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用語解説

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○営業余剰・混合所得
生産における企業等生産者の生産活動の貢献分であり、雇用者報酬、固定資本減耗、生産・輸入品に課される税、(控
除)補助金とともに、付加価値の構成要素のひとつである。このうち混合所得は、家計のうち個人企業の取り分であり、
家計のうち持ち家分と区別される。営業余剰・混合所得は、原則として市場での利益の追求を目的とする産業においての
み生じ、政府サービス生産者および対家計民間非営利サービス生産者は営業余剰を生まない。
○家計最終消費支出
家計最終消費支出は、居住者である家計(個人企業を除く)が、一定期間に対して行う新たな財貨・サービスの取得に対
して費用を直接に支払う支出であり、同種の中古品、スクラップの純販売額(販売額-購入額)は控除される。土地と建物
はこの項目に含まれない。また農家における農産物の自家消費、自己所有住宅の帰属家賃、賃金・棒給における現物給与
等は含まれる。
○間接的に計測される金融仲介サービス(Financial Intermediation Services
Indirectly Measured,FISIM)
金融機関の中には、借り手と貸し手に対して異なる利子率を貸したり支払ったりすることにより、明示的には料金を課
さずにサービスを提供することができるものがある(このような金融仲介機関に資金を貸す人々(預金者)には他の場合
より低い利子率を支払い、資金を借りる人々にはより高い利子率を課する。)。こうした金融機関による明示的には料金
を課さないサービスの価額を、間接的な測定方法を用いて推計したものが、「FISIM」である。
○企業所得
企業所得とは、所得支出勘定の営業余剰・混合所得に受け取った財産所得を加算し、支払った財産所得を控除したもの
であり、民間法人企業、公的企業、個人企業ごとに表示されている。なお、営業余剰・混合所得とは、企業会計でいう営
業利益にほぼ相当する。
○帰属計算
帰属計算とは、県民経済計算上の特殊な概念であり、財貨・サービスの提供ないし享受に際して、実際には市場でその
対価の受払が行われなかったにもかかわらず、それがあたかも行われたかのようにみなして擬制的取引計算を行うことを
いう。例えば、家計最終消費支出には、帰属家賃や農業における農産物の自家消費等が含まれ、通常の家計簿ベースの支
出より範囲が広がっているなど、県民経済計算の各項目をみる場合、その範囲には十分注意する必要がある。
○経常移転
生産の結果発生した所得のうち、移転取引を通じて各制度部門間に分配されるものがある。経常移転は、支払側の資産
や貯蓄ではなく経常的な収入の中からあてられ、また受取側の投資の源泉とならない点で資本移転と区別される移転であ
り、所得支出勘定にすべて計上される。
県民経済計算においては、経常移転は次のように分類される。①非生命保険純保険料および保険金、自発的現実社会負
担および年金基金による社会給付、その他の契約に基づく受払。②政府機関に関する移転。例えば、所得・富等に課され
る経常税、強制的現実社会負担及び現金による社会保障給付、罰金がこれに該当する。③その他の反対給付のない任意の
移転(贈与)。その他の経常移転、一般政府内の経常移転などが該当する。
○県外からの所得(純)
県民所得から県内純生産を差し引いて求められる。県外との所得の受払いには雇用者報酬、投資収益、財産所得などが
含まれる。
○現物社会移転
現物社会移転は、「現物社会給付」と「個別的非市場財・サービスの移転」の二項目からなる。「現物社会給付」は、社会保
障基金による医療保険給付分である。社会保障基金が家計に対して払い戻しを行う形での「払い戻しによる社会保障給付」
(高額医療・出産給付金)と、関連するサービスを直接受給者(家計)に支給する形での「その他の現物社会保障給付」(国民
健康保険等による医療保険給付分および老人保健給付分、介護保険給付分)がある。「現物社会給付」は、一般政府と家計
の間でのみ取引が行われる。一方、「個別的非市場財・サービスの移転」は、家計に対して無料または経済的に意味のない
価格で、一般政府または対家計民間非営利団体といった非市場生産者によって提供される教育、保険等のサービスのこと
である。
○県民可処分所得
県民可処分所得は、制度部門別には受け取った所得から経常移転支払を控除したもので、消費と貯蓄の合計に等しい。
県全体では、市場価格表示の県民所得に制度部門別所得支出勘定から求められる財産所得以外のその他の経常移転の純受
取額の各制度部門総額を加算したものが、県民可処分所得となる。
なお、この純受取額は、総合勘定の「県外勘定」の経常取引の受払から算出され、「県民可処分所得と使用勘定」に示され
ている県外からのその他の経常移転(純)と一致する。
○公的企業
公的企業は、原則として政府により所有かつ支配されている企業で、商法、その他の公法、特別立法、行政規制等によ
り法人格をもつ公的法人企業、および生産する財貨・サービスのほとんどを市場で販売する大規模な非法人政府事業体か
らなり、その活動の類型、すなわち生産技術や経営形式の特性から産業として分類される事業所を単位とする。公的企業
の例としては郵便事業(情報通信業)、郵貯・簡保事業(金融・保険業)、県・市町村の企業会計(電気・ガス・水道業)、公
立病院事業(サービス業)などが挙げられる。
○固定資本減耗
構築物、設備、機械等再生産可能な固定資産(有形固定資産、無形固定資産)について、通常の摩損および損傷(減価償
却)、予見される滅失、通常生じる程度の事故による損害等(資本偶発損)からくる減耗分を評価した額であり、固定資産
を代替するための費用として総生産の一部を構成する。
固定資本減耗は、全て時価(再調達価格)ベースで推計される。
○県民雇用者報酬
県民雇用者報酬とは、生産活動から発生した付加価値のうち労働を提供した雇用者への分配額をさす。所得支出勘定で
は、家計の受取にのみ計上される。雇用者とは、産業、政府サービス生産、対家計民間非営利サービス生産を問わずあら
ゆる生産活動に従事する就業者のうち、個人業主と無給の家族従事者を除くすべての者であり、法人企業の役員、特別職
の公務員、議員等も雇用者に含まれる。県民雇用者報酬は具体的には以下のような項目から構成されている。
①賃金・棒給(a)現金給与(所得税、社会保険料雇用者負担等控除前)。一般雇用者の賃金、給料、手当、賞与などのほ
かに役員給与や議員歳費等も含まれる。(b)現物給与。自社製品等の支給など主として消費者としての雇用者の利益
となることが明らかな財貨・サービスに対する雇主の支出である。給与住宅差額家賃もこれに含まれる。
②雇主の社会負担。一般政府を構成する社会保障基金および年金基金への雇主の負担額である「雇主の現実社会負担」
と、社会保障基金や年金基金によらず雇主自らが雇用者の福祉のために負担する分である「雇主の帰属社会負担」から
なる。
○財貨・サ-ビスの移出(入)
財貨・サ-ビスの移出(入)と直接購入から構成される。移出(入)とは、居住者と非居住者間の財貨・サービスの取引で
あり、直接購入とは、居住者(非居住者)による県外(内)市場の財貨・サービスの直接取引である。ただし、ここでは要素
所得(労働および資本)にかかるものは除く。
○財産所得
財産所得とは、カネ、土地および無形資産(著作権・特許権など)等を貸借する場合、この貸借を原因として発生する所
得の移転である。利子および配当、賃貸料(地代・特許等)などが該当する。ただし、財産所得中の賃貸料には構築物(住
宅を含む)、設備、機械等再生産可能な有形固定資産の賃貸に関するものは含まれない。
○在庫品増加
在庫品増加は、企業および一般政府が所有する製品、仕掛品、原材料等の棚卸資産の、ある一定期間における物量的増
減を市場価格で評価したものである。仕掛工事中の重機械器具、屠畜や商品用に飼育されている家畜も含まれる。
○在庫品評価調整
県民経済計算においては発生主義の原則がとられており、在庫品増加は、当該商品の在庫増減時点の価格で評価すべき
ものとされている。しかし入手可能な在庫関係データは企業会計に基づくものであり、後入先出法や先入先出法等、企業
会計上認められている様々な在庫評価方法で評価されている。従って、期末在庫残高から期首在庫残高を差し引いて得ら
れる増減額には、期首と期末の評価価格の差による分(一種のキャピタル・ゲインあるいはロス)も含まれている。この評
価価格の差による分を除くための調整が在庫品評価調整である。
○市場価格表示および要素費用表示
市場価格表示とは、文字通り市場で取引される価格による評価方法である。生産段階では生産者価格が、他の取引段階
では購入者価格が用いられる。一方、要素費用表示とは各商品の生産のために必要とされる生産要素に対して支払われた
費用(雇用者報酬、営業余剰、固定資本減耗)による評価方法である。要素費用表示は生産者価格表示から生産・輸入品に
課される税、(控除)補助金を控除したものに等しい。
○社会扶助給付
一般政府および対家計民間非営利団体から家計に支払われる扶助給付のうち、社会保障制度を通じる以外のものである。
具体的には、生活保護費、公費負担医療給付分、恩給等がこれにあたる。
○社会負担及び社会給付
社会給付とは、国民年金等の年金給付などの現金による社会保障給付、適格退職年金などの現金による社会給付、生活
保護などの社会扶助給付、退職一時金などの無基金雇用者社会給付、医療保険給付および介護保険給付からなる現物社会
移転、の5つに分類される。社会負担とは、社会保障基金への負担金のうち雇主負担分である雇主の強制的現実社会負担、
雇用者負担分である雇用者の強制的社会負担、年金基金への負担金のうち雇主負担分である雇主の自発的現実社会負担、
雇用者負担分である雇用者の自発的社会負担、無基金制度への負担金である帰属社会負担の5つに分類される。
○社会保障基金
社会保障基金とは社会全体あるいは大部分を対象として社会保障給付を行うことを目的とする組織で、法律により加入
が義務づけられていること、掛金の負担が強制的であること、負担と給付がリンクしていない(積立方式で運営されてい
ない)こと、の条件を満たすものである。国の社会保険特別会計(厚生保険、国民年金、労働保険、船員保険)、共済組合
(国家および地方公務員等共済組合等)および健康保険組合などがそれに該当する。
○所得、富等に課される経常税
労働の提供や財産の貸与、資本利得など様々な源泉からの所得に対して、公的機関によって定期的に課せられる租税や、
消費主体としての家計が保有する資産に課せられる租税をいう。具体的には所得税、法人税、県民税等である。
○生産・輸入品に課される税
生産・輸入品に課される税とは、いわゆる「間接税」であり、①財貨・サービスの生産、販売、購入または使用に関して
生産者に課せられる租税および税外負担で、②税法上損金算入が認められて所得とはならず、③その負担が最終購入者へ
転嫁されるものである。例としては消費税、関税、酒税、不動産取得税、事業税、固定資産税、企業の支払う自動車税な
どの租税、印紙収入が挙げられる。また財政収入を目的とするもので、政府の事業所得に分類されない租税収入(日本中
央競馬会納付金など)も生産・輸入品に課される税に含まれる。持ち家家計は住宅賃貸業を営むものとされているので、
家計からの固定資産税は生産・輸入品に課される税として扱われる。
○政府最終消費支出
一般政府の財貨・サービスに対する経常的支出である政府サービス生産者の産出額(中間消費+雇用者報酬+固定資本
減耗+生産・輸入品に課される税)から、他部門に販売した額を差し引いたものに、現物社会給付等(医療保険及び介護
保険による給付分等)を加えたものを政府最終消費支出として計上している。
○政府サ-ビス生産者
県民経済計算では、政府は単なる消費主体としてだけではなく、生産主体としても格付けており、この場合に政府は政
府サービス生産者と呼ばれる。
政府が購入する財貨・サービスは、政府サービス生産のための中間消費として計上される。政府サービスの生産額は、
この中間消費に雇用者報酬、固定資本減耗、生産・輸入品に課される税を加算したものである。生産された政府サービス
の一部は家計等に販売されるが、大半は自らが消費し、政府最終消費支出として計上される。
なお、家計に販売された政府サービス(国公立学校の授業料のように、家計が政府から直接購入したサービス)について
は、家計最終消費支出として計上される。
○総固定資本形成
民間法人、公的企業、一般政府、対家計民間非営利団体、家計(個人企業)が新規に購入した有形または無形の資産(中
古品やスクラップ、土地等の純販売額は控除。マージン、移転経費は含む)であり、以下のものが該当する。
①有形固定資産・・・住宅、住宅以外の建物および構築物、輸送機器、機械設備、育成資産(種畜、乳牛、果樹等)。民間
転用が可能な防衛関係設備も含む。
②無形固定資産・・・鉱物探査、コンピュータ・ソフトウェア(生産者が1年を超えて使用するソフトウェアのうち受託開
発分)、プラントエンジニアリング。
③有形非生産資産の改良・・・土地の造成、改良、鉱山・農地等の開発、拡張等。なお、建物、道路、ダム、港湾等、建
設物の仕掛工事は建設発注者の総固定資本形成に含まれるが、重機械器具の仕掛工事はその財貨生産者の在庫品増加
に分類される。
○総資本形成
民間および公的企業、一般政府、対家計民間非営利団体、家計の生産者としての支出(購入および自己生産物の使用)の
うち中間消費とならないものであり、在庫品増加と総固定資本形成からなる。中間消費と総固定資本形成の区別は、当該
機関内において使用されつくすか、あるいは将来に便益をもたらすかを基準としてなされる。例えば固定資産等の修理に
ついてみると、固定資産の改造や新しい機能の追加などその耐用年数や生産性を大幅に増大させる支出(資本的修理)は、
総固定資本形成に含まれる。これに対し、単なる破損の修理や正常な稼働を保つための支出(経常的修理・維持)は、中間
消費に分類される。また研究開発費等は企業会計で資本的支出に計上されたとしても通常有形資産に具体化されず、その
支出による将来の便益が不確実であるため、中間消費として扱われる。広告費についても同様である。
○対家計民間非営利サ-ビス生産者
他の方法では効率的に提供し得ない社会的・公共的サービスを、利益追求を旨とすることなく家計へ提供する団体を対
家計民間非営利団体といい、これを生産者として把握する場合、対家計民間非営利サービス生産者という。対家計民間非
営利団体は、ある特定の目的を遂行するために集まった個人の自発的な団体であり、その活動は通常会員の会費や家計、
企業、政府からの寄付、補助金によってまかなわれる。労働組合、政党、宗教団体のほか、私立学校のすべてがこれに含
まれる。
○対家計民間非営利団体最終消費支出
県内総生産(支出側)の一構成項目であり、対家計民間非営利サービス生産者(対家計民間非営利団体)の産出額から商品
非商品販売額を控除したものである。すなわち対家計民間非営利団体の販売での収入は、生産コスト(中間投入+雇用者
報酬+固定資本減耗+生産・輸入品に課される税)をカバーし得ず、その差額が自己消費とみなされ、対家計民間非営利
団体最終消費支出として計上されることになる。
○中間投入
生産の過程で原材料・光熱燃料・間接費等として消費された非耐久財およびサービスをいう。固定資産の維持補修、研
究開発調査等もこれに含まれる。産出額から中間投入を控除したものが付加価値である。
○貯蓄
貯蓄は各部門の要素所得(雇用者報酬、営業余剰・混合所得)の受取や各種の経常移転の受取からなる経常的収入から、
消費支出や各種の経常移転支払からなる経常的支出を差し引いた残差として定義される。従って、貯蓄は所得支出勘定の
バランス項目であり、資本蓄積のための原資として資本調達勘定に受け継がれる。
○賃貸料
賃貸料は、土地の純賃貸料及び特許権、著作権等の使用料からなる。
土地の賃貸は、建物や機械のそれとは異なり、所有者の生産活動とはみなされない。賃貸された土地は、生産面ではあ
たかも所有者が所有しているかのうように取り扱われ、土地の所有に伴う税金、維持費等の経費は使用者が生産活動を
行うためのコストの一部(生産・輸入品に課される税、中間投入)として計上され、また純賃貸料(=総賃貸料-税金
等諸経費)は使用者の営業余剰・混合所得に含まれる。他方、所得支出勘定において、使用者から所有者に上述の純賃
貸料が財産所得(賃貸料)の受払として計上される。特許権等の使用料についても同様に取り扱われる。
○統計上の不突合
県内総生産と県内総生産(支出側)のように、概念上一致すべきものであっても推計上の接近方法が異なっているため、
推計値に食い違いが生じることがある。この食い違いを統計上の不突合といい、勘定体系のバランスを図るために表章さ
れる。
○法人企業の分配所得
企業への出資に関して生じた所得の移転であり、株式に対する配当、民間非金融法人企業、協同組合の余剰金の分配
(役員賞与を含む)のほか、法人格を有しない政府企業の剰余金の一般政府への繰入(いわゆる一般政府の公的企業からの
引出し)や企業の海外支店収益、海外子会社の未分配収益なども配当として扱われる。なお、信託収益は指定合同運用金
銭信託、貸付信託などによる利子および証券投資信託などによる配当とも、県民経済計算では「利子」に計上している。
○保険契約者に帰属する財産所得
保険契約者に帰属する財産所得には「保険契約者配当」と「保険帰属収益(保険契約者の資産から生じる投資所得)」が含ま
れる。「保険帰属収益(保険契約者の資産から生じる投資所得)」は、保険企業から保険契約者に支払われるべきものではあ
るが、実際には保険企業に留保される性格のものであることを考慮し、帰属計算により保険企業(金融機関)から家計に支
払われるものとして、その上で、この財産所得分を、追加保険料として保険企業に払い戻されるものとする。
○補助金
補助金とは、①企業に対して支払われるものであること、②企業の経常費用をまかなうために交付されるものであるこ
と、③財・サービスの市場価格を低下させると考えられるものであること、の三つの条件を満たす経常的交付金である。
公的企業の営業損失を補うためになされる政府からの繰り入れも補助金に含まれる。補助金によってその額だけ市場価格
が低められるため、負の生産・輸入品に課される税とみなすことができる。一方、対家計民間非営利団体や家計への経常
的交付金は補助金ではなく政府による他の種類の経常移転(他に分類されない経常移転)として扱われる。
また、投資、あるいは資本資産、運転資産の損失補填のために産業に対して行なわれる移転は補助金ではなく資本移転
に分類される。
○無基金雇用者社会給付および帰属社会負担
無基金雇用者社会給付とは、社会保障基金、年金基金などの外部機関を利用せず、また自己で基金を設けることもせず、
雇主がその源泉から雇用者に支払う福祉的な給付である。これは特定の基金はなくとも雇主が支払う義務を負っているも
のと考えられる。この給付は所得支出勘定において企業等の支払、家計の受取に計上されるが、雇用者報酬にもこの支払
が含まれているため、二重計算を避けるよう同額を帰属社会負担として、家計から企業等への移転として取り扱うという
帰属計算を行っている。
○名目と実質
名目とは、物価変動が含まれている年々の時価を評価基準として付加価値を表したものである。実質とは、ある特定の
年を基準として、物価による変動を取り除いた額であり、経済の実質的な伸びをみる場合に用いられる。
○持ち家の帰属家賃
帰属家賃とは、実際には家賃の受払を伴わない住宅等について、通常の借家や借間と同様のサービスが生産され消費さ
れるものとみなして、それを市場価格で評価した帰属計算上の家賃をいう。
住宅自己所有者は不動産業(住宅賃貸業)を営んでいるものとみなし、その帰属家賃は産出額に含まれ、営業余剰
(=帰属家賃-中間投入-固定資本減耗-生産・輸入品に課される税)は、家計(個人企業)の営業余剰に含まれる。
○利子
利子は、「債権者と債務者との間で合意された金融手段の条件の下で、未償還元本の金額を減ずることなく、ある所与
の期間に債務者が債権者に対して支払う義務のある金額」(国連93SNA)とされており、預貯金、貸出金、借入金、手形、
売掛金、買掛金などの金銭的請求権について生じた利息、割引料などの所得の移転である。
○連鎖方式と固定基準年方式
名目値を実質化する方法の名称で、連鎖方式とは、常に前年を基準年とし、それらを毎年毎年重ねて接続する方法であ
る。一方、固定基準年方式は異なる年の物価水準等を比較するための「基準年」を特定の年(現在は平成12暦年)に固定し、
他の年次の価格を評価する方法である。
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