Comments
Description
Transcript
小論文 - 学校法人青照学舎 メディカル・カレッジ青照館
平 成 2 5 年 11 月 1 0 日 平 成 26 年 度 メ デ ィ カ ル ・ カ レ ッ ジ 青 照 館 ( 理 学 療 法 ・ 作 業 療 法 ・ 言 語 聴 覚 療 法 ) 学 科 高校推薦入学試験A日程〈小論文〉 さまざまな困難を抱えている人が社会の中で共に生きるためには具体的にどんな ことが必要だと考えますか。次の記事を読み、あなたがセラピストになったとき、 何 が で き る か も 考 え て 述 べ て く だ さ い 。( 8 0 0 字 以 内 ) 施設の階段の手すりをぞうきんでピカピカに磨き上げる。動作はゆっくりだが、丁寧な 仕 事 ぶ り だ 。 横 浜 市 に 住 む ダ ウ ン 症 の 長 谷 山 理 也 ( ま さ や ) さ ん ( 21) は 、 特 別 養 護 老 人 ホ ー ム 「 ラ ポ ー ル 三 ツ 沢 」( 横 浜 市 ) で 働 き 始 め て か ら 4 年 目 を 迎 え た 。 窓ふき、床ふきなどといった掃除のほか、植木の水やりが主な仕事だ。施設長の中沢伸 さんは「入居する高齢者にかわいがられている。がんばっている」と話す。 長 谷 山 さ ん に は 重 い 知 的 障 害 が あ る 。「 こ こ ま で で き る よ う に な っ た の に は 、 職 員 の 指 導 が大きい」と中沢さんは付け加える。 平 日 は 午 前 10 時 か ら 午 後 5 時 の 勤 務 。 ポ ケ ッ ト に は 、 業 務 日 報 が 常 に 入 っ て い る 。 日 報 には曜日ごとの仕事の内容が分刻みで書かれている。仕事が終わりしだい、点検欄に自分 でチェックを入れる。決まった仕事を決まった時間で仕上げられるようにするためだ。 休日は趣味の和太鼓に夢中だ。上海万博、パリのイベントで演奏したこともある。長谷 山 さ ん は 「 仕 事 は 大 変 。 で も 太 鼓 が 大 好 き 。 が ん ば る 。」 と 笑 顔 を 浮 か べ る 。 月収は月9万円ほど。このほか障害者年金が月に6万円入る。長谷山さんの母・景子さ ん ( 60) は 「 公 私 と も 充 実 し た 息 子 の 姿 を 見 ら れ る の は う れ し い 。 こ の お 金 を た め て 、 将 来、仲間とともにグループホームに入ったり、一人暮らししたりする費用にしたい」と話 す。 誕生してすぐに、生まれつき肛門のない「鎖肛」とわかった。ダウン症によくある合併 症の一つだ。S字結腸を切って腹部に人工肛門を付けたり、肛門を作ったりする手術を3 回受けた。小中学校は特別支援学級に通い、特別支援学校(高等部)をへて働き始めた。 「ダウン症であっても、働ける人は増えている」 ダウン症の人たちへの教育や支援活動に詳しい東京学芸大教授の菅野敦さんはそう話す。 菅 野 さ ん が 、 2007 年 ま で の 5 年 間 に 都 内 の 知 的 障 害 者 の 特 別 支 援 学 校 を 卒 業 し た ダ ウ ン 症 の 人 ( 482 人 ) を 対 象 に し た 調 査 ( 08 年 ) に よ る と 、 53 人 ( 11% ) が 企 業 な ど に 就 職 。 内 訳 で 最 も 多 か っ た の は 飲 食 業 の 3 6 % で 、 小 売 業 ( 2 1 % )、 サ ー ビ ス 業 ( 1 9 % ) と 続 い た 。 人 とのかかわりが中心となる仕事が多かったという。 菅野さんは「近年の特別支援教育の充実や社会全体の障害者雇用に対する理解が増えた ことの成果。働けるダウン症の人をさらに増やすためには、福祉や教育、就労に携わる人 たちの連携が求められる」と話す。 (「 医 療 ル ネ サ ン ス 」 ダ ウ ン 症 と と も に 2013.7.03 読 売 新 聞 東 京 朝 刊 よ り )