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3-5 琵琶湖の歌
〈琵琶湖をみる・遊ぶ・食べる〉 琵琶湖の歌 3-5 琵琶湖をテーマにした歌は、曲数はさほど多くないが、 どの歌も聴く人 の心に残る印象深いものが多い。その中でとりわけ特色ある「琵琶湖周 航の歌」 「琵琶湖哀歌」 「近江八景」を取り上げ、それぞれの曲の特徴と聴 きどころについて紹介する。 1. 琵琶湖周航の歌 小口 太郎作詞、 吉田 千秋作曲のこの歌は、 全国的にもよく知られた曲であり、 多く の人に愛唱されている。歌いやすい旋律と県内の地名が多く出てくるため、 県民にと って親しみやすい曲になっている。 六番の「長命寺」は西国三十一番が正しいが、 旋律と合わないと小口 太郎が十 番に変えてしまったようである。 一 われは湖の子 さすらいの 旅にしあれば しみじみと 昇る狭霧や さざなみの 志賀の都よ いざさらば 二 松は緑に 砂白き 雄松が里の 乙女子は 赤い椿の 森陰に はかない恋に 泣くとかや 三 波のまにまに 漂えば 赤い泊火 なつかしみ 行方定めぬ 波枕 今日は今津か 長浜か 四 瑠璃の花園 珊瑚の宮 古い伝えの 竹生島 仏の御手に いだかれて ねむれ乙女子 やすらけく 五 矢の根は 深く埋もれて 夏草しげき 堀のあと 古城にひとり 佇めば 比良も伊吹も 夢のごと 六 西国十番 長命寺 汚れの現世 遠く去りて 黄金の波に いざ漕がん 語れ我が友 熱き心 琵 琶 湖 を み る ・ 遊 ぶ ・ 食 べ る 2. 琵琶湖哀歌 昭和16年春に旧制第四高等学校(現:金沢大学)のボート部員が比良八荒の 突風のため高島市萩の浜沖の湖底に沈んだ。乗っていた11名の尊い命が奪わ れるという悲しい出来事となり、奥野 椰子夫作詞、菊池 博作曲の「琵琶湖哀歌」 は、 その後、 哀悼歌として作られ、 後輩たちに歌い継がれてきた。 一 遠くかすむは 彦根城 波に暮れゆく 竹生島 三井の晩鐘 音絶えて 何すすり泣く 浜千鳥 二 瀬田の唐橋 漕ぎぬけて 夕日の湖に出で行きし 雄々しき姿よ いまいずこ あー青春の 唄のこえ 三 比良の白雪 溶けるとも 風まだ寒き 志賀の浦 オールを揃えて さらばぞと しぶきに消えし 若人よ 四 君は海の子 かねてより 覚悟は胸の 浪まくら 小松ヶ原の 紅椿 御霊を護れ 湖の上 3. 近江八景 本県で特に美しい八つの情景は「近江八景」 と名付けられ、 古くから多くの県民 に親しまれてきた。この歌は歌詞にその八つの情景を入れて歌われているのが特 徴。旋律は明るい調子で、 軽快なリズムにより作られている。 (作詞、 作曲者不詳) 一 三井寺のかねの音 すみわたる夕暮れ 初雁も堅田に声立てておちきぬ ひとりたてる唐崎の老松 雨か波かさびしげにひびくは 二 いまもなお みにしむ 粟津野の秋風 いずかたぞ昔のかねひらのいしぶみ 瀬田の夕日とこしえにさびしく 比良の暮雪いつ見ても 美くし 三 月のかげさやかに すみのぼる石山 千代かけてしのぶは 紫のそのふで 山田矢橋みえわたるなどころ さして帰るふねのほも三つ四つ 写真3-5-3 近江八景「唐崎夜雨」 (大津市歴史博物館蔵) 写真3-5-1 雄松崎 114 写真3-5-2 竹生島 大津市立葛川中学校 辰巳 関連する項目は T1-2 晴生 JASRAC 出0704708-701 115