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T・Tの指導体制による少人数指導の工夫

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T・Tの指導体制による少人数指導の工夫
(3) 実践事例1
T・Tの指導体制による少人数指導の工夫
①
評価を生かした指導の工夫
T・T による指導をより効
果的に行うためには、児童一
人一人の学習状況を的確に把
握し、個に応じたきめ細かな
指導を進めていくことが大切
である。そのために、全教科
で作成した単位時間ごとの評
T・ T に よ る 評 価 体 制 と 指 導
指導と評価の一体化
(評価を生かした指導の工夫・改善)
個に応じたきめ細かな指導
学習状況の把握
個人チェックリスト・行動リスト・自己評価
客観テスト・ポートフォリオ等
価規準をもとに指導と評価の
一体化をめざし、評価を生か
した指導の工夫・改善に努め
教材の分析
評価規準
子どもの実態
てきた。特に、算数科におい
ては、
「関心・意欲・態度」や「数学的な考え方」などの評価の際、質的な見取りの他に行動リ
ストを作成し、どの程度できたか量的な見取りをしていくようにした。行動リストの活用によ
り、これまで主観的だった評価を行動の様子に表して判断することで、より客観的な評価を行
うようにした。T・T の指導が基本となっている算数科の授業では、T 1・T 2がそれぞれ座席
表形式によるチェックリストを活用することで、複数の目による多面的な見方でより個に応じ
た評価を行い、その後の指導に役立てるようにした。チェックリストの他に自己評価カード、
ノート、ワークシート、ポートフォリオ等の評価の蓄積を図り、これらをもとに総合的に判断
して評価を行うようにした。
評価規準を基にした行動リストによる評価
<行動リスト> 第2学年(かけ算1)
名前(
K
男
)
時間
観 点・方 法
評価規準 *行動リスト(関心・考え方のみ2∼3でA)
評価
1
関心・意欲・態度
○遊園地の1つの乗り物の乗り方と人数を求めようとしている。
A
・ (観察・ノート・発表 ) ○いろいろな乗り物の乗り方の人数をまとまりをつくりながら求めよ
2
うとしている。
○遊園地の乗り物の乗り方と人数を調べ,気付いたことを説明しよう
としている。
表現 (プリント) ○「1台に□人ずつの□台分で○人」と数量をことばで表すことがで
A
きる。
3 表現・知識(小テスト ) ・80パーセント以上正答でA
○ 「行動リスト」の活用方法として、評価
の(1・2)時目の「関心・意欲・態度」
<個人チェックリスト>
では、3つの評価規準のうち2∼3つが
「◎」で評価を「A」とする。
○
「個人チェックリスト」の活用では、
毎時間すべての子どもを評価するのでは
なく、授業の内容や状況によってできる
範囲で弾力的な見取りをしていく。評価
のために、時間をかけすぎないように簡
単なメモ程度にし、子どもの具体的な学
習状況や変容、つまずき等を記入するこ
とによって、次の指導に生かせるように
し、評価のための評価にならないように
する。
131
②
個に応じた指導方法の工夫・改善
ア 単元名
第 5 学年 算数 「四角形を作ろう(垂直・平行と四角形)」(2/11時)
イ 本単元における個に応じた指導
本単元におけるレディネステストとプレテストの結果から、図形の構成要素や直角、平行
に着目した図形の見方や平行四辺形、台形の概念についての理解が十分に満足できるものと
はなっていないことが分かった。また、既習事項の活用についての個人差が大きく、個に応
じた指導が必要である。そこで、指導にあたっては、それぞれの実態に応じて自力解決がで
きるよう、単元を通して T・T 指導を進めるようにし、児童一人一人の達成状況に応じて、
発展的な考え方で問題を解決させるようにしたり、発展的な問題や補充的な問題を準備した
りして、個に応じた指導を進めることにした。また、図形を観察し、構成する活動を通して、
四角形の性質を見いだし、その性質を基にして作図する活動を重視することによって、自分
の考えを論理的に進めたり、根拠を説明したりするなど、数学的な考え方の育成が図られる
ようにした。
本時では、児童がA∼Dコースを選択し、それぞれのコースで自力解決をめざしていくこ
とをねらいとして、個別指導を中心に行うことにした。
ウ 本時の展開
課題
自力解決
・等角に着目
・等辺に着目
・垂直に着目
・平行に着目
・四角形の変形
○
それぞれの観点別にコースを選
択し、図形の仲間分けをさせるよ
うにした。等角・等辺で仲間分け
した児童には、垂直・平行の観点
で仲間分けをさせた。
○ 垂直・平行の観点で仲間分けし
た子どもには、さらに発展的な考
え方として平行な辺の数に着目し、
図形を変形させる活動をさせた。
○
垂直や平行で考
えるとグループ分
けができそうだ。
○ まず垂直で仲間
分けしよう。
○ 平行でもできそ
うだ!
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価
仲間分け
の観点
・等角
・等辺
・垂直
・平行
練り上げ
まとめ
台形・平行
四辺形の定
義
ま と め
自己評価
評
いろいろな四
角形の仲間分
けをしよう
計画
・いろいろな仲間分けが
できました。
・垂直や平行に着目して
仲間分けをすると簡単
にできました。
・四角形の中には垂直や
平行以外の図形が多く
ありました。
・垂直があるかないかを調べて
いくうちに、垂直の数でグル
ープに分けられることに気が
付きました。
・はじめ平行に気を付けて分け
ていたけど、そのうち垂直も
気になってきたのでC+Dコ
ースで分けました。
発展的な考え方(図形の変形)
1組の平行
を考えて変形
すると台 形 に
なりました。
2組の平行
を考えて変形
すると平 行 四
辺 形 になりま
した。
チャレンジカードをもとに紙テープを使い、平行の数
を考えながら四角形を変形して調べた。
子どもの学習カード(感想)
・最初に辺の長さで仲間分
けしたら、とってもむず
かしかった。でも平行の
数で仲間分けしたら簡単
にできた。
・平行の数で台形と平行四
辺形に分けられるなんて
とってもおもしろいと思
いました。その他の形も
調べてみたい。
・辺や角での仲間分けは
むずかしかったけど、
いろんな人の発表で台
形と平行四辺形が分か
ってとてもうれしい。
・どんな四角形でも、辺
を動かせばちゃんと平
行になるなんて初めて
知りました。びっくり
しました!
エ
考察
○ T・T による行動リスト、個人チェックリストを活用した評価の工夫によって、児童の様
子や学習状況をより的確に把握することができるようになり、その評価をその後の指導に生
かし、一人一人の児童に応じた指導を進めることができた。
○ 教材の工夫により、発展的な考えで学習するコースを設定したことによって、直角や平行
の概念で既習の図形を見直したり、四角形に対する見方・考え方を広げたりしながら平行四
辺形や台形の定義に気付かせることができた。
○ 本時においては、
「個別・グループ学習モデル②」でそれぞれのコース別学習を1つの教室
の中で T・T 指導によって進めた。このことによって、児童の多様な学習活動に対するつま
ずきに対応した、きめ細かな指導を行うことができた。また、練り上げの段階では、児童の
発表を通して友達の考えのよさや図形の不思議さ、おもしろさに気付くことができた。
● 行動リストや個人チェックリスト等の他に、授業の中で児童の活動の様子や学習状況を細
かく見取ることができ、より簡単にできる評価方法についてさらに工夫していきたい。
●
個に応じた指導をさらに進めていくために、児童が自ら工夫したり、自分の考えを深めた
りしていけるような教材の工夫・開発にさらに努めていきたい。
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