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2012年3月期決算説明会 「経営状況と今後の経営方針について」 代表
2012年3月期決算説明会 「経営状況と今後の経営方針について」 代表取締役社長 兼 COO 十河政則 1.はじめに ○ 十河でございます。本日はお忙しい中、多数ご出席を賜り誠にあ りがとうございます。日頃は弊社に対するご理解を賜り、改めて 厚くお礼申し上げます。 ○ この1年を振り返りますと、欧州債務問題に端を発する景気後退、 円高、原材料市況高騰、東日本大震災やタイでの大規模洪水など、 経営環境が激変し、さまざまな逆風があった1年でしたが、只今、 岡野から説明があった通り、そのような厳しい環境下でも FUSION15 でめざす中長期の成長と、短期利益確保の為の施策や重 点課題に全社一丸となり徹底的に取り組んだ結果、おかげさまで 昨年度に引き続き増収増益を達成することができました。 2.昨今の経営状況と今後の経営方針(FUSION15 の進捗) ○ 当面の世界経済を見通しますと、その力強い回復には不透明感も ありますが、今期も増収増益基調を継続して、FUSION15 に掲げる 2013 年度目標(営業利益 1300 億円)につなげたいと考えており ます。 ○ そのためには、当社の屋台骨であり、これまでの発展を支えてき た中国と欧州の空調事業をいかに継続して伸ばしていけるのか、 また、世界経済の牽引役である新興国の成長を取り込み、どのよ うに力強く伸ばしていけるのかが、重要になると考えております。 1)中国 ○ まず、中国の空調事業に関してですが、政府が発表した今年の経 済成長率の目標値から判断して、これまでの高成長からやや鈍化 し、企業の業績にも影響を及ぼすとの見方が一般的です。 ○ しかし、当社としては中国での事業拡大についてはさほど心配し ておりません。これまで高い伸びを継続してきたのは、中国の経 1 済成長が追い風であったのは事実ですが、それ以上に、市場の変 化に即応し、政府の政策(都市と内陸部の格差是正、省エネ製品 の普及)など時代の流れをとらえた戦略展開によることが大きい と思っております。 ○ 昨年10月以降、金融引き締めの影響により市況は悪化し、空調 市場も大きく変化しています。この変化のなかでも、①中間層の 増加に伴い拡大するボリュームゾーンの攻略、②大規模開発案件 も多く潜在需要が旺盛な地方都市での拡販、③成熟市場となった 大都市での新たな需要の獲得、が特に重要と考えており、ビジネ スモデルを素早く転換し、新たに商品を揃え、販路を開拓するこ とで引き続き大拡販を進め、これまでと同じように二ケタ成長で 伸ばせるように取り組んでいきます。 ○一点目のボリュームゾーン市場の攻略について具体的に申します と、住宅用エアコンでは、4月下旬、蘇州新工場を予定通り稼動 させました。ローコスト生産の中心拠点として、部品も現地標準 品を最大限に使用するなど、現地調達率を90%以上にまで高め、 省エネ・品質・低価格の三拍子が揃った住宅用エアコンで一大展 開をめざします。業務用においてもローコストモデルのパッケー ジエアコンを開発し、4月に上市しました。従来の高級機、高付 加価値機に加え、コスト競争力のあるシリーズを加えたことで、 現地メーカーの参入にも対抗し、さらなるシェアアップにつなげ ます。 ○二点目の地方都市拡大のさらなる加速では、当社はこれまで中国 の全地域・全市場に行き着くことをめざし、小さな地方都市にも 駐在員を置き地域密着型の販売店開発を進めてきました。中国全 土に展開する約120ヶ所の営業所を拠点とし、今年度は約3割 増の 11,000 店を目標に販売店開発を進めます。特に不動産投資抑 制の影響が比較的小さい内陸部・西部ではビルの建設ラッシュが 続いており、中小規模の人口の都市にまで対象を拡げ、中国全土 に展開する開発マンの約 1/3 にあたる 250 人を集中させて販売店 開発にあたっています。 ○ 三点目は、大都市での拡販です。大規模開発物件は減りましたが、 成熟市場としての新たな需要が旺盛に出てきています。例えば、 オフィスビルでは他の物件と差別化し、よりいい条件(賃料)で 2 テナントを獲得するため、省エネや空間デザインなど物件の付加 価値を高めることに伴うエアコンの更新ニーズが実に旺盛です。 また、一般店舗では、オーナーが2~3年の短期間で変わる(新 たに別の商売を始める)ことも多く、価格重視の業務用エアコン が求められています。当社は3年前に中国R&Dセンター(上海) を設立し、現地での開発機能を強化してきましたが、このセンタ ーは現地のニーズにマッチした品揃えのスピードアップに大きく 貢献しています。 2)欧州 ○ 次に欧州についてですが、昨年度の売上高は減少こそしましたが、 主要国で需要が急減する厳しい事業環境であったことを考えると、 当社はきめ細かい販売網を持つ強みを発揮し、最大限の挽回が出 来たのではないかと思っています。 ○ 今後の事業環境は、足元で失業率の上昇や消費低迷が続いており、 最低でもここ2,3年は厳しいものと考えていますが、当社とし ては、強力な販売網を生かすとともに、好調な商品や好調な地域 にターゲットを定めた拡販策を展開することで、売上減に歯止め をかけたいと考えています。 ○ 欧州での最近の重要な変化は、昨年後半から南欧(イタリア南部、 スペイン南部)を中心にローコスト・ボリュームゾーンの新たな 需要が出てきていることです。経済停滞が長引くことを考えると、 今後、住宅用、業務用ともにローコスト・ボリュームゾーン市場 が厚みを増していくことになると見ています。 ○ 市場にはすでに韓国メーカーが進出しており、当社としてはこれ までのハイエンド・高付加価値商品に加え、ライバルに勝るコス ト競争力を備えるボリュームゾーン攻略商品を積極的に市場投入 していきます。9月には業務用(VRV)のローコストモデルを 投入、住宅用においても普及機の販売拡大に向け、買収したエア フェル社のトルコ工場、マレーシアのOYLM工場、中国蘇州の 新工場、格力への生産委託など、どの工場で生産するのがベスト か、現在、急ピッチで検討しています。 ○ 主要国であるイタリア・フランス・スペイン・イギリスでは、当 社の強みである販売網を他社の追随を許さない体制へと再強化す 3 るとともに、周辺国での拡大も図ります。トルコでは昨年9月に 買収したエアフェル社との協業を加速し、トルコ国内での販売を 大きく伸ばしました。住宅用普及機の生産準備を速やかに進め、 中東、アフリカ、ロシア・CIS(独立国家共同体)、欧州の新 興地域(中東欧)など、将来の成長を見込める地域に本格的に進 出する体制を整えます。 ○ また、欧州では当社の環境技術を生かし、暖房事業を拡大してい きます。昨年は不況の中で、ヒートポンプ式住宅温水暖房機(ダ イキンアルテルマ)の販売台数は前年を上回りました。今後も現 地での開発により新商品を積極的に投入していくとともに、燃焼 機器を応用したハイブリッド商品や太陽光システムなども取り込 み、より広く暖房事業としての展開をめざします。 3)新興国 ○FUSION15 の重点テーマである新興国ボリュームゾーン攻略につい ては、2011 年度は、トルコ、インド、ベトナムで大きく販売を伸 ばし、さらなる拡大に向けて次々と手を打ってきております。 ○ インドでは、事業拡大とともに、収益力向上につながる製品開発 の現地化、現地生産、グローバル調達などコスト競争力強化の取 り組みも進展しています。業務用(VRV)の拡販に加え、7月 からはこれまでタイ工場から輸入し、販売していた住宅用エアコ ンの現地生産も開始します。これによって、業務用に加えて住宅 用まで全製品での現地生産が実現します。このインドで生産する 住宅用エアコンは、現地ではまだ少ないインバータ機でありなが ら大幅なコストダウンを実現しており、現地のマーケティングに より機能をギリギリまで絞り込み、品質基準の見直しを含めて現 地メーカーからの部品調達を拡大して、現地調達率を当面の目標 としていた70%を超える約75%まで高めるメドが立ちました。 ○ アジアではベトナムに続いてインドネシアに販社を設立し6月か ら営業を開始するほか、次に成長が期待できるミャンマーへも早 期に進出したいと考えています。ブラジルでは2月から生産を開 始しましたが、ブラジル国内での拡販に留まらず、周辺の中南米 諸国全体を視野に入れた事業戦略の立案を進めています。 4 4)国内空調 ○ 国内空調事業についても、昨年、販社改革に着手し、差別化商品 の積極投入や売価アップ・維持により収益性が向上しております。 引き続き販売強化と固定費の効率化を進め、身軽で強靭な体質づ くりを進めていきます。今年の業界需要は減少する見込みですが、 震災の復興需要の取り込み、節電ニーズに対応したHVACソリ ューション事業の一大展開により、売上拡大を図ります。 5)化学 ○ 2011 年度の化学事業は、中国での大拡販、投資を抑えての増産な ど身軽な事業体質の維持、原材料市況高騰に対応した売価政策な ど、収益確保を徹底した結果、売上高・営業利益ともにこれまで の過去最高を大きく上回り、FUSION15 の初年度として好スタート を切ることができました。 ○ 2012 年度の需要環境は横ばいが見込まれていますが、当社の化学 事業は中国事業の拡大を中心に利益を創出し、2013 年度 FUSION15 の利益目標の1年前倒しを目指します。 ○ 短期利益確保、中長期的な発展に向け、用途開発をさらに加速し ていきます。現在我々が手がけている技術や素材は、殆どが欧米 向けとなっており機能の高さが特徴ではありますが、中国では中 機能で安価というニーズも広がってきています。インフラなど中 国のボリュームゾーンへの参入を図るためには、幅広い用途開発 によって中国独自の用途に対応していく必要があり、それらに特 化した戦略拠点となる開発センターを現在の常熟の工場内に年内 に建設したいと考えています。また中国ローカルモルダーの囲い 込みや中国での日系モルダーとの協業も図っていきます。 ○ 身軽な事業体質を維持する一方で、将来の事業拡大に向け、今年 からは、増産投資を積極的に実施していきます。アメリカではす でに昨年 ETFE の能力増強に 50 億円を投資し今年 10 月に操業を開 始、中国では 30 億円を投資しフッ素ゴムの新工場を常熟に建設中、 フッ素塗料も 12 億円を投資しそれぞれ 2013 年度に稼動を予定し ています。これら以外にもヨーロッパへの投資も含めて、F15 の 最終年度までに 300 億円程度まで投じていく計画としています。 5 ○ 高収益を維持する上で、売価政策は引き続き重要だと考えていま す。汎用品では需給が緩むことで売価ダウンが懸念されますが、 競合状況を注視しながら最小限のダウンにとどめ、収益を確保し ます。当社独自の高付加価値商品では、引き続き売価維持に努め ます。 3.おわりに ○ 今年度の当初予算は、営業利益 1000 億円でスタートを切りますが、 FUSION15 の実現をめざす上では、できるだけ大きく伸ばしたいと 考えており、社内の挑戦目標はさらに高いところに置いています。 ○ ただし、経営環境は依然として不透明なこともあり、需要下ぶれ の際の収益確保策と、景気上ぶれの際の大拡販策という両方の構 えを持って、経営のかじ取りをフレキシブルにしていきたいと思 っています。 ○ 私からの話は以上とさせて頂き、後は皆さんからの質疑応答をお 受けしたいと思います。 以 上 6