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消費者の嗜好を考慮した精肉需要構造の分析

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消費者の嗜好を考慮した精肉需要構造の分析
消費者の嗜好を考慮した精肉需要構造の分析
報告書
名古屋産業大学
石橋健一
1. 背景・目的
本調査提案は大都市近郊都市を対象とした消費者の精肉に対する需要構造を明らかにす
ることを目的としている。
今回は、生鮮食料品のうち精肉に限定し、同基礎データを活用して消費者の購買意識を
明らかにするために、精肉需要に関する要望についての各種アンケート調査及び自由回答
文をテキストマイニングを行うことによって消費者の意識構造を明らかにする。
2. 調査
(ア) 調査対象
①
配布方法
タウンメール(郵便番号指定で、対象地域内の全戸に配達する方法)
②
③
配布先
1.
辻堂1丁目
2.
辻堂元町1~3丁目
配布数
3700票
④
回収数
287票
⑤
回収率
7.7%
(イ) 集計結果
① 回答者自身について
回答者についてみてみると、女性が圧倒的に多く、しかも、50~60
歳代の回答者が多数を占め、ついで、30~40歳代となり、70歳代
以上の回答者も多いことが分かる。また、回答者の職業は、圧倒的に主
婦が多いことがわかる(図1~図3)。
2
1.
性別(縦軸:回答数)
250
200
150
100
50
0
男性
女性
図1 性別
2.
年齢(縦軸:回答数)
80
70
60
50
40
30
20
10
上
代
以
歳
90
歳
代
80
代
歳
70
代
歳
60
代
歳
50
代
歳
40
代
歳
30
代
歳
20
10
歳
代
0
図2 年齢
3
3.
職業(縦軸:回答数)
電
気
・ガ
農
林
漁
業
建
設
ス
業
・熱 製
造
供
給 業
運 ・水
輸
・ 道
卸 通信
売
・小 業
売
業
飲
金
食
融
・保 店
険
そ
の 不 業
他 動
サ 産
ー 業
ビ
ス
業
公
務
学
生
無
主
職
・退 婦
職
フ
リ 者
ー
タ
ー
そ
の
他
180
160
140
120
100
80
60
40
20
0
図3 職業
② 回答者の家族について
回答者の世帯構成をみてみると、夫婦2人、もしくは、夫婦と子供のみ
という世帯が多数を占め、4人以上の家族は少ないことが分かる。しか
も、60歳以上の世帯が120世帯弱となっており、約3割を占めてい
ることがわかる。一方、単身だけの世帯も40世帯強あることが分かる。
また、世帯主の職業については、回答者の職業が主婦であり、かつ、年
配の方が多いことから、無職・退職者が多数を占めていることが特徴的
である。また、有職者の特徴としては、製造業、その他のサービス業が
多く、ついで、公務が多くなっていることが分かる。
また、世帯主の勤務先の従業員規模は、1000人以上が多いことから、
従業員規模が大きい、大企業で勤務している世帯が多いことが分かる。
さらに、回答者は当該地区に10年未満の居住されている世帯が80世
帯強であり、20年未満以上の居住歴が200世帯弱となるなど、長期
間にわたって居住されているサンプルとなっている。同時に、200世
帯強で自家用車を保有されている(図4~9)。
4
1.家族の人数(縦軸:回答数)
120
100
80
60
40
20
0
1人
2人
3人
図4
1.
4人
5人
6人以上
家族の人数
世帯主の職業(縦軸:回答数)
生
学
務
主
婦
・退
職
者
フ
リ
ー
タ
ー
そ
の
他
職
無
融
金
公
食
店
・保
険
そ
不 業
の
動
他
産
サ
業
ー
ビ
ス
業
業
飲
売
業
信
・小
売
卸
運
輸
・通
道
業
・水
造
・ガ
ス
・熱
供
給
設
製
建
気
電
農
林
漁
業
業
90
80
70
60
50
40
30
20
10
0
図5
世帯主の職業
5
2.
世帯主の勤務先の従業員数(縦軸:回答数)
60
50
40
30
20
10
3.
い
な
明
当
し
不
99
9人
10
00
人
以
上
図6
世帯主の勤務先の従業員数
該
50
0~
49
9人
29
9人
30
0~
99
人
10
0~
30
~
29
人
10
~
9人
5~
1~
4人
0
家族構成(縦軸:回答数)(複数回答)
140
120
100
80
60
40
20
3歳
以
60
歳
以
上
の
方
生
大
学
生
高
校
生
中
学
生
小
学
下
の
乳
幼
児
0
図7 家族構成
6
4.
居住年数(縦軸:回答数)
上
60
年
以
上
50
年
未
満
40
年
以
上
30
年
満
未
40
年
図8
5.
以
上
以
20
年
満
未
30
年
20
年
未
満
10
年
10
年
以
未
上
満
90
80
70
60
50
40
30
20
10
0
居住年数
自家用車の所有(縦軸:回答数)
250
200
150
100
50
0
所有している
図9
所有していない
自家用車の所有
7
② 精肉購入時の重視度
固体識別番号を最も重視し、ついで店舗の種類、抗生物質不使用のなどの表示
となっている。図中の重視度は1(気にしない)~5(重視する)となってお
り、重視度(5)の割合に着目してみると、精肉購入時の安全性についての最
も重視する項目がわかる。本調査結果より、消費期限、肉の色あい、国産品、
加工日と続いており、消費者が自分自身の視認可能な項目を重視していること
がわかる。
精肉購入時の重視度
新
聞
・テ
り
物
合
レ
質
ビ
い
か
不
か
ら
使
ら
の
個
の
用
安
体
安
な
肉
全
識
消
全
ど
の
性
別
の
費
性
加
色
情
番
表
期
情
工
価
あ
報
号
示
限
報
日
格
い
図10
・ブ
ラ
産
柄
種
類
国
の
地
や
銘
店
舗
産
生
品
ン
ド
抗
生
知
1
2
3
4
5
0%
10%
20%
30%
40%
50%
60%
70%
80%
90%
100%
8
③ 鶏肉購入時の意識
鶏肉購入時にはスーパーを選択するケースが最も多いことが分かる。また、選
択理由については、「買い物が便利」「価格が適当」といった買い物利便性と価
格について重要視していることが分かる。その後に、
「品質がよい」となってい
る。また、1回の購入量については、
「200g以上400g未満」が最も多い
ことが分かる。同時に、最も購入されている価格帯については、100gあた
り「100円以上200円未満」が最も多いが、意外に100gあたり「10
0円未満」もおおいことが分かる。さらに、1ヶ月あたりの購入回数を見てみ
ると、
「5回未満」が多数を占めており、これを平均すると、1週間に1回程度
の購入があることが分かる(図11~図15)。
1.
購入する場所(縦軸:回答数)
250
200
150
100
50
0
個人商店
スーパー
百貨店
生協
その他
図11 鶏肉購入場所
9
2.
購入する場所選択の理由(縦軸:回答数)
豊
富
あ
る
が
え
揃
品
買
国
内
い
物
産
が
が
便
利
よ
い
が
質
品
価
鮮
格
度
が
が
適
当
よ
い
100
90
80
70
60
50
40
30
20
10
0
図12 鶏肉購入場所選択の理由
3.
1 回の購入量(縦軸:グラム)
140
120
100
80
60
40
20
上
以
80
0g
60
0g
以
上
80
0g
未
満
40
0g
以
上
満
未
60
0g
40
0g
未
満
20
0g
未
20
0g
以
上
満
0
図13 鶏肉 1 回の購入量
10
4.
購入している 100g あたりの値段(縦軸:円)
40
0円
未
40
満
30
0円
0円
以
上
上
以
上
以
0円
満
20
未
30
0円
20
0円
未
10
満
10
0円
0円
未
以
満
上
140
120
100
80
60
40
20
0
図14 鶏肉購入価格
5.
1 ヶ月あたりの購入回数(縦軸:回)
20
回
以
上
上
20
回
未
満
15
回
以
上
満
10
回
以
未
15
回
10
回
未
満
5回
5回
以
未
上
満
200
180
160
140
120
100
80
60
40
20
0
図15 鶏肉購入回数
11
④ 豚肉購入時の意識
豚肉の購入について、購入先としては、
「スーパー」が最も多く、購入先の選択
については、
「買い物便利」
「価格が適当」といったことが多く、ついで、
「品質
がよい」が続いていることが分かる。また、1回の購入量については、
「200
g以上400g未満」が最も多く、ついで、
「400g以上600g未満」とな
っており、比較的大量に購入しているケースが多いことが分かる。また、購入
単価については、100gあたり「100円以上200円未満」が最も多く、
ついで100gあたり「200円以上300円未満」と「100円未満」が同
程度となっていることが分かる。さらに、購入回数も1ヶ月あたり「5回未満」
が最多を占め、ついで、
「5回以上10回未満」となっており、1週間に1回以
上の購入頻度となっていることが分かる(図16~図20)。
1.
購入する場所(縦軸:回答数)
250
200
150
100
50
0
個人商店
スーパー
百貨店
生協
その他
図16 豚肉購入場所
12
2.
購入する場所選択の理由(縦軸:回答数)
90
80
70
60
50
40
30
20
10
豊
富
あ
る
が
え
揃
品
内
産
国
い
物
買
が
が
便
利
よ
い
が
品
質
価
格
鮮
度
が
が
適
当
よ
い
0
図17 豚肉購入場所選択の理由
3.
1 回の購入量(縦軸:グラム)
図18
以
上
80
0g
満
60
0g
以
上
未
80
0g
満
40
0g
以
上
未
60
0g
40
0g
未
20
0g
満
20
0g
以
上
未
満
160
140
120
100
80
60
40
20
0
豚肉購入量
13
4.
購入している 100g あたりの値段(縦軸:円)
160
140
120
100
80
60
40
20
上
以
0円
0円
40
30
満
未
0円
40
図19
5.
上
以
上
以
0円
20
満
未
0円
30
20
0円
未
満
10
10
0円
0円
未
以
満
上
0
豚肉購入価格
1 ヶ月あたりの購入回数(縦軸:回)
160
140
120
100
80
60
40
上
以
20
回
上
15
回
以
20
回
未
満
10
回
以
満
未
15
回
10
回
未
満
5回
5回
以
上
上
未
満
20
0
図20 豚肉購入回数
14
⑤ 牛肉購入時の意識
牛肉購入時には、
「スーパー」で購入するケースが最も多く、購入先の選択につ
いては、「買い物が便利」が多数を占め、ついで「品質がよい」、「価格が適当」
となっていることが分かる。このことから、牛肉購入に際しては、買い物利便
性に加えて、品質についての評価基準を加えて購入先選択となっていることが
分かる。また、1回あたりの購入量については、「200g以上400g未満」
が多数を占め、ついで、
「400g以上600g未満」が続いている。また、購
入している100gあたりの値段は「400円以上」が多数を占める一方、
「1
00円以上300円未満」のクラスもあることが分かる。また、1ヶ月あたり
の購入頻度については、
「5回未満」が多数を占めていることがわかる。これら
のことから、牛肉については購入単価が高いことと BSE などの報道もあったこ
とと購入頻度が鶏肉、豚肉と比べて低いことから、品質についての評価を加え
た選択になっていると考えられる(図21~図25)。
1.
購入する場所(縦軸:回答数)
180
160
140
120
100
80
60
40
20
0
個人商店
スーパー
百貨店
生協
その他
図21 牛肉購入場所
15
2.
購入する場所選択の理由(縦軸:回答数)
80
70
60
50
40
30
20
10
揃
え
が
豊
富
が
あ
る
品
買
国
内
い
物
産
が
便
利
よ
い
が
質
品
価
鮮
格
度
が
が
適
当
よ
い
0
図22牛肉購入場所選択の理由
3.
1 回の購入量(縦軸:グラム)
160
140
120
100
80
60
40
20
図23
4.
80
0g
以
上
上
80
0g
未
満
60
0
g以
上
g以
40
0
満
未
60
0g
40
0g
未
満
20
20
0
0g
未
g以
満
上
0
牛肉購入量
購入している 100g あたりの値段(縦軸:円)
16
図25
上
以
上
以
20
回
15
回
満
未
上
以
図24
20
回
10
回
満
未
5.
15
回
上
以
5回
満
未
10
回
満
未
5回
満
上
40
0円
以
上
以
上
上
以
30
0円
未
満
40
0円
20
0円
未
満
30
0円
以
10
0円
未
満
20
0円
10
0円
未
100
90
80
70
60
50
40
30
20
10
0
牛肉購入単価
1 ヶ月あたりの購入回数(縦軸:回)
250
200
150
100
50
0
牛肉購入回数
17
2.
分析
(ア) 購入意識に関する分析
① 鶏肉購入単価とブランド意識
平均 : 鶏肉購入単価
生産地や銘柄・ブランド
国産品
1
2
3
4
5
(空白)
総計
1
93
113
3
130
107
92
100
120
4
66
148
105
115
125
100
97
111
90
98
図26
2
102
101
95
鶏肉クロス集計
5 (空白)
総計
164
109
100
113
120
106
154
137
151
150
153
153
144
153
125
{1(気にしない)~5(重視する)
}
② 豚肉購入単価とブランド意識
平均 : 豚肉購入単価 国産品
生産地や銘柄・ブランド
1
1
125
2
153
3
4
100
5
(空白)
総計
130
図27
豚肉クロス集計
2
92
121
109
3
130
122
119
142
200
107
125
4
97
190
126
148
134
200
139
5 (空白)
総計
128
116
115
138
167
139
179
165
193
191
125 150
178
125 156
{1(気にしない)~5(重視する)
}
③ 牛肉購入単価とブランド意識
平均 : 牛肉購入単価
生産地や銘柄・ブランド
国産品
1
2
3
4
5
(空白)
総計
1
202
276
3
200
158
255
233
200
207
232
600
267
図28
2
107
275
249
牛肉クロス集計
4
143
475
330
354
190
300
331
5 (空白)
総計
360
212
283
281
364
317
480
438
489
472
400
367
447
400
368
{1(気にしない)~5(重視する)
}
18
④ 精肉購入単価とブランド意識
鶏肉、豚肉、牛肉、全てにおいて、銘柄・ブランド意識や国産品へのこだわりと購入単
価には関係が見られる(図26,27)。もっとも、鶏肉、豚肉におけるそれは、緩やかな
関連であるが、牛肉におけるそれは、両ブランド意識が最も高い5の者と、最も低い1の
者では、倍以上の購入単価の開きがあり、非常に強い関係があると言える(図28)。
(イ) 自由記述部分の分析
精肉の種類ごとに購入する場合の印象を調査した.
図29は鶏肉の印象である.
「ヘルシー」や「カロリー」など健康(ダイエット)に関する
印象が高いことが分る.また「安さ」を印象としているのも特徴の一つである.
図29
鶏肉の印象
図30は、豚肉の印象である.
「栄養」や「ビタミン」など,栄養素に関する印象が高い
ことが分る.一方,
「高い」という印象があるが,これはデータ上,栄養やビタミンに係る
ものも含まれており,全てが価格を意味しているわけではない.また,
「豊富」,
「使う」,
「多
い」
,
「料理」など調理方法に関する印象が多いことも特徴といえる.
19
図30
豚肉の印象
20
図31は牛肉の印象である.
「高い」,
「値段」,
「価格」等の価格に関する印象が強い.また
「美味しい」
,
「味」など味に対するイメージが高い一方,栄養に関する印象が少ないこと
も特徴として挙げられる.
図31
牛肉の印象
図32は食肉全般についての意見から単語の頻度を抽出した結果である.全般的に購買に
関する特徴がうかがえる.
図32
牛肉の印象
21
続いて,安全性に関して印象であるが,「国産」や「購買」に関する単語が多く使われてい
ることが分かる。
図33
安全性についての単語頻度図
さらに,図34では「安全性」について単語をマップ表示した.位置が近い単語ほど同時
に利用されており,線の太さで係り受けの大きさ,件数の多さはバブルの大きさで,表示
されている.具体的な産地は現れていないが、漠然とした不安が存在している.
図34「安全性」について単語をマップ
22
同様に,
「国産」についても単語マップ化した.安全性を考えれば,国産を買うことを記述
しているのがわかる.
図35「国産」について単語マップ
さらに,
「購入する」についても単語マップ化した.
「スーパーマーケット」との関係が大
きく出ている点が特徴として上げられる.
23
図36「購入する」について単語をマップ
24
(ウ) 共分散構造分析
図37
鶏肉についての共分散構造分析
鳥肉の購買意欲に対して、ブランド、他者からの情報がプラスの影響を与えており、一
方で、消費者の価値判断につながる情報は、マイナスの影響がある。すなわち、ブランド
イメージや他者からの安全性情報が購買意欲の形成に影響を与えているということができ
る。特に、他者からの情報に比べ、ブランドイメージの方が非常に強い影響を与えており、
実際にはブランド情報が購買に最も強くつながっていることがわかる。
逆に具体的な品質情報を鶏肉に付与したとしても、購買意欲を下げることにつながる。
具体的な品質情報(消費期限、加工日など)もブランドにつながる情報(国産品、生産
地など)も、どちらも店頭で入手される情報であるが、前者は購買意欲を下げる側の要因
となり、後者は購買意欲を上げる側の要因となっている。
また、購買意欲は鶏肉単価に影響を与えることが分かる。
25
図38
豚肉についての共分散構造分析
豚肉の購買意欲に対して、ブランド、消費者の価値判断につながる情報がプラスの影響
を与えており、一方で、他者からの情報はマイナスの影響がある。すなわち、ブランドイ
メージや消費期限といった品質情報などが購買意欲の形成に影響を与えているということ
ができる。特に、消費者の価値判断につながる情報に比べ、ブランドイメージの方が非常
に強い影響を与えており、ブランド情報が購買に最も強くつながっていることがわかる。
逆に他者からの安全情報を豚肉に付与したとしても、購買意欲を下げることにつながる。
また、ブランド、消費者の価値判断につながる品質情報にから導かれる「購買意欲」は、
購入単価や購入頻度にプラスの影響があるが、購入量にマイナスの影響がある。すなわち、
これらの情報により、単価を上げたり頻繁に購入することつながるが、購入量については
下げる方向に働くと考えられる。
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図39
牛肉についての共分散構造分析
牛肉の購買意欲に対して、ブランド、消費者の価値判断につながる情報がプラスの影響
を与えており、一方で、他者からの情報はマイナスの影響がある。すなわち、ブランドイ
メージや消費期限といった品質情報などが購買意欲の形成に影響を与えているということ
ができる。特に、消費者の価値判断につながる情報に比べ、ブランドイメージの方が非常
に強い影響を与えており、実際にはブランド情報が購買に最も強くつながっていることが
わかる。
逆に他者からの安全情報を牛肉に付与したとしても、購買意欲を下げることにつながる。
また、ブランド、消費者の価値判断につながる品質情報にから導かれる「購買意欲」は、
購入単価や購入頻度にプラスの影響があるが、購入量にマイナスの影響がある。すなわち、
これらの情報は、単価を上げたり頻繁に購入することつながるが、購入量については下げ
る方向に働く。
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さて、牛肉、豚肉、鶏肉を比較してみると、購買意欲は、購入単価に影響を与えている
ことが分かり、その大きさは、牛肉のみが 0.45 と高い。すなわち、購買意欲により購入単
価がプラスに変化する割合は、牛肉において最も高くあらわれる。
また特徴的なのは、牛肉、豚肉の購買意欲は、他者からの情報に対して負の効果がある
ことに対して、鶏肉では、正の効果があることである。逆に、牛肉、豚肉では、購買意欲
に対して、消費者の価値判断は正の効果があることに対して、鶏肉では、負の効果がある
ことである。
このことは、牛肉、豚肉については、商品ブランドと自分自身の価値判断にしたがって
正の購買意欲が形成されるのに対して、鶏肉は、商品ブランドと他者からの情報によって
正の購買意欲が形成されるということなった構造になっていることが分かる。
3.
おわりに
本調査では大都市近郊都市を対象とした消費者の精肉に対する需要構造を明らかにする
ことを目的とし、アンケート調査を行った。
アンケートでは、食肉に関する安全性の意識を有していることがわかった。回答者は、
鶏肉、豚肉、および牛肉に対して、それぞれ健康、栄養、味に強い関連を感じている。特
に、牛肉については、安全性の意識が強く向けられていることが明らかとなった。
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