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日中関係における集合的屈辱感が両国間の態度に及ぼす影響

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日中関係における集合的屈辱感が両国間の態度に及ぼす影響
日中関係における集合的屈辱感が両国間の態度に及ぼす影響
キーワード:集合的屈辱感
ゼロサム信念
集団ナルシシズム
脅威の認知
戦争支持
行動システム専攻
氏名:黄
問題と目的
「在中国日本国大使館」の公式サイトの資料によれば、
麗華
自尊心、面子、集団名誉が傷つけられる被害的な感覚が共
有されている状態は集合的屈辱感と呼ばれる。
日中両国は政治面においては2006 年以来日中両国首脳の接
Ginger ら (2008) は、ナルシシストは侮辱行為に対し、
触を頻繁に行い、経済面においては「戦略的互恵関係」と
屈辱感を感じず、直接的な攻撃反応を導くと考えた。しか
いう政策を積極に推進している。また、交流面においては
し、Zavala (2009) は集団ナルシシズムと攻撃行動の関連
2007 年に日本から中国への渡航者は、約 398 万人に達成し、
は、外集団の脅威の認知と内集団の侮辱の認知を媒介し、
日本を訪れた中国人は、約 114 万人に達成した。各々の面
攻撃行動を高めることを明らかにされた。しかしながら、
において日中両国間の関係がますます緊密になっている一
集団ナルシシストは所属する集団に対し、高い評価を持ち
方で、両国間の摩擦事件が次々と発生した。そのため、日
ながら、その集団のイメージ、権威、名誉を重視する。内
本人は中国の発展に対して不安を持つようになった。他方、
集団メンバーは、外集団からの脅威が内集団の権威、名誉
中国人は、かつて中国の領土で起きた日本との戦争や、未
に損をもたらすと意識すると、その脅威は自分の集団の権
解決の領土問題などで、日本に対するネガティブな態度を
威、名誉に対する挑発だとみなし、集合的屈辱感を喚起し
持っている。このような対立事件は両国民のネガティブな
やすいと考えられる。よって、本研究では、集団ナルシシ
認知を強化し、ネガティブな態度を導きやすいと考えられ
ズムは現実的脅威の認知と象徴的脅威の認知を媒介し、集
る。本研究では、両国の友好的な関係を構築するため、日
合的屈辱感に影響を及ぼすと予測する。
中両国の大学生を調査対象として、集合的屈辱感に着目し、
もう一つの予想として、ゼロサム信念の存在をあげられ
両国間のネガティブな態度を導くメカニズムを解明するこ
る。ゼロサム信念は、集団間では競争的、対立的な集団関
とを試みた。
係という認知を導く (Esse, 2001)。また、ゼロサム信念は
先行研究によれば、屈辱感は自尊感情 (Stamm, 1978)、
両集団間の共存が不可能であることを強調する。従って、
夫婦の関係 (Volgle & Lazare, 1990)、自殺行為 (Hendin,
ゼロサム信念は脅威の認知を導きやすいと考えられる。情
1994)、殺人行動 (Hale, 1994) に影響を与える。また、屈
動評価理論により、人間の情動は、出来事についての評価
辱感と精神的疾病、家庭紛争(Klein, 1991)、民族主義
から生じるものである (Frijda, 1989; 縄田, 投稿中)。そ
(Griffin,1991) 、 性 別 差 (Swift, 1991) 、 身 体 障 害
のため、ゼロサム信念は脅威の認知を媒介し、集合的屈辱
(Kirshbaum, 1991)、年齢差別 (Secouler, 1991)、社会的
感を喚起すると予測する。
弱者問題(Duhl, 1992)、国際紛争などとの関連性も検討さ
れてきた。
屈辱感は人間関係、組織関係、及び国家関係における爆
弾であり、人種間・集団間・国家間紛争を引き起こす重要
屈辱を感じた人間は憎しみの感情が生じやすく、自分を
傷つけた他人への報復を望み、攻撃的になりやすいとされ
ている (薊, 2008)。集合的屈辱感は自衛的戦争への政策の
支持(以後、戦争支持と呼ぶ)を高めると予測する。
な要素である。例えば、ソマリア内戦、第二世界大戦など
研究 1
は、屈辱感によってエスカレートされたと考えられる
研究 1 では、在日中国人留学生を対象とする予備調査で
(Lindner, 2006)。屈辱感は個人間、集団間、そして国家間
ある。研究 1 では愛国心、国家主義を捉えて集合的屈辱感
の関係に破壊的な影響をもたらす。
との関係性を検討した。
本研究では、集団の間に発生したネガティブな出来事に
対する認知的な評価により、内集団の一員としての尊厳、
方法
調査対象:九州の大学・専門学校に通う中国人留学生 145
名である (男性 79 名、
女性 63 名、不明 3 名、
平均年齢 25.63
調査対象:全ての調査協力者の 280 名の中国国内の大学
歳)。分析項目に欠損値が見られた回答者を削除して、144
生のうちに、158 名の回答を有効回答とした。性別の内訳
名のデータを分析した。
は男性 83 名、女性 66 名であり、平均年齢は 21.46 歳 (19
調査期間:2010 年 12 月 28 日から 2011 年 1 月 16 日まで
の約 3 週間であった。
~24 歳) であった。153 名の調査協力者のうち、4 名は性
別不明、年齢不明であった。
調査方法:個別自記入形式の質問紙で実施された。筆者
自身、または在校留学生を通し、個別配布個別回収形式で
調査期間:2011 年 11 月 4 日から 2011 年 12 月 6 日までの
約一カ月間であった。
実施された。
調査方法:サーベイモンキーというウェブサイトで質問
分析項目:愛国心 (4 項目,α=.811)、国家主義 (5 項目,
α=.701)、象徴的脅威 (4 項目,α=.759)、現実的脅威 (4
紙調査を実施した。調査協力者はウェブサイトで調査を受
けると、質問紙が自動的に回収された。
項目,α=.749)、集合的屈辱感 (3 項目,α=.579)、戦争支
持 (3 項目,α=.641)
分析項目:ゼロサム信念 (3 項目,α=.878)、集団ナルシ
シズム (5 項目,α=.777)、象徴的脅威 (4 項目,α=.832)、
結果と考察 1
現実的脅威 (4 項目,α=.743)、集合的屈辱感 (7 項目,
図 1 は本調査の結果に基づくモデル図を示す。統計パッ
α=.957)、戦争支持 (3 項目,α=.721)
ケージ Amos17 を用い、仮説モデルをもとに共分散構造分析
結果と考察 2
を行った。適合度指標によって、予測モデルでは十分な適
2
図 2 は本調査の結果に基づくモデル図を示す。統計パッ
合度が得られた [χ (3)=.866, p=.834, GFI=.998, AG-
ケージ Amos17 を用い、仮説モデルをもとに共分散構造分析
FI=986, RMSEA=.000]。愛国心は現実的脅威の認知を下げた
を行った。適合度指標によって、予測モデルでは十分な適
が (β=-.31,p<.01)、国家主義は現実的脅威の認知に影響
合度が得られた [χ2(4)=1.433, p=.838, GFI=.997, AG-
を及ぼさなかったと示す。また、愛国心と象徴的脅威の間
FI=984, RMSEA=.000]。ゼロサム信念から現実的脅威への影
の有意な関連が見えず、有意な傾向が見られた (β=-.16,
響は有意であり (β=.51,p<.001)、現実的脅威が集合的屈
p<.10)。国家主義から戦争支持への影響を高めた (β=.19,
辱感としての媒介効果も見えた (β=.29,p<.01)。ゼロサム
p<.05)。現実的脅威 (β=.33, p<.001) と象徴的脅威 (β
信念は象徴的脅威を高めた (β=.48,p<.001) が、集合的屈
=.18, p<.05) は集合的屈辱感への媒介効果が見えた。最後
辱感への象徴的脅威の媒介効果が見いだされなかった。集
に、現実的脅威 (β=.20, p<.05) と集合的屈辱感 (β=.24,
団ナルシシズムは集合的屈辱感への影響が見えなかったが、
p<.01) は戦争支持を高めたが、象徴的脅威 (β
戦争支持を高めた (β=.18,p<.05)。集合的屈辱感は戦争支
=-.19,p<.05) は戦争支持を下げたと示唆された。
持を高めた (β=.30,p<.001)。
e1
e1
**
愛国心 -.31
-.16
.14
.55***
e3
現実的
脅威
†
象徴的
脅威
.03
.33***
.18*
集合的 .24** 戦争
支持
屈辱感
.19*
正の影響
e2
p<.001
p<.01
**
負の影響
p<.05
*
p <.10
†
図 1 留学生集合的屈辱感パス解析
研究 2
脅威
.48***
-.14
-.04
集団ナル
e3
現実的
信念
.20*
-.19*
国家主義
***
ゼロサム .51***
e4
象徴的
.12
.29**
.08
e4
.04
集合的
.30***
戦争
支持
屈辱感
.18*
脅威
シシズム
e2
p<.001
***
p<.01
**
p<.05
*
図 2 中国人集合的屈辱感パス解析
研究 3
方法
予備調査に基づき、集合的屈辱感の尺度を修正し、新た
調査対象:全調査協力者 111 日本国内大学の学生のう
な尺度を作った。研究 2 と研究 3 の仮説モデルは同じであ
ちに、91 名が有効調査協力者となった。性別の内訳は男性
った。
35 名、女性 54 名で、平均年齢は 21.14 歳 (19~24 歳) で
方法
ある。91 名の調査協力者の中に 2 名は性別不明、年齢不明
因子については日本人 (M=2.18) よりも中国人 (M=3.33)
である。
調査期間:2011 年 11 月 4 日から 2011 年 12 月 25 日まで、
が有意に高い値を示した (t=-10.73, p<.001)。
「現実的脅
威」因子については、中国人 (M=2.42) よりも日本人
約2カ月間であった。
調査方法:サーベイモンキーというウェブサイトにおい
(M=3.07) の得点が高かったと確認された (t=5.80,
て質問紙調査を実施した。調査協力者はウェブサイトで調
p<.001)。最後に、
「戦争支持」因子については日本人
査を受けると、質問紙が自動に回収された。
(M=2.60) よりも中国人 (M=3.84) が高い値を示した
分析項目:ゼロサム信念 (3 項目,α=.621)、集団ナルシ
シズム (5 項目,α=.832)、象徴的脅威 (4 項目,α=.804)、
現実的脅威 (4 項目,α=.685)、集合的屈辱感 (7 項目,
(t=-10.33, p<.001)。
図 4 日中間比較のt検定の結果
***
***
***
***
α=.937)、戦争支持 (3 項目,α=.768)。
結果と考察 3
共分散構造分析による仮説の検証:図 3 は本調査の結果に
基づくモデル図を示す。統計パッケージ Amos17 を用い、仮
説モデルをもとに共分散構造分析を行った。適合度指標に
よって、予測モデルでは十分な適合度が得られた [χ
2
(4)=4.671, p=.323, GFI=.983, AGFI=913, RMSEA=.043]。
ゼロサム信念から現実的脅威への影響は有意であったが
(β=.41,p<.001)、現実脅威が集合的屈辱感としての媒介効
果が見いだされなかった。ゼロサム信念は象徴的脅威を高
め (β=.37,p<.001)、集合的屈辱感への象徴的脅威の媒介
効果が見えた (β=.48,p<.001)。集団ナルシシズムは象徴
パス解析の差の検定結果:日中両集団におけるモデルの適
的脅威(β=.26,p<.01) と現実的脅威 (β=.32,p<.001) を
合度 [χ2(4)=4.671, p=.323, GFI=.983, AGFI=913,
高めた。集合的屈辱感は戦争支持を高めていた (β
RMSEA=.043] を確認した上で、モデルの各推定値に関する
=.23,p<.05)。また、現実的脅威は戦争支持に直接な影響を
集団間の差異を検討した。統計パッケージ Amos17 を用い、
与えていた (β=.25,p<.05)。
多母集団パス解析の差の検定を行った。結果によれば、集
e1
団ナルシシズムから現実的脅威へのパス係数 (-3.192) と
ゼロサム .41***
信念
脅威
.37***
象徴的脅威から集合的屈辱感へのパス係数 (-2.497) の絶
e3
現実的
e4
.25*
.09
集合的
.32***
.21
象徴的
.48***
脅威
集団ナル .26**
.23*
屈辱感
戦争
支持
.16
総合考察
研究1では、愛国心と国家主義に着目し、脅威の認知を
媒介として集合的屈辱感との関連を検討する目的で、中国
基づき、仮説と調査項目を修正し、研究 2 と研究 3 を行っ
e2
p<.001
ていた。他のパス係数の間に差は見られなかった。
人留学生を対象として調査を行なった。次に、その結果に
シシズム
***
対値が 1.96 以上であり、5%水準で差があったことを示し
p<.01
**
た。研究 2 と研究 3 は大学在学の中国人と日本人を対象と
p<.05
*
図 3 日本人集合的屈辱感パス解析
t検定による日中間比較:分析対象者を中国人 (n=153)
と日本人 (n=91) の 2 群に分け、t 検定を行った。
本研究で扱った全ての因子について有意差が確認された。
して、ゼロサム信念、集団ナルシシズムに着目し、脅威の
認知を媒介として、集合的屈辱感との関連を検討した。ま
た、先行研究によれば、個人レベルでは屈辱感は攻撃行動、
憂うつ、自殺行為などの結果を導きやすいとされてきた。
しかし、集団レベルになると、内集団メンバーが外集団の
図 4 に示したように、
「象徴的脅威」
、
「集合的屈辱感」は日
攻撃意図を意識すれば、集合的屈辱感が自衛的戦争への支
中間の有意差が見られなかったが、他の因子について日中
持を高め、回避行動を促進しないと考えた。
間の有意差が見られた。なお、
「ゼロサム信念」因子につい
結果を見ると、愛国心は共感性、寛容性と関連する国家
て、中国人 (M=2.90) よりも日本人 (M=2.09) が有意に高
アイデンティティである。愛国心を持つ人は外集団を寛
い値を示したが (t=6.87, p<.001)、「集団ナルシシズム」
容・理解できるため、外集団へのネガティブな感情も生じ
にくいと考えられる。また、集団間の価値観、考え方が違
集団ナルシシズムは脅威をもたらさない外集団に対して
う時に、攻撃行動よりも相手との接触を回避する傾向が強
攻撃性がなかったが、脅威をもたらす外集団に対して攻撃
いと考えられる。それは、象徴的脅威が戦争支持を弱化す
性を高める。Ginger ら (2008) は、ナルシシズムの高い人々
るという結果から推察できる。しかし、この象徴的脅威の
は侮辱行為に対し、屈辱感を感じず、直接的な攻撃の反応
認知は集合的屈辱感を引き起こすと、外集団への敵意を増
を導くと考えた。本章の研究 2 では、この観点を支持した。
加させ、戦争支持のような攻撃行動を高めると考えられる。
しかし、Zavala (2009) は集団ナルシシズムと攻撃行動の
この調査では、愛国心、国家主義は集合的屈辱感の生起に
関連は通常外集団の脅威の認知と内集団への侮辱の認知を
影響を与えないと示された。この結果に基づき、新たな仮
媒介し、攻撃行動を高めると主張した。研究 3 では、この
説を立て、研究 2 と研究 3 を行った。
観点も支持した。すなわち、集団ナルシシズムの影響につ
研究 2 と研究 3 の仮説は同じであったが、調査対象は違
いて、中国人と日本人では異なる結果が見られた。特に、
った。研究 2 では、中国人を対象として調査を行った。調
集団ナルシシズムから現実的脅威の認知へのパス解析の差
査結果により、ゼロサム信念は現実的脅威を媒介して集合
検定では有意差が見られた。集団ナルシシズムは自己愛を
的屈辱感を引き起すことが明らかになった。集団ナルシシ
強調するアイデンティティであるため、自己防衛意識が強
ズムから戦争支持への影響が見られた。
い。中国人のナルシシストは日本からの攻撃意図を意識す
研究 3 の結果により、ゼロサム信念と集団ナルシシズム
る時、第一反応は日本を攻撃することであろう。日本の場
は象徴的脅威を媒介し、集合的屈辱感を高めるが、現実的
合は、中国からの攻撃意図を意識すると、まず脅威の認知
脅威の媒介効果が見えなかった。また、研究 1 と研究 2 と
を生じ、集合的屈辱感を喚起する。そして、攻撃的な政策
同じように、集合的屈辱感は戦争支持に正の影響を与えた。
を支持するようになるというプロセスをたどると考えられ
ゼロサム信念は中国人、日本人ともに脅威の認知を高
めていた。なぜなら、ゼロサム信念は集団間の対立的で共
る。
本研究では、集合的屈辱感は戦争支持を高めると示唆
存できない信念であり、このような信念は集団間の対立的、
された。なぜなら、外集団が実際に内集団への脅威になる
競争的関係を導き、集団間の緊張感、不安、脅威感をもた
時に、戦争支持は内集団の尊厳を守る基本的な社会的機能
らすと考えられる。また、ゼロサム信念は現実的脅威を媒
からであると考えられる。
介して中国人の集合的屈辱感を引き起こしでた。現実的脅
日本人のゼロサム信念と現実的脅威の認知は中国人より
威は象徴的脅威より知覚されやすい。例えば、両国の間に
高かった。なお、中国人の集団ナルシシズムと戦争支持は
領土紛争があったら、集団メンバーは脅威を知覚しやすく
日本人より高かった。両国の友好な関係を構築するため、
なる。その時、現実的脅威は中国人に被害を感じさせ、集
日本の場合はゼロサム信念を下げ、日中両国の関係を見直
団の尊厳、面子の問題まで上昇し、集合的屈辱感を喚起し、
す必要がある。中国の場合は、攻撃性を下げ、柔軟な政策
戦争支持を導くと考えられる。他方、日本人の場合は、戦
によって日本人が中国に対する認知、イメージを変える必
争支持は基本的に低いが、それでも直接的な戦争支持を導
要があるだろう。
くのは現実的脅威の認知であることがわかった。中国の場
主要引用文献
合は、戦争支持へのパスは集合的屈辱感が強力である異な
薊 理津子(2008). 恥と罪悪感の研究動向 感情心理学研究,
る結果である。
16(1), 49-64.
また、中国人の場合は象徴的脅威から集合的屈辱感へ
Esse, V.M., Dovidio, J.F., Jackson, L.M.,&Armstrong,
の影響が見られなかったが、日本人の場合は象徴的脅威が
T.L.(2001). The immigration dilemma: The role of
集合的屈辱感を喚起すると示された。パス解析の差検定で
perceived group competition, ethnic prejudice, and
もこの差が見られた。つまり、日本人と中国人の間に影響
national identity. Journal of Social Issues, 57,
プロセスが大きく異なる可能性がある。日本人の場合は、
389-412.
現実的脅威は集合的屈辱感に繋がらないが、象徴的脅威は
Ginges, J. and Atran, A.(2008). Humiliation and Inertia
繋がっていた。日本の一員としてのプライド、尊厳が犯さ
Effect: Implications for Understanding Violence and
れ、集合的屈辱感が喚起されると考えられる。他方で、中
Compromise in Intractable Intergroup Conflicts.
国人の場合は、現実的脅威が集合的屈辱感に繋がっていた
Journal of Cognition and Culture8, 281-294.
が、象徴的脅威繋がっていない。つまり、日本から価値観・
Lindner, E. G. (2006b). Making enemies: Humiliation and
文化などの脅威を認知する時に、集団の尊厳、面子の問題
international conflict. Praeger Security Interna-
まで上昇しなかったと考えられる。
tional.
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