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「アナフィラキシーショックとその対応」

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「アナフィラキシーショックとその対応」
埼玉県地域課題解決型協同事業市民対象救急救命講習
救急車が来るまでに
“あなたはいつ救急車を呼びますか?”
“その時あなたは何ができますか?“
全ては大切な命を救うために!
「アナフィラキシーショックとその対応」
JSISH所属 BLSインストラクター
東京消防庁応急手当普及員
NPO法人 CATS所属 市民インストラクター
坂本 博之
平成25年11月28日(木)
<学習目標>
1.「食物アレルギー」と「蜂アレルギー」が起こったことを認識できる。
2.アレルギー反応が「軽症」か「重症」の区別ができる。
軽症アレルギー ⇒ 呼吸の異常なし
ぐったりしていない
重症アレルギー ⇒ 呼吸の異常あり(呼吸の悪化)
ぐったりする
3.「軽症」「重症」それぞれについてとるべき処置ができる。
軽症アレルギー ⇒ 様子を見る
重症アレルギー ⇒ 「エピペン」を使う必要があると認識できる
「エピペン」を使う(打つ)決断ができる
(打たない場合の結果を知り打つ決心ができる)
「エピペン」を打つことができる(実技)
4.救急車要請ができる(救急車要請の決断)
<アレルギーとは>
人間の体内 ⇒ ウィルスや細菌等の異物侵入 ⇒ 抗体が作られる。
⇓
これら外敵を退治しようとする「免疫」という仕組みがある。
⇓(ところが、この免疫が・・・)
食べ物・花粉等の害のない物質に対しても「有害な物質だ!」
⇓
過剰に反応し攻撃しすぎる ⇒ マイナスの症状引き起こす
⇓
アレルギー ⇒ 体を守る「免疫」反応のエラー
アレルギーの原因物質 ⇒ 「アレルゲン」または「抗原」
⇓
食物・薬物・花粉・ダニ・ハウスダスト・蜂毒等々
(蜂毒にはアレルギー反応を引き起こすアレルゲンやヒスタミンが含まれている)
「免疫」エラー(アレルギー)の犯人は・・・・・?
⇓
「IgE抗体」というたんぱく質
⇓
アレルゲン体内侵入→「IgE抗体」が作られる
皮膚や粘膜の表面にあるマスト細胞の表面に、アンテナのようにはり巡らされる
⇓
再びアレルゲン侵入⇒「IgE抗体」に結合
⇓
マスト細胞からヒスタミン等の化学物質が一気に放出
⇓
かゆみ等の症状 ⇒ アレルギー症状
<アナフィラキシーとは>
アレルギー発症後
⇓
極めて短時間で全身性にアレルギー症状が出る反応
⇓(きっかけは)
アレルゲンを「食べる」「飲む」「吸い込む」
⇓(どこに現れるか)
全身性に複数の臓器
(皮膚・粘膜・呼吸器・消化器・循環器)
⇓
血管拡張血圧低下・意識障害
⇓(生命の危機)
アナフィラキシーショック
<重要>早期の「評価」「判断」「行動」
「判断」に迷ったら「行動」
<事例>
小学5年生の女児、重度の乳アレルギー
給食は除去食を食べていた
⇓
担任がお替わりのチーズ入りチヂミを配布
「大丈夫か?」尋ねるが、保護者が印を付けた献立表に印は無く、食べてしまう
⇓
30分後、女児が「気持ち悪い」と体調不良を申し出る
担任は、他児童に養護教員を呼ぶように指示
⇓
担任は、女児の「エピペン」を取り出し「これ、打つのか?」と尋ねたが
女児は、「違う、打たないで」と拒否⇒打たなかった
⇓
養護教員が救急車要請
<次ページへ>
⇓
女児が「もれそう」と言ったため、おんぶでトイレへ、便座に座らせた
⇓
名前を呼んでも返事無し⇒表情は青い⇒「AED」の手配を指示
⇓
女児が「気持ち悪い」と申し出てから30分後に校長が「エピペン」を打つ
⇓
その4分後に救急隊到着
⇓
病院に搬送、3時間後に死亡(給食を食べた4時間後)
※この事例を読んで、あなたはどのように考えますか?(問題点・対応など)
<エピペンの適応>
「エピペン」が処方されている人でアナフィラキシーショックを疑う場合
下記の症状が一つでもあれば使用すべきである
消化器の症状
・繰り返し吐き続ける ・持続する強い(我慢できない)お腹の痛み
・喉や胸が締め付けられる
・声がかすれる
・犬が遠吠えするような咳
・持続する強い咳き込み
・ゼーゼーする呼吸
・息がしにくい
呼吸器系の症状
・唇や爪が青白い(チアノーゼ ) ・脈が触れにくい、不規則
・顔全体の腫れ
・意識がもうろうとしている
・尿や便をもらす
全身の症状
・ぐったりしている
<DVD de ディスカッション1>
エピソード1 遠足「お弁当」
・シーン1、2
「お弁当」のおかずを交換して食べた5分後・・・・・
“何が起こったか?”“どう対応するか?”ディスカッション
・シーン3(発症から1分後)
症状悪化・・・・・“先生の対応”についてディスカッション
・シーン4
反応なく「死戦期呼吸」様相
“何が起こったか?”“先生の対応”“どう対応するか?”
についてディスカッション
・シーン5
模範映像を観てディスカッション
<DVD de ディスカッション>
エピソード2 下校中「蜂刺され」
・シーン1~4
“何が起こったか?”“先生の対応は?”“どう対応する?”
ディスカッション
・シーン5
“先生の対応は?”“どう対応する?”
・シーン6
模範映像を観てディスカッション
※エピソード1・2を通して「エピペン」を使用・不使用の時の違いを
ディスカッション
<実技>
1.「エピペン」の使用方法(打ち方)
2.119番通報の仕方
※エピペンの効果時間は、10~20分位
その後再発する場合もある
<DVD de ディスカッション3>
エピソード3 「給食」
・シーン1~3
“何が起こったか?”“どう対応するか?”ディスカッション
・シーン4~6
“解説”ディスカッション
アレルギー症状
・4つの「アレルギー症状」を観てディスカッション
“どんな症状か?”“どう対応するか”
<実技「CPR+AED」>
「症状」に対しどんなに一生懸命対応しても・・・・・、最悪の事態
「心肺停止」になることがある。そんな時こそ落ち着いて対応する
ことが重要!
「周囲の安全確認」
「反応確認・呼吸確認」⇒「反応・普段通りの呼吸なし」
⇓
大声で助けを呼ぶ
「119番通報」「AED」を依頼
⇓
「CPR」開始(胸骨圧迫)
⇓
「AED」到着⇒即「AED」使用⇒胸骨圧迫
※何らかの仕草が見られるか、「救急隊」に引き継ぐまで
※「救急隊」到着」前に何らかの仕草が見られたら「CPR」をやめ
様子を見守る⇒「回復体位」にする
<参考>
「アナフィラキシー」症状がでるまでの時間
⇓
「アレルゲン」「個人差」により異なる
薬物・蜂毒・・・早く症状が出る(直接体内にはいるため)
食物・・・・・・・・時間がかかることが多い
(胃や腸で消化されるまで時間がかかるため)
「心停止」までの平均時間
薬物⇒5分 蜂毒⇒15分 食物⇒30分
<参考>
主なアレルゲン1
<食物アレルギー>
省令により表示義務化⇒卵・牛乳・小麦・海老・蟹
(症例数が多い)
蕎麦・落花生
(症状が重篤で生命に関わる)
通知により表示が推奨⇒鮑・烏賊・イクラ・オレンジ・牛肉
キウイフルーツ・桃・胡桃・鮭・鯖
大豆・鶏肉・豚肉・松茸・山芋
りんご・バナナ・ゼラチン
<参考>
主なアレルゲン2
<蜂毒>
スズメバチ・アシナガバチ等の蜂の毒液
※蜂はこちらから刺激しなければ刺されることはまず
ない。蜂に刺されないようにするためには、
「蜂に近づかない」「巣に近づかない」「蜂や巣に触れない」
<薬物>
ペニシリン等抗生物質・アスピリン等解熱鎮痛剤・抗てんかん薬
造影剤・ワクチン・麻酔薬・輸血
<ラテックス>
ゴムノキの樹液に含まれる成分
※医療用手袋・風船・ゴム靴・ゴム草履等に使われている
<参考>
日本における「アナフィラキシー」による死亡者数
西暦
2006
2007
2008
2009
2010
2011
食
物
5
5
4
4
4
5
蜂
毒
20
19
15
13
20
16
薬
物
34
29
19
26
21
32
血
清
1
1
0
1
0
0
詳細不明
6
12
10
7
6
18
合
66
66
48
51
51
71
計
<参考>
<YOU TUBE>
・「食物アレルギー」緊急対応シュミレーション
アレルギー症状⇒アナフィラキシー⇒エピペン使用
⇒心肺停止⇒CPR+AED
・「エピペン」の使用方法
※「YOU TUBE」に上記の動画があるので家での復習学習にご覧
ください。
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