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Page 1 京都大学 京都大学学術情報リポジトリ 紅

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Page 1 京都大学 京都大学学術情報リポジトリ 紅
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交流・直流超高圧OFケーブルの絶縁性能向上に関する研
究( Abstract_要旨 )
安藤, 順夫
Kyoto University (京都大学)
1981-09-24
https://doi.org/10.14989/doctor.r4529
Right
Type
Textversion
Thesis or Dissertation
author
Kyoto University
安
藤
順
夫
あん
どう
のぷ
お
学 位 の 種 類
工
学
博
士
学 位 記 番 号
41
4号
論 工 博 第 1
学位授与 の 日付
昭 和 56 年 9 月 24 日
学位授与 の要件
学 位 規 則 第 5条 第 2項 該 当
学 位論文題 目
交 流 ・直 流超 高 圧 OFケ ーブ ルの絶縁 性能 向上 に関 す る研 究
氏
名
(
主 査)
論 文 調査 委員
宗 明
教 授 林
論
文
内
教 授 上 之 園親 佐
容
の
教 授 川 端
昭
旨
要
本論文 は超 高圧 OFケ ーブルの性能向上 に関す る研究 を ま とめた もので あ る。 す なわ ち,交 流 お よび直
流送電用 ケ ーブル につ いて,使用す る絶縁材料 と設計製作 法 の両面 か ら検討 を加 え, ケ ーブルの絶縁性能
向上 のた めの解決策 を求 め, その効果 を考察 した もので あ る。
第 1章 は緒 言 で あ り,交 流 ・直流超高圧 OFケ ー ブ ルの絶縁性能向上 が必要 とな る背景,研究 動向並 び
に研究課題 を述 べ,本研究 の 目的 とその方針 の概要 を示 して い る。
第
2章 で は, 交流 OFケ ーブル に関す る研究概 要 を述 べて い る
。
す なわ ち,OFケ ーブル用絶縁紙 の特
徴 と して,絶縁紙 の誘電体損 を低減 させ る方 向の改良 を行 うと機械 的強度 や絶縁破壊 強度 が低下 す るとい
う相反す る特性 を持 ってお り, これ を克服 して低 誘電体損 で しか も高絶縁 耐力 を持 つケ ーブルを得 な けれ
ばな らず, このた め に,絶縁紙 の高気密度化 や不純 イオ ンの残留 を抑制 す るた めの脱 イオ ン水 洗浄等 の絶
縁紙 自体 の改良 を実施 す るとともに,特性 の異 な る数種 の絶縁紙 を組合 わせ て最適 の絶縁体 を得 る段絶縁
75kV OFケ ーブルの製作 結果 と
設 計手法 の採 用 が必 要 な ことを示 して い る。 これ らの解決策 の効果 を 2
その性能測定 によ り確認 し, 都市 内導入用 2
75kV OFケ ーブルを得 た後, その設 計製作 経験 を基礎 と し
0
0kV OFケ ーブル を試作 し, 各種接続部 の開発 を含 めた総合
て絶縁紙 に対 しよ り一層 の改良 を加 え, 5
的な実証研究 を実施 す る ことによ り交流超高圧 ケ ーブルの性能 向上 とその安定化 を実現 して い る。
第 3章 で は直流超高圧
OFケ ーブル に関す る研究 を述 べてお り,直流 ケ ー ブ ル と交 流 ケ ーブル との相異
点, すなわ ちケ ーブル絶縁体 内の電位分布,電 界分布 が温度 や電界 に強 く依存 す る絶縁抵抗成分 によ り支
配 され る こと,絶縁体 中 に空間電荷 が蓄積 し, これが直流電圧 や異常電圧 に対 す る絶縁耐力 に大 き く影響
5
0kV 直流 OF ケ
す ること等直流 ケ ーブル固有 の問題点 を と り上 げ,絶縁材 料 の検討 とこれ らを用 いた 2
ーブル によ り,上記 の問題 点 の把操 と解決方法 を探索 して い る。 この結果 を用 いて,
5
0
0kV 直流
OFケ ー
ブルの絶縁性能 を検討 し,得 られた解決策 が UHV 直流 OFケ ーブル にお いて も十分 有効 で あ る ことを明
らか にす ると ともに, と くに絶縁設計上 の要点 とな る異常 電圧重畳時 の絶縁耐力 を追求 し,系統保護 レベ
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2
3-
ルに対す るケーブル所要絶縁 レベルの考 え方 を示 している。
なお,直流
OFケーブルは長尺海底 ケーブルと して使用 され る可能性が多 い ことか ら,ケーブル と同等
外径 を持つ同径接続部 について も検討を加え,その絶縁設計 と製造方法の確立を はか っている。
第 4葦で は,超高圧ケーブルが異常 な温度上昇 により致命的な損傷 を受 け,本来 の絶縁性能を失 う恐れ
のあることか ら,電力ケーブルの熟的要因 による絶縁破壊問題 を とりあげている。すなわ ち,電力ケーブ
ルは一般 に地 中に埋設 されてお り, ケーブル に発生す る導体損,誘電体損 により温度上昇 を生 じ, これが
許容値 内に納 まる限 り問題 はないが,劣化 による絶縁体の誘電体損の増加,予測外 の土壌の熱抵抗 の増大
による過度 の温度上昇 に際 して は誘電体損の温度依存性のために熟不平衡状態 とな り絶縁破壊 に至 る。 こ
のようなケーブルの熟破壊現象 を理論的 に解析す るとともに,実際のケーブルを用 いて実験的に確認 し,
大容量,多回線布設の交流ケー ブ ルの線路設計や直流ケーブルの絶縁耐力把握のための試験条件設定 に当
って は熟破壊現象 を考慮 に入れ る必要のあることを示 している。
第 5章で は,第 4章 を うけて,運転 中のケ ーブルの絶縁性能 を確保す るにはケーブルの温度上昇 の把握
と排熱方法が重要 とな ることか ら,埋設ケーブルに流れ る変動負荷電流 によるケーブルの温度上昇計算 と,
発生損失を冷却水等で奪 い送電容量の増加 を はか る強制冷却設計 に関 して検討を加 え,新たな解析手法 を
導 いている。 この手法を用 いた現実の線路の温度上昇の評価 と実測値 との対比 により本手法が実用的な計
算方法 と して十分成立 し,今後の大送電容量線路の設計 に役立つ ことを明 らか に している。
第 6葦 は結論であ り,本論文 の成果 を要約 している。
論 文 審 査 の 結 果 の 要 旨
大都市 の電力需要の伸びに対処 した都市 内超高圧交流ケーブ ルおよび海峡横断用直流ケーブルは,電力
の安定供給のため電力基幹系統 にとって欠 くべか らざるものであ り, これ らのケーブルには信頼性 の高 い
絶縁性能が要求 され る。 本論文 は新たな解析 と考察を盛 り込んだ理論的手法 と試作 ケー ブ ルを用 いた実験
的手法 を併用す ることにより,従来技術の延長で は解決の難か しい超高圧交流 ・直流 OFケーブルの性能
向上 について検討 を加 え, その結果 をまとめた ものであ り,得 られた主 な成果 は次 の とお りである。
1
. 交流 OFケーブルに関 して は,低誘電体損 と高絶縁耐力 とい う,絶縁紙本来 の特性上か らは相反す
る性能 を もつ絶縁体 をケーブル用 と して実現す るために,絶縁紙 の高気密度化,脱 イオ ン水洗浄紙 および
合成絶縁油の採用等 の方法 によ り絶縁材料面 の改良 を施 し, さらに異 な る電気的特性 を有す る絶縁紙 を組
合 わせて用 いることにより, 段絶縁 と呼ばれ る新たな設計手法を導入 して いる。
ケーブルの設計 ・試作 とその性能測定 によ り確認 し, 都市 内導入用
反映 させ るとともに, その経験 を基礎 と して
その効果 を 2
7
5k
VOF
2
7
5k
VOFケーブルの設計 ・製作 に
5
0
0k
VOFケーブルを設計 ・製作 し, 所期の絶縁性能向上
を達成 した。
2. 直流 OFケーブルに関 して は絶縁体 中の電位 ・電界分布 が絶縁抵抗 によって決定 され しか も温度分
布 に依存す ること,空間電荷の蓄積が絶縁性能 に影響す ることなど交流ケーブル とは根本的に異な る絶縁
特性 を把握 し,理論的解析 を行 い, これを踏 まえた設計 ・製作上 の問題点 とその解決策 とを提示 している。
試作
2
5
0k
V,5
0
0k
V直流 OFケーブルを用 いた実験 により,上記の解決策 を検討 し,UHV直流 OFケ
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2
4-
-ブルにおいて も十分有効であることを明 らかにす るとともに,絶縁設計上 の要点 とな る異常電圧重畳時
の系統保護 レベル とケーブル所要絶縁 レベルについて新 しい考 え方 を提案 し,直流 OFケーブルの絶縁設
計手法 を確立 した。
3
. 超高圧 OFケーブルの実用的な性能面で は熱的問題が重要 とな る。特 に異常温度上昇 により絶縁性
能 に致命的な影響を受 ける熟的絶縁劣化現象 を検討 し,交流 ・直流 OFケーブルの熱的破壊現象 を理論的
・実験的 に解明 し,実用ケーブルの運転中あるいは試験 中の熱破壊発生の予測 を可能 に した。 また交流 ・
直流超高圧ケー ブ ルの設計 に対 して上記 の成果 を反映 させている。
4
. 実際の線路 に生 じる変動負荷電流 に対す るケーブルの温度上昇 および送電容量向上のための強制冷
却 に対す る温度上昇の解析手法を導 き, これを実際の線路設計 に適用 し,実測値 との対比 によ り, これ ら
の手法が充分 な精度で成立す ることを確認 し,超高圧 OFケーブルの安全で効率的な運用 と大容量化 を可
能 に した。
以上要す るに本論文 は,大容量化 と高信頼性の要求 され る基幹送電系統用超高圧 OFケーブルの絶縁性
能 について材料 と設計製作 の両面 か ら検討を加 え ることにより多 くの知見を得, その向上 を果た した もの
であ って,学術上,実際上寄与す るところが少 な くな い。 よって本論文 は工学博士 の学位論文 として価値
あるもの と認 める。
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