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第4章 歳出

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第4章 歳出
高知県会計事務処理要領
第4章 歳出
第1節 通則
事 項
説
明 ・ 根 拠 法 令
第1支出の意
支出とは、地方公共団体が、その事務等を処理するために必要な経費を支弁することをいいま
義
す(自治法第 232 条)
。つまり、支出の原因となる契約その他の行為(支出負担行為)とその支
出負担行為に基づいて現金を支払う行為(支出命令、支払)の二つの意味を包括しています。
これを会計手続の面から見ると、次のようになります。
(施行伺(金額により必要です。
「第5章第1節3施行伺」参照)
)
↓
支出負担行為(支出の原因となる契約その他の行為をすること。
)
執行機関
↓
支出命令(会計機関に対して支出を命令すること。
)
↓
支出の決定(支出命令を審査し、支出の決定をすること。
)
↓
会計機関
支払(現金を債権者に支払うこと。
)
第2支出の根
支出の根拠は、歳出予算(自治法第 211 条)にあり、その目的に反して、あるいはその金額を
拠
超えて支出することは許されないものです。
第3支出の原
地方公共団体の経費は、行政目的を達成するための必要かつ最少の限度を超えて支出してはな
則
らないほか、原則として次の条件を満たしていなければなりません。
1 法令又は契約に違反していないこと。
2 債務が確定していること。
3 支出すべき時期が到来していること。
4 支出の相手方が正当債権者であること。
債権者とは、法令又は契約に基づいて地方公共団体に対して一定の金額を正当に請求する権
利を有する者ですが、誰が正当債権者かをめぐって問題が起こるおそれがあるので注意してく
ださい。
(1)法人(代表取締役等)との契約で、支店長等から請求のあった場合、その者が正規に請求・
受領を委任された者であるかどうかを証する書類(委任状)を添付させ、それを確認したう
えで支払う必要があります。
(2)請求書に社名しか表示がなく、代表取締役等の職名・氏名・印がなくても、当該行為がそ
の会社が行った行為かどうかということで後日紛争が起こるおそれがないと認められる場
合には支払可能です。
(例 公共料金等)
(3)請求書の住所と契約当初の住所が違っている場合、正当債権者の発した請求書であること
を確認できるもの(住所変更届等)を徴するべきです。
※ 地方公共団体の経費は、その目的を達成するための必要且つ最少の限度をこえて、これを支
出してはならない。
(地方財政法第4条第1項)
※ 地方公共団体は、その事務を処理するに当つては、住民の福祉の増進に努めるとともに、最
少の経費で最大の効果を挙げるようにしなければならない。
(自治法第2条第 14 項)
第4章 歳出 第1節 -57-
高知県会計事務処理要領
第4支出の種
類
1資金前渡
1-1 資金前渡
職員
(1) 資 金 前 渡
職員
資金前渡とは、債権金額及び債権者について、その一方若しくは両方が未確定である場合又は
現金により支払を行う必要のある場合に、その資金を地方公共団体の職員に交付し、当該職員を
して現金の支払をさせることをいいます。
支出命令者は、資金の前渡をしようとするときは、資金前渡職員を指名しなければなりません。
指名することができる資金前渡職員の範囲は、次に掲げるとおりです。
ア 随時資金・・・高知県の職員及び他の普通地方公共団体の職員
イ 事業所資金・・・当該事業所の長
ウ 常時資金・・・次に掲げるとおりです。
(ア)課(警察本部を除く。
)にあっては、課長補佐(これに準ずる職にある者を含む。
)又は当
該職より上位の職にある者
(イ)警察本部にあっては、課長補佐、副所長、副隊長若しくは副校長又は当該職より上位の職
にある者
(ウ)出先機関にあっては、次に掲げる職にある者若しくは当該職より上位の職にある者又は当
該出先機関の長
a 次長を置く出先機関(警察署を除く。
)にあっては、次長
b 次長を置かない出先機関で技術次長を置くものにあっては、技術次長
c 事務長を置く出先機関にあっては、事務長
d 警察署にあっては、会計課長又は会計庶務課長
e 消防学校及び高等技術学校にあっては、副校長
f aからeまでに掲げるもののほか、会計規則第4条第3項において出納員を充てることと
された総務課長にあっては、当該課長
(2) 資 金 前 渡 ア 資金前渡職員は、支出負担行為から支払の権限まで併せ有しているので、債権者に支払をし
職員の責務
ようとするときは、支出の原則の諸条件について確認するとともに、領収書等を徴して支払わ
なければなりません。
また、以下の事項についても十分注意して、適正な執行に努めてください。
(ア)交付を受けた前渡資金の額を超えて、又は他の前渡資金を流用して支払はできません。
(イ)交付を受ける前に執行した経費に充当する等の立替払は認められません。また、立替払を
した者への支払等、正当債権者以外への支払も認められません。
資金前渡職員が事前に購入しておいたプリペイドカード等を当該目的のために使用し、交
付された資金を執行したものとするような行為も認められません。
(ウ)事業所資金の資金前渡職員は、交付を受けた資金の出納については、現金出納簿(会計規
則第 64 号様式)又はこれに準ずる帳簿を備えて整理しなければなりません。
(エ)常時資金の資金前渡職員は、交付を受けた資金の出納については、常時資金出納簿(会計
規則第 64 号様式の3)
、自治令第 161 条第1項第 16 号に掲げる経費のうち犯罪の捜査又は
犯則の調査に要する経費(報償費に限る。以下「捜査用報償費」という。
)に係る常時資金
の出納にあっては、現金出納簿(会計規則第 64 号様式の2)を備えて整理しなければなり
ません。
イ 前渡資金は公金であることを認識し、安全確実な方法で保管するものとします。預金により
保管する場合は、公金の保全のために決済用預金を作成し、口座の名義は「○○課 資金前渡
職員 職名 ○○○○」としてください。
ウ 資金前渡職員が、前渡資金の精算を終わらない場合は、当該資金前渡職員に対して、重ねて
同種の資金を前渡することができません。ただし、事業所資金及び常時資金並びに旅費、非常
災害のため即時支払を必要とする経費、県債の元利償還金の支払その他やむを得ない経費につ
第4章 歳出 第1節 -58-
高知県会計事務処理要領
いてはこの限りではありません。
(3) 前 渡 資 金 ア 支出命令者は、資金前渡職員が、前渡資金の交付を受けた後で、当該経費の精算を完了する
の引継ぎ
前に、事故その他の特別の理由によりその職務を行えないと認めたときは、当該資金前渡職員
に替えて新たな資金前渡職員を指名しなければなりません。
イ 支出命令者は、資金前渡職員を交替させた場合において、後任者に改めて資金前渡するいと
まのないときは、前任者に命じて、前渡資金引継書(会計規則第 37 号様式の2)を作成させ、
保管現金、関係書類等を添えて、後任者に引き継がせなければなりません。
ウ 支出命令者は、資金前渡職員を交替させた場合において、前任者自らがイの規定による引継
ぎをすることができないときは、他の職員に命じて、所属長の命ずる職員の立会いの下に、イ
の規定に準じて、後任者に引き継がせなければなりません。
第4章 歳出 第1節 -59-
高知県会計事務処理要領
1-2 随時資金
(1) 随 時 資 金 ア 外国において支払をする経費
において資金 イ 遠隔の地又は交通不便の地域において支払をする経費
前渡できる経 ウ 船舶に属する経費
費
船舶乗務員に要する経費、航海中又は停泊中に必要な経費等船舶について与えられている任
務の遂行上必要な経費をいいます。ただし、船舶の購入費、沈没船引揚げ費、船の借上げ料等
は含まれません。
エ 給与その他の給付
給与とは、常勤の職員に支給する給与はもちろん、非常勤職員に支給する報酬も含みます。
その他の給付には旅費、退職年金及び退職一時金等があります。
オ 地方債の元利償還金
カ 諸払戻金及びこれに係る還付加算金
税及び税外収入について、法令の規定による一定の事由に基づいて払い戻す金銭、過誤納に
基づいて収入金を払い戻す金銭及びこれらに係る還付加算金をいいます。
キ 報償金その他これに類する経費
その他これに類する経費とは、賞金、祝金、弔慰金、見舞金等の経費をいいます。
ク 社会保険料
健康保険法、厚生年金保険法、雇用保険法等の規定により地方公共団体が事業主として納付
すべきものをいいます。
ケ 官公署に対して支払う経費
官公署とは国の各省庁、国会、裁判所、地方公共団体等を指し、公社、団体等は含みません。
コ 生活扶助費、生業扶助費その他これらに類する経費
生活保護法の規定に基づく生活保護に要する経費、ハンセン病患者の家庭援護に要する経費
等をいいます。その他これらに類する経費とは、葬祭扶助費、医療扶助費、助産費、葬祭費、
移送費をいいます。
サ 事業現場その他これに類する場所において支払を必要とする事務経費
シ 非常災害のため即時支払を必要とする経費
非常災害のために現地において直ちに支払を必要とする救護費、罹災者救済のための物資調
達費、同交通費、緊急復旧費等の経費をいいます。
ス 電気、ガス又は水の供給を受ける契約に基づき支払をする経費
セ 電気通信役務の提供を受ける契約に基づき支払をする経費
ソ 犯罪の捜査若しくは犯則の調査又は被収容者若しくは被疑者の護送に要する経費
タ 賃金
自治令第 161 条第4号に掲げるもののほか労働の対価として支払うすべてのものをいいま
す。
チ 収入印紙、自動車重量税印紙、地方公共団体の発行する収入証紙及び郵便切手類の購入に要
する経費
ツ 研修会、実習その他これらに類するものの材料の購入に要する経費
テ 運賃
ト 社会福祉施設において入所者を送致又は入所させるための引率に要する経費
引率中の役務費、使用料等の経費であって、自治令第 161 条第1項第 16 号に規定する経費
と同様の趣旨のものです。
ナ 出張中における県有の自動車及び原動機付自転車の修繕に要する経費
ニ 入場料、観覧料、駐車料金及び道路その他の通行料金
ヌ 特別支援学校への就学奨励に関する法律第2条第1項の規定により支弁する経費
ネ 損害保険料
ノ タクシー代(知事が別に定めるものに限ります。
)
知事が別に定めるものとは、次のものをいいます。
(ア)
「タクシーチケットの取扱いについて」
(平成 12 年 10 月 27 日付 12 人第 267 号総務部長通
知)の5その他(タクシーチケットを使用していない職場や県外でタクシーチケットが使用
第4章 歳出 第1節 -60-
高知県会計事務処理要領
できない場合等で、使用基準に合致する場合)に該当する場合に使用する経費
(イ)その他特に必要と認める場合
ハ 交際費
ヒ 供託金
フ 賠償金
ヘ 家畜市場において牛、豚等の購入に要する経費
ホ 食糧費(知事が別に定めるものに限ります。
)
知事が別に定めるものとは、
「食糧費の支出について」
(平成 12 年 10 月 30 日付 12 財第 165
号総務部長、副出納長通知)の基準に該当する経費のうち次のものをいいます。
(ア)昼食代等の経費で実施場所が未定のもの
(イ)協議会、その他これに類する会合において負担する経費のうち現金による支払を要するも
の
マ 試験検査の対象となる物品の購入並びに実態調査の対象となる物品の購入及び借受けに要
する経費
ミ 扶助費
ム 講習、講義等の受講及び資格取得に要する経費
メ 県有のボイラーその他機械の検査に要する経費
モ 土地収用法第 68 条の規定による損失の補償金
ヤ 県が日常の事務又は事業の用に供する建物以外における複写機その他の事務用機器の利用
に要する経費
ユ ゆうちょ銀行及び外国に所在する金融機関への送金により支払う経費及び当該送金に要す
る経費
ヨ 1件の予算額が2万円以下の消耗品(会計管理局総務事務センターで単価契約をしたものを
除く。
)の購入に要する経費
ラ 前各号に掲げるもののほか、現金で支払うことがその取引の条件である経費
※ 自治令で定められているもの(自治令第 161 条)アからソまで、会計規則で定められている
もの(会計規則第 54 条)タからラまで
(2) 随 時 資 金
所要予定額
の前渡資金の ※ 前渡資金を超えての執行は認められないので、経費の額が確定していない場合は、余裕を持
限度額
って前渡してください。
(3) 随 時 資 金 ア 資金前渡職員は、支払後(出張中に支払ったものについては、帰庁後)7日以内に、前渡資
の前渡資金の
金精算明細書(会計規則第 39 号様式)を作成し、証拠書類を添えて支出命令者に提出しなけ
精算
ればなりません。
なお、やむを得ない理由で7日以内に提出できない場合は、その理由及び精算見込み時期を
明らかにして支出命令者の承認を受けなければなりません。
イ 支出命令者は、資金前渡職員から前渡資金精算明細書等の提出を受けたときは、その内容を
確認のうえ、精算残額を生じない場合は前渡資金精算書(会計規則第 38 号様式)を、精算残
額が生じる場合は戻入決議書(兼前渡資金精算書)
(会計規則第 32 号様式の2)を作成し、当
該前渡資金精算明細書等を添えて、直ちに会計管理者又は出納員に送付しなければなりませ
ん。
ウ 証拠書類
(ア)領収書
領収書の様式等についての特別な定めはないので、社会通念上、妥当なものとして使用さ
れていればそれでかまいません。つまり、支払ったことが明白なものであれば、スーパー等
のレシートでもかまいません。
ただし、その支払内容(内訳)等が記載されてないものについては、前渡資金精算明細書
に資金前渡職員が記載してください。
a 領収書を徴することができないときは、支払を証する書類を添付します。支払を証する書
類とは、代金振込書、支払証明書、支払内容及び領収書を徴することができない理由を記載
第4章 歳出 第1節 -61-
高知県会計事務処理要領
した申立書等をいいます。
ただし、申立書については、前渡資金精算明細書又は支払明細書に領収書を徴することが
できない理由を記載することにより省略することができます。また、香典、見舞金等、社会
通念上領収書を徴することが困難なものについては、会葬礼状や新聞記事の写し等の支払の
目的、相手方等内容を確認できる資料を前渡資金精算明細書に添付することで申立書を省略
してもかまいません。
(イ)その他の証拠書類
契約書、見積書、納品書、請求書等、その他の証拠書類については、資金前渡職員の判断
により徴してください。その判断は、社会一般の取引の実態により行ってください。ただし、
徴した書類はすべて証拠書類として添付してください。
(ウ)前渡資金引継書
引継ぎを行った場合のみ添付してください。
エ 資金前渡職員は、精算残額を生じるときは、返納通知書(会計規則第 33 号様式)により、
直ちに指定金融機関等に払い込まなければなりません。
オ 職員の給与に係る前渡資金のうち次に掲げるもので、精算残額を生じないときは「給与等支
給調書・領収書」の右下部の余白に次のような表示を行い、所属長が精算結果を確認押印する
ことにより完結し、前渡資金精算書が提出されたものとして取り扱います。
(ア)給与等集中管理特別会計で支払うもの
前渡資金
円
精算金額
円
差引残額
0円
所属長確認印
第4章 歳出 第1節 -62-
高知県会計事務処理要領
1-3 事業所資
金
(1) 事 業 所 資
金において資
金前渡できる
経費
県の事業所又は事業現場に係る事務経費及び県の事業所の職員に係る給与その他の給付。
(2) 事 業 所 資
所要予定額
金の限度額
※ 多額の資金が長期間滞留することのないよう注意してください。
(3) 事 業 所 資 ア 事業所資金の報告
金の取扱いに (ア)資金前渡職員は、事業所資金残高報告書(会計規則第 40 号様式)を毎月末日に作成し、
ついて
証拠書類及び末日の預金現在高証明書又は末日の預金残高を確認できる預金通帳の写しを
添えて、翌月の 10 日までに支出命令者に提出しなければなりません。
提出がされないとき又は書類の内容が著しく不適正であると認められるときは、重ねて資
金を前渡することができなくなりますので、注意してください。
(イ)支出命令者は、資金前渡職員から事業所資金残高報告書等の提出を受けたときは、その内
容を確認のうえ、直ちに会計管理者又は出納員に送付しなければなりません。
(ウ)証拠書類は随時資金と同じです。
イ 事業所資金の精算
(ア)資金前渡職員は、事業所資金精算書(会計規則第 40 号様式の3)を当該会計年度の末日
において作成し、事業所資金残高報告書(会計規則第 40 号様式)
、証拠書類及び預金現在高
証明書又は末日の預金残高を確認できる預金通帳の写しを添えて、翌月の 10 日までに支出
命令者に提出しなければなりません。
(イ)支出命令者は、資金前渡職員から事業所資金精算書等の提出を受けたときは、その内容を
確認のうえ、直ちに会計管理者又は出納員に送付しなければなりません。この場合において
精算残額を生じるときは、戻入決議書(会計規則第 32 号様式)を作成し、添付してくださ
い。
(ウ)資金前渡職員は、精算残額を生じるときは、返納通知書(会計規則第 33 号様式)により、
直ちに指定金融機関等に払い込まなければなりません。
第4章 歳出 第1節 -63-
高知県会計事務処理要領
1-4 常時資金
(1) 常 時 資 金
現金により支払うことが合理的な次の経費であり、あらかじめ所持しておくもの。
において資金 ア 経常的に支払を必要とし、かつ、一度に支払う額が2万円を超えないものに係る経費。ただ
前渡できる経
し、食糧費及び用品等調達特別会計において取り扱う物品を除く。
費
イ 交際費
ウ 犯罪の被収容者又は被疑者を県外から護送する際の護送員の旅費
エ 犯罪の捜査若しくは犯則の調査に要する経費又は被収容者若しくは被疑者の護送に要する
経費
オ 不測の事態により支払を要する経費
※ 船舶等に係る賄材料費については、常時資金の対象になりません。
(2) 常 時 資 金
上記アとオの合計額は 30 万円、イからエまでは各所要予定額。
の限度額
※ アとオの合計額(30 万円)とは、1年間の限度額ではなく、常時資金として所持できる額
です。
※ 常時資金の追加を行うときには、合計額が限度額を超えることのないように資金残額を確認
のうえ追加してください。なお、この追加の時期は特に定めはありません。
(3) 常 時 資 金
常時資金の取扱いについては、
「常時資金の取扱いについて」
(平成 19 年5月1日付会計指導
の取扱いにつ 課長事務連絡)を参考にしてください。
いて
ア 常時資金の保管管理
資金前渡職員は常時資金出納簿(会計規則第 64 号様式の3)及び支払明細書(会計規則第
39 号様式の2)により常時資金を節ごとに管理しなければなりません。
ただし、捜査用報償費の資金前渡職員は、現金出納簿(会計規則第 64 号様式の2)等によ
り常時資金を管理しなければなりません。
イ 常時資金の支払
(ア)資金前渡職員は、支払の原因となる契約をしようとするときは交付を受けた資金の範囲内
で行い、支払をしようとするときは債権者の請求が正当であるかどうか、当該資金前渡の目
的に反していないかどうか等必要な事項を調査した後、支払をしなければなりません。
(イ)資金前渡職員が執行職員に執行させたからといって、資金前渡職員の責任が免責されるわ
けではなく、あくまでも、自己が直接執行したのと同じように資金前渡職員の責任において
処理するものです。
仮に、執行職員が当初資金を交付したときと異なる執行をした等、不適正な執行をした場
合、資金を全額執行職員から返還させてください。
(ウ)決して立替払(担当者が出張先でものを買い、帰ってから請求する。
)を認めるものでは
ありません。
(エ)資金前渡職員は、当該資金の節ごとの前渡額を超えて、又は他の前渡資金を流用して支払
うことはできません。
(オ)資金前渡職員は、支払後速やかに支払明細書(会計規則第 39 号様式の2)を作成しなけ
ればなりません(執行職員に執行させた場合には、執行職員に速やかに支払明細書の提出を
させることになります。
)
。
ウ 常時資金の報告
(ア)資金前渡職員は、常時資金残高報告書(会計規則第 40 号様式の2)を6月、9月、12 月
及び3月の末日において作成し、証拠書類を添えて、翌月の 10 日までに支出命令者に提出
しなければなりません。
ただし、捜査用報償費の資金前渡職員は、常時資金残高報告書(会計規則第 40 号様式の
2の2)を毎月末日において作成し、証拠書類を添えて、翌月の 10 日までに支出命令者に
提出しなければなりません。
(イ)常時資金残高報告書等の提出がされないとき又は書類の内容が著しく不適正であると認め
られるときは、重ねて資金を前渡することができなくなりますので、注意してください。
(ウ)支出命令者は、資金前渡職員から常時資金残高報告書等の提出を受けたときは、その内容
第4章 歳出 第1節 -64-
高知県会計事務処理要領
を確認のうえ、直ちに会計管理者又は出納員に送付しなければなりません。
(エ)証拠書類
a 常時資金出納簿(会計規則第 64 号様式の3)
(捜査用報償費については現金出納簿(会計
規則第 64 号様式の2)
)
b 支払明細書(会計規則第 39 号様式の 2)
領収書を所定の位置に貼り付けます。領収書については、随時資金の取扱いに準じます。
捜査用報償費については支払明細書に代えて、領収書を別に整理したものとします。
c その他の証拠書類(該当する場合)
前渡資金引継書
預金通帳写し
交際費支出伺等
エ 常時資金の精算
(ア)資金前渡職員は、常時資金精算書(会計規則第 40 号様式の4)を当該会計年度の末日に
おいて作成し、常時資金残高報告書(会計規則第 40 号様式の2、捜査用報償費に係る常時
資金にあっては会計規則第 40 号様式の2の2)及び証拠書類(捜査用報償費に係る常時資
金にあっては、領収書を別に整理したもの)を添えて、翌月の 10 日までに支出命令者に提
出しなければなりません。
(イ)支出命令者は、資金前渡職員から常時資金精算書等の提出を受けたときは、その内容を確
認のうえ、直ちに会計管理者又は出納員に送付しなければなりません。この場合において精
算残額を生じるときは、戻入決議書(会計規則第 32 号様式)を作成し、添付してください。
(ウ)資金前渡職員は、精算残額を生じるときは、返納通知書(会計規則第 33 号様式)により、
直ちに指定金融機関等に払い込まなければなりません。
なお、年度途中で常時資金の取扱いを中止する場合も精算を行わなければなりません。
(4)その他
ア 支出負担行為決議書兼支出命令書(財務会計システム≪407≫)により常時資金の前渡を行
おうとするときは、支払区分コードに「4 前渡(特定)
」を入力してください。
イ 法務局のコピー料金のように使用頻度が高く、必要な都度執行職員に資金を交付すると煩雑
になるような場合は、一定期間分を交付しておいてもかまいません。このときの期間は、1か
月では長すぎるので、月曜に交付して金曜に残金を返還させるような取扱いが適当です。
ウ 交際費について
交際費の支出に当たっては、
「交際費の支出について」
(平成 16 年9月6日付 16 高出会第
169 号総務部長、副出納長通知)に基づいて適切に執行してください。
エ タクシー代について
タクシー代の支出に当たっては、
「タクシーチケットの取扱いについて」
(平成 12 年 10 月
27 日付 12 人第 267 号総務部長通知)に基づいて適切に執行してください。
第4章 歳出 第1節 -65-
高知県会計事務処理要領
2概算払
概算払とは、債権者は確定しているが、債務の履行期限前に未確定の債務金額を概算をもって
支払うことをいい、概算払をする場合には、契約書、要綱等にその旨を定めておかなければなり
ません。
(1) 概 算 払 の ア 旅費
できる経費
イ 官公署に対して支払う経費
ウ 補助金、負担金及び交付金
エ 社会保険診療報酬支払基金又は国民健康保険団体連合会に対し支払う診療報酬
オ 訴訟に要する経費
カ 委託料
キ 児童福祉法第 50 条第5号に規定する療養の給付のうち医療費並びに同条第7号に規定する
費用のうち医療費及び葬祭費として支払う費用
ク 生活保護法第 32 条第2項の規定により支払う学校給食費
ケ 損害賠償金
コ 概算をもって支払をしなければ契約することが困難な補償及び土地又は家屋の買収に要す
る経費(特に知事が必要と認める場合に限ります。
)
※ 自治令で定められているもの(自治令第 162 条)アからオまで、会計規則で定められている
もの(会計規則第 60 条)カからコまで
(2) 概 算 払 の ア 支出命令者は、当該債権が確定後、概算払を受けた者に速やかに計算の基礎を明らかにした
精算
精算書を提出させ、これに検査調書等内容を確認した書類(欄外に会計管理者又は出納員への
合議欄を設ける。
)を添えて、会計管理者又は出納員に送付しなければなりません。
イ 補助事業の概算払の精算について
(ア)補助事業者から補助金交付規則第 11 条に定められた補助事業実績報告書が提出されたと
きは、
「補助金交付事務取扱要領の改正について」
(平成4年4月1日付4出第 21 号総務部
長、出納室長通知)に定めた様式により補助金の額の確定を行うこと。
(イ)補助金については、実績報告書をもって会計規則第 61 条に定める精算書に代えることが
できるので、次の方法により会計管理者(出納員)あて送付すること。
a 額の確定により戻入が必要な場合は、戻入決議書(会計規則第 32 号様式)に添付します。
b 確定額が概算払を行った額と同額である場合は、
(ア)により確定を行った書類(欄外に会
計管理者又は出納員への合議欄を設ける。
)に添付します。
3前金払
前金払とは、金額の確定した債務について、履行期限前にその債務金額を支払うことをいい、
前金払をする場合には、契約書、要綱等にその旨を定めておかなければなりません。
(1) 前 金 払 の ア 官公署に対して支払う経費
できる経費
イ 補助金、負担金、交付金及び委託費
ウ 前金で支払をしなければ契約し難い請負、買入れ又は借入れに要する経費
エ 土地又は家屋の買収又は収用によりその移転を必要とすることとなった家屋又は物件の移
転料
オ 定期刊行物の代価、定額制供給に係る電灯電力料及び日本放送協会に対し支払う受信料
カ 外国で研究又は調査に従事する者に支払う経費
キ 運賃
ク 保険料(自賠責保険、損害保険等)
※ 自治令で定められているもの(自治令第 163 条)アからキまで、会計規則で定められている
もの(会計規則第 62 条)ク
(2) 履 行 の 確
前金払は支払をするとき既に債務金額が確定しているものであるから、通常その精算を必要と
認
しません。
なお、この場合においても、前金払を受けた者が債務を履行したときは、履行の確認をしなけ
ればなりません。
第4章 歳出 第1節 -66-
高知県会計事務処理要領
4部分払
部分払とは、県が締結する工事、製造その他の請負契約又は物件の買入契約について、その既
済部分、既納部分に対し、工事、製造の完成前又は物件の完納前にその代価の一部を支払う特約
がある場合に、その特約に基づき相手方の債務の履行割合に応じその代価の一部を支払うことを
いいます。
(1)部分払のできる額は、契約規則第 58 条において次のとおり定められています。
ア 工事、製造その他の請負契約の場合の既済部分に対する代価に相当する額の 10 分の9以
内の額
ただし、性質上可分の請負契約に係る完済部分にあっては、その対価の全額までを支払う
ことができます。
イ 物件の買入契約の場合の既納部分に対する代価に相当する額
(2)
(1)の場合でも、請負契約に係る既済部分又は物件の買入契約に係る既納部分の代価が
契約金額の 10 分の3の額に満たない場合はできません。
5繰替払
繰替払とは、県の収納に係る現金を経費の支払に一時繰り替えて使用し支払うことをいいま
す。
(1) 繰 替 払 の ア 自治令で定められているもの
できる経費
自治令第 164 条を参照してください。
イ 会計規則で定められているもの
繰替払のできる経費
繰替えて使用できる歳入金
生産物(収穫物及び漁獲物)の売払手数料、 当該生産物の売払代金
運賃及びこれらに類する経費
木材の売払手数料及びこれらに類する経費
当該木材の売払代金
動物の売払手数料、運賃及びこれらに類する 当該動物の売払代金
経費
有価証券の売払手数料
当該有価証券の売払代金
収納計器取扱手数料
当該始動票札の売払代金
(2) 繰 替 払 の
要件及び手続 ア 会計管理者、出納員若しくは現金取扱員又は指定金融機関等は、繰替払命令によらなければ
繰替払をすることができません。
この場合において、当該命令は口頭によりすることができます。
イ 繰替払を行った会計管理者、出納員若しくは現金取扱員又は指定金融機関等は、当該支払の
完了後又は毎月末をもって繰替払報告書(会計規則第 41 号様式)に証拠書類を添えて支出命
令者に提出しなければなりません。
ウ 支出命令者は、繰替払報告書の提出を受けたときは、公金振替の方法により歳出から歳入へ
の支出の手続をとらなければなりません。
第4章 歳出 第1節 -67-
高知県会計事務処理要領
第5支出事務
支出事務の委託とは、地方公共団体の経費の支出事務を私人に委託することをいいます。
の委託
1委託できる (1)自治令第 161 条(資金前渡)第1項第1号から第 15 号までに掲げる経費及び同条第2項
経費
の規定によりその資金を前渡することができる払戻金
(2)貸付金
2支払事務受
託者の事務手
続
会計規則第 64 条の定めるところによります。
第6公金の支
公金は、法令によりその支出が制限されていますが、その主なものは次のとおりです。
出制限
1 公金その他の公の財産は、宗教上の組織若しくは団体の使用、便益若しくは維持のため、又
は公の支配に属しない慈善、教育若しくは博愛の事業に対し、これを支出し、又はその利用に
供してはならない。
(憲法第 89 条)
2 地方財政再建促進特別措置法第 24 条に定める国又はその他の団体に対する寄附金等の支出
はできない。
3 普通地方公共団体は、いかなる給与その他の給付も法律又はこれに基く条例に基かずには、
当該地方公共団体の職員等に対して支給してはならない。
(自治法第 204 条の2)
4 普通地方公共団体は、その公益上必要がある場合においては、寄附又は補助をすることがで
きる。
(自治法第 232 条の2)
5 公益上必要がある寄附又は補助が「法人に対する政府の財政援助の制限に関する法律」に違
反しないこと。
第4章 歳出 第1節 -68-
高知県会計事務処理要領
第7歳出科目
(節)の説明
1報酬
(1)報酬とは
《議員報酬》
自治法第 203 条の2第1項に規定する非常勤職員の勤務に対する反対給付であり、常勤の
職員に対する給与と区別されています。
議長、副議長、その他の議員に対して支給されます。
・県議会議員に対する報酬
《委員報酬》
自治法第 180 条の5第1項から第3項までに規定する地方公共団体の執行機関である委員
会の委員及び監査委員に対して支給されます。
ア 教育、選挙管理、人事、公安、労働、収用、海区漁業調整、内水面漁場管理の各委員
会の委員報酬
イ 監査委員の報酬
《非常勤職員
報酬》
自治法第 138 条の4及び第 202 条の3の規定により設置される附属機関の委員及びその構
成員並びにその他の非常勤の職員に対して支給されます。
・議員報酬及び委員報酬以外、すべての非常勤の職員の報酬
※ 非常勤の職員は任用の発令がされていることが原則です。任命行為がない場合は賃金に
なります。
(2)支出事務
ア 報酬の額及び支給方法は条例等に規定しているか。
報酬の額及びその支給方法は、条例でこれを定めているか。
(自治法第 203 条の2第5項)
(ア)地方自治法第 203 条の2に規定する者の報酬、期末手当、費用弁償等に関する条例
(イ)出頭者、鑑定人等の報酬、費用弁償等に関する条例
(ウ)職員の給与に関する条例
(エ)
(ア)の条例第2条の2の規定により、県の一般職の職員が特別職を兼ねている場合
には報酬を支給しないことになっているが、この規定に該当する者はいないか。
イ 支給時期及び日割り計算は適切か。
非常勤職員の報酬の支給日は、別に定めるものを除いて、次のとおりです。また、報酬
は、職員の申し出によって口座振替の方法で支払うことができます。
(
「臨時的任用職員の
賃金及び非常勤職員の報酬の取扱いについて」
(平成 15 年1月 10 日付 14 高行管第 321 号
総務部長通知)
)
(ア)通常月の支給日
a 報酬
(a)当該月の末日に支給(末日が閉庁日の場合は、当該月の最終の開庁日)
(b)支給額の変更を必要とする場合は、原則として当該月分で調整
(c)事務処理上、これによりがたい場合は、翌月支給分で精算
b 加算報酬
所定勤務時間外の勤務等勤務実績に基づくものについては、翌月支給日に精算支給
(イ)退職月(末日以外の退職は(ウ)
)及び3月の支給日
a 報酬は(ア)のa(a)と同様
b 加算報酬は、支給額の確定後速やかに精算支給
(ウ)月途中の退職時の支給日
支給額の確定後速やかに精算支給
ウ 月額報酬を減額する場合の算定方法は適正か。
エ 法定控除に誤りはないか。
(ア)所得税、住民税、健康保険料、厚生年金保険料、雇用保険料、共済組合掛金及び財形
貯蓄金について、控除該当の有無及び控除額について確認してください。
第4章 歳出 第1節 -69-
高知県会計事務処理要領
(イ)扶養控除等申告書を提出している者の所得税は、月額表の甲欄を適用します。
(ウ)法定外控除については、
「非常勤職員の報酬に関する法定外控除の取扱いについて」
(平
成 15 年2月 28 日付 14 高行管第 391 号総務部長通知)と、同名の出納室長事務連絡によ
ります。
オ その他の留意事項
(ア)支給額
雇用通知書により確認(月額、日額、時間額)
(イ)通勤経費加算分(非課税の扱い)
a 報酬額が月額で定められている者
4,000円/月
b 報酬額が日額又は時間額で定められている者
250円/日(有給の休暇を取得した日も対象とする。
)
ただし、1月当たりの非課税とされる額は、所得税法施行令第20条の2第1号及
び第2号に定める金額を上限とする。
(例) 交通用具利用で通勤距離3㎞の非常勤職員が、1月に17日勤務した場合
250円×17日=4,250円となるが、非課税とされる額は、所得税法施行
令第20条の2第2号イの規定により4,100円となる。
※ 「非常勤職員に対する報酬等の支給事務について」
(平成2年4月1日付2人第 49 号
人事課長、出納室長通知)参照
(ウ)報酬加算金
支給対象月 ・・・6月及び 12 月
支給対象職員・・・6月1日又は 12 月1日にそれぞれ在職する者
支 給 額 ・・・週 20 時間以上勤務の者
22,000 円
上記以外の者
15,400 円
支給方法
・・・6月分又は 12 月分の報酬等の支給日に併せて支給
報酬支給調書兼領収書の記載は、加算支給分を外書きとし社会保険料の算定は「3月
を超える期間ごとに受ける報酬」として取り扱います。
※ 「非常勤職員設置要綱の制定について 別紙 非常勤職員設置要綱」
(平成 10 年7月
1日付 10 人第 215 号総務部長通知)参照
(エ)所定時間外勤務に対する報酬の割増額
a 勤務を割り振られている日
1時間当たりの額に 100 分の 125(午後 10 時から午前5時までの間にあっては 100 分
の 150)を乗じて得た額(円未満四捨五入)
(具体的算出方法)
・日を単位として報酬の額が定められている場合
1日当たりの報酬の額
125
150
A=
×
(又は
)
1日の所定勤務時間数
100
100
ただし、日によって所定勤務時間が異なる場合には、1 週間における 1 日平均所
定勤務時間数を、1日の所定勤務時間数とします。
・月を単位として報酬の額が定められている場合
1月当たりの報酬の額
125
150
A=
×
(又は
)
1月の所定勤務時間数
100
100
ただし、月によって所定勤務時間が異なる場合には、1年間における1月平均所
定勤務時間数を、1月の所定勤務時間数とします。
b 勤務を割り振られていない日
当該職員の報酬の額の1時間当たりの額に 100 分の 135(午後 10 時から午前5時まで
の間にあっては 100 分の 160)を乗じて得た額(円未満四捨五入)
※ この場合、その月の所定勤務時間外に勤務した時間数の合計に、1時間未満の端数が
第4章 歳出 第1節 -70-
高知県会計事務処理要領
生じた場合において、その端数が 30 分以上のときは1時間とし、30 分未満のときは切
り捨てます。
※ 「非常勤職員設置要綱の制定について 別記第2(第3の3(1)関係) 所定勤務時
間外の勤務による加算報酬の算出方法」
(平成 10 年7月1日付 10 人第 215 号総務部長
通知)参照
(オ)戻入処理について
控除処理をした後の報酬に戻入が生じたときの事務処理方法は、
「控除処理を伴う賃金
等の戻入について」を参照してください。
カ 主な添付資料
(ア)非常勤職員報酬の場合
〔支出負担行為決議書兼支出命令書関係〕経費支出伺、雇用通知書、扶養控除申告書、
標準報酬決定通知書、口座振込申出書、通勤状況届、支出調書等
(イ)委員報酬等の場合
〔支出負担行為決議書兼支出命令書関係〕経費支出伺、会議開催伺、支出調書等
第4章 歳出 第1節 -71-
高知県会計事務処理要領
3職員手当等
(1)職員手当と
は
自治法第 204 条第1項の職員及び市町村立学校職員に対する手当です。
《退職手当》
職員が退職し、又は死亡したときに、それまでの勤続に対する報償と退職後の生計の保障
として支給される一時金です。
(2)支出事務
ア 退職手当の支給根拠は条例によっているか。
条例以外を根拠に退職手当を支給することはできません。
(自治法第 204 条)
イ 受給者に誤りはないか。
死亡による退職の場合は、その遺族に支給します。この場合、支給対象となる遺族の範
囲及び順位は次のとおりです。また退職手当の支給を受けるべき同順位の者が2人以上あ
る場合は、その人数によって等分して支給します。
(ア)範囲(職員の退職手当に関する条例第2条の2第1項)
【第1号】 配偶者(届出をしていないが職員の死亡当時、事実上婚姻関係と同様の事
情にあった者を含む。
)
【第2号】 子、父母、孫、祖父母及び兄弟姉妹で職員の死亡当時、主としてその収入
によって生計を維持していた者
【第3号】 前号に掲げる者のほか、職員の死亡当時、主としてその収入によって生計
を維持していた親族
【第4号】 子、父母、孫、祖父母及び兄弟姉妹で第2号に該当しない者
(イ)順位(職員の退職手当に関する条例第2条の2第2項)
(ア)に掲げる者の退職手当を受ける順位は、
(ア)の各号の順位により第2号及び
第4号に掲げる者のうちにあっては、同号に掲げる順位によります。この場合において
父母については、養父母を先にし実父母を後にし、祖父母については、養父母の父母を
先にし、実父母の父母を後にし、父母の養父母を先にし父母の実父母を後にします。
ウ 臨時的任用職員で在職期間が6か月以上の場合には退職手当を支給します。
職員の退職手当に関する条例が適用されます。
(
「定数外職員取扱要綱」
)
エ 主な添付書類
〔支出負担行為決議書兼支出命令書関係〕経費支出伺、退職手当申立書、支給調書等
第4章 歳出 第1節 -72-
高知県会計事務処理要領
4共済費
(1)共済費とは
(2)支出事務
県が、県の職員の生活の安定と福祉の向上を図るため、法令等に基づいて負担する経費で
す。
ア 地方公務員共済組合又は地方議会議員共済会に対する負担金
地方職員共済組合、公立学校共済組合、警察共済組合、地方議会議員共済会
イ 地方公務員災害補償基金に対する負担金
地方公務員災害補償基金
ウ 報酬及び賃金に係る社会保険料
健康保険料、厚生年金保険料、雇用保険料、臨時的任用職員及び人夫等に係る労働者災
害補償保険料、児童手当拠出金等
ア 共済組合等負担金
(ア)負担金の額及び算定方法は適正か。
負担金の額は、例月の職員数及び給与額に対応して算定する額と事務費等の合算額(地
方公務員等共済組合法第 113 条・第 116 条)
a 負担金の額
算定方法については、各種共済組合の定款等を確認してください。
b 事務費分については、地方公務員等共済組合法第 113 条の規定により全額地方公共団
体の負担となっています。
c 地方公務員災害補償法第 49 条に基づいて算定されているか確認してください。
(イ)負担金の納付時期は適正か。
a 共済組合の負担金の納付は、毎月払い込むことになっています。
b 地方公務員災害補償基金の負担金の納付は、毎会計年度の初日から 45 日以内に概算払
で納付することになっています。
イ 社会保険料
(ア)納付する額に誤りはないか。
事業主負担金として納付する額は、次のとおりです。
a 雇用保険料
労働者災害
・・・
「賃金総額(※1)× 保険料率(※2)
」
補償保険料
(労働保険の保険料の徴収等に関する法律第 11 条)
※1賃金総額
・・・労働の対償として事業主が労働者に支払う賃金の総額
(労働保険の保険料の徴収等に関する法律第 11 条第2項)
※2保険料率
・・・
(労働保険の保険料の徴収等に関する法律第 12 条)
※ 雇用保険料の被保険者負担分に 1 円未満の端数がある場合は、その端数を切り捨て
ます。
b 健康保険料
・・・
月額保険料
厚生年金保険料
「標準報酬月額(※3)× 保険料率(※4)
」
賞与にかかる保険料
「標準賞与額(※5)× 保険料率(※4)
」
※3標準報酬月額・・・3か月分の報酬の平均額を「標準報酬等級」に当てはめて
算出します。
(社会保険事務所が決定)
※4保険料率
・・・
(健康保険法第 160 条、厚生年金保険法第 81 条第4項)
※5標準賞与額 ・・・各被保険者の賞与(※6)額から千円未満の端数を切り捨
てた額
※6賞与
・・・労働者が労働の対償として受けるすべてのもののうち、3
か月を超える期間ごとに受けるもの
※ 被保険者負担分に 1 円未満の端数がある場合は、その端数を切り捨てます。
第4章 歳出 第1節 -73-
高知県会計事務処理要領
c 児童手当拠出金 ・・・
毎月の報酬等にかかる児童手当拠出金
「標準報酬月額(※3)×拠出金率(※7)
」
賞与にかかる児童手当拠出金
「標準賞与額(※5)×拠出金率(※7)
」
※7拠出金率 ・・・
(児童手当法第 21 条第2項、児童手当法に基づき一般事業主
から徴収する拠出金に係る拠出金率を定める政令)
(イ)納付時期及び納付手続は適正か。
保険料等に定められた納付時期及び納付手続を確認します。
a 雇用保険料・労働災害補償保険料
(a)概算保険料
保険年度の6月1日から 40 日以内に申告のうえ納付します。
(b)確定保険料
次保険年度の6月1日から 40 日以内に申告のうえ不足のある場合は追加納付しま
す。
b 健康保険料・厚生年金保険料
前月分を翌月末までに納付します。
(健康保険法第 164 条、厚生年金保険法第 83 条)
納付額の負担区分は、事業主(県)及び被保険者が、それぞれ2分の1ずつ負担する
ことになっています。
(健康保険法第 161 条、厚生年金保険法第 82 条)
※ 被保険者から賃金等の支払の際控除した保険料は、一度歳入歳出外現金に受け入れ
て保管し、納期が到来したら歳入歳出外現金から支払うとともに、事業主分は歳出予
算から支出を行い、両方合わせて納付します。
c 児童手当拠出金
前月分を翌月末までに納付します。
(ウ)被保険者の範囲に誤りはないか。
月額報酬の支給される非常勤職員及び臨時的任用職員については、原則として被保険
者となりますが、日々雇用等についての被保険者としての適用範囲については、次を参
照し確認してください。
《雇用保険》
a 適用
労働者を使用する全ての事業所に使用される者(雇用保険法第4条)
※ 30 日を超える雇用で加入義務が発生します。
b 適用除外
・日雇労働者で、日雇労働被保険者に該当しない者
・4か月以内の期間を予定している季節的事業に雇用される者(雇用保険法第6条)
《労働者災害
補償保険》
a 適用
労働者を使用する事業の事業所に使用される者(労働者災害補償保険法第3条)
b 適用除外
労働基準法別表第一に該当しない官公署に使用されている者(労働者災害補償保険法
第3条)
《健康保険・厚
生年金保険》
a 適用
適用事業所(常時5人以上の従業員を使用するもの)に使用される者(健康保険法第
3条、厚生年金保険法第6条・第9条)
b 適用除外
(a)臨時に使用される者
・雇用される期間が1か月以内で日々雇い入れられる者
・2か月以内の期間を決めて使用される者(在学中のアルバイトなどを含む。
)
(b)季節的業務(4か月以内)や臨時的事業(6か月以内)の事業所に使用される者
※ 健康保険について、
(a)又は(b)によって適用除外される場合にあっては、日雇特
第4章 歳出 第1節 -74-
高知県会計事務処理要領
例被保険者に関する特例の規定が適用されます。ただし、一定の条件を満たす日雇労働
者は、厚生労働大臣の承認を受けて日雇特例被保険者にならないことができます。
(エ)主な添付書類
〔支出負担行為決議書兼支出命令書関係〕経費支出伺、労働保険概算・確定保険料申
告書、納入通知書又は払込書、納付金額の計算書(任意様式)等
第4章 歳出 第1節 -75-
高知県会計事務処理要領
5災害補償費
(1)災害補償費
県の非常勤職員が公務上の災害(負傷、疾病、障害又は死亡)
、通勤途上による災害又は公
とは
務により行方不明となった場合において、その者又はその者の遺族若しくは被扶養者に対し
て県が支出する補償金です。常勤職員については、地方公務員災害補償法が適用されるので、
本節には計上されません。
(2)支出事務
ア 支給根拠は条例によっているか。
(ア)議会の議員その他非常勤の職員の公務災害補償等に関する条例
(イ)県立学校の学校医、学校歯科医及び学校薬剤師の公務災害補償に関する条例
イ 補償額等の法定手続は適正か。
ウ 条例対象の職員か。
ア(ア)の条例第2条又はア(イ)の条例第1条の規定に照らして確認してください。
エ 補償の種類及び補償額に誤りはないか。
オ 遺族補償受給者は適正か。
カ 物的な災害補償については対象となりません。
キ 主な添付書類
〔支出負担行為決議書兼支出命令書関係〕経費支出伺、公務(通勤)災害発生報告書(案)
、
公務(通勤)災害認定通知書、請求書、医療明細書、戸籍謄本(遺族補償)
、葬祭参加
者の証明(葬祭補償)等
6恩給及び退
職年金
(1)恩給及び退
職員が相当年限勤務して退職し又は死亡した場合に、本人又はその遺族に対して支給する
職年金とは
経費です。恩給は公務員とその家族を対象とした年金制度ですが、昭和 37 年 12 月に地方公
務員等共済組合法ができた後に退職した人は共済組合から受けることになっているので、現
在恩給を受けているのは、共済制度に移る前に公務員を退職した人やその遺族、それに旧軍
人やその遺族です。
(2)支出事務
ア
イ
ウ
エ
支給額に誤りはないか。
支給時期は適正か。
受給権者に誤りはないか。
所得税の控除に誤りはないか。
第4章 歳出 第1節 -76-
高知県会計事務処理要領
7賃金
(1)賃金とは
地方公共団体の職員の勤労に対する反対給付のうち、報酬及び給料を除き、単に雇用契約
により勤務する者に対して支払われる経費です。雇用については、定数外職員である臨時的
任用職員、日々雇用として任用する非常勤職員があります。賃金支弁の職員に対し支払う時
間外勤務手当、期末手当に準ずる手当等もこの節で支払います。
(2)支出事務
ア 臨 時 的 任 用 ※ 「定数外職員取扱要綱」参照
職員
※ 「臨時的任用職員に対する賃金の支給事務について」
(昭和 47 年6月 12 日付人事課長、
出納室長通知)参照
(ア)雇用の決定について
雇用に関する書類(辞令書の写)で確認してください。
※ 「定数外職員取扱要綱の制定について」
(昭和 31 年 10 月 15 日付 31 人第 254 号総務部
長通知)により、2か月以内の任用であっても知事の承認が必要(辞令書交付)とされ
ています。
(イ)賃金について
a 支給額には誤りはないか。
b 支給額=賃金日額×勤務日数
c 支給日は適正か。
(a)通常月
・賃金
当該月の末日に支給(末日が閉庁日の場合は、当該月の最終の開庁日)
支給額の変更を必要とする場合は、原則として当該月分で調整
事務処理上、これによりがたい場合は、翌月支給分で精算
・諸手当 時間外手当等勤務実績によるものは翌月支給日に精算支給
(b)退職月(末日の退職者)及び3月
・賃金
当該月の末日に支給(末日が閉庁日の場合は、当該月の最終の開庁日)
・諸手当 支給額の確定後、速やかに精算支給
(c)月途中の退職
・賃金
支給額の確定後、速やかに精算支給
・諸手当 支給額の確定後、速やかに精算支給
d 支出方法は適正か。
職員の申し出によって口座振替の方法で支払うことができます。
「臨時的任用職員の賃金及び非常勤職員の報酬の取扱いについて」
(平成 15 年1月 10
日付 14 高行管第 321 号総務部長通知)を参照してください。
e 法定控除に誤りはないか。
(a)所得税について
・扶養控除等申告書を提出している者は、月額表の甲欄を適用します。
・その月の賃金(時間外勤務手当があれば合算)から社会保険料を控除した額及び扶
養親族等の数により、月額表から税額を求めます。
・期末手当に準ずる手当は、賞与にかかる税率によります。
(b)雇用保険料について
・支給の都度控除します。
・高齢者(4月1日現在 64 歳以上)は控除対象外です。
・あらかじめ雇用期間が 30 日以内とされている場合は控除の対象とはなりません。
(c)健康保険・厚生年金保険料について
・支給の都度控除します。保険料の額は、採用時の日本年金機構高知事務センターへ
の届けにより決定され、月々の賃金額による変更はありません。
※ 健康保険・厚生年金保険料額表の標準報酬月額によります。
※ 被保険者負担分の1円未満の端数については、切り捨てて控除します。
・厚生年金保険に加入できる者は 70 歳末満の者です。70 歳に達すれば被保険者の資
第4章 歳出 第1節 -77-
高知県会計事務処理要領
格を喪失しますので、5日以内に資格喪失届を日本年金機構高知事務センターに提
出してください。
・資格取得の月は保険料を徴収し、資格喪失の日(退職日の翌日)の属する月は、保
険料を徴収しません(従って、月末退職の場合はその月の保険料を徴収します。
)
。
資格取得と資格喪失が同月にあった場合は1か月分の保険料を徴収します。
・あらかじめ雇用期間を2か月以内とする場合は、控除の対象とはなりませんが、期
間満了後別の課が引き続き雇用することとなった場合など2か月を超えることとな
った場合は、その日から被保険者となります(当初から6か月雇用予定の場合は、雇
用したその日から被保険者となります。)。
(ウ)時間外勤務手当等について
時間外勤務手当、特殊勤務手当、夜間勤務手当及び宿日直手当は一般職に準じて支給
します。
a 賃金の1時間当たりの額及び割増賃金の1時間当たりの額は次によります。
(a)1時間当たりの額
日額×5(日)
= A(円位未満四捨五入)
38.75(1週間の平均勤務時間)
(b)割増賃金の1時間当たりの額
(a)で求めた1時間当たりの額「A」
(ただし、円位未満2位を四捨五入)に次に
掲げる割合を乗じて得た額(円位未満四捨五入)
・時間外勤務手当
(勤務を割り振られた日)
100 分の 125(午後 10 時から午前5時までの間にあっては、100 分の 150)
(勤務を割り振られていない日)
100 分の 135(午後 10 時から午前5時までの間にあっては、100 分の 160)
・夜間勤務手当
100 分の 25
b 宿直手当については非課税額があるので注意してください。
(エ)期末手当に準ずる手当について
「臨時的任用職員に対する期末手当に準ずる手当の支給について」
(昭和 47 年4月 10
日付 47 人第 15 号総務部長通知)を参照してください。
a 手当の支給対象
6月1日又は 12 月1日に在職する臨時的任用職員で当該日現在引続き3月以上県へ
勤務する者
b 手当の支給額
6月1日現在又は 12 月1日現在の引続く勤務月数に応じた額を支給
勤務月数
6月以上
5月以上6月未満
4月以上5月未満
3月以上4月未満
6月支給額
35,000 円
28,000 円
21,000 円
14,000 円
12 月支給額
44,000 円
35,200 円
26,400 円
17,600 円
c 手当の支給日・支出科目
手当の支給日・・・一般職員の6月及び 12 月の期末手当の支給日
支出科目・・・賃金
d 法定控除に誤りはないか。
(a)所得税
前月中の給与等の金額から前月中に支払った社会保険料を控除して得た額及び扶養
親族等の数により、賞与に対する源泉徴収税額の算定率の表から、乗ずべき率を求め
ます。つまり、6月は5月分、12 月は 11 月分の賃金支出調書で確認します。そして、
第4章 歳出 第1節 -78-
高知県会計事務処理要領
支給額から社会保険料を控除した額に率を乗じて税額を求めます。
(b)雇用保険料
期末手当に準ずる手当額に率を乗じて額を求めます。
(c)健康保険・厚生年金保険料
賞与額の 1,000 円未満を切り捨てた額(標準賞与 額)に各保険料率を乗じ、折半し
た額を被保険者負担分として控除します。
このとき、被保険者負担分に 1 円未満の端数がある場合は、その端数を切り捨てま
す。
(オ)所得税の年末調整
a 年末調整の対象となる職員か。
扶養控除等申告書を提出している者で、その年の最後の賃金の支払を受けるときまで
在職する者が対象となります。
b 年末調整を行う時期は適当か。
その年の最後の賃金を支払うときに行います。
※ 県に勤務する以前に給与を受けている場合は、その額も併せて年末調整を行います。
この場合は、支払われた給与の額及び源泉徴収額を証する書面(源泉徴収票)を添付
してください。
c 還付する場合の手続
12 月に還付する金額が不足する場合は、2月末までに還付を行います。なお、還付が
終わらない場合は、税務署から返してもらう手続をとってください。
(カ)戻入処理について
控除処理をした後の賃金に戻入が生じたときの事務処理方法は、
「控除処理を伴う賃金
等の戻入について」を参照してください。
イ日々雇用職
日々雇用として任用される非常勤職員は、必ずしも一般職の職員の勤務時間で勤務するこ
員関係
とを必要としない職若しくは職務の性質上同一人を継続して任用する必要がなく、日々交替
があっても職務の遂行に支障がないと認められる作業人夫等の職に従事する職員を指すもの
であって、事務又は技術等一般職員をもって充てるべき業務に従事させることはできません。
また、賃金のみ支給し、休暇等は認められません。
※ ここでいう非常勤職員とは「定数外職員取扱要綱」による者を指し、
「非常勤職員設置要
綱」による非常勤職員ではありません。
(ア)賃金単価に誤りはないか。
予算の範囲内でその都度伺によりその額を決定します。
任用期間は1日単位となり、その任用は所属長が決定します。
(イ)法定控除に誤りはないか。
a 所得税
日額表の丙欄を適用します(当初より雇用対象期間を3か月以上とする場合は、甲欄又
は乙欄適用となり、丙欄は適用できません。
)
。ただし、継続して2か月を超えて雇用す
ることになったときには、2か月を超える日から甲欄又は乙欄を適用してください。
b 雇用保険料
一般的には控除の対象とはなりません。
c 健康保険・厚生年金保険料
一般的には控除の対象とはなりません。
(ウ)支給日は適正か。
雇用期間満了後、所属長が雇用を確認して支払ってください。
ウ その他の留意事項
法定控除については一般的な事項を記載しています。所得税については国税庁発行の「源
泉徴収のあらまし」、雇用保険料については公共職業安定所(ハローワーク)発行の「雇用保
険のしおり」、健康保険・厚生年金保険料については(財)高知県社会保険協会発行の「社会
第4章 歳出 第1節 -79-
高知県会計事務処理要領
保険の事務手続き」などを参考にし、疑義が生じる場合はそれぞれ所管する税務署等に確認
してください。
エ 主な添付書類
〔支出負担行為決議書兼支出命令書関係〕経費支出伺、支給調書、雇用伺、臨時的任用
職員雇用通知書、就労の事実を証する書類、扶養控除申告書、標準報酬決定通知書、
口座振込申出書
第4章 歳出 第1節 -80-
高知県会計事務処理要領
8報償費
(1)報償費とは
役務の提供等に対する純粋な謝礼又はいわゆる報償的意味の強い経費であって、役務の提
供や施設の利用などによって受けた利益に対する代償を支出するものです。
《報償金》
・講演会・講習会・研究会等の講師に対する謝礼
・施設利用等に対する謝礼
・任意設置機関の構成員に対する会議等出席謝金
・行政上任意に置かれる非常勤嘱託員の謝金
・人命救助者に対する謝礼
・上記の他、感謝の意を表すものや、奨励の意味をもつもの
・謝礼品等感謝の意を表し贈呈するための物品(報償物品)の購入経費
《賞賜金》
・功労者等に対する金一封
・コンクール等入賞者の賞金
・副賞品の購入経費
《買上金》
・防疫上実施するネズミ、害虫等を奨励的に買上げる経費
(2)支出事務
ア 支出金額は適正か。
行政上任意に置かれる非常勤に対する報償費は報酬を参照してください。
イ 所得税の源泉徴収に誤りはないか。
所得税法第 204 条及び第 205 条を参照してください。
雇用関係がある委員等は給与所得として課税します。
課税対象の謝金であるか、また、給与所得として課税すべきものではないか確認してく
ださい。不明である場合は、必ず税務署に確認し、その旨、伺、支出調書等に記載してく
ださい。
ウ 講師謝金は、県が主催か又は共催となっているか。
エ 県職員が任意設置の審議会等の委員になっている場合の取扱いは適当か。
附属機関の委員と同等に取扱うので、重複給与の禁止規定により、報償費からの支出は
できません。
オ 県職員に講師を依頼する場合の取扱いは適当か。
カ 主な添付書類
(ア)物品購入の場合
〔支出負担行為決議書関係〕購入伺、見積書、見積調書、契約書(案)
〔支出命令書関係〕請求書、検査調書、納品書、契約書、請書
(イ)謝金の場合
〔支出負担行為決議書兼支出命令書関係〕経費支出伺、支出調書、委員名簿等
(ウ)資金前渡の場合
〔支出負担行為決議書兼支出命令書関係〕経費支出伺、前渡資金請求書
第4章 歳出 第1節 -81-
高知県会計事務処理要領
10 交際費
(1)交際費とは
(2)支出事務
知事又はその他の執行機関が、行政執行上あるいは県の利益のために県を代表し外部とそ
の交渉をするために要する経費です。
ア 支出手続は適正か。
交際費の支出は、
「交際費の支出について」
(平成 16 年9月6日付 16 高出会第 169 号総
務部長・副出納長通知)に沿っているか確認してください。
(ア)交際費に関する取扱い
a 交際費は、県を代表して職務遂行上必要な外部との交際に要する経費について支出で
きるものであり、社会通念上必要最小限度の範囲で執行します。
b 交際費は、一般経費と同様、支出負担行為に基づき、正当な債権者に支出してくださ
い。
(a)支出負担行為の決裁権者(専決権者)は、部局長等とし、決裁はサイン(自署)に
より行ってください。ただし、
(イ)のb(b)の者の所属は、その者を決裁権者とし
ます。
(b)支出負担行為決議書には、執行者(職・氏名)
、支出先及び支出金額並びに支出目的
を記載してください。なお、支出先と進呈先が異なる場合は、進呈先及び進呈年月日
についても記載してください。
(c)支出負担行為決議書兼支出命令書で支出する場合の経費支出伺の決裁権者は、
(a)
のとおりです。
c 資金前渡により支出する場合の取扱いは、次のとおりです。
(a)随時資金の場合
経費支出伺は、執行者(職・氏名)
、支出先及び支出金額並びに支出目的を記載して
ください。なお、支出先と進呈先が異なる場合は、進呈先及び進呈年月日についても
記載してください。
資金前渡職員は、決裁権者が指名するものとし経費支出伺において指名を行ってく
ださい。
経費支出伺の決裁権者(専決権者)は(ア)b(a)のとおりです。
(b)常時資金の場合
常時資金の資金前渡職員の範囲は、
「会計規則の施行について(依命通達)
」第3の
11(4)の規定のとおりです。
資金前渡職員は、常時資金を執行しようとするときは、
「交際費(常時資金)支出伺」
により決裁を受けた後、執行職員に前渡資金の交付を行ってください。なお、
「交際費
(常時資金)支出伺」の決裁権者(専決権者)は(ア)b(a)のとおりです。
d 香典、見舞金品等は、その性質上領収書を徴することが困難な場合もあるので、支払
責任者(資金前渡職員又は執行職員)の支払証明書(支払明細書)を添付することで足
りることとしますが、この場合でも、会葬礼状や新聞記事の写しなどの内容を明らかに
する資料を添付するなど適正な事務処理に努めてください。
e 交際費は、その性質上他の科目からの流用や予備費の充当は適当でないため、配当さ
れた予算の範囲内での執行に努めてください。
(イ)部局等交際費の支出基準
a 支出範囲
部局等交際費の支出の範囲は、次のとおりとします。
ただし、県が主催する昼食会、懇談会等に係る経費は、
「食糧費の支出について」
(平
成 12 年 10 月 30 日付 12 財第 165 号総務部長・副出納長通知)に基づき食糧費で支払っ
てください。
(a)香典、生花、見舞金品、祝い金品、餞別、寸志
職務遂行上関係のある者、関係のある団体の代表者若しくは代表者に準ずる者に関
わる葬儀、祝い事等に際して、必要最小限度の範囲で支出してください。
(b)各種会合へ出席する場合の会費、負担金
第4章 歳出 第1節 -82-
高知県会計事務処理要領
宗教上あるいは政治的活動のために開催される会合へ出席する経費や国、地方公共
団体等が主催し、出席者の多数を公務員が占める会合へ出席する経費は除きます。
(c)土産品
企業誘致に係る企業訪問時や講演会等の講師依頼時など必要最小限度の範囲で支出
してください。
(d)その他
真に必要なものと認められるもの。
b 執行者の範囲
部局等交際費を執行できる者は、次のとおりとします。
(a)理事、部局長、議会事務局長、教育委員、教育長、公安委員、警察本部長、監査委
員、監査委員事務局長、人事委員、人事委員会事務局長、労働委員、労働委員会事務
局長、公営企業局長
(b)東京事務所長、大阪事務所長、名古屋事務所長、病院長
(c)本庁の課長及び出先機関長以上の職にある者のうち、
(a)の者が特に必要と認めて
その都度指定する者
(ウ)その他の留意事項
a 部局等内においては、原則として重複支出しないようにしてください。
b 知事、副知事及び部局間等の重複支出については、秘書課、関係部局等との連携を密
にして対応してください。
また、出先機関間で重複する場合は、部局主管課等と調整を図り、原則として重複支
出を避けてください。
c 部局等交際費は、
(イ)b(a)及び(c)の者が執行するものについては、それぞれ
の部局等の主管課で、また、
(イ)b(b)の者が執行するものについては、それぞれの
所属で管理するものとします。
イ 主な添付書類
(ア)物品購入の場合
〔支出負担行為決議書関係〕見積書、契約書(案)
〔支出命令書関係〕請求書、検査調書、納品書、契約書、請書
(イ)見舞金等を支出する場合(一般的には、常時資金による資金前渡)
〔支出負担行為決議書兼支出命令書関係〕経費支出伺
(ウ)常時資金により支出する場合
交際費(常時資金)支出伺
第4章 歳出 第1節 -83-
高知県会計事務処理要領
11 需用費
(1)需用費とは
県の行政の執行に伴って必要とされる物品(備品、原材料に含まれないもの)の取得及び
修理等に要する経費等のほか、その効用が比較的短期間に費消される性質の経費で、これに
は消耗品費、燃料費、食糧費、印刷製本費、光熱水費、修繕料、賄材料費、飼料費、医薬材
料費等が含まれます。
《消耗品費》
短期間の使用又は一回の使用で費消されるもの、あるいはき損しやすいもの、著しく長期
間の保存に耐えないものの類の取得に要する経費
・文具類、被服類、追録、新聞雑誌類等
※ 消耗品費と原材料費、備品購入費の区分
原材料費は、工事又は生産過程において費消され、付加価値を高め、その対象物の一構
成部分として生まれかわる性質を有しているものです。
備品購入費は、性質、形状を変えることなく、長期間使用でき、1件の取得価格が 100,000
円(コンピューターについては 20,000 円)以上の物品及び公印規程による公印です。
《燃料費》
冷暖房用・炊事用等の庁用燃料、自動車・船舶等の燃料及び試験研究・実験等事業用の燃
料等の購入に要する経費
・プロパンガス、石油類(重油、灯油等)等
《食糧費》
懇談会経費、昼食、夕食、茶菓、弁当等及び非常炊出賄、警察留置人弁当等の購入に要す
る経費(飲食を目的としたもの)
・懇談会開催費用、昼食、茶菓、懇談会費、持参用清酒等
※ 食糧費と交際費の区分については、
「10 交際費」の項参照
《印刷製本費》
行政事務の執行に際し、その必要上、印刷及び製本を依頼するために要する経費
・印刷代、写真現像・焼付引伸料、青写真焼付料、製本代等
《光熱水費》
電気、ガス、上水道等の使用料であり、これらの使用に伴う各種の計器類の使用料も含ま
れます。
・電気料金、ガス料金、水道使用料金等
《修繕料》
備品等の一部の修理、補修又は建築物等の小規模な修復等原状復旧を目的とする修繕に要
する経費
・家屋の小修繕、車検に伴う修理等
※ 修繕料と工事請負費の区分
工作物そのものの位置や形状を変更するか否かによって区分します。工事請負費は、その
対象が比較的大きなものであり、かつ、積極的にその本体の使用価値、効用を増加する目的
をもっています。
※ 修繕料と役務費の区分
役務費が単純にサービスの提供のみに着目するのに対し、修繕料は何らかの形で部品等
を使用しつつ、役務を提供するものです。
《賄材料費》
福祉施設等の県立施設における給食用各種賄材料の購入に要する経費
・県立施設の給食用材料等
《飼料費》
各種飼料の購入に要する経費
・動物の飼料
《医薬材料費》
保健所等における医療用に使用される消耗品等の購入に要する経費
・包帯、注射器等及び薬品等
第4章 歳出 第1節 -84-
高知県会計事務処理要領
(2)支出事務
ア 支出の理由及び目的は適正か。
(ア)支出の理由が具体的に記載されており、購入する理由が適正で、かつ、必要最少限の
数量になっているか確認してください。
(イ)支出の理由、目的、規模等により、支出科目が異なるので留意してください。
たとえば、消耗品費と原材料費、備品購入費との区分や、修繕料と工事請負費との区
分に注意してください。
イ 公費の支出原則に従っているか。
公私の区分が適正に行われているか確認してください。
ウ 物品購入審査会への付議を要するものはないか。
(ア)予定価格が 2,000 万円以上の物品
(イ)各課、各出先機関で直接調達する予定価格が 160 万円を超える物品等であって、随意
契約によるもの。
(ウ)各課、各出先機関で直接調達する予定価格が 250 万円を超える印刷物等の製造の請負
であって、随意契約によるもの。
※「物品購入審査会設置要綱」参照
エ 購入の時期、用途、数量、単価等は適当か。
(ア)年度末執行は、歳出の会計年度所属区分に留意するとともに、不要不急なものの購入
ではないか特に注意してください。
(イ)高価な物又は数量の多い物は、購入理由が適当かどうか確認してください。
(ウ)被服類の購入について
職員被服貸与規則に基づいた購入であるか確認してください。
オ 契約手続は適正か。
※ 「第5章契約」の項参照
カ 検査確認行為は適正か。
※ 「第5章契約」の項参照
キ 請求書は所定の要件を満たしているか。
金額、債権者、品目、規格、単価、請求年月日、押印等に誤りや記載漏れはないか確認
してください。
※ 「見積書、請求書、請書の取扱いについて」参照
ク その他の留意点
(ア)支出の原因である事実の存した期間が2年度にわたる電気料、水道料、ガス料の歳出
の会計年度所属(自治令第 143 条)は支払期限の属する年度です。
※ 「第1節第8歳出の会計年度所属区分」の項参照
(イ)
「修繕料のうち緊急に行なわなければならない場合の取扱いについて」
(平成 17 年3月
30 日付 16 高出会起第 430 号会計課長、管財課長通知)を参照してください。
ケ 食糧費の取扱い
(ア)支出負担行為に懇談の必要性が判断できるような目的が明確に記載されているか。
(イ)食糧費については、細節経理しているか。
(ウ)
「食糧費の支出について」
(平成 12 年 10 月 30 日付 12 財第 165 号総務部長・副出納長
通知)に定められた使途であるか。
(エ)出席人員及び単価は適正か。
支出負担行為に出席者全員の職、氏名が記載されているか確認してください。
ただし、外部の者は、支出負担行為時には食糧費の支出の妥当性が判断できるもの(○
○委員会委員○名、○○高校生徒○名等)を記載し、支出命令時に出席者全員の職、氏
名を記載することで差し支えありません。
(オ)県職員等(県職員、県議会議員、行政委員会委員及び審議会委員等)の間での食事、
懇談会における経費を支出していないか。
(カ)県職員等と国、他県、市町村及びこれらの外郭団体の職員(パネリスト、講師等の資
格による場合を除く。
)との食事、懇談会における経費を支出していないか。
(キ)県職員(県議会議員、行政委員会委員、審議会委員を除く。
)間の会議における湯茶の
第4章 歳出 第1節 -85-
高知県会計事務処理要領
経費を支出していないか。
(ク)支出負担行為決議書及び支出命令書(支出負担行為決議書兼支出命令書を含む。
)の決
裁は所属長のサインか。また、決裁日も記載されているか。
※ 所属長が出張等で不在であり、その間に決裁をしなければならないものについては、
本庁にあっては副部長等上司の決裁によることとされています。また、同様の場合にお
いて、出先機関にあっては代決権者の代決が認められていますが、その理由を具体的に
記載し必ず所属長の後閲を受けてください。
(ケ)支出負担行為(経費の総額、人数等)を超えて支出していないか。
※ 特に住民の不信の的になりやすいので、その使途目的、金額等を明確にしておいてく
ださい。
※ 支出負担行為決議書への添付書類
・第 25 号様式の(その2)
・見積書(単価契約をしているものは、その契約書の写し)
・案内文書、依頼文書、日程表等執行の必要性、妥当性を示す資料
※ 予定外の食事、懇談会(予定価格が 10 万円以下のものに限る。
)で事前に支出負担行
為ができない場合においては、特に例外として、経費支出伺及び支出負担行為決議書兼
支出命令書により支出することができます。
※ 詳細は「食糧費の支出について」
(平成 12 年 10 月 30 日付 12 財第 165 号総務部長、副
出納長通知)を参照してください。
コ 主な添付書類
〔支出負担行為決議書関係〕購入伺、設計(仕様)書、予定価格調書、入札書、見積書、
見積調書、契約書(案)
〔支出命令書関係〕請求書、検査調書、契約書、請書
〔支出負担行為決議書兼支出命令書関係〕経費支出伺、請求書
第4章 歳出 第1節 -86-
高知県会計事務処理要領
12 役務費
(1)役務費とは
県が受けた人的なサービスの提供に対して支払う経費です。
《通信運搬費》
通信及び運搬に要する経費
・切手、はがき、後納郵便料、電報・電話・電話架設料、運送荷造料、公共交通機関の運
賃・回数券等
運送荷造料には、人夫賃、梱包材料費も含みます。
物品購入に係る送料を物品代金と併せて支出する場合は、その購入物品の該当する支出科
目と同一の支出科目から支出しても差し支えありません。
《保管料》
保管契約に基づき、相手方が該当物品等を自己の責任において保持し、滅失、き損を防い
だことに対して支払う経費
・倉庫料、県有物品保管料、証券保管料等
《広告料》
県の事務上又は事業上、住民等に対して周知の必要がある場合にテレビ、ラジオ、新聞等
で広告をするのに要する経費
・新聞広告料、テレビ・ラジオ等による広告料
《手数料》
県が特定の個人等からサービスの提供を受けたことに対して支払う経費
・事務取扱手数料、鑑定・試験・検査手数料、証明手数料、送金手数料、機器類の分解掃
除サービス料等(収入印紙・他県の収入証紙)
《筆耕翻訳料》
筆耕・翻訳及び速記料
・筆耕、謄写、タイプ料、翻訳料、通訳料、速記料等
※ 筆耕翻訳料と報償費の区分
筆耕翻訳等を本来業務として営業活動している者に対しては筆耕翻訳料、それ以外の者
に対しては報償費から支出します。
《火災保険料》
建物、船舶、重要文化財等の物件のみに対する火災保険、その他の損害保険の保険料
・運送保険料、災害保険料等
《自動車損害
保険料》
自動車損害賠償保障法の規定により納付する保険料
※ 役務費と委託料の区分
役務費は、
「純粋な人的サービス」に対して支払われる費用であると解されます。つまり、
そのサービスの中に、材料費や部品等の他の節で支払われるべきものが混在していないこ
とが条件となります。
一方、委託料は、県の行っている諸種の事務、事業のうち、法令に根拠のあるものや他
の者に実施させることの方が効率的であるもの等について委託する費用であると解されま
す。つまり、その内容としては、本来各節に区分されるべきものが包括的にまとめられて
いるのであり、委託料としてではなく各節から支出することはその意義を抹消するものと
して不適当な運用となるので注意してください。
(2)支出事務
ア 支出の理由及び目的は適正か。
支出の理由及び目的が具体的に記載されており、支出する理由が明確か確認してくださ
い。
イ 公務上必要な経費か。
公費支出の原則に従って適正に執行されたものかを注意してください。
ウ 契約手続は適正か。
※「第5章契約」の項参照
第4章 歳出 第1節 -87-
高知県会計事務処理要領
エ 支出手続は適正か。
(ア)検査確認は適正か。
※ 通常、NTT等への電信電話料の支払については、検認表示を必要としないという取
扱いをしていますが、携帯電話の通話料に関しては料金明細内訳書等で使用実績を確認
し、検認表示をしてください。
(イ)年度区分は適正か。
a 電話料
(a)3月分度数料と4月分基本料が一括請求されたときは、前者は旧年度、後者は新年
度から支払います。
(b)料金の算出期間が「3月○日~4月○日」となっているものは、その納付期日の属
する年度から支払います。
b 損害保険料
自動車損害賠償責任保険料は、自治令第 143 条第1項第5号により支出負担行為をし
た日の属する年度の支出となり、保険期間が2年度以上にまたがる場合であっても保険
契約を締結した日の属する年度から支払います。
(ウ)所得税の源泉徴収を要するものはないか。
契約の相手方が個人(事業者)で所得税法第 204 条に該当するときは、所得税を源泉
徴収してください。
(エ)請求書は所定の要件を満たしているか。
オ 主な添付書類
〔支出負担行為決議書関係〕施行伺、予定価格調書、見積書、見積調書、契約書(案)
〔支出命令書関係〕請求書、検査調書、契約書、請書
〔支出負担行為決議書兼支出命令書関係〕経費支出伺、請求書、検査調書、契約書、請
書
第4章 歳出 第1節 -88-
高知県会計事務処理要領
13 委託料
(1)委託料とは
(2)支出事務
県が行う事務事業について、他の機関あるいは特定の者に委託して行わせるときに、その
対価として支払われる経費です。委託できる事務事業には、法令に根拠のある公法上の契約
と他の者に実施させるほうが効率的である等の理由で委託する私法上の契約とがあります。
また、公法上の委託は公権力の行使の権限までも委託の対象となりうるのに対し、私法上
の委託は、一種の請負とでもいうべきものです。
ア 公法上の委託の主な例
(ア)証券の取立ての再委託(自治令第 157 条)
(イ)歳入の徴収又は収納の委託(自治令第 158 条)
(ウ)支出事務の委託(自治令第 165 条の3)
(エ)公の施設の管理委託(自治法第 244 条の2)
(オ)事務の委託(自治法第 252 条の 14)
イ 私法上の委託
県が実施するより他の者に委託して実施するほうが効率的であるもの、すなわち特殊の
技術、高度な専門的知識又は特殊な設備等を必要とする事務事業、調査、研究といったも
のが対象となります。
(ア)主な例
各種試験・調査・検査委託、工事の設計・施工監理委託、庁舎の清掃、冷暖房・エレ
ベーター等点検及び保守管理委託、ポスターの図案作成、パンフレットの制作、テレビ
放送料、旅行の企画と手配、電算処理委託、電算システムの開発等
ア 業務内容は委託に適しているか。
(ア)県が行うべき事業、事務の委託であるか。
(イ)委託内容は妥当であるか。
(ウ)他の類似した節との区分に注意すること。
イ 契約手続は適正か。また、経費の見積り、消費税の取扱いは妥当か。
「消費税の導入に伴う支出原因となる契約事務の取扱いについて」
(平成元年3月 16 日
付 63 管第 157 号総務部長通達)を参照してください。
ウ 収入印紙の額は適正か。
(契約書に貼付する印紙の額に注意すること)
エ 支出手続は適正か。
(ア)検査確認は適正か。
(イ)所得税の源泉徴収を要するものはないか。
契約の相手方が個人(事業者)で所得税法第 204 条に該当するときは、所得税を源泉
徴収してください。
オ 主な添付書類
〔支出負担行為決議書関係〕施行伺、設計(仕様)書又は委託金額の積算資料、予定価
格調書、入札書、見積書、契約書(案)
〔支出命令書関係〕請求書、検査調書、成果品又は写真、契約書、請書
〔支出負担行為決議書兼支出命令書関係〕経費支出伺、検査調書、請求書、契約書、請
書
第4章 歳出 第1節 -89-
高知県会計事務処理要領
14 使用料及び
賃借料
(1)使用料及び
一般的に、賃貸借契約(当事者の一方が相手方に物の使用収益をさせ、これに対して相手
賃借料とは
方が賃料を支払うことを内容とする契約)に基づいて、その対価として支払われる経費です。
その目的物は使用、収益によって消滅しないものであればなんでもよいと解され、土地・建
築物・施設・会場等の不動産、自動車・機械類・事務用機器等の動産の借上げ、著作権等の
権利の使用が含まれます。
また、家屋等の借入れに伴う敷金・補償金・共益費等、有料道路の通行料、施設の入場料、
NHK受信料も含まれます。
(2)支出事務
ア 支出の理由及び目的は適正か。
イ 公費支出の原則に従っているか。
ウ 契約手続は適正か。
(ア)契約は正当な権利者となされているか。
不動産の借上契約は、登記関係書類により確認してください。
(イ)契約方法は適正か。
貸借の契約にあっては、契約期間の総額で判断してください。
(ウ)契約金額は適正か。
賃借料の積算は妥当な方法によりなされているか確認してください。
(エ)契約期間は適正か。
事務用機器のリース等、翌年度以降にわたる契約を締結する場合は、長期継続契約を
締結するか、又は債務負担行為として予算に定めているか確認してください。
エ 支出手続は適正か。
(ア)請求書は所定の要件を満たしているか。
(イ)支出する時期は適正か。
(ウ)支出方法は適正か。
(エ)検査確認行為は適正か。
(オ)タクシーチケットの支払は、通知に沿った取扱いになっているか。
「タクシーチケットの取扱いについて」
(平成 12 年 10 月 27 日付 12 人第 267 号総務部
長通知)を参照してください。
オ 主な添付書類
〔支出負担行為決議書関係〕施行伺、予定価格調書、見積書、見積調書、契約書(案)
、
料金規定、会議の開催文書等
〔支出命令書関係〕請求書、検査調書、契約書、請書
〔支出負担行為決議書兼支出命令書関係〕施行伺、経費支出伺、契約書、請書、請求書、
検査調書
・タクシーチケットの支払・・・経費支出伺、請求書、支払簿、チケット管理簿
第4章 歳出 第1節 -90-
高知県会計事務処理要領
15 工事請負費
(1)工事請負費
土地、工作物等の造成又は製造及び改造の工事、工作物等の移転及び除却の工事等に要す
とは
る経費で工事請負契約によるものをいいます。典型例としては、道路、河川、堤防、溝渠等
の築造といった土木工事や工作物・船舶等の建造、その他埋め立て、建造物の除却、取り壊
しなどがあります。
請負契約とは、請負人がある仕事を完成することを約し、相手方がその仕事の結果に対し
て報酬を支払うことを約する契約であることから、請負契約=工事請負費とはならず、工作
物等そのものの位置や形状を変更しない修繕等は、たとえその契約が請負契約によるもので
あっても需用費(修繕料)からの支出となります。また、私法上の委託契約も一種の請負で
あると考えられますが、その作業の差異から区分されるものです。
(2)支出事務
※ 「建設工事及び委託業務における入札・契約制度に関する基本方針」
(平成 19 年3月 23
日付 18 高建管第 872 号副知事通達)参照
ア 施行伺は適正か。
(ア)入札方法等の決定は適正か。
一般競争入札、指名競争入札、随意契約
(イ)随意契約による場合は、随意契約理由を明示すること。
イ 予定価格調書の作成は適正か。
建設工事等に関する競争入札を行う場合は、事後公表とされているものを除き、指名通
知書又は入札公告において、予定価格を公表します。
また、最低制限価格又は調査基準価格(低入札価格調査制度による場合)は落札者とす
べき者の確定時(低入札価格調査制度適用時においては調査対象者確定時)に公表します。
(ア)最低制限価格の設定は適正か。
競争入札における最低制限価格は、予定価格の7/10 から9/10 までの範囲内とされ
ています。
(契約規則第 17 条)
(イ)低入札価格調査制度(総合評価方式一般競争入札による建設工事又は請負対象金額1
億円以上(消費税及び地方消費税込))における調査基準価格の設定は適正か。
※ 「低入札価格調査制度事務処理要領」
(平成 19 年6月 20 日付 19 高建管第 270 号副
知事通知)参照
ウ 入札等に関する手続きは適正か。
(ア)指名競争入札における指名伺及び指名通知は適正か。
・指名業者の選定は、別途定められた指名基準等により行うこと。
※ 「契約事務の適正化要綱」第1の1参照
・指名者数は、8者以上とすること。
※ 「建設工事及び委託業務における入札・契約制度に関する基本方針」参照
・指名伺の決裁は、決裁権者の決裁を原則とし、代決は行わないこと。
・入札保証金納付又は免除の決定。
・従来の入札書を投かんする入札にあっては「建設工事競争入札心得」
、電磁的記録を
用いた競争入札(電子入札)にあっては「建設工事競争電子入札心得」を周知するこ
と。
(イ)契約者の決定は適正か。
※ 土木部が作成している「建設工事競争入札事務の手引き」に従って、適正に処理す
ること。
・再度入札は2回(入札回数3回まで)とすること。
・3回目の投函で不落の場合は更改入札となること。
・落札者の決定を通知すること。
(契約規則第 24 条)
第4章 歳出 第1節 -91-
高知県会計事務処理要領
※ すべての建設工事の一般競争入札において、当該入札参加申請時に配置予定技術者
届の提出が必要です。
※ 低入札価格調査制度による入札において、調査基準価格を下回る入札を行った場合
は、見積内訳書の提出が必要です。
(ウ)随意契約の場合の理由及び手続きは適正か。
・理由は自治令第 167 条の2の規定に適合していること。
・原則として2人以上の者から見積書を提出させること。
・見積合わせの回数は制限なし。
エ 契約手続は適正か。
(ア)契約書の作成は適正か。
a 契約書は標準書式によっているか。
標準書式による場合は契約締結伺への契約書案の添付は省略できます。
b 特記事項等は添付されているか。
必要に応じて、中間前金払と部分払の選択及び解体工事に要する費用等に係る特記事
項を添付します。
※ 「公共工事の代価の中間前金払について」
(平成 11 年5月 11 日付 11 監第 192 号副
知事名)参照
※ 建設工事に係る資材の再資源化等に関する法律第 13 条
c 収入印紙の額は適正か。
(イ)契約保証金は適正か。
a 契約保証金は契約金額の 10/100 以上になっているか。
b 契約保証金の免除条項は適正か。
請負対象金額 500 万円未満の場合は契約規則第 40 条第3号で免除できます。
c 契約書への記載(免除又は契約保証金の額)は適正か。
(ウ)契約書等に基づく添付書類は提出されているか。
a 現場代理人・技術者届は提出されているか。
b 請負代金内訳書は、契約締結後5日以内に提出されているか。
c 着手届は提出されているか。
d 建退共掛金収納書届出書は提出されているか。
※ 「建設業退職金共済制度の普及徹底について」
(平成 11 年3月 30 日付 10 監第 1687
号副知事通達)参照
(エ)契約の変更手続は適正か。
a 変更契約で処理できるものであるか。
※ 「設計変更事務の取扱いについて」
(平成 18 年3月 30 日付 17 高建管第 729 号土木
部長通知)参照
b 変更後の金額は適正か。
請負更正金額が正しく計算されているか確認してください。
※ 「請負更正金額等の算出方法について」
(平成 11 年1月 12 日付 10 監第 1160 号土木
部長通知)参照
c 変更契約書は作成されているか。
d 契約保証の変更が必要なものでないか。
※ 「工事請負契約における契約の保証に関する取扱いについて」
(平成9年9月 25 日
付9農政第 417 号農林水産部長、9監第 506 号土木部長通知)参照
第4章 歳出 第1節 -92-
高知県会計事務処理要領
オ 支出手続は適正か。
(ア)前金払は適正か。
a 前金払の額は、約定された率以内であるか。
b 前払金の保証証書は添付されているか。
c 支払方法は、
「6:別口口座振替」となっているか。
d 支払日は、請求書を受理した日から 15 日以内であるか。
(イ)部分払は適正か。
a 出来高検査における請負代金相当額(出来高)が契約書に定められた率以上であるか。
b 支払日は、請求書を受理した日から 15 日以内であるか。
c 請求された部分払の額は、契約書に定められた式により計算された額以内であるか。
(ウ)中間前金払は適正か。
a 中間前金払の要件を満たしているか認定調書等により確認すること。
b 中間前金払額は、約定された率以内であるか。
c 支払日は、請求書を受理した日から 15 日以内であるか。
(エ)精算払は適正か。
a 完成通知書は工事完成後 10 日以内に提出されているか。
b 完成検査は完成通知を受けた日から 14 日以内に完了しているか。
c 支払日は、請求書を受理した日から 40 日以内であるか。
※ 工事請負費と修繕料の区分
工事請負費は、その対象が比較的大きなものであり、かつ、積極的にその本体の使用価
値、効用を増加させることを目的とします。修繕料は、対象が一般的に小規模で使用価値、
効用の減少を防ぎ、いわゆる本体の維持管理、原状復旧を目的とします。一般的には上記
のような定義を持ちますが、工事の規模、程度、金額などを個々の事例ごとに検討し、総
合的に判断します。
カ 主な添付書類
〔支出負担行為決議書関係〕
・当初契約時・・・設計書、工事施行伺、指名伺、予定価格調書、委任状、入札書(見
積書)
、入札記録、契約履行保証に関する書類、契約保証金受入に関
する書類
・変更契約時・・・変更設計書、変更契約書(案)
、契約書
〔支出命令書関係〕
・前金払
・・・前払金請求書、保証証書、契約書
・中間前金払・・・請求書、保証証書、認定調書
・部分払
・・・請求書、検査調書、検査明細書、出来高検査請求書
・精算払
・・・請求書、検査調書、完成検査合格通知書、工事完成通知書
第4章 歳出 第1節 -93-
高知県会計事務処理要領
16 原材料費
物の製造及び加工等に使用する原料又は付属物品等の購入費及び工事の施工に必要な原料
(1) 原材料費と
又は材料等の購入費です。
は
《工事材料費》
直営工事の工事用原材料・工事請負契約に基づき支給する工事材料
・石材、砂、砂利、セメント、木材等の購入費
《加工用原材
料費》
職業訓練校、試験場等で加工に使う原材料
・ブロック製作の砂、砂利、セメント等の購入費
・紙を製作するこうぞ、みつまた
・メッキをするため購入する亜鉛
※ 「原料」とは、その本質を失って新しいものを生産又は製造するために用いられるもの
をいいます。
「材料」とは、その本質を失わず、新しい属性が付加されて生産物又は製造物
の構成部分となるものをいいます。
(2)支出事務
ア 支出の理由及び目的は適正か。
(ア)支出の理由及び目的が具体的に記載されており、購入する理由が適正か確認してくだ
さい。
(イ)支払の節は適正か。
需用費(消耗品費)とは、使用目的等により区分されることに留意してください。
イ 契約手続は適正か。
※ 「第5章契約」の項参照
ウ 支出手続は適正か。
エ 主な添付書類
〔支出負担行為決議書関係〕購入伺、予定価格調書、入札書、見積書、契約書(案)
〔支出命令書関係〕請求書、検査調書、契約書
〔支出負担行為決議書兼支出命令書関係〕経費支出伺、請求書
第4章 歳出 第1節 -94-
高知県会計事務処理要領
17 公有財産購
入費
県がその事務又は事業を執行するために直接使用し、あるいは公共の福祉増進のために使
(1)公有財産購
用する土地、建物等を購入するための経費をいいます。
(売り払うことが確実な土地等の購入
入費とは
費も含む。
)
《権利購入費》
権利及び無体財産権を取得するために要する経費
・地上権、地役権、鉱業権、特許権、著作権等
《土地購入費》
不動産のうち、土地及びこれに付属する物を購入する経費
・庁舎、学校、道路等の用地及び付随する立木、石垣等
《家屋購入費》
不動産のうち、家屋及びこれに付随する物を購入する経費
・家屋及び付随する戸、障子、備え付け電気器具等
《船舶航空機
等購入費》
船舶、浮標、浮桟橋、浮ドック、航空機等を購入する経費
・船舶(20 トン以上)、浮標、浮桟橋、浮ドッグ及び航空機等
※ 公有財産購入後の手直し、改造等に要する経費は、工事請負費及び需用費(修繕料)か
ら支出すること。
※ 公有財産の体系表
公用財産
行政財産
公有財産
公共用財産
普通財産
・公用財産 ・・・地方公共団体がその事務又は事業を実施するため、自ら直接使用する
ことを目的とする財産。
・公共用財産・・・住民の一般的共同利用に供することを目的とする財産。
・行政財産 ・・・公用財産及び公共用財産。行政財産は、貸付け、交換、売払、譲与等
が禁止されています。
・普通財産 ・・・その経済価値を保全発揮することにより、間接的に行政に貢献するた
めに管理又は処分される財産。普通財産は、貸付け、交換、売払、譲
与することは差し支えありませんが、自治法第 237 条の制限がありま
す。
(2)支出事務
ア 議会の議決を経ているか。
(高知県財産条例第2条)
一件の予定価格が 7,000 万円以上の不動産及び動産の取得は、議会の議決が必要です。
ただし、土地は、1件2万平方メートル以上のものに限ります。
イ 契約手続は適正か。
(ア)契約の相手方に目的物の処分権限があるか不動産登記簿謄本等によって確認してくだ
さい。特に、相続等に係るものは注意が必要です。
a 契約の相手方が法人、未成年者、成年被後見人、被保佐人等である場合は、留意して
契約してください。
b 登記が共有名義である場合
各共有持分者を契約当事者としますが、各共有持分者が受け取るべき代金請求権が判
明できるよう契約書中に明示されているかを確認してください。
なお、共有者が特定の者に契約締結又は代金請求・受領について委任しているときは、
当該委任状が適正か確認してください。
c 不動産の登記名義人と実所有者が相違する場合
証明書及び印鑑証明が添付されているか確認してください。
第4章 歳出 第1節 -95-
高知県会計事務処理要領
(イ)取得前の措置について
契約目的物に付帯するその他の権利による制限又は特殊義務の有無について不動産登
記簿謄本等で確認してください。これらの権利等が設定登記されている場合は、それを
消滅させるための措置状況についても確認してください。
前金払の時は特に注意してください。
ウ 金額の算定は適正か。
(ア)単価等の算定に誤りはないか。
(イ)面積に誤りはないか。
実測平面と照合してください。
(ウ)前金払の額は、前金払対象額の 70%以内の額となっているか。
エ 特約は適正か。
特約の理由に合理性があるか確認してください。
オ 登記の必要なものは、支出時までに登記手続が完了しているか。
登記済証(分筆、相続、所有権移転、抵当権等の抹消)で確認してください。
カ 収入印紙の額は適正か。
キ 主な添付書類
〔支出負担行為決議書関係〕購入伺、丈量図、設計書、不動産登記簿謄本、戸籍謄本、
予定価格調書、入札書、見積書、契約書(案)
、購入価格を決定する資料(不動産鑑定
評価書)
〔支出命令書関係〕契約書、出来高写真、請求書、検査調書、契約書、所有権移転登記
済証
第4章 歳出 第1節 -96-
高知県会計事務処理要領
18 備品購入費
備品購入費は、自治法第 239 条に規定する物品のうち、需用費及び原材料費である物品を
(1)備品購入費
除いた物品の購入に要する経費です。
とは
《庁用器具費》
一般的な事務用の機械器具の購入に要する経費
・事務用機械器具等(机、椅子、戸棚、複写機、各種調度品、公印)
《機械器具費》
主として事業の執行に必要な機械器具の購入費
・自動車、光学機械、パソコン、トラクター等
《動物購入費》
飼養、種付用等を目的とする消耗品以外の動物の購入費
・獣類、鳥類、魚類等で飼育するもの(実験解剖用動物等を除く。
)
(2)支出事務
ア 支出の理由及び目的は適正か。
支出する理由及び目的が具体的に記載されており、購入する理由が適正か確認してくだ
さい。
イ 支出科目は適正か。需用費(消耗品)との区分は適正か。
備品とは、性質、形状を変えることなく、長期にわたり使用し、かつ、保存することが
できる物品で1件の取得価額(消費税を含む。
)が 100,000 円(コンピューターは 20,000
円)以上の物品及び公印規程による公印です。
※ 「物品の分類について」
(昭和 62 年3月 30 日付 61 管第 114 号総務部長依命通達)参
照
ウ 物品購入審査会へ付議を要するものはないか。
(ア)予定価格が 2,000 万円以上の物品
(イ)各課、各出先機関で直接調達する予定価格が 160 万円を超える物品等であって、随意
契約によるもの。
※ 「物品購入審査会設置要綱」参照
エ 購入の時期、用途、数量等は適正か。
(ア)購入の時期、用途、数量等については、妥当性を確認してください。
(イ)特に年度末は、歳出の会計年度所属区分及び不要不急の物品の購入でないかを注意し
てください。
オ 契約手続は適正か。
※ 「第5章契約」の項参照
カ 物品出納・管理簿へ登記がされているか。
重要物品は重要物品台帳に登録されているか。
※ 「重要物品」財産規則第 64 条参照
(ア)自動車
(イ)船舶(総トン数 20 トン未満の船舶であって、調達価格が1隻につき 100 万円以上のも
のをいいます。
)
(ウ)調達した価格が1個又は1組につき 100 万円以上のもの
キ 支払手続は適正か。
ク 主な添付書類
〔支出負担行為決議書関係〕購入伺、仕様書、予定価格調書、入札書、見積書、契約書(案)
〔支出命令書関係〕請求書、検査調書、納品書、契約書
〔支出負担行為決議書兼支出命令書関係〕経費支出伺、納品書、請求書
第4章 歳出 第1節 -97-
高知県会計事務処理要領
19 負担金補助
及び交付金
県以外の者の行う事務又は事業に対し、その助成又は財政上の援助を与えるために交付す
(1)負担金補助
及 び 交 付 金 と る経費をいい、負担金、補助金及び交付金の三つに区分されます。
は
《負担金》
法令、契約上特定の事業に、県が当該事業から特別の利益を受けることに対する負担又は
県が任意に構成・加入している各種団体の会費等の経費
・国直轄事業負担金、老人等措置費負担金、全国知事会負担金、○○会議参加費等
《補助金》
特定の事業、研究等を育成助長するため、あるいは一定の事業等を保護奨励するために交
付する経費
・○○事業補助金(利子補給金も含む。
)
※ 補助金で、宗教団体等への公金支出禁止規定(憲法第 89 条)に抵触するおそれのあるも
のは取扱いに注意してください。
《交付金》
法令、条例等により、市町村又は組合等が県に属する負担金等の徴収義務を負っている場
合、又は県が市町村に委託した事務処理等の報償として一方的に交付する経費
・県民税徴収事務取扱費交付金、地方消費税交付金等
(2)支出事務
ア 支出の根拠は明確か。
法令、条例、規則、契約、協定、要綱等による根拠規定を確認してください。
イ 公益上必要な交付であるか。
(自治法第 232 条の2)
補助金は、公益上必要がある場合のみ支出することが条件であるが、公益上必要がある
かどうかの認定は全くの自由裁量行為ではなく客観的にも公益上必要であると認められな
ければなりません。
ウ 公金の支出制限に違反しないか。
エ 補助金の交付手続は適正か。
(ア)交付要綱の作成は適正か。
財政課長への合議が必要です。
(事務処理規則第 11 条)
(イ)交付申請書は適正か。
規則、要綱に定めた必要事項の記載及び関係書類の添付はされているか確認してくだ
さい。
(ウ)交付申請の時期は適正か。
a 交付決定前に着手(指令前着手)をしていないか。
特に認められた場合を除き、指令前着手はできません。
b 承認の必要な変更事由にもかかわらず、承認を得ないで補助事業等を変更していない
か。
(エ)交付決定は適正か。
a 補助事業の遂行に支障を来すような時機を失した交付決定となっていないか。
b 支出負担行為決議書によって行われているか。
c 支出負担行為決議書の添付書類は適正か。
d 補助金の額は適当であるか。
(a)補助対象事業は補助要綱等で定められた事業となっているか。
(b)補助対象経費は適正か。
(c)補助要綱で定められた補助率等により、補助金額が算出されているか。
(オ)交付決定額等の変更は適正か。
金額に異動を生じるものは、支出負担行為決議書により決裁を受けてください。
(カ)前金払又は概算払は適正か。
a 請求書は提出されているか。
《補助金》
第4章 歳出 第1節 -98-
高知県会計事務処理要領
《負担金》
b 要綱等に定められているか。
c あらかじめ伺(必要とする理由、金額、支払時期等)がなされているか。
(キ)額の確定は適正か。
額の確定は、補助事業等の追加交付決定をするか、交付決定の一部の取消しをするか、
又は既に行った当初の交付決定を変更しない旨の意思決定をすることです。
a 実績報告書は提出されているか。
実績報告書等の書類審査及び必要に応じて行う現地調査により、確認してください。
b 検査調書兼確定書は適正に作成されているか。
県の検査が翌年度行われた場合は、検査日により支出年度が区分され、翌年度の予算
で支出することになります。
(ク)額の確定により支払う場合の処理は適正か。
a 支出調書は適正に作成されているか。
b 検査調書兼確定書は添付されているか。
(ケ)特定財源による支払は、当該財源が収入済みであるか。
オ 研修会等への参加に要する経費は、
「負担金」から支出してください。ただし、書籍等で
書店や売店等で販売しているものを購入する場合はテキスト代を(11)需用費で支出する
ことも可能です。
カ 主な添付書類
(ア)負担金
〔支出負担行為決議書関係〕事業計画書、根拠法令、規約、案内文書、契約書(案)
等
〔支出命令書関係〕請求書又は支出調書
〔支出負担行為決議書兼支出命令書関係〕経費支出伺、請求書又は支出調書
(イ)補助金
〔支出負担行為決議書関係〕交付申請書、交付決定通知書(案)
、変更交付申請書、変
更交付決定通知書(案)
、補助金交付要綱等
〔支出命令書関係〕請求書又は支出調書、検査調書兼確定書、実績報告書、完成写真
等関係書類
(ウ)交付金
〔支出負担行為決議書関係〕交付要綱、根拠法令等、交付決定通知書(案)
〔支出命令書関係〕請求書又は支出調書
第4章 歳出 第1節 -99-
高知県会計事務処理要領
20 扶助費
(1)扶助費とは
(2)支出事務
社会保障制度の一環として、生活困窮者等に対し、その生活維持を図る目的で支出される
経費です。
法律(生活保護法、児童扶養手当法、児童福祉法、身体障害者福祉法、老人福祉法等)に
より措置される経費と県単独の施策に基づく経費があります。
ア 支出の根拠は明確か。
法令、条例及び要綱等によるものであるか確認してください。
イ 支出の相手方に誤りはないか。
支払先は扶助制度により異なるので留意してください。
(ア)支払事務委託をしているもの
社会保険診療報酬支払基金、国民健康保険団体連合会
(イ)委託先に支払うもの
在宅心身障害児(者)短期間入所事業に係る精神薄弱者入所更生・入所授産施設等
(ウ)本人に支払うもの
上記以外の扶助費(ただし、一部保険医療機関等に支払うものもあります。
)
ウ 支払額は適正か。
支払額が法令等により定められているものは、関係法令等を確認してください。
エ 主な添付書類
(ア)現物支給の場合
〔支出負担行為決議書関係〕支出伺、見積書、契約書(案)
〔支出命令書関係〕請求書、検査調書、契約書
〔支出負担行為決議書兼支出命令書関係〕経費支出伺、請求書
(イ)金銭の給付の場合
〔支出負担行為決議書兼支出命令書関係〕経費支出伺、請求書又は支出調書
(ウ)支払事務の委託者に支払う場合
〔支出負担行為決議書兼支出命令書関係〕経費支出伺、診療報酬請求書(内訳書)
、納
入通知書、概算払請求書
(エ)入所施設長、保険医療機関等に支払う場合
〔支出負担行為決議書兼支出命令書関係〕経費支出伺、請求書又は診療報酬請求書、
明細書等
(オ)本人に支払う場合
〔支出負担行為決議書兼支出命令書関係〕経費支出伺、各法令等による医療費請求書、
支払(受給)者名簿台帳等
第4章 歳出 第1節 -100-
高知県会計事務処理要領
21 貸付金
(1)貸付金とは
(2)支出事務
県が直接又は間接に地域住民の福祉の増進を図るため、法令又は条例等に基づき市町村、
公益法人、その他個人等に貸付けをする経費です。
なお、定期預金(歳計現金の保管の一形態)と貸付金はその性質、目的が異なるものであ
るから、明確に区別される必要があります。政策目的のために金融措置を講ずるには、貸付
金として予算計上するべきです。
ア 貸付金の根拠は明確か。
法令、条例、規則、要綱等によるものであるか、また、要綱等の整備は十分であるか確
認してください。
イ 貸付申請手続は適正か。
(ア)借受人の資格要件は、法令、要綱等の定めるところによっているか。
(イ)貸付申請書、事業計画書、その他必要とする書類及び提出時期等が法令等により定め
られているものについては、その定めにより確認すること。
ウ 貸付条件が定められている場合は、その条件に該当するか。
法令、要綱等で次の事項について確認してください。
・貸付金額、貸付期間、貸付利率、償還方法、違約金、延滞利息、物的担保、連帯保証人、
償還免除
エ 貸付決定通知は適正か。
オ 消費貸借契約書の作成は適正か。
カ 貸付期間及び貸付額は適正か。
キ 借用書、公正証書の作成は適正か。
法令、条例、規則、要綱等に作成の定めのあるものは、その定めるところにより作成さ
れているか確認してください。
ク 実貸付けまでに購入、保険加入等の書類提出が必要なものである場合、それらは適正に
提出されているか。
ケ 主な添付書類
(ア)個人又は団体に貸し付ける場合
〔支出負担行為決議書関係〕貸付決定書(案)
、貸付申請書、消費貸借契約書(案)
、
関係法令、要綱、通達、通知、算出基礎、貸付先内訳書等
〔支出命令書関係〕請求書、貸付決定書、消費貸借契約書、公正証書
(イ)貸付けを行う金融機関に預託をする場合
〔支出負担行為決議書関係〕貸付決定書(案)
、預託内訳書、関係法令、要綱、通達、
通知、算出基礎、貸付先内訳書
〔支出命令書関係〕請求書等
第4章 歳出 第1節 -101-
高知県会計事務処理要領
22 補償、補填及
び賠償金
(1)補償、補填
及び賠償金と
は
《補償金》
県が行う損失補償、賠償に要する経費です。
県の適法な行政活動により生ずる損失の補償であり、原因行為には財産権に対する侵害を
直接とするもの、人の行為に対する規制の結果として、経済的な価値剥奪を生じる場合の二
つに分けることができます。
・法律に基づき、他人の土地、土石、竹林等を使用又は収用した場合の損失補償
・非常災害時の応急負担として他人の土地、工作物等の一時使用又は収用した費用の損失
補償
・用地取得に伴い、契約によって行う移転補償等
・建物建築に伴い電波障害が発生した住民に対する補償
《補填金》
県が被った欠損を補うために支払う経費
ア 欠損補填金
権利放棄・債権の免除・賠償責任の免除等により県が被った欠損を補填するもの
・議会の議決を経た金銭債権等の権利放棄による欠損補填、貸付金・出資金の債権免除
による欠損補填
・職員の賠償責任の免除による欠損補填等
イ 繰上充用金
歳入不足の時、翌年度の歳入を当該年度の歳入に繰り上げて充てるもの
《賠償金》
県職員が公務中に違法な行為により他人の権利又は利権を侵害して損害を与えた場合に、
その損害を県が補填するために支払う経費。法令に特別の定めがない限り、議会が議決した
額になります。
・交通事故の賠償金
・県の契約不履行や履行の遅延等によって与えた損害の賠償金等
(2)支出事務
ア 支出の根拠は明確か。
法令、条例、規則、要綱、契約によるものであるか確認してください。
イ 契約の相手方は正当な権利者か。
登記簿謄本、契約書等により確認してください。
ウ 金額の算定は適正か。また支出する額に誤りはないか。
エ 前金払、概算払を行う場合は、その理由及び額は適正か。
オ 移転完了後支払う場合は、移転完了の確認ができる書類が添付されているか。
カ 議会の議決を経ているか。
(ア)判決により確定した損害賠償の額は、さらに自治法第 96 条第1項により議決を得る必
要はありません。
(昭和 36 年 11 月 27 日行政実例)
(イ)法律上県の義務の属する一件 500 万円以下の損害賠償の額の決定については、知事が
専決処分できます。
(ウ)額については、高知県損害賠償等審査会で審査します。
キ その他の留意点
違約金、延滞金等は、いずれも当節から支出します。
ク 主な添付書類
〔支出負担行為決議書関係〕伺、算出基礎、契約書(案)等
〔支出命令書関係〕請求書、登記済証等、契約書、周辺の電柱等固定した目標物を入れ
て撮影した移転前と移転後の写真(建設移転料の場合)
第4章 歳出 第1節 -102-
高知県会計事務処理要領
23 償還金、利子
及び割引料
金銭債務の弁済、一時借入金等の利子及び県債の割引料等の支払に要する経費であり、内
(1)償還金、利
子 及 び 割 引 料 容的には次のように分かれます。
とは
・地方債の元金償還金
《償還金》
・公社公団等への償還金
・借入返済金(一時借入金を除く。
)
・過年度の税収入及び税外収入の過誤納還付金
・国庫補助金の確定に伴う返還金
・県収入証紙返還金等
《小切手支払
済償還金》
・振出日から1年経過後の小切手に係る償還請求に基づき支払う経費
・隔地払支払未済金
《利子割精算
金》
・他の都道府県が還付等した利子割の当該都道府県への支払精算金
《利子及び割
引料》
・地方債の利子
・一時借入金の利子
・地方債の割引料
・納付又は納入の委託のあった手形の割引料
《還付加算金》
・県税過誤納還付加算金
《地方消費税
清算金》
・本県に払い込まれた地方消費税のうち、他の都道府県に属するものの支払清算金
(2)支出事務
ア 償還金、利子及び割引料について
(ア)償還の時期は適正か。
支払期日は償還期限の日となっているか確認してください。
(イ)償還金額、利子計算に誤りはないか。
(ウ)分担金等が納入されているか。
(エ)出納閉鎖後の戻出金の取扱いは適当か。
現年度の歳出として、当節から支出されます。
(自治令第 165 条の8)
(オ)地方税の過誤納金の特別な取扱いについて
過誤納金を還付する場合に、その還付を受ける者の未納に係る県税の徴収金があると
きは、それに充当しなければならない(地方税法第 17 条の2)ので出納閉鎖後、過誤納
金を充当する場合は、償還金として歳出予算計上し支出手続をとった後、未納徴収金に
充当します。
イ 支払未済償還金について
(ア)時効になっていないか。
(イ)未払であるか。
(ウ)発行後1年を経過しているか。
第4章 歳出 第1節 -103-
高知県会計事務処理要領
24 投資及び出
資金
県が財産管理の有効手段として若しくは公益上の必要等から債権又は株式を取得したり、
(1)投資及び出
財団法人の寄附行為に係る出捐金を支出する経費です。
資金とは
(2)支出事務
25 積立金
(1)積立金とは
(2)支出事務
ア 支出の根拠は明確か。
支出の原因となる参考資料によって確認してください。
イ 支出の時期、金額は適当か。
添付書類により額及び出資時期又は払込み時期を確認してください。
ウ 出資先が解散した場合の取扱いは明確か。
エ 公有財産に当たる場合には、総務部長に協議されているか。
自治法第 241 条の規定に基づき、特定の目的のため財産を維持し、資金を積み立て、又は
定額の資金を運用するための基金に対して支出する経費です。
ア 特定の目的のために財産を維持し資金を積み立てるために設置されている基金への積立
金
・財政調整基金、減債基金、災害救助基金等
イ 特定の目的のために定額の資金を運用するための基金への積立金
・土地開発基金、自然保護基金、文化基金、森林整備対策基金等
ア 支出の根拠は明確か。
基金の設置は条例によらなければなりません。
(自治法第 241 条)
イ 支出額は適正か。
歳入歳出予算に計上された金額であるか確認してください。
第4章 歳出 第1節 -104-
高知県会計事務処理要領
26 寄附金
(1)寄附金とは
(2)支出事務
27 公課費
(1)公課費とは
(2)支出事務
公益上の必要に基づいて支出する経費であり、財産の無償譲与です。
ア 公益上必要なものであり、法令等による制限を受けていないか。
(ア)宗教等の事業に対する公金の支出禁止(憲法第 89 条)
(イ)国、他の地方公共団体等の強制割当的寄附の禁止(地方財政法第4条の5)
県が一般私人と同様な立場において、公租公課を納める場合に要する経費であり、自動車
重量税、入場税、各種登録税等があります。
ア 支出の根拠、時期及び金額は適正か。
法令に額の定めのあるものは、その金額を確認してください。
イ 自動車取得税、印紙税等、県が非課税団体になっている支出ではないか。
ウ 支出手続は適正か。
自動車重量税の印紙の購入は、自動車整備振興会等が正当債権者であり、資金前渡で支
払うことになります。ただし、車検を依頼する業者に購入してもらい請求書の内訳に重量
税印紙代を明示し、需用費と公課費に区分して支払うこともできます。
第4章 歳出 第1節 -105-
高知県会計事務処理要領
28 繰出金
(1)繰出金とは
(2)支出事務
一般会計と特別会計又は特別会計相互間における予算充用のために支出する経費です。
ア 繰出しについての制限はないか。
地方公営企業法が適用される事業の特別会計に対する繰出しは、独立採算の原則から同
法第 17 条の3の規定による補助、同法第 18 条の規定による出資、同法第 18 条の2の規定
による長期貸付けを行う場合に限られます。
イ 支出手続は適正か。
公金振替の方法により支出してください。
ウ 支出の時期は適当か。
第4章 歳出 第1節 -106-
高知県会計事務処理要領
第8歳出の会
計年度所属区
分
(1)会計年度所
属区分
歳出の会計年度所属区分は次によります。
【自治令第 143 条第1項】
経
費
所 属 年 度
(1)地方債の元利償還金、年金、恩給の類 支払期日の属する年度
根 拠
令143①1
(2)給与その他の給付(年金、恩給の類を 支給すべき事実の生じた時 令143①2
除きます。
)
の属する年度
(3)地方公務員共済組合負担金及び社会 支出の原因である事実の存 令143①3
保険料
した期間の属する年度
(4)賃借料、 ア 支出の原因である事 支出の原因である事実の存
実の存した期間が1年 した期間の属する年度
光 熱 水
度のもの
費、電信
電 話 料 の イ 支出の原因である事 支払期限の属する年度
類
実の存した期間が2年
度にわたるもの
(5)工事請負費、物件購入費、運賃の類及 当該行為の履行があった日 令143①4
び補助費の類で相手方の行為の完了 の属する年度
があった後支出するもの
(6)その他
支出負担行為をした日の属 令143①5
する年度
【自治令第 143 条第2項】
旅行の期間が2年度にわたる場合におけ 当該2年度のうち前の年度 令143②
る旅費
の歳出予算から概算で支出
することができる。
当該旅費の精算によって生
ずる返納金又は追給金は、
精算を行った日の属する年
度の歳入又は歳出とする。
(注)
1 「給与その他の給付」とは、自治法第2編中の第8章給与その他の給付と同じであり、
費用弁償、旅費も含まれます。
2 3月分の時間外勤務手当、特殊勤務手当等は、4月1日以降に支出しても旧年度とな
ります。
3 退職手当の年度区分は、裁定の日ではなく「支給すべき事実の生じた時」
、すなわち退
職又は死亡の日の属する年度です。
4 「社会保険料」とは、健康保険法、船員保険法、厚生年金保険法、雇用保険法等の規
定により地方公共団体が事業主として納付するものをいいます。
5 電気料、水道料等は、3月に使用した分が含まれている場合であっても検針日が4月
であれば新年度となります。
6 電話料の3月分通話料と4月分使用料等が一括請求されたときは、通話料は旧年度、
使用料等は新年度の所属となります。
第4章 歳出 第1節 -107-
高知県会計事務処理要領
<事例>
使用料金期間
通話料金期間
3. 1~3.31
3.11~4.10
4. 1~4.30
4. 1~4.30
2.11~3.10
3. 1~3.31
2.21~3.20
3. 6~4. 5
支払期限
4.10
4.30
4.20
5.10
支出の会計年度所属区分
使用料金
通話料金
旧年度
新年度
新年度
新年度
旧年度
旧年度
旧年度
新年度
7 「履行があった日」とは、履行確認の日をいい、検査の日です。
8 「補助費の類」とは、補助金、負担金等をいい、寄附金は含みません。
9 「その他」には、扶助費又は損害保険料が含まれます。
10 旅行期間が2年度にわたる旅費を精算払する場合は、旧年度分と新年度分とに分けて
支出します。
第4章 歳出 第1節 -108-
高知県会計事務処理要領
第2節 支出負担行為
事 項
説
明 ・ 根 拠 法 令
第1支出負担 1 支出負担行為とは、地方公共団体の支出の原因となるべき契約その他の行為をいい、地方
公共団体が支出の義務を負うこととなる予算執行の第一段階の行為をいうものであり、次の
行為の意義
ような行為があります。
(1)工事、製造等の請負契約又は物品の購入契約のような私法上の債務を負担する行為
(2)補助金の交付決定のような公法上の債務を負担する行政行為
(3)地方公共団体の不法行為に基づく損害賠償金の支出の決定行為
(4)給与その他の給付の支出決定行為
(5)地方公共団体内の会計間の繰入の決定行為
2 支出負担行為は、歳入の調定に相当し、支出発生の経理上の時点を定めたもので、支出命
令行為とは別個の行為として法定されており、法令又は予算の定めるところに従いこれをし
なければならないとされています。
(自治法第 232 条の3)
※ 「法令に従い」とは、法律及び政令、地方公共団体の条例、規則等に基づき処理するこ
と又は根拠を有することが要求されることをいい、
「予算の定めるところに従い」とは、歳
出予算、継続費及び債務負担行為等の各科目別又は事項別金額の範囲内でその目的に従う
ことをいいます。
3 支出負担行為は、年度内(3月 31 日まで)に行わなければなりません。
4 支出負担行為と支出決定とは全く別の概念であるので、支出負担行為を行わず直ちに支出
手続きを行うことはできません。
5 支出負担行為をしようとするときは、支出負担行為決議書により決議をしなければなりま
せん。
(会計規則第 43 条)
第2支出負担
行為の決議
1調査すべき
支出負担行為をしようとするときは、次の事項について調査しなければなりません。
事項
(1)支出負担行為の内容が法令に違反していないか。
(2)予算の規定に違反していないか。
(3)予算の配当額又は令達額を超過することはないか。
(4)予算の各科目別、事項別の目的に従っているか。
(5)予算が効率的に使用されるものであるか。
(6)特定財源は確保されているか。
(7)金額の算定は適正であるか。
2支出負担行
支出負担行為をしようとするときは、支出負担行為決議書(会計規則第 25 号様式又は会計規
為決議書
則第 26 号様式)により決議しなければなりません。支出負担行為決議書は支出科目別及び債権
者別に作成しますが、次に掲げる場合には内訳書(会計規則第 27 号様式又は会計規則第 27 号
様式の2)を添付して一括して行うことができます。
(1)相手方が同一であって、複数科目のとき
(2)支出科目が同一であって、2人以上の相手方(資金前渡職員を除く。
)のとき
3作成する時
支出負担行為決議書を作成する時期は、会計規則別表第3及び別表第4の定めるところによ
期
りますが、次のことにも留意して行わなければなりません。
(1)別表第3及び別表第4のうち、支出負担行為決議書を作成する時期が「請求のあったと
き」又は「支出を決定しようとするとき」となっている経費に係る支出負担行為は、支出
負担行為決議書兼支出命令書(会計規則第 26 号様式)によることができます。この場合、
経費支出伺により事前に決裁を受けておかなければなりません。
(2)資金前渡に係る支出負担行為は、支出負担行為決議書兼支出命令書(会計規則第 26 号様
式)によらなければなりません。
第4章 歳出 第2節 -109-
高知県会計事務処理要領
(会計規則別表第3)
節 の 区 分
支出負担行為決議書を作成する時期
(1)報酬
(2)給料
(3)職員手当等
支出を決定しようとするとき。
(4)共済費
(5)災害補償費
(6)恩給及び退職年金
(7)賃金
(8)報償費
(9)旅費
(10)交際費
支出を決定しようとするとき。ただし、物品を購入する場
合にあっては、(11)需用費の例による。
支出を決定しようとするとき。
支出を決定しようとするとき。ただし、物品を購入する場
合にあっては、(11)需用費の例による。
(11)需用費
消耗品費
燃料費
契約をしようとするとき。ただし、次の場合にあっては、
支出を決定しようとするときとすることができる。
ア 単価契約による場合等契約締結の時点において、支払金
額が確定していない場合
イ 年間伺による法規等追録代及び新聞等定期刊行物購読料
を支出する場合
ウ 契約予定金額が 10 万円以下の物品を購入する場合
エ 高知県用品等調達特別会計により物品を購入する場合
食糧費
契約をしようとするとき。ただし、次の場合にあっては、
支出を決定しようとするときとすることができる。
ア 次の場合で、支出負担行為決議書を事前に作成すること
ができないとき。
(ア) 予定外の食事((ウ)に掲げるものを除く。)で、予定価
格が 10 万円以下の場合
(イ) 懇談会に伴う食事で、予定価格が 10 万円以下の場合
(ウ) 災害発生時その他緊急時における食事である場合
イ 船員法(昭和 22 年法律第 100 号)第 80 条第 1 項の規定に
より支給する食料、刑事収容施設及び被収容者等の処遇に
関する法律(平成 17 年法律第 50 号)第 186 条第 1 項第 2 号
の規定により支給する食事及び湯茶その他法令等の規定に
よる食事で、単価契約による場合
印刷製本費
契約をしようとするとき。ただし、次の場合にあっては、
支出を決定しようとするときとすることができる。
ア 単価契約による場合
イ 契約予定金額が 10 万円以下の場合
ウ 高知県用品等調達特別会計により調達する場合
光熱水費
契約をしようとするとき。ただし、次の場合にあっては、
支出を決定しようとするときとすることができる。
ア 単価契約による場合等契約締結の時点において、支払金
額が確定していない場合
イ 電気料、水道料及びガス料金を支出する場合
第4章 歳出 第2節 -110-
高知県会計事務処理要領
修繕料
契約をしようとするとき。ただし、次の場合にあっては、
支出を決定しようとするときとすることができる。
ア 緊急に行わなければならない場合
イ 発注時に金額を確定することが困難で、契約予定金額が
次の金額以下の場合
(ア)建物の修繕にあっては、100 万円
(イ)建物以外の修繕にあっては、30 万円
賄材料費
飼料費
医薬材料費
契約をしようとするとき。ただし、次の場合にあっては、
支出を決定しようとするときとすることができる。
ア 単価契約による場合等契約締結の時点において、支払金
額が確定していない場合
イ 契約予定金額が 10 万円以下の物品を購入する場合
(12)役務費
契約をしようとするとき。ただし、次の場合にあっては、支
出を決定しようとするときとすることができる。
ア 単価契約による場合等契約締結の時点において、支払金額
が確定していない場合
イ 電話料及び通信料を支出する場合
ウ 契約予定金額が 10 万円以下の場合
(13)委託料
契約をしようとするとき。ただし、次の場合にあっては、支
出を決定しようとするときとすることができる。
ア 単価契約による場合等契約締結の時点において、支払金
額が確定していない場合
イ 高知県会計事務集中管理特別会計に係るものである場合
(14)使用料及び賃借料
契約をしようとするとき。ただし、次の場合にあっては、支
出を決定しようとするときとすることができる。
ア 単価契約による場合等契約締結の時点において、支払金額
が確定していない場合
イ 契約予定金額が 30 万円以下の場合
ウ 高知県会計事務集中管理特別会計に係るものである場合
(15)工事請負費
契約をしようとするとき。
(16)原材料費
契約をしようとするとき。ただし、物品を購入する場合にあ
っては、(11)需用費の例による。
(17)公有財産購入費
契約をしようとするとき。
(18)備品購入費
契約をしようとするとき。ただし、物品を購入する場合にあ
っては、(11)需用費の例による。
(19)負担金、補助及び交付金
指令をしようとするとき又は負担の決定をしようとすると
き。ただし、次の場合にあっては、支出を決定しようとすると
きとすることができる。
ア 交流職員に係る人件費を支出する場合
イ 10 万円以下の負担金を支出する場合
ウ 県立学校において災害共済給付金を支出する場合
(20)扶助費
支出を決定しようとするとき。
(21)貸付金
貸付けをしようとするとき。ただし、高知県高等学校等奨学
金を支出する場合にあっては、支出を決定しようとするときと
することができる。
(22)補償、補填及び賠償金
額の決定をしようとするとき。
(23)償還金、利子及び割引料
支出を決定しようとするとき。
第4章 歳出 第2節 -111-
高知県会計事務処理要領
(24)投資及び出資金
投資又は出資をしようとするとき。ただし、支払金額が確定
していない場合にあっては、支出を決定しようとするときとす
ることができる。
(25)積立金
積立てをしようとするとき。
(26)寄附金
寄附をしようとするとき。
(27)公課費
申告をしようとするとき又は請求のあったとき。
(28)繰出金
支出を決定しようとするとき。
備考1 債務負担行為済みのものの歳出予算に基づく支出負担行為に関する手続は、そ
れぞれ当該経費の支出を決定しようとするときまでに行うものとする。
2 「請求のあったとき」又は「支出を決定しようとするとき」とあるのは、支出
負担行為決議書兼支出命令書により支出負担行為を決議することができる場合で
あり、この場合は、事前に経費支出伺による決裁を受けておくものとする。
(会計規則別表第4)
区
分
支出負担行為決議書を作成する時期
1 資金前渡
資金前渡をしようとするとき
2 繰替金
振替支出をしようとするとき
3 過年度支出
支出を決定しようとするとき
4 繰越し
繰越額の配当又は令達のあったとき
5 債務負担行為
債務負担行為をしようとするとき
6 誤払金等の戻入
戻入のあったとき
4緊急修繕に
会計規則別表第3、修繕料の項ただし書き「ア」において、緊急に行わなければならない場
ついて
合は、支出負担行為決議書兼支出命令書で支出負担行為の決議ができますが、緊急に行わなけ
ればならない修繕のうち、発注時に修繕金額が不明な場合の取り扱いは下記のとおりです。
(1)経費支出伺の作成について
経費支出伺の作成にあたっては、通常の伺に記載する内容に加えて、修繕金額が不明な
理由及び緊急に行わなければならない理由、業者の選定理由、支出限度額(見込)を記載
すること。
(2)請書の徴取等について
発注時には請書(別紙1)
(第 4 章 歳出 第 4 節 -124-2- ページ)を徴すること。
発注後、具体的な業務内容、修繕金額、業務期間が明らかになった時点で、それらが記
載された書類を契約者から徴取すること。
その際、修繕金額が50万円を超える場合や業務期間の延長が必要な場合は、請書(変
更)
(別紙2)
(第 4 章 歳出 第 4 節 -124-4- ページ)を徴取すること。
(3)検査調書の作成について
修繕金額が100万円を超える場合は、検査調書を作成すること。
なお、100万円以下の場合は検認表示を行うこと。
5経費支出伺
について
6作成の時期
の例外
会計規則別表第3、備考2中の「経費支出伺」の様式については定められていませんが、こ
の伺いは支出負担行為に準じて行うものです。よって、経費支出伺をするときは、上記1につ
いて調査しなければなりません。
出納整理期間における支出負担行為は、原則としてできないものですが、次の支出を決定し
ようとするに当たっての支出負担行為については、例外としてできるものです。
(1)補助金等(補助金、いわゆる以内契約による委託料)の額の確定及び誤払金等の戻入に
基づく減額
(2)会計年度所属区分が支給すべき事実の生じた時の属する年度(自治令第 143 条第1項第
2号)である給与その他の給付
(3)会計年度所属区分が支出の原因である事実の存した期間の属する年度(自治令第 143 条
第1項第3号本文)である経費
第4章 歳出 第2節 -112-
高知県会計事務処理要領
7添付する書
支出負担行為決議書には、契約書案、見積書その他支出負担行為の基礎となる調書等を添付
類
しなければなりません。
(会計規則第 43 条)
8支出負担行
支出負担行為をした後において支出負担行為の額に変更の必要が生じたときは、直ちに増減
為額の変更
額の変更の理由を明らかにして支出負担行為決議書(変更)を作成しなければなりません。
9災害時等の
風水害震火災又は予見しがたい非常事態が発生したことにより、支出負担行為決議書を作成
特例
するいとまがない場合は、当該処理を行うことが可能となったときに作成することができます。
第4章 歳出 第2節 -113-
高知県会計事務処理要領
第3支出負担
行為の事前合
議
1合議の主旨
地方公共団体の会計事務の適正な執行を確保するために、会計事務に関して知事と会計管理
者の権限は明確に区分されています。すなわち、予算執行に関する支出負担行為やそれに基づ
く支出命令については、知事の権限に属させ(自治法第 149 条)
、当該支出命令の審査及び支払
の事務は会計管理者の権限で(自治法第 170 条)執行するように区分されています。
会計管理者の権限として、会計管理者は知事の支出命令を受けた後、当該支出負担行為が法
令又は予算に違反していないか、当該債務が確定しているか確認したうえでなければ支出をす
ることができない(自治法第 232 条の4)とされ、この確認行為が会計管理者の審査権と呼ば
れるものです。この審査権は、支出命令後に行使する、いわゆる事後審査が原則ですが、審査
の結果支出命令に法令違反等の事実があったときは、会計管理者は支払を拒否しなければなり
ません。
しかし、契約その他の行為が履行され地方公共団体の支払義務が生じた後、事後審査により
支払を拒否することは、実際問題としてかなり困難であるので、審査の実効性、会計事務の公
正適正さを確保するために支出負担行為のうち重要なものについて事前に審査権を行使するこ
とが適当とされているものです。
(昭和 38 年9月 10 日自治省通知)
2合議を必要 (1)会計管理者への事前合議を要する範囲(会計規則第 44 条に定められたもの)は下表のと
とするもの
おりです。ただし、(11)節のうち光熱水費及び(19)節のうち「県と市町村との間の職員交
流に関する取扱要綱」に規定する職員交流により県に派遣された職員に係る人件費につい
ては合議は必要ありません。
節 の 区 分
(13) 委託料
(19) 負担金、補助及び交付金
(15) 工事請負費
合 議 を 要 す る 範 囲
1件の支出負担行為額が 100 万円以上のもの
1件の支出負担行為額が 5,000 万円以上のもの
(10) 交際費
(11) 需用費
(12) 役務費
(14) 使用料及び賃借料
(16) 原材料費
(17) 公有財産購入費
1件の支出負担行為額が 500 万円以上のもの
(18) 備品購入費
(21) 貸付金
(22) 補償、補填及び賠償金
(24) 投資及び出資金
(26) 寄附金
(2)支出負担行為の金額が変更により上記の表の額に達したときは、合議を要します。
(3)上記(1)の合議がなされたものの支出負担行為の変更は、合議を要します。
ただし、上記(1)による合議ののち変更(減額)により支出負担行為の金額が上記の
表の額に達しなくなったものについて、その後、再度変更する場合の支出負担行為は、変
更後の金額が上記の表の額に達しない限り合議は必要ありません。
また、工事請負費、測量調査等委託料の支出負担行為の変更については、議会の議決を
要するものを除き合議を省略することができます。
例)委託料
契約時(契約金額 100 万円)の支出負担行為決議書 100 万円
上記の表で(13)委託料の合議を要する範囲が「100 万円以上」のため合議が必要
第1回変更(変更後の契約金額 90 万円)の支出負担行為決議書(変更)△10 万円
(3)により「合議がなされたものの支出負担行為の変更」のため合議が必要
第4章 歳出 第2節 -114-
高知県会計事務処理要領
第2回変更(変更後の契約金額 80 万円)の支出負担行為決議書(変更)△10 万円
(3)のただし書きにより、変更前の支出負担行為額が 100 万円未満で、かつ変更
後の支出負担行為額も 100 万円未満であるため合議は不要
(4)債務負担行為の合議を要する範囲は支出負担行為と同様です。なお、1件の契約その他
の行為について、支出負担行為と債務負担行為を併せて行う場合の合議を要する範囲は、
その合計額が合議を要する範囲となります。
例)委託料(契約期間が2年度にわたるもの)
支出負担行為決議書 50 万円+債務負担行為決議書 50 万円=合計 100 万円
この場合、上記の表で(13)委託料の合議を要する範囲が「100 万円以上」のため合議
が必要
(5)合議済みの債務負担行為及び支出負担行為で、内容変更のない単なる債務負担行為の現
年化及び繰越しに係る支出負担行為については、合議は必要ありません。
(6)支出負担行為担当者が重要又は異例のものと認めたもの(事務処理規則第9条各号に規
定するもの)は、合議を要します。
例)長期継続契約に係る歳出予算初年度の支出負担行為(契約期間の契約金額の累計額が
上記の表の額に達しない場合は除く。
)は合議が必要
※ 「長期継続契約の支出負担行為の取扱いについて(通知)
」
(平成 18 年3月 16 日付高
出会第 363 号出納局長通知)参照
第4章 歳出 第2節 -115-
高知県会計事務処理要領
第4支出負担
次に掲げることに留意し、適正に取り扱ってください。
行為等の留意
事項
1支出負担行 (1)関係法令及び予算の定めるところにより行われているか。
為
ア 支出負担行為の内容が法令に違反していないか。公金の支出制限に抵触していないか。
イ 予算の規定に違反していないか。
ウ 予算の配当額又は令達額を超過することはないか。
エ 予算の各科目別、事項別の目的に従っているか。
オ 予算が効率的に使用されているものであるか。
最少の経費で最大の効果の原則及び必要かつ最小限度の原則にそった執行であることを
確認してください。
カ 特定財源は確保されているか。
キ 金額の算定は適正であるか。
(2)作成の時期は適正か。
ア 作成時期は、会計規則別表第3、4の定めによっているか。
イ 会計年度独立の原則に従っているか。
(自治法第 208 条第2項、第 220 条第3項)
(3)支出負担行為額に誤りはないか。
支出負担行為決議書の金額は契約額等と合致しているか、また、その積算は適正か確認
してください。
ア 金額算定の根拠が法令等によるものは、当該法令等を確認すること。
イ 入札書、見積書、請書、契約書、決定通知書等の単価、数量、合計額を検算すること。
ウ 入札の場合及び見積書の価格が消費税抜きの場合(工事請負、設計等の委託)は、消費
税相当額を上乗せした金額になっているか。
(4)決裁、合議は適正になされているか。また、権限を越える場合の承認は得ているか。
ア 委任若しくは専決等により、支出負担行為の権限を与えられた者の決裁であること。
イ 財産規則、予算規則、契約規則、会計規則等に定められた合議によっていること。
ウ 出先機関において、権限を越える場合は、別途個別委任を受けているか。
(5)支出負担行為決議書の記載は適正か。
ア 必要な事項について記載され、決裁印等押印されているか。
イ 記載事項は、契約書等の添付書類と合致し、その内容は適正か。
(ア)予算計上科目と相違していないかどうか照合すること。
(イ)食糧費については、細節経理をすること。
(ウ)支出負担行為の相手方の記載は適当か。
(エ)繰越明許費に係るものについては、当該繰越明許費の範囲内であること。
(オ)債務負担行為に係るものについては、予算の内容として計上され、その範囲内である
か確認すること。
(カ)繰越明許費、事故繰越に係るものについては、繰越しの手続がなされているか、工期
の変更の手続がなされているかを確認すること。
2契約
(1)契約の方法、根拠は適正か。
指名競争入札、随意契約は、政令で定める場合に該当するときに限り、これによること
ができます。
(自治法第 234 条第2項)
ア 一般競争入札の場合、公告は定められたとおり行われているか。
イ 指名競争入札、随意契約により契約している場合の適用条項は適正か。
(ア)適用条項、理由が明記されているか。
(イ)当然1回に契約すべきものを故意に2回以上に分割して、その予定価格が随意契約に
することができる額とすることはできない。
(2)予定価格調書は適切に作成されているか。
予定価格は適正に定められているか確認してください。
ア 権限を有する者によって作成され、決裁を得ているか。
-115-2-
第4章 歳出 第2節 -116-
高知県会計事務処理要領
イ 随意契約で作成を省略している場合、省略できるものであるか。
この場合、約定する契約金額の積算基礎は明らかにされているか確認してください。
(3)随意契約の際の見積書は適正か。
ア 見積書の内容、金額は適当か。
(ア)法人等の住所、職氏名、印鑑等は、契約権限のある者の表示又は押印となっているか。
(イ)見積書が2枚以上にわたる場合は、割印されているか。
イ 見積書の徴収を省略している場合、その理由は適当か。
見積書の徴収を省略できるのは、法令の規定によりその価格が定められている場合及び
見積調書等が添付されている場合です。
ウ 2人以上の者から見積書を徴しているか。
エ 単独見積による場合、具体的な理由が明示されているか。また、その理由は適当か。
当然に1回に契約すべきものを故意に2回以上に分割して、その予定価格が単独見積に
することができる額とすることはできません。
(4)入札保証金は適正に処理されているか。
ア 額は契約金額の 100 分の5以上であるか。
イ 免除している場合、明記された適用条項は適当か。
(5)契約保証金は適正に処理されているか。
ア 契約締結前に納付され、額は契約金額の 100 分の 10(高知県住宅供給公社等について
は 1000 分の1)以上であるか。
イ 免除している場合、明記された適用条項は適当か。
(6)契約書、請書は適切に作成されているか。
地方公共団体が締結する契約は、原則として契約書の作成を要します。
ア 契約の相手方は適正か。また、記名押印は適切か。
イ 契約の額は適正か。
ウ 標準書式又は書式登録によらない契約を締結する場合は、会計管理課長に協議されてい
るか。
エ 契約書の作成を省略している場合は、省略できるものに該当するか。
オ 契約書の作成を省略している場合は、請書等を徴しているか。
カ 工事又は製造の請負で予定価格が5億円以上の場合は、仮契約を締結したうえ議会の議
決に付さなければならないこと。
キ 収入印紙は印紙税法に基づき、適正な金額で貼付されているか。
-115-3-
第4章 歳出 第2節 -117-
高知県会計事務処理要領
第3節 支出命令
事 項
説
明 ・ 根 拠 法 令
第1支出命
支出命令とは、支出負担行為をした債務を履行するために、予算執行権を持つ知事が会計事務を
令の意義
つかさどる会計管理者に対し、支出を求める行為を指します。また、会計管理者は、支出命令がな
ければ支出をすることができないとされています。
(自治法第 232 条の4)
なお、支出命令は、契約その他の行為の履行確認が年度内に完了していれば、出納整理期間中に
も行うことができます。
第2支出の
手続
1請求書に (1)支出は、債権者の請求書によってしなければなりません。
よる支出の
ただし、支払義務の確定した次に掲げる経費で資金前渡による場合を除き、
「請求書を徴す
原則
る必要がないと認めるもの」又は「請求書を徴することが困難なもの」については、支出調書
又は支払義務を証明する文書をもって請求書に代えることができます。
また、口座振替による資金前渡の場合であって、ア及びキに掲げる経費については、請求書
を省略することができます。
ア 報酬、給料及び諸手当
イ 恩給及び退職年金
ウ 賃金及び謝礼金
エ 交際費及び報償費
オ 委託料(法令に定めのあるもの)
カ 負担金、補助金(精算払に限る。
)及び交付金
キ 生活保護費(現物支給するものを除く。
)
ク 高等学校等就学支援金事業(扶助費に限る。
)
ケ 貸付金(申請により貸付けを決定したもの)
コ 職務発明等に関する実施補償金
サ 賠償金
シ 県債元利金及び県債取扱手数料
ス 過誤納に係る県税その他歳入金の払戻し及び証紙の還付金
セ 官公署に支払う経費
ソ 国の公社又は公団に支払う経費
タ 旅費
※ 適法な請求書の提出があったときは、速やかに収受日付印を押さなければなりません。
(資
金前渡職員から受理した請求書は除きます。
)
(2)請求書又は支出調書への記載事項又は添付書類
請求書又は支出調書(以下「請求書等」という。
)には計算の基礎を明らかにするとともに、
原則として次に掲げる支出については、それぞれに掲げる事項を記載し、又は書類を添付しな
ければなりません。
また、支出命令書に支払先として記載された口座番号等が、支出の相手方のものと同一であ
ることの確認を要しますので、請求書等には口座番号等の表示が必要です。
そのときの記載事項は、金融機関名、店舗名、預金種別、口座番号、口座名(カナ)です。
種
別
ア 報酬及び給与
記載事項又は添付書類
職氏名、級・号給、月額、日額等(任免、転任その他欠
勤等の事項により支給額に異動を生じたもの又は日割計
算をしたものについては、その理由、金額、現金支給額
等)を記載した調書
イ 退職手当、災害 裁定通知書の写し
補償費等
第4章 歳出 第3節 -116-
高知県会計事務処理要領
種
別
記載事項又は付書類
ウ 労務賃金
事業名、就労場所、職種、就労日数等を記載した調書及
び就労を証する書類
エ 普通旅費
用務その他についての事項及び旅行命令者において証明
を要すると認める事項を証する書類
オ 赴任旅費
赴任、移転、扶養家族及び居住現認を証する書類
カ 物の製造、物件 用途、品名、規格、数量、単価、金額、消費税等の事項
の購入、修繕の代 及び検収証明の書類
金
キ 食糧費
品名、数量、単価、金額、消費税、目的、年月日及び出
席人員等の事項
ク 物件の運搬料
名称、数量、目的、料金、消費税、運送区間及び運送年
月日等の事項
ケ 物件の保管料
名称、数量、目的、料金、消費税、保管場所及び保管期
間等の事項
コ 広告料
広告の要件、年月日、単価、金額、消費税等及び実施の
具体的事実を証する書類
サ 委託料
目的、内容、金額等の事項及び事実を証する書類
シ 土 地及 び物 件 名称、所在地、期間、用途、金額、消費税等の事項及び
の借用代金、使用 借用又は使用を証する書類
料
ス 工事請負代金
工事名、工事場所、着手・完成年月日、請負金額、工事
請負代金の支出明細の事項及び検査調書
セ 不 動産 の買 収 名称、所在地、事業名、用途、金額、消費税等及び移転
代金
登記年月日等の事項
ソ 補助金、交付金 補助等の相手方、金額、指令番号等を記載した調書、検
及び負担金
査又は確認を要する補助金等については、さらに当該検
査又は確認の報告に関する書類
タ 貸付金
名称、金額、目的、根拠規定等の事項
チ 物件の移転料
名称、所在地、移転完了年月日の事項及び移転を証する
書類
ツ 償還金
理由、事実発生年月日及び支出決定年月日等の事項
テ 出資金
名称、金額、目的等の事項
ト 相 殺の ため の 相殺する債権及び債務を証する書面
支出
ナ 代 理人 への 支 代理受領の権利を証する書面
出
ニ 部分払
請求総額、前回までの受領額、今回の請求額の事項及び
検査調書
ヌ ア から ニま で 目的、理由、年月日、計算の基礎、適宜の明細等の事項
に 掲 げ る 支 出 以 及び事実を証する書類
外の支出
第4章 歳出 第3節 -117-
高知県会計事務処理要領
2支出命令
書
(1) 支 出 命
支出命令者が支出をしようとするときは、支出命令書(会計規則第 26 号様式又は会計規則第 28
令
号様式)により、会計管理者又は出納員に支出命令しなければなりません。また、次に掲げる場合
には、内訳書(会計規則第 29 号様式又は会計規則第 29 号様式の2)を添付し一括して支出命令を
行うことができます。なお、別々に決議した支出負担行為決議書は、まとめて支出命令をすること
ができません。
ア 債権者が同一であって、複数科目のとき
イ 支出科目が同一であって、複数債権者のとき
(2) 支 出 命
支出命令書の添付書類は、会計規則第 46 条第7項に定めるところによりますが、会計管理者又
令書の添付 は出納員が特に求める場合を除き、支出負担行為決議書、契約書、請書、見積書その他支出の内容
書類
を示す関係書類の原本等を支出命令書に添付しておくことを省略することができます。この場合に
おいて、支出命令者は、請求書、支出調書、内訳書等のいずれかに次のような表示を行い、これを
受けて会計管理者又は出納員は、当該原本等と支出内容の照査及び保管責任者の確認を行った後、
支出負担行為担当者に返還してください。
原 本 等 添 付 書 類 名
月
保
管
責任者印
出納員等
確 認 印
日支出負担行為決議書
書類
(3) 検 査 調
県が工事若しくは製造その他についての請負契約、又は物件の買入れその他の契約を締結した場
書
合において、契約の適正な履行を確保するため、又はその受ける給付の完了の確認をするため必要
な監督又は検査をしなければなりません。
ア 検査職員は、契約書、仕様書及び設計書その他の関係書類に基づき、当該給付の内容及び数量
について検査を行わなければなりません。
イ 検査職員は、検査完了後速やかに当該検査の内容を明らかにした書類(検査調書)を作成しな
ければなりません。ただし、契約規則により検査調書を省略したものについては、検査職員は納
品書(発行されていないものについては請求書)に「 年 月 日検認済」の旨を表示し、検査
職員の認印を押印しておいてください。
3支出金か
支出金からの控除とは、支出命令を行う場合において、歳入又は歳入歳出外現金に受け入れるも
らの控除
の及び本人に代わり支払うものについて、控除内訳書(会計規則第 30 号様式)を添付し支出金か
ら差し引くことをいいます。
なお、これとは別に、所得税法(昭和 40 年法律第 33 号)第 183 条に規定する給与等からの所得
税の徴収、労働保険の保険料の徴収等に関する法律(昭和 44 年法律第 84 号)第 31 条に規定する
賃金からの労働保険料の控除等いわゆる「法定控除」と言う呼び方がありますので混同しないよう
にしてください。
(1)法令の規定により控除するもの
ア 労働保険の保険料の徴収等に関する法律(昭和 44 年法律第 84 号)の規定により被保険者の
負担すべき保険料
イ 所得税及び地方税
ウ 健康保険法(大正 11 年法律第 70 号)
、厚生年金保険法(昭和 29 年法律第 115 号)又は船員
保険法(昭和 14 年法律第 73 号)の規定により被保険者の負担すべき保険料
エ 差し押えられた給与
オ 共済組合納付金(掛金及び貸付金の返済金等をいう。
)
カ 勤労者財産形成貯蓄契約又は勤労者財産形成年金貯蓄契約に基づく預入金
第4章 歳出 第3節 -118-
高知県会計事務処理要領
(2)知事が定め控除するもの
ア 賠償金
イ 給与等集中管理特別会計への戻入
(3)支出金からの控除額は、次により処理してください。
ア (1)のア及び(2)のアは、歳入へ振替え、自動的に収入調定書(事後調定)が作成され
ます。
イ (1)のイからエは、歳入歳出外現金へ振替え、この場合歳入歳出外現金受入通知書の作成
は必要ありません。
ウ (1)のオ及びカは、口座振替の方法により払い込みます。
エ (2)のイは、知事あての返納通知書とともに支払証で支払います。
(4)支出金からの控除額の戻入
支出金からの控除額が過控除又は控除の必要がなくなった場合は、その超過額を戻入しなけ
ればなりませんが、この場合戻入の手続は、公金振替の方法により行ってください。
-
第3支出命
支出命令者は、支出命令書及び関係書類を会計管理者又は出納員に、支払予定日の7日前(年度
令書の送付 末等支払が集中する時期に、会計管理者又は出納員が別に定めるときは、その日)までに送付して
等
ください。
※ 支出命令書の送付における日数には、休日は含みません。
(支出命令書受付後の手続)
┏━━┳━━━━━━━━━━━━━━━━━┳━━━━
0
1
2
3
4
5
6
7
8(日前)
支 支銀 確
送
払 払行 認
付
予 デへ 入
最
定
渡 力
終
日 タす 最
期
を日 終
限
日
┗━━━━━━━━━━━━━━┛
審査及び支出の決定
1 支払予定日(支出命令者が支払を希望する日)は、支払期日が確定している経費についてはそ
の日、支払期日が確定していない経費については支払を希望する日で指定しなければなりませ
ん。
2 出先機関においては、送付期限は弾力的に運用しても差し支えありませんが、出納員が、支出
の決定等に要する時間及び支払の確認入力を支払予定日の2日前までに行う必要があることを
考慮して送付しなければなりません。
3 本庁においては支出命令書は2通出力され、会計管理課で支出命令確認書に記載された支払日
の日付をもって、次の支払済印を押印して、1通(正)を支出命令者に返送するものとします。
なお、支出命令書の1通(控)には、決裁は必要ありませんが、担当者が正本と同じものであ
ることを確認のうえ担当者印を押印し、支出命令書(正)の下にクリップで留めてください。
出先機関においては、出納員が支出命令書1通に支出命令確認書に記載さ
れた支払日の日付をもって、前記「支払済」印に準じたものを押印しなけれ
ばなりません。
4 次に掲げる特別会計に係る振替に伴う支出命令については、あらかじめ、特別会計におけるそ
れぞれのシステムの中で会計規則第 48 条第 1 項に規定する審査事項を確認していることから、
それぞれのシステムでの確認をもって会計管理者又は出納員の支出の決定及び出納員から会計
管理者への通知がなされたものとして取り扱います。この場合、会計管理者及び出納員への支出
命令書の送付は必要ありません。なお、出納員にあっては、支出命令書を保管するものとします。
第4章 歳出 第3節 -119-
高知県会計事務処理要領
また、
「公金振替確認済一覧表」により、支払日の確認ができるので、この一覧表をもって支
出命令書への「支払済」印の押印がなされたものとして取り扱います。各所属は、この「公金振
替確認済一覧表」を支出命令書に係る証拠書類として保管してください。
(1) 給与等集中管理特別会計
(2) 用品等調達特別会計
(3) 旅費集中管理特別会計
(4) 会計事務集中管理特別会計
第4支払時
県の支払時期については、政府契約の支払遅延防止等に関する法律第 14 条の規定に基づき、同
期
法の規定が準用されるため、支払に当たっては遅延のないよう適正に行う必要があります。
同法に規定する支払時期は、県が給付の完了の確認又は検査を終了した後、相手方から適法な支
払請求書を受理した日から起算するものですが、契約書等で約定している場合はその定められた日
以内、また、約定していない場合は、15 日以内に支払わなければなりません。
なお、契約書等で約定する場合は、工事代金については 40 日、その他の給付に対する対価につ
いては 30 日以内としなければならないこととなっています。
※ 1「適法な支払請求書」とは、法令、契約又は慣習により添付すべき書類が添付され、請求金
額、請求年月日、請求者の氏名、印及び債権の内容等が記入されたものをいいます。
2「受理した日」とは、単なる到着を指すものではなく、債権者から適法な支払請求書が到達
し、県においてこれを処理し得る状態となった日をいい、受理した日も1日に算入されます。
3補助金・負担金・還付金等の支払時期については、政府契約の支払遅延防止等に関する法律
の適用外です。
第5支出命
令における
留意事項
1支出命令
次に掲げることに留意し、適正に取り扱ってください。
(1)請求書に基づいているか。
請求書には必要な事項が記載され、定められた必要書類が添付されているか関係書類を照査
確認してください。
ア あて名に誤りはないか。
知事又は委任された者になっているか確認してください。ただし、高知県、課名、出先機関
名等、高知県として特定できるあて名と認められるものにあっては差し支えありません。
イ 請求書が2枚以上にわたる場合は、割印されているか。
ウ 請求額に誤りはないか。
(ア)消費税は適正か。
(イ)金額の端数計算に当たっては、国等の債権債務等の金額の端数計算に関する法律に従い、
1契約の合計の端数が切り捨てられているか。
エ 請求書の訂正部分には訂正印が押印されているか。
オ 首標金額が訂正された請求書を受理していないか。
カ 請求書を省略している場合、省略できるものに該当するか。また、この場合、支出調書又は
支払義務を証明する文書によっているか。
(2)支出先(債権者)は適正か。
正当債権者のための支出であるか確認してください。
ア 請求書の住所、氏名、印鑑を契約書、見積書と照合、確認すること。
(ア)変更があった場合は、変更届及び必要に応じて登記簿謄本等を添付すること。
(イ)見積書の印を紛失した場合は、請求書に実印を押し印鑑証明を添付すること。
イ 代理人等による請求書の場合は、委任状等の添付があるか。
ウ 債権譲渡について知事の承諾を必要とするものについては、承諾を受けているか。
第4章 歳出 第3節 -120-
高知県会計事務処理要領
建設工事請負契約書(標準書式)の規定により債権譲渡の承諾をする場合は、債権譲渡承諾
基準に従っているか確認してください。
エ 債権差押、転付命令は行われているか。
オ 債権者が死亡した場合又は法人の解散、合併等の場合、請求が権利を承継した者からなされ
ているか。
債権者が死亡した場合は、相続人の請求によって支出することとなります。また、相続人が
複数で、遺産相続の協議が成立している場合はその者に、これ以外の場合は委任状による代表
者に支払うこととなります。なお、請求書には、戸籍謄本等相続人であることを証する書類を
添付してください。
カ 過年度支出の場合、時効により請求権が消滅していないか。
(3)支払時期は適正か。
請求書等の収受日付印は正確に押印され支払は遅延していないか確認してください。
ア 政府契約の支払遅延防止等に関する法律で定められた期限内に支払うことになっているか。
契約書等で約定している場合はその定められた日以内、約定していない場合は 15 日以内に
支払わなければなりません。
イ 国庫支出金等を財源としているものについては収入済であるか。
(4)支出命令額に誤りはないか。
請求額と合致しているか、また、請求額の積算は適正か確認してください。
ア 金額算定の根拠が法令等によるものは、それにより算出されているか。
イ 二重払いの防止のため、光熱水費、通信費、定期刊行物、法規追録等及び単価契約で請求に
基づいて支払するものについては、支払確認票等を添付し、その都度確認すること。
(5)支出命令書の記載の方法は適正か。
ア 必要な事項について記載され、決裁印等押印されているか。
イ 記載事項は、請求書、支出負担行為決議書等の添付書類と合致し、その内容は適正か。
(ア)支出命令年月日は適当か。
(イ)支払区分、支払内容は適当か。
ウ 定められた必要書類は添付されているか。
(ア)複数科目で支払をする場合は、内訳書(科目)が添付されているか。
(イ)複数債権者で支払をする場合は、内訳書(相手方)が添付されているか。
(ウ)所得税等を控除する場合は、控除内訳書が添付されているか。
(エ)契約書等に定めがある場合、その書類は添付されているか。
(オ)工事請負等の前金払の場合、保証会社の証書が添付されているか。
(カ)支出負担行為決議書等関係書類の添付を省略する場合は、原本等添付書類名が明記され、
保管責任者の押印がされているか。
(6)検査、検認は適切になされているか。
ア 検査権限のある者によって、検査命令及び検査がされているか。
(ア)検査調書等の作成を省略している場合、請求書等に「 年 月 日検認済」の表示及び検
査職員の認印の押印がされているか。
(イ)検査職員はその任命を受けているか。
(ウ)検査職員が監督職員を兼ねていないか。
イ 検査調書の作成が必要なものについては、適正な検査調書が作成され、決裁を得ているか。
ウ 検査調書の内容に誤りはないか。
エ 検査の時期は適正か。
2支出の種 (1)資金前渡は適正か。
類
ア 前渡職員の指名手続は行われているか。
イ 資金前渡できる経費か。
ウ 資金前渡職員が、前渡資金の精算を終わらない場合は、当該資金前渡職員に対しては、重ね
て同種の資金を前渡することができない。
第4章 歳出 第3節 -121-
高知県会計事務処理要領
エ 必要な書類は添付されているか。
前渡職員の請求書は添付されているか確認してください。
オ 精算書の記載は適正か。
(ア)精算は期限内に行われているか。
a 支払後(出張中に支払ったものについては、帰庁後)7日以内に行われているか。
b 7日を超える場合、支出命令者の承認を受けているか。
(イ)精算明細書は証拠書類1件ごとに記載され、合計額に誤りはないか。
(ウ)精算金額は適正か、領収書等の証拠書類と照査確認すること。
(エ)戻入をする場合は、適正に行われているか。
a 通知年月日は精算日以降になっているか。
b 納期限は通知日から7日以内になっているか。
c 前渡職員は、直ちに戻入しているか。
(2)概算払は適正か。
ア 概算払ができる経費か。
イ 契約書等に明記されているか。
(ア)契約書等に明記された支払時期が到来しているか。
(イ)支払理由、金額、率は適正か。
(3)前金払は適正か。
ア 前金払ができる経費か。
イ 契約書等に明記されているか。
(ア)契約書等に明記された支払時期が到来しているか。
(イ)支払理由、金額、率は適正か。
(4)繰替払は適正か。
ア 繰替払ができる経費か。
イ 繰替払報告書が作成されているか。
(5)振替要求による支出、払出しは適正か。
ア 証拠書類は完備しているか。
イ 適正な振替要求書(正本)であるか。
(ア)金額は適正か。
(イ)公印は押印されているか。
用品等調達特別会計への公金振替に係る振替要求書は、公印を省略しています。
(ウ)請求者及び宛名は、課又は出先機関の長であるか。
3支払方法
(1)支払方法は適切か。
口座振替で支払ができるにもかかわらず、隔地払による支払の方法になっていないか確認し
てください。
4戻入
(1)戻入の手続は適正か。
ア 戻入の根拠は適正か。
支出負担行為決議書その他の書類及び戻入決議書を照査し、判断してください。
イ 戻入決議書の記載の方法は適正か。
(ア)戻入決議年月日は適正か。
(イ)戻入額は適正か。
(ウ)通知日は適切か。前渡資金の精算によるものは精算報告以降になっているか。
(エ)納期限は通知日から、契約書等に定めのある場合を除き、7日以内になっているか。
(オ)返納理由は適切か。
(カ)収納状況一覧表により戻入済を確認のうえ戻入日が記載されているか。
第4章 歳出 第3節 -122-
高知県会計事務処理要領
5歳入歳出 (1)歳入歳出外現金として取り扱う経費は適正か。
外現金
歳入歳出外現金の整理区分(款相当)は次のとおりです。
ア 所得税
イ 地方税
ウ 保証金
エ 敷金
オ 社会保険料
カ 災害見舞金
キ 奨学寄附金
ク 一時保管金
ケ 指定金融機関担保金
コ その他
(2)受入れ、払出しの手続は適正か。
ア 受入れ、払出しの時期は適正か。
(ア)支出金からの控除をしない場合は歳入歳出外現金受入通知書を作成すること。
(イ)所得税の払出しは遅れていないか。
イ 払出しの場合、検認があるか。
社会保険料の検認は通常月末に行うこと。
ウ 所得税の年末調整
(ア)年末調整の対象となる職員か。
扶養控除等申告書を提出している者で、その年の最後の賃金の支払を受けるときまで在職
する者が対象となります。
(イ)年末調整を行う時期は適当か。
a その年の最後の賃金を支払うときに行うこと。
b 本所属に勤務する以前に給与を受けている場合には、その額も併せて年末調整を行うこ
と。
この場合には、支払われた給与の額及び源泉徴収税額等を証する書類を添付してくださ
い。
(ウ)所得税を還付する場合の手続は適正か。
(3)歳入歳出外現金受入通知書・歳入歳出外現金払出通知書の記載は適正か。
必要な事項について記載され、決裁印等が押印されているか確認してください。
ア 出納通知者の決裁はされているか。
イ 通知年月日は適正か。
ウ 金額、納入者、相手方の記載は適正か。
エ 納付目的、払出理由は適正か。
オ 支払方法の表示に誤りはないか。
第4章 歳出 第3節 -123-
高知県会計事務処理要領
第4節 誤払金等の戻入
事 項
説
明 ・ 根 拠 法 令
第1戻入の意
戻入とは、支出の原因がないにもかかわらず誤って支出した金額(誤払い)又は計算違い等
義
により正当な債務を超えて支出した金額(過渡し)等本来支出の必要がなかった金額を返納さ
せるときに、当該返納金を予算使用の目的を達成させるため、歳入として受け入れることなく、
支出した歳出科目に戻し入れることをいいます。
1 戻入の対象となるものは、次のとおりです。
(1)歳出の誤払い又は過渡しとなった金額
「控除処理を伴う賃金等の戻入について」を参照してください。
(2)資金前渡、概算払又は私人への支出事務委託に係る精算残金
2 戻入の手続き
(1)誤払金等の戻入をしようとするときは、次に掲げる戻入決議書により会計管理者又は出
納員に通知し、返納通知書(会計規則第 33 号様式)を返納義務者に送付しなければなり
ません。
(返納期限は、契約書等に定めのある場合を除き、発行の日から7日以内)
資金前渡の場合・・・戻入決議書(兼前渡資金精算書)
(会計規則第 32 号様式の2)
又は戻入決議書(会計規則第 32 号様式)
資金前渡以外の場合・・・戻入決議書(会計規則第 32 号様式)
(2)戻入の決議は、次に掲げる場合には内訳書(会計規則第 34 号様式又は会計規則第 34
号様式の2)を添付し一括して行うことができます。
なお、別々に行った支出命令書は、まとめて戻入をすることはできません。
ア 返納義務者が同一であって、複数科目のとき
イ 支出科目が同一であって、2人以上の返納義務者(以下「複数返納義務者」という。
)
のとき
※ 複数科目又は複数返納義務者による戻入をしようとするときは、一科目又は一返納義
務者でも返納されると他のものは取り消すことができないので留意してください。
(3)本庁においては、支出命令者は戻入決議書を2通送付し、会計管理者はその内容を確認
のうえ、1通(正)を支出命令者に返送するものとします(戻入決議書の1通(控)には、
決裁は必要ありませんが、担当者が正本と同じものであることを確認のうえ担当者印を押
印し、戻入決議書(正)の下にクリップで留めてください。
)
。支出命令者は、収納状況一
覧表(会計管理課より送付)により戻入済を確認のうえ、戻入決議書に戻入日を記載して
ください。
出先機関においては、収納状況一覧表(財務会計システム《サポートメニュー/帳票取
り出し》
)により戻入済を確認のうえ、戻入決議書に戻入日を記載してください。
(4)戻入による支出負担行為の減額は、返納金の領収済の通知があったときに行うものとし
ますが、この場合における支出負担行為決議書の作成は省略するものとします。
(5)支出命令者は、返納通知書に年度等の誤記等のため、誤った戻入が行われたことを発見
した場合及び消し込み不能となった場合の手続きについては、収入済みの整理(会計規則
の施行について(依命通達)第2の9)に準じて行ってください。
(6)債権者の死亡等の原因により県の債務が履行できなくなり支出命令を取消し戻入を要す
ると認めたときは、支出命令訂正(取消)決議書(会計規則の施行について(依命通達)
別表第7)及び戻入決議書に返納通知書(会計規則第 33 号様式)を添えて会計管理者又
は出納員に通知しなければなりません。
通知を受けた出納員は、支出命令訂正(取消)決議書の写し及び返納通知書を添えて直
ちにその旨を会計管理者に通知し、会計管理者が返納通知書を添えて指定金融機関に通知
します。この場合の、返納通知書の債権者欄(納入者欄)には、四国銀行県庁支店と記載
してください。
(7)公金振替により支払った支出金の戻入は、公金振替の方法によらなければなりませんの
で留意してください。
第4章 歳出 第4節 -124-
(別紙1) (第2節、第2、4緊急修繕について(112 ページ)関係)
請
業務名
業務概要
修繕金額
業務期間
書
業務開始後、修繕金額が判明次第明らかにする。
平成
年
月
日 から 平成
年
月
日 まで
上記の修繕業務については、次の事項に従い、誠実に履行します。
1 修繕金額が判明次第、修繕金額と業務期間が記載された書類を提出すること。
2 貴職の承諾を受けなければ、この契約によって生ずる権利又は義務を第三者に譲渡し、若しく
は承継させ、又は担保に供することはしないこと。
3 本契約に係る事業の遂行に当たって、暴力団員等(高知県暴力団排除条例(平成 22 年高知県
条例第 36 号)第2条第3号に規定する暴力団員等をいう。9において同じ。
)による不当若しく
は違法な要求又は契約の適正な履行を妨げる妨害を受けたときは、その旨を高知県に報告すると
ともに、所轄の警察署に届け出ること。
4 業務期限内に本業務の完了を厳守すること。
5 業務の施行に関しては、貴職の指示に従うこと。
6 この契約の履行に関して知り得た秘密を第三者に漏らさないこと。
7 業務が完了したときは、速やかに届け出て貴職の検査を受けること。
8 検査に合格した後、支払の請求を行い修繕金額の支払を受けること。
9 次の(1)から(12)までのいずれかに該当する場合は、この契約を解除されても異議がないこと。
(1) 11 に定める理由以外の理由により、業務期限後相当の期間内に本業務を完了する見込みが
明らかにないと認められるとき。
(2) (1)のほか、この契約に違反し、その違反により契約の目的を達することができないと認め
られるとき。
(3) 当方が暴力団(高知県暴力団排除条例第2条第1号に規定する暴力団をいう。以下同じ。
)
であると認められるとき。
(4) 役員等(次に掲げる者をいう。以下同じ。
)が暴力団員等であると認められるとき。
ア 法人にあっては、代表役員等及び一般役員であって経営に事実上参加している者
イ 法人以外の団体にあっては、代表者、理事その他アに掲げる者と同等の責任を有する者
ウ 個人にあっては、その者及びその使用人(支配人、本店長、支店長その他いかなる名称を
有する者であるかを問わず、事業所の業務を統括する者(事業所の業務を統括する者の権限
を代行し得る地位にある者を含む。
)
)
(5) 役員等が、業務に関し、暴力団員等であることを知りながら当該者を使用し、又は雇用し
ていると認められるとき。
(6) 暴力団又は暴力団員等がその経営又は運営に実質的に関与していると認められるとき。
(7) 役員等が、自己、その属する法人等(法人その他の団体をいう。
)若しくは第三者の利益を
図り、又は第三者に損害を加えることを目的として、暴力団又は暴力団員等を利用していると
認められるとき。
(8) 役員等が、いかなる名義をもってするかを問わず、暴力団又は暴力団員等に対して、金銭、
第 4 章 歳出 第 4 節 -124-2-
物品その他財産上の利益を与え、又は便宜を供与する等直接的又は積極的に暴力団の維持又は
運営に協力し、又は関与していると認められるとき。
(9) 役員等が、業務に関し、暴力団又は暴力団員等が経営又は運営に実質的に関与していると
認められる業者であることを知りながら、これを利用していると認められるとき。
(10) 役員等が、県との契約に関し、暴力団又は暴力団員等が経営又は運営に実質的に関与して
いると認められる業者であることを知りながら、これを利用していると認められるとき。
(11) (3)から(10)までに掲げるもののほか、役員等が暴力団又は暴力団員等と社会的に非難され
るべき関係を有していると認められるとき。
(12) 3に規定する義務を履行しなかったと認められるとき。
10 9に定めるところによりこの契約を解除されたときは、修繕金額の 10 分の1に相当する額(当
該額に1円未満の端数があるときは、当該端数を切り捨てた額)の違約金を貴職の指定する期限
までに支払うこと。
11 天災事変その他当方の責めに帰することができない理由によって、業務期限までに完了の見込
みがなく、これを延長しなければならないときは、その理由を明らかにして、期限内に貴職に業
務期限の延長について届け出ること。この場合において、その理由が貴職において正当と認めら
れないときは、12 に定める損害金を支払うこと。
12 11 に定める理由以外の理由によって、業務期限内に業務を完了することができないときは、そ
の理由を明らかにして、期限内に届け出ること。この場合において、期限後に完了する見込みが
あるときは、損害金(修繕金額から出来高部分に相応する修繕金額相当額を控除した額につき、
遅延日数に応じ年○.○パーセントの割合(年当たりの割合は、閏年の日を含む期間についても、
365 日当たりの割合とする。
)を乗じて得た額(当該額に1円未満の端数があるときは、当該端数
を切り捨てた額。計算した損害金の額が、100 円未満である場合を除く。
)
)を支払い、業務を完
了させること。
13 契約の履行にあたり、貴職及び第三者に損害を及ぼしたときは、当方の負担においてその賠償
をすること。
14 1から 13 までに定めのない事項については、必要に応じて貴職と協議して定めること。
高知県
契約担当者
様
平成
年
月
日
住所
氏名
第 4 章 歳出 第 4 節 -124-3-
印
□
(別紙2) (第2節、第2、4緊急修繕について(112 ページ)関係)
請
平成
年
請けします。
月
書(変更)
日付けで契約を締結した
(業務名)
は、下記のとおりお
記
1 修繕金額
2 業務期間
高知県
契約担当者
円(うち消費税及び地方消費税
平成
年
月
日から 平成
年
円)
月
日 (
日延長)
様
平成
年
月
日
住所
氏名
印
□
注) 修繕金額のみ、又は業務期間の延長のみの場合は、必要項目以外は削除又は訂正すること。
第 4 章 歳出 第 4 節 -124-4-
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