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食品の栄養価を高める 45 のヒント

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食品の栄養価を高める 45 のヒント
Hammer Packaging社のWEGMAN氏は,ロールで
コスト削減
適用できるシュリンクフィルム(RAS),表面に
「企業は,とくに厳しい経済状況のなかで常
印刷されたシュリンクスリーブおよびロール形状
にコスト削減の機会を探っている」と
で供給できるラベルについて言及している。RAS
CHAPDELAINE氏は言う。同氏は,かれらの顧客のた
フィルムは,ユーザーに高い効率とフィルムの軽
め,コスト削減となる基材,代替印刷法,サプラ
量化をもたらす。表面印刷はユーザーにとって,
イチェーン管理プログラムなどを精査することを
単一材料のフィルムが使用でき,ラミネート層を
提唱している。「経済が悪化するとき,2つの相
排除できる。これらの刷新は,環境的にも有利な
反するトレンドが予想される。マーケティングを
製品を生み出す。
抑制しコスト低減策を求めるブランドと,メッセ
地球に優しい素材
ージやグラフィックをリフレッシュすることによ
ラベルが環境に優しいことやサステナブルであ
りブランドを後押しする力を引き出そうとするブ
ることは,今日の飲料製造にとって非常に重要で
ランドである」とWEGMAN氏は言う。
ある。
外観の変更やリフレッシュに加え,常に材料に
「サステナビリティーの分野が成長するとみて
注目することも,厳しい経済においては重要である。
いる」とWEGMAN氏は言う。
今後の方向
例えば,Hammer社は消費者から回収した廃
棚での印象,機能性,サステナビリティー:製
棄紙を30%含むラベル用紙,消費者から回収し
造業者はこれら3つのポイントが,製品を刷新す
た耐湿紙を10%含む用紙,溶剤を用いず硬化エ
るには非常に重要であると認識している。「飲料
ネルギーが50%少ない電子線硬化インクを提供
のラベリングは,新素材が市場に導入されるに従
している。
い,ますます環境に優しくなっていくだろう。こ
「よりサステナブルな素材への一貫した要求が
れらはまた,パッケージのデザインに強く影響さ
ある。それらはFSC-­certified(森林管理協議会で
れる」とWEGMAN氏は言う。
認証された)リサイクル材や消費者から回収され
2次元バーコードを備えたラベルは,技術に明
たリサイクル材である。多くのサプライヤーは,
るい消費者と密接な関係を作るかも知れないし,
これらの素材の開発を続けており,これらはサプ
一方デジタル印刷も,量産効果により印刷コスト
ライチェーン全体にとっても有益である」と前出
を低下させるものとしてより主流になることが期
のPOPOVICH氏は言う。
待されている。
(十時正義)
海外技術情報
食品の栄養価を高める 45 のヒント
The World of Food Ingredients(Neth.)40(’10・9)文献 №5639
食品の栄養価を高めることは時に必要とされ,
か異なるものであると考えられている。
消費者へのアピールとなるため積極的に取り組む
2.機能強化とは,加工,貯蔵過程で失われた可
食品会社も多い。しかし,以下45項目に示され
能性のある栄養素を添加したり,その食物が本
るように,それは決して簡単なことではない。
来含んでいた栄養素を初期以上に添加したりす
栄養強化(Fortification)の定義
ることを意味する。
1.純粋主義者は,栄養強化とはビタミンやミネ
3.現実的に考えて,栄養強化,機能強化,処方
ラルの添加といったその食品に本来存在しない
変更の間に大きな差はない。最終製品がすべて
ものをその食品に加えることだと言う。栄養強
確実に安全性・適法性・受容性・安定性の基準
化自体,機能強化(Enhancement)とはなに
をクリアするには,技術上の課題がいくつか解
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決されなければならない。
活性分子が失われやすいため機能強化(栄養強
市場需要
化の対義語)する場合がある。ビタミン類や生
4.まず,市場が本当に栄養強化を求めているの
物活性分子は,熱,光,湿度,空気などの働き
かという問題がある。栄養強化にはメリットが
によって破壊されるため,添加されたビタミン
あると分かっていても,消費者全員が好意的な
類も失われる可能性がある。
わけではない。水道水に虫歯予防のためフッ化
14.安定性試験を実施する際には,実際の製品と
物を加えることに反対する人々も,自分たちが
同じ包装形態であることに注意しなければなら
口にするものに何を添加するのが正しいのか,
ない。例えば,飲料のビタミン含有量は,入っ
人それぞれに意見が異なる。
ているボトルによって安定性が異なるというこ
とが十分にあり得る。
5.栄養強化が一般的に容認されていると分かっ
ていても,反対意見も多くある。ばかげた例を
15.混ぜたり熱したりする過程で添加された栄養
1つ挙げてみよう。ボトル1本飲めば,推奨1
素が損なわれる可能性もあるため,試験のプロ
日摂取量のビタミンを摂取できる強いアルコー
セスも重要になってくる。
安定性に関する懸念
ル飲料を,ヒトは正当化しない。
6.結局のところ,消費者が何を求めるか,食品
16.天然生物活性物には膨大な数の自然変異があ
会社が栄養強化をどう考えるかで決まる。
り得るため,その成分を添加する前の安定性が
規制障害
関係する。例えば植物エキスを加える場合,エ
7.フルーツジュースにビタミンCを加える単純
キスが添加時点で生物活性要素があることをチ
な場合でも,より複雑な食品に別の成分を加え
ェックしなければならない。
る場合でも,その効果を実証する必要がある。
17.さらに,植物エキスおよびその他の成分につ
8.この数カ月間で,欧州食品安全機関(EFSA)
いて,よく似た植物は多数存在し,一般的でな
は,製品や成分の記載に代わる栄養機能表示に
い成分は間違われやすいのできちんと確認する
ついて見解を示した。これまで栄養機能表示の
必要がある。
処方・検査の信頼性
記載はほとんど認められてこなかった。
9.EFSAが現在認めていない栄養機能表示のう
18.あいにく,成分妥当性の検査法は統一されて
ち,効果的だということが確実になり,食品会
いない。機能性成分の純粋性や確実性を証明す
社がEFSAが求める表示規則を守れば,将来的
るのは簡単ではない。オリーブオイルなどの物
に使用許可が下りるものもあるだろう。
質に関しては,確実性,純粋性,品質を判断す
るための幅広い化学的指標や指示薬で確認する
10.心機能向上やガン予防,肝臓障害予防などの
主な健康効果は,実証が難しい場合が多い。大
という方法が一般的である。
がかりな臨床試験には費用がかかり,結果が出
19.研究機関は,確実性,純粋性,品質を判断で
るまで時間もかかる。
きるような方法を科学的に証明する必要がある。
しかし,現実にはこれらの方法は確実な保証と
11.集中力アップ,意識レベル向上,リラックス
効果など,栄養強化による即効効果は比較的証
はいえず,単なる目安でしかない。
明しやすい。臨床試験は今なお必要だが,所要
20.分析方法を統一するだけでなく,適切なサン
時間は短くなってきている。
プルの選択も分析の課題である。サンプリング
具体化に向けての取り組み
と試料調整は,正確な分析結果を出すために重
12.医学的な機能表示は別として,食品や飲料の
要となる。
生物活性成分の表示量を実証するためには,ま
21.以上のどれも,どの成分を加えるかについて,
だやるべき事がたくさんある。
栄養強化が持つ問題点をきちんと認識し,サプ
ライヤーがしっかりと監査やテストを行えば,
13. ヒント2を見てみよう。ビタミン類や生物
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問題が軽減できるということだ。
われることが多く,そのため油に酸化防止剤を
処方上の課題
入れることがあるが,製品に酸化防止剤を加え
22.製品に添加された成分の組み合わせが良くて
ても良いということではない。
も,果たしてそれらは実際に機能するのか? 色彩の選択
製品へのオメガ-3やビタミン,カルシウムの
31.新たに加えた成分が色彩にも影響を与える場
添加がもたらす影響と,それに付随する結果は
合,成分添加前の色に戻すためには合成着色と
何なのだろうか。
自然着色という2つ方法がある。
23.添加される成分がほんの少し変更されただけ
32.味,色,安定性,口あたり等の問題で栄養強
でも製品に影響を与える。そのため栄養強化を
化の調整が必要な場合,その過程では試行錯誤
定式化するには,変更した成分に適応させるた
が繰り返されるが,経験豊かな調合者によるス
め全体の処方も変更を必要とする場合がある。
ピーディーで適切な処置により,製品が市場に
製品の味や濃度,色,安定性,口あたり,pH
出回るまでの時間を短縮している。
バランス等に影響を与える可能性があるからだ。
33.実験台で作業している調合者も,実証プラン
24.味とは複雑なもので,ある「味」と別の「味」
ト施設に行くべきである。研究所で開発された
を足しただけでは予想できず,香り,色,口あ
ものが簡単に製品となり市場に出回るという誤
たりや食感も味覚に影響を与える。
解が生じかねないからだ。
苦味への取り組み
34.訓練された消費者パネルによる官能検査も,
製品を最適化するのに役立つ。
25.機能性成分を加えることで出る味のうち一般
的に最も嫌がられるのが苦味である。口内には,
望ましいレベル?
苦味の感覚器官が20種以上あるが,栄養強化を
35.ビタミンおよびミネラルは,食品の栄養価強
成功させるには,それらの苦みを克服する必要
化の手段として最も歴史が古く,最も扱いやす
がある。
いとされている。もちろん前もって混合されて
おれば調合がより簡単になる。
26.苦味をあえて加えるケースも多々ある。例え
ば,機能性成分より苦味の少ないほかの苦味成
36.特にビタミンは,添加の適正量が微妙である。
分を少量加えることで,機能性成分の苦味を軽
1日当たりの摂取推奨量以上のビタミンを摂
減することができる。
取・添加する消費者や食品メーカーも存在する。
27.また,苦味を隠すために甘味料を使用する方
37.鉄分やカルシウムなどのミネラルの課題は,
法もある。タウマチンやNHDC(neohesperidine
生物活性を持たせることである。
dihydrochalcone)などの甘味料には,甘みを感じ
栄養価強化の選択肢
させないレベルで苦味を隠す効果がある。
38.一般的に,西洋人は東洋人より内臓状態につ
28.さらに,乳化剤で苦味分子を「包み込む」と
いて人に話すことを嫌う。にもかかわらず,プ
いう方法や苦味成分をカプセル状のものに閉じ
ロバイオティクス細菌やプレバイオティクスフ
込める方法もある。
ァイバーの添加には積極的である。
その他の問題
39.オートムギ由来の水溶性繊維は,高価ではあ
るがコレステロールを下げる働きを助け,不溶
29.ほかに嫌がられる味として,豆乳の「豆臭さ」
や, ビ タ ミ ンBの「 肉 臭 さ 」, 魚 油 の「 魚 臭
性繊維より効果が得られる場合が多い。
さ」,ビタミンCの「酸味」がある。これらを
40.現在,多くの製品が魚,植物,藻類由来のオ
うた
感じさせないようにするのも課題の1つだ。
メガ-3脂肪酸配合を謳っている。オメガ-3
30.食品会社は魚油やハナニラオイルなど油状の
は来源により脂肪酸の種類が異なるので,オメ
機能性成分を好んで使うが,これらは酸化しや
ガ-3の出処を明確にすることが重要である。
すいという問題がある。魚臭いのはもともと嫌
41.大豆が心機能にもたらす効果はUSFDAが認
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めてきたが,大豆製品市場はその割に拡大しな
む成分はほかにもあり,食品会社は製品に加え
い。当初の大豆製品には「豆臭さ」があったが,
ようと検討している。
豆臭さを隠す処方により,味も良くなった。
44.栄養強化の成功は,すべての成分を理解する
ことから始まる。そうすれば,添加する必要が
42.スタノールとステロールの,コレステロール
を下げる作用もまた知られており,スプレッド
あるものはすべて適応させられる。
やヨーグルトの多くに添加されてきた。
45.経験豊富な栄養強化学者と新製品開発専門家
成功へ向けて
は製品が市場に出回るスピードを速め,栄養強
43.果物にあるポリフェノールや酸化防止剤,グ
化を成功へ導くのである。
ルコサミンやガラナのような生物活性物質を含
(野呂佳菜子)
海外技術情報
PET ボトル製造における省資源化の取り組み
Fruit Processing(D.E.U.)250(’10・11/12)文献 №5645
限りある資源を節約し次世代へ引き渡すとい
の石油と23kWhのエネルギーが必要とされるこ
う今日的課題に向かって,エネルギーと資源の効
とを考えれば,それが環境に対していかに大きな
率化を目指すことは産業界,消費者のみならず,
責任を伴うものであるかが分かる。
社会全体にとって大きな関心事となっている。ド
消費者であれ,販売者であれ,商品が環境に優
イツ教育科学・研究技術省(BMBF)では各産業に
しいものであるかどうかは大きな関心事であり,
おけるこうした省エネ,省資源のプロジェクトに
環境に良い商品ということになれば,その方がよ
対し援助を行っているが,その中のひとつにKHS
く売れるということになるわけであるから,同じ
Corpoplast,Institute for Plastics Processing
PETボトルでも使うエネルギーや材料が少ない
(IKV),AdPhos Innovative Technologies,
ほうが,CO2の排出量も少なくなり,その表示も
Okertaler Mineralbrunnenの各社・団体からな
できるというメリットを持つことになる。2006
るチームによるPETボトル製造のエネルギー・
年に初めて英国でCO2排出量(カーボンフットプ
資源効率向上プロジェクトがある。
リント)表示が始まって以来,それを実施してい
プロジェクトに参加している上記4者の役割分
る国はまだ少ないが,いずれそのような時代が来
担は以下のようになっている。
るのは時間の問題であり,そのための準備をして
・IKV:プロジェクト全体のコーディネートと個
おかなければならない。
別のプロセスシミュレーションのサポート
一般に,PETボトルのコストの70%はその材
・KHS Corpoplast:PETボトル設備技術,運転
料代,これをプリフォームにし,ボトルに成形す
技術,材料特性研究,ボトルのデザイン
るコストがそれぞれ15%とされており,製造に要
・AdPhos Innovative Technologies:近赤外線に
するエネルギーを減らせば,それはコスト削減に
よるプリフォーム加熱エネルギーの効率化
直結するわけであるから,ボトルの軽量化という
・Okertaler Mineralbrunnen:KHS Corpoplast
のは最優先で取り組むべき課題である。
社のInnoPET BlomaxシリーズIIIの設備を備え
次に重要なのが材料加熱に必要なエネルギーの
た充填工場で,当該設備によるプロジェクトの各
量であるが,ここで留意すべきはプリフォームの
種実証実験
口部は加熱されないので,この部分の重量は計算
今日,世界で5,000億本,ドイツだけでも250
に入らないということである。例えば,プリフォ
億本が生産されているPETボトルの原料は石油
ーム全体の重量が25gで口部の重さが5gである
から作られるが,1kgのPETを作るのに1.9kg
とすれば,5gを引いた20gが計算対象となるわ
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