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遺跡・金津新江ノ尻

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遺跡・金津新江ノ尻
しもぜき い せ き
か な づ し ん え の しり い せ き
2. 下関遺跡・金津新江ノ尻遺跡
所 在 地:坂井市坂井町下関、あわら市新用
調査原因:県営かんがい排水事業 東江地区
調査期間:平成 24 年 10 月 25 日~平成 24 年 11 月 30 日
調査主体:福井県教育庁埋蔵文化財調査センター
調査面積:500 ㎡
時
代:弥生時代中期
位置図(S=1/50,000)
調査の概要
両遺跡は坂井平野北部に位置し、竹田川左岸で自然堤防上に立地します。調査区の旧地形
は、南北の微高地と中央の旧河道からなり、南方へ緩く傾斜しています。微高地では、遺物
包含層の褐色粘質土、地山である黄褐色や緑灰色粘質土の順で堆積していました。
旧河道は、
現水路とほぼ重なり西方へのび、北半は遺存せず現代の客土が盛土されていました。
遺構
遺構は、溝(SD)6条、井戸(SE)1基、土坑(SK)10 基、ピット約 50 基を検出しまし
た。調査区北半の金津新江ノ尻遺跡で多くまとまり、南半の下関遺跡では土坑やピットが疎
らに分布していました。溝は、いずれも幅狭で浅く、東西方向にのびます。SE01 は、素掘り
の構造です。平面は円形状を呈し、径約 1.4mで深さ約 1.5mを測ります。断面は幅広の筒状
ですが、上半が斜めに緩く開きます。土坑は、SK03・07・08 が隅丸の長方形状で断面はやや
深く、長軸が共通して北東から南西に向きます。覆土から弥生土器が多く出土しており、土
壙墓とも考えられます。SK04・05 は、やや大形の方形状で断面は浅いです。共に多くの土器
が一括して廃棄された状況で出土しました。
遺物
遺物は、天箱7箱分出土し、金津新江ノ尻遺跡が6箱分で下関遺跡が1箱分を占めます。
また、包含層が4割で遺構が6割であり、特に井戸と土坑から多く出土しました。大半は弥
生土器の甕や壺等であり、他に石鏃や石皿、玉作関係遺物で施溝痕をもつ形割や玉鋸も僅か
に出土しました。須恵器等も包含層から少量出土しています。
まとめ
狭小な範囲ですが、特に金津新江ノ尻遺跡の北半で多くの遺構や遺物を検出しており、調
査区の東西へさらにひろがると考えられます。時期は弥生時代中期が中心であり、墓域の一
部を調査したと推察されます。
(田中勝之)
4
1
SK01
写真2 2
写真4
写真5 3
写真6
4
写真3 6
5
SK08
7
SD05
8
9
▲
写真1
A
金津新江ノ尻遺跡
10
SK09
SD01 SD03 SK03 SK04
11
SK05
SK10
SK06
SK07
12
SE01
微高地
13
14
SD04
SD06
15
16
A
旧河道
0
微高地
下関遺跡
第1図 調査区平面略図(縮尺1/500)
写真1 金津新江ノ尻遺跡全景(北より)
写真2 包含層掘削作業風景(北より)
写真3 SE01遺物出土状況(東より)
写真4 SK03遺物出土状況(北東より)
写真5 SK04遺物出土状況(東より)
写真6 SK05遺物出土状況(東より)
5
10m
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