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エマニュエル・レヴィナスに関する思想史的研究 フランス

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エマニュエル・レヴィナスに関する思想史的研究 フランス
Shiga University Seeds No. 11
しゃ
2015–January
【代表的な研究テーマ】
■
フランス哲学
□ エマニュエル・レヴィナスに関する思想史的研究
■
思想史
ユダヤ思想
□ フランスにおける贈与論の展開
■
■
レヴィナス
■
モース
【研究の内容】
■
贈与
(1)エマニュエル・レヴィナスに関する思想史的研究
課題解決に役立つシーズの説明
私はこれまで 20 世紀フランスの哲学および思想を研究領域とし、とりわけロシア帝政末期のリトアニア
に 生 ま れ フ ラ ン ス 語 で 著 述 活 動 を 行 っ た 哲 学 者 エ マ ニ ュ エ ル ・ レ ヴ ィ ナ ス ( Emmanuel Levinas,
1905-1996)の思想を中心的に研究してきた。特に博士論文の主題である「場所」の概念をめぐって、レ
ヴィナスの思想のさまざまな局面における哲学とユダヤ教の錯綜を軸に研究を進め、その成果を『レヴ
ィナスと「場所」の倫理』(東京大学出版会、2014 年)としてまとめた。今後はレヴィナスに関するこれまで
の研究から浮かび上がってきた関心に基づき、より広い観点から新しいテーマを設定して研究を進めて
いく予定である。第一に、「場所」の問題をさらに拡大し、人間と土地との関わりをめぐる思想的布置や
藤岡 俊博
Toshihiro Fujioka
経済学部/准教授
文学的創意がどのように練り上げられてきたのかを、おもに近現代のフランスやドイツの思想・文学を題
材にして考察し、こうした議論が現在の環境倫理等の諸問題に対して貢献しうる論点を明らかにした
い。第二に、レヴィナスをはじめとしたユダヤ系の哲学者や作家が、土地との結びつきに過去との連続
性を認める見方に抗して提示する別の形での連続性(家族、書物による共同体など)について、ユダヤ
教における血統、証言、記憶といったいくつかの論点を中心に調査していく予定である。
【プロフィール】
●略歴
・2003 年
東京大学教養学部
地域文化研究学科 卒業
・2005 年
東京大学大学院
総合文化研究科
修士課程 修了
・2006 年
パリ第 10 大学哲学科
修士課程 修了
・2009 年
東京大学大学院
総合文化研究科
博士課程 単位取得退学
・2012 年
東京大学大学院
総合文化研究科
博士課程 修了
・2013 年
滋賀大学
経済学部 准教授
(2)フランスにおける贈与論の展開
上記研究と平行して、フランスにおける「贈与(don)」の概念の思想史的研究を行っている。20 世紀初頭
にブロニスワフ・マリノフスキー、マルセル・モースらの民族学者によって主題化された贈与の概念は、
のちの人類学や社会学で新たなフィールドワークの指針として活用される一方で、哲学の領域でも独自
の理論的発展を経験した特異な概念である。特にモースの著名な論文「贈与論」(1925 年)は、クロー
ド・レヴィ=ストロースの構造人類学に批判的に継承されたにもかかわらず、ジョルジュ・バタイユやジャ
ック・デリダといった現代のフランス思想の潮流に大きな影響を与えた。今日でも、フランスの社会学者
アラン・カイエ率いるグループ「MAUSS」(社会科学における反功利主義運動)などの活動を通じて、モ
ース再読の機運が至るところで高まっている。私はすでにカイエの主著『功利的理性批判』(以文社、
2011 年)の翻訳紹介を行っているが、今後はカイエの議論を中心に「MAUSS」の主張をさらに紹介する
とともに、モースの議論が人文社会科学の両領域でどのような展開を見たのかを横断的に整理すること
で、贈与論というトピックがもつ現代的意義を明らかにしたいと考えている。
【主な社会的活動】
●所属学会
・日仏哲学会
・京都ユダヤ思想学会
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