Comments
Description
Transcript
ポインセチアの切り花栽培~東京から新しい切り花が誕生しました
8 ポインセチアの切り花栽培 ∼東京から新しい切り花が誕生しました∼ 農林総合研究センター江戸川分場 背景と目的 ポインセチアは、専ら鉢物として生産されています。クリスマスシーズンには不可欠な 商品として、東京でも多くの生産者が主要な品目として経営に取り入れています。しかし、 近県からの出荷増と市場価格の低迷、燃料費の高騰等により経営が苦しい状況にあります。 そこで、新規需要の開拓と収益性の向上を目的に切り花生産の可能性を調査しました。ポイ ンセチアの切り花は、収穫後の品質低下が著しいため、市場が近い有利性を活かした都市農 業に適する品目といえます。技術開発に当たっては、地域の生産者が有する鉢物栽培技術を 基本として取組みました。 成果の概要 1 多くの品種が切り花に有望 江戸川分場では、遺伝資源植物※1としてポインセチア80品種を収集・評価・保存し ています。その多くが切り花として有望です。概ね40∼70㎝の切り花長で、赤、桃、 白(黄)等多様な色彩が楽しめます。 2 切り花栽培に向いた繁殖法 切り花として重要な切り花長の伸長には、繁殖(挿し芽)と同時に摘心(ピンチ)す るピンチ挿し栽培が有効です(表1)。なお、ポインセチアを販売目的に繁殖する場合、 育成権者の許諾が必要な品種があります。 3 切り花栽培に適した栽培法 より長い切り花生産には6号鉢、出荷可能な切り花長(30cm以上)生産には5号鉢 が適しています(図1) 。 4 切り花栽培に適している底面栽培技術 鉢を利用した切り花栽培では、簡易な底面灌水とフラワーネットの併用により、灌水 労力の軽減と茎葉倒伏防止に有効な省力型労力軽減技術が可能となります(写真1) 。 5 市場評価は150円/本以上 市場側がポインセチアの切り花を求める12月中旬の市場評価(一般セリ)では、生 産者が予定している150円/本を超える価格となる場合が多くなります(表2) 。 6 今後の方向性 ポインセチアの切り花はあまり知られていない新商品です。あらゆる機会でのPR活動 が求められます。 (橋本智明) ※1 植物の持つ多様性を利用して品種改良が行われますが、多様な品種は将来に向かって欠くことので きない有益な資源です。この資源を「遺伝資源植物」と呼んでいます。 ― 16 ― ― 17 ―