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「話すこと・聞くこと 「書くこと」と関連づけた「読むこと」の学習例 」、
「話すこと・聞くこと 」、「書くこと」と関連づけた「読むこと」の学習例 1 科目名 国語総合 2 単元名 詩歌「永訣の朝 」(全4時間) 3 単元の内容 ア 単元目標 指導案の 授業の概要 アドバイス 4 <教材:「 永訣の朝 」(宮沢賢治)> 詩中の言葉に込められた意味を読み取ったり、他の生徒の読みと比較したりして、自 分の読みを深めようとする。 (関心・意欲・態度) イ 詩の中にある技法・文体に着目し、情景や心情を読み取る。 (読む能力)<国語総合 C読むことウ> ウ 詩に描かれた情景や心情、全体の構成や題名から作者のものの見方や感じ方を的確に つかむ。 (読む能力)<国語総合 C読むことエ> エ 文中の語句や表現についてその効果を理解する。 (知識・理解) ○「永訣の朝」の表現技巧(対比・比喩・象徴・文字表記・色彩語・字配り・反復)を把 握した後、読解の展開の段階で 、「とし子は幸せだったのか、幸せでなかったのか 」「賢 治はとし子の死を乗り越えられたのか、乗り越えられなかったのか」を本文の表現を根 拠にして考え、とし子・賢治どちらか1つの短作文を書く 。(200字) ○意見、本文の引用、理由という構成で書く。 ○その活動により、賢治ととし子の気持ちを分析し追体験して、主題は何であるか考える きっかけとする。 ○本文を根拠にするため、感覚的な読みではなく、本文を分析的にとらえることになる。 何度も本文の内容を読むことで、自分の読みを深めることにつながる。 ○グループ発表までに仕上がるよう、未完成の場合は宿題とすることを伝える。グループ 発表の後にグループ代表を決定し、グループ代表によるクラス発表を行う。 ○読解の段階で作文をし発表するため、教材を最後まで学んだのに、登場人物の心情にた どり着けないことは避けられる。またその反対に、教師が教えすぎてしまい生徒が気付 く喜びを奪ってしまうことも避けられる。 ○本文の表現を根拠にするため、感覚的な読みではなく、分析的に読むことになる。他の 生徒との意見交流を行うので、本文を多面的に読むことにつながる。また、作文には、 生徒の生き方・考え方がにじみ出るため、クラスメートの新しい一面を発見する機会に もなる。 ○他の生徒の生き方・考え方を知る活動を通じて、自分自身は何に感動し、その感動は他 の生徒とどこが同じでどこが違うのかを振り返ることになる。その多様性を楽しめると いいのではないか。 ○主題を確認した後 、「他人の幸福のために自分を犠牲にする」という賢治の考えの伝わ る作品群に触れ、それを題材として、自分自身の生き方・考え方をまとめる作業をする 時間も取りたい。 単元の評価規準 関心・意欲・態度 読 む 能 力 知 識 ・ 理 解 ① 詩 中 の 言 葉 に 即 し て 、 ①詩の構成を把握している。 ①文中の語句の意味を理 込 め ら れ た 意 味 を 読 み ②詩に描かれた情景や心理を、それぞれの場面の 解し、語彙を豊かにし 取ろうとしている。 表現や文体、技法に即して読み取っている。 ている。 ② 他 の 生 徒 と の 読 み の 交 ③他の生徒との意見交流を通して、自分の読みを ② 効 果 的 な 表 現 技 法 に つ 流を通して自分の読み 深め、主題をとらえている。 いて理解している。 を深めようとしている 。 5 単元の学習指導案 時間 各時間の目標 主な学習活動 各時間の具体的評価規準 評価方法 ・ 全 文 を 音 読 す ・隣 同士ペア になり半 分ずつ 交 ア 詩の 心 情 を表現 か ら読み 取 ・観察 る。 代で音読する。 ろうとしている 。 【 関① 】 *机間指導 ・ 全 体 の 段 落 分 ・指 名読みの 間に難解 語の読 み イ 構成 を 読 み取っ て いる。 *発表 けを把握する 。 を確認し 、段落分けを考える 。 【 読① 】( ア・イ・ウ ) 1 ・ 難 解 語 の 読 み ・段落分けを確認する。 ウ 対比 ・ 比 喩・象 徴 ・文字 表 と 意 味 を 理 解 ・意 味の分か らない部 分や難 解 記・ 色 彩 語・字 配 り・反 復 する。 語句に印を付ける。 の効果が分かる 。【知①②】 ・ 第 1 ~ 2 段 落 ・語句の意味を確認する。 の 表 現 の 特 徴 (例 )「永訣 」「 ・ あめゆじゅ~」 をつかむ。 ・表現技法の効果を確認する。 (例 )「とおくへいってしまふ」 比喩 「へんにあかるい」色彩 「まがったてつぱうだま」比喩 「 び ち ょ び ち ょ 」「 さ つ ぱ り 」 対比 「いつしやうあかるく」比喩 「あめゆじゅ~」反復 など ・ 第 3 ~ 4 段 落 ・音読する。 ア 対比 ・ 比 喩・象 徴 ・文字 表 ・観察 の 表 現 の 特 徴 ・表現技法の効果を確認する。 記・ 色 彩 語・字 配 り・反 復 *机間指導 2 をつかむ。 ( 例 )「 や さ し く あ お じ ろ く も の効果が分かる 。【知①②】 *発表 ・とし子の心情 えている」 比喩 イ とし 子 の 心情と 賢 治の心 情 ( ア・イ・ウ ) と 賢 治 の 心 情 「 ora orade sitori egumo」ローマ の変化を表現から読み取る 。 の変化をつか 字の効果ととし子の気持ち 【 読② 】 む。 「雪」象徴 など ウ 短作 文 を 書くこ と で、賢 治 ・と し子が「 うまれで くるた て やと し 子 の心情 に 対する 読 ~ 」といっ たのは、 どんな 気 みを深めている。 持 ちからか 。また、 賢治の 気 【 読② 】 持 ちは、何 をきっか けに何 か ら何に変化したか。 ・短作文を書く 。 ・「 と し 子 は 幸 せ だ っ た の か 、 幸 せ で な か っ た の か 」「 賢 治 は とし子の 死を乗り 越えら れ た のか、乗 り越えら れなか っ た のか」を 本文の表 現を根 拠 に して考え 、とし子 ・賢治 ど ちらか1つの短作文を書く。 ・ 短 作 文 を グ ル ・短 作文をグ ループ内 で発表 す ア 読み を 他 の生徒 と 伝え合 お ・観察 ープで発表す る。 うとしている 。 【 関② 】 *机間指導 3 る。 代表がクラス発表をする。 イ 作文 の 発 表を通 じ て、読 み *発表 代 表 が ク ラ ス ・ク ライマッ クスはど こか考 え を深 め 、 主題を つ かもう と ・点検 発表をする。 る。 している 。 【 読③ 】 *作品 ・ 題 名 の 意 味 を ・題名の意味をつかむ。 ( ア・イ ) つかむ。 ・と し子や賢 治の気持 ちの読 み ・主題をつかむ 。 を深め、主題を把握する。 ・ 作 者 や 作 者 の ・「 雨ニモ負ケズ 」「グスコーブ ア 他の 作 品 の内容 も 考え合 わ ・観察 他の作品の紹 ドリの伝記」を紹介する。 せて 、 作 者の人 物 像をま と *机間指導 4 介をする。 ・作者の伝記を紹介する。 めようとしている 。【 関① 】 ・点検 ・ 賢 治 は ど ん な ・作 者はどん な人なの か、自 分 イ 他の 生 徒 のとら え 方を参 考 *作品 人なのか、ま の生き方とからめて書く。 に、 自 分 の読み を 深めて い ( ア・イ ) とめる。 ・良い作品は、プリントにして る。 【 読③ 】 次回紹介する。 6 第2時の学習指導案 本時の位置 2時間目(全4時間) 本時の学習 ア 他の生徒との読みの交流を通して自分の読みを深めようとする 。(関心・意欲・態度) 目標 イ 対比・比喩・象徴・文字表記・色彩語・字配り・反復の効果がわかる 。(知識・理解) ウ 短作文を通して、賢治やとし子の気持ちに対する自分の読みを深める 。(読む能力) 学 習 内 容 学 習 活 動 指 導 上 の 留 意 点 及 び 評 価 □前時までの学 ①後半を音読する。 ・短作文を書く用紙を準備しておく。 導 内容と本時 ②本時は 、 後半の内容を読解した後 、 (200字) 習 入 の目 標を確認 とし子や賢治の気持ちをつかむた する。 めに短作文を書く活動をすること 5 を確認する。 分 □第3~4段落 ③表現技法の効果を確認する。 ・賢治ととし子の居場所を質問し、とし子の の表現の特徴 ・「 やさしくあおじろくもえている 」 言葉が、賢治の頭の中でよみがえっている をつかむ。 比喩→「やさしく 」「けなげな」 ことを確認する。 妹の命が今にもつきそうな様子 ・「Ora Orade Sitori egumo」ローマ字 目標ア・イに対する評価規準と評価方法 表記の効果ととし子の気持ち [規準]とし子の言葉の意味をつかみ、心 →死に際の宗教的な言葉。受け入れ 情を理解している。 がたい。 [方法]観察(発言) 悟った安らかさ 。兄への思いやり 。 [状況Cの生徒への手だて] ・「 雪」象徴 ・とし子の言葉をわかりやすい表現に直す 。 → 美しい雪ととし子が重なる。 その言葉からとし子はどんな気持ちであ るか考えるよう助言する。 展 □とし子の心情 ④とし子が「うまれでくるたて~」 と賢治の心情 といったのは、どんな気持ちから ・兄と同じく法華経(父は浄土真宗)の信者 の変化をつか か。また、賢治の気持ちは、何を で あ る 妹 は 、「 世 界 全 体 が 幸 福 に な ら な い む。 きっかけに何から何に変化した うちは個人の幸福はありえない」という兄 か。 の言葉を理解していたということに留意さ →兄と同じく他人のために苦しむ人 せる。 生を選びたいという兄へのいたわ ・妹の言葉6つが全て、兄に対する思いやり 開 り。 を示すものであることに気付かせる。 →とし子の言葉をきっかけに、悲し ・賢治の祈りの内容と対象を確認する。 みから祈りに変化した。 □短作文を書 く。 40 分 ⑤「とし子は幸せだったのか、幸せ でなかったのか 」「賢治はとし子 の死を乗り越えられたのか、乗り 越えられなかったのか」を本文の 表現を根拠にして考え、とし子・ 賢治どちらか1つの短作文を書 く 。(200字) 目標ウに対する評価規準と評価方法 [規準]本文の表現を根拠にして作文を書 くことにより、賢治やとし子の気持ちを 読み取っている。 [方法]観察(机間指導) [状況Cの生徒への手だて] ・本文の表現から推測した心情は何か質問 し、その答えを書くように助言する。 ・意見+引用+理由の構成で書くよう助言す る。 ま □本時の学習の ⑥次時にグループ発表とクラス発表 ・次時間の終わりに完成し提出する。次の時 と まとめと次時 を行い、主題を考える。 間で完成できそうにない場合は、各自で進 め の確認をす めておくよう助言する。 5 る。 分 7 作品例 ①とし子は幸せだった。なぜかというと 、「うまれでくるたて・こんどはこたにわりゃのごとばかりで・ くるしまなよにうまれてくる」というとし子の言葉がある。ここには、自分の苦しみだけで人生を終え るのでなく、人のためにできることをしたいという思いやりの心が表れている。人に対する思いやりの 心を持っているのは、自分自身が満たされて幸せである証拠である。だから、とし子は幸せだったと考 える。 ②とし子は幸せではなかった。なぜかというと 、「うまれでくるたて・こんどはこたにわりゃのごとばか りで・くるしまなよにうまれてくる」というととし子の言葉がある。自分の苦しみばかりで人に何もで きなかったので、苦しみが多くて辛かっただろうし、人の役に立てなかったという後悔があると考えら れる。だから、とし子は幸せでなかった。 ③賢治はとし子の死を乗り越えられた。なぜかというと 、「わたくしはいま心からいのる~わたくしのす べてのさいはひをかけてねがふ」という言葉がある。とし子を失う苦しみの中にいた賢治だったが、と し子の思いやりに気付いた賢治は、自分を犠牲にしてもいいから、とし子やとし子の周りの人に幸せに なってほしいと願っている。他人の幸せを願うことができるのは、自分自身が満たされて幸せである証 拠である。だから、賢治はとし子の死を乗り越えたと考える。 ④賢治はとし子の死を乗り越えられなかった。なぜかというと 、「わたくしはいま心からいのる~わたく しのすべてのさいはひをかけてねがふ」という言葉がある。とし子を亡くした悲しみから立ち直るため には、とし子が天上界で幸せになっていると考えることが必要なのだ。妹の死から立ち直っていない賢 治が、悲しみから立ち直るために、妹の死後の幸せを願っているのだ。だから、賢治はとし子の詩を乗 り越えてはいないと考える。 『 永訣の朝 』 質 問例・ 解答例 1「と おくへいっ てしまふ」 の比喩はど ういうことか 。 →死ぬこと 2「お もてはへんに あかるいの だ」という 色から何が 読めるか。 →不吉な予感 ・不安・悲 しみ 3「まが ったてっぽ うだまのやう に」の比喩 から何が読 めるか。 →まがる=足 取りは曲がる てっ ぽうだま=気 持ちは前に 出る →死に際の 妹のため に一生懸命な 賢治の姿 4雪が 「びちょびち ょ」から「 さっぱり」 に変化した のはなぜか。 →妹の依頼の 意味を知 った賢治の 心境の変化か ら。 5「わ たくしをいっ しゃうあかる くする」と はどうい うことか。 →明るい気持 ちで一生を 送れるよう にする。 6なぜ妹 の頼みが私 を明るくする ことになるの か。 → ・妹の望み を叶えた満足 感 ・気 圏などを愛す る兄への理解 7「 やさしく あおじろくも えている」は 妹のどのよ うな様子の 比喩か。 →「や さしく 」 「けなげ」な妹 の命が今に もつきそう な様子。 8「 Ora Orade Sitori egumo」 ローマ字表記の効果ととし子の気持ち →死に際 の宗教的な 言葉。受け入 れがたい。 悟った安ら かさ。兄への 思いやり。 9「雪」は 何の象徴か 。 → 美しい雪とと し子が重 なる。 10とし子が 「うまれで くるたて ~」といった のは、どんな 気持ちから か。また、 賢治の気持 ちは、 何を きっかけに 何から何に 変化したか 。 →兄と 同じく他人の ために苦しむ 人 生を選 びたいとい う兄へのい たわり。 →とし子の言 葉をきっかけ に、悲し みから祈り に変化した。 11「 とし 子は幸 せだっ たのか、 幸せでなかった のか 」 「賢治は とし子の死を乗 り越えられたのか 、 乗 り越えられ なかったの か」を本文の 表現を根拠 にして考え 、とし子・ 賢治どちらか 1つの短作 文 を書 く。 12 クライマッ クスはどこ か。なぜそこ なのか。 →「ほ んたうにけふ おまへはわか れてしまふ 」 理由→動揺し ていた賢治 が、妹の決 意に後押し され、妹の死 の辛さを受け 止める覚 悟を持つ部 分で あ るから。 1 3 題名の 意味は何か。 →「永 訣」=永遠の 別れ。死 別。 「朝 」=始まり。 さわやかさ。 決意。 14 主題は 何か。 →妹の 死を乗り越え て、人々の 幸福のため に生きよう という決意 15 賢治の他 の作品も参 考にして、賢 治の人物像を まとめよ。 『永訣の朝』ワークシート ( )組( )番 氏名( ) ☆次の1~4から1つの意見を選び 、本文の表現を根拠にして 、とし子か賢治の気持ちを説明しよう 。 意見+抜き 出し+理由 (200 字)という構 成で書くこと 。 1 とし子は 幸せだった 2 と し子は幸 せではなかっ た 3 賢治 はとし子の死 を乗り越え られた 4 賢治はとし 子の死を乗 り越えられ なかった 意見 私は( )と考 える。 抜き出 し なぜかと いうと、 という( とし子・賢治 )の言葉が あるからだ 。 理由 ☆この 課題をして気 付いたこ とをまとめ よう。