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用 語 の 解 説
用 語 の 解 説 営業余剰・混合所得 営業余剰、混合所得はともに生産における企業等生産者の生産活動の貢献分で、雇用者報 酬、固定資本減耗、生産・輸入品に課せられる税マイナス補助金とともに付加価値の構成要 素の一つです。このうち混合所得は家計のうち個人企業の取り分で、その中に業主等の労働 報酬的要素を含むことから、営業余剰(家計においては持ち家分)とは区別されます。営業 余剰・混合所得は、原則として市場での利益の追求を目的とする産業においてのみ生じ、政 府サービス生産者及び対家計民間非営利サービス生産者は営業余剰を生みません。 家計現実最終消費 民間最終消費支出に、一般政府及び対家計民間非営利団体からの現物社会移転を加えたも のです。家計最終消費支出は費用負担の観点からとらえたものに対し、便益を受けた側での 消費としてとらえたものです。(→政府現実最終消費) 家計最終消費支出 家計(個人企業を除いた消費主体としての家計)の新規の財貨・サービスに対する支出で、 同種の中古品、スクラップの純販売額(販売額 − 購入額)は控除されます。土地・建物は この項目に含まれず、農家の農産物の自家消費、自己所有住宅の帰属家賃、賃金・俸給にお ける現物給与等は含まれます。 企業所得 「営業余剰・混合所得」に「受取った財産所得」を加算し、「支払った財産所得」を控除 したもので、民間法人企業所得、公的企業所得、個人企業所得に分類されます。 帰属利子 金融業の生産額を定義するための特殊な帰属計算項目で、金融業の受取利子及び配当と支 払利子の差額をさします。利子は主として他産業の付加価値から支払われたものですから、 それを再び生産額として取り上げることは生産額の二重計算になります。この二重計算を除 去するために、帰属利子の額を控除することにしています。 県民経済計算では、帰属利子は全て産業が中間投入するものとしますが、この場合帰属利 子を各産業部門に分割することが困難なため、ダミー産業を設けてこの産業が全ての帰属利 子を中間投入するものとします。その結果この産業に同額の負の営業余剰が計上されること になり、産業全体として県内総生産や営業余剰が帰属利子分だけ過大になることが回避され ています。 経済活動別県内総生産 県内の各経済活動部門の1年間の生産活動により新たに付加された価値の評価額を、 (1) 産業、(2) 政府サービス生産者、(3) 対家計民間非営利サービス生産者別、経済活動 別に示したものです。これは、県内の生産活動に対する各経済活動部門のそれぞれの寄与を 表すもので、産出額から中間投入を控除したものに当たります。 経常移転 生産の結果発生した所得のうち、移転取引を通じて各制度部門に分配されるものがありま す。経常移転は、支払側の資産や貯蓄ではなく経常的な収入の中から充てられ、また受取側 の投資の源泉とならない点で資本移転と区別される移転であり、所得支出勘定に全て計上さ れます。 経常移転は「財産所得」と「その他の経常移転」に分けられ、「その他の経常移転」は次 の3種類に分類されます。 (a) 非生命保険純保険料及び保険金、自発的現実社会負担及び年金基金による社会給付な ど、反対給付のある(契約に基づく)受払。 (b) 所得・富等に課される経常税(いわゆる直接税)、生産・輸入品に課される税(いわ ゆる間接税)、補助金、強制的社会保障負担及び現金による給付、罰金といった政府機 関に対する支払義務及び政府機関の支払約束で反対給付のない(契約に基づかない)移 転。(ただし、生産・輸入品に課される税、補助金は、一般政府にのみ計上されま す。) (c) 無基金雇用者社会給付や社会扶助給付、対家計民間非営利団体への経常移転、一般政 府内の経常移転など、その他の反対給付のない任意の移転(贈与)。各制度部門が支払 う寄付金、負担金、家計間の仕送り金、贈与金など他では表章されないあらゆる経常移 転取引。 各制度部門について、受取要素所得(雇用者報酬、営業余剰・混合所得)にこれらの移転 の受払を加減したものが可処分所得であり、これが貯蓄と消費になります。 県外からの所得(純) 県民所得から要素費用表示の県内純生産を差し引いて求められます。(図2参照)県外と の所得の受払には、雇用者報酬、投資収益、財産所得が含まれます。 図4 県外からの所得(純)の概念 県外からの受取 県外への支払 県外で働く県民が受取る 雇 用 者 報 酬 県内で働く他県民が受取る 雇 用 者 報 酬 − 県民(企業を含む。)が 県外金融機関等から受取る 利子及び配当金 他県民(企業を含む。)が 県内金融機関から受取る 利子及び配当金 県外勘定 この勘定には、県全体としてとらえた県外取引(経常取引)が計上されます。実際には、 経常取引勘定と資本取引勘定からなり、両者は経常取引勘定の支払側にバランス項目として おかれる県民経常余剰が資本取引勘定の受取側に移転することによって結合されますが、本 県では資料の制約などの理由から経常取引勘定の推計のみ行っています。 経常流出(受取)には、支出系列から振り替えられる「財貨・サービスの移出」、分配系列 から振り替えられる県内居住者が県外から受取る雇用者報酬である「県外からの雇用者報 酬」、同じく県外から受取る財産所得である「県外からの財産所得」、財産以外の経常移転 であり、寄付金、負担金、家計間の仕送り、贈与金など他の項目で表章されない所得で県外 から流入する「県外からのその他の経常移転」が計上されます。 一方、経常流入(支払)には、支出系列から振り替えられる「財貨・サービスの移入」、分 配勘定から振り替えられる県外居住者が県内から受取る雇用者報酬である「県外への雇用者 報酬」、同じく県内から受取る財産所得である「県外への財産所得」、財産以外の経常移転 であり、県外へ流出する「県外へのその他の経常移転」が計上されます。また、経常流出と 経常流入の差額を「県民経常余剰」として計上しています。 なお、本来はそれぞれの取引において、県外からの受取、県内からの受取、県外への支払、 県内への支払を明確に推計する必要がありますが、財産所得とその他の経常移転については、 県際取引の推計が困難であることから、受払の純計を計上しています。 県内総生産(支出側) 生産活動により新たに生み出された付加価値が所得として分配されたのち、どれだけ消費 や投資に回され、さらにどれだけ県外との受払いに向けられたかを示すものです。 県内総生産(生産側)等との関係は次のとおりです。 県内総生産(支出側) = 県内総生産(生産側) 県民総所得(総支出) = 県内総生産(支出側)+県外からの所得(純)= 県民総生産 県内総資本形成 民間及び公的企業、一般政府、対家計民間非営利団体、家計の生産者としての支出(購入 及び自己生産物の使用)のうち、中間消費とならないもので、在庫品増加と総固定資本形成 からなります。 中間消費と総固定資本形成の区分は、当該機関内に使用されつくすか、あるいは将来に便 益をもたらすかを基準としてなされます。 県民所得(分配) 県民所得(分配)は、生産活動に参加した居住者(企業も含む)にその対価として分配さ れる所得として把握され、(1)雇用者報酬、(2)財産所得、(3)企業所得の3つから構成され ています。 固定資本減耗 構築物、設備、機械等再生産可能な固定資産(有形固定資産、無形固定資産)について、 通常の破損及び損傷、予見される滅失、通常生じる程度の事故による損害等からくる減耗分 を評価した額で、固定資本を代替するための費用として総生産の一部を構成します。 また、県民経済計算では政府や対家計民間非営利団体も生産者として格付けしていますの で、これらの固定資産についても固定資本減耗が計上されます。 なお、生産や固定資本形成などで、固定資本減耗を含む計数は「総(グロス)」、含まな い計数は「純(ネット)」を付して呼んでいます。 県民雇用者報酬 生産活動から発生した付加価値のうち労働を提供した雇用者への分配額をさします。雇用 者とは産業、政府サービス生産、対家計民間非営利サービス生産を問わずあらゆる生産活動 に従事する就業者のうち、個人事業主と無給の家族従事者を除くすべての者で、法人企業の 役員、特別職の公務員、議員等も含まれます。 雇用者報酬は、具体的には以下のような項目から構成されており、このうち①の(b)、② 及び③の一部は、実際に現金の形で雇用者に支払われるのではなく、帰属計算項目として雇 用者報酬に含まれているものです。 ①賃金・俸給 (a)現金給与(所得税、社会保険料等控除前) (b)現物給与、自社製品等の支給などで、給与住宅差額家賃も含みます。 給与住宅差額家賃とは、社宅、公務員住宅等が市中家賃より安い家賃によって従業者 に提供されている場合、支払家賃と市中平均家賃の差額を現物給与の一種とみなすもの です。 ②雇主の現実社会負担 健康保険、厚生年金等の社会保障基金への負担金(雇主の強制的現実社会負担)及び、 構成年金基金・適格退職年金等の年金基金への負担金(雇主の自発的現実社会負担) ③雇主の帰属社会負担 退職一時金等の無基金への負担金 在庫品評価調整 県民経済計算では、発生主義の原則により在庫品増加は、当該商品の在庫増減時点の価格 で評価すべきものとされています。しかし入手可能な在庫関係データは企業会計に基づくも ので、後入先出法や先入先出法等様々な在庫評価方法で評価されています。これらの方法で は期末在庫残高から期首在庫残高を差し引いて得られる増減額には期首と期末の評価価格の 差による分も含まれることになります。そこで県民経済計算では、この差額を在庫品評価調 整額と呼んで、調整します。各評価額と在庫品調整額の間には「企業会計の評価額−県民経 済の評価額=県民経済の在庫品調整額」という関係が成り立ちます。 財産所得 カネ、土地及び無形資産(著作権・特許権など)を貸借する場合、この貸借を原因として 発生する所得の移転のことです。利子及び配当、地代(土地の純賃貸料)、著作権・特許権 の使用料などが該当します。財産所得中の賃貸料には構築物(住宅を含む)、設備、機械等 の再生産可能な有形固定資産の賃貸に関するものは含まれません。 産 業 経済的に意味のある価格で生産物のほとんど、又は全てを販売する生産者(市場生産者) をいいます。 民間企業の事業所のほか、公的企業として産業に分類される政府関係機関が あります。政府関係機関は、一定の基準により産業(市場生産者)と一般政府(非市場生産 者)に区分されますが、医療機関はすべて産業(市場生産者)として扱われます。 また、次のものも産業に含められます。 ・主として企業のためにサービスを提供することを目的とする民間非営利団体 ・家計の所有する住宅や政府及び民間非営利団体が職員のために所有する住宅の帰属サー ビス ・家計、政府又は民間非営利団体が自ら使用するために行う住宅及び非居住用建物の建設 活動 産出額・中間投入 産出額とは、各産業の生産高(商品の生産高、サービスの売上高)を示すものです。政府 サービス生産者、対家計民間非営利サービス生産者については、市場価格で評価できないた め、その経費を積み上げた額を産出額とします。 中間投入とは、生産過程で原材料・光熱燃料・間接費等として投入された非耐久財及びサ ービスをいいます。耐用年数を大幅に伸ばすことのないような固定資産の維持補修、研究開 発調査等も含まれます。 産出額から中間投入(額)を控除したものが付加価値(額)で、生産者価格表示の県内総 生産になります。 実質県内総生産(連鎖方式) 県内総生産(生産側)から物価変動による影響を除去したものです。この連鎖方式とは、 参照年(デフレーター=100の年、現在は平成12暦年)を出発点、前年を基準年とし、毎年毎 年積み重ねて接続する方式です。今まで採用していた固定基準年方式に比べ「指数バイア ス」がほとんど生じないとされています。 なお、連鎖方式では実質値における「加法整合性」は成立しませんので経済活動別県内総 生産(生産側、実質)では「開差」の欄を設けています。また、(名目値)÷(実質値)× 100と逆算して求められる数値をインプリシットデフレーターといいます。 資本移転 反対給付を伴わない移転のうち、受取側の総資本形成やその他の資本蓄積あるいは長期的 な支出の資金源泉となり、支払側の資産又は貯蓄からまかなわれるもので、経常移転と対比 されます。資本移転は、当事者の投資や資産に影響を及ぼしますが、消費には資産額やその 構成の変化を通じて間接的な影響を及ぼすにとどまります。政府の民間企業に対する資本補 助金や相続税、贈与税などがこれに該当します。 社会給付及び社会負担 社会給付とは、「病気・失業・退職・住宅・教育あるいは家族の経済的境遇のような一定 の出来事あるいは状況から生ずるニーズに対する備えとなることを意図して家計に支払われ る経常移転」と定義されています。(1)老齢年金などの現金による社会保障給付、(2)適格退 職年金などの現金による社会給付、(3)生活保護などの現金による社会扶助給付、(4)退職一 時金などの無基金雇用者社会給付、(5)医療保険給付及び介護保険給付からなる現物社会移 転、の5つに分類されます。 社会負担とは、「社会給付が支払われることに備えて社会保障制度に対して行う現実又は 帰属の支払」と定義され、(1)社会保障基金への負担金のうち雇主負担分である雇主の強制 的現実社会負担、(2)雇用者負担分である雇用者の強制的社会負担、(3)年金基金への負担金 のうち雇主負担分である雇主の自発的現実社会負担、(4)雇用者負担分である雇用者の自発 的社会負担、(5)無基金制度への負担金である帰属社会負担、の5つに分類されます。 社会扶助給付 一般政府及び対家計民間非営利団体から家計への移転のうち、社会保障制度を通じる以外 のものをいいます。 一般政府分としては生活保護費、遺族等年金、恩給などがあげられ、対家計民間非営利団 体分としては、無償の奨学金などが含まれます。 社会保障基金 社会保障基金とは、(1)社会全体あるいは大部分を対象として社会保障給付を行うことを 目的とし、(2)加入が法律で義務づけられ、(3)資金が積み立て方式以外の方法で運営されて いる組織で、中央政府及び地方政府とともに一般政府を構成しています。国の社会保険特別 会計(厚生保険、国民年金、労働保険、船員保険)、共済組合(国家及び地方公務員共済組 合等)、及び健康保険組合などが該当します。 生産・輸入品に課される税 生産・輸入品に課される税とは、(1)財貨・サービスの生産、販売、購入又は使用に関し て生産者に課せられる税で、(2)税法上損金算入が認められ、(3)その負担が最終購入者へ転 嫁されるものです。これは生産コストの一部を構成するものとみなされる点で所得、富等に 対して課される経常税と区別されます。例としては、消費税、関税、酒税等の国内消費税、 不動産取得税、印紙税等の取引税、事業税、固定資産税、企業が支払う自動車税などがあげ られます。住宅・土地に対する固定資産税も帰属家賃の一部を構成するとみなされ生産・輸 入品に課される税として扱われます。 制度部門分類 経済活動分類が生産についての意思決定を行う主体の分類であるのに対し、制度部門分類 は所得の受取りや処分、資金の調達や資産の運用についての意思決定を行う主体の分類で、 所得支出勘定、県民貸借対照表などに用いられます。この分類による取引主体には (1)非金融法人、(2)金融機関、(3)一般政府、(4)家計(個人企業を含む)、(5)対家計民間 非営利団体の5つの制度部門があります。金融機関が独立部門として設定されていますが、 これは、SNAにおいては資金循環表が体系内に取り入れられているため、金融面の活動に おいて非金融部門とは全く異なる行動をとる金融機関を分離する必要があるためです。 政府現実最終消費 政府最終消費支出から、現物による社会移転として家計に支給した財貨・サービス分を控 除したものです。(→家計現実最終消費) 政府サービス生産者 政府は単なる消費主体としてだけではなく、生産主体としても格付けられており、この生 産主体としての政府は政府サービス生産者と呼ばれます。政府が購入する財貨・サービスは 政府サービス生産のための中間消費として計上されます。政府サービス生産額はこの中間消 費に雇用者報酬、固定資本減耗、生産・輸入品に課される税を加算したものです。生産され た政府サービスの一部は家計等に販売しますが、大半は自らが消費し、政府最終消費支出と して計上されます。 なお、家計に販売された政府サービス(国公立学校の授業料等)は、家計最終消費支出と して計上されます。 政府最終消費支出 一般政府の財貨・サービスに対する経常的支出である政府サービス生産者の生産額(中間 消費+雇用者報酬+固定資本減耗+生産・輸入品に課される税)から、他部門に販売した額 (商品・非商品販売額)を差し引いたものに現物社会給付等(医療保険及び介護保険による 給付分等)を加えたものを一般政府の最終消費支出としています。 総固定資本形成 民間法人、公的企業、一般政府、対家計民間非営利団体及び家計(個人企業)が新規に購 入した有形又は無形の資産(中古品やスクラップ、土地等の純販売額は控除、マージン、移 転経費は含みます。)で以下のものが該当します。 (1)有形固定資産(住宅、住宅以外の建物及び構築物、輸送機械、機械設備等) (2)無形固定資産(鉱物探査、受注型のコンピューターソフトウェア等) (3)有形非生産資産の改良(土地の造成・改良、鉱山・農地等の開発、拡張等) なお、建物、道路、ダム、港湾等建設物の仕掛工事は、建設発注者の総固定資本形成には 含まれますが、重機械器具の仕掛工事は、その財貨生産者の在庫品増加に分類されます。 総資本形成 民間及び公的企業、一般政府、対家計民間非営利団体、家計の生産者としての支出(購入 及び自己生産物の使用)のうち、中間消費とならないもので、在庫品増加と総固定資本形成 からなります。 中間消費と総固定資本形成の区分は、当該期間内において使用されつくすか、あるいは将 来に便益をもたらすかを基準としてなされます。例えば、固定資産等の修理についてみると、 固定資産の改造や新しい機能の追加など、その耐用年数や生産性を大幅に増大させる支出 (資本的修理)は総固定資本形成に含まれます。これに対し、単なる破損の修理や正常な稼 動を保つための支出(経常的修理・維持)は中間消費に分類されます。また研究開発費等は 企業会計では資本的支出に計上されたとしても、通常有形固定資産に具体化されず、その支 出による将来の便益が不確実であるため、中間消費として扱われます。広告費についても同 様です。 総資本形成に係る消費税 消費税は事業者を納税義務者としていますが、税金分は事業者の販売する財・サービスの 価格に上乗せされ、最終的には消費者が負担する税であり、県民経済では生産・輸入品に課 せられる税に分類されています。 総資本形成(固定資本形成及び在庫品増加)については、仕入税額控除できる消費税額は 含まれません。これは課税業者の投資にかかる消費税は、他の仕入れにかかる消費税ととも に、事業者が消費税を納入する時点で納税税額から控除できるためです。こうした消費税の 記録の仕方を修正グロス方式といい、県民経済計算ではこの方式が採用されています。 対家計民間非営利サービス生産者 他の方法では効率的に提供できない社会的・公共的サービスを、利益追求を目的としない で家計へ提供する団体を対家計民間非営利団体といいます。その活動は通常、会員の会費や 家計、企業、政府からの寄付、補助金によって賄われ、労働組合、政党、宗教団体等のほか、 私立学校のすべてが含まれます。 対家計民間非営利団体最終消費支出 県内総支出の一構成項目であり、対家計民間非営利サービス生産者(対家計民間非営利団 体)の生産額から商品・非商品販売額を控除したものです。対家計民間非営利団体の収入は、 生産コスト(中間投入+雇用者報酬+固定資本減耗+生産・輸入品に課される税)をカバー し得ず、その差額が自己消費とみなされ、対家計民間非営利団体最終消費支出として計上さ れます。 対家計民間非営利団体への経常移転 対家計民間非営利団体が、家計、企業、政府から受取る現金あるいは現物の寄付、補助金、 会費、贈与金であり、これは、対家計民間非営利サービス供給のための経常的なコストをカ バーする目的で使用されるものです。一般政府からは、私立大学経常費補助金や国際文化団 体補助金などがあげられます。 貯 蓄 各部門の要素所得(雇用者報酬、営業余剰・混合所得)の受取りや各種の経常移転の受取 りからなる経常的収入から、消費支出や各種の経常移転支払いからなる経常的支出を差し引 いた残差として定義され、固定資本減耗を含む「総」ベースと、これを含まない「純」ベー スの両方で表されます。したがって貯蓄は所得支出勘定(所得の使用勘定)のバランス項目 であり、資本蓄積のための原資として資本調達勘定に受け継がれます。 貯蓄投資差額 実物面において投資と貯蓄は経済全体をとれば一致しますが、部門別に見ると一致しない のが普通です(例:家計は貯蓄超過主体)。このような投資と貯蓄の差が貯蓄投資差額で す。各部門における貯蓄投資差額は、金融取引を通じて調整されますが、そこでの金融資産 の変動と負債の変動の差が資金過不足です。したがって貯蓄投資差額と資金過不足は概念的 に一致すべきものですが、実際の計数では推計の方法等により若干の開差が生じていま す。国民経済計算では、貯蓄投資差額と資金過不足は、それぞれの資本調達勘定の実物取引 表と金融取引表のバランス項目となっていますが、県民経済計算では実物取引表のみ推計し ています。 デフレーター(Deflator) 名目価格から実質価格を算出するために用いられる価格指数をいい、名目価格をデフレー ターで除して実質価額を求めることをデフレーションといいます。 統計上の不突合 県内総生産(生産側)と県内総生産(支出側)のように概念上一致すべきものであっても、 推計上の接近方法が異なっているため、推計値にくいちがいが生じることがあります。この くいちがいを統計上の不突合といい、両者のバランスをとるために県内総生産(支出側)の 側に計上されます。 土地の購入(純) 土地取引(売買)の収支尻で、制度部門別資本調達勘定の実物取引に標章されます。土地 取引に要した移転コスト(仲介者手数料、登記料等)は、固定資本形成として記録され、土 地取引には含まれません。また土地の開発、改良のための支出も、有形非生産資産の改良と して固定資本形成に計上され、土地取引には含まれません。 県民経済計算では、土地の売買は居住者間のみで行われるものと擬制しています。その考 え方は、例えば県外居住者が県内土地を購入した場合、県内居住者たる「名目的な機関」が その土地の所有者となり、県外居住者はこの「名目的な機関」に対し、土地購入額に等しい 債権を取得すると擬制することにより、県全体では土地の売却=土地の購入とするもので す。その結果、統合勘定には「土地の購入(純)」が表章されず、「県外に対する債権の純 増」が減少することになります。なお本県では資料の制約などの理由から一般政府部門のみ 推計し、その他の部門については貯蓄投資差額に含む形で計上しています。 年金基金年金準備金の変動 金融機関である年金基金に対する家計の年金負担の支払及び基金から受取る年金給付は、 経常取引として記録されますが、一方で年金基金が管理する年金準備金は、生命保険が管理 する準備金と同じように、家計が所有している金融資産(貯蓄)とみなされます。このため、 年金負担額と年金受取額との差額が家計の貯蓄に入り込まないように、家計の所得に年金負 担額を足し戻し、年金給付を差し引くという取扱いをしています。 年金基金年金準備金の変動=雇主の自発的社会負担+雇用者の自発的社会負担− 年金基金による社会給付 非生命保険 生命保険以外の全てのリスク(事故、疾病、火災等)を網羅する概念です。非生命保険制 度の運用に当たっては、事故などが発生した場合に被災者に支払う保険金と、制度を運営し ていくための諸経費が必要となり、それを保険料として保険加入者から徴収しています。こ の保険料のうち被災者に支払われる保険金部分は、保険加入者から集められた保険料の一部 を被災者に保険金として支払うものですから、単に所得が移転したものとみなします。純保 険料とは保険リスクコストでこれは保険金の額と等しくなります。 補助金 県民経済計算の補助金とは、(1)企業に対して支払われるもの、(2)企業の経常費用をまか なうために交付されるもの、(3)財・サービスの市場価格を低下させると考えられるもの、 の3つの条件を満たす経常交付金をいいます。 対家計民間非営利団体や家計への経常的交付金は補助金ではなく、政府による他の種類の 経常移転(他に分類されない経常移転)として扱われ、また投資あるいは資本資産、運転資 産の損失補てんのため産業に対して行われる移転は、補助金ではなく資本移転に分類されま す。 民間最終消費支出 家計最終消費支出と対家計民間非営利団体最終消費支出の合計です。 無基金雇用者社会給付及び帰属社会負担 無基金雇用者社会給付とは、社会保障基金、金融機関(年金基金)などの外部機関を利用 せず、また自己で基金を設けることもせず、雇主がその源泉から雇用者に支払う福祉的な給 付をいい、雇主から直接支払われる年金、家族手当、傷害補償金、一時帰休及び退職手当な どのことです。 この給付は所得支出勘定において企業の支払、家計の受取に計上されますが、雇用者報酬 にもこの支払分が含まれるので、二重計算を避けるため、同額を帰属社会負担として家計か ら企業への移転として扱う帰属計算を行っています。 持 家 個人所有かつ自己居住にかかる住宅を独立の企業として取扱い、その所得は個人企業所得 に計上されます。これは持家を含むすべての住宅サービスを評価するための擬制です(県内 総生産では不動産業に、県内総支出では家計最終消費支出の住居にそれぞれ含まれます)。 計算は次の算式によります。 自己居住住宅の家賃評価額 − 中間投入(修繕費)− 固定資本減耗 − 純間接税(固 定資産税等)− 住宅ローン支払い利子 − 支払地代