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1− 第88回中部圏知事会議議事録 開催年月日 平成19年11月

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1− 第88回中部圏知事会議議事録 開催年月日 平成19年11月
第88回中部圏知事会議議事録
開催年月日
平成19年11月9日(金)
会
場
ホテル日航金沢(金沢市)
者
富山県知事
石井隆一
石川県知事
谷本正憲
福井県知事
西川一誠
長野県知事
村井
岐阜県副知事
原
静岡県知事
石川嘉延
愛知県副知事
西村
三重県副知事
望月達史
滋賀県副知事
澤田史朗
名古屋市副市長
塚本孝保
出
1
席
開
【司会】
仁
正之
眞
会
それでは、ただいまから第88回中部圏知事会議を開催いたします。
本日の会議は、岐阜県、愛知県、三重県、滋賀県は副知事、そして名古屋市は副市長が
それぞれ代理のご出席でございます。
2
開催県知事あいさつ
【司会】
それでは、開会に当たりまして開催県であります石川県の谷本知事からごあい
さつをいただきたいと存じます。
【谷本石川県知事】
それでは、一言ごあいさつを申し上げたいと思います。
この中部圏知事会議を石川県で開催いたしますのは、ちょうど5年前の平成14年11月以
来ということでございます。ご来県をいただきましたことをまず心から歓迎を申し上げた
いと思います。
そして、3月25日に発生いたしました能登半島地震は、石川県におきましては県政史上
未曾有の大災害となりました。中部各県の皆さん方からはお見舞金とか、あるいは職員の
派遣など、様々なご支援をいただきました。改めて深くお礼を申し上げたいと思います。
おかげさまで地震発生後7カ月が経過し、復旧の段階から復興の段階にこぎつけること
−1−
ができました。しかしながら、今も700名もの皆さん方が応急仮設住宅で、大変不自由な生
活を送っておられるわけでありますので、本格的な復興ということになりますとまだ道半
ばという言い方が正しいのではないかと思います。
私どもは、今後の復興の拠り所として「能登半島地震復興プラン」を策定いたしまして、
被災者にとって、まず何よりも大切なのは住宅の再建、これが1つの柱。2つ目には、輪
島塗や地酒などの地場産業が相当大きなダメージを受けましたので、こういった地場産業
の再建、復興。3つ目には、能登地域は大変地域の絆を大切にする土地柄でございます。
今回の地震でこういった地域の絆にひびが入るということはあってはならないということ
で地域コミュニティーの再生を3つ目の柱に掲げております。と同時に、能登地域は、年
間700万人の皆さん方にお越しをいただいているように観光産業が主力産業でございます
ので、観光面での客足が相当落ち込みまして、現在でもまだ地震前の3割減という状況で
ございます。この観光面での復興というものを4本目の柱に掲げまして、一日も早い復興
に全力を挙げておるわけでございます。今後とも、被災地の復興にご支援、ご協力をぜひ
お願いを申し上げる次第でございます。
これから協議話題などの協議を進めていくことになりますが、この会が実りある会議に
なりますことを祈念申し上げましてごあいさつにさせていただきたいと思います。
どうぞよろしくお願いいたします。
【司会】
3
ありがとうございました。
座長選出
【司会】
それでは、ただいまから会議を進めてまいりたいと存じます。
会議の座長につきましては、慣例によりまして開催県の谷本石川県知事にお願いいたし
たいと思います。よろしくお願いします。
4
議
事
【谷本石川県知事】
それでは、早速協議話題に入らせていただきたいと思います。
(1)協議話題
ア
自殺対策について
【谷本石川県知事】
まず、自殺対策については、愛知県さんのほうからご提案をいただ
−2−
いておりますので、ご説明をお願いしたいと思います。
【西村愛知県副知事】
愛知県のほうから提案をいたしました自殺対策についてでありま
すが、まず本テーマに関する考え方であります。
自殺対策につきましては、自殺総合対策大綱が6月に閣議決定がなされました。全国的
な取組が始まったところでありまして、自殺対策基本法ではその地域の状況に応じた施策
の策定及び実施が地方公共団体の責務として規定をされております。中部圏の各県におか
れましても、平成10年度以降、自殺者数は高い水準が続いていると思いますが、本県にお
いても自殺者数が交通事故死による死亡事故死者数の4.5倍というふうになっておりまし
て、自殺を防ぐことはまさに待ったなしの課題であると思っております。
しかしながら、自殺は個人の選択の結果であるという誤解や、自殺や精神疾患に対する
偏見が強いこともありまして、自殺に至った背景、要因など、自殺の実態については不明
な部分も多いわけであります。こうした状況の中で実効性のある対策に速やかに取り組む
ことが求められておりまして、まずできることから一つ一つ取り組んでいくことが重要で
あるということで提案をさせていただきました。
ここで、本県における取組を少しお話ししたいと思いますが、愛知県では、今年度、本
庁にこころの健康推進室を、地方機関とそれから保健所を再編しまして、すべての保健所
にこころの健康推進グループの設置をしました。それにより心の健康問題に取り組む体制
を整備して、メンタルヘルス相談を毎日実施することをはじめ、本格的な自殺対策に取り
組んでいる状況であります。
自殺対策の概要につきましては、配付資料のとおり、愛知県の参考資料というのを見て
いただき、1枚めくっていただきますと「愛知県における自殺対策に関する取り組み内容」
と書いてあります。4つの事業、1番目に普及啓発、自殺、精神疾患への偏見の除去と、
ストップ自殺キャンペーンを県内各地での実施。2つ目は相談事業の強化ということで、
保健所のメンタルヘルス相談の強化と相談窓口ネットワークの構築。3つ目は調査研究と
いうことで、自殺の実態解明、うつ病、スクリーニングモデル事業の実施などを行ってお
ります。4つ目は人材育成ということで、地域の支援者を育成するための研修の実施をし
ているというような取組をしております。
また、本県では、専門家を交えた自殺対策推進協議会におきまして、自殺対策総合計画
の検討を進めております。本年度中の策定を予定しておりまして、自殺の事前予防、危機
対応、遺族の支援のそれぞれの段階において取り組みを進めて、自殺予防を地域全体の県
−3−
民運動としていきたいと考えております。
各県市におかれましても、それぞれの地域の実情に応じて自殺対策を実施されていると
思いますが、国民一人一人の気づきと見守りを促すということで、広域で連携することに
より、より広範囲で規模の大きな普及啓発を行ったり、さまざまな情報の共有によりまし
て多くのノウハウを蓄積するということなど、スケールメリットを生かすようなことがで
きるというふうに考えております。
ついては、中部圏知事会議の主唱による自殺予防のための共同啓発キャンペーンなどの
広域的な取り組みの実施に向けて担当部局による連携組織を発足させたいと考えておりま
す。どうか皆様のご賛同をいただければありがたいというふうに提案をさせていただきま
す。
【谷本石川県知事】
愛知県の提案は以上でございますが、ご意見がありましたらお願い
したいと思います。
石川知事さん、いかがでしょうか。
【石川静岡県知事】
愛知県さんご提案の担当部局による連携組織の発足、これについて
は賛成いたします。
本県でも、昨年度から自殺予防対策の庁内の連絡会議を設けまして、いろいろ取り組ん
でおりますが、今年度から厚生労働省の地域自殺対策推進事業の一つに富士市におけるう
つ病対策の事業がモデル事業に採択をされました。これは富士市だけではなくて、県内各
方面から大変注目を浴びたということもあって啓発効果も大きい、こうした事業も始まっ
ておるところでございます。
富士市のうつを対象にした事業は2つの柱から成っておりまして、1つは専門医紹介シ
ステムというものであります。一般医と精神科医が連携することによって、特にうつ病の
初期の段階では不眠、食欲不振、だるさなどの身体症状を訴えて、多くが一般医を受診す
るという傾向が見られますから、そういう段階で一般医と精神科医が連携することによっ
て的確な対応をするというねらいであります。
もう1点は、睡眠キャンペーン「パパ、ちゃんと寝てる?」という啓発事業です。眠れ
ない日が毎日続くということがうつ病の初期に顕著に見られる症状だということから、不
眠をキーワードにしたうつ病早期発見キャンペーンを行っております。
そのほか、本県では、平日は各地域にある精神保健福祉センターで電話での相談体制を
確立しておりますが、休日、夜間は、浜松市、静岡市の両政令市において「いのちの電話」
−4−
という事業をやっておりまして、これにお願いしております。県ではこのいのちの電話の
相談員研修事業に対して補助を行い24時間の相談体制の整備をしているところでありま
す。
いずれにしても、本県でも40代、50代が全自殺者の約4割という状態でありますので、
この働き盛りの世代の対策というのは非常に重要だということから取り組み始めておりま
す。こうした取組について中部圏で情報交換の場ができるということは大変有意義なこと
だと思いますので、この連携組織の発足については賛成であるということを重ねて申し上
げて、私の発言を終わりにいたします。
【谷本石川県知事】
ありがとうございました。
長野県知事さんは、いかがですか。
【村井長野県知事】 長野県につきましては、平成18年で自殺死亡者数が492人、10万人に
対して22.8、全国よりちょっと低いかなという程度の数字でございます。
実は、平成22年度までに自殺者を年間380人程度、要するに100人程度減らしたいという
目標をつくりまして、これは長野県健康づくり計画「健康グレードアップながの21」とい
うプログラムでございますが、この中で目標を明記いたしまして、さらに長野県自殺対策
連絡協議会というものを立ち上げまして、これは信州大学の精神科のお医者さんですとか
弁護士会、あるいは経営者協会、連合、労働局、その他いろんなところがこれに参加して
全県的な取り組みをしようという形でございますが、自殺予防に向けました多角的な検討
と総合的な対策の検討をここでやっているということであります。
自殺の多くは、うつ、ストレスなどの精神医学的な問題を有しているということがござ
いますので、その方面からの取り組みが必要だろうということで、県の精神保健福祉セン
ター、これが事務的には中心になりまして、地域、職域における自殺予防活動の推進に当
たっております。精神保健福祉に関する窓口としましては各保健所、それから今の精神保
健福祉センターで個別相談をさせていただいている。電話による相談窓口としましては「こ
ころの電話相談」というのをやっております。今後、市町村でもこういう取り組みをして
もらいたいということで、町村会、市長会なども通じまして働きかけもしております。こ
れが1つでございます。
それから、実はもう一つ、児童生徒の自殺というのが毎年二、三件あるわけでございま
すが、その背景というのが非常にさまざまでございまして原因の特定はなかなかできない
わけでございますが、これにつきましては、遺族の気持ちに寄り添った対応ですとか、あ
−5−
るいはプライバシーの保護、自殺の原因の検証と遺族に対するアドバイス、関係する児童
生徒への心のケアというようなものが必要になるだろうということで、教育委員会中心に
いろいろ取り組んでいるということでございます。
今愛知県からご提案のありましたことには、基本的にもちろん賛成でございます。
【谷本石川県知事】
ありがとうございました。
福井県の知事さん、いかがですか。
【西川福井県知事】
福井県の状況でありますけれども、自殺はいろいろ努力をすると防
げるといいますか、そういう考えをまず持つ必要があると思いますので、医師会などの協
力を得て、大体かなり早目に自殺・ストレス防止対策協議会という協議会を平成18年6月
に設置いたしておりまして、心の健康簡易診断手法の開発など、これは各県大体今よく似
たことをやっているんだと思いますが、進めております。
いろんな統計を見ますと、昭和30年代から40年代にかけては自殺者が減ってきて、日本
全体は減っておったんですが、平成10年から急増しているというのが実態かと思いますの
で、こういう中で、例えばフィンランドの例をとりますと、いろんな対策を講じて3割ぐ
らい減っているということですから、努力するとこれは可能な政策だと思います。
それで、各県でおやりになっておられるようなことを福井県も既にやっておるわけであ
りますが、あとは生活の実態といいますか、自殺のサインに気づかないコミュニティーと
か生活形態がどうしても広がりがちでありますので、職場、地域がお互いに関心を持って
相互扶助をするとか、こういうコミュニティー活動というのを重視しなければなかなか全
般的には減少が難しいんかなと思います。
福井県は、経済面においてストレスを感ずる人の割合の最も少ない1番か2番ぐらいの
県だと思いますが、やっぱりストレスを感じさせないということ、感じないようにすると
いうのは非常に大事でありますから、地域づくりが大事だと思います。
それで、これに関連しまして、少しずれるかもしれませんが、政治とか行政に笑いとか
ユーモアというのは余りこれまで話題になっていませんでしたが、私はマニフェストで健
康長寿と笑いということを、そういう言い方ではないんですけれども、こういう言葉を、
ユーモアとかこういうことを大事にしなければならないということを書いているのです
が、自殺の対策は対策として心の健康とかストレスを、それから人間関係ですね、こうい
うことを全般に広めてまいりたいというふうに思っておりまして、この10月からNHKの
朝ドラというんですか、連続テレビ小説で「ちりとてちん」というのをやっております。
−6−
これはヒロインが関西で落語家になるわけでありますが、これは笑いをテーマにしており
まして、いろいろ失敗したりどじを踏んだりすることはあるんだけれども目標を達成しよ
うと、そういう世の中にならなければいけないと思いますので、そういうことをいろいろ
組み合わせながら行政的に必要なことを、医療、予防などを進めてまいりたいと考えてお
ります。
以上です。
【谷本石川県知事】
富山県の知事さん、お願いします。
【石井富山県知事】 富山県では、平成15年に自殺者が356人、10万人当たり32.1人で全国
5位ということがわかりました。そこで、何とかこれを減らさなくちゃいけないという取
り組みをしていまして、いろんな因果関係があるからこれが決め手ということではないん
ですけれども、幸い18年に63人減り、293人と、一応比率からいうと10万人当たりで26.7人、
全国16位ぐらいまで来ましたが、まだまだ高いわけです。
お手元に、パワーポイントのコピーしたものを置いてあると思うんですが、昨年から庁
内にてプロジェクトチームを改めてつくりまして、まずどうして自殺をされるのかという
実態分析をする。自殺に関する情報の収集、分析をする。それから、中小企業にも県の心
の健康センターから出前講座で行って、ストレスを感じることが多い中高年を対象に、心
の健康に関する講座を設けてお話をするとか、また、そういう機会に、自殺といいますか
ストレスをどういうときに感じるかとか、いろんなことをすぐ調べるようにしている。
それから、普及啓発の面では自殺予防週間に合わせました啓発を行っておりまして、9
月の中旬のこの週間に街頭宣伝とか、あるいはNPOと協働した心の健康づくりに関する
セミナー、新聞広告等を行っております。
それから、3のところに相談体制の充実とありますけれども、心の健康センターを相談
窓口の中核に位置づけまして、関係の市町村も含めて相談機関との連携を強化するととも
に、担当者の研修を実施する。それから、やっぱり地域でそういう方々の、特にご高齢者
等の相談相手になることが多いのは民生委員とか老人クラブのリーダーといったような
方々ですから、こうした方々に研修会を開催しまして、なるべく相談に乗ってあげるとか、
あるいは自殺に至らないような励まし方といいますか対応の仕方を研修していると。それ
から、消費者金融なんかが原因で自殺に追い込まれるということもありますので、こうい
った点についても相談日を拡大するなりして対応しております。
もう一つ、さっき長野県の知事さんもおっしゃいましたが、自殺の遺族者を対象にした
−7−
カウンセリング、これは自殺の予防というよりその後、アフターケアみたいな面もありま
すが、関連して家族の方が落ち込んでまた自殺ということもあり得るわけですので、これ
も毎月、日を決めまして、それぞれ精神科医が相談に乗る日、臨床心理士が相談に乗る日
というのを決めてやっております。あと、自殺未遂者を支援するための取り組みもやって
おりまして、再度また自殺を試みるということがないような方策について検討をしていま
す。
それから、5の推進体制のところは、さっき申し上げたプロジェクトチームを昨年から
発足させております。また、昨年暮れから、庁内だけではなくて各界の有識者の方に集ま
っていただいて自殺対策推進協議会というものをやっておりまして、近くここからいろん
な実態分析もした上で、もっとこういうところに力を入れたらどうだというような提言も
いただくことにしております。
なお、その下に民間団体、ボランティア等の取組の支援とありますけれども、例えばス
トレスに関する特設電話を設けて、精神科医会とか臨床心理士会とか、そういった方々が
自発的にそういうやろうという動きにありますので、そういうところを財政面でも支援す
るとか、またNPO等で電話でカウンセリングをやっているグループがいらっしゃるんで、
こういったところにも助成をするとかいったような体制を組んでおります。
いずれにしましても、自殺の要因は、先ほどもお話出ましたように健康問題とか過労と
か倒産とかリストラとか社会的孤立、いじめ、いろんなことにかかわるのと、また若い人、
中年、壮年の方、高齢者、いろんなライフステージにおいて原因もいろいろありますし、
また、うつ病とかそういう問題もあるわけですが、いずれにしても、各県がいろいろ連携
をとり合って情報交換して対策をより充実させるというのはいいことだと思いますので、
愛知県さんのご提案については賛成いたしたいと思います。
【谷本石川県知事】
ありがとうございました。
岐阜県さん、お願いします。
【原岐阜県副知事】
先ほどの愛知県のご提案については、私どもとしても基本的に賛成
であります。
岐阜県の自殺の現状でございますが、18年の当県の自殺死亡者数は471人、人口10万人当
たりで見ますと全国30位ということでありますけれども、交通死亡者数と比較しても2.6倍
ということで、やはり深刻な状況になっておるということでございます。
私どもとして、この自殺対策ということで各県と同じような取り組みをしているところ
−8−
でございますけれども、その中で特に去年問題になりましたのは、県内の瑞浪市というと
ころの女子中学生がクラブ活動等におけるいじめを苦にして自殺するという大変痛ましい
事件がございました。それをきっかけといたしまして、いじめの早期発見、早期対応を図
るということで、昨年、平成18年12月22日からですけれども、いじめの電話相談、これ教
育委員会のほうでやっているんですが、それまで平日の8時半から18時15分だったのを365
日、24時間開くという形で相談窓口を用意すると、電話相談を受けると、こういうことを
いたしております。ちなみに相談件数ですが、ことしの4月から9月の実績で999件、1,000
に近い件数が来ております。前年の平日のみ開けていたときは290件ということでございま
すんで、前年比3.4倍という状況で、そういう形でいじめ相談に乗ることによって児童生徒
の自殺予防に重点的に取り組んでおるということがございます。
それから、多重債務者問題でございます。多重債務者について、やはり金銭的あるいは
精神的に追い詰められるという状況になるわけで自殺リスクも高いということで、借金問
題は必ず解決できるんだということで早期相談にしてもらおうということで、法律の専門
家と連携した相談会を平成18年度から開催をしているところでございます。
本県としてこうした取り組みを今後とも続けることによって、自殺予防に、自殺対策に
取り組んでいきたいというふうに考えております。
以上でございます。
【谷本石川県知事】
ありがとうございました。
三重県さん、よろしくお願いします。
【望月三重県副知事】
三重県では、平成18年の自殺者は398人、人口10万人対比では21.7
となっております。
三重県では、平成17年度に自殺予防対策懇談会を設置いたしましたが、18年度にはこれ
を発展的に改組いたしまして、自殺予防対策推進協議会をつくっております。医療関係、
保健、教育、さまざまな方面と連携して自殺対策を進めておりまして、特に事前の予防の
取り組みが重要だということで、これは平成14年度からやっているんですけれども、住民
の方や民生委員の方を対象に、聞く方ですね、傾聴者としてのリスナー研修を行っていま
す。それから、リスナーの指導者研修というのも行っておりまして、研修体制は数年前か
ら行っているところでございます。
また、働き盛りの男性に自殺率が高いということから、18年度からは働く人のメンタル
ヘルスのために職域へも対象を広げまして、産業保健分野と連携をしながら職域メンタル
−9−
ヘルスサポーター研修といった研修も行っています。
今年度におきましては、特に残されました遺族の方への支援というものを、これも重点
的にやっていく予定をしており、先ほど申し上げました三重県自殺予防対策推進協議会に
ワーキンググループをつくりまして、相談対応、技術研修やシンポジウムの開催などを行
っています。特に先ほどお話ございましたが、多重債務の問題が大きな問題になっており
ますので、シンポジウムの中でも多重債務の相談コーナーなども設けます。それから、残
されました遺族の方の集いの開催とか、そういったことで遺族支援にも取り組んでいると
ころでございます。
愛知県さんのご提案には賛成でございまして、できるところから広域的に取り組んだら
どうかというふうに思います。
【谷本石川県知事】
それでは滋賀県さん、よろしくお願いします。
【澤田滋賀県副知事】
滋賀県につきましても、愛知県さんの提案に賛同、賛意を表した
いと思います。
滋賀県も平成17年自殺者数が301名、人口10万人当たり22.1人という形で、交通事故者数
の3倍に上るなど大変増加傾向にございます。
滋賀県では、特にうつ病を早期に発見し予防すること、防ぐことを自殺予防の事業に発
展させたいというふうに考えまして、平成17年度から保健所において取り組みを進めてお
ります。平成17年度は3保健所でありましたが、平成18年度からは全保健所において実施
をしております。
保健所では、自殺予防対策推進会議を開催しましたり、あるいは県民を対象とした啓発・
相談事業あるいは保険医療従事者を対象とした研修会を行うほか、事業所に対しまして従
業員の方々のメンタルチェックをアンケート形式で実施するなど、実態調査もしておりま
す。その結果、特に、例えば時間外労働が80時間を超えた人にうつの傾向が強いなどとい
う調査結果を取りまとめ、今後の取り組みに生かしたいというふうに考えております。
また、精神保健福祉センターにおきましては、遺族に対します個別支援と、それから遺
族の会の立ち上げ支援ということを行っております。昨年度、フォーラムを開催しまして、
そのフォーラム参加者のうち、協力の得られた遺族5人を中心としまして、今年度には遺
族の会が立ち上がりました。活動は2カ月に1回、今年度は全国キャラバン「いのちの尊
さを考えるシンポジウム」を実施するなどの、遺族の会の取り組みも側面的に支援をして
いきたいというふうに思っております。
−10−
本庁では、よその県と同じですが連絡協議会の設置、運営、あるいはいのちの電話の開
催のための支援を行っております。やはり自殺にかかる背景は、精神保健分野のみならず
法律や経済、社会の状況など多くの分野が含まれておりますので、関係機関や当事者組織
あるいはボランティア団体との連携、協働が大きな効果をもたらすと考えておりますし、
また、この対策につきまして、皆さんの県と一緒になって取り組ませていただければとい
うことから、愛知県さんのご提案に賛同をするものでございます。
以上です。
【谷本石川県知事】
ありがとうございました。
名古屋市さん、よろしくお願いします。
【塚本名古屋市副市長】
名古屋市でございます。
冒頭で、愛知県さんのご提案には賛成をさせていただきたいというふうに思っておりま
す。
私ども名古屋市の自殺者数でございますが、全国的な傾向と同じように平成9年までは
300人前後で推移をしていたわけでございますが、平成10年に500人を超えまして、直近の
18年でも454人という高い水準で推移をしております。10万人当たりで20.4人という数値と
なっているわけでございます。
こうした状況を踏まえまして、私どもの市政の基本施策を掲げてございます名古屋市新
世紀計画2010というのがございます。これの実施計画を今年の3月につくったわけでござ
いますが、ここの中で今後10年、平成28年までの間に300人未満にしたい。これが平成10年
以前の急増する前の水準でございますが。これを目標に掲げまして、自殺の予防、そして
自殺の防止、さらには自殺者の親族等に対する支援という、大きくこの3つの視点から自
殺対策に取り組んでいるというのが現状でございます。
具体的には、自殺対策の推進体制の整備ということで、庁内的な横断組織としまして自
殺対策推進本部をつくりますとともに、関係機関や民間団体等で構成をします自殺対策連
絡協議会、こういうものを設置いたしまして推進体制の強化を図ったところでございます。
具体的には、うつ病と診断された方の家族に対するうつ病家族教室、こういったものを
新たに開催をいたしますとともに、市民の心の健康づくりやうつ病などの精神疾患に関す
る相談におきましては、これは従来から保健所や精神保健福祉センターでこうした精神保
健福祉相談を実施しているところでございます。また、特にこれも重要なことだというこ
とで力を入れているわけでございますが、自殺者の親族等に対する支援、これにつきまし
−11−
ても精神保健福祉センターで相談窓口を開設をいたしまして精神面の相談に応じますほ
か、医療機関の紹介などを行っているところでございます。
特に、先ほどから少しお話が出ましたが、自殺の予防、防止という観点から、サラ金だ
とか多重債務の特別相談窓口、これにつきまして、消費生活相談員だけじゃなくて、弁護
士、司法書士等も含めました相談窓口をこの10月から名古屋市の消費生活センターに常設
とするという形で相談体制の強化を図ったところでございます。
以上でございます。
【谷本石川県知事】
ありがとうございました。
それでは、石川県での取り組みを私のほうから説明させていただきたいと思います。
本県も、ほかの県とほぼ同様な状況でありまして、自殺者数は、平成9年までは220人前
後だったのですが、平成10年から300人を超えるという形で急増し、その後も300人前後で
ずっと推移をしております。平成18年は295人と、愛知県さんと同じように交通事故死者数
の4.5倍という数値が出ています。
自殺をされた方の内訳は、男女別では実に男性が7割を占めておりまして、年代別では
50歳代の方が約3割を占めているということですから、働き盛りの男性が増加する傾向に
あるということで、そうした意味では大変憂慮すべき状況ではないかと考えておりますが、
この自殺の原因をなかなか一概には特定できないという難しさがあります。
本人の健康問題ということもあるでしょうし、また経済的、生活的に大変苦しい状況に
置かれているというふうなこともあるでしょうし、家庭問題もあるだろうと思います。加
えて自殺願望という話も出てきていますが、個人の人生観とか価値観も複雑に関係してお
るわけでありますので、それだけに学校とか職場、地域の関係団体と協力しながら県民を
挙げた取り組みという形に持っていく必要があると思っています。
その中で私どもが特に力を入れておりますのは、自殺予防のための一般的な啓発に加え
まして、心の健康とか家庭問題などの悩みを抱えた方に対する相談体制をいかに充実をし
ていくかということが1点。2点目は、自殺との関連が深いと言われておりますうつ病、
こういった心の病気の早期発見、早期治療。全国的な調査ですと、自殺未遂者のうち、う
つ病とか神経症の精神疾患のある方が実に80%を占めているということでありますので、
やはり心の病気の早期発見、早期治療というものは、ある意味ではポイントになってくる
のではないかと思っておりますし、3点目が、これまでのお話にも出ておりましたが、不
幸にも自殺により残された遺族とか、特に自殺未遂者に対する支援、これが大事ではない
−12−
かと考えておるわけであります。具体的な取り組みとしては、1点目の相談体制につきま
しては、県のこころの健康センターとかそれぞれの保健福祉センター、そして金沢こころ
の電話とか悲しみ110番とか、こういう民間の関係団体の取り組みもありますので、こうい
った形でできる限り相談への対応に努力をしていかなければいけないと思いますし、そし
て相談員の相談能力の向上に取り組んできたわけであります。
加えて、今もお話がありましたけれども、特に中高年の男性の自殺が増加をしている。
その背景に経済や雇用問題を抱えるというケースが多くなっております。今後は、失業者
とか多重債務者などに対しても相談や支援を充実をしていくことが必要だと考えておりま
して、今月の5日に多重債務問題対策協議会を立ち上げたところでありまして、今後、関
係機関、団体と協力しながら失業者や多重債務者問題に対する相談、支援、こういった充
実対策をさらに検討していきたいと考えております。
そして、2点目のうつ病などの心の病気の早期発見、早期治療でありますけれども、救
急病院における調査によりますと、今申し上げましたように自殺未遂で病院に搬送された
方の実に8割近くがうつ状態をはじめとする精神的な病気の状態にあるということに加え
まして、本人自身がうつ病の状態であったことに気づいていないという方が少なくないと
いう報告もあるわけでありますので、私どもは、平成13年度から、いわゆる内科医などの
かかりつけのお医者様が患者のうつ病の状態をいち早く察知して、必要な治療につなげて
いただこうということで、内科医の皆さん方を対象にした研修会とか事例検討会を既に開
催をしておりまして、うつ病の早期発見、早期治療体制の整備に努めてきたところでござ
います。
そして、3点目は遺族とか自殺未遂者に対する支援でありますけれども、不幸にして身
内に自殺が起こりました場合には、後に残られた遺族にとっては、経済的な問題だけでは
なくして心の支えを失ったという精神的なショックとか、あるいは自責の念などに追い詰
められるケースが多いわけでありまして、最悪の場合には後追い自殺に至るケースもあり
ます。そうした新たな自殺を防ぐためにも、遺族などの方々に対する支援が大変大事だと
考えておるわけでありまして、昨年度から遺族交流会の開催などを含めまして遺族の方へ
の心のケアにも着手をいたしておりまして、年明けには遺族支援をテーマにしたシンポジ
ウムを開催することにしております。まだまだこうした支援については制度的にも未整備
でございますので、我々としては、今後、医療機関や警察、宗教関係者などとも連携しな
がら支援体制の整備に努めていきたいと考えております。
−13−
そして、これ以外にも、最近の調査でも自殺未遂者の半数近くが再び自殺を繰り返すと、
こういう報告もありますので、こうした再発防止に向けた取り組みも今後の重要な課題だ
と考えているわけでございます。横浜市立大学が行った自殺未遂者の実態調査によると、
調査対象者のうち、実に4割以上の方が過去に自殺未遂の経験があるという報告もあるよ
うでございます。
今、私ども、自殺未遂者の再発防止に向けた取り組みとしては、これから、例えば自殺
未遂者は当然救急病院に運ばれるわけでありますので、そこで救急医療の面での治療を受
けるわけであります。これまで、救急医は原因究明は行いませんので、治療が終わればお
帰りいただくことになるわけですが、そこで帰してしまってはまた再発につながるという
危険があるわけなので、ここは救急医療と精神科医療との連携というんでしょうか、自殺
未遂という形で救急医療病院に運び込まれてきたら、救急医療の面での治療を施した後、
精神科の医療と連携することによって自殺未遂者への心のケアの体制をうまく構築できな
いのかなという、今そんな形でいろいろ検討を進めておるところでございます。そういっ
た意味で、救急医療のスタッフ向けのマニュアル作成とか研修会の検討を行っているとこ
ろでございます。年内を目途に自殺対策の行動計画を策定しようということで、その策定
作業を進めておりまして、今後の具体的な施策をぜひ検討していきたいと考えておるわけ
であります。
大変難しい問題でもございますし、なかなか原因が究明できない。まだまだ未解明の分
野も多分にございます。そういった意味では、愛知県さんがお互いに広域的な対応という
のでしょうか、お互いに情報交換をして、いいものはどんどん取り入れて、そして自殺者
を減らしていく。特に自殺未遂者に対するケアをしっかりやっていくということが、ある
意味では自殺の予防につながっていくんではないかと、そんな思いがしておるわけであり
ます。
以上が石川県からの説明ということになるわけでありますが、今、それぞれお話を聞い
ておりました。愛知県さんのほうからご提案がありました、中部圏として広域的に取り組
む、あるいはお互いに積極的に情報交換をする、そんな意味では担当者同士の意見交換、
情報交換、こういうことをやってまいりますと、お互い有効な手だてが見つかるというこ
とも当然あり得ると思いますので、石川県としては愛知県さんの提案に賛同させていただ
きたいと思うわけでありますが。
今、それぞれ意見のご開陳がありましたけれども、愛知県さんが提案された、そういっ
−14−
た連携の場を持つということについては大体ご賛同というふうに私は受けとめたわけであ
りますが、愛知県さんのほう、何かございますか。
【西村愛知県副知事】
ありがとうございます。皆さん方からご支援いただけるものなら
早速立ち上げたいというふうに思っておりますので、ご協力よろしくお願いしたいと思い
ます。
【谷本石川県知事】
【西村愛知県副知事】
知事によろしくお伝えください。
【谷本石川県知事】
はい、わかりました。
この問題はこれで一区切りということで、しばらく休憩しましても
う一つの話題に入らせていただきたいと思います。
【司会】
それでは、ここでちょっと休憩をとらせていただきたいと思いますが、2時10
分まで休憩ということにさせていただきますのでよろしくお願いいたします。
〔休
【谷本石川県知事】
イ
憩〕
時間が参りましたので再開をさせていただきたいと思います。
少子化社会における企業の役割
∼企業の子育て支援、ワークライフバランスの推進∼
【谷本石川県知事】
2つ目は、本県が提案をしました少子化社会におきます企業の役割、
企業の子育て支援ということについて話題を提供させていただくということにいたしまし
た。
まず、提案をいたしましたので、石川県のほうから取り組みの趣旨等を含め、少しお話
をさせていただきたいと思います。
子育て支援などを含めた少子化社会における問題の解決というのは、どちらかといいま
すと、これまでは行政とか保育所が中心になって担ってきたわけでありますけれども、こ
れからは社会全体、とりわけ企業が大きな役割を果たしていくことが不可欠ではないかと、
こんな思いがしておりまして、そしてそれを進めてまいりますためには企業同士がよい意
味で子育て支援を競い合う。そして企業にとっても経営上のプラス効果をもたらす。加え
て社会的にも評価されるような環境の整備を進めていくことが大事ではないかと。特に、
中央でいろんな協議をやりますと、どうも企業側は負担を押しつけられる、義務ばかり課
せられるのではないかという、そんな意識をお持ちなのでありますけれども、企業にとっ
てもプラス効果になるんだと、こんな環境整備を進めていく必要があるのではないかと思
−15−
っております。
環境ISOは、今はもう企業が取得するのは当たり前になっておりますが、一時までは
これを取得しようとする企業が少なかったわけですが、今もう企業はこぞって環境ISO
を取得しようという動きが加速してまいりましたのは、環境問題に取り組む企業が社会的
にも評価されると、あるいは株式市場でも評価をされるということになったからで、私は、
今、企業は一生懸命、環境ISOの取り組みを進めているのではないかと思いますので、
少子化対策の分野でもこれに取り組む企業が社会的に評価されるような仕組みをつくって
いくことが必要ではないかという思いをしておるわけであります。
そこで、本県の取り組みを3点ほど紹介をさせていただきたいと思います。
1つは、プレミアム・パスポート事業ということで、昨年の1月に、全国初めての取り
組みということで、私ども、企業が3人以上のお子さんをお持ちの家庭に対していろんな
割引とか特典を提供する事業をスタートさせていただいたわけでありますが。スタート当
初は、どれほどの協賛店舗があるのか不安な面もございましたが、当初目標にしておりま
した300店舗を大きく上回りまして、今1,800店舗の参加をいただいておるわけでございま
す。類似の取り組みが今全国にも広がりつつあるということであります。
お手元にこういう冊子を配っておりますけれども、実はこれはつい2年前の制度を始め
たときの冊子でありまして、2年目の冊子はもう今なくなってしまいまして、今年の年末
にまた3冊目をつくるということにしておりますんで。これは初年度の冊子なので参考に
ごらんをいただきたいと思いますが、この冊子に全部企業の具体名を書きまして、それぞ
れの企業がどんな子育て支援サービスをやるかということをここに具体的に網羅してあり
ます。3人以上子供をお持ちの皆さん方のご家庭に全部これを配布してございますので、
家庭の主婦の皆さん方はこれを見ながら、このスーパーはこんな割引をやってくれている
のに比べて、別のこのスーパーはこの程度の割引しかしていないと、こういうことが一目
瞭然にわかるようにしておるわけでありまして、このことを通じて企業同士でいい意味で
の子育て支援競争をやっていただこうということです。
この冊子の発行に必要な経費は、実は協賛店舗の皆さん方から1店舗当たり5,000円の協
賛金を我々はいただいておるわけでありまして、その協賛金を使ってこの冊子を作らせて
いただいておるということであります。今、3冊目を作るべく準備に入っておりますが、
そこには1,800店舗、全部企業の固有名詞がここに載るということでございます。
我々は、これを配布しましたご家庭の主婦に何人かお聞きしますと、我々男性以上に主
−16−
婦は非常に敏感というんでしょうか、どのお店でどんな割引サービスがあるのかというこ
とを結構この冊子を見てお買い物に行かれるという、そんな傾向があるようでございます
ので、ぜひこれからも充実をさせていきたいと、実はこんな思いをいたしておるわけであ
ります。
それから、2点目が、ふるさといしかわ子育て応援ファンドというファンドを実は創設
をいたしました。これもこんな1枚紙をお配りしておりますが、これはことしの3月、プ
レミアム・パスポート事業による民間企業の子育て支援を、社会全体で子育てを支援する
仕組みにしようということで県内の金融機関に働きかけをいたしまして、これも全国初め
ての取り組みでありますけれども子育て応援ファンドを創設をしていただきました。
参加した金融機関はここに全部名前が上がっておりますが、地方銀行から信用金庫に至
るまで6つの金融機関に参加をしていただきまして、一般の預金者あるいは県外で活躍し
ます県ゆかりの方々に預金をお願いしまして、その預金の運用益の一部をこの子育てにや
さしい企業推進協議会にご寄附をいただくというふうな仕組みを実はつくりまして協力を
お願いしましたら、この金融機関ご協力をいただきまして最終的には約250億円ファンドが
集まりまして、そのうちの運用益の一部ということで今後5年間で約5,000万円、我々県の
懐へ入るんじゃありません。これはプレミアム・パスポートとかチャイルド・プレミアム
とか県民育児の日の普及啓発とか、こういうことをやっております子育てにやさしい企業
推進協議会に約5,000万円寄附をしていただくというですね。
このことは、ある意味では石川県民が、間接的な方法ですけれども、預金という形で社
会全体で子育てを支援していこうというものです。県民の皆さん方にとっては預金をする
ことによって必要な利子も得ることができ、金融機関は運用益の一部を寄附することによ
って金融機関の子育て支援についての社会的な評価を高めていく。一種の社会貢献を金融
機関の皆さん方にはやっていただいております。そういうことを我々県としても、金融機
関の代表の皆さん方をお招きをして全部認証をさせていただいたということで、そのこと
がマスコミ等を通じてまた報道されますので、金融機関の社会貢献というものがわかりや
すい形で対外的にPRをされるということであります。
ある意味では、県は予算を全く使っていないんじゃないかという批判もあるのですが、
やはり社会全体で子育てを支援をするという趣旨を貫いていくためには、税金だけを投入
するのではなく、こういった金融機関のご支援も私はこれからは必要なのではないかとい
う、そんな思いをしておるわけであります。予想以上にファンドが集まったということで
−17−
ありますので、県民の皆さん方の間接的な意味での子育て支援がまた大きく一歩踏み出し
たという、こういうことでありますので、またこれからもこういう制度をいろいろ考えな
がら、ぜひ企業が子育て支援に積極的に参画できるような環境整備をやっていきたい、こ
ういうふうに考えておるわけであります。
それから、3点目が、次世代育成支援対策推進法という法律が制定をされまして、従業
員が301人以上の企業は一般事業主の行動計画を策定することを義務づけられたわけでご
ざいます。私どもも、県内の従業員301人以上お持ちの企業には全部、この一般事業主の行
動計画は策定済みということになっております。
ただ、石川県は中小企業が大変多い県であります。全国を調べてみますと、従業員301人
以上の企業に事業主行動計画の策定を義務づけますと全体の4割がカバーできるというこ
とになっているんですが、石川県では中小企業が多い関係でやっぱり2割強ぐらいしかカ
バーできないということでありますので、私どもは独自に条例をつくりまして、この事業
主の行動計画の策定の義務づけを従業員100人以上の企業にまで水準を引き下げました。
その結果、約337社ぐらいが新たに該当するということになりまして、そういった企業の
皆さん方に事業主行動計画策定の意思がありや否やということで全て郵送いたしまして、
今アンケート調査を、意思の確認調査をやっておりまして、そのうちの180社ぐらいからは
回答が参りましたので、こういった企業の皆さん方は行動計画を策定していただけるんで
はないかというふうに思っています。全く音さたなしというのが113社ございまして、それ
から既に40社ぐらいは策定済みというところもございます。
問題はこの113社に、1社ずつ、それぞれお願いをいたしております。実際にお願いをし
てみますと、こういう法律があることすら知らない、忙しさにかまけて県からそういう調
査が来たことすら知らなかったという企業が非常に多くございまして、事業主行動計画の
策定の意義だとかそういうものを直接お願いをして説明をしますと、この113社のうち、大
半の企業は大体ご理解をいただいておるということになるわけであります。私どもはこの
行動計画を策定していただくときに、大企業と同じレベルの内容を盛り込んでくれという
ことはお願いしません。まず行動計画を策定してもらうことが大変大事ですし、その中小
企業の力量に応じたレベルの行動計画で結構ですよと。まずは策定をしていただくことが
大事だということで今お願いをしておるわけでございます。
これは、いしかわ子ども総合条例の中で100人以上の企業は義務化させていただきました
ので、来年4月から、この条例が適用ということになりますので、それまでの間にこの113
−18−
社の企業の皆さん方にもぜひ何らかの形で行動計画を策定をしていただくということで今
一生懸命取り組みを進めておるわけであります。
それからもう一つ、県内の大企業でも行動計画を策定しておられるんですが、実は法律
では公表に関する規定がないんですね。ですから、どんな行動計画をおつくりになってい
るのかというのは、石川労働局は全部情報を把握しているんですが、我々県は、全くそれ
がわからない。わからないとやっぱりアプローチのしようがないということでありますの
で、これも石川県は、いしかわ子ども総合条例の中でこの行動計画の公表を努力義務とい
う形で位置づけをさせていただきました。
これは、行動計画を公表するということは、企業間の子育て支援の取り組みをいい意味
で競い合うという形になっていくんではないかと。それとやっぱり公表すれば有言実行、
言った以上はきちんと取り組んでいかなきゃいけないという、そんな意識が私はどんどん
形成をされていくのではないかということで、ワークライフバランス等の推進には大変こ
れは有効な手段ではないかという思いをしておるわけであります。特に行動計画を公表さ
れた企業については、特定の企業名も含めて県のホームページで具体的なPRをして差し
上げる。そして、そういう行動計画を公表された企業については、知事表彰をして差し上
げる。その企業が非常に社会的に高い評価が得られるような環境整備をして差し上げる。
こういう取り組みを進めておりまして、実績を増やしていけば、ひいては国においても行
動計画を公表するというような規定が、私は法改正を通じて導入されていくんではないか
という思いをしております。具体的な現場に近いところをあずかる自治体が、具体的な実
践活動を通じて企業による子育て支援の環境をどんどん整備をしていくという取り組みを
進めていくべきではないかと。
そんな意味で、お互い中部圏の各県、名古屋市さんも含めての取り組み、あるいは今後
の進めるべき方向についてぜひ協議をさせていただきたいと、こういう趣旨でご提案をさ
せていただいたものでございます。
以上でございます。
それではひとつ、今度は富山県の知事さんからよろしくお願いします。
【石井富山県知事】
富山県の子育て支援施策ですけれども、さっき自殺対策のときに富
山県資料をお配りしたのを見ていただきましたが、ちょっと1枚おめくりいただきますと、
富山県の19年度の主な少子化対策、子育て支援施策があります。
大きく一つは、家庭、地域、社会全体で支える子育て支援、仕事と子育ての両立支援、
−19−
明日を担う次世代の育成、それから子育ての経済的負担の軽減と大きな4つの柱にしてお
りまして、その中で特に今おっしゃっている企業の子育て支援のことで言いますと、この
1の3つ目にあります子育て家庭を応援する気運の醸成。
石川県の谷本知事さんから今お話がありましたが、プレミアム・パスポート事業という
立派な事業をやっておられるんですが、私どもも昨年からとやま子育て応援団事業という
のを始めておりまして、これは石川県さんのように3人以上の人にパスポートというきっ
ちりしたやり方ではなくて、どっちかというと親子のふれあいを大事にしようということ
で、親子が要するに協力企業、協賛企業のお店に行けば、例えば値段を1割引にするとか
いろいろサービスがあるという仕組みにしておりまして、幸い昨年から始めたんですが、
ことしの10月末で2,065店舗の協賛をいただいております。また、岐阜県さんともご相談を
いたしまして、岐阜県と富山県の制度と多少違う面もあるんですが、お互いに相乗りしよ
うじゃないかということで、富山県の人が岐阜県へ行く、それから岐阜県の人が富山県に
来たときに同じように恩恵を受けられるという、こういう仕組みもこの8月から始めてい
るところでございます。
なお、石川県さんの場合は、今、子育て応援ファンドということで、金融機関なんかか
らも運用益の一部を寄附金で取ってというお話がありましたが、私どもはそこまでの仕組
みは、きっちりしたものはつくっておりませんが、この子育て応援団の事業に連携事業と
いう一つ枠をつくりまして、信金とか農協とか、あるいはもちろん銀行さん、こういった
ところはこれに協賛するという形で子育て支援預金とかすくすく定期貯金とか、あるいは
住宅ローンの金利の優遇とかマイカーローンの優遇とか、そういうことを、預金には上乗
せ金利、それから借入・貸付金の方は金利の割引制度、こういうものを協賛していただい
ていまして、そういう形でみんなで子育てを応援する。企業にも役割を果たしていただく
と、こういうふうにしております。
それから、仕事と子育ての両立支援のところは、この中で子育てと両立できる職場環境
の整備とか事業所内保育所というようなことが書いてありますが、この中身は、もう一枚
おめくりいただきますと、富山県における仕事と子育ての両立支援というのがございます
が、その中でまず、今谷本知事のお話にもありました普及啓発ということで、企業の子育
てバックアップ支援事業。これは今ほどお話がありました301人以上は法律上の義務づけで
すけれども、300人以下は一般事業主行動計画、努力義務だけになっておりますから、こう
いった方々になるべく作ってもらおうということで研修会をやりましたり、それから、割
−20−
に似たようなことをやっていることになりますが、両立支援を一生懸命やっている企業に
ついては知事表彰という制度も昨年から作って支援しております。
それから、仕事と子育て両立支援推進員というものを設けて、今、6名配置しておりま
して、企業訪問してもらっている。一昨年は、従業員300人から100人までの企業400社ほど
回ってもらいました。それは一巡しましたので、昨年に引き続き今年も従業員30人から100
人の企業650社を回ってもらって、ぜひ一般事業主行動計画の中に仕事と子育ての両立の項
目を入れてやってほしいと、こういう働きかけをしているわけでございます。そのほか、
仕事と子育て両立支援のセミナーを開催するとか、あるいは職場での研修、地域フォーラ
ムなんかを自発的にやるようなところに何がしかの支援をするというふうなこともやって
おります。
それから、企業に何かやっぱりインセンティブがないとなかなか、そうは言ってもやっ
てくださらないということもあるものですから、これはひょっとしたら富山県だけかもし
れませんが、子育て応援支援ということをはっきり事業主行動計画に位置づけたことが確
認できた企業については、今、やや人手不足という現象がもう出ていますので、人材確保
のための合同企業説明会というのをやることにしておりますが、そういう際に子育て支援
をしっかりやりますといった企業だけを別途集めてそれで説明会をやる。そうすると、女
性だけじゃなくて男性でも、これは物わかりのいい企業だといって来るようになるという
ことで効果があるのではと思います。
それから、その下の入札参加資格の優遇というのは、一般事業主行動計画を出したとこ
ろは、入札のとき5点加算するというふうにいたしております。
それから、子育て支援企業エントリー制度というのもやりまして、その中でも特にきち
んとやっているところ、これが10社とありますけれども、実はもう14社にふえております
が、皆さんのいわばモデル、模範だなというような企業は、県がパンフレットをつくりま
して固有名詞も上げて、この企業はこういう子育て支援事業をやっているというのを印刷
していろんな関係方面に配ると。そうすると企業のほうも非常に評価が高まりますから、
経営者も少し胸を張れると、こういうような関係でございます。
こんなようなことをやりましたので、さっき石川県さんでも成果上げていらっしゃいま
すが、私どもの数字ですと、300人以下の一般事業主の行動計画をつくっている企業は、こ
ういうふうに本格的にやります前は77社、去年の夏ぐらいまでですかね。今は232社まで増
えてきましたので約3倍。これからもさらに年度末に向けて拍車をかけまして300社ぐらい
−21−
の大台に行きたいものだなと、こんなふうに思っているわけでございます。
それから、あと事業主の事業所内保育所等についても応援をしておりまして、その間、
父親の方にもやっぱり子育てに参加してもらおうということで、子育て体験談とか、ある
いは実態に取り組む企業の事例集、チラシの配布等もやっております。
もう一枚おめくりいただきますと、富山県は事業所内保育所の設置についてもかねてよ
り熱心にやっているほうでして、今、ご承知のように、事業所内保育所についての助成金
は、国の制度は乳幼児10人以上となっておるんですけれども、私どもは10人未満であって
も県単で補助をしようじゃないかということで設置費は1,000万円、それから運営費は5年
間ですけれども年間200万というふうにしておりまして、これで累計で18事業所が対象にな
っております。
それから、中小企業が多いものですから、単独ではつくれないけれども共同でつくると
いうニーズもあるものですから、事業所内保育所を共同でつくる企業が、やっぱり共同で
つくるときにいろいろな調整事務で余計お金がかかるということもあるんで、ささやかで
すけれども別途1件30万円助成するというふうなやり方で、これも6つの事業所が対象に
なっております。
そのほか、中小企業が保育施設や授乳室なんかを設置する場合に、低利子融資制度を今
県単で設けておりまして、こういう形で積極的に進めるというふうにしているわけであり
ます。
谷本知事言われましたように、子育て支援、少子化対策というのは、個々の県にとって
も大事なことですけれども、日本の国全体にとっても大変な問題ですので、昨年、富山県
は国にも要望して事業所内保育所をつくるときには、富山県だけが要望したからなったと
いうことではないと思いますけれども、結果として事業所内保育所をつくる企業について
は割増償却制度を作ってもらいました。こういった方向をこれからも中部圏はじめ各県と
も連携しながら、税制の面でもメリットがあるような運動をしていったらどうかと、こう
いうふうに思っておりますんでよろしくお願いしたいと思います。
【谷本石川県知事】
ありがとうございました。
静岡の知事さん、お願いします。
【石川静岡県知事】
私のところも石川県、富山県と似たような事業を展開しております
が、特に石川県が始められたプレミアム・パスポート事業、これは大変参考になりまして、
早速我々も昨年から「しずおか子育て優待カード」という名前で始めました。ことしの10
−22−
月段階でようやく県内の全市町でこの事業が実施されるようになりまして、協賛店舗数も
4,200店を超えることになりました。いいヒントをいただき、改めてこの場で谷本知事にお
礼を申し上げたいと思います。大変反響が大きかった事業だと思います。
それから、企業の行動計画の関係でありますけれども、従業員301人以上の届出事業所は、
305の対象に対して304が既に届けられている。300人以下の努力義務対象事業所はこれまで
に181社の届出がありました。
静岡労働局と一緒に普及啓発事業に取り組んできておりまして、行動計画の届出状況は
まずまずの成果が出てきたものと思います。一方で、本県の労働事情を見ますと、所定外
労働時間が全国対比で平均を上回っている状態が継続しておりますので、子育て支援、あ
るいはワークライフバランスの問題は、これからの大きなテーマとして改善に取り組まな
ければいけない課題であると思っております。
そこで、両立支援に取り組むためにも、企業内保育所の整備、その他の両立支援に資す
る事業に取り組む場合には県制度融資の中で特別枠を設けてこれを支援するというものを
今年度から取り組み始めました。また、男女共同参画社会づくり宣言事業所という制度を
つくりまして、積極的に取り組む企業等を県のホームページや広報誌等で幅広く紹介して
おり、現在のところ89の事業所団体が宣言をしております。
それから、シンポジウムやフォーラムなどの啓発事業も非常に重要ですので、これも積
極的に対応しているところでございます。
最終的には、事業主がどれだけ熱心に取り組んでくれるかということが非常に大きな意
味合いを持ってくると思いますので、県段階における取り組みも、これから効果があると
思われるものはどんどんやっていかなければなりませんが、それを一層促進する意味でも、
国における何らかの企業に対するインセンティブ、税制上のインセンティブあるいは労基
法その他の労働条件の設定に当たっての条件整備、こういうものも必要になってくるので
はないかと思います。今後、都道府県ベースでも意見交換を行って、国にも提案をしてい
く必要があると思います。
以上です。
【谷本石川県知事】
ありがとうございました。
長野の知事さん、よろしくお願いします。
【村井長野県知事】
お話をお伺いしていまして、大変印象深く感心して拝聴していまし
たが、とりわけて谷本知事のお話、非常に立派な取り組みをしていらっしゃることに改め
−23−
て感服いたしまして、私も静岡の知事さんと同じようにまねしようかと今考えているとこ
ろで、お伺いしていまして感じているところでございます。
長野県は、実は有業率といいますか、女性の労働力率というのは結構高いんですね。し
かしながら、今のような形での取り組みというのは実は余りやっておりませんで、現実に
は、例えばワークライフバランスをよくするためのセミナーを開くとか、あるいはリーフ
レットの作成ですとかいうような啓蒙的なことしか、今の段階ではやっていないというの
が実態であります。
ただ、例えば育児休暇をとるとか、そういうことにつきましては、きちんとルール化し
ようというような観点で、例えば競争入札の際の加点制度、こういうようなところである
程度面倒を見るような形をとっております。長野県につきましては、ご案内かと存じます
けれども、非常に一般競争入札の比重をふやしているものでございますから、そういう意
味ではこの加点のファクターというのは非常に効いておりまして、相当いいインセンティ
ブになっているのではないかと、こんなふうに思っております。
いずれにしましても、少子化問題というのはどういう切り口でやったらいいか、日ごろ
非常に悩んでいるところでございまして、きょうこうして各県のお取り組みの状況を聞か
せていただきまして、大変得るところがございました。お礼だけまず申し上げます。あり
がとうございました。
【谷本石川県知事】
福井の知事さん、よろしくお願いします。
【西川福井県知事】
石川県から提案がございまして、先進的な取り組みをしていただい
ているところでございましてありがとうございます。
福井県といたしましては、これまでもいろいろやっておりますが、要はいかに結婚をし、
出生率が上がって、かつ俗っぽく言うとよい子供が育つかということが課題だということ
で、そこを考えながら政策を進めていく必要があるだろうと。
各都道府県もそれぞれ他県のすぐれたところを見て、またそれぞれの県のよいところを
加えてやっているのがだんだん成熟化しているというふうに思っておりまして、そういう
ことでこれがいかに出生率につながるか、さらには若い人が大都市に出て、いかに戻って
くるかとか、そういう大きな構造的なお話になると思うんですが。
福井県としては、1つは、特に家族政策といいますか、家族の時間をみんなで長くして
いこうということを、私はマニフェストでこの春書かせていただきまして、子育ての中で
家族が話し合うとか、あるいは助言し合うというような、こういう時間の量及び質を何と
−24−
かふやせないかということで、これは企業の協力も必要ですし、また働き過ぎになっては
いけないわけであります。ともかく家族時間をいろんな方法でふやして、子供も大人もワ
ークあるいは学習、ライフバランスをとるような政策を進めてまいりたいと、こんなふう
に思っております。
それからもう一つは、ふるさと納税などの話も関連しますが、大都市で働き、田舎、ふ
るさとでというようなバランスが一生の間とられていないわけでありまして、福井なんか
も毎年2,000人ぐらいの若者は戻ってこないということでありますので、もうぼちぼちお盆
休みとか正月休みだってあるんですけれども、秋休みとか何かそういういろんなものをし
て、大都市に出た人材は都市の企業に預かっていただいているわけでありますので、ふる
さとに返してもらうとか、それは一生涯の話でもありますし、大事なときとか、あるいは
季節季節でもう少し日本全体として企業が働く人たちにそういう地域的な交流の配慮をす
るということかなと私は思うんです。
それから、女性の就業率などのお話がございましたが、東京を見ますと福井、石川、富
山、長野、岐阜、静岡、愛知県、全部、就業率は1けた台で非常に高いですよね。三重県
も2けた台で、滋賀県も割合高いわけでありまして、非常に女性が働く圏なんですね、中
部圏は。ですから、お父さんとお母さんが協力してもっと動いていただくというのが大事
だと思うんです。
それで、先ほどいろいろ例がございましたが、福井県もほぼよく似た企業への応援など
も行っておりまして、国は301人以上であれば100%行動計画はつくっておりますし、300人
以下も県庁の職員に訪問してくれということで、また企業の様子もそこで聞けますので、
それでも今1万2,000社のうち300人以下でありますと253社が18年度末でこういう計画を
つくっておられるようでありますけれども。地方は中小企業が多いですから、300人以下と
いう国の基準ももう少し何か変えたほうがいいんかなと思うんですね。大都市はすぐ実行
できるんですが、地方は物すごく中小企業の割合が多いですから、そういう問題があるか
なと思います。
それから、地域ぐるみのいろんな支援方法としては、子育て社会にならなければならな
いということで、合計特殊出生率は幸い、高い水準にありますが、3人目のお子さんをい
かに産み育てるかというのが、いろいろな意味で重要かな。1人、2人というのは結婚さ
れると大体生まれることが多いんですが、3人目がかなり希望レベルと実際のレベルが開
きがありますので、ここがポイントだということです。先ほどのようなお話も大体そうい
−25−
うことかと思いますので、福井県としては次の段階として、ママ・ファースト運動という
んですが、お母さんをいろんなところで優先していく。病院で長く待たない、大事な時間
でありますから。スーパーでも待たせないとか、あるいは企業がプレミアム・パスポート
のような応援もすると。そんなことを加えて全体として子育てを支援する次の段階に行く
べきかなと、こんなふうに思っております。特に結婚問題というのは非常に重要ですので、
これはそういう応援の皆さんがいらっしゃるんですが、さらに充実をしてまいりたいと、
こんなふうに思っております。
以上です。
【谷本石川県知事】
ありがとうございました。
名古屋市さん、よろしくお願いします。
【塚本名古屋市副市長】
少子化対策、先ほど西川知事さんがおっしゃいましたけれども、
これをやれば特効薬になって何かできるという問題でもありませんので、考えつくこと、
効果のありそうなことは何でもするということじゃないかと思っております。
そういうことで、今議題になっております企業との関連で、既に先ほど谷本知事さんか
ら先進的な取り組みお話ございましたが、それに類似した施策も含めて今年度から私ども
が取り組んでおります3つの事業について少しご紹介をさせていただきたいというふうに
思っております。
私どもも企業も地域の一員であるという、そうした観点から企業との連携による子育て
支援策、これを推進するということで名称を私どもつけておりますが、「なごや未来っ子
応援制度」、それから「子育て支援企業認定・表彰制度」、それから「親学推進協力企業
制度」、この3つを今年から取り組んでいるわけでございます。
このうち、なごや未来っ子応援制度でございますが、既に石川県さんのほうからお話ご
ざいました。私どもも同じような制度でございますが、ことしの10月から発足をいたして
おりまして、既に5,000件以上の店舗にご協力をいただきまして、子育て家庭の優遇・優待
カード「ぴよか」という名前をつけておりますが、これを発足をさせまして既に26万人の
方にカードを配布いたしております。子育て家庭が協賛店舗等で買い物をするときに「ぴ
よか」を提示すれば、例えば記念品やグッズがもらえるとか、商品が割引になるとか、お
買い物スタンプが2倍もらえるとか、いろんな割引・特典制度が受けられるという制度で
ございます。
そうした意味で、先ほど冒頭にご紹介ございましたこの冊子でございますが、非常にす
−26−
ばらしい、アイデアと申し上げたら恐縮でございますが、非常にいいことじゃないかなと
いうふうに参考になりました。
それから、子育て支援企業認定・表彰制度でございますが、社会全体で子育てしやすい
まちづくりを進めるという観点から、子育てに優しい活動を行っている企業を認定いたし
まして、その中から特にすぐれた活動を行う企業を表彰するという制度を絡め合わせまし
て、11月、もう既に企業募集を開始するところでございますが、来年1月には第1回目の
認定・表彰を実施する予定でございます。認定されました企業は、企業名を私どもの名古
屋市のホームページで公表、PRをするほか、指名競争入札での優先指名などのメリット
を付加したいと思っております。
また、3つ目の親学推進協力企業制度でございますが、子育て中の従業員に対しまして
家庭教育を積極的に支援する企業を登録するという、こういう制度でございまして、名古
屋市としては、登録企業に対しまして親学に関する講座に講師を派遣するというような支
援を行う予定をしております。既にこれは6月から登録企業を募っておりまして、24社が
今現在では登録しているところでございます。
いずれにいたしましても、あらゆる施策を駆使しまして少子化対策を実行いたしません
と、非常に将来緊急性を要する事柄でございますので、いろんなお知恵をいただきながら
私どもも緊急に取り組んでいきたいというふうに思っております。
以上でございます。
【谷本石川県知事】
ありがとうございました。
滋賀県さん、よろしくお願いします。
【澤田滋賀県副知事】
滋賀県におきましては、やはり子育て、子育ち、大変重要である
ということで、平成18年4月に滋賀県子ども条例を策定をいたしまして、県民、それから
事業者、企業、そして行政が一体となって子育て、子育ちを応援していこうということで
取組を進めておりますけれども、とりわけ近江商人の知恵である三方よしにあやかりまし
て「子どもによし」、そして「親によし」、そして「世間によし」のいわゆる子育て三方
よしをメッセージとして発信をしまして、総合的な次世代育成対策を進めております。
とりわけ、先ほどから話題になっている女性の労働力率でありますけれども、いわゆる
30歳代前半を谷とするM字カーブなんでありますけれども、滋賀県、この30歳代の前半の
女性の労働力率が全国でも5番目に低いということから、逆に言えば、30歳代前半の女性
の3割近くが働くことを希望しているものの実現していない状況にありまして、この辺が
−27−
大変課題であるということで取組を進めております。
先ほど来から話題になっております一般事業主行動計画の策定実施ということで、300人
以下の企業の努力義務のところをどう策定していくかというところに大変苦心をしており
まして、滋賀県では71社の策定ということで全体1万1,000社ある中でごくごく少ない数に
なっておりますので、そこを今非常に苦心をしております。
とりわけ、県と滋賀労働局あるいは経営者団体、それから労働者の代表の4者が寄りま
して会議を結成をしまして、その中で平成18年2月には3か年の具体的な計画をつくろう
ということで雇用推進プランをこの4者が一体となってつくりまして、その中でも目標を
定めて4者で取組を進めていこうということでやっております。その中では、行動計画に
ついて知らないとか作成方法がわからないというような企業も多いということでございま
すので、アドバイザーを設置し普及啓発を進めるほか、やはりトップの意識が重要であろ
うということで、トップに対するトップセミナーを開催する予定でもおります。
それから、やはり一般行動計画を策定した企業をワークライフバランス推進企業として
登録をしまして、その取組をホームページなどで公表することによって、より進めていこ
うというような計画も現在いたしております。
それから、子育てを応援する商品やサービスを提供する企業を淡海子育て応援団としま
して、その取組をホームページなどで紹介するほか、あと教育委員会のほうも熱心に取り
組んでおりまして、教育委員会が家庭教育との向上に向けた職場づくりの取組をする企業
を教育委員会と協定を結んで進めていく家庭教育協力企業協定という事業も行っておると
ころでございます。また、入札におきましても、公共事業の入札における加点ということ
で、就業規則に育児休業制度の規定があるという企業については加点制度を設けるなども
いたしております。
きょうは先進的な取組を幾つもご紹介をいただきましたので、その点も滋賀県、積極的
に取り入れながら今後とも進めてまいりたいというふうに考えております。
【谷本石川県知事】
ありがとうございました。
三重県さん、よろしくお願いします。
【望月三重県副知事】
三重県では、企業との子育てという関係では、昨年の6月にみえ
次世代育成応援ネットワークというのをつくりまして、これは経済団体が発起人となりま
して経済界が主体的につくったものですが、現在、会員数が企業、団体等で530余りになっ
ています。
−28−
ここのネットワークが中心にさまざまな活動が行われておりまして、幾つかご紹介いた
しますと、「子育て応援!わくわくフェスタ」ということで、これはイベントなんですけ
れども、ことしの1月に2日間実施しました。県がかかわりますイベントとしては大変人
がたくさん入りまして、2日で1万8,000人の来場者があったということで大変にぎわいま
した。ここで子育てに積極的な企業がブースを出しまして、さまざまな情報提供をしたと
いうことがございました。
それから、2カ月前から始まったんですが、子育て応援マッチングシステムといいまし
て、愛称を「スイッチ」と言っているんですが、加盟しております企業、団体等に、もう
使わなくなった、例えばいすとかテーブルとか、それからパソコンとかを、欲しい会員に
もらえると、そういうマッチングのシステムをつくりまして、IDナンバーとパスワード
を付与しましてネットの中で交換システムをつくるということにいたしております。既に
数例交換がなりまして、第1号は、JA三重信連が使わなくなりました机とかいすを、三
重県の学童保育連絡協議会というところが、このシステムを使って、もらっています。そ
ういったことも始まっています。
それから、このネットワークが主体となりまして、おもしろ父親教室、これは企業にお
願いをして、従業員、お父さんに県内の保育系の大学に行っていただきまして、子供と一
緒にいろんな遊びとかをやってもらおうというふうな、そんなこともやっております。
それから、お父さん、お母さんの職場を見学に行こうということで、会員の企業に、そ
この職場に子供さんが行ってお父さんの働く姿を見てもらうといったこともいたしており
まして、いずれもすべてプレスに報道提供をいたしまして、企業、それから団体等がやっ
ていることがよくわかるように、これは県のほうで支援しております。
それから、今調査をいたしておりまして、仕事と家庭の両立支援に関する意識調査とい
うことで、県内の企業2,000社、それから従業員の方2,000人を対象に、ワークライフバラ
ンスでありますとか次世代育成支援といったことについて悉皆調査をやっておりまして、
これをもとに、何かしら次世代育成の指針となりますようなガイドブックをつくっていこ
うということで今取り組んでいます。
先ほど谷本知事のご紹介にありましたパスポート事業に類する事業につきましては、12
月から始めようということで今準備をいたしておりまして、実はこれは近畿の2府7県が
連携してこの事業をやっていこうということで、県によってスタートの時期は違いますけ
れどもほぼ出そろいつつあるのかなという、そんな状況でございます。共通のマークをつ
−29−
くって、それを何かステッカーで貼ると、そんな試みをやろうとしております。
それから、直接これは県の内部の組織の話なんですけれども、三重県では来年4月から
こども局という局をつくりまして、現在他の部局で行っております青少年の健全育成の問
題とか、それから教育委員会の子供関係、教育委員会に残すもの以外のものをすべてこど
も局に集めまして、福祉の話を中心に子供施策全体を横糸でつなごうというふうな試みを
いたそうかなということで、今準備を進めているところです。
以上です。
【谷本石川県知事】
ありがとうございました。
愛知県さん、よろしくお願いします。
【西村愛知県副知事】
愛知県における少子化社会における企業の役割ということで、取
り組み状況を、先ほどの資料2ページをごらんいただければありがたいと思います。
まず、少子化対策に関する条例につきましては、全国で11都府県、中部圏では石川県、
それから岐阜県、滋賀県が制定をされておりますが、本県でも少子化対策に取り組む強い
決意のもとということで、今年の3月に愛知県少子化対策推進条例を制定いたしました。
この条例の中で県が取り組む施策を7つの柱として示しておりますが、その一つ、ピン
ク色に塗ってあるところでございますが、仕事と生活の調和の推進を位置づけております。
仕事と生活の調和を実現するためには地域を挙げた取り組みが必要であるということで、
このため、経済団体、労働団体、それから行政などで構成をします「あいち子育て支援・
働き方の見直し推進協議会」を設置しまして、関係者との連携により企業の子育て支援な
どの取り組みを進めることといたしております。
それで、11月を企業における「子育て応援・働き方の見直し推進キャンペーン」月間と
いたしまして、子育て世代の応援や所定外労働の削減、それから休暇を取得しやすい職場
環境づくりの取り組みを進めることとしておりまして、推進協議会構成員の広報手段を通
して会員企業に働きかけるということをやっております。また、働き方の見直しに向けた
キャンペーンにつきましては、今後広域的に連携していくことも視野に入れ、県民運動と
して盛り上げていきたいと考えているところであります。
また、個々の企業における取り組みの促進でありますが、企業における子育て支援など、
仕事と家庭の両立支援に取り組むファミリー・フレンドリー企業の普及拡大に努めており
まして、今年度、企業みずからがファミリー・フレンドリー企業として登録制度を創設い
たしました。登録状況は10月末で68社とまだ少ないわけでありますが、これらを、目標数
−30−
値としては200社程度をとりあえずやっていこうと考えております。仕事と家庭の両立支援
を行う企業の取り組みは、就業を希望する学生や求職者などが企業を選ぶ際の重要な情報
であると思っておりまして、登録制度の専用サイトを設けまして子育て支援制度、育児休
業期間の長さとか短時間勤務制度やフレックスタイム制などの有無などをわかりやすく紹
介をしているところであります。
次に、ファミリー・フレンドリー企業の登録制度を普及するとともにファミリー・フレ
ンドリー企業を広く周知するために、就職を希望する学生を対象としたファミリー・フレ
ンドリー企業フェアというものを開催することといたしております。これは来年2月19日
に予定をしておりますが、今後の人口減少を展望しますと、ファミリー・フレンドリー企
業の取り組みは人材確保の観点からも非常に重要ではないかと思っております。
また、従業員300人以下の企業に対しましては、登録に当たり必要な諸規定を整備するな
ど、助言とか指導をするアドバイザーを無料で派遣することを考えておりまして、登録企
業には奨励金10万円を支給するなどの支援を行って普及を図っているところであります。
最後に、地域における企業の子育て支援ということでありますが、先ほど名古屋市さん
のほうからもお話があったわけでありますが、地域で子育て家庭を応援する仕組みとして
子育て家庭優待事業を県と市町村の共同によりまして、とりあえず県内3市でスタートを
しました。この事業、子育て家庭に子育て優待カード、ここには「はぐみんカード」とあ
りますが、これを配布しまして、県内の協賛店舗、それから施設等がカード提示した者に
さまざまな優遇を行うことにより地域全体で子育てを応援するという気運の醸成を図るも
のでありまして、なお、先ほど石川さん、「べんり∼な」ですか、これ大変参考になりま
すので、県内の市町村にも広めてまいりたいというふうに思っております。
このほかに、企業ではありませんが、私ども少子化対策について、ことしは特にユニー
クな結婚支援事業というのをやりました。要するに、結婚を希望する者を対象に座学及び
パーティーを内容とする支援事業、お見合いみたいなものですが、県が主催をしてセント
レアでやりまして大変盛況であったということを少し申し添えさせていただきたいと思い
ます。
以上でございます。
【谷本石川県知事】
ありがとうございました。
岐阜県さん、よろしくお願いします。
【原岐阜県副知事】
岐阜県ですけれども、うちの知事も少子化問題、少子化対策に大変
−31−
真剣に取り組んでおるところでございます。
ことし6月に、合計特殊出生率が大幅な改善を見ましたフランスに出張に行った際にも
子育て担当閣僚と意見交換をしてきたということでありまして、知事の話によれば、フラ
ンスというところは左派と右派と政策的に非常に対立が多いところではあるんだけれど
も、少子化対策、子育て問題については一致していると、こういうことでして、それはな
ぜかというと、右派にとっては家庭とか家族とかいうのを大切にすべきだという価値観を
持ち、他方で左派からすると男女平等という観点から、やはり子供を育てる環境をよくす
るのはきちんとやるべきだということで、右派、左派一致して取り組める政策であると。
それでフランスではあれだけの合計特殊出生率の回復を見たと、こんなふうな話がござい
ました。そんなことで、岐阜県としてもできることはあらゆることをやっていこうと、行
政のみならず県全体を挙げてやっていこうと、こんな姿勢で少子化対策に取り組んでおる
わけでございます。
その中で、主に企業絡みの点についてお話をしたいと思います。
1つが、石川県さんのプレミアム・パスポート、これを参考にさせていただきまして、
岐阜県でも昨年8月から「ぎふっこカード」というものを出しております。今現在、カー
ドの発行枚数が3万9,000枚を超えました。岐阜の場合には、18歳未満の子供が1人でもい
れば全部その発行を認めるということで、世帯の19%にまでなったと。3万9,000枚という
のは19%でございます。それから、協力する企業にしましても、11月1日現在でございま
すが1,387店舗まで来ておるということでございます。そして、先ほど富山県さんからお話
ございましたが、ことしの8月1日からは広域で富山県と一緒に相互乗り合いできるとい
う形をとっておるところでございます。
それから、ことしの3月に条例をつくりました。これはわかりやすい条例ということで
「安心して子どもを生み育てることができる岐阜県づくり条例」と、こういう名称で制定
をしたものでございますが、その中でやはり仕事と家庭をともに大切にしていこうと、こ
れを柱に掲げております。県内、中小企業が多いもんですから、次世代育成支援対策法の
取り組みが義務づけられていない300人以下の中小企業、これを巻き込んだ取り組みをして
いこうとしております。
そこで、従業員の子育て支援に積極的に取り組んでいる中小企業を登録して、それを県
のホームページでPRしたり金融機関から低利で融資を受けることができるようにする、
そういうふうな制度、子育て支援企業登録制度というものをつくりました。10月末現在で
−32−
152の企業に登録をいただいておるところであります。
そして、こうした制度の立ち上げとあわせまして、中小企業の集まりの経済団体であり
ます中小企業団体中央会、そして商工組合中央金庫の岐阜支店と県と3者になりまして、
仕事と家庭の両立支援に取り組む企業への支援協力に関する協定というものを締結してお
ります。そして、その協定に基づいて3者が連携、協力してこうした中小企業の従業員の
子育て支援のための取り組み、あるいは仕事と家庭の両立支援に対するサポートを行うと
いうふうにしております。
そして、3つ目でございますが、先ほど申し上げた条例で毎月8がつく日を「早く家庭
に帰る日」と定めて、子育て家庭の保護者が早く家庭に帰ることができるような県民運動
に取り組んでおります。お配りした資料の中にポスターが入っておると思うんですけれど
も、このポスターの図柄にしても公募してつくったものでございます。「笑顔まつ
に帰ろう
家庭
『8』のつく日」と、こういうことで、ともかく8日、18日、28日は早く家庭
に帰りましょうと、こういう県民運動に取り組んでおります。県でも、まず県庁の中から
ということで、当然そのときにはちゃんと7時までには帰ることということにしておりま
して……。
【谷本石川県知事】
帰れるのかな。あなたは帰っていますか?
【原岐阜県副知事】
いや、私はもちろん帰っています。
ともかく率先して取り組むと。そして、これは県だけじゃなくて市町村、企業にも参加
を呼びかけておりまして、現在、企業でいいますと、先ほど申し上げた子育て支援登録制
度に登録した企業152社のうち57社が実施もしくは実施の意向を表明しておるというとこ
ろでございます。
こうした運動を引き続き強力に取り組んでまいりたいと思っております。
以上です。
【谷本石川県知事】
ありがとうございました。
以上、各県あるいは市の取り組みについてご紹介をいただいたわけでありますけれども、
このテーマは、今もそれぞれお話がありましたように、各県市の状況により異なる部分も
あるわけですが、各県市が問題意識を共有しながら必要に応じて連携をしていくことも私
は大事だと思いますし、特に静岡の知事さんが企業には税制上のインセンティブも大事だ
というお話もありましたし、事業所内保育については何か税額控除があるという話も聞い
ていますけれども、もっと幅広いそういう税制上の仕組みも必要じゃないかという思いが
−33−
しているんですが、これは場合によっては国のほうにいろんな提案をしていくということ
も大事だと思いますし、従業員が301人以上の基準を引き下げるというのも、これは法改正
が伴いますんで、こういったものを場合によっては提案をしていくことも大事だと思いま
すんで、ぜひ担当者による意見交換とか情報交換の場を設けるということで、こういう課
題に取り組んでいくことでいかがでしょうか。
よろしゅうございますかね。
〔「異議なし」という者あり〕
【谷本石川県知事】
ありがとうございました。
それでは、協議話題については終了いたしたいと思います。
(2)国への提言
【谷本石川県知事】
続いて、国への提言であります。
事前に各県市の間で文案調整を行ったわけでありますが、各県から特にご発言があれば
お願いいたします。
福井県の知事さん、よろしくお願いします。
【西川福井県知事】
まず、北陸新幹線の全線建設であります。
前回、16年の計画で政府・与党申し合わせで白山車両基地までの線路の決定、それから
福井駅については駅部の整備ということで、福井駅については来年にはもう完成をするわ
けでありますが、本年が見直しの時期として重要でありますので、北陸はもとより、中部
圏全体としても東京、長野、ずっと、関西といいましょうか、つながっていくわけであり
ますので、ぜひ未着工区間となっている白山車両基地から敦賀までの工事実施計画一括認
可、そして北陸3県での同時期での開業の実現に向けまして、力強いご支援とご支持をぜ
ひお願いしたいということでお願いをいたします。
【谷本石川県知事】
では、富山県の知事さん、よろしくお願いします。
【石井富山県知事】
今、福井県さんから言われた白山総合車両基地から敦賀までの工事
実施計画の一括認可なり早期整備、これは富山県にとっても大事なことですので、ぜひ私
どもも一緒になって進めたいと思います。
それから、この緊急提言の7番に、新幹線の「地方負担については沿線の地方自治体に
過度の負担が生じないよう、国家プロジェクトにふさわしい十分な財政措置を講じるこ
と。」というのが入っておりますけれども、ご承知のように、北陸新幹線等は今地方負担
−34−
が3分の1になっていまして、実は大体県内で6,000億の事業費なんですが、3分の1とい
うと2,000億近い数字になるんですね。このうち51億円ほどを富山市と黒部市と高岡市が駅
舎の関係で持つんですが、残りは全部富山県の負担になっておりまして。
今年は県内事業費を53%ぐらい増やしていただいたのは大変うれしいんですが、地方負
担も53%増えたわけでして、八十数億だった地方負担が一挙にことし132億になったと。実
はピークになると300億ぐらいになるんですね。これも正直言いますと大体標準財政規模の
10%を超すような話になるんで、もうこれはとてもじゃないが、今90%起債が入って、そ
のあと元利償還金の2分の1が交付税措置となっているんですけれども、これは県財政の
破綻につながりかねないし、また、ほかの公共事業とか単独の投資的経費に全くお金が回
らなくなるんですね。
それから、大変恐縮ですが、中部圏でも先進地域の、例えば東海道新幹線とか山陽新幹
線とか、東北新幹線でも盛岡までは地方負担ゼロだったわけで、長野はちょっとまた別の
仕組みになっていましたけれども、やっぱり本格的に始まってみますと先進的なところは
地方負担がなくて、これから発展させていかなきゃいかんところは地方負担が耐えられな
いぐらい大きいというのは、余りにも不公平なんで。これは今、富山県が北陸では先陣を
承っていますけれども、いずれ石川県や福井県もそういう状態になることは明らかであり
ますので。
実は、東北新幹線でも青森とか、いずれ北海道とか九州でも幾つかの県はそういう状態
になりつつありますので、これはもちろんいろんな経緯があって地方負担が3分の1にな
りましたので全くゼロにしてくれというのは難しいと思うんですけれども、国庫負担率を
上げるか、それが難しいとすれば地方交付税の数字を思い切って拡充していただくという
ようなことで、ぜひこの要望は力を入れてやっていきたいと思います。並行在来線のこと
は、また長野県知事さんのおっしゃるとおり、私もぜひ応援したいと思いますので、連携
してこの地方負担の問題は取り組んでいきたいと思いますんで、ご理解とご協力をお願い
したいと思います。
よろしくお願いします。
【谷本石川県知事】
ほかにございますか。
長野県知事さん。
【村井長野県知事】
今のことに関連しまして、本当に何よりも大事なのは新幹線をとも
かく通すことだと思いますね。私のほうも長野まで東京から来ているだけでは、見ていま
−35−
すと、どうもストロー効果のほうが大きいという感じがあるんですよ。どうも東京という
非常に強力な磁場にずっと吸い取られてしまいましてね。長野というのは大体支店経済な
んですけれども、この支店が、置かなくてもとりあえずいいという感じになっちまうんで
すね。そうしますと、ともかく東京から朝出張してきて客先回って、夜、宴会1つやって、
はいって帰っちゃえばそれで済むというようなことでありまして、交通網というものは網
といいますから、やっぱり先へ延びてつながらなきゃどうしようもない。
そういう意味では、私はもうともかく、今お話のありますように白山基地からさらに大
阪までという延伸を積極的に進めていただく。その過程で並行在来線の問題というのは、
非常に私ども痛い思いをいたしましたのでお忘れなくという話でありまして、位置づけは
もとより間違わないつもりでございます。
どうぞよろしく。
【谷本石川県知事】
ありがとうございました。
長野県知事からそういう発言をお聞きしたのは久しぶりのような感じがするわけです
が、中部圏知事会でもこの北陸新幹線にかかっていますのは、長野を含めて4県がかかわ
り合いを持っていますので、これはぜひ中部圏知事会のテーマとしてもこれから掲げ続け
ていかなきゃいけないテーマだと思いますし、取りかかったからにはやっぱり早く整備を
するということが大事ですし、それからこの地方負担が大変重きをなしてきます。
実は私どもも、富山県境から金沢までは、もうそういう言葉はなくなりましたけれども
スーパー特急という形で整備をしてまいりまして、石川県も一番多いときで地方負担が60
億ぐらいございましたかね。一時は大変苦労したんですが、富山の知事がおっしゃるよう
に、いずれ石川県にも金沢以西という話が出てまいりますと、そういう議論も出てまいり
ますんで、ここは富山県知事を先頭に我々も一生懸命頑張っていかなきゃいけないと思い
ますし、ぜひ長野県知事には長野県の例の箇所はよろしくお願いをいたしたいというふう
に思います。
それ以外に何かございますかね。
私のほうから、実は今しがた、被災者生活再建支援制度の見直しの法案、今日参議院、
そして衆議院で可決をされたという情報が入ってまいりました。これは去る7月の滋賀県
で開催されました前回の会議で石川県が提案をいたしました案をご了解いただいて、国に
対して使い勝手のよい制度になるように緊急提言も行ったわけでありますけれども、与野
党協議において一本化の合意がなされまして、定額渡し切り方式によりまして住宅本体の
−36−
建築費や補修費が支給対象になったわけでありますので、私どもの要望項目のほとんどが
実現されるという見通しになりましたし、加えて能登半島地震や中越沖地震の被災者にも
適用されるということに相なりましたので被災者の救済に大いに役立ついい制度に改善を
されたと、このように思っておるわけでございます。
知事会の災害対策特別委員長であります石川知事さんにも大変ご苦労をおかけいたしま
したけれども、この場をお借りしてお礼を申し上げたいと思います。
ほかは何か、国の提言についてはございませんですね。
(3)その他
【谷本石川県知事】
それでは、最後にその他ということでございますが、何かございま
すでしょうか。これも特にありませんですかね。
では、イベントのPR等、その他を含めてご発言がございましたらよろしくお願いした
いと思います。
富山県の知事さん。
【石井富山県知事】
じゃ、一言だけ。
東海北陸自動車道の全線開通、来年3月といっていたのが残念ながら7月になりました
けれども、それにあわせまして、来年5月にやるつもりでした全国街道会議を今のところ
8月に開催しようと思っておりまして、岐阜県とか石川県さんとか幾つかの県に、実務的
には、それから岐阜の知事さんにはご本人に、またご参加、ぜひご支援を、連携してやり
ましょうとなっていますけれども、ぜひ皆さんご都合がつけば、知事さんご本人、あるい
は関係の皆さんご参加賜ればありがたいと思います。
それから、お手元にこういう富山県の観光マップ、これ今回新たにつくりましたので、
ぜひいらしていただきたいと思います。
富山県は、今度新しい観光キャッチフレーズ「パノラマ
キトキト
富山に来られ」と
いうのをやりました。パノラマというのは3,000メートルぐらいの立山連峰と水深1,000メ
ートルの富山湾、キトキトは、寒ブリですとか、これは長野行くと飛騨ブリという名前に
なるようですが、シロエビとかああいうものをいっているわけで、ひとつまたよろしくお
願いしたいと思います。
以上です。
【谷本石川県知事】
ありがとうございました。
−37−
どうぞ。静岡県の知事さん。
【石川静岡県知事】
11月14日から21日まで2007年ユニバーサル技能五輪国際大会が本県
の沼津市と静岡市で開催されます。一般の方の入場も期待しておりますが、遠方からのご
来場はなかなか期待できないのですけれども、少なくとも行政担当者の皆さん、特に後継
者育成、中小企業、ものづくりの担当の部局の方には必見のイベントでありますので、お
見逃しなくご来静いただくようにご紹介いたします。
【谷本石川県知事】
静岡の知事さんからのたってのご要請ですから、これは後継者育成
という意味でも大変大事なイベントということでありますから、少なくとも行政関係者は
視察に行くということですね。
ほかにございますかね。
長野の知事さん。
【村井長野県知事】
じゃ一つだけ。済いません。
長野かがやき国体というのを来年の1月26日から、スキー、スケート、アイスホッケー
と3種目、冬の種目全部を一通りそろえてやるということになりました。ことしの春、突
然お話がありまして、準備期間が1年ないというようなことでございますが、非常に厳し
い環境だったのですが、逃げるわけにいかないもんでございますからやらせていただくこ
とになりましたが、今度はぜひ地味に、地味にやろうと、こう考えております。
ひとつご協力を賜ればありがたいと存じます。どうぞよろしく。
【谷本石川県知事】
もう華美なイベントは余り受けませんので、ぜひ内容のある国体に
していただきたいと思います。
福井の知事さん、どうぞ。
【西川福井県知事】
先ほど自殺のところで申し上げましたが、「ちりとてちん」という
10月からの朝の連続テレビ小説ですが、なかなか見ておりますとおもしろうございますの
で、朝も昼も夜も、それからBSでは1週間分見られるようになっておりますので、NH
Kの宣伝も兼ねて申し上げます。
それからもう一つ、福井県立恐竜博物館、これは勝山市にあるわけでありますが、世界
三大恐竜博物館なんでありますが、最近各地で恐竜の骨格あるいは骨などが発見される、
各県であると思いますけれども、来年3月に中国を初めとした国際シンポジウムなどがご
ざいますので、もし美術館、博物館などで、それこそさらに行政のご専門、そういう方が
ございましたらシンポジウムにお越しをいただくと同時に、子供たちも非常に興味を持っ
−38−
ておりますので、またお見えいただければありがたいと思います。
簡単でございますが。
【谷本石川県知事】
岐阜県さん。
【原岐阜県副知事】
非常に先の話で恐縮なんですが、平成24年、5年後の話で申しわけ
ないんですけれども、ぎふ清流国体ということで岐阜で夏と秋の国体、今度は秋の国体一
つになりますけれども、これがことしの7月に岐阜県でやるということの正式内定があっ
たものですから、あえてこの機会にご紹介させていただきます。
【谷本石川県知事】
ほかにございますか。
滋賀県さん、どうぞ。
【澤田滋賀県副知事】
滋賀県は来年のお話なんですけれども、スポレク祭を来年の10月
やりますのでぜひ。滋賀県お金はかけませんけれども、心のこもった大会にしたいと思い
ますので、ご来県のほどをお待ちしております。
また、これも急な話で。あしたから、実は滋賀県、豊かな海づくり大会を内水面で初め
て実施することになりまして、今、琵琶湖が生態系の問題ですとか水質の問題、漁業の問
題、大変いろんな問題がある中で豊かな琵琶湖をつくっていこうということで、皆さんの
県からも大勢いらしていただいておりますので、その点についてもご報告させていただき
ます。
【谷本石川県知事】
ほかにございますか。
ございませんですね。
5
閉
会
【谷本石川県知事】
それでは最後に、次回の知事会議の開催地でございますが、申し合
わせによりまして次回は名古屋市にお願いするということになっておりますが。
【塚本名古屋市副市長】
名古屋市でございますが、今お話がありましたように、私ども
名古屋市での開催、平成14年にございましたので久しぶりの開催となるわけでございます
が、皆様にとりまして有意義な知事会議になりますように、これから準備をさせていただ
きたいと思っております。来年の夏ごろになるかと思いますが、皆様、ぜひ名古屋へお越
しをいただきますように心からお待ちを申し上げておりますので、よろしくお願いをいた
します。
【谷本石川県知事】
それでは、以上をもちまして第88回中部圏知事会議を終了させてい
−39−
ただきます。
ありがとうございました。
−40−
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