Comments
Description
Transcript
PDF版
教員地域貢献活動支援事業(平成25年度~平成27年度) 課題名 研究者 インキュベーション型 郊外住宅地の再生に関する研究 その3 金沢区金沢シーサイドタウン拠点形成を機にしたケーススタディからの発展 国際総合科学群人文社会科学系列 准教授 三輪律江 准教授 中西正彦 1 地域課題とその解決方法 課題① 金沢区金沢シーサイドタウンの客観的位置づけと、郊外団地の再生に不可欠な多世代混合居住を促す上で若い世代に 選択され定住される解明の必要性 郊外住宅地のケーススタディエリアとして昨年度COC拠点を整備した金沢シーサイドタウンは、優れた住環境空間を有した 団地である。これまでの住民アンケートやヒアリング調査等から、高齢化が進んでいる一方でまちの環境を評価し子育てしや すいまちとして、一度は外部に出ていた二世代目が戻ってきていることがわかりつつある。この動きは郊外住宅地の再生への 切り札であり、まずは金沢シーサイドタウンに若い世代を惹きつける付加価値を検討すること、さらにはそれが一般解となる べく金沢シーサイドタウンでの現象を客観的に捉える視点が求められる。 課題② 生活圏を拡げる新しい生活モビリティモデルの検討 郊外団地は特に団地内移動の課題も多い。特に金沢シーサイドタウンエリアは全体が縦長であること、地域内移動は自転車 と徒歩に頼るしかないことから、優れた外部空間を有効に活用できないだけでなく、地域交流の滞留や地域内移動が狭い範囲 で閉じがちで子育て世代のちょっとした外出と交流を阻んでいる可能性は否めない。自転車・徒歩と公共バス(コミュニティ バスも含む)を主にする生活圏モビリティの解明とともにその隙間を埋める新しいモビリティニーズの把握が求められる。 課題③ 持続的なまちづくり拠点運営と次世代の掘り起こし COC拠点は事業終了後には並木での様々な地域資源のハブとなるまちづくり拠点と移行させる必要がある。その担い手とな る人材の掘り起こし、拠点のビジョンづくりとマネジメントの検討について、地域が主体となった動きを仕掛ける段階にある。 課題④ 地域ブランディング力の向上と地域の価値を次世代へ継承するアクションの必要性 昨年度の調査から、若い世代にとって金沢シーサイドタウンは、住み続けたいまちとしつつも、必ずしも住んでいることを “自慢したい”というところに達していない事実も垣間見られてきた。これは地域の良さを魅力として誇れる継承がされてな いこと、地域の魅力発信力が弱いことに起因していると考えられ、その点の改善に向けたアプローチが求められる。 2 実施内容と現在までの進捗状況 昨年度実施した郊外住宅地の再生に関する研究の継続として本事業では以下の3つを主軸に 実施している。 (1)新しいモビリティ検討のための社会実験の実施 昨年度のヒアリングを踏まえ、生活圏を拡げる新しい生活モビリティモデルのための社会実 験を行う。具体的には、金沢シーサイドタウンの南部エリアを主な対象として、“新たなタク シーシェアリングシステム”による生活移動支援を試みる。8月より新しいモビリティモデル 実験を開始(相乗り倶楽部の募集、関係行政機関との情報共有の打ち合わせ実施、写真1)。 (2)『ラボ運営委員会(ラボの会)』による拠点運営と持続的拠点運営に求められる社会実 験的コミュニティ・カフェ事業による効果検証 地元住民側からは利用定着しつつある地元住民の方を軸に地元まちづくり組織など、大学側 からは国際都市学系まちづくりコースを中心に、これまでの新たな健康都市づくりの拠点とし ての観点も踏まえ医学部、大学事務局、その他オブザーバーとしてURや区役所の関係各所も参 加してもらいながら地域に移管していくための組織づくりを行う。また持続的な拠点運営に求 められる組織の核となる事業について、昨年度発掘した地域でコミュニティ・カフェ運営を実 施したいというニーズに基づきそれを社会実験として定期開催し、その運営を通じた金沢シー サイドタウン内での情報の授受、カフェ運営による利用客の変動と収支バランス等の効果検証 を行う。5月より並木ラボ運営委員会実施(隔月1回程度、これまでに3回開催)、7月よりコ ミュニティカフェ運営実験(週1~2回、定期的に開催、写真2)開始。 (3)金沢シーサイドタウン内外での地域ブランディング力向上に向けた実践 拠点運営と並行して拠点を飛び出し金沢シーサイドタウンエリア内の施設を利用し、公開授 業、教員や学生による提案だけでなく、地元からのアイデア実現(例;音楽イベント、環境に やさしい料理教室等)や、他プロジェクトや他組織との協働事業(写真3) 、次世代の運営 スタッフの取り込み(中学生ボラスタッフ)などできる限りの企画・立案を実現していく。具 体的には合宿形式による「地域まちづくり実習」の授業、思い出を紡ぐ会第二弾(写真4)、 地図を使用した聞き取り調査やシニア世代と孫世代の外出に関するアンケート調査(写真5) 等を実施。またこれらの活動を内外に発信する仕組みも構築中(写真6)。 写真5 多世代向けの地図を用いた聞き取り調査の様子 写真4 思い出を紡ぐ会第二弾の様子 写真6 並木2丁目のまちなかに設置した掲示板 写真1 新しいモビリティモデル実験 募集媒体 写真2 コミュニティカフェ実験とカフェの様子 写真3 多組織とのコラボレーション企画チラシ