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Delivering Innovation

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Delivering Innovation
LED
世界の5人に1人、約13億人が電気にアクセスできないという現実―。その多くは山岳地域
や離島、サバンナなど送配電線が届かない開発途上国の遠隔地で暮らす人々です。
そこに変化を巻き起こしているのが、2014年に赤崎勇博士、天野浩博士、中村修二博士の
発明でノーベル物理学賞を受賞した青色発光ダイオード(LED)。JICAは太陽光発電と組み
合わせることにより、明るく長持ちするLED照明の普及を支援しています。
このニッポン発の技術で、途上国の人々の暮らしを変えたい―。JICAはさまざまな開発パー
トナーと連携しながら、イノベーションの恩恵を届けていきます。
未来を照らす
世 界を変えるイノベーション
Bhutan
Kenya
Bhutan
Tonga
Kenya
ケ ニ ア
ブ ー タ ン
サバンナの夜を守る
首都ナイロビから南東に車で4時間。キリンやシマウマの群れが草
を食んでいる赤茶色の大地には、夜は一転、野生動物の世界が広が
ります。村の学校や診療所の敷地にハイエナが近付き、職員室や生
徒の眠る寮にはニシキヘビが侵入。電気のついていない建物の暗闇
で人間にかみつくなど、人々の暮らしに不安を与えていました。
LED照明の下で夜間も授業が可能に
アフリカの成長をけん引するケニアですが、実は国内の電化率は
わずか3割程度。JICAはそのような環境にある3県の小学校と診療
所、計10カ所に太陽光パネルとLED照明を設置。野生動物の侵入
もめっきり減りました。
また、パナソニック株式会社は、LEDを搭載した自社開発のソー
ラーランタンの試験販売を2011年のJICAの支援などを通じて行
いました。その後、LED搭載のソーラーランタン事業をその他の国
にも展開させ、より多くの人々に明るい光を届けています。
初めて電気がともって喜ぶ村人たち
日本の技術を現地エンジニアに指導
Tonga
ヒマラヤの王国を支える光
トン ガ
漁民の暮らしを照らす
インドと中国に挟まれたヒマラヤの小さな王国、
ブータン。国際的な
支援を受けながら配電線の整備を進めていますが、急しゅんな山々が
連なる険しい地形のため容易ではありません。
ところが2010年、首都ティンプーから車で6時間、さらに山道を歩
約170の島から成る南太平洋の国、
トンガ。美しい海に囲まれた
いて4時間かかるチラン県マルバセ村に、初めて電気がともったので
島しょ国ですが、それ故に直面している課題も多いのが実情です。
す。その光をもたらしたのは、JICAの協力で導入された太陽光発電
その一つが電気。小さな島々が海を隔てて点在しているからです。
LED照明の導入で機材が軽量化
とLED照明でした。
そこで今、JICAの協力で普及が進んでいるのが太陽光発電と
LEDは長寿命で省エネ。太陽光パネルなどの装置全体を小型化で
LED照明。13の離島で家屋、教会、集会場、学校などの計552カ所
きるため、山道も運びやすく、頻繁に交換する必要もありません。
に設置され、人々はその効果を実感し始めています。
現地でのJICAの研修を受けながら、新たな技術を適切に使用でき
集会場でせっせと布織りに励む女性たちは、灯油ランプを使ってい
るようになった村人たち。
「明るい電気の下で炊事がしやすくなった」、
たころは火災の心配が尽きなかったといいます。
「電気が通ったおか
「昼間は農作業で忙しいけれど、早朝や夜間に勉強ができるようにな
げで、夜遅くまで作業ができるようになった」と笑顔で話しています。
った」と、喜びの声が広がっています。村にともった光が、人々の生活
彼女たちが得意とするのは、樹皮から作るタパと呼ばれる布。売り上
向上につながる道を切り開いているのです。
げはマーケットで一枚5,000円と、現金収入も格段に増えました。
また、島と島の間のアクセスにも変化が。これまで夜の移動は星
明かりが頼りで、悪天候の日は視界が悪くて大変でした。
「島に電気
がともって、位置がよく分かるようになった」と、連絡便の船長も喜ん
日本人専門家が村人への啓蒙活動を実施
でいます。
夜になると真っ暗だった食卓(上)も、 LED照明のおかげで
一気に明るくなった(下)
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Delivering Innovation
JICAは、
日本発のイノベーションを
世界の人々に届けていきます。
JICAは、 世界20カ国以上、 30件を超える事業で、 LEDの普及に
取り組んでいます。貧困層の生活の質の向上、 省エネルギー対策、
医療・研究機材への応用のために、 LEDが活用されています。
日本ではLEDに加え、 多くの分野で優れた技術の開発が行われています。
JICAはこのような日本発のイノベーションを、さまざまな協力を通じて
開発途上国の人々に届けていきます。
独立行政法人国際協力機構
〒102-8012 東京都千代田区二番町5-25 二番町センタービル
電話番号:
(03)5226-6660∼6663(代表) ホームページ:http://www.jica.go.jp/
(2014年12月発行)
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