代は、様々な有益・無益の情報が 大きな波となって押し寄せてくる時代です。穏やかで風のない日は少なく、むしろ これまで経験したことのない暴風が吹き付けてくることも、今後ますます増えてい くかもしれません。しかしながら、皆さんは「新しい水夫」として、おそれること なく新しい海を突き進み、荒波を乗り越えていってください。この枚方高校で、勉 強だけでなく、部活動や学校行事、地域での活動、さらには海外での語学研修や修 学旅行などの国際交流の機会、それらの取組みの中で、様々な人たちとかかわり、 多くのことを体験し、学んだ皆さんには、その「力」と「勇気」が、しっかりと身 に着いているはずです。 「世界」は皆さんの隣にあります。枚高で過ごした3年間を糧として、世界中の 若者たちと、時に切磋琢磨し、正解が一つでない難問に、ともに立ち向かっていっ てください。世界中の若者たちとともに、 「宇宙船地球号」というひとつの船に乗り 込み、真に平和で豊かな国際社会の構築に向けて、新しい世界に、 「颯爽と」漕ぎ出 していっていただきたいと思います。 結びになりますが、本日ご臨席を賜りました、ご来賓の皆様、保護者・ご家族の 皆様に重ねて感謝申し上げますとともに、50期生の皆さん、お一人お一人の今後 のご多幸と、大いなるご活躍をお祈りして、私の式辞といたします。 平成27年3月4日 大阪府立枚方高等学校長 大久保 宣明