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小論文<情報学群>
小論文<情報学群>(2枚中1枚目) 次ページの文章を読んで,以下の設問すべてに答えなさい。 盧 次のページの文章に題名を 30 字以内でつけなさい。 盪 次のページの文章の内容を踏まえ,“フォロワー”という言葉の意味を 240 字以内で説明し なさい。 蘯 『ポン』によってゲーム市場が大きく開拓された要因を次のページの文章をもとに 300 字以 内で説明しなさい。 盻 無償(無料)で利用できるソフトウェアにはソースコードが公開されているものがある。ソー スコードとはコンピュータに対する一連の命令を記述したもので,これを書き換えることによっ てソフトウェアを改造することができる。ソフトウェアのソースコードが公開されることによっ て得られるメリットとデメリットについて,自分の知識や意見を含め 420 字以内で議論しなさ い。 ◆M情S(2012) −4− 小論文<情報学群>(2枚中2枚目) センターラインに見立てた縦線をはさんで向かい合ったラケット二つが,代わる代わるボール を打ち返すだけ。こんな落書きともいえないものが,テレビゲームを普及させる火付け役になる とは誰が予想できただろうか。 本作『ポン』は,一九七二年十一月にアタリ社からリリースされるやいなや,大ヒットを記録 した世界初の業務用ビデオゲームである。画面をテーブル台に見立てて,左右の端には二つのラ ケット(パドル)が配置されている。これを二人の人間プレイヤーがダイヤルを回して上下に移 動させ,ボールを跳ね返し合う。敵側の後ろにボールを打ち込めば一点が入り,十五点先取でゲー ムセットというルールだ。 『ポン』が大成功を収めた理由はなんだろう。たいていの流行と同じように「今までこの世に はなかったから」「目新しかったから」 ,あるいは「たまたまブームの風が吹いていたから」とし か言いようがない。ヒット商品は時の運,人々はいつも気まぐれだ。 しかし,今日あるテレビゲームの原点となった理由,つまりゲームシステムが模倣され,ゲー ム市場を形成できるほどのフォロワーがあとに続いた原因なら分析できそうだ。 一つには,この『ポン』自体が“フォロワー”であったこと。 作者のノーラン・ブッシュネルは,ゼロから本作を 造したわけではない。たまたま参加した ゲーム機(オデッセイ)の実演展示会で『テーブルテニス』というソフトを遊び,その概要を雇っ た技術者に口づてで教えて『ポン』を作らせたのだ。その技術者が自分なりに 意工夫を盛り込 んだため,本家よりも面白くなる「副作用」が起こったのである。コピーして られたものなら, コピーもされやすいというわけだ。 もう一つは,『ポン』が高度な技術を使わずに,普及していたパーツで作られていたことだ。 きょうたい 特に開発されたばかりの初期バージョンは,筐 体(入れ物)には電器屋で買ってきた日立製の テレビがそのままはめ込まれていたという。アイディアと多少のコンピュータの知識さえあれば, し せ い 大学の研究者や専門家でもない市井(注1)の人が,街で調達できる部品だけで組み立てられていた のである。 多根清史著『教養としてのゲーム史』筑摩書房2011 (注1) 市井:ちまた −5− ◆M情S(2012)