Comments
Description
Transcript
牛舎の飼槽改善で乳量キープ~御影石タイルを使った簡易な改造事例
10 牛舎の飼槽改善で乳量キープ ~御影石タイルを使った簡易な改造事例~ 農業振興事務所 西多摩農業改良普及センター 背景と目的 近年、乳牛の居住環境の快適性を高めることで、乳牛の潜在的能力を引き出し、乳生産性を 向上させようとする「カウ・コンフォート」という考え方が酪農家の間に浸透してきています。 都内では、一日中牛を繋いで飼養する牛舎が多く、牛はすべての餌を飼槽から食べます。飼槽 の構造がよいと、牛が食べやすいばかりでなく、衛生管理や作業性もよくなります。また、給 与された餌を無駄なく食べることができます。そこで、普及センターでは、酪農家とともに、 表面が滑らかで耐久性のある御影石のタイルを使って、牛舎の飼槽を改善し、改造労力やその 効果について検討しました。 成果の概要 1 改造作業の概要 平成23年6月から12月に、管内酪農家の繋ぎ牛舎23頭のうち15頭の飼槽について順次改造 しました。御影石のタイル、モルタル等は、近隣のホームセンターで入手しました。作業は 3 ~ 6頭分ずつ行い、事前に、古い飼槽(写真1)の異物除去や清掃を行い、翌日、朝夕の搾 乳の間にタイルを設置しました(写真2) 。作業中も乳牛は移動せず、搾乳、給餌などの時間 を大きく変更することなく、簡易に飼槽を改造することができました。 2 飼槽改造効果 飼槽表面が滑らかになったことで、 日に2回行っている飼槽の掃き掃除の労力が軽減され、 清掃時間も半分に短縮され、清潔になりました。夏場でも餌の腐敗がなくなり、残餌がほと んどなくなりました。このことによって、餌の摂取量が向上し、夏場の乳量低下が抑えられ ました(図1)。夏場の2 ヶ月間に、乳牛1頭あたりの乳量が1日に1kg増加したと推定すると、 1頭あたり約6,000円の経済的な効果があったことになり、改造費用を回収することができ ます(表1)。実施農家からは、「こんなに簡単にできるなら、もっと早くやればよかった。 」 との声が聞かれました。普及センターでは、今後も酪農家の経営改善を支援していきます。 (佐藤 朋代) ― 19 ― ※1頭当たり 3, 857円 ― 20 ―