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収益力拡大に向けた 地方銀行の課題
収益力拡大に向けた 地方銀行の課題 大和総研 金融調査部 菅谷幸一 内容 1.弱い資金需要の中で国内の貸出金増加を牽引 2.資金運用難に直面も証券運用の多様化が進む 3.貸出金利の低迷により収益性の低下が継続 4.収益力の拡大に向けた経営課題 1.弱い資金需要の中で国内の貸出金増加を牽引 預金に比べて伸び悩む貸出金 (兆円) 230 (兆円) 700 130% 180 620 110% 130 540 80 460 預貸ギャップ (地方別)預貸率 90% 70% 30 380 -20 300 1998 2002 2006 2010 2014 (年度) 預金残高(右軸) 貸出金残高(右軸) 50% 1998 2002 2006 (年度) 2010 2014 北海道・東北 関東 北陸 中部 近畿 中国 四国 九州・沖縄 預貸ギャップ 全国計 (出所)日本銀行「都道府県別預金・現金・貸出金」より大和総研作成 国内の貸出金は地銀牽引で増加傾向 (兆円) 250 貸出金残高・構成比 (兆円) 500 (兆円) 20 貸出金残高の増減 15 200 400 150 300 10 5 0 100 200 50 100 -5 -10 -15 0 1998 0 2014 -20 2006 2010 1999 2004 2009 2014 (年度) (年度) 都市銀行 地銀 国内銀行(右軸) 都市銀行 地銀Ⅱ その他国内銀行 地銀 地銀Ⅱ 国内銀行 その他国内銀行 (出所)日本銀行「預金・現金・貸出金」より大和総研作成 2002 2.資金運用難に直面も証券運用の多様化が進む 資金運用難を示唆する近年の現金増加 資産残高・構成比 70% 60% 50% 40% 30% 20% (兆円) 300 (兆円) 20 250 15 200 10 150 5 100 0 50 10% 0% 1998 0 2014 資産残高の増減 -5 -10 2006 2010 1999 2004 2009 2014 (年度) (年度) 資産計(右軸) 現金預け金 現金預け金 有価証券 貸出金 有価証券 貸出金 その他 資産計 その他 (出所)日本銀行「民間金融機関の資産・負債」より大和総研作成 2002 (貸出金)中小企業向けの割合が低下傾向 貸出金残高・構成比 60% 160 50% 140 120 40% 30% 20% (兆円) 8 4 2 80 0 40 20 0 貸出金残高の増減 6 100 60 10% 0% (兆円) 180 -2 -4 -6 2004 2009 2014 2000 2003 2006 2009 2012 (年度) (年度) 大・中堅企業向け 中小企業向け 貸出計(右軸) 中小企業向け 個人向け その他向け 大・中堅企業向け 個人向け 貸出計(右軸) 地公体その他向け (出所)日本銀行「預金・現金・貸出金」より大和総研作成 1999 (証券運用)リスク性資産増加と運用先多様化が進む 50% (兆円) 100 40% 80 有価証券残高・構成比 (兆円) 8 有価証券残高の増減 6 4 30% 60 2 20% 40 0 10% 20 -2 0% 1998 0 2014 -4 -6 1999 2002 2005 2008 2011 2014 2006 2010 (年度) (年度) 有価証券計(右軸) 国債 国債 地方債 地方債 社債 社債 株式 外国証券 株式 外国証券 その他有価証券 その他有価証券 有価証券計 (出所)日本銀行「民間金融機関の資産・負債」より大和総研作成 2002 3.貸出金利の低迷により収益性の低下が継続 貸出金利息の低迷を主因に資金利益の減少が続く (地銀平均)資金利益とその構成 (億円) 700 550 509 511 513 520 523 507 511 494 (数字は資金利益) 482 477 475 400 250 100 -50 ※費用項目をマイナス表記としている -200 2004 2006 2008 2010 2012 2014 (年度) 貸出金利息 有価証券利息配当金 その他資金運用収益 預金利息(譲渡性預金利息含む) 借用金利息 社債利息 その他資金調達費用 資金利益 (出所)各行有価証券報告書、決算短信より大和総研作成 低下傾向にある資金運用の収益性 総資金利鞘 2.5% 2.0% 1.5% 1.0% 0.5% 0.0% -0.5% -1.0% -1.5% -2.0% 貸出金利鞘と有価証券利鞘 3.0% 2.5% 2.0% 1.5% 1.0% 0.5% 0.0% ※費用項目をマイナス表記としている ※費用項目をマイナス表記としている -0.5% 2006 2010 2014 (年度) 貸出金利回り 有価証券利回り 資金運用利回り 資金調達原価 預金債券等利回り 貸出金利鞘 総資金利鞘 有価証券利鞘 (出所)全国銀行協会「全国銀行財務諸表分析」より大和総研作成 1998 2002 2006 (年度) 2010 2014 1998 2002 4.収益力の拡大に向けた経営課題 資金利益への依存度が高い地銀の収益構造 (兆円) (兆円) (都銀計)業務粗利益 5.5 (地銀計)業務粗利益 3.5 4.5 2.5 3.5 2.5 1.5 1.5 0.5 0.5 -0.5 -0.5 2005 2008 (年度) 2011 2014 2005 2008 (年度) 2011 2014 資金利益 役務取引等利益 資金利益 役務取引等利益 特定取引利益 その他業務利益 特定取引利益 その他業務利益 (出所)全国銀行協会「全国銀行財務諸表分析」より大和総研作成 まとめ 資金余剰の状態が続く中、地銀が牽引する形で国内の 貸出金は増加している。 地銀は、証券運用において、リスク性資産の増加および 運用先の多様化を進めるも、資金の運用難に直面。 貸出金利の低迷が続いており、資金運用全体の収益性 低下に歯止めがかかっていない。 地銀の収益力拡大には、収益源の多様化、規模の拡大・ 効率性の向上に向けた施策、貸出能力の強化等が必要。