...

養豚をめぐる情勢

by user

on
Category: Documents
20

views

Report

Comments

Transcript

養豚をめぐる情勢
資料3
養豚をめぐる情勢
平成18年7月
農林水産省生産局畜産部
目
Ⅰ
豚肉需給と流通をめぐる情勢
1 豚肉需給等の動向
(1)豚肉の需給(消費、需要、供給、輸入等)
(2)豚肉の価格
(3)豚肉の流通
2 豚肉に係る国際動向
(1)豚肉の関税制度
(2)豚肉の関税制度の取扱い
(3)豚肉に係る国際動向
Ⅱ
…
…
…
1
3
4
…
…
…
5
6
7
生産及び経営をめぐる情勢
1 経営の動向
(1)生産額
(2)生産構造
①飼養戸数、飼養頭数
②地域別飼養動向
(3)養豚経営の収益性
2 養豚経営における担い手確保について
…
次
Ⅲ
飼
料
1
2
3
4
飼料の需給
組換えDNA技術応用飼料等
「飼料自給率向上特別プロジェクト」について
エコフィード(食品残さの飼料化)の推進
Ⅳ
養豚経営における環境問題
1
2
3
4
5
家畜排せつ物発生量の推移
家畜排せつ物の処理・利用の現状
畜種別にみた家畜排せつ物発生量
法律施行状況調査結果の概要
家畜排せつ物たい肥の利用に関する
意識・意向調査結果
…13
…14
…15
…16
…17
…17
…17
…17
…18
8
Ⅴ
… 9
…10
…11
…12
家畜衛生をめぐる情勢
1 豚の伝染性疾病の発生状況
(1)最近の豚の伝染性疾病の発生状況
(2)豚の慢性疾病の発生状況
2 豚コレラ撲滅対策
3 オーエスキー病の防疫対策について
4 家畜伝染病予防法に基づく特定家畜伝染病
防疫指針の作成及び飼養衛生管理基準の設定
5 養豚場における衛生対策の推進方向
…19
…20
…21
…22
…23
…24
Ⅰ 豚肉需給と流通をめぐる情勢
1 豚肉需給等の動向
(1)豚肉の需給(消費、需要、供給、輸入等)
・畜産物については、多様化する国民食生活の中で消費量が大幅に増大。
・豚肉については、食肉の中で消費量が多く、食生活上不可欠な食材としてその地位を確保。
食料消費の変化(国民1人・1年当たり供給純食料)
食肉の一人一年当たり購入数量
6,000
(kg)
昭和40年
120.0
2.5倍
100.0
80.0
平成16年
5,000
0.9倍
4,000
3,000
0.6倍
60.0
3.0倍
(27.8kg)
40.0
20.0
1.5倍
4.0倍
(12.1kg)
果実
野菜
油脂類
資料:農林水産省「食料需給表」
2,000
1,000
2.3倍
乳製品
牛乳 ・
う
ち
豚肉
肉類
米
0.0
(g)
0
40
60
62
元2
豚肉
4
鶏肉
資料:総務省「家計調査年報」
−1−
6
8
牛肉
10
12
14
16 17
年度
・ 豚肉輸入量は、消費量が増加する中で、増加傾向で推移。その結果、豚肉の自給率は低下傾向で推移。(豚肉の重量ベース自給
率:51%、カロリーベース自給率:5.5%(平成16年))
・ 消費量は、13年度以降は、13年9月の国内初のBSE発生、15年12月の米国におけるBSE発生、国内外の鳥インフルエンザ発生に
伴う牛肉・鶏肉の代替需要により増加し、16年度は172万トン(部分肉ベース)となった。17年度は、代替需要が一巡したこともあり、
172万トンとなっている。
・ 国産豚肉は家計仕向割合が高く、輸入豚肉は加工及びその他の仕向割合が高い。
国産豚肉の用途別供給割合
豚肉供給の内訳
千トン
2,000
1,800
1,600
1,400
1,200
1,000
800
600
400
200
0
年度
100
90
80
70
60
50
40
30
20
10
0
50 55 60
メキシコ
38千トン
(4%)
2
7
8
9
10 11 12 13 14 15 16 17
その他
76千トン
(9%)
チリ
58千トン
(7%)
%
その他
台湾
カナダ
デンマーク
アメリカ
国産
自給率
家 計
30
28
42
14年
国産 85
輸入 国産
15
23
40
15年
国産 88
国産 89
国産 38
輸入 77
29
輸入 国産
12 21
40
16年
輸入 79
国産 42
29
輸入 国産
11 20
輸入 80
資料:農林水産省「食料需給表」、「畜産物流通統計」、
財務省「日本貿易統計」
注 :部分肉ベース。16年度の自給率は概算値である。
−2−
輸入 62
31
輸入 58
31
国産 32
資料:生産局畜産部推計
注 :国産・輸入の数値については、各用途における割合である。
輸入量(17年度)
カナダ 879千トン
デンマーク
227千トン
(26%)
その他
0
アメリカ
292千トン
(33%)
189千トン
(21%)
加 工
輸入 68
100(%)
(2)豚肉の価格
・ 豚肉の卸売価格は、季節により大きく変動するが、過去5ヶ年間の平均価格は471円/kg。
・ 13年度以降は、牛肉・鶏肉の代替需要等により、総じて堅調に推移。17年度平均価格は、473円/kg。
・ 国産豚肉の小売価格は、最近では240円/100g台で堅調に推移。また、輸入豚肉は170円/100g前後で推移。
豚肉卸売価格の推移(東京・大阪加重平均)
豚肉(ロース)の小売価格の動向
円/100g
円/kg
650
260
600
240
国産
220
550
18年6月
571円
( 7.9 )
500
200
輸入
180
450
160
400
350
年度平均
489円
( 2.9 )
300
資料:(独)農畜産業振興機構調べ
140
485円
( ▲0.8 )
120
455円
( ▲6.2 )
448円
( ▲1.5 )
439円
( ▲2.0 )
499円
( 13.7 )
469円
( ▲6.0 )
442円
( ▲5.8 )
474円
( 7.2 )
473円
(▲0.2)
501円
( 1.2)
100
8年度 9年度 10年度 11年度 12年度 13年度 14年度 15年度 16年度 17年度 18年度
資料:農林水産省「畜産物流通統計」
注 1:価格は東京及び大阪の食肉中央卸売市場における「極上・上」規格の加重平均値(省令価格)
注 2:( )内は対前年度騰落率(18年度は、対前年同期比(4∼6月))
注3:18年6月は、速報値
−3−
6.4 10
7.4 10
8.4 10
9.4 10 10.4 10 11.4 10 12.4 10 13.4 10 14.4 10 15.4 10 16.4 10 17.4 10 18.4
資料:(独)農畜産業振興機構調べ
(3)豚肉の流通
【消費地近郊に立地】
○ 消費地における集分荷・物流機能(豊富な品揃え、迅速・
確実な集分荷、決裁)
○ 枝肉卸売価格の形成(→建値形成の機能)
17%
肉豚農家
食肉卸売市場
外食店
(併設と畜場27箇所、市場29箇所)
234,830店
54%
食肉
センター
卸売業者
(8,125社)
(72箇所)
量販店
1,982社
食肉加工業者
(2,094社)
29%
小売店
その他
と畜場
14,824店
(105箇所)
【産地近郊に立地】
○ と畜・解体から部分肉処理を
行い、合理的な物流を実現する
供給基地の役割
○ 卸売市場の価格を参考にした
取引(建値取引)
国内供給の約5割を占める。
輸入
豚肉
(平成16年度)
1位デンマーク31%、2位米国30%
(平成17年度)
1位米国33%、2位デンマーク26%
資料:日本貿易統計、平成16年畜産物流通統計、16年商業統計、食料需給表(速報値)、16年事業所・企業統計(速報値)、15年食品衛生法に基づく食肉製品製造認可工場数
−4−
2
豚肉に係る国際動向
(1)豚肉の関税制度
・
豚肉については、昭和46年の輸入自由化の際に差額関税制度を導入。ウルグァイ・ラウンド(UR)農業交渉にお
いて、差額関税制度の機能を維持しつつ、UR農業合意を満たす関税水準を超えて、関税水準を自主的に引き下げる一
方で、その代償として豚肉関税の緊急措置制度を導入。
◎「豚肉関税の緊急措置」の仕組み
・四半期毎の累計輸入量が一定水準(過去3年同期の平均輸入量の
119%)を超えた場合、自主的に引き下げている現行税率をW
TO協定上認められている水準まで自動的に戻される。
豚肉の関税制度
○緊急措置の発動例
(課税後価格)
(数値は枝肉ベース)
輸入価格が分岐
点価格を超える
場合の関税:
従価税4.3%
基準輸入
価格
510.03円/kg
第1四半期
4∼6月
第2四半期
7∼9月
対前3年比
119%超
第3四半期
10∼12月
第4四半期
1∼3月
第1四半期
4∼6月
基準輸入価格
(409.9円/kg → 510.03円/kg(枝肉))
409.90円/kg
対前3年比 119%超
差額
関税
基準輸入価格
(409.9円/kg → 510.03円/kg(枝肉))
関税の緊急措置
対前3年比 119%超
従量税
361円/kg
基準輸入価格
(409.9円/kg →
510.03円/kg(枝肉))
対前3年比 119%超
基準輸入価格
(409.9円/kg →
510.03円/kg(枝肉))
(注)実際の輸入と輸入統計公表までにタイムラグ(約1ヶ月)が存在するため、
四半期当初からの発動とはならない場合がある。
(輸入価格)
48.9円/kg
393円/kg
489円/kg
・発動実績
①平成 7年11月1日∼平成 8年3月31日
②平成 8年 7月1日∼平成 9年3月31日
③平成 9年 4月1日∼平成 9年6月30日
④平成13年 8月1日∼平成14年3月31日
⑤平成14年 8月1日∼平成15年3月31日
⑥平成15年 8月1日∼平成16年3月31日
⑦平成16年 8月1日∼平成17年3月31日
分岐点価格
−5−
(2)豚肉の関税制度の取扱い
・
・
・
豚肉の関税制度の取扱いについては、現在行われているWTO農業交渉の中で議論すべきもの。
本制度をめぐっては、様々な意見があることから、昨年7月12日の養豚問題懇談会を皮切りに、生産者、関係事業者及
び消費者との意見交換を行ってきたところ。
今後の制度のあり方については、これらの意見を踏まえた上で検討。
◎ 豚肉の差額関税制度に対する関係者の主な意見
○ 生産者
・現行制度は国内の養豚農家の経営安定に重要な役割を果たしている。
・低級部位の輸入が抑制され、国産低級部位も加工用に回すことができるため、きちんと運用されれば、本制度はとてもよい制度。
・不正防止のための取締りの徹底を図りながら、現行制度を堅持すべき。
○
加工業者、輸入業者
・現行制度の下では、必要な部位を必要な量だけ輸入することが困難。
・組合せ輸入により、不必要な高級部位が市場に出回ると、高級部位の価格が低下し、国内生産者にも悪影響を及ぼす。
・制度は、他に類例のない複雑な仕組みであり、従量税又は従価税に改正し、より簡潔で透明性の高い制度にすべき。
○
消費者、マスコミ等
・ルールはルールであり、しっかり守ることが必要。
・消費者は違法行為を犯した安い豚肉など望まない。
・分かりやすく透明な制度がいい。分岐点価格のような仕組みはなくして、制度が悪用されないようにできないものか。
−6−
(3)豚肉に係る国際動向
・
メキシコについては、17年4月より経済連携協定(EPA)が発効。豚肉については、従価税部分の税率を半減
(4.3%→2.2%)したメキシコ専用枠を設定。
・
マレーシアについては、 18年7月よりEPAが発効。豚肉は除外扱い。
・
タイ、フィリピンについては、豚肉は再協議で大筋合意。
・
インドネシア、ASEAN、韓国、チリとは政府間交渉中。
わが国のEPA・FTAをめぐる状況
2002年
シンガポール
2003年
2004年
2006年
2005年
★発効(11月)
メキシコ
★発効(4月)
★発効(7月)
マレーシア
タイ
交渉(2月∼)
フィリピン
交渉(2月∼) ○大筋合意(11月)
交渉(7月∼)
インドネシア
ASEAN全体
韓国
○大筋合意(9月)
交渉(4月∼)
交渉(12月∼)
チリ
交渉(2月∼)
GCC諸国(注1)
準備会合(5月∼)
ベトナム
共同検討会合(2月∼)
ブルネイ
準備協議(2月∼)
インド
共同研究会(7月∼)
スイス
政府間共同研究(10月∼)
豪州(注2)
政府間共同研究(11月∼)
(注1)GCC諸国(湾岸協力理事会):サウジアラビア、アラブ首長国連邦、カタール、バーレーン、オマーン、クウェート
(注2)共同研究では、農業のような非常に難しい問題があるとの両国首脳間の共通認識を踏まえ、FTAの
メリット・デメリットを含め、様々な方策を幅広く検討。
−7−
Ⅱ 生産及び経営をめぐる情勢
1 経営の動向
(1)生産額
・養豚は、農業総産出額の1/4以上を占める畜産のうち、約2割のシェア。
・産出額は鹿児島県が最も多く、産出額の上位5つの県で全国の産出額の約4割を占める。
その他
15%
果実
H16
9%
畜産
2 兆4 , 5 4 7 億円
( 2 7 . 9 %)
肉用牛 18.1%
野菜
25%
○ 産出額の多い都道府県
都道府県
産出額(億円)
全国に占める割合
鹿児島県
746
13.7%
宮 崎 県
510
9.4%
茨 城 県
377
6.9%
千 葉 県
351
6.5%
鶏卵 15.1%
ブロイラー 10.0%
群 馬 県
309
5.7%
その他 7.2%
計
2,293
42.2%
生乳 28.0%
農業総産出額
8.8兆円
米
23%
畜産の内訳
豚 21.7% 5,335億円
資料:農林水産省「平成16年度農業産出額」
−8−
(2)生産構造
① 飼養戸数、飼養頭数の推移
・飼養戸数は、減少傾向で推移。18年は7,800戸と16年と比べで12.2%減少。
・飼養頭数は減少傾向で推移してきたが、9年以降減少率は鈍化。18年は16年と比べて1.1%減少。
そのうち子取り用雌豚は、18年は16年と比べて1.1%減少。
○豚飼養戸数、頭数の推移
戸、千頭
200,000
20,000
頭
195,600
17,500
75,000
15,000
12,500
飼養頭数(千頭)
10,000
7,500
5,000
2,500
11,061
7,459
790
12,500
9,879
149
38
0
S51年
959
1,400
1戸当たり飼養頭数(頭)
74,200
906
838
11,700 10,800
9,806
9,788
961
1,031
1,095
1,233 1,200
1,000
農家戸数(戸)
10,000
9,612
9,430
9,725
8,880
800
9,724
7,800 600
400
9,620
うち子取り用雌豚(千頭)
200
1,202
931
929
922
916
929
918
907
61年
H11年
12年
13年
14年
15年
16年
18年
資料:農林水産省「畜産統計」
注1:昭和51年及び61年の肥育豚の1戸当たり飼養頭数は、肥育豚を飼養する農家1戸当たりの総飼養頭数である。
注2:17年は世界農林業センサスの調査年であるため比較できるデータがない。
−9−
0
② 地域別飼養動向
・ 飼養戸数は、全ての地域で減少。東北、沖縄、北海道で高い減少率。
・ 飼養頭数は、九州以外の地域で減少傾向。沖縄、近畿、東海で高い減少率。
・ 一戸当たり飼養頭数は、全ての地域で増加傾向。特に東北、北海道で高い増加率。
○地域別飼養戸数の推移
○地域別飼養頭数の推移
千頭
2,530 2,485
2,500
2,000
+2%
▲8%
1,618 1,594
1,500
▲15%
812
沖
畿
▲21%
北
中
近
海
東
東
関
陸
北
北
東
縄
85 72
0
海
299
236
601 590
州
290
九
500
751
290
国
545
522
四
1,000
道
縄
3,008 3,081
3,000
▲35%
沖
州
国
九
四
畿
近
海
東
陸
東
関
北
北
東
3,500
中
北
海
道
4.0千戸
▲29%
▲19%
3.5
2.9
3.0
H13年
3.0
▲37%
2.3
2.5
2.1
H18年
1.9
2.0
1.5 ▲34% 1.2
0.8 0.6
0.7
1.0
0.5 0.3
0.4 0.3
0.2
0.5 0.3
0.5
0.5
0.1
0.0
○地域別1戸当たり飼養頭数の推移
+45%
+27%
1,800 頭
+56%
+39%
+39%
1,616
1,600
1,317
1,317
1,400
1,265
1,166
1,178
1,200 1,112
1,066
1,041
966
910
1,000
843 829 849
724
800
598
578
502
600
400
200
0
北
海
道
東
北
北
陸
関
東
東
海
近
畿
中
四
国
−10−
九
州
沖
縄
資料:農林水産省「畜産統計」、「畜産統計(速報)」
(3)養豚経営の収益性
・ 養豚経営の収益性は、平成14年はBSE発生により豚肉需要が増加し、肥育豚価格が上昇したことにより
大幅に上昇。15∼16年は枝肉価格の低下、飼料価格の上昇により収益性は低下。
17年は飼料価格は上昇したが、米国のBSE発生、高病原性鳥インフルエンザ発生に伴う牛肉・鶏肉の代替
需要による枝肉価格の上昇により、前年に比べ、収益性は上昇。
○ 養 豚 経 営の 収益 性の 推移
区 分 / 年
肥育豚一頭当たり所得
一日当たり家族労働報酬
(単位:円)
H2
H7
H9
2,823
5,752
5,060
H 10
4,896
H 11
4,872
H 12
5,588
H 13
5,261
H 14
8,492
H 15
6,252
7,358 12,224 11,213 11,093 11,203 13,490 12,800 22,374 16,563
資料:農林水産省「畜産物生産費調査」 注1:調査期間は前年4月∼当年3月(11年までは前年7月から当年6月)
2:7、10年に集計方法を変更。なお、9年については10年調査ベースで集計した数値。
3:5年に対象農家を肥育経営農家から一貫経営農家に変更。
−11−
H 16
3,850
H 17
5,085
9,193 13,712
2 養豚経営における担い手確保について
・平成19年度より、養豚の経営安定対策の対象経営については認定農業者を基本とし、併せて認
農業者に準ずる者として、「担い手の育成に関する計画等を有する生産組織に所属し、自らも計画
に基づき認定農業者を目指す者」を担い手として位置づける。
・養豚経営における認定農業者率は36%であり、更なる認定率の向上が重要。
①認定農業者
現状
②認定農業者の条件
を具備している者
①、②以外の者
養豚経営農家7800戸
(畜産統計平成18年.2月)
都道府県段階の取組
・認定農業者増加のための緊急実行計画
の策定・緊急実行計画の実施
・認定作業の円滑な実施と認定の加速に
向けた、市町村担当部局等に対する指
導の徹底
担い手の育成等に係る計画
を有する生産組織に属し、
自らも計画に基づいて
認定農業者を目指す意欲の
ある経営体
<都道府県知事の特認>
市町村段階の取組
・認定手続きに係るきめ細かい説明・指導
・認定審査会の随時開催等認定作業の円
滑な実施と 認定の加速に向けた取組
担い手
H19以降
認定農業者
−12−
認定農業者に
準ずる者
Ⅲ
飼
料
1 飼料の需給
・ 平成17年度における配合飼料の全生産量は2,355万トンであり、そのうち豚用は587万トンで25%を占めている。
・ 配合飼料原料については、輸入穀物に依存しているため、穀物相場等の影響を受ける。このため、豚用配合飼料
価格は、18年4月には41千円/トン(工場建値:対前年同月比で4.6%上昇)となっている。
・ 一定の輸入数量に限って関税が無税となる関税割当制度における単体飼料用丸粒とうもろこしの利用量は約23万
トンであり、そのうち養豚用の利用量は全体の67%程度を占めている。
・ 配合飼料価格の急激な変動が養豚経営に及ぼす影響を緩和するために、配合飼料価格安定制度が措置されてお
り、18年は、為替が円安傾向で推移したこと等を反映して2期連続(1∼3月、4∼6月)で通常補てんが発動している。
豚用配合飼料価格及び主要原料価格の推移
豚用配合飼料生産量の推移
千円
百万トン
6.2
50
肉用牛
17%
豚用配合飼料価格
大豆油かす
とうもろこし
40
6.0
その他
0% ブロイ
ラー
16%
乳用牛
14%
豚
25%
30
5.8
配合飼料の家畜別生産割合
(H17年度)
採卵鶏
28%
資料:農林水産省「飼料月報」
関税割当丸粒とうもろこしの
畜種別利用割合(H17年度)
鶏
牛
13%
20%
20
5.6
10
13.4
5.4
13
14
15
16
14.4
15.4
17
17.4
18.4
年月
年度
資料:農林水産省「飼料月報」
16.4
豚
67%
資料:農林水産省「飼料月報」
資料:農林水産省畜産部調べ
−13−
2 組換えDNA技術応用飼料等
○ 組換えDNA技術応用飼料の安全性については、「組換え体利用飼料の安全性評価指針」に基づき確認。
○ 日本では安全性未確認である組換えDNA技術応用とうもろこしの混入防止対策は次のとおり。
・ スターリンクについては、米国における飼料用とうもろこしの輸出前検査を行うことを日米間で合意。
・ Bt10(米国等においても安全性評価が行われていない。)については、米国に対して混入防止措置を要請するとともに、米国産飼
料用とうもろこしを輸入する場合には事前の届け出を義務化(平成17年9月)。輸出前検査を行い、Bt10を含まないことの証明書を
添付するよう指導。
また、飼料としての安全性評価等について、食品安全委員会からは本年6月に答申が出され、農業資材審議会では引き続き審
議中。
・ 日本で安全性未確認であるものの我が国と同等以上の審査制度を有すると認められる外国政府で安全性が確認された組換え
DNA技術応用飼料については、混入した場合の一定の許容基準(1%以下)を設定。
スターリンク混入防止のために講じた輸出前検査の概要
(平成12年当時)
○安全性を確認した組換えDNA技術応用飼料
なたね
15品種
とうもろこし 13品種
大豆
4品種
わた
10品種
てんさい
3品種
アルファルファ 2品種 計47品種
農水省は必要に応じて検査職員を
米国に派遣して監視
サンプリング検査
(2,400粒)
農家
分別流通
はしけ、貨物、 運搬
エレベーター等
○安全性を確認した組換えDNA技術応用
飼料添加物
4品目
陽性
米国内飼料用へ
−14−
貯蔵スペース検査
陰性
輸出用
積込
エレベーター
輸出用船舶
輸出
日本へ
3 「飼料自給率向上特別プロジェクト」について
・ 食料・農業・農村基本計画における飼料自給率目標達成のため、国、都道府県、農業者・農業団体、食品産業事
業者、飼料関係団体等が、有識者の助言を得つつ、適切な役割分担の下、一体となって、「飼料自給率向上に向
けた平成18年度行動計画(以下「行動計画」)を策定。
・ 「行動計画」の機動的な実行を確保するため、「戦略会議」の下に、自給飼料増産、食品残さの飼料化それぞれ
の目的に応じて、関係者が一体となって専門的見地からの具体的取組を推進する「行動会議」を定期的に開催。
・ 「全国飼料増産行動会議」及び「全国食品残さ飼料化行動会議」を5月19日に開催し、それぞれの18年度行動
計画を策定。
役割を明確に
するため、「主
体」ごとに戦略
会議を置く
飼料自給率向上戦略会議
飼料自給率向上のため、関係者が一体となって行動計画を策定、実行、点検
農業団体戦略会議
飼料自給率向上のため、省内の関係局庁が
連携して行う取組を決定
飼料自給率向上
のため、農業団体
がそれぞれ、ある
いは連携して行う
取組を決定、推進
都道府県戦略会議
農林水産省戦略会議
全国飼料増産行動会議
機動的に行
動するため個
別の「行動会
議」をおく
戦略会議の下、自給飼料増産のため、関係団体、都道府県と一体となった
具体的な取組を推進
全国食品残さ飼料化行動会議
戦略会議の下、食品残さの飼料化推進のため、関係団体、都道府県と
一体となった具体的な取組を推進
−15−
飼料自給率向上
のため、都道府県
がそれぞれ、ある
いは連携して行う
取組を決定、推進
4 エコフィード(食品残さの飼料化)の推進
○ 飼料自給率の向上、飼料費の低減を図るため「食品循環資源の再生利用等の促進に
関する法律」(いわゆる食品リサイクル法 (平成13年5月施行))に則し、食品残さの飼料化
を推進することが必要。
○ 食品残さの飼料化を推進するためには、安全性の確保、品質・供給の安定性の確保等の
課題があり、これらに対応した取組を推進することが必要。
食品廃棄物の飼料化の状況(H16年度)
食品廃棄物等
の年間発生量
(万㌧)
再利用率
(%)
飼料化
(%)
食品製造業
490
78
27
食品卸売
・小売業
336
36
13
外食産業
310
25
5
1136
51
17
計
食品製造業
からの副産物
のうち、米ぬ
か、ビートパ
ルプ等、大量
に安定供給さ
れるものにつ
いては飼料利
用が進んでい
る
(農林水産省統計部:「平成17年食品循
環資源の再生利用等実態調査結果」)
食品廃棄物等の再利用率は、
増加(H13年度は36%)の傾
向を示しているものの、未だ
その過半が、焼却・埋却され
ている
課 題
・ 食品残さの飼料化の
全国的な取組を展開
・ 安全性、品質の安定
性を確保
対応方向
・ 「食品残さ飼料化(エコフィード)行動会議」
等を設置し、食品産業、農業団体、消
費者等が参画した全国的取組を展開。
・ 安全性確保ガイドラインの作成。
・ 栄養特性評価手法の確立。
・ エコフィード認証制度の構築。
・ 食品残さの需給の
安定性の確保
・ 食品残さの供給サイド、利用サイド
・ 食品残さの飼料化
技術の開発・普及
・ 食品残さの飼料化の優良事例情報
や飼料化マニュアルの普及。
・ 指導者(アドバイザー)を育成。
・ モデル的な飼料化施設整備を推進。
−16−
双方の情報ネットワークの構築。
Ⅳ
養豚経営における環境問題
・平成18年の家畜排せつ物発生量は8,741万トンと推計され、このうち約4分の1が養豚からの発生とみられる。
・17年12月1日時点で、家畜排せつ物法の管理基準適用農家約61,300戸のうち99.9%が管理基準に対応済み。
1
家畜排せつ物発生量の推移
3
畜 種
乳用牛
肉用牛
豚
採卵鶏
ブロイラー
合 計
9,400
︵
発
生
量
︶
万
ト
ン
/
年
9,200
9,000
8,800
8,600
4
8,200
2
発 生 量
2,689
2,546
2,227
784
495
約8,741
注:平成18年
8,400
8,000
畜種別に見た家畜排せつ物発生量(単位:万トン)
平成9年
11年
13年
15年
16年
法施行状況調査(17年12月1日時点)結果の概要
管理基準対象農家
(61,312戸)
45.6%
18年
畜産統計から推計
管理基準対象外農家
(73,082戸)
54.4%
畜産農家
(134,394戸)
家畜排せつ物の処理・利用の現状
管理基準対象農家
(61,312戸)
施設整備
(51,226戸)
83.6%
平成11年時点
1.野積み・素堀りへ
約 9百万トン/ 年
2.たい肥化・液肥化等へ
約 75百万トン/ 年
3.浄化・炭化・焼却等へ
約 6百万トン/年
平成16年12月時点
簡易対応
(7,478戸)
12.2%
1.野積み・素堀りへ
約 1百万トン/ 年
2.たい肥化・液肥化等へ
約 80百万トン/ 年
3.浄化・炭化・焼却等へ
約 7百万トン/年
管理基準適合農家
(61,237戸)
99.9%
−17−
その他の方法※
(2,533戸)
4.1%
管理基準不適合農家
(75戸)
0.1%
※「その他の方法」には、畜舎からほ場への直接散布、周年放牧、廃棄物
処理としての委託処分、下水道利用等が含まれる。
・家畜排せつ物の利活用促進がこれまで以上に重要となる中、農業者の9割は家畜排せつ物たい肥を「利用したい」と回答。
・今後、自治体やJA等を中心とした耕畜連携等による利活用の一層の推進が必要。
・バイオマスの環づくり交付金等の従来からの施策に加え、17年度から、農業者団体等が行うたい肥利活用のためのモデ
ル的な取り組みについて支援。
5
家畜排せつ物たい肥の利用に関する意識・意向調査結果(17年1月農林水産省調査)
特に考えはない 4.4
無回答 0.1
60
利用したい
88.4
利用したく
ない 7.2
(%)
51.6
0
たい肥の利
用によって
循環型の農
業が可能に
なる
積極的に
利用したい
51.1
60
作物の品質
向上が期待
できる
化学肥料の
使用量の節
減が期待で
きる
作物生産の
安定性の向
上が期待で
きる
利用したい理由とは(複数回答)
今後の利用に関する意向
(%)
57.7
41.1
20
家畜排せつ物たい肥の
80
46.2
40
回答者数
2 544人
(100.0%)
ある程度
利用したい
37.3
49.5
60
52.4
40
43.5
(%)
52.7
48.8
43.0
40
34.0
20
38.3
20
0
たい肥の需要
と供給に関す
る情報提供や
販売・購入先
の仲介など、
作物生産農家
と畜産農家の
連携を図る取
組
たい肥の利
用による化
学肥料の使
用量を減ら
す取組
たい肥の散
布を省力化
する取組
たい肥の施
用効果を実
証し普及す
る取組
0
顆粒やペレ
ットなど散
布しやすい
たい肥
価格が安い
たい肥
成分量が安
定したたい
肥
成分量が明
確なたい肥
今後利用が進む家畜排せつ物
家畜排せつ物たい肥を有効利用するための
地域の取組とは(複数回答)
−18−
たい肥とは(複数回答)
Ⅴ 家畜衛生をめぐる情勢
1
豚の伝染性疾病の発生状況
(1)最近の豚の伝染性疾病の発生状況
(単位:頭数)
伝染性疾病の種類
10年 11年 12年 13年 14年 15年 16年 17年
法
口蹄疫
0
0
0
0
0
0
0
0
定
流行性脳炎
7
6
6
4
6
1
3
11
伝
炭疽
0
0
0
0
0
0
0
0
染
ブルセラ病
0
0
0
0
0
0
0
0
病
豚コレラ
0
0
0
0
0
0
0
0
レプトスピラ症
0
0
5
16
19
0
9
0
18
187
1,077
2,647
652
218
403
437
1
1
16
36
38
32
46
19
520
74
320
487
65
16
13
5
1,120
11,202
387
0
108
298
0
214
188
283
656
34
1,501
63
70
21
2,693
812
0
2,218
0
0
0
0
113
435
224
45
18
72
2
1
豚丹毒
1,623
2,000
1,927
1,778
1,598
1,754
1,555
1,667
豚赤痢
319
542
1,564
459
133
31
306
148
サルモネラ症
トキソプラズマ病
届
オーエスキー病
出
伝染性胃腸炎
伝
豚繁殖・呼吸障害症候群
染
豚流行性下痢
病
萎縮性鼻炎
※:家畜伝染病予防法の届出による
−19−
(2)豚の慢性疾病の発生状況
慢性疾病の種類
H10
H11
H12
H13
H14
(単位:頭数)
H15
H16
<ウイルス病>
サーコウイルス感染症
1,019
4,357
82
118
7
356
<細菌・ 真菌病>
大腸菌症 2,140
2,315
7,087
2,843
2,337
8,925
2,524
アクチノバチラス症 1,571
1,333
711
1,419
1,275
428
3,320
レンサ球菌症
505
347
363
417
275
194
257
サルモネラ症
1
14
17
280
183
37
クロストリジウム症 348
71
498
34
224
273
390
パスツレラ症
264
281
280
697
87
232
74
滲出性表皮炎
533
272
690
326
458
133
245
アルカノバクテリウム・ピオゲ
78
64
6
19
22
11
33
ネス症
増殖性腸炎
12
54
137
147
106
463
豚マイコプラズマ肺炎
1
20
2
27
11
その他の細菌・真菌症
286
10
556
209
14
315
206
<原虫・ 寄生虫病>
コクシジウム症
30
17
15
4
394
34
10
大腸バランチジウム症
81
58
15
3
2
100
その他の原虫病
2
6
1
100
2
寄生虫病
382
237
126
237
145
250
215
<混合感染症>
サーコウイルスの混合感染
51
31
25
38
16
1
140
パスツレラの混合感染
40
177
74
138
100
レンサ球菌の混合感染
1
5
15
58
大腸菌の混合感染
141
107
385
388
42
その他の混合感染症
57
59
3
219
122
2
出典:家畜衛生週報(17年は12月までの累計)
注1:届出伝染病以外の疾病。空欄は発生報告無し。
2:家畜衛生対策事業の報告を基に集計したものであり、必ずしも全国の状況を反映したもの
では無い。
−20−
H17
48
3,527
367
472
204
24
242
3,513
104
47
10
535
10
1
224
21
36
17
1,829
131
2 豚コレラ撲滅対策
・豚コレラは、平成5年以降発生がなく、養豚先進国(米国、EU等)と同様、ワクチンを用いない防疫体制の確立によ
る清浄化の達成を目指し、平成8年度から対策を開始。
【ワクチン接種中止のメリット】 ・接種経費削減、・輸入検疫強化による国内の清浄性維持(接種国、地域から豚肉
等の輸入制限)
・最終発生から10年以上が経過し、我が国に野外ウイルスは存在しないと考えられることから平成18年3月31日
に「豚コレラに関する特定家畜伝染病防疫指針」を公表。
【豚コレラ撲滅対策のしくみと進捗状況】
第1段階
( 8年度∼)
第2段階
(10年度∼)
第3段階
(12年度∼)
○ワクチン接種の徹底
【これまでの取組み】
○清浄性確認・監視
○都道府県ごとに接種中止
◎家畜防疫互助事業の創設・見直し
発生時の損害を互助補償する豚コレラ互助事業を創設。
15年度、見直し。(積立金の軽減・交付額の拡充)
◎ワクチン備蓄
緊急ワクチン(100万頭分)、注射器等の資材備蓄。
◎家畜疾病経営維持資金への追加
平成16年の鹿児島県での事例を踏まえ、「豚コレラ」を追
加。
【今後の取組み】
防疫指針及び防疫指針に基づく留意事項通知に基づき、
防疫対策を実施。
特に、以下の事項については、危機管理体制の構築に当
たり早急に着手する必要があるものとして、的確に対応。
①緊急時の通報・連絡体制の確認
②具体的な発生状況を想定した防疫演習等の実施
③清浄性の維持確認のための調査を計画的に実施
○全国的ワクチン接種中止
(輸入検疫強化)
平成18年3月、防疫指針を公表し、同年4月以降、
予防的なワクチン接種の全面中止
−21−
3 オーエスキー病の防疫対策について
・ 平成3年から防疫対策要領に基づき定期的な抗体検査の実施、野外ウイルス抗体陰性豚の出荷、導入の推進により発生予防と清浄
性維持を図るとともに、臨床症状を呈している豚及び野外ウイルス抗体陽性豚が確認された場合は、早期とう汰の実施により清浄化を
推進。また、本病の浸潤状況は地域により差があることから、地域別にこれらの対策を推進。
・ 清浄化を達成するために必要な支援措置は既に講じていることから、清浄化に向けた地域ごとの生産者のコンセンサスづくりが重要。
【防疫対策】
清浄化推進地域(過去1年以
上、発生、抗体陽性豚摘発)
準清浄地域(過去1年以内、
発生、抗体陽性豚摘発)
オーエスキー病防疫対策の実施状況 (平成17年度)
〔家畜伝染病予防事業〕
抗体検査 149,337頭
ワクチン接種
清浄種豚の流通
<オーエスキー病の抗体陽性率(戸数)の推移 (%)>
平成4年
〔家畜生産農場清浄化推進事業〕
種豚抗体検査
45,654頭
平成10年
平成16年
全国
5.0
5.5
5.5
東北
1.9
7.1
1.3
関東
21.4
18.6
20.9
九州
2.6
4.7
4.9
<地域区分別の市町村数の推移>
清浄化推
進地域
準清浄地
域
平成 9年
334
69
平成14年
332
79
平成15年
338
79
平成16年
328
78
清浄地域
本病が拡大する
傾向にはないが、
清浄化の推進に
は効果的なワク
チン接種の徹底
などが必要
左記以外
の市町村
−22−
生産者のコンセンサスづくり
清浄地域(過去1年以内、発
生抗体陽性豚なし)
清浄種豚の流通、ワクチ
ン全頭接種、陽性豚の摘
発とう汰
3,004,645頭
国が講じている支援措置
ワクチン接種補助
(生産農場清浄化
支援対策事業や
食の安全・安心確
保交付金)
ワクチン接種補助
以外に自主淘汰
に必要な防疫費
についても食の安
全・安心確保交付
金を活用可能
4 家畜伝染病予防法に基づく特定家畜伝染病防疫指針の作成及び飼養衛生管理基準の設定
○
平成15年に家畜伝染病予防法が改正され、特に総合的に発生の予防及びまん延の防止のための措置を講ずる必要
のある家畜伝染病に関して、国、地方公共団体、関係機関等が連携して取り組む家畜伝染病の発生及びまん延防止等
の措置を講ずるための指針(特定家畜伝染病防疫指針)を作成することとした。
○ また、家畜の伝染性疾病の中には、家畜の所有者が衛生管理を徹底することでその発生を予防できるものもあるこ
とから、農林水産大臣が、特定の家畜についてその飼養に係る衛生管理の方法に関し家畜の所有者が遵守すべき基準
(飼養衛生管理基準)を定めるとともに、家畜の所有者に当該基準の遵守を義務付けた。
○
○
特定家畜伝染病防疫指針
家畜の飼養衛生管理基準
の設定
口蹄疫、BSE、高病原性鳥インフルエンザ、豚コレラの
4疾病について作成
A町 通行の制限
に対する協力
協力依頼
防疫活動に 関係省庁
対する協力
飼養衛生管理基準
-衛生管理を徹底することで
疾病を予防
連絡・
調整
生産農場
疫学調査
連携
発 生
連携
罰
則
令
−23−
家畜の飼養者が家畜の衛生管理の方法に関し
遵守すべき最低限の基準
命
B県
消費者
○枝肉・部分肉
・加工品の
微生物汚染・
増殖防止
告
連絡・調整
○病畜の廃棄
○枝肉・部分肉
(全部又は一部) ・加工品の微
○枝肉の微生物
生物汚染・増
汚染・増殖防止
殖防止
勧
家畜防疫員等の
派遣
○畜舎及び器具の清掃や消
毒を定期的に行うこと。
○畜舎に出入りするときは、
消毒等の措置をとること。
○清浄な飼料及び水の給与
に努めること。
○家畜の健康管理に努める
こと。
○家畜の異常発見時には、
獣医師の診療を受ける
こと。
○他の農場等から家畜を
導入する場合には、一
定期間隔離すること。等
指導・助言
農林水産省
試験研究機関
卸売・小
売業者
食肉・食鳥
処理・加工場
食品供給行程の各段階における適切な措置により
食品の安全性を確保(と畜場法・食品衛生法)
衛生管理の向上
専門家の派遣
(家畜伝染病予防法)
と畜場・食鳥
処理場
5 養豚場における衛生対策の推進方向
○ 豚コレラの清浄化が目前となる一方、PRRSをはじめとする呼吸器複合感染症等により、農場の生産性が低
下している傾向
○ これら疾病に対しては、農場における基本的な飼養衛生対策や地域の家畜保健衛生所、行政、獣医師などの
関係者が一体となった取組が重要
子取雌頭数と1母豚当たりと畜頭数の推移(H6∼)
と畜頭数
20.0
19.5
19.0
18.5
18.0
17.5
17.0
16.5
16.0
15.5
15.0
1,020,000
1,000,000
980,000
子
取 960,000
雌 940,000
頭 920,000
数
900,000
880,000
860,000
H6
H7
H8
H9 H10 H11 H12 H13 H14 H15 H16
母豚数(頭)
1母豚当たりと畜頭数
<鹿児島県の事例(飼養規模:肥育豚2,400頭)>
年次
1
母
豚
当
た
り
と
畜
頭
数
月
H16
4,199,808
1∼3月
(104.6)
4,008,882
4∼6月
(101.8)
3,920,837
7∼9月
(99.8)
4,466,518
10∼12月
(99.0)
16,596,045
年計
(101.2)
( )内は対前年同期比
17,18年は、速報値
徹底的な消毒
オールイン
オールアウト
の徹底
管理獣医師の定
期的な巡回
必要な病性鑑定
H18
4,088,192 4,052,093
(97.3)
(99.1)
3,932,165
(98.1)
3,854,077
(98.3)
4,365,096
(97.7)
16,239,921
(97.9)
・母豚1頭当たりと畜頭数:伸び悩み
(直近のと畜頭数も減少傾向)
PRRSなど呼吸器複合感染症等
の影響との指摘
<北海道の事例(飼養規模:母豚50頭一貫生産)>
豚コレラの発生を契機として農場での衛生対策を実施
関係者以外の
立入制限
H17
関係者でのPRRS等の対策の協議
(農場、農協、獣医師、家保)
○繁殖対策
・BCSの点検・飼料給与量の改善
・繁殖候補豚の馴致
・分娩舎での管理強化
農場の衛生管理の徹底により生産性が向上
○肉豚対策
・離乳舎を用いたピッグフローに変更
・肥育舎の消毒強化
・定期的なモニタリング
農場の衛生管理の徹底により生産性が向上
・事故率の著明な減少(7.5%→1.5%)
・出荷日齢の短縮(238日→222日)
・治療費の軽減(79%の減)
・繁殖成績の向上(1腹産仔数:9.97頭→10.76頭)
・肉豚のPRRS等感染の減少
・1母豚当たりの出荷頭数の増加(16.1頭→21.1頭)
地域一体となった疾病清浄化の取組やHACCPを活用した衛生管理の取組を支援
−24−
Fly UP