...

我が国の森林・林業及び木材利用の概観について - 林野庁

by user

on
Category: Documents
12

views

Report

Comments

Transcript

我が国の森林・林業及び木材利用の概観について - 林野庁
我が国の森林・林業及び木材利用の
概観について
平成23年4月
林野庁木材利用課
(目
次)
頁
我が国の森林資源の状況
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 1
木材需要・木材価格の状況
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 2
森林資源の成長量と国産材利用量の状況
・・・・・・・・・・・・・・ 3
我が国の林業を巡る経営環境
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 4
木材需要に占める建築用材の位置づけ
・・・・・・・・・・・・・・・ 5
木材利用の教育環境形成効果
・・・・・・・・・・・・・・・・・・6~7
6 7
公共建築物における木材利用の波及効果
・・・・・・・・・・・・・・ 8
公共建築物の木造化の現状
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 9
「公共建築物等における木材の利用の促進に関する法律」の概要
「公共建築物等における木材の利用の促進に関する法律」の概要・・・・・・10
10
「公共建築物における木材の利用の促進に関する基本方針」のポイント・・・11
建築物の規模による制限
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・12
公共建築物の整備コストについて
・・・・・・・・・・・・・・13~14
(事例)
特別養護老人ホーム ウ
特別養護老人ホ
ウェルプラザ洋寿荘
ラザ洋寿荘
・・・・・・・・・・・15
木造校舎 茂木町立茂木中学校
・・・・・・・・・・・・・・・・16
庁舎 三八上北森林管理署
・・・・・・・・・・・・・・・・・・17
木材製造業の現状
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・18
森林・林業再生プラン(イメージ図)
・・・・・・・・・・・・・・・19
我が国の森林資源の状況
○ 我が国の人工林は、今後10年間で約6割が利用可能な高齢級の森林に移行する見込み。
○ 利用期の森林においては、木材の伐採利用から得られる収益によって間伐や再造林などの森林整備
を推進し、森林の公益的機能の発揮と木材資源の維持を図ることが必要。
人 林 齢級別面積
人工林の齢級別面積
(万ha)
180 158 160
160 高齢級の人工林
約4割
165 150
150 140 114 120 100 現状のまま10年間
推移した場合
約6割
92 87 80 59
59 60 35 40 (平成19年3月31日現在)
(10年後)
20
20 17 34 27 23 20 17 9 14
14 11 0 (齢級)
1
2
3
4
5
6
7
8
9
10
11
12
13
14
15
16
17~
資料:林野庁業務資料
資料
林野庁業務資料
注:1)森林法第5条及び第7条の2に基づく森林計画の対象となる森林の面積である。
2) 平成19年3月31日現在の数値である。
1
木材需要・木材価格の状況
○ 人工林資源が充実し、その多くが利用期に達する一方、木材需要は低迷し木材価格も長期的に下落。
木材価格の推移
木材供給量と自給率の推移
(万m3)
12 000
12,000
10,896
10,268
9,637
9,290
製材用材自給率(%)
9,125
70,000 パルプ・チップ用材自給率(%)
9,926
8,8138,719 8,980 8,586 8,679
8,000
80
8 236
8,236
(
60
6,321
)
供
4,000
給
量
2,000
輸入材
5,655
輸入材
4,528
,
60,000 7,797
7,053
用 6,000
材
80,000 ,
100
用材自給率(%)
11,192
11,116
10,000
木
材
(円/m3)
(%)
40
50,000 自
給
率
4,562
40,000 スギ山元立木
30 000
30,000 スギ中丸太
27.8 %
20
国産材
国産材
産材
0
スギ正角
20,000 10,000 1 759
1,759
輸入材
0
昭和3035 40 45 50 55 60 平成2 7 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21
0 昭和35
43
51
59
平成4
12
(年)
資料:林野庁「木材需給表」
20
(年)
資料:農林水産省統計部「木材価格」
(財) 本 動産研究所「山林素地及び山 立木価格調
(財)日本不動産研究所「山林素地及び山元立木価格調」
2
森林資源の成長量と国産材利用量の状況
○ 我が国の森林資源の蓄積は年々増加
我が国の森林資源の蓄積は年々増加。年間成長量は、約8千万m
年間成長量は 約8千万m3。
○ 一方、国産材供給量は年間約1,900万m3(H20)、年間成長量の約1/4~1/5程度に留まっている。
○ 森林・林業基本計画においても、国産材供給量を増加させる目標を設定。
(百万m3)
○ 我が国の森林資源の推移
100
蓄積(百万m3)
人工林
4,000
4,432
天然林等
4,040
3,483
3 000
3,000
1,780
2,000
1,000
0
1,329
798
昭和 41 年
昭和 51 年
69
80
成長量
58
国産材供給量
1,502
1,388
558
81
60
1,591
2,186
89
森林・林業基本計画の目標
1,702
2 862
2,862
1,887
○ 森林の成長量と国産材供給量の比較
1,361
1,892
2,338
2,651
40
20
昭和 61 年
平成 7 年
平成 14 年
平成 19 年
資料:林野庁業務資料
注:1)各年の3月31日現在の数値である。
2)その他は無立木地(伐採跡地、未立木地)、竹林である。
3) 四捨五入の関係で、総数と内訳の計は必ずしも一致しない。
18
17
(20%)
(21%)
19
23
(33%)
29
(50%)
0
H12
H17
H20
H27
H37
資料:森林・林業基本計画(林野庁)、木材需給表(林野庁)
(参考)
森林の立木は 20 30年生前後の若齢の時が最も成長量が多
森林の立木は、20~30年生前後の若齢の時が最も成長量が多
く、その後、徐々に成長は鈍化していく。我が国の森林全体としても
高齢化と共に成長量は鈍化していく見込み。
3
我が国の林業を巡る経営環境
○ 林業産出額に
林業産出額について、木材生産は過去最高であった昭和55年と比べて約2割まで低下。
て、木材生産は過去最高であ た昭和 年と比 て約 割まで低下。
○ 森林所有者の多くが、採算性の悪化から伐採を手控え。
○ 林業産出額の推移
(千万円)
140,000
100,000
その他
115,822
120,000
栽培きのこ類
木材生産
97,714
17,615
91,748
76,055
22,943
19,127
80,000
21,832
60,000
53,110
96,739
41,677
40 000
40,000
19,689
72,814
70,879
44,487
19,850
52,661
20,000
32,213
21,023
22 398
21 330
0
S55
58
61
H1
4
7
10
13
16
19
資料:農林水産省「生産林業所得統計報告書」
資料
農林水産省「生産林業所得統計報告書
注:1)栽培きのこ類とは、しいたけ、なめこ、えのきたけ、ぶなしめじ、まいたけ等である。
2)その他とは、薪炭、まつたけ、天然わさび、うるし等である。
○ 主伐の実施に関する意向
○ 主伐を実施する考えのない理由
実施しても採算が合わないと考えるため
69.9
将来、臨時的な収入が必要となったとき
に主伐をしようと考えているため
主伐を
実施す
る考え
はな
はない
53.5%
主伐を
実施し
たい
46 5%
46.5%
39.9
労働力が得られないと考えるため
17.8
その他、無回答
17.3
0
資料:農林水産省「林業経営体の森林施業に関する意向調査結果」(平成20年1月公表)
20
40
60
80
資料:農林水産省「林業経営体の森林施業に関する意向調査結果」(平成20年1月公表)
4
木材需要に占める建築用材の位置づけ
○ 木材の各用途に占める建築用材の割合の合計:約4割
○ その他の木材の用途に比べ、需要拡大の余地が大きい。
H21木材(用材)需給量
丸太換算材積
(単位:万m3 )
その他用材
253
(4.0%)
パルプ・
製材用材
チップ
2 351
2,351
用材 6,321万m3
(37.2%)
2,900
(45.9%)
(100%)
○ 各用材毎の建築用の割合
( )内は全体に占める割合
・ 製材用材の81%(30%)
出典:木材需給報告書(林野庁)
・ 合板用材の59%(8%)
建築用木材の
需要拡大が
木材全体の
需要拡大に
大きく寄与
出典:(国内生産)木材需給報告書(林野庁)
(輸入合板)貿易統計(財務省)
合板用材
816
(12.9%)
(参考)国産材に限定した場合
・パルプ・チップ用材 等
建築に使用されるパーティクルボード、繊維板の
製造に使用される木材が含まれている。
製造に使用される木材が含まれている
製材用材 1,024万m3 の82%(48%)
合板用材 198万m3 の58%( 7%)
総需要量(1,758万m
総需要量(1
758万 3)の約55%
(48%+7%=55%)
(参考)建築以外の木材の用途
総需要量の約4割
製紙、土木(型枠、土止め板、仮設用
資材)、梱包用資材、家具 など
5
木材利用の教育環境形成効果①
○ 冬期に学校の教室を採暖する場合、木造は鉄筋コンクリートに比べ、室温と床、壁付近の温度差が少な
く 体感 度が高くな
く、体感温度が高くなる。
○ 木材は、柔らかで暖かみのある感触を有するとともに、室内の湿度変化を緩和させ、快適性を高める等の
優れた性質を備えている。
梅雨時の教室の湿度環境
石油ストーブ採暖時の教室周壁面温度
教室
採暖前後
室温※1
(℃)
床(℃)
壁(℃)
木造
前
12 0
12.0
12 0
12.0
12 5
12.5
後※2
18.5
18.0
18.0
前
12.0
12.0
10.5
後
22 5
22.5
14 5
14.5
12 5
12.5
RC造
測定箇所
床付近
1m高さ
※1:床上1mの気温 ※2:採暖後2時間経過時点
出典:早わかり木の学校 (文部科学省)
(橘田紘洋:木造校舎と鉄筋コンクリート造校舎の比較による学校・校舎内
環境の検討・科研費報告書:1992)
環境の検討
科研費報告書:1992)
校 舎
平均相対湿
度 (%)
湿度80%以上
の時間割合
(%)
木造校舎2階
66.9
3.7
RC造校舎2階
70.0
11.2
木造校舎2階
67.3
11.1
RC造校舎2階
74.1
34.3
○出典: 愛知教育大学 橘田紘洋名誉教授
「木のまち・木のいえリレーフォーラムイン松本(平成22年1月30日・
まつもと文化芸術館)」 パネルディスカッションでの発表から
床材料の違いによる足の甲の温度変化
資料:山本孝 他「木材工業」Vol.22-1.P24,1967
6
木材利用の教育環境形成効果②
○ 木材床よりコンクリート床で過ごした場合の方が、足下の冷えにより「眠気とだるさ」、「注意集中の困難
さ」を訴える場合が多い。
○ 木造校舎は、鉄筋コンクリート造校舎に比べて、意欲や集中力の低下を感じる子ども、情緒不安の子ども
の割合が少ない。
○ 木造校舎又は内装を木質化した場合、鉄筋コンクリート造校舎に比べ、冬期のインフルエンザによる学級
木造校舎又は内装を木質化した場合 鉄筋コンクリート造校舎に比べ 冬期のインフルエンザによる学級
閉鎖率が低く、インフルエンザの蔓延が抑制される傾向。
子どもの実感-2007年度-
※1
インフルエンザによる学級閉鎖数「高木質群‐低木質群」
※3
100%
まったくない
80%
ときどきある
よくある
訴え割
割合(%)
70%
利用割合(一クラス当
たり)
クラスの割合
60%
50%
40%
30%
20%
10%
0%
木造
RC造
意欲・集中力低下
木造
RC造
体調不良
木造
16
7%
7.0%
6%
5%
4%
情緒不安
※2
木造校舎
5.0%
内装木質造校舎
4.0%
RC 造校舎
3.0%
2.0%
1%
1.0%
0 0%
0.0%
学 級 閉 鎖数
12
6.0%
2%
0%
木材床
コンクリート床
14
8.0%
3%
RC造
低温環境下における床材質の違いによる自覚症状の比較
訴え率
(%)
8%
クラスの割合
利用割
割合(一クラス当た
り)
90%
93年調査
学級閉鎖数
90年調査
10
8
※1,3
6
4
2
※2
0
眠気とだるさ
注意集中の困難さ
局在した身体違和感
出典: 愛知教育大学 橘田紘洋名誉教授
出典
橘 紘洋名誉教授
「木のまち・木のいえリレーフォーラムイン松本(平成22年1月30日・まつもと文化芸術館)」
パネルディスカッションでの発表から
出典: 早わかり木の学校 (文部科学省)
(天野敦子:木造校舎の教育環境、住木センター、P41:2004)
7
公共建築物における木材利用の波及効果
○ 公共建築物について、一定の基準を満たすものは原則木造化するといった明確な方針を国が示し、
地方公共団体もこれに即して明確な方針・計画を樹立することは、公共建築物そのものの木造化の
推進にとどまらず、民間の建築物の木造化の推進にも大きな波及効果が期待できる。
平成8年から平成18年の10年間の
建築物の木造率(着工床面積ベース)の変化
木造率の変化
(H8木造率 → H18木造率)
→ H18木造率)
全建築物 -3.8% (37.8% → 34.0%)
うち 住宅 -2.3% (55.4% → 53.1%)
「県の施設は一定規模(例えば床面積3,000㎡)以下
のものを原則木造化」といった明確な指針を定めてい
る県(※)とそれ以外の県とで比較すると
木造率の変化
(H8木造率 → H18木造率)
指針のある県
全建築物 +1.6% (37.6% → 39.2%)
うち 住宅 +6.5% (52.7% → 59.2%)
指針のない県
全建築物 -4.7% (37.8% → 33.1%)
うち 住宅 -4.0% (56.0% → 52.0%)
指針のある県とない県とでは、
平成8年時点での木造率には
平成
年時点
木造率
明確な差がなかったにもかかわ
らず、その後10年間の木造率
の変化には顕著な差
民間建築物への波及効果
(※)秋田、栃木、埼玉、兵庫、島根、高知、愛媛の7県
建築着工統計を基に、農林水産省において分析
8
公共建築物の木造化の現状
建築物全体※
公共建築物
(国 地方公共団体 民間事
(国、地方公共団体、民間事
業者が整備する学校、老人
ホーム、病院等の建築物)
新築・増築・改築に
新築
増築 改築に
うち 木造のもの
うち、木造のもの
係る床面積の合計
(万㎡)
の床面積の合計
(万㎡)
15,139
5,467
36.1
1,479
111
7.5
木造率
(%)
※住宅を含む。
(注1)床面積の合計は、農林水産省において試算したものである。
(注2)木造とは、建築基準法第2条第5号の主要構造部(壁、柱、床、はり、屋根又は階段)が木造のものである。
資料:建築着工統計(平成20年度)
9
「公共建築物等における木材の利用の促進に関する法律」の概要
<農林水産大臣・国土交通大臣による基本方針の策定>
○具体的なターゲットと国自らの目標の設定(率先垂範)
低層の公共建築物については原則として全て木造化を図る
木材利用促進のための支援措置の整備
<法律による措置>
<木造技術基準の整備>
<予算による支援>
○ 公共建築物に適した木材を供給するた
めの施設整備等の計画を農林水産大臣
が認定
○ 本法律の制定を受けて、官庁営繕基
準に いて木造建築物に係る技術基準
準について木造建築物に係る技術基準
を整備
○ 品質・性能の確かな木材製品を供給
するための木材加 施設等の整備
するための木材加工施設等の整備へ
の支援
○ 認定を受けた計画に従って行う取組に
対して、林業・木材産業改善資金の特例
対して、林業
木材産業改善資金の特例
等を措置
○ 整備後は地方公共団体へ積極的に周
知
○ 展示効果やシンボル性の高い木造
公共建築物の整備等を支援
等
具体的 効果的に木材利用の拡大を促進
具体的・効果的に木材利用の拡大を促進
・公共建築物における木材利用拡大(直接的効果)
・一般建築物における木材利用の促進(波及効果)
併せて、公共建築物以外における木材利用も促進
・住宅、公共施設に係る工作物における木材利用
・木質バイオマスの製品・エネルギー利用
製
林業・木材産業の活性化と森林の適正な整備・保全の推進、木材自給率の向上
10
「公共建築物における木材の利用の促進に関する基本方針」のポイント
農林水産省、国土交通省
1 公共建築物における木材の利用の促進の意義及び基本的方
向
・ 公共建築物における木材の利用の促進が、林業の再生や森林
の適正な整備 地球温暖化の防止等に貢献すること
の適正な整備、地球温暖化の防止等に貢献すること
・ 過去の非木造化の考え方を、公共建築物については可能な限
り木造化、内装等の木質化を図るとの考え方に転換
2 公共建築物における木材の利用の促進のための施策に関す
る基本的事項
・ 建築基準法その他の法令に基づく基準で耐火建築物とすること
等が求められない低層の公共建築物について、積極的に木造化
を促進
・ 木造化を促進する対象としない施設の例(災害応急対策活動に
必要な施設等)
・ 木造化が困難な場合でも内装等の木質化、備品や消耗品として
の木材の利用、木質バイオマスの利用を促進
木材の利用を促進すべき公共建築物
木材の利用を促進す
き公共建築物
*
*
*
*
*
*
国・地方公共団体の庁舎、公務員宿舎
学校、社会福祉施設(老人ホーム、保育所等)
病院・診療所、公営住宅
運動施設(体育館、水泳場等)
社会教育施設(図書館
社会教育施設(図書館、公民館、青年の家等)
民館 青年 家等)
公共交通機関の旅客施設及び高速道路の休憩所
3 国が整備する公共建築物における木材の利用の目標
・ 国は、その整備する公共建築物のうち、積極的に木造化を促進
する公共建築物の範囲に該当する低層の公共建築物について、
原則としてすべて木造化を図る
・ 高層・低層に関わらず内装等の木質化、備品や消耗品としての
木材の利用を促進するほか、暖房器具等への木質バイオマス燃
料の導入に努める等
4 各省計画に関する基本的事項
・ 各省各庁の木材の利用の方針・目標の設定、推進体制等
5 木材の適切な供給の確保に関する基本的事項
・ 公共建築物の整備に適した木材の円滑な供給の確保
・ 合法木材の供給・利用の促進
6 その他木材の利用の促進に関する重要事項
・ 都道府県方針又は市町村方針を作成する場合の留意事項
・ 整備等においてコスト面で考慮すべき事項
・ 関係省庁等連絡会議の設置
11
建築物の規模による制限
◎ 大規模の建築物の主要構造部
大規模建築物の防火のための構造制限には面積制限(建築基準法第2
1条第2項)と高さ制限(建築基準法第21条第1項)があります。高さ13m
以下かつ9m以下で延べ面積が3,000㎡以下であれば防火のための構
造の制限はありません
造の制限はありません。
本法のタ ゲ トである低層とは
本法のターゲットである低層とは
→耐火建築物が求められない
建築物の範囲のこと
耐火建築物
庁舎・職員宿舎 ・・・3階以下
それ以外の建築物・・・2階以下
これら建築物の範囲において
木造化を推進
木造が可能
延べ面積 (㎡)
※ 都市部における防火地域や準防火地域等においては、
異なる延べ面積等の基準が適用される
異なる延べ面積等の基準が適用される。
※
一定の延べ面積以上の官庁施設、2階に居室等がある老人ホー
ム、保育所などでは2階以下でも耐火建築物が求められる場合も
ある
ある。
※ 木造化ができない場合であっても、全ての公共建築物において内装等の木材利用を推進
【耐火建築物のイメージ】
通常の火災が終了するまで倒壊や延焼を防止する性能を有する建築物
【準耐火建築物のイメージ】
通常の火災による延焼を抑制する性能を有する建築物
12
公共建築物の整備コストについて①
○ 国と地方自治体の建設した木造施設に
国と地方自治体の建設した木造施設について、建設コストが、鉄筋コンクリート造で建設したと想定した
いて、建設 ストが、鉄筋 ンクリ ト造で建設したと想定した
場合の標準的な建設コストを下回っている例も多い。
○ 同じ施設を木造と非木造で設計して建設費用を比較したところ、木造の方が安い事例と高い事例が
それぞれあったが、双方の建設費用の間に目立って大きな差はみられなかった。
木造施設を鉄筋コンクリート造で建設したと想定した場合とのコスト比較 ○ 木造と非木造の建設費用の比較例
○ 山北町ふるさと交流センタ
山北町ふるさと交流センター(神奈川県)
(神奈川県)
公共建築物におけるコスト比(木造/鉄筋コンクリート造)
1.80
1.60
木造が高い
コスト比(木造//RC造)
○
1.40
<木造>75,904千円
※非木造に対し 95%
※非木造に対し、95%
1.20
<非木造>79,626千円
(延べ床面積 :240㎡)
240㎡)
みかも
○ 美甘ドーム(岡山県)
1.00
木造が安い
0.80
0.60
0
100
200
300
400
500
600
700
800
900
1,000
延べ面積(㎡)
注)公共建築物におけるコスト比は、「国及び地方公共団体の木造施設
の建設コスト」の「鉄筋コンクリート造の標準的な建設コスト」に対する
比。
<木造>135,672千円 <非木造>131,839千円
※非木造に対し、103%
(延べ床面積 :1,000㎡)
資料:平成15年度地方公共施設等設計支援事業
13
公共建築物の整備コストについて②
○ 主に住宅向けに一般に流通している木材を適切に利用することで、コストの抑制が可能。
般 流
す
、
○ 学校の校舎及び屋内体育館の場合、建設コストの平均単価を比較すると、構造(木造、鉄筋コンクリート
造(RC造)、混合構造など)によらず同程度。
○
建築構造別コスト比較(学校施設の事例調査)
コストの抑制の例
<トラス>
小屋組を木造トラスとした
保育園の事例
学校の校舎
平均単価
(千円/㎡)
事例数
木造
249
6
延床面積:1,500~3,700㎡
単価 : 194~310千円/㎡
混合構造
(木造+RC造)
236
4
延床面積:2,400~6,500㎡
単価 :199~285千円/㎡
275
5
延床面積:3,000~6,400㎡
単価 : 204~331千円/㎡
204 331千円/㎡
RC造
※
備
考
※教育環境の整備に力を入れた事例もあるため、やや高めの単価が出ている。
木材を上下に重ねてダボにより固
定した「重ね梁」を施工した事例
<重ね梁>
屋内体育館
平均単価
(千円/㎡)
事例数
混合構造
(木造+RC造)
262
4
延床面積:1,000~1,400㎡
単価 : 249~284千円/㎡
混合構造
(S造+RC造)
228
2
延床面積:1,000~1,500㎡
延床面積
㎡
単価 :189~267千円/㎡
資料:早わかり木の学校(文部科学省)
備
考
14
ようじゅそう
特別養護老人ホーム ウエルプラザ洋寿荘 (社会福祉法人土佐香美福祉会)
概 要
1 建築概要 ・建築面積
建築面積 3棟 3,934㎡
3 934㎡
・延床面積 5,587㎡
・構造
木造2階建(高知県産材1,327㎥)
・事業費
約10億円 (単価:約18万円/㎡)
・定員
定員
80名(個室88室)
・ 住所
高知県安芸郡芸西村西分乙297番地
2 特徴
・社会福祉法人土佐香美福祉会が、高知県等の
補助を受け建設
・全国初の木造2階建、準耐火建築物による
全国初の木造2階建 準耐火建築物による
老人ホーム 構造改革特別区域計画により実現
15
木造校舎 茂木町立茂木中学校 (茂木町)
RC造
木造
RC造
木造
1,500㎡以下
1,500㎡以下
1,500㎡以下
木造
木造
1,500㎡以下
㎡
木造
木造
RC造
1 500㎡以下
RC造 1,500㎡以下
1,500㎡以下
※ 一定の規模以上施設は耐火建築物と
しなければならないが、鉄筋コンクリート
造(RC造)など耐火構造でつないだ場合、
それぞれを別棟とみなすことができ、耐火
規制が緩和されるため、木造建築物とす
規制が緩和されるため 木造建築物とす
ることが比較的容易になる。
3m
以上
木
造
RC
造
木
造
概 要
1 建築概要 ・延床面積
延床面積 8棟 12,585㎡
12 585㎡
・構造 木造2階建(一部鉄筋コンクリート造・鉄骨造)
・諸室数 51部屋
・住所 栃木県芳賀郡茂木町茂木72
2 特徴
・地元茂木町町有林のスギ・ヒノキ間伐材
地元茂木町町有林のスギ ヒノキ間伐材
を使用
(伐採面積36ha、伐採材積1,580㎥)
・栃木県林業センターと宇都宮大学が協力し、木材の
強度試験や乾燥率調査を実施 JAS同等の品質を
強度試験や乾燥率調査を実施、JAS同等の品質を
確保
・採用している井桁工法については、東京大学におい
て実大構造強度試験を実施
16
さんぱちかみきた
庁舎 三八上北森林管理署 (東北森林管理局)
概 要
完成後の事務室
施工中の事務室
1 建築概要 ・建築面積 411㎡
・延床面積 495㎡
・構造
木造2階建
・木材使用量115㎥
(スギ69㎥、ヒバ8㎥、カラマツ19㎥)
・事業費 約9700万円
(単価:約20万円/㎡)
・住所 青森県十和田市西二番町1‐27
2 特徴
・木材は地元産材とし、大スパンが必要
な事務室空間にはカラマツの大断面
集成材を使用し、その一部を露出させ
天井部にメリハリを付けた。
・また、土台、外壁には腐朽に強い青森
ヒバを使用した。
かっち
・内装材には、青森ヒバ、スギ、甲地ア
カマツを効果的に使い、木の柔らか
さ、温もり、優しさを生かした建物とし
た。
17
木材製造業の現状
製材工場の規模(年間原木消費量)
工場数(比率)
原木消費量(千㎥) (比率)
おおむね2千㎥未満
4,521 (65.9%)
2,056 (13.3%)
おおむね2千㎥以上1万㎥未満
1,890 (27.5%)
4,443 (28.7%)
454 ( 6.6%)
6 6%)
8 966 (58.0%)
8,966
(58 0%)
6,865 (100%)
15,465 (100%)
おおむね1万㎥以上
合計
(注1)原木消費量は、木材製造業者が加工原料として事業場において受け入れた原木(丸太)の量であり、木材製造
業の規模を表す指標として用いられている。
(注2)年間原木消費量2千㎥は、木材需給報告書の工場出力75 0kwに、また、年間原木消費量1万㎥は工場出力
(注2)年間原木消費量2千㎥は、木材需給報告書の工場出力75.0kwに、また、年間原木消費量1万㎥は工場出力
300.0kwに対応したおおむねの目安である。
資料:農林水産省統計部「平成21年木材統計」
18
森林・林業再生プラン(イメージ図)
 強い林業の再生に向け、路網整備や人材育成など集中的に整備し、今後、10年以内に外材に打ち勝つ国内林業の基盤を確立
 山元へ利益を還元するシステムを構築し、やる気のある森林所有者・林業事業体を育成するとともに、林業・木材産業を地域産業として再生
山元 利益を還元するシステムを構築し、やる気のある森林所有者 林業事業体を育成するとともに、林業 木材産業を地域産業として再生
 木材の安定供給体制を構築し、需要を外材から取り返して、強い木材産業を確立
 低炭素社会づくりに向け、我が国の社会構造を「コンクリート社会から木の社会」に転換
《木材の安定供給体制を構築し、儲かる林業を実現》
低コストで崩れにくい路網の普及
(平成22年度の事業実行に反映)
路網の作設オペレーター等の育成
(補正予算を活用した研修の実施)
路網整備の徹底
今後10年間でドイツ並みの路網密度を達成
計画的な施業による適切な森林管理へ
の誘導と安定的な木材供給の確保
施業可能な森林(人工林の2/3程度)について、 低コスト作業
システムに必要な路網密度(車両系:100m/ha、架線系:30~50m/ha)
を今後10年間で確保
計画的で適切な森林施業や林業経営を
支える「日本型フォレスター制度」の創設
森林所有者への施業提案能力の強化
等による森林組合の改革と民間事業体
の育成強化
集約化・搬出間伐に向けた予算の集中
化
(平成22年度から推進)
集約化を進めるための人材育成
(平成23年までに施業プランナーを2100人育成)
(森林施業計画による伐採・更新のコントロール)
 施業の集約化が促進(低コスト化)
 搬出間伐
搬出間伐へ転換(資源の有効利用)
転換(資源の有効利用)
 国産材利用の課題解消(木材の安定供給)
管理放棄地に対するセーフティネット体
制(公的森林整備)の確立
国民共通の財産である国有林の技術力
の活用
国産材の加工流通構造の改革
小規模、分散・多段階
小規模 分散 多段階
国産材住宅の推進
・在来工法住宅をはじめとした住宅の国産材シェア
(材積)を向上
・大工・工務店など、木造住宅・建築の担い手に対
する支援
→
大規模・効率的な国産材の加工・流通体制の整備
大規模 効率的な国産材の加工 流通体制の整備
公共建築物等における木材利用の促進
・国等が庁舎、学校等について率先して木材利用を
推進
・土木資材等への利用拡大に向けた技術開発
~ コンクリート社会から木の社会へ
バイオマス利用の促進
・国産材への原料転換、間伐材などの製紙・バイオマ
ス利用の推進
・関連研究・技術開発の推進
新規需要の開拓
・石炭火力発電における石炭と間伐材の混合利用
の促進策を検討
・木材利用の多角化や新たな木質部材開発に向け
た研究・技術開発の推進
木材自給率50% 低炭素社会の実現
~
19
Fly UP