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平成28 年度新潟県少年の主張大会~わたしの主張~十日町・中魚沼
平成 28 年度新潟県少年の主張大会~わたしの主張~十日町・中魚沼地区大会 【奨励賞】 私の弟 十日町市立中里中学校一年 村山 愛海 私には弟がいます。弟は、小学校低学年のときに、なかなか本が読めるようになりませんでした。母は、 そんな弟を発達支援センターに連れて行きました。多くの検査をしましたが、字の読み書きができない原 因は分かりませんでした。なぜ、自分だけできないのか。弟はとても苦しかったと思います。友達と同じ ように学習しているのに、周りからは、 「お前こんな簡単なこともできないのか。 」 と笑われ、バカにされ、弟は学校に行かなくなってしまいました。そして私も、そんな弟を理解してあげ られずにいました。 小学校三年生の夏。少しずつ学校にいき始めた弟は、夏休みの三日間、家から少し離れた病院に入院し ました。しかし、丁度その日は、私にとっても、大切な用事がある日でした。母から見送りをしてもらい たかったけれど、私のことは後回しにされ、弟をうらやましいとさえ思いました。 三日間の検査が終わり、弟は母と一緒に家に帰って来ました。弟は、字を書いたり、読んだりすること が難しいディスレクシアという障害でした。 弟はディスレクシアと分かりましたが、これからどうしたらいいのか。近くには、ディスレクシアの子 どもたちを訓練する場所がないのです。弟は月に一度学校を休み、病院に行くことになりました。決して 楽しいわけではないのに学校を休み出かける弟がうらやましく、私は弟に、 「自分だけ出かけてずるい。 」 と言ってしまうこともありました。そして、帰りに大好きなプラモデルを買ってもらっていたことをねた むこともありました。行きたくなくても行かなくてはならない弟は、とてもつらいのに。 そんな私を見ていた母は、弟の行っている病院に私を一緒に連れて行きました。弟は診察室でたくさん の質問に答えたり、字の練習をしたりしていました。私はこの時、やっと弟がとても大変な思いをして、 病院に通っていることが分かりました。 その日から私は、弟のために自分ができることはないか考えました。そして、弟の手伝いを少しずつし ました。宿題のプリントの文章を読むことなど簡単なことしかできませんでしたが、弟は喜んでくれまし た。弟も病院に行き始めてからは毎日学校に行き、勉強するようになりました。学校の先生や市の支援員 さんなどの人たちとどうしたら勉強しやすくなるのかを考えながら勉強をしました。 そんなある日、母と弟は、ディスレクシアの人と直接会って話すことができました。その人が子どもだ ったころはまだ、ディスレクシアという障害があまり知られていなかったそうです。どうして自分だけが できないのか分からず、誰も理解してもらえずつらかったそうです。この話を聞いて私は、周りから理解 されにくいこの障害の難しさを知りました。そして弟のディスレクシアが早く分かって本当に良かったと 思いました。 弟はディスレクシアだと分かって変わりました。自分なりにがんばって、字の短い言葉なら少し読める ようになりました。そんな弟を見て私は、もっと弟のことを理解して、少しでも弟の力になりたいと考え るようになりました。そして、いつか弟がみんなと同じように、字を読み書きできるようになってほしい と思います。 私は、この作文を書くのに、とても迷いました。なぜなら、私が弟の障害のことを周りに話していいの か、分からなかったからです。しかし、弟は、 「僕のような子がいることを少しでも多くの人に知ってほしいから、書いてもいいよ」と言ってくれまし た。そして、私は、みんなにうまく伝えられるかどうか不安でしたがこうして作文に書くことにしました。 まだ、あまり知られていないこの障害をもっと多くの人に知ってほしいです。私は、弟のことをもっと分 かってあげて、これからも一緒に生活していきたいと思います。