...

「類似商品・役務審査基準(案)」に対する御意見の概要及び御意見

by user

on
Category: Documents
6

views

Report

Comments

Transcript

「類似商品・役務審査基準(案)」に対する御意見の概要及び御意見
「類似商品・役務審査基準(案)」に対する御意見の概要及び御意見に対する考
え方について
平成18年11月
特
許
庁
1.小売サービスの導入に伴う改正
(1)定義等について
以下の意見中、意見1から意見6については「商標法施行令の一部を改正す
る政令案」に対しても提出されている御意見、意見7については「意匠法等の
一部を改正する法律の施行に伴う経過措置を定める政令案」に対しても提出さ
れている御意見と認められますので、「商標法施行令の一部を改正する政令案」
及び「意匠法等の一部を改正する法律の施行に伴う経過措置を定める政令案」
に対する御意見の概要及び考え方を参考に回答致します。
【意見1】
商標法及び商標法施行令における「小売」及び「卸売」について、定義
又は定義に代わる基準を明確にすること。
(2件)
【考え方】
商標法上の役務とは、「他人のために行う労務又は便益であって、独立し
て商取引の目的たりうるべきもの」と解されていますが、小売業者等が行う
サービス活動については、商品を販売するための付随的な役務であり、かつ
直接的な対価の支払いが行われていないことなどから、商標法における役務
ではないとされてきました。
しかしながら、小売業者等は、商品の品揃えを充実させ店舗形態の工夫を
通じて顧客の商品選択の便宜を図るなど、そのサービス活動と関連してその
使用する商標において出所表示機能を獲得していることから、意匠法等の一
部を改正する法律(平成 18 年法律第 55 号。以下「改正法」という。)第 4
条の規定による改正後の商標法(以下「新商標法」という。)においては、
役務としての側面から小売業者等が行うサービスを新たに保護の対象とし
ました。
「小売」及び「卸売」の定義は商標法及び商標法施行令において規定され
ていませんが、例えば日本標準産業分類によれば、「小売業」とは主として
「個人用又は家庭用消費のために商品を販売するもの」、
「卸売業」とは主と
して「小売業又は他の卸売業に商品を販売するもの」と記載されています。
1
新商標法第 2 条第 2 項に規定する「小売」及び「卸売」に関する業務も、原
則として、これと同様に考えています。ただし、商標法上、既に保護対象と
なっているものは除かれます。
【意見2】
「小売又は卸売の業務」と「小売又は卸売の業務において行われる顧客
に対する便益の提供」との違いを明確にすること。
(1件)
【考え方】
「小売又は卸売の業務」については、意見1に記載のとおりです。一方、
商標法上の役務として保護される小売サービス及び卸売サービスが総合的
なサービス活動であることを明確にするため、小売サービス及び卸売サービ
スの本質を「顧客に対する便益の提供」と位置づけ、保護の対象となる役務
を「小売及び卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」と規定
しています。
【意見3】
「小売又は卸売の業務」の具体的事例、例えば、国際分類第 9 版の商標
及びサービスの類別表の第 35 類の注釈に記載された「小売店、卸売店、
カタログの郵便による注文、またはウェブサイトやテレビのショッピング
番組などの電子メディアによって提供される場合」が含まれるのか等を明
確にすること。
(1件)
【考え方】
商標法施行令別表は商品及び役務の区分の概要を規定するものですので、
その詳細な内容までは記載されているものではなく、各区分に属する商品又
は役務は国際分類に即しています(商標法施行令第 1 条)
。商標法施行令別
表の第 35 類に規定される「小売又は卸売の業務において行われる顧客に対
する便益の提供」には、小売業者や卸売業者がカタログの郵便による注文、
またはウェブサイトやテレビのショッピング番組などの電子メディアを通
じて提供する場合も含まれます。したがって、小売・卸売に係るインターネ
ット販売事業者や通信販売事業者による便益の提供も含まれると考えられ
ます。
2
【意見4】
自己の製造した商品を品揃えし、顧客にその購入のための便宜を図る場
合も小売等役務として保護されるのか。
(1件)
【考え方】
他人から商品を仕入れずに、製造業者が自己の製造した商品を消費者等に
直接販売する業態もあります(メーカー直営店など)。
この販売の際に商品についてその出所を表示するために使用する商標は、
原則として商品商標として保護されているものです。しかしながら、そこで
取り扱う自己の商品の品揃えや陳列方法などを考慮要素として総合的に判
断した結果、小売業等において提供されるサービスと何ら異なるものではな
いと判断できるような場合には、そこで使用される商標は小売等役務に関す
る出所表示と捉えることができます。
【意見5】
「小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」の定
義範囲に、小売業の消費者に対する商品の販売行為、卸売業の小売業に対
する商品の販売行為が含まれるかを明確にすること。
(2件)
【考え方】
「小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」には、小
売業の消費者に対する商品の販売行為、卸売業の小売業に対する商品の販売
行為は含まれていません。
なお、商標法施行令別表においては、商品商標との混乱を生じせしめない
ように、単に「小売」又は「卸売」という表示にはせず、
「小売又は卸売の業
務において行われる顧客に対する便益の提供」と規定し、商品の購入の便宜
の提供が役務としての保護対象であることを明確にしています。
【意見6】
・小売業者等が「便益の提供」に使用する商標と「商品」に使用する商標
との違いを説明すること。
・小売業者等が使用する商標は、原則として役務商標としてのみ保護すべ
きである。当該商標を役務商標として保護する制度が導入された後も、小
売業者等がその商品に使用する商標は商品商標であるという特許庁の解
釈は、一般に浸透していない。したがって解釈を明らかにするとともに、
3
充分な周知活動を行うこと。
(1件)
【考え方】
改正法施行後も、小売業者等が使用する商標であって、商品商標として保
護されるものがあります。
商品に係る商標と小売等役務に係る商標とは、表示する出所の相違、すな
わち、商品の出所を表示するものか、役務(小売等役務)の出所を表示する
ものかという概念上の切り分けをしています。
例えば、店員の制服や陳列棚などに表示される小売等役務におけるサービ
ス活動と密接な関連性を有する商標は小売等役務の出所を表示するものと
解されますが、小売業者等が専ら自己の商品の出所を表示するために使用す
る商標は、小売業者等が使用するものであっても商品の出所を表示するもの
と考えられます。
これらの点については、今後も、説明会などにおいて周知を図っていく予
定です。
【意見7】
設例において、商品又は小売等役務以外の役務に係る商標登録出願Bと
特例小売商標登録出願Cにおいて、CがBの後願であるため拒絶すること
とするための措置と思慮するが、改正法附則第 7 条第 3 項の規定は、商標
法第 8 条第 1 項の規定中「役務」を「役務(第 2 条第 2 項に規定する役務
を除く。)」としているので、異日出願における特例小売商標登録出願が除
外されている。
その結果、特例小売商標登録出願Cが過誤登録された場合、商品又は小
売等役務以外の役務に係る商標登録出願Bの出願人又は商標権者は、Cに
対し、商標法第 8 条第 1 項に基づく無効審判を請求できないことになるの
ではないか。
それとも、特例小売商標登録出願Cに対し無効審判を請求する者は、附
則第 7 条第 3 項の規定に拘らず、商標法第 8 条第 1 項を適用できるのか。
(1件)
【考え方】
商標法第 8 条第 1 項は、同一又は類似の商品又は役務について使用をする
同一又は類似の商標について異なった日に二以上の商標登録出願があった
場合に最先の商標登録出願人が商標登録を受けることができる旨を定めて
います。
4
他方、改正法附則第 7 条第 3 項は、特例小売商標登録出願同士について、
商標法第 8 条第 1 項を読み替えて同項の役務から小売等役務を除く旨を定め
ています。この結果、特例小売商標登録出願に対して第 8 条第 1 項の適用が
あるのは、他人の商品に係る商標登録出願及び小売等役務以外の役務に係る
商標登録出願との間だけとなります。
したがって、御指摘のケースにおいて、先願であるBが存在するにもかか
わらずCが過誤登録された場合には、Cが第 8 条第 1 項に違反して商標登録
されたものであるとして、第 46 条第 1 項の規定に基づきCの商標登録を無
効にすることについて審判を請求することができます。
(2)小売等役務に関する類否審査について
【意見1】
商標審査基準が未だ公表されていないが、「類似商品・役務審査基準
(案)」の「小売等役務に関するもの」については、産業構造審議会の議
論を踏まえたものであり、基本的に受け入れ可能と考える。
(1件)
【考え方】
商標審査基準については、今後、公表する予定です。
【意見2】
「自転車」「自動車」「二輪自動車」に関する「修理」と「小売等役務」
を類似とすべきである。
(1件)
【考え方】
ご指摘の「自転車の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便
益の提供」、
「二輪自動車の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対す
る便益の提供」、
「自転車の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対す
る便益の提供」については、商品とその商品の修理を類似するものとして扱
ってきていないこと、さらに、それぞれ「自転車」
「二輪自動車」「自動車」
の小売又は卸売の業務を行うに当たって、商品の販売に際して提供される商
品の品揃え等のサービスを商標法上の役務として保護するものであり、それ
らの前記小売等役務と修理の用途、提供の目的等が異なると考えられること
を踏まえると、その前提となる前記の各商品の販売と修理が常に出所の混同
を生じさせる関係とも言い難いため、商品の販売に伴う当該役務と修理の役
務とは、類似するものとは推定しませんでした。
5
【意見3】
商品の表示からクロス・サーチングされる小売等役務の範囲、及び、商
品との備考類似の関係を明確にすること。
(2件)
【考え方】
商品と小売等役務の類似関係については、類似商品・役務基準(案)に「
『3
5K01』以外の小売り等役務につきましては、その取扱商品の範囲を減
縮する補正を可能とします。その場合、右側の( )内の類似群コードは、
補正後の小売等役務の取扱商品に対応して変更されることとなります。た
とえば、
『○○・△△・××の小売又は卸売の業務において行われる顧客に
対する便益の提供』の役務表示については、
『××』の商品表示を削除して
『○○・△△の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の
提供』と補正することが可能ですが、その場合、商品の類似群コードとし
ては『○○・△△』に対応する取扱商品の類似群コードのみが付与される
こととなります。
」と説明しています。
例えば、商品「洋服」
(17A01)は、
「被服(17A01∼04・07)
の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」の小売
等役務としての類似群コード35K02を有する小売等役務の全てと類似
するわけではなく、
「洋服(17A01)の小売又は卸売の業務において行
われる顧客に対する便益の提供」に該当する小売等役務と類似するにとど
まります。類似群コードの付与においても、小売等役務には、小売等役務
の類似群コードのほか、類似する商品の類似群コードも付与しますが、商
品には、商品の類似群コードのみで、類似する小売等役務の類似群コード
は付与しません。このため、誤解のないように、商品の基準上には、類似
する小売等役務の類似群コードを表示しませんでした。
ただし、類似商品・役務審査基準に参考として掲載している「他類間類似
商品・役務の一覧表」には、クロス・サーチング上の便宜を踏まえ、商品
の類似群コードに関連する小売等役務を表示することによって、明確にし
て参りたいと考えております。
また、備考類似の関係につきましても、参考として一覧表を掲載し、明確
にして参りたいと考えております。
【意見4】
第 35 類における四角カッコ内の「35K02」等の右側の( )内に付され
ている商品類似群コード以外の商品を取り扱う小売等役務がどの四角カ
ッコに属するのか不明確な場合がある。
(1件)
6
【考え方】
類似商品・役務審査基準の表示は、例示であり、全ての商品についての
小売等役務を表示するものではありません。
( )内に付されている商品類
似群コード以外の商品を取り扱う小売等役務については、従来の商品及び
役務と同様に、個別に審査致します。
【意見5】
・商品と小売等役務のクロス・サーチングについて、提示の案では合理的
とはいえない。事前調査・審査の負荷、他の類似審査とのバランスを考慮
すること。また、一律に行うのであれば「衣料品・飲食料品及び生活用品
に係る各種商品を一括して取り扱う小売又は卸売の業務において行われ
る顧客に対する便益の提供」についても行うこと。
・クロス・サーチングについては、関連する業界団体の意見や要望等を聴
取した上で得られた結論を集約したものと位置付けられるが、このクロ
ス・サーチングの在り方に関しては、小売等事業者の商標採択の幅を狭め
ること、クロス・サーチングの範囲が合理的でないこと及び国際的にも一
般的でないこと等を理由として反対する
(3件)
【考え方】
「衣料品・飲食料品及び生活用品に係る各種商品を一括して取り扱う小
売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」は、分野の
異なる衣食住の3分野にわたる商品を同時に一括して一の店舗で取り扱う
小売等事業者により提供される役務であり、主たる取扱商品を特定できな
いものです。これ以外に例示されている小売等役務は、個別具体的な商品
を取り扱う小売等役務を表示したものと位置づけられています。また、産
業構造審議会知的財産政策部会の報告書「商標制度の在り方について」に
よれば、
「小売業者等の提供するサービスにおいて取り扱う商品の内容や小
売業に係る商標の使用態様によっては、同一の事業主により提供されるも
のとの出所の混同が生ずる場合もあると考えられる」と指摘されています。
このため、小売等役務で取り扱う商品が具体的に特定される場合は、その
商品に応じて商品と小売等役務のクロス・サーチングをすることが適切で
あると考えます。
【意見6】
「薬剤及び医療補助品の小売又は卸売の業務において行なわれる顧客
7
に対する便益の提供」「化粧品・歯磨き及びせっけん類の小売又は卸売の
業務において行なわれる顧客に対する便益の提供」は「ドラッグストア」
の小売等役務を意味すると考えるが、「いわゆる健康食品」の小売等役務
とも類似するものとすべき。
また、「化粧品」や「いわゆる健康食品」の商品商標と類似関係がある
ものとして審査すべきである。
(1件)
【考え方】
「いわゆる健康食品」の小売等役務は、現行の商品における類似関係も
考慮すると、
「加工食料品の小売又は卸売の業務において行なわれる顧客に
対する便益の提供」の範疇に含まれる役務ととらえられ、
「いわゆる健康食
品」の小売等役務と「薬剤及び医療補助品の小売又は卸売の業務において
行なわれる顧客に対する便益の提供」
「化粧品・歯磨き及びせっけん類の小
売又は卸売の業務において行なわれる顧客に対する便益の提供」とは、類
似しないものとして整理しました。
【意見7】
小売りの業態が複雑であることの状況を踏まえ、小売等役務の類似関係
については、今後も引き続き、現状案での区分けが適正であるのか検証し
ていく必要がある。
(1件)
【考え方】
小売等役務の類似関係も含め、類似商品・役務審査基準については、取
引の実態に合わせるべく、今後とも検討に努めて参りたいと考えておりま
す。
(3)小売等役務に関するその他の意見について
【意見1】
「衣料品・飲食料品及び生活用品に係る各種商品を一括して取り扱う小
売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」の内容を具
体的にすること。
(1件)
【考え方】
「衣料品・飲食料品及び生活用品に係る各種商品を一括して取り扱う小
売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」は、分野の
異なる衣食住の3分野にわたる商品を同時に一括して一の店舗で取り扱う
8
小売等事業者(例えば、百貨店、総合スーパー、総合卸し問屋等)により
提供される役務であり、主たる取扱商品を特定できないものです。
【意見2】
諸外国においては「Retail Store Services」を用いるのが一般的であ
るから、我が国も「○○の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対
する便益の提供」の表記にこだわるべきではない。
(1件)
【考え方】
「○○の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」
の英語表記については、今後、明らかにして参ります。なお、我が国におけ
る小売等役務表示は、取扱商品を明らかにするとともに、商標法第2条第2
項に規定されている役務であることを明らかにするため、「○○の小売又は
卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」となっております。
【意見3】
「牛乳の小売及び卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提
供」について、「乳製品の小売及び卸売の業務において行われる顧客に対
する便益の提供」とすべきではないか。
(1件)
【考え方】
「牛乳の小売及び卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提
供」は、代表的な商品の販売店の一つといえる牛乳販売店を想定して例示
しましたが、
「乳製品の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する
便益の提供」の表示を否定するものではありません。
【意見4】
第35類「身の回り品の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対
する便益の提供」の取扱商品の範囲を今後の説明会等で明確にすること。
(1件)
【考え方】
商品及び役務の区分解説等でその範囲を周知して参りたいと考えており
ます。
9
3.その他の分類の変更に伴う改正
【意見1】
類似商品・役務審査基準については、今回の改正にとどまらず、引き続
き見直しの検討を望みたい。
特に、第 1 類「植物成長調整剤類」、第5類「食事療法用食品」
「食事療
法飲料」及び第39類「郵便」についての例示の追加、若しくは、変更、
又は、類似群コードの変更を要望する。
(5件)
【考え方】
今回の類似商品・役務基準(案)に反映されていない事項に関しましても、
9版改正後、引続き検討を行って参りたいと考えております。
【意見2】
いわゆる健康食品の類似群コードについては、すみやかに新規類似群へ
切り換えを行うことが望ましい。
(1件)
【考え方】
ご指摘の新類似群コードへの切り換えに関しましては、今後、類似群コー
ドの変更を求める他の要望についての検討をふまえつつ、進めて参りたい
と考えております。
【意見3】
第29類「粉乳(乳児用のものを除く)」の商品表示については、第5
類「乳幼児用粉乳」と平仄を合わせ、
「粉乳(乳幼児用のものを除く)」に
商品表示を変更することが望ましい。
(1件)
【考え方】
ご指摘のとおり、修正させていただきました。
注:御意見は計11件。括弧内は複数項目への該当により重複計上あり。
以上
10
Fly UP