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12 紙製ネットを生分解性素材として海洋で使用するための基礎研究
紙製ネットを生分解性素材として 紙製ネットを生分解性素材として 海洋で利用するための基礎研究 海洋で利用するための基礎研究 研究期間:平成21年度 研究期間:平成21年度 研究の目的 研究の目的 かき養殖で問題となっている魚類による食害防止 ネットを生分解性素材ネットで生産したいという 要望を受け,日東製網(株)製紙製ネット「PECOネッ ト」の海中での分解過程の観察と分解速度測定,分 解速度コントロール手法の開発を行う。 図1 日東製網(株)製「PECOネット」 研究の内容 研究の内容 A:音戸‐冬‐底 B:音戸‐冬‐水面 C:作業場‐冬‐底 D:作業場‐冬‐水面 E:三高‐冬‐水面 F:音戸‐夏‐底 G:音戸‐夏‐水面 H:音戸‐夏‐移動 140 〇海域・季節・水深を変えて分解試験 を行ったところ,分解速度は異なるも のの(図2),いずれの区でも図3の ように,網を構成する紙が外側(表面) から分解することが確認された。 120 100 80 60 40 20 0 0 図3 分解前と分解後のネット外観比較 1 2 3 4 5 6 7 垂下期間(weeks) 図2 各区に設置したネットの引張り強度推移 〇分解は網表面に形成される BF(バイオフィルム)を構成する微 生物により起こる(生分解)ため, この反応速度をコントロールする手法 を開発し,ネットの寿命を制御するこ とを試みた。 海域で形成させたBFを海水にけん 濁させて,薬品を添加したネットを浸 漬,2週間振とうした結果,図4のよう に,区間で分解速度に違いが生じた。 本研究は平成21年度ひろしま産業創生 補助金を活用して行いました。 研究連携:日東製網株式会社 図4 物質を添加したネットの分解程度の差異 研究の成果 研究の成果 紙製ネットは海洋環境下で速やかに生分解されること が分かった。また,無毒且つ水溶性の物質により,ネッ トの寿命を制御できる可能性を見出すことができた。 今後,かきの食害対策ネットをはじめ,使用期間が限 られる養殖資材や土木用資材等への活用を想定し,必要 な寿命や分解速度を実現する制御手法を確立する。 図5 紙製かき食害ネット試作品 2010 広島県立総合技術研究所 西部工業技術センター 材料技術研究部