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廃プラリサイクル情報

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廃プラリサイクル情報
廃プラリサイクル情報
Vol.43
2015.1
発行:北海道農業用プラスチック適正処理対策協議会
(事務局:JA北海道中央会農業振興部農業企画課)
電話 011-232-6411
FAX 011-222-3598
日胆ブロック研修会
-1-
10 月 9 日
苫小牧市
ブロック別農業用廃プラスチック適正処理対策研修会
日胆地区会場(苫小牧市)に 38 名が参加
北海道農業用廃プラスチック適正処理対策協議会では、「廃プラのリサイクル
で!築くクリーン北海道!」をテーマに、平成 26 年度農業用廃プラスチック適
正処理対策研修会を、苫小牧市(日胆地区)で開催した。
当日は、道内各地から農業改良普及センター職員や振興局、市町村、JA、
並びに資材販売業者等を中心に 38 名が参加し、講演、研修及び情報提供で農業
用廃プラスチック処理の現状と情勢、先進地域の事例などが報告された。
会場では研修会資料の他、リサイクル向上に向けた普及チラシや、農業用使
用済プラスチックを再利用した製品の配布を行った。
ブロック別研修会の開催に当たり、ご多忙の所講演・情報提供を頂いた農業
用フィルムリサイクル促進協会(NAC)の麻生事務局長、廃棄物の処理及び清
掃に関する法律の研修、地域でのリサイクルへの取組事例または使用済みプラ
スチックの適正処理について、研修・情報提供を頂いた講師の皆様、更には開
催に当たりご協力を頂いた胆振総合振興局、日高振興局を始めとする関係機
関・団体並びに参加者の皆様に御礼を申し上げる。
平成 26 年度
ブロック名
メインテーマ
農業用廃プラスチック適正処理対策ブロック別研修会概要
日胆ブロック
廃プラのリサイクルで!築くクリーン北海道!
開催月日
10月9日
開催場所
日胆農業会館
研
(1)基調講演
修
(2)研 修
(3)情報提供
13:30∼16:30
「農業用廃プラスチックの適正処理について」
農業用フィルムリサイクル促進協会
事務局長
麻生 一夫 氏
「廃棄物の適正処理」
胆振総合振興局 保健環境部 環境生活課 主査(地域環境)永仮 敦善 氏
「道内における廃プラスチック適正処理の現状と課題」
農業用廃プラスチック適正処理推進アドバイザー
-2-
髙畠 宣雄 氏
基調講演
「農業用廃プラスチックの適正処理について」
農農業用フィルムサイクル促進協会(NAC)
事務局長 麻 生 一 夫 氏
1.中国における廃プラスチックの回収状況
(1)中国の廃プラ排出、回収について
2010 年の中国のプラスチック使用量は、4,688 万トンで世界の 3 分の 1 を
占める。回収量は 1,200 万トンで使用量の 4 分の 1 に過ぎない。
廃プラの回収は、素材と用途により分別したりプラスチックの種類別に分
別し行っている。
廃プラの処理は人手による選別(極一部は自動)により行っており、それ
を破砕・洗浄し、フレーク状、ペレット状に製品化している。
表1
日・中・韓の施設園芸比較
施設園芸面積
中
国
韓
国
日
本
379 万 ha(2012)
(中国農業大学
趙副教授)
フィルム使用量
フィルム排出量
ハウス 100 万t
マルチ 110 万t
(山東農業大学
米教授)
5 万 ha(2012)
(慶北大学
李名誉教授)
4.9 万 ha(2008) 農ビ・農 PO 5.7 万t
農水省
(2008 メーカー
21 年度調査
推定排出量)
マルチ約 4 万t
廃プラ回収
(竹谷教授まとめ)
義務なし
市場機能活用
32.7 万t(2010)
韓国環境公社
(竹谷教授訳)
12.4 万t(2008)
21 年度調査
その他プラ除く
義務あり
奨励金支給
義務あり
排出者負担
対策委員会現地調査・・山東省、天津市他(2013.12.1∼5)
経産省「24 年度インフラ・システム輸出調査報告書」
GPEC 講演「中国の最新の施設園芸事情と植物工場の取組」
(2014.7.23∼25)
(2)中国での廃プラの再製品化(経産省調査)
廃ペットボトルは、非食品の容器や繊維の他、唯一 1 社がペレット化によ
り食品用に認可され、コカ・コーラへ提供している。家電に使われるプラス
チックは、種類別に分別されABSがスーツケースに製品化されている。ま
た、紡糸され編まれてフレコンとなったり、ビール瓶ケースに成型されたり
している。
プラスチックと木材で複合材を製造し、デッキ材などにも加工している。
低品位のプラスチックと古紙、汚泥、焼却灰からプラスチックレンガを成型
-3-
している。プラスチックを成型する射出成型機は年 20%づつ伸長している。回
収した廃プラスチックの内、低グレードのものはサーマルリサイクルとして
使用されている。
(3)中国でのリサイクル(天津子牙国家循環経済区における現地調査)
廃プラ処理および再生ペレット製造会社である、華鑫達公司を調査した。
工場敷地面積 47ha、建物は大小合わせ 40 棟あり、日本のリサイクル工場と比
較すると非常に大きい規模である。再生可能なプラスチックは 19 種類あり、
製造ラインは 48(その内、PP、PEラインが 19)あり、従業員は 400∼500
人になる予定とのことであった。
産廃処理実績は 30 万トン/年(生産能力は 50 万トン/年)で、天津市の一
般産業廃棄物と輸入品を処理しており、輸入品はもっと輸入できるとのこと
であった。
(4)農業用廃プラスチックの再生化(青洲市、現地調査)
廃プラスチックを処理・再生している大西洋プラスチックを視察した。当
地は日光温室が多い地域で、小規模業者が多数ある。この会社は主にポリを
200∼300t/年、ペレット化し中東やアジアおよびヨーロッパに輸出している。
写真 1 大西洋プラスチック(青洲市)
写真 2 ペレット化された廃プラ
2.日本国内の廃プラスチックの資源化状況
(1)国内における回収の実態
農業から排出される廃プラの回収量が減少し、確保に苦戦している事業者
が増えており、事業者間で廃プラの取り合いとなっているところがある。そ
の結果、事業存続ができずに撤退しているところもあり、道内においては過
去に三桂も同理由で撤退した。
-4-
表2
国内処理業者の回収状況例
国内処理業者
状
況
A
25 年度の回収量が 24 年度比較
所在県内 100%,他県は 75%
B
農業用廃プラ処理で起業したが、処理量の減少で一廃処理に重点を移
し、設備に投資、農業廃プラ取り扱いは現在 1∼2 割
C
7 割が買い取り、工場近辺の地域は直接回収に行きやっと量を確保
D
買取が多くなっている
(2)茨城県における農ビ回収量の推移(第3セク方式)
茨城県では第3セクター方式の事業で県内の排出量の大半を回収・処理
していたはずであったが、回収量が年々低下し平成 25 年の回収量は、メー
カー推定排出量の 48%となっている。
図1
茨城県における農ビ回収量の推移
(3)国内処理業者の回収量が減少している要因(一部推測含む)
国内における廃プラスチックの回収量が減少している要因として、無償引
き取りや買取業者の伸長があげられる。以下に、いくつかの例を上げる。
① 業者F(茨城県)
産廃処理の許可はなく「古物商」免許での活動となっている。排出業者
が持ち込み、タダで引き取りしてもらっている。営業時間はいつでも持ち
込め、タダで引き取りしてもらえるので、排出者ニーズに合致している。
しかし、マニフェスト、委託契約書がないため、法律的には?であり、
この部分については、環境部門の判断となっている。
② 業者G(茨城県)
詳細は不明であるが、庭先に置いておくと良いものだけ回収してゆく
⇒残る再生しにくいものはどうするのか?といった問題がある。
③ 業者H(九州北部)
国内向け処理業者が長年事業を行い、かつ九州では処理費が0円/kg の
県もある中で、近年回収量を増やしている。
-5-
4,000t/年処理し台湾へ輸出してマルチなどに加工し、日本での販売を
検討している(一部テストしている模様)。
排出者近くに土地を借りコンテナを常置して、コンテナが満杯になっ
たら回収を行い運賃コストを圧縮している。
写真 3 九州北部の業者
写真 4 廃プラの処理状況
(3)国内の廃プラスチックを巡る動向
日本の農業用廃プラスチックはロットが大きいため、再生原料として魅力
的である。
2013 年 7 月、スペインのプラスファー社は、塩ビのフラフを求めNAC(農
業用フィルムリサイクル促進協会)、JGHA(日本施設園芸協会)や国内
処理工場、メーカーを訪問した。
2013 年 5 月、シンガポールのペレット業者の代理人が来訪した。
2014 年 3 月、大手商社のXが来訪し、農業用廃プラスチックの回収をビジ
ネスとして取り扱えないかを聴取した。
2014 年、大手商社のBが、JGHAへ農ビの回収について今後の見通しを
聴取した。
3.再資源化の新たな動き
(1)地元・自己処理−ハウスの燃料に利用の動き
日本国内でのマテリアルリサイクルは採算性に課題がある。再生マルチでは、
日の丸合成樹脂(宮城県)、エコニス(滋賀県)や長野県実証事業が行ってい
たが採算が合わず事業から撤退しており、進んでいない。
また、ポリのサーマルリサイクル(固形燃料化)においては塩素濃度の規格
と価格が課題となっており、製紙会社の減産による引き取り量減少となってい
る。その一方で、原油高騰によりハウスの加温用に燃料化の検討が行われてい
る。
-6-
① 静岡大学プラ燃料化実証事業
200℃、20 気圧下で水蒸気により撹拌分解し、粉末炭化させハウスの加温
に利用する。メリットはバイオマスとプラスチックの分別不要があるが、専
用ボイラーが必要で、行政による大型化ごみ処理施設の検討に期待される。
写真 5 静岡大学のテスト機
写真 6 炭化した生成物
② イーコークス
ポリと水から処理を行いコークス化したものを、専用ボイラーでハウスを
加温するというもの。山形の処理業者は、処理費とコークス代で 50 円/kg で
販売を事業化しており、採算がとれている。また、茨城県では大型設備が 10
月に稼働を予定している。
図2
ポリの燃料化(イーコークス)
図 3 再生燃料製造機フロー
③ 農業用廃プラスチックの再利用に関する研究
北海道の十勝地方で使用量が多い長芋ネットは使用後は産業廃棄物(長芋
ネット)と一般廃棄物(収穫残渣)の混合物であり、その処理を北海道立総
合研究機構が道のリサイクル技術研究開発補助金を利用して、サーマルリサ
イクルとペレット化で検討している。地元での処理・消費を目指しておりそ
の後の進展に注視したい。
-7-
④ 間伐材の木質ペレット化(山形県の処理業者)
クロマツの砂防林や杉の間伐材を破砕圧縮して木質ペレット化するもので、
製品価格 42 円/kg(5,000kcal 前後)で重油価格が 80 円/ℓ 以上なら燃料とし
て競争力がある。欠点は専用ボイラーが(ハウス加温の場合は更にオプショ
ン機器も)必要で、重油との併給や灰が出るなど取り扱いが比較的面倒なこ
とがあげられる。
写真 7 麻生氏講習風景(1)
写真 8 麻生市講習風景(2)
4.現地調査について
(1)対策委員会(協議会)の活動調査
平成 24 年度から 26 年度にかけ、東北、近畿、中国、九州を各 2∼3 県で
現地調査を実施した。協議会活動について、毎年開催している県としばらく
開催していない県がある。毎年開催している所は、九州各県、島根県、北海
道、栃木県、富山県、宮城県、(他にもあるかも知れない)である。
協議会が抱える問題点として、協議会会議のマンネリ化があげられており、
これは廃プラの問題が減ったことや活動費の縮小が影響しており、中には予
算がゼロのところもある。中四国地方のブロック会議においては、開催地の
岡山市まで集まるのに県・JA県本部が時間や交通費をかける価値があるか
内容を問われている。九州地方では、ある県の副会長から毎年開催しなくて
も良いのではないかとの問い掛けがなされた。
○各県協議会の取り組み内容
東北地方のA県:会議は開催していないが市町村から活動情報(回収量、
処理方法、費用の助成の有無等)を収集・解析し把握している。埋め立てか
らリサイクルへの働きかけはどうするのかの問題があると思われる。法改正
があった場合は説明会を開催し、適正処理ガイドブックに記載し周知徹底を
-8-
図っている。県協議会組織の見直し、合理化、廃止が検討されており、実情
にあった形への変化求められている。
九州のB県:農業環境協会の一部会(植物防疫部会、肥料部会、堆肥部会、
廃プラ部会)とし、組織のシンプル化、事務局の共通化を図ってる。廃プラ
の会議だけで集まるのでなく、色々兼ねる事で時間と費用の軽減を図ってい
る。
九州のC県:構成員の見直しを行い、県協議会、JA経済連など全県農業
団体の構成組織をメンバーにし負担金を徴収している。処理方針を協議し、
ポスター等を作成し、収集活動交付金(回収作業慰労金)を分配している。
適正処理推進会議や市町村協議会などを召集し、従来の研修会も開催してい
る。
近畿の4府県:研修会等をしばらく開催していない。市町村で状況を把握
していないケースが多く、法改正連絡はしているというが市町村で周知徹底
されていなかったり、理解されていないケースが見られた。中国の 2 県も同
様で行政がタッチせずJA、JA県中央会中心の県も有る。
(2)市町村協議会・JAの面談
法に適合していない場合が見受けられる。詳細を把握していない県が多く、
研修会を開催していても、運搬処理委託契約書、事務代行委任状について法
的に適合しているのか等の実務面まで全て触れられていない場合が多い。
東北のJA:処理委託契約書と事務委任状があるが、委託契約書が受託処
理業者とJAとなっている。→法律では排出事業者と受託処理業者となって
いなければならない。
中国のJA:運搬、処理委託契約書はJAと業者となっているが、排出事
業者からの事務委任状が無い。契約書に排出者の連名を求めるのは無理であ
るため、JAは組合員の代表として契約している。法を現状に合わせて適用
してほしいとの要望があった。
近畿のJA:市内にある処理業者に委託するが、その業者の最終処分方法
は不明、別の近畿の県は中間処理が「破砕・圧縮」が大部分で最終処分が埋
立か再生か不明(他に同様な理由で中国、中部のある県で把握しておらず)。
通知で、事業者は中間処理を委託する場合であっても、処分受託者からそ
の委託先を調査するなどを記載しなければならない事となっている。
(3)農業用廃プラの清掃法適用上の確認事項
①産業廃棄物か有償物か?
庭先での回収や農家が持ち込みティッシュペーパーを貰う場合等
②マニフェストの発行は?
-9-
フィルム販売業者や施工業者が使用済フィルムを無料で引き取る場合
や下取りする場合、農業者はマニフェストを発行しなくても良いか?
③運搬代行は?
JAが事務受託している場合、高齢の排出者が廃プラを適正処理するた
めに、生産者部会が圃場から回収場までの運搬を代行して良いか?
④ホームセンターの事務代行は?
JA同様に場所を提供して業務を行う場合はどうなるか?
(4)北海道における状況(協議会資料から)
北海道では農林水産業は重要な産業で、
「食の安全」
「クリーン農業」から
も廃プラの高い再生率を目標に掲げており、平成 30 年度の再生率目標を
100%としている。
平成 26 年 2 月現在の処理業者数は、最終処分のみは 46 社、中間処理は 405
社となっている。農ビの再生率は全国よりも低く推移していたが、2009 年頃
から全国平均を上回る状況となっている。農ポリの再生率は全国と同様の推
移をしている。
サーマルリサイクル:RDF、
セメント、製紙、発電
最終処分のみ46社、
中間処理405社
H26年2月
図4
北海道における農業用廃プラスチックの再生率
○ 道東における現地調査結果
道東(根室)地域のリサイクル率は全道平均よりも低く、
「リサイクル率
をあげなければならない」という意識を持っている。酪農が主産業で、廃
プラはラップやバンカーシートが多い状況となっている。運賃コストの点
から地元 4 社で処理を行っており、その内の王子製紙は減産の関係で引取
量が減少している。中山間地直接支払いを経費の一部にあてて活動費用を
- 10 -
補助していが、補助がないと適正処理が出来ない状況でもある。
廃プラがたまると運搬収集・処理の許可を持つ業者が回収を行っている
が、処理量の多いX業者北海道協議会の働きかけもあり、リサイクル化を
検討しているが、投資範囲を少なくしリスク回避をしたいJAの意向もあ
り実現はなかなか難しい。
写真 9 麻生事務局長(1)
写真 10 麻生事務局長(2)
(適正処理対策委員会として、廃掃法改正に対し当時者の立場に立った施行にする
ために環境省との調整、農業廃プラの特質に対する法令の特例化の交渉等、全国レ
ベルの問題対応に携わっている。)
研
修
「廃棄物の適正処理」
胆振総合振興局 保健環境部 環境生活課 主査(地域環境)永仮敦善氏
1.廃棄物の処理及び清掃に関する法律の概要について
(1)廃棄物処理法の歴史とその目的
廃棄物処理法の歴史は、明治 33 年の汚物掃除法に始まり、昭和 29 年の清
掃法を経て、昭和 45 年廃棄物処理法が公布され翌 46 年施行された。
法の目的として第 1 条に、廃棄物の排出を抑制し、及び廃棄物の適正な分
別、保管、収集、運搬、再生、処分等の処理をし、並びに生活環境を清潔に
することにより、生活環境保全及び公衆衛生の向上を図ることがある。
また、第 3 条には事業者の責務として、①その事業活動に伴って生じた廃
棄物を自らの責任で適正に処理しなければならない。②その事業活動に伴っ
て生じた廃棄物の再生利用等を行うことによりその減量に努める。③物の製
- 11 -
造、加工、販売等に際して、廃棄物となったとき適正な処理が困難とならな
いよう、製品、容器等の開発、それらの処理方法の情報提供を行うことが定
められている。
図5
廃棄物に関する法体型
(2)廃棄物の定義
廃棄物とは、①不要物であり、②他人に有償売却出来ないもの、であるが
その判断には、①物の性状、②排出の状況、③通常の取り扱い形態、④取引
価値の有無、⑤占有者の意思、を総合的に勘案する事となっており、全く同
じものであっても状況によっては廃棄物となったりならなかったりする。
法律では、産業廃棄物の種類が規定されており、
「産業廃棄物」に当たらな
いものは、事業者から生じても「一般廃棄物」となる。
図6
「産業廃棄物」と「一般廃棄物」
- 12 -
表3
産業廃棄物の種類
事業活動に伴って
生じたものすべて
産 業
廃棄物
特別管理
産業廃棄物
燃え殻
ゴムくず
汚泥
金属くず
廃油
ガラスくず
廃酸
鉱さい
廃アルカリ
廃プラスチック類
輸入廃棄物
など
燃えやすい廃油
廃酸(pH2.0 以下)
廃アルカリ(pH12.5 以上)
排出される事業場、
活動が限定されるもの
紙くず
がれき類
木くず
ばいじん
繊維くず
動植物性残さ
動物系固形不要物
動物のふん尿
動物の死体
感染性廃棄物
特定有害廃棄物
など
(2)産業廃棄物の処理
産業廃棄物の処理は、排出業者自らの責任において適正に処理しなければ
ならず、廃棄物が運搬されるまでの間、保管基準に従い生活環境の保全上支
障のないように保管しなければならない。
排出業者自ら処理を行う場合、排出物の処理基準を遵守なければならず、
必要に応じて処理施設の設置許可を取得しなければならない。
排出業者が他人に処理を委託する場合は、産廃処理の委託基準を遵守し、
収集運搬業者、処分業者それぞれと書面により契約を締結する必要がある。
処理業者に産廃を引き渡す際は、産業廃棄物の引き渡しと同時に産業廃棄
物管理票(いわゆる「マニフェスト」)を排出事業者が交付しなければならず、
引渡し後も産廃が適正に処理されているかを確認する等、適正処理への配慮
が必要である。マニフェストを交付した排出事業者は、返送されたマニフェ
ストの確認、必要な報告を行わなければならず、マニフェストには従来の複
写式のマニフェストの他に、パソコンや携帯電話で処理できる電子マニフェ
ストがある。
図7
産業処理廃棄物の処理の流れ
- 13 -
図8
産業廃棄物の委託の手順
(3)排出事業者に係わる罰則
廃棄物処理法の罰則のうち、排出事業者に係わるもので罰則は重いものを
主に下表に例示する。
表4
排出事業者に係わる罰則
違
反
例
違反内容
罰
則
①委託基準違反
廃棄物の処理を許可がない者に委託
5 年以下の懲役若し
②投棄禁止違反
廃棄物をみだりに捨てた者
くは、1,000 万円以下
③焼却禁止違反
除外規定に該当しないにもかかわら
の罰金、又はこの併
(不法焼却)
ず、基準によらず廃棄物を焼却した者
科
④委託基準違反
委託基準に違反して産業廃棄物を委
3 年以下の懲役若し
託
くは、300 万円以下の
罰金、又はこの併科
⑤管理票交付義務違反・
マニフェストを交付しない、又は必要
6 月以下の懲役又は
記載義務違反・虚偽記載
な事項を記載しない、虚偽の記載をし
50 万円以下の罰金
マニフェストを交付
⑥管理票保存義務違反
マニフェストを 5 年間保存しない
さらに、従業員などが業務に関し行った行為では、行為者のほか、法人に
対して、②、③の違反は 3 億円以下の罰金、①、④、⑤の違反は各本条の罰
金が科せられることがある。
- 14 -
(4)北海道循環型社会京成の推進に関する条例
1)目的
①循環型社会の形成に関し、道等の責務を明らかにする。
②施策の基本、産業廃棄物の処理に関する規制等を定めることにより循環
型社会の形成及び生活環境の保全を図る。
③現在及び将来の道民の健康で文化的な生活の確保に寄与する。
2)産業廃棄物の保管に係わる規制(H21.7.1∼適用)
事業者は、その事業活動に伴って生じた産業廃棄物を当該産業廃棄物の生
じた場所以外の場所において自ら保管しようとするときは、保管の場所ごと
に、当該保管の開始の日の 14 日前までに、規則で定めるところにより、知
事に届け出なければならない。(条例第 31 条)
(300m2 未満、許可を受けた産廃処理施設での保管等は除かれる。)
届出をせず、または虚偽の届出をした場合は、30 万円以下の罰金となる。
3)委託した処分の状況の確認・記録(H21.7.1∼適用)
事業者は、その事業活動に伴って生じた産業廃棄物の処分(再生を含む。)
を1年以上にわたり継続して産業廃棄物処分業者に委託するときは、毎年1
回以上定期的に、規則で定めるところにより、当該委託に係る処分の実施の
状況その他の規則で定める事項を確認し、その結果を記録しなければならな
い。(条例第 32 条)
写真 11 永仮主査(1)
写真 12 永仮主査(2)
(廃掃法の要点、違反時の罰則、道の取り組み状況等をテキストで説明された)
- 15 -
情報提供
「道内における廃プラスチック適正処理の現状と課題」
農業用プラスチック適正処理推進アドバイザー
髙 畠
宣 雄
氏
(1)全道の処理状況
道内の農業規模は農地面積 1,151 千 ha・農家戸数 40,200 戸(平成 25 年)農
業産出額 10,536 億円(平成 24 年)と公表されています。
広い北海道で地域の特色を生かした農業経営が行われていますが、大別すると
① 道央地域:(石狩・空知・上川・留萌・胆振・日高)
平坦地形や豊富な水資源を利用した米・野菜を中心とした農業
② 道南地域:(渡島・檜山・後志)
温暖な気候を生かして、野菜・畑作物・酪農・米・果樹を中心とした集約的
農業
③ 道北東地域:(<畑作=十勝・網走><酪農=釧路・根室・宗谷>)
広い農地を生かした大規模で機械化された畑作や酪農を中心とした農業
このように地域によって農業形態が違うため、プラスチックの使用量・使用
方法も違いますが、各農畜産物の育苗・栽培・生産・梱包・出荷・保存などあ
らゆる場面で営農の必要資材として大量に使用され、相当量の使用済みプラス
チックが排出されています。
排出されたプラスチック約 21,000 トン(平成 25 年速報値)の内、80%が再
生処理されています(表 1 参照)が、平成 30 年度に再生率 100%を目指してい
ますので、今後の目標達成のハードルはかなり高くなっています。
日本一の自給率を誇れる私たちの大切な北海道が一番良い環境状況となるよ
う、排出者に対しリサイクル向上への理解と協力が得られるように、一人一人
が意識を持って行動する必要があります。
必ずしも適正な処理だけではない状況もあると思われますので、実情を踏ま
え今後のリサイクル推進活動に取り組みたいと思います。
(2)現地調査及び推進会議の結果
現地調査における状況と課題(H25 年度分)
- 16 -
空知管内:協議会の取組みが始まってから、集団回収を行いリサイクル処理が
定着している地域です。一部に埋立処理がありますが、今後も高い
リサイクル率を維持していくでしょう。
網走管内:リサイクルは順調に増えてはいますが、2∼3 の地域での埋立処理が
総排出量の 20%あります(H25 速報値)。環境負荷軽減のため埋立
処理を減らし、リサイクル処理を高めて優良な農畜産物産地の位置
付けをしていただきたい。
一部に不適切処理されている廃プラスチックがあるので、適切処理
方法の確立が急がれます。
後志管内:リサイクル率は以前から高い地区で、関係者のご努力に敬意を表し
ます。
収集に関しても排出者の希望を取り入れた、日程の組み方を検討し
て実施されていますので他地区の参考になるでしょう。
今後管内の正確な排出量の把握をして、更なる環境保全に留意をお
願いいたします。
釧路管内:地元に処理施設があるので高いリサイクル率を維持しています。
これからも適正な回収により高いリサイクル率が維持されると思わ
れますが、一部に排出してくれない事業者がいるとの事なので、理解
と協力をしてもらう努力が必要となります。
また、廃ビニールが埋立処理になっているところがあるので今後はリ
サイクル処理をしていただきたい。
根室管内:埋立処理が圧倒的に多い地区(排出量の 54%)なので、今後のリサ
イクル処理の取組みはかなり厳しい点がある。地元の埋立処理場への
搬入が多い。
排出してくれない量が地域によって 40%前後になると予想される所
があり、今後は排出者へのリサイクル処理の啓蒙を周知して、実行し
てもらうことが急務です。
日高管内:軽種馬産業が盛んだが、施設野菜が増えて廃プラスチックの排出量
も増加していますので、排出者の協力(集団回収への参加・一時堆
積の解消)を得られる努力が必要です。
また、関係者のご努力で再生処理をする JA が増えているので、今後
- 17 -
はリサイクルに管内全体で取り組むことを希望します。
胆振管内:処理業者が複数地元にありますので、再生処理は全道の平均値くら
い(排出量の 79%)達成していますが、排出者へ適正処理に協力し
て頂くための更なる方策が必要でしょう。
地域によっては不適切処理されている廃プラスチックがありますの
で、対策が急務と思われます。
上川管内:管内の処理業者に排出者が自己搬入している廃プラが、全体の排出
量の 40%以上あり高いリサイクル率が維持されています。
ごく一部ですが、併せ産廃処理が行われている地域がありますが、
リサイクル処理への取組みを希望しています。
十勝管内:排出量が 1 番多い地区ですが、リサイクル処理が増えている(排出
量の 87%)地区で関係者の努力と排出者の環境に対する関心の高さ
が伺えます。
今後のリサイクル処理に対する取組みには課題が幾つかありますが、
関係者の更なる努力でリサイクル率向上への推進をお願いします。
写真 13 研修会の受講風景(2)
課題や事例での提言
以上のように地域と作物によって問題点が違っていますがリサイクル率向上
へ向けた共通する項目の提言をします。
・集団回収の回数∼平均的な回収回数は春・秋の 2 回が大半ですが、排出者
から見ればもっと回数を増やしてくれれば排出できるとの声もあります。
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(作物によって排出される時期が異なる為)排出者がどうすれば出しやす
いか?一考頂きたい。(農薬容器 4 回・廃プラ 4 回の回収実施 JA あり)
・地元に処理会社がある地域では、排出者の直接搬入を JA 主導で契約して
処分している地域があります。
・排出者の家族構成なり経営形態によって回収場所へ排出者が持ち込めない
事例があるので、持込だけの回収ではなく収集運搬車を準備して、事前に
回収希望者を掌握して解決している地区があります。
皆さんの努力で未回収地域を無くしていただきたい。
・廃プラの排出をしない排出者がどの地区にも居るようですが、地道でも説
明・説得してリサイクル処理に同調してもらう必要があり、放置すれば不
適切処理・不法処分につながりやすいので関係者のご努力をお願いします。
・排出者へリサイクル情報を適切に提供できるようにしてほしい。何のため
にリサイクルをするのか?リサイクルで何が出来るのか?が十分理解で
きていない点があります。
各会合などの機会を利用して周知をお願いします。
(JA 青年部・女性部・
生産部会・生産振興会・JA だよりなどでの広報)
・製品販売時におけるリサイクルの説明と表示を行ってください。
製造・販売・流通関係者は購入する排出者へ廃プラスチックになった時の
処理方法の説明と適正処理への協力要請を必ず行ってください。又製品へ
の表示、パンフレット・カタログへの記入、申込書あるいは取りまとめ用
紙などにも記載して、リサイクルの依頼などを実施していただきたい。
写真 14 研修会の受講風景(1)
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(3)最後に
10 年間の巡回・調査で幾多の事例を見て、リサイクルに対する取組みに地域
格差が大きいことを実感しています。
埋立処理が継続されている地域の最大の理由は、
① 処理費が安い
② リサイクル処理会社が遠方で運賃コストも高い
③ 以前から埋立処理なので変更しない
などが挙げられます。
今後の北海道に求められる課題は、今まで以上に安全・安心な農畜産物の生
産地としての地位を皆で確立する事だと思います。
それらの要望に応えるために、皆でリサイクルへの関心を高め、現状を掌握
して目的達成に向け実践しましょう。
各地区のテーマを明確にして、他地区の優良事例などを参考として地区での
協議を十分して頂きリサイクル推進を実行することが、今後のアドバイザー活
動の重要事項と認識して、適切な行動をして行きたいと考えます。
私たちが将来へ向けて、次の世代あるいはその次の世代にどのような形の北
海道を残して行けるか?日本の食糧供給基地として北海道をどんな農畜産業産
地とし継承させられるか?は皆さん一人一人の係わりに関わっているとの思い
で、今後も全道各地で廃プラリサイクルを推進しますので、皆でリサイクル率
100%を達成しましょう。
写真 15 髙畠アドバイザー(1)
写真 16 髙畠アドバイザー(2)
(道内各地を巡回し適正処理に対するアドバイザー活動を積極的に行っている)
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