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二女の夫に事業を継がせたい 現経営者からの相談
Q4 二女の夫に 事業を継がせたい (現経営者からの相談) C さんには妻と子供(長女 X と二女 Y)があり、C さん夫婦の面倒 は二女夫婦がみてくれて、特に二女 Y の夫 Z はいろいろと C さ んの事業の面倒をみてくれて います。最近、よく事業を手伝 ってくれる二女 Y の夫 Z に事 業を継がせたいと思うように なりました。二女 Y の夫 Z の ような相続権のない者に事業 を継がせるためにはどのよう にしたらよいのでしょう。 「書面相談」 (金属加工業 71 歳) 相談者の本音のつぶやき 二女 Y の夫 Z に相続させられないだろうか ? 一番事業の適性がある Z に事業を継がせたい……。 Z と膝を交えて話を進めたいが……。 事業主 夫 30 X C 長女 妻 二女 Y Z 夫 あらかわ事業承継相談室 東 主 任 私の机の上のお手紙を拝見してい ますと、事業を承継させたい方は 二女の夫ですね。 二女の夫は相続人になりませんか ら、所長の心配されるような親族 間の争いが起こるケースとは思え ません。 所 長 親族間の争いは、経営権の争いの他、財産上の相続でもめること が多い。 この場合、二女の夫 Z がもし、事 業承継をすることとなると、社業を 二女夫婦がにぎることから、長女 X としては、心がおだやかではいられ ないと思うね。 また、従業員からすれば、代替わり をすれば経営方針が変わることの影 響から、自分たちの待遇が心配になる。二女 Y の配偶者といえ、 先代とは経営方針はおのずと違うからね。経営権が移譲されたあ と、特に、先代が亡くなった後は、経営方針ががらっと変わるこ とはよくあることだ。 東 主 任 代替わりの場合は、経営が円滑になされるための、会社関係者等 の環境整備に十分配慮しろということですね。 所 長 事業承継計画を作成し、社内や取引先、そして金融機関に対して 事業承継計画の事前説明、つまり将来の経営を関係者に説明して おくことによって承継に成功している例が多い。これと並行して、 31 Q4 承継準備として後継者教育を社内外 に行うことで、後継者本人および会 社関係者の理解を得ることにもつな がる。 東 主 任 会社関係者だけでなく後継者の負担 も相当ですよ。 所 長 それはそうだろう。おそらく自分が継ぐことは予想していなかっ ただろうからね。仮に予想はしていたとしても、手伝うのと会社 を背負うのとでは雲泥の差だ。 逆に、現経営者の老後の面倒をみることを条件に承継させること ができるほど素晴らしい会社なら、話は別になる。 ただ、今回の相談のように相続権のない者に事業を継がせること は、よくあることだよ。繰り返しになるが、二女の夫 Z がはっ きりとした意思のもとに会社を継ごうと考えてくれるかどうかが、 最も重要なことになると思うね。 西相談員 二 女 Y と Z の夫婦が事業を継いで くれるかどうかを確認することです よね。 今のご時世で、財産をやるから我々 の老後を看てくれという要求は、流 行らないと思いますが……。 所 長 夫 Z と従業員との相性はどうなのかな ? 関係が良好なら二女の 夫 Z から意外とすんなりとよい返事がでるかもしれない。 32 あらかわ事業承継相談室 東 主 任 こ のケースは、 「家族会議を開き、 夫 Z 氏に会社を継いでもらいたい」 と二女 Y の夫 Z の意思を確認する ことから始めなければ、話の先が進 みません。 所 長 後 継者となるなら、二女 Y の夫 Z と協議して養子縁組をして、現経営 者 C の意思と夫 Z の意思を強固にするというのも一案だが。 西相談員 お 手紙の内容からすると、現経営者 C さんの思いが先行してい る気がします。二女 Y の夫 Z の気持ちを聞いてみないと、なん とも言えませんね。 所 長 ひとまず、二女 Y と Z の夫婦と話し合いをしてみてくださいと 伝えることだな。そこから、次のステップに繫がるかもしれない。 また、長女 X 夫婦にも継ぐ意思があるかも知れない。その時は、 別の形で財産等(個人)の承継を二女 Y にする方法もあるかもし れないので、専門家の先生ともこの辺をよく相談してみることだ ね。 33 ○○ 株 式 会 社 ○○ ○ 様 前略 平成 23 年○月○日、あらかわ事業承継相談室に文書でご相談をい ただきました。 ○○様のご相談内容について検討をしましたので回答をいたします。 参考の一つにしていただければ幸いです。 ─────(中略)───── 最後にポイントを整理します。 ポイント ◦二女の夫 Z に後継者としての自覚と意思決定をきちんとさせること。 ◦二女と二女の夫の間においてもきちんと話し合いをさせておくこと。 ◦ X 夫婦の間においても、 事業承継の意思の有無を確認しておくこと。 ◦事業承継計画をきちんとたてて、後継者の選定をすませ、後継者 教育とともに従業員・取引先・金融機関などへタイミングよく公 表すること。 以上をご検討いただきたいと思います。 草々 平成 23/ ○○ / ○○ あらかわ事業承継相談室 34