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第2号 - 香川県
平成19年度 第2号 発行所 小豆総合事務所農業改良普及課 (小豆農業改良普及センター) 〒761 - 4301 小豆島町池田2519 - 2 TEL 0879 - 75 - 0145 FAX 0879 - 75 - 2477 URL http://www.pref.kagawa.jp/shozu/nokai/ E-mail shozunokai @ pref. kagawa. lg. jp これからの産地を担う、 新たな産地の動き イチゴ若者会始動邇 (写真上)若者会のメンバー (写真下)研修の様子 小豆島のイチゴ栽培は昭和 61 年から始ま りましたが、平成 8 年度に香川型養液栽培シ ステム(らくちん方式)が導入されたことを 契機にイチゴ栽培への関心が高まり、新規就 農者が大幅に増加しました。 現在、栽培面積は 5 haで 、35 名が栽培して おり、生食用を中心に京阪神市場へ出荷され、 「オリーブのひとみ」など、島独自のオリジ ナルブランドで販売されています。 イチゴは、高齢化が進む小豆島農業の中で も若い生産者が多い品目の一つで、現在、35 名のいちご部会員のうち 8 名が 40 歳以下とな っています。今年度、その中から香川県青年 農業士が 2 名認定されました。 そういったなか、産地の将来を担っていく 若者の栽培技術や経営能力の研鑽の場、また、 若者同士の交流の場が必要ではないかという 声が上がり、イチゴ栽培者の若者グループ (仮称:若者会)が結成されました。会員は小 豆島いちご部会のうち 40 歳以下の生産者お よび作業従事者で、現在 11 名です。 会の名称はまだ決まっていませんが、今回、 代表者が土庄町の藤原正善さんに決まりまし た。 藤原さんは今年度就農したばかりですが、 若者ならではの活動をしていきたいと意欲 満々です。 若者会ではこれまでに、先進地視察や、イ チゴ栽培の基礎についての勉強会などを実施 していますが、今後、産直でのイベントや産 地のPR活動、消費者との交流など積極的に 取り組んでいくこととしています。 また、部会員のハウスの巡回を行い、ハダ ニやアザミウマなど観察力が求められる病害 虫のモニターを行なうといったような活動も 検討することにしています。 さらに、いちご部会の役員会に若者の代表 者が出席することとなっており、若者の意見 が部会活動の中に反映されていくことで産地 の活性化が期待されています。 1 平成19年度 第2号 日射制御型拍動自動潅水技術の普及に向けて 香川県は降水量が少なく恒常的な水不足に見舞われている県であり、特に、小豆島はため池の水の みに頼って農業が行われていることから水資源の有効活用は重要な課題です。 農業試験場小豆分場では、平成 15 年からソーラーポンプによる拍動式かん水システムの導入につい て検討を行っています。このシステムは独立行政法人近畿中国四国農業研究センター四国研究センタ ーが開発したシステムで、安価な小さいポンプ( 5 W)と細い送水管を使って少ない水資源を有効活用 でき、さらに 5 万円程度のソーラーパネル( 40 W程度)を加えることによって、日射に連動して広範 囲を均一にかん水できる仕組みになっています。これまでの研究の結果から、養液土耕栽培に比べ 3 割 程度、潅水量および施肥量が削減できる可能性が示唆されました。 そこで、本年から県内の各地域農業改良普及センターと協力して現地試験が開始されましたのでご 紹介します。 システムの概要 基本構造は水洗トイレと同様です。 ソーラーパネル 拍動タンク ソーラーパネルに連動した小型水中 ポンプで 1.5 m 程度の高さに設置した 拍動タンクに水を送り込み、一定量 貯まると電磁弁が開き高度差を利用 水中ポンプ して潅水を行います。 水源 通常、10∼20褄/分程度の水量では 電磁弁 広範囲に均一に潅水することは不可 能ですが、このシステムを用いると 20 a程度のほ場を一斉に潅水することが可能です。また、パソコ ン等を使用せず、部品を調達して図面を見ながら配線するだけなので、簡単に組み立てられる上、資 材費も安く( 17万円∼/20a)仕上がります。 小豆島におけるキク栽培への導入事例 現在小豆島町ではキク栽培ほ場 2 か所に設置して試験栽培を 行っています。 ため池の水のみに頼っている生産者にとって、汚泥や藻等で 汚染された灌漑用水の浄化は重要な課題の一つです。現在潅水 チューブの目詰まりを最低限に防ぐため、活性炭と不織布を用 いて簡易で安価なろ過装置を自作してシステムに組み合わせて 対応しています。 今後、小豆分場では施肥量および潅水量削減に向けたマニュ アル作成のために、場内で繰り返し調査を行います。普及セン ターでは、現地への試験導入を行いながら問題点を抽出し、よ り実用的なシステムに改良します。最終的には、システムを使 いこなす生産者を育成し、その生産者を核として周辺生産者へ の技術の普及を目指します。 現地に導入した日射制御型拍動自動潅水装置 この内容について、ご不明な点がありましたら、普及センターまでお問い合わせください。 2 平成19年度 第2号 オリーブ収穫のポイント ∼オリーブ出荷基準の統一に向けて∼ 1. 果実の成熟過程 オリーブの果実は緑色から黒色になり、そ 表1. オリーブ果実の成熟過程 熟度 の過程は 表−1 のように推移します。 これは、スペインのハエンにある研究所が 0. 外果皮が濃緑または暗緑色 1. 外果皮が黄色または黄緑色 2. 外果皮が赤色の斑点がある黄緑色 3. 外果皮が赤みを帯びた、あるいは淡い紫色 提唱する果実の成熟過程 8 段階を表示したも 4. 外果皮が黒色で、果肉はまだ完全な緑色 のです。 5. 外果皮が黒色で、果肉は半分まで紫色 6. 外果皮が黒色で、果肉もほぼ核まで紫色 7. 外果皮も果肉も完全に黒色 2. 果実の扱い方と選別 漓テーブルオリーブス用(新漬け用) ・収穫は手摘みで行います。 ・果実を手の中に優しく包み込むようにし、親指と人差し指で果梗部を つかみ、中指で果実を引くように収穫します(写真1)。 果 梗 ・ 「爪」や「強く握ること」で果実を傷つけないよう注意します。 ・傷果、病果、過熟果、未熟果、小果が混入しないように選別します。 収穫時期の判断基準 果皮の緑色が薄くなり、黄緑色になってきた時に収穫します(表−1:熟度1)。 ・早いと食味不良です。 ・赤みの入った果実は加工してもきれいな緑に仕上がりません。 ・食べておいしく、外観の美しい時期に収穫・出荷します。 滷オ イ ル 用 外果皮が赤紫∼黒色になった果実は、11月下旬以降に収穫します。手摘みかレ−キによる収穫 (写真2)が一般的です。オリーブオイルになった時の品質に影響しますので、腐敗果、病果等が 混入しないように注意します。 写真1. 新漬け用の収穫方法 写真2. レーキを使ったオイル用の収穫方法 3. 収穫時期の判断基準 オリーブ出荷基準プレート 小豆島オリ−ブ振興協議会では、近年オリ−ブの新 規生産者が増加したことから、生産者の出荷基準の統 一を図るため、「オリ−ブ出荷基準プレ−ト」を作成 しました。会員の収穫や選果選別の基準に活用される 新 漬 け 用 小豆島オリーブ振興協議会 オ イ ル 用 ︵ 赤 紫 ∼ 黒 ︶ よう配布を予定しています。 3 平成19年度 第2号 ● 各地の話題 島と土に憧れて ー大阪からやってきた永峰さんですー 「いつか、小豆島で農業ができればいいなと思ってました。」と語るのは、大阪府出身の永峰仁美さん。 この 6 月に島に移り住み、野菜栽培に取り組み始めたところです。 就農についての情報を集めるため、県農業会議に相談したところ、小豆島町中山のアスパラガス農家、 九野賢輔さんを紹介されました。永峰さんは兵庫県内で JA の営農指導に携わっていたため、JA 出身で ある九野さんは快く受け入れ、永峰さんは勤務の合 間をぬって、小豆島まで通い研修を重ねました。 5 月に農地の契約、6 月に引っ越し、7 月にはアス パラガスの定植と急ピッチでの就農となりました。 JA 小豆島青壮年部にも入部。ビニール張りは青壮 年部が協力するなど、うれしい支援もありました。 今後さらに農地を借り入れ、ナバナ等の露地野菜 にも取り組んでいく計画です。 最後に本人から皆様に一言。「いろいろ勉強して 早く島の人と思ってもらえるようがんばります。」 誰か、畑を貸してあげられる方はいませんか? アスパラガスに潅水中の永峰さん ●お 知 ら せ ご存じですか?「スーパーL資金」の優遇措置が拡大しました 平成19年度からの3年間。今まで以上に認定農業者の経営をサポートするために、 「スーパーL資金」に設けられた 借受者の負担を軽減する『3つの優遇措置』を紹介します。 貸付金利が実質無利子化 対象:借入金額が500万円を超える場合 (期間:平成22年3月まで) 無担保・無保証融資の拡大 対象:制度資金の延滞がなく、 経営良好な方 クイック融資制度の新設 「優遇措置」の 3つのポイント 500万円までなら、最速1週間で 融資の可否を回答します。 (経営診断を行います) ●あなたも「認定農業者」になりませんか? 現在、国では平成 19 年度からの 3 年間を「集中 改革期間」とし認定農業者など「意欲と能力のあ る担い手」に施策を集中して、育成・確保に取り 組んでいます。 頑張っている農業経営者の皆様、是非、経営改 善計画の認定を受けて認定農業者になりませんか。 ●「スーパーL資金」(農林漁業金融公庫)とは? ○認定農業者を対象にした、資金規模が 大きく返済期間が長期の資金です。 ○農地や機械の取得、経営の改善等に必 要な長期運転資金を低利に融資してい ます。 各制度の具体的な内容については、普及センターまでご相談下さい。 4